JP5958065B2 - 融着塗料ならびにそれを用いた融着電線およびその製造方法 - Google Patents

融着塗料ならびにそれを用いた融着電線およびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5958065B2
JP5958065B2 JP2012109460A JP2012109460A JP5958065B2 JP 5958065 B2 JP5958065 B2 JP 5958065B2 JP 2012109460 A JP2012109460 A JP 2012109460A JP 2012109460 A JP2012109460 A JP 2012109460A JP 5958065 B2 JP5958065 B2 JP 5958065B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
acid
polyamide resin
fused
fusion
electric wire
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2012109460A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2013237718A (ja
Inventor
克明 並木
克明 並木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Auto Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Auto Chemical Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Auto Chemical Industry Co Ltd filed Critical Auto Chemical Industry Co Ltd
Priority to JP2012109460A priority Critical patent/JP5958065B2/ja
Publication of JP2013237718A publication Critical patent/JP2013237718A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5958065B2 publication Critical patent/JP5958065B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Paints Or Removers (AREA)
  • Insulated Conductors (AREA)

Description

本発明は、モーターコイル、ボイスコイル、空心コイル等の各種のコイルに用いられる融着塗料ならびにそれを用いた融着電線およびその製造方法に関する。
電気機器や通信機器には、モーターコイル、ボイスコイル、空心コイル等の各種のコイルが広く使用されている。これらのコイルは主に電線を要求される形状にコイル巻線して得られる。
コイル巻線によるコイルの製造方法には、例えば、融着層を有する融着電線をコイル形状に巻線する直前またはコイル形状に巻線した後に加熱し融着層を溶融させ隣接する電線同士を融着層間で接着させる方法、融着層を有する融着電線をコイル形状に巻線する直前に溶剤で融着層を膨潤および/または一部溶解させて巻線し隣接する電線同士を融着層間で接着させる方法、絶縁層を有する絶縁電線をコイル形状に巻線した後で不飽和エステル樹脂やエポキシ樹脂等の硬化性樹脂(溶液)に含浸させ熱処理を行って隣接する電線同士を硬化接着させる方法がある。
絶縁電線を硬化性樹脂に含浸し硬化接着させる方法は、その硬化工程で大型の乾燥炉が必要であることや、多量の有機溶剤またはモノマー成分が大気中に揮散し作業環境を悪化させることから、すべてのコイルに適用できるものではない。
また、融着電線を溶剤によって接着させる方法は、コイル巻線機を小型化できるものの、使用する溶剤が大気中に揮散し作業環境を悪化させる。更に、この方法は加熱によって融着電線を接着させる方法よりもコイルの寸法安定性、整列巻線性、高速作業性に劣る。このため、特に中小型のコイルの製造方法には融着電線を加熱によって接着させコイル巻線する方法が多く採用されている。
融着電線を加熱によって接着させコイル巻線する方法において、融着電線の融着層は、ポリアミド樹脂、ブチラール樹脂、フェノキシ樹脂等の熱可塑性樹脂を主体とした融着皮膜で形成されている。
これらの熱可塑性樹脂は、コイル巻線の作業効率が良好であることから、80〜150℃程度で熱軟化するものを採用することが多い。しかし、電気機器や通信機器が高性能化、軽量化、低容積化するのに伴ってそれらに用いられるコイルの使用時の温度は高くなってきている。このため、80〜150℃程度で軟化する熱可塑性樹脂を融着皮膜に採用したコイルは、使用時の熱により軟化しコイルの接着強度が低下したり、コイルの変形やほつれ等の不具合を生じるため、使用温度に限界があった。この改善策として、熱可塑性樹脂に熱硬化性樹脂を配合し、熱硬化性樹脂を熱硬化させることで融着皮膜の耐熱性を向上させた融着塗料が提案されている(例えば特許文献1)。
しかし、特許文献1に開示された融着塗料は、熱硬化性樹脂の硬化速度の調整が難しい。具体的には、焼付炉の炉温が高いと、熱硬化性樹脂の硬化速度が速くなり、融着塗料を焼付炉で焼付した際に、熱硬化(熱硬化性樹脂の架橋反応)が進行し過ぎてしまう。このため、得られた融着電線の融着層はコイル巻線時の加熱による溶融性(流動性)が小さくなり、隣接する線を融着層間で十分に接着できず、電線間の接着力が低下したり、コイル端末のほつれを引き起こす。また、焼付時の熱硬化を抑えるために焼付炉の炉温を下げて焼付すると、得られる融着電線の融着層に多量の残留溶剤が存在し、融着電線が粘着するためコイル巻線時に断線を引き起こしたり、コイル巻線の加熱時に融着層から残留溶剤が揮発し作業環境を悪化させる。
また、熱による硬化が遅い樹脂を用いると、焼付時に熱硬化があまり進行しないため焼付炉の炉温を下げる必要はないものの、コイル巻線の加熱時に熱による硬化が進まないため加熱温度を高くしたり、加熱時間を長くする必要があり、作業コストや作業効率が悪かった。また、コイル巻線した後でも熱硬化性樹脂の硬化が十分ではなく融着層の耐熱性が向上しないため、高温雰囲気下でコイルの耐ほつれ性が悪くなる。
特開2000−90741号公報
本発明は、融着塗料を塗布焼付して得られる融着電線において、融着電線の線間粘着がなくコイル巻線加工性が優れるとともに、コイル巻線して得られるコイルの線間接着力が高く、コイルの高温雰囲気下の耐ほつれ性が良好な耐熱性の高い融着電線およびその製造方法ならびに融着塗料を提供することである。
上記課題に鑑み、鋭意検討した結果、共重合ポリアミド樹脂と反応性有機基を有するポリアミド樹脂とを含有する融着塗料を塗布焼付して得られる融着電線は、線間粘着がなくコイル巻線加工性に優れることが分かった。また、融着電線をコイル巻線して得られるコイルは線間接着力が高く、コイルの高温雰囲気下の耐ほつれ性が良好で耐熱性の高いコイルを提供できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の(1)〜(6)に示されるものである。
(1) 共重合ポリアミド樹脂(A)と、反応性有機基を有するポリアミド樹脂(B)と、を含有することを特徴とする融着塗料。
(2) 前記共重合ポリアミド樹脂(A)の相対粘度が1.3〜2.2である、前記(1)に記載の融着塗料。
(3) 前記反応性有機基を有するポリアミド樹脂(B)が、下記一般式(I)で示されるアミド結合を含有する、前記(1)または(2)に記載の融着塗料。
Figure 0005958065
(式(I)中、Rは炭素数1〜4の直鎖状または分岐状のアルキル基、nは1以上の整数を示す。)
(4) 更にアミン化合物(C)を含有する、前記(1)〜(3)のいずれかに記載の融着塗料。
(5) 前記(1)〜(4)のいずれかに記載の融着塗料を、導体上に直接または他の層を介して塗布し、焼付して得られる融着電線。
(6) 前記(1)〜(4)のいずれかに記載の融着塗料を、導体上に直接または他の層を介して塗布し、焼付することを特徴とする融着電線の製造方法。
本発明の融着塗料を塗布焼付し得られる融着電線は、線間粘着がなくコイル巻線加工性に優れる。また、融着電線をコイル巻線して得られるコイルは、線間接着力が高く、高温雰囲気下でコイルの耐ほつれ性が良好な耐熱性の高いコイルを提供することができる。
以下、本発明を実施形態に即して詳細に説明する。
本発明の融着塗料は、共重合ポリアミド樹脂(A)と、反応性有機基を有するポリアミド樹脂(B)と、を含有することを特徴とする。以下、各成分について、詳細に説明する。
本発明における共重合ポリアミド樹脂(A)は、特に制限されるものではないが、具体的には、三員環以上の環状脂肪族ラクタム、ジアミンとジカルボン酸とから得られる塩およびω−アミノカルボン酸などのポリアミド樹脂形成モノマー成分から2種以上を共重合して得られる共重合ポリアミド樹脂である。
前記三員環以上の環状脂肪族ラクタムとしては、具体的には、ε−カプロラクタム、ω−エナントラクタム、α−ピロリドン、δ−メチルピロリドン、α−ピペリドン、ω−ウンデカンラクタムおよびω−ドデカンラクタムなどを挙げることができる。
前記ジアミンとジカルボン酸から得られる塩としては、具体的には、エチレンジアンモニウムアジペート、テトラメチレンジアンモニウムアジペート、テトラメチレンジアンモニウムピメレート、テトラメチレンジアンモニウムアゼレート、ペンタメチレンジアンモニウムセバケート、ヘキサメチレンジアンモニウムアジペート、ヘキサメチレンジアンモニウムセバケート、ヘキサメチレンジアンモニウムスクシネート、オクタメチレンジアンモニウムアジペート、オクタメチレンジアンモニウムセバケート、ノナメチレンジアンモニウムアジペート、ノナメチレンジアンモニウムセバケート、デカメチレンジアンモニウムアジペート、ウンデカメチレンジアンモニウムセバケート、ドデカメチレンジアンモニウムアジペート、ドデカメチレンジアンモニウムセバケートおよびp−キシリレンジアンモニウムセバケートなどのジアミンとジカルボン酸から得られる等モルの塩を挙げることができる。
前記ω−アミノカルボン酸としては、具体的には、ε−アミノカプロン酸、ω−アミノヘプタン酸、ω−アミノノナン酸、ω−アミノウンデカン酸およびω−アミノドデカン酸などを挙げることができる。
また、共重合ポリアミド樹脂(A)を合成する際に、これらのポリアミド樹脂形成モノマー成分の他にアミンおよび/またはカルボン酸を使用することもできる。
前記アミン成分としては、具体的には、ヒドラジン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、2−メチルヘキサメチレンジアミン、3−メチルヘキサメチレンジアミン、2−エチルオクタメチレンジアミンおよび3−t−ブチルヘキサメチレンジアミンなどの脂肪族ジアミン、1,3−ジアミノシクロヘキサン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、イソホロンジアミン、ピペラジン、N−アミノエチルピペラジン、2,5−ジメチルピペラジン、ビス(p−アミノシクロヘキシル)メタンおよび2,2−ビス−(4’−アミノシクロヘキシル)プロパンなどの脂環族ジアミンや、m−キシリレンジアミンおよびp−キシリレンジアミンなどの芳香族ジアミンを挙げることができる。
前記カルボン酸としては、具体的には、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、2−メチルアジピン酸、3−メチルアジピン酸、3−t−ブチルアジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジオン酸、デカンジオン酸、ウンデカンジオン酸、ドデカンジオン酸、トリデカンジオン酸、テトラデカンジオン酸、ペンタデカンジオン酸、ヘキサデカンジオン酸、アイコサンジオン酸、リンデル酸の2量体のジカルボン酸およびオレイン酸の2量体のジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸および1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、および、テレフタル酸、イソフタル酸、5−t−ブチルイソフタル酸、1,2−ナフタレンジカルボン酸、1,3−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、1,6−ナフタレンジカルボン酸、1,7−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,3−アントラセンジカルボン酸、1,4−アントラセンジカルボン酸、1,5−アントラセンジカルボン酸、1,9−アントラセンジカルボン酸、2,3−アントラセンジカルボン酸、9,10−アントラセンジカルボン酸、ビフェニル−2,2’−ジカルボン酸、ビフェニル−2,3’−ジカルボン酸、3−(4−カルボキシフェニル)1,1,3−インダンカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸を挙げることができる。
これらのポリアミド樹脂形成モノマー成分から2種以上を共重合して得られる共重合ポリアミド樹脂としては、具体的には、ナイロン6/66、ナイロン6/10、ナイロン6/11、ナイロン6/12、ナイロン10/12、ナイロン6/610、ナイロン6/612、ナイロン66/610、ナイロン66/612、ナイロン6/66/610、ナイロン6/66/612、ナイロン6/66/11、ナイロン6/66/12などの脂肪族共重合ポリアミド樹脂や、ナイロン6/6T(Tは、テレフタル酸成分単位を表わす。以下において同じ。))、ナイロン6/6I(Iは、イソフタル酸成分単位を表わす。以下において同じ。)、ナイロン66/6T、ナイロン66/6I、ナイロン6T/6I、ナイロン6/11/6T、ナイロン6/12/6T、ナイロン6/11/6I、ナイロン6/12/6I、ナイロン66/11/6T、ナイロン66/12/6T、ナイロン66/11/6I、ナイロン66/12/6I、ナイロン6/6T/6I、ナイロン66/6T/6I、ナイロン11/6T/6I、ナイロン12/6T/6I、ナイロン6/MXD6(MXDは、m−キシリレンジアミン成分単位を表わす。以下において同じ。))、ナイロン66/MXD6などの半芳香族共重合ポリアミド樹脂を挙げることができる。これらの共重合ポリアミド樹脂は、それぞれ1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。これらのうち、樹脂の溶融粘度が低く、コイル巻線時の加熱による溶融性(流動性)が良好でコイル巻線(加工)性に優れることから、脂肪族共重合ポリアミド樹脂が好ましい。
共重合ポリアミド樹脂(A)の相対粘度は、1.3〜2.2が好ましく、1.4〜2.0がより好ましい。共重合ポリアミド樹脂(A)の相対粘度が1.3未満であると融着電線の融着層の皮膜強度が小さく、コイルの線間接着力が低下する。また、共重合ポリアミド樹脂(A)の相対粘度が2.2を超えると融着塗料の粘度が高く、焼付作業に適切な塗料粘度とするために、より多くの希釈溶剤が必要となりコスト高となる。更に、希釈した融着塗料を塗布焼付した融着電線の融着皮膜は、皮膜中の残留溶剤量が多くなるため好ましくない。
なお、共重合ポリアミド樹脂(A)の相対粘度は、共重合ポリアミド樹脂(A)の0.5%m−クレゾール溶液の粘度とm−クレゾールの粘度との比であり、25℃でオストワルド粘度計により測定することで求めることができる。
共重合ポリアミド樹脂(A)の相対粘度=共重合ポリアミド樹脂(A)の0.5%m−クレゾール溶液の粘度/m−クレゾールの粘度
本発明における反応性有機基を有するポリアミド樹脂(B)について説明する。本発明における反応性有機基を有するポリアミド樹脂(B)は、樹脂骨格中に、熱や光などにより他のポリアミド樹脂のアミド結合やポリアミド樹脂(B)の他のアミド結合と反応する有機基を有するポリアミド樹脂である。具体的には、ポリアミド樹脂の樹脂骨格を構成するアミド結合の全部または一部が一般式(I)で示されるポリアミド樹脂を好適に挙げることができる。
Figure 0005958065
(式(I)中、Rは炭素数1〜4の直鎖状または分岐状のアルキル基、nは1以上の整数を示す。nは1〜250が好ましい
。)
すなわち、一般式(I)で示される化学構造を有するポリアミド樹脂は、樹脂骨格中のアミド結合の全部または一部をN−アルコキシメチル化して得られるN−アルコキシメチル化アミド結合を有するポリアミド樹脂である。
前記N−アルコキシメチル化アミド結合は、熱や光などにより他のアミド結合と反応し、N,N−メチレン結合(N−CH−N結合)を形成する。本発明の融着塗料および融着電線は、共重合ポリアミド樹脂(A)のアミド結合と反応性有機基を有するポリアミド樹脂(B)のN−アルコキシメチル化アミド結合との架橋反応や、反応性有機基を有するポリアミド樹脂(B)のアミド結合とN−アルコキシメチル化アミド結合との架橋反応が起こる。このため、融着電線を熱処理し作製したコイルの融着層は、上述の架橋反応によって強固な皮膜となり、コイルの線間接着力や高温雰囲気下の耐ほつれ性(耐熱性)が向上する。
反応性有機基を有するポリアミド樹脂(B)のN−アルコキシメチル化アミド結合は、反応性が高いことからN−メトキシメチル化アミド結合、N−エトキシメチル化アミド結合であることが好ましく、更にN−メトキシメチル化アミド結合であることが好ましい。なお、反応性有機基を有するポリアミド樹脂(B)はそれぞれ1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
N−アルコキシメチル化アミド結合を有するポリアミド樹脂(B)の合成は、公知の合成方法を使用することができ、特に制限はない。具体的には、攪拌機および温度計の備わった反応容器中にホルムアルデヒドと、炭素数が1〜4の直鎖状または分岐状のアルコールの1種以上と、ポリアミド樹脂とをそれぞれ加え、攪拌しながら加温し、35〜60℃の温度で数分〜数時間、好ましくは10分〜2時間反応させることで得られる。この反応の際、必要に応じて触媒を使用してもよい。触媒としては、具体的には、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、塩酸、硫酸、リン酸、ギ酸およびp−トルエンスルホン酸などを挙げることができる。これらは1種または2種以上を組み合わせてもよい。
ポリアミド樹脂のアミド結合に対するN−アルコキシメチル化アミド結合への転換率(N−アルコキシメチル化率)は、5〜100%が好ましく、10〜60%が更に好ましく、20〜40%が特に好ましい。N−アルコキシメチル化率が5%未満では、熱による架橋反応性に乏しく、得られるコイルの高温雰囲気下のほつれが生じやすく、また、コイルの線間接着力が低下するため好ましくない。
N−アルコキシメチル化反応に用いられるポリアミド樹脂は、特に制限はなく、公知のポリアミド樹脂を使用することができる。具体的には、前述した共重合ポリアミド樹脂に加えて、ポリスクシンアミド(ナイロン4)、ポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリ−ω−アミノノナン酸(ナイロン9)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカノアミド(ナイロン612)、ポリウンデカンアミド(ナイロン11)およびポリドデカンアミド(ナイロン12)などの脂肪族重合ポリアミド樹脂、ポリヘキサメチレンテレフタラミド(ナイロン6T)、ポリメタキシリレンアジパミド(ナイロンMXD6)、ポリメタキシリレンスベラミド(ナイロンMXD8)、ポリメタキシリレンセバカミド(ナイロンMXD10)、ポリパラキシリレンアジパミド(ナイロンPXD6)、ポリパラキシリレンピメラミド(ナイロンPXD7)、ポリパラキシリレンアゼラミド(ナイロンPXD9)およびポリパラキシリレンセバカミド(ナイロンPXD10)などの半芳香族重合ポリアミド樹脂を挙げることができる。
共重合ポリアミド樹脂(A)と反応性有機基を有するポリアミド樹脂(B)との配合比(共重合ポリアミド樹脂(A)/反応性有機基を有するポリアミド樹脂(B))は、コイルの高温雰囲気下の耐ほつれ性、線間接着力、線間粘着性の点から、10/90〜70/30であることが好ましく、更に20/80〜60/40であることが好ましい。
本発明の融着塗料は、更に、アミン化合物(C)を含有することが好ましい。本発明におけるアミン化合物(C)は、反応性有機基を有するポリアミド樹脂(B)による架橋反応の速度を抑制するために用いられるものであり、架橋反応速度の抑制が可能であれば、アミンの種類を問わずに制限なく使用することができる。本発明の融着塗料にアミン化合物(C)を配合することで、融着塗料の焼付時に焼付炉の炉温を高く設定した場合であっても、反応性有機基を有するポリアミド樹脂(B)による架橋反応が焼付時に過度には進行しない。このため、得られる融着電線の融着層は、架橋反応による溶融性(流動性)の低下がないため、コイルを作製してもコイルの線間接着力の低下やコイルの耐ほつれ性が悪化しない。
アミン化合物(C)としては、具体的には、プロピルアミン、ジプロピルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、ペンチルアミン、ジペンチルアミン、ヘキシルアミン、ジヘキシルアミン、オクチルアミン、ラウリルアミンおよびステアリルアミンなどの脂肪族アミンを挙げることができる。脂肪族アミンのアルキル基は直鎖であってもよいし、分岐していてもよい。また、シクロヘキシルアミンおよびメチルシクロヘキシルなどの脂環族アミンや、ピペリジン、アニリンおよびフェニチルアミンなどの芳香族アミンを挙げることができる。これらの中で、反応性有機基を有するポリアミド樹脂(B)の架橋反応速度の抑制効果が高いことから脂肪族アミンが好ましく、更にヘキシルアミン、オクチルアミンが好ましい。これらのアミン化合物(C)は、それぞれ1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
アミン化合物(C)の配合量は、共重合ポリアミド樹脂(A)および反応性有機基を有するポリアミド樹脂(B)の合計量の100質量部に対し、0.5〜10質量部が好ましい。アミン化合物(C)の量が0.5質量部未満であると抑制効果に乏しく、10質量部を超えると得られる融着電線の融着皮膜にアミン化合物(C)が多く残留してしまい好ましくない。
本発明の融着塗料には、必要に応じて、溶剤並びに潤滑性付与剤、酸化防止剤、改質剤などの各種の添加剤をそれぞれ1種または2種以上配合することができる。
本発明に用いられる溶剤としては、共重合ポリアミド樹脂(A)、反応性有機基を有するポリアミド樹脂(B)およびアミン化合物(C)を溶解させ、かつ、後述する各種の添加剤を溶解あるいは分散させるものであれば特に制限なく使用することができる。
前記溶剤としては、具体的には、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、トリメチルフェノール、カテコール、レゾルシノールおよびハイドロキノンなどのフェノール類、n−ヘキサン、シクロヘキサン、2−メチルペンタン、n−ヘプタン、n−オクタン、2,2,3−トリメチルペンタン、2,2,4−トリメチルペンタン、n−ノナン、2,2,5−トリメチルヘキサン、n−デカンおよびn−ドデカンなどの脂肪族炭化水素系溶剤、キシレン、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、ブチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、ジペンチルベンゼン、シクロヘキシルベンゼン、ナフタレン、テトラリンおよびビフェニルなどの芳香族炭化水素系溶剤、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸ブチル、ステアリン酸ブチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、γ−ブチロラクトンおよびマロン酸ジエチルなどのエステル系溶剤、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、イソホロンおよびアセトフェノンなどのケトン系溶剤、2−メトキシエチルアセタート、2−エトキシエチルアセタート、メトキシプロピルアセテートおよびメトキシブチルアセテートなどのアセテート系溶剤、更には、ギ酸、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール、乳酸メチル、乳酸エチル、ジメチルスルホキシド、石油ナフサ、コールタールナフサ、ソルベントナフサなどの溶剤を挙げることができる。これらの溶剤は、樹脂や添加剤を溶解または分散できる範囲で、それぞれ1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
これらの溶剤の中では、ポリアミド樹脂に対する溶解性が高いことから、特にフェノール類が好ましい。なお、前記フェノール類は、化学合成して得られる合成フェノール類と、コールタールを分留して得られる分留フェノール類に大別されるが、本発明においてはいずれも使用することができる。
潤滑性付与剤としては、天然ワックス、合成ワックスなどが挙げられる。天然ワックスとしては、具体的には、カルナバワックス、キャンデリラワックスおよび木ロウなどの植物系ワックス、 蜜蝋およびセラック蝋などの動物系ワックス、モンタンワックスなどの鉱物系ワックスが挙げられる。合成ワックスとしては、具体的には、ポリエステル、脂肪族アマイド、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、これらを酸化あるいは酸変性して分子中にカルボキシル基を導入したもの、これらに無水マレイン酸、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸エステル等のビニル系モノマーを共重合したものなどで分子量10,000以下のものを挙げることができる。合成ワックスの一般市販品としては、三井化学社製ハイワックスシリーズの100P、200P、400P、110P、220P、320P、420P、4202E、4052E、220MP、320MP、405MP、1105A、2203Aなどを挙げることができる。これらはそれぞれ1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
潤滑性付与剤の添加量は、共重合ポリアミド樹脂(A)と反応性有機基を有するポリアミド樹脂(B)との合計量の100質量部に対して0.5〜20質量部が好ましく、更に1〜10質量部が好ましく、特に1〜5質量部が好ましい。潤滑性付与剤の添加量が0.5質量部未満では潤滑の効果が発現しにくく、20質量部を超えると融着塗料の貯蔵安定性が悪化したり、得られる融着電線の融着皮膜強度が低下する場合があり好ましくない。
酸化防止剤としては、具体的には、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N’−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルフォスフォネート−ジエチルエステル、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート、2,4−ビス[(オクチルチオ)メチル]−o−クレゾール、イソオクチル−3−(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、N,N’−ビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジンなどが挙げられる。市販品としては、例えば、BASF社製のIRGANOX256、IRGANOX245、IRGANOX565、IRGANOX1010、IRGANOX1035、IRGANOX1076、IRGANOX1098、IRGANOX1222、IRGANOX1330、IRGANOX3114、IRGANOX1520D、IRGANOX1135、IRGANOX168、IRGANOXMD1024などを挙げることができる。これらはそれぞれ1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
酸化防止剤の添加量は、共重合ポリアミド樹脂(A)と反応性有機基を有するポリアミド樹脂(B)との合計量の100質量部に対して0.1〜10質量部が好ましく、更に0.1〜5質量部が好ましい。酸化防止剤の添加量が0.1質量部未満ではその効果が小さく、10質量部を超えると得られる融着電線の融着皮膜強度が低下する場合があり好ましくない。
改質剤としては、具体的には、エポキシ樹脂、安定化イソシアネート化合物などが挙げられる。
エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂などを挙げることができる。これらはそれぞれ1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
安定化イソシアネート化合物は、有機ポリイソシアネート化合物と、フェノール、クレゾール、キシレノールなどのフェノール類、εーカプロラクタムなどのラクタム類、メチルイソブチルオキシムなどのオキシム類に代表されるブロック剤を反応して得られる化合物である。具体的には、ジフェニルメタンジイソシアネートとフェノール類との反応物や、トリメチロールプロパンとジフェニルメタンジイソシアネートとフェノール類との反応物や、トリメチロールプロパンとトリレンジイソシアネートとフェノール類との反応物などを挙げることができる。これらはそれぞれ1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の融着電線およびその製造方法について説明する。本発明の融着電線は、本発明の融着塗料を導体の表面に直接あるいは他の層を介して塗布し、焼付して、融着皮膜(融着層)を形成することにより得られる。
導体としては、ニッケルメッキ銅、銅クラッドアルミニウム、銅、アルミニウムなどの金属で形成された線状または板状の電線(導線)を挙げることができる。また、電線の断面形状は、特に制限されないが、具体的には、融着電線や絶縁電線で通常多く使用される円形の丸電線や、四角形または長方形などの平角電線を好適に挙げることができる。
他の層としては、具体的には、ポリビニルホルマール、ポリウレタン、ポリエステル、ポリエステルイミド、ポリヒダントイン、ポリアミドイミド、ポリイミドなどの各種の公知の絶縁層を挙げることができる。これらの絶縁層は単層で形成されていても複合層で形成されていてもよく、絶縁層の皮膜厚は特に制限されない。また、他の層の形成方法は、次に説明する融着皮膜と同様の形成方法や、その他の公知のあらゆる方法を採用してよい。
本発明の融着塗料による融着皮膜の形成方法(融着電線の製造方法)は、従来公知のあらゆる方法を採用することができる。具体的には、導体上に直接あるいは導体表面に形成される前記他の層上にコーターロールなどの塗布装置を用いて融着塗料を塗布した後、フェルト絞り方式やダイス絞り方式などにより、塗布した融着塗料の塗布量を調整し、次いで融着塗料を塗布した導体を200〜550℃の焼付炉の中に通し融着塗料を焼付し融着皮膜(融着層)を形成させる。この作業を1回あるいは複数回連続して繰り返すことにより、所望の厚さの融着皮膜(融着層)を有する融着電線を得ることができる。融着皮膜(融着層)の厚さは特に限定されないが、使用する電線の導体の太さや要求性能、顧客からの要求仕様により適宜形成すればよい。
前記他の層と前記融着層の形成方法は、1台の焼付炉を用いて同時に行ってもよいし、複数台の焼付炉を用いて他の層と融着層の形成をそれぞれ個別に行ってもよい。また、他の層の形成を行った後で得られた電線をボビンなどに巻取り、再度、電線をボビンから繰り出し、融着層の形成を行ってもよい。
以下、本発明について実施例等により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定して解釈されるものではない。
[実施例1]
攪拌機、温度計、窒素導入管および加熱装置付きの容器に、窒素気流下で、攪拌しながらクレゾール酸を460g、キシロールを460g、共重合ポリアミド樹脂であるX−4685(ダイセルエボニック社製、相対粘度1.45)を80g仕込み、80℃で3時間掛けて溶解させた。次いで、反応性有機基を有するポリアミド樹脂であるX−1280M(ダイセルエボニック社製、アミド結合のN−メトキシメチル化率30%)を120g、酸化防止剤であるIRGANOX1010(BASF社製)を2g仕込み、さらに60℃で1時間掛けて溶解させ、固形分濃度が18質量%の融着塗料を得た。
[実施例2]
攪拌機、温度計、窒素導入管および加熱装置付きの容器に、窒素気流下で、攪拌しながらクレゾール酸を460g、キシロールを460g、X−4685を60g仕込み、80℃で3時間掛けて溶解させた。次いで、X−1280Mを140g、IRGANOX1010を2g仕込み、さらに60℃で1時間掛けて溶解させ、固形分濃度が18質量%の融着塗料を得た。
[実施例3]
攪拌機、温度計、窒素導入管および加熱装置付きの容器に、窒素気流下で、攪拌しながらクレゾール酸を474g、キシロールを474g、X−4685を80g仕込み、80℃で3時間掛けて溶解させた。次いで、X−1280Mを120g、IRGANOX1010を2g仕込み、60℃で1時間掛けて溶解させた後、さらに40℃以下まで冷却しアミン化合物であるオクチルアミンを6g仕込み30分攪拌し溶解させ、固形分濃度が18質量%の融着塗料を得た。
[実施例4]
攪拌機、温度計、窒素導入管および加熱装置付きの容器に、窒素気流下で、攪拌しながらクレゾール酸を474g、キシロールを474g、X−4685を60g仕込み、80℃で3時間掛けて溶解させた。次いで、Xー1280Mを140g、IRGANOX1010を2g仕込み、60℃で1時間掛けて溶解させた後、さらにオクチルアミンを6g仕込み30分攪拌し溶解させ、固形分濃度が18質量%の融着塗料を得た。
[比較例1]
攪拌機、温度計、窒素導入管および加熱装置付きの容器に、窒素気流下で、攪拌しながらクレゾール酸を460g、キシロールを460g、共重合ポリアミド樹脂のX−4685の代わりに重合ポリアミド樹脂であるL−1701(ダイセルエボニック社製、相対粘度1.75)を80g仕込み、80℃で3時間掛けて溶解させた。次いで、X−1280Mを120g、IRGANOX1010を2g仕込み、さらに60℃で1時間掛けて溶解させ、固形分濃度が18質量%の融着塗料を得た。
[比較例2]
攪拌機、温度計、窒素導入管および加熱装置付きの容器に、窒素気流下で、攪拌しながらクレゾール酸を460g、キシロールを460g、共重合ポリアミド樹脂のX−4685を使用せずにX−1280Mを200g、IRGANOX1010を2g仕込み、60℃で1時間掛けて溶解させ、固形分濃度が18質量%の融着塗料を得た。
[比較例3]
攪拌機、温度計、窒素導入管および加熱装置付きの容器に、窒素気流下で、攪拌しながらクレゾール酸を460g、キシロールを460g、反応性有機基を有するポリアミド樹脂のX−1280Mを使用せずにX−4685を200g仕込み、80℃で3時間掛けて溶解させた。次いで、IRGANOX1010を2g仕込み、さらに60℃で1時間掛けて溶解させ、固形分濃度が18質量%の融着塗料を得た。
[比較例4]
攪拌機、温度計、窒素導入管および加熱装置付きの容器に、窒素気流下で、攪拌しながらクレゾール酸を597g、キシロールを597g、反応性有機基を有するポリアミド樹脂のX−1280Mを使用せずにX−4685を200g仕込み、80℃で3時間掛けて溶解させた。次いで、IRGANOX1010を2g仕込み、60℃で1時間掛けて溶解させた後、さらに40℃以下になるまで冷却し、アクリル化合物であるアロニックスM−305(東亞合成社製)を60g仕込み30分攪拌し溶解させ、固形分濃度が18質量%の融着塗料を得た。
[比較例5]
攪拌機、温度計、窒素導入管および加熱装置付きの容器に、窒素気流下で、攪拌しながらクレゾール酸を597g、キシロールを597g、反応性有機基を有するポリアミド樹脂のX−1280Mを使用せずにX−4685を200g仕込み、80℃で3時間掛けて溶解させた。次いで、レゾール型フェノール樹脂であるCKM−939(昭和高分子社製)を60g、酸化防止剤であるIRGANOX1010を2g仕込み、さらに60℃で1時間掛けて溶解させ、固形分濃度が18質量%の融着塗料を得た。
[比較例6]
攪拌機、温度計、窒素導入管および加熱装置付きの容器に、窒素気流下で、攪拌しながらクレゾール酸を597g、キシロールを597g、反応性有機基を有するポリアミド樹脂のX−1280Mを使用せずにX−4685を200g仕込み、80℃で3時間掛けて溶解させた。次いで、ビスマレイミド化合物であるBMI−1000(大和化成工業社製)を60g、IRGANOX1010を2g仕込み、さらに60℃で1時間掛けてビスマレイミド化合物および酸化防止剤を溶解させ、固形分濃度が18質量%の融着塗料を得た。
評価方法
実施例1〜4および比較例1〜6で得られた融着塗料を用いて下記の評価を行った。
[塗料安定性]
実施例1〜4および比較例1〜6で得られた融着塗料をそれぞれ300mLの透明なガラス製容器に250g入れ蓋をして密閉し、40℃のオーブンの中に2週間入れた。2週間後に融着塗料を入れたガラス製容器をオーブンの中から取り出し、融着塗料の状態を目視で観察した。融着塗料中にゲル状物や固形物が生じていない場合を○と評価し、ゲル状物や固形物が生じている場合を×と評価した。
実施例1〜4および比較例2〜6で得られた融着塗料を下記に示す条件で電線(導体)上に塗布、焼付し、融着層の皮膜厚15μmの融着電線を得た。
[塗布、焼付条件]
(1)電線(導体):エステルイミド絶縁電線(外径0.44mmΦ)
(2)塗布回数(ダイス配列)
5パス:0.48mmΦ×1、0.49mmΦ×1、0.50mmΦ×1、
0.51mmΦ×1、0.52mmΦ×1
(3)焼付炉:横型電熱炉(炉長2.7m)
(4)炉温:280℃(入口) − 330℃(出口)
(5)線速:19m/min
得られた融着電線を用いてヘリカルコイルを作製し、以下に示す方法に従って、ヘリカルコイルの線間粘着力、線間接着力および耐ほつれ性を測定した。測定結果を表1に示す。
[線間粘着力]
融着電線を5mmΦの金属製の丸棒上に隣接する線が互いに密接するようにして30回巻付け、ヘリカルコイルを作製した。次いで、ヘリカルコイルを60℃のオーブンの中に入れ10分間の熱処理を行い、直ちに23℃の雰囲気下で30分間放置し冷却した後、ヘリカルコイルがほつれた時のばねばかりの荷重を線間粘着力として測定した。線間粘着力が30g以下の場合を○と評価し、30gを超える場合を×と評価した。
[線間接着力]
融着電線を5mmΦの金属製の丸棒上に隣接する線が互いに密接するようにして30回巻付け、ヘリカルコイルを作製した。次いで、ヘリカルコイルを180℃のオーブンの中に入れ10分間の熱処理を行い、線間を熱融着させ、直ちに23℃の雰囲気下で30分間放置し冷却した後、ヘリカルコイルの線間接着力をばねばかりで測定した。
[耐ほつれ性]
融着電線を5mmΦの金属製の丸棒上に隣接する線が互いに密接するようにして30回巻付け、ヘリカルコイルを作製した。次いで、ヘリカルコイルを250℃のオーブンの中に入れ3分間の熱処理を行い、線間を熱融着させた後、直ちに23℃の雰囲気下で30分間放置し冷却した。冷却したヘリカルコイルの片方の端末に30gのおもりをぶら下げ、その状態で180℃のオーブンの中に入れた。10分後にオーブンの中からおもりをぶら下げたヘリカルコイルを取り出し、ヘリカルコイルのほつれ状況を目視で観察した。
Figure 0005958065
実施例1〜4の融着塗料は塗料安定性が良好で塗料中にゲル状物や固形物は認められなかった。なお、比較例1の融着塗料は、塗料安定性試験において塗料が完全にゲル化したため、融着電線の特性評価を行わなかった。
実施例1〜4の融着電線で作製したヘリカルコイルは、ヘリカルコイルの線間粘着がなくコイル巻線加工性に優れる。また、ヘリカルコイルの線間接着力が高く、かつ、180℃雰囲気下でもコイルのほつれが認められなかった。本発明の融着電線をモーターコイル、ボイスコイル、空心コイル等の各種のコイルに用いた場合、コイル使用時の温度が高くてもコイルのほつれ等の不具合を生じない耐熱性の高いコイルを提供できる。

Claims (4)

  1. 共重合ポリアミド樹脂(A)と、下記一般式(I)で示されるアミド結合を含有するポリアミド樹脂(B)と、アミン化合物(C)を含有することを特徴とする融着塗料。
    Figure 0005958065
    (式(I)中、Rは炭素数1〜4の直鎖状または分岐状のアルキル基、nは1以上の整数を示す。)
  2. 前記共重合ポリアミド樹脂(A)の相対粘度が1.3〜2.2である、請求項1に記載の融着塗料。
  3. 請求項1または2に記載の融着塗料を、導体上に直接または他の層を介して塗布し、焼付して得られる融着電線。
  4. 請求項1または2に記載の融着塗料を、導体上に直接または他の層を介して塗布し、焼付することを特徴とする融着電線の製造方法。
JP2012109460A 2012-05-11 2012-05-11 融着塗料ならびにそれを用いた融着電線およびその製造方法 Expired - Fee Related JP5958065B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012109460A JP5958065B2 (ja) 2012-05-11 2012-05-11 融着塗料ならびにそれを用いた融着電線およびその製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012109460A JP5958065B2 (ja) 2012-05-11 2012-05-11 融着塗料ならびにそれを用いた融着電線およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013237718A JP2013237718A (ja) 2013-11-28
JP5958065B2 true JP5958065B2 (ja) 2016-07-27

Family

ID=49763034

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012109460A Expired - Fee Related JP5958065B2 (ja) 2012-05-11 2012-05-11 融着塗料ならびにそれを用いた融着電線およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5958065B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7177634B2 (ja) 2018-08-31 2022-11-24 株式会社ネオス 塗料組成物及び塗膜ならびに物品

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9909933B2 (en) * 2014-12-09 2018-03-06 Kidde Technologies, Inc. Eutectic based continuous thermal sensing element including fiber wrapped center conductor

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5281343A (en) * 1975-12-27 1977-07-07 Daicel Chem Ind Ltd Coating composition
JPS5412490A (en) * 1977-06-30 1979-01-30 Sumitomo Electric Ind Ltd Electric wire provided with self-fusing insulator and coil obtainable from the same
JP3288410B2 (ja) * 1991-10-30 2002-06-04 鐘淵化学工業株式会社 自己融着性巻線
JP3367583B2 (ja) * 1995-03-10 2003-01-14 東京特殊電線株式会社 自己融着性マグネットワイヤ
JP3903504B2 (ja) * 1996-11-22 2007-04-11 株式会社カネカ 自己融着性絶縁電線
JPH11306865A (ja) * 1998-04-24 1999-11-05 Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd 自己融着性絶縁電線
JP3523082B2 (ja) * 1998-09-04 2004-04-26 株式会社巴川製紙所 樹脂組成物及びそれを用いた接着方法
JP2005023271A (ja) * 2003-07-02 2005-01-27 Daicel Degussa Ltd 自己融着性塗料組成物、自己融着電線及びコイル

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7177634B2 (ja) 2018-08-31 2022-11-24 株式会社ネオス 塗料組成物及び塗膜ならびに物品

Also Published As

Publication number Publication date
JP2013237718A (ja) 2013-11-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20230151153A1 (en) Thermoplastic composition made from a polyamide polymer obtained from a prepolymer and a chain extender and manufacturing method
TWI419926B (zh) 熱固性組合物
JP7201608B2 (ja) 熱可塑性材料のための高いガラス転移温度及び高い融点を有する半結晶性ポリアミド組成物、その製造方法及びその使用
US10633490B2 (en) Semi-crystalline polyamide composition with high glass transition temperature for thermoplastic material, process for manufacturing same and uses thereof
KR102625372B1 (ko) 열가소성 재료를 위한 높은 유리 전이 온도를 갖는 짧은 디아민-기반 반결정질 폴리아미드 조성물, 이의 제조 방법 및 이의 용도
TW201038696A (en) Adhesive resin composition, laminate using it, and flexible-printed-circuit-board
TWI570199B (zh) Halogen-free flame retardant adhesive composition
CN101490066A (zh) 含磷苯并嗪化合物、其制造方法、固化性树脂组合物、固化物及层合板
KR20090092340A (ko) 신규한 폴리에스테르 아미드 이미드 및 폴리에스테르 아미드를 기재로 하는 자체접합성 에나멜
TW200305613A (en) Polyamide resin composition
JP5776368B2 (ja) ポリアミド樹脂組成物およびその製造方法
CN109476839B (zh) 由具有高tg的bact/xt共聚酰胺制造的阻隔结构体
US4163826A (en) Self-bonding magnet wires and coils made therefrom
CN103865057A (zh) 一种聚酰胺树脂及其制备方法以及聚酰胺树脂组合物
RU2174993C2 (ru) Средство покрытия проводов и способ его получения
KR20200138165A (ko) 경화성 수지 조성물, 접착제, 접착 필름, 회로 기판, 층간 절연 재료, 및 프린트 배선판
JP5958065B2 (ja) 融着塗料ならびにそれを用いた融着電線およびその製造方法
WO2020054218A1 (ja) ベンゾオキサジン化合物、硬化性樹脂組成物、接着剤、接着フィルム、硬化物、回路基板、層間絶縁材料、及び、多層プリント配線板
JPS5817179A (ja) 絶縁電線
JP7365235B2 (ja) 活性エステル化合物、硬化性樹脂組成物、接着剤、接着フィルム、回路基板、層間絶縁材料、及び、多層プリント配線板
CN105085901A (zh) 一种聚酰胺树脂及其制造方法
TWI548705B (zh) 包含三聚氰胺為主的多元醇之瓷漆包線漆組合物
KR20180096673A (ko) 높은 Tg를 가지는 MPMDT/XT 코폴리아미드를 기반으로 하는 배리어 구조
JP6863161B2 (ja) ワニスの製造方法、エナメル線の製造方法、コイルの製造方法及び電機部品の製造方法
WO2004032153A1 (ja) 自己融着性絶縁電線

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150409

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160128

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160308

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160509

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160524

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160606

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5958065

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees