JP3367583B2 - 自己融着性マグネットワイヤ - Google Patents

自己融着性マグネットワイヤ

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JP3367583B2
JP3367583B2 JP07944095A JP7944095A JP3367583B2 JP 3367583 B2 JP3367583 B2 JP 3367583B2 JP 07944095 A JP07944095 A JP 07944095A JP 7944095 A JP7944095 A JP 7944095A JP 3367583 B2 JP3367583 B2 JP 3367583B2
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重弥 風間
正丈 上原
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Totoku Electric Co Ltd
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Totoku Electric Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は自己支持型コイルを得る
のに好適な自己融着性マグネットワイヤに関し、更に詳
しくはビデオテープレコーダーやフロッピーディスク等
の駆動に用いられるフラットモータコイル(以下、フラ
ットコイルと略記する)の巻線に好適な融着皮膜の溶剤
または熱による溶融特性の調整が可能とした自己融着性
マグネットワイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】導体上に絶縁皮膜を介して融着塗料を塗
布焼き付けた自己融着性マグネットワイヤは、溶剤処理
または加熱処理により、融着皮膜が容易に溶解,膨潤ま
たは溶融し、線間相互を融着固化せしめ得ることから、
比較的簡単にフラットコイル,偏向ヨークコイル,ボイ
スコイル等の自己支持型コイルを作ることが可能であ
り、複雑な形状のコイル巻線に広く利用されている。な
お、コイル巻線の際、自己融着性マグネットワイヤを溶
剤処理するか、加熱処理するかは融着皮膜の特性から決
まるものである。
【0003】自己融着性マグネットワイヤの融着皮膜を
メタノール,エタノール等のアルコール系溶剤で処理し
て溶解,膨潤させて接着するものは溶剤接着型自己融着
性マグネットワイヤ(以下、溶剤接着型ワイヤと略記す
る)と呼ばれ使用されている。また、自己融着性マグネ
ットワイヤの融着皮膜を熱風等により加熱処理して溶融
後接着するものは熱風接着型自己融着性マグネットワイ
ヤ(以下、熱風接着型ワイヤと略記する)と区分され使
用されている。
【0004】自己融着性マグネットワイヤの融着皮膜、
即ち融着塗料の主成分樹脂に用いる樹脂としてはポリビ
ニルブチラール樹脂,フェノキシ樹脂,ポリアミド樹脂
等が知られているが、接着特性等を考慮して溶剤接着型
ワイヤ及び熱風接着型ワイヤともポリアミド樹脂が多用
されている。
【0005】溶剤接着型ワイヤは、融着皮膜に用いる樹
脂としてアルコール可溶性ポリアミド樹脂を使用してい
る。特に融点が 155℃を越える高融点のアルコール可溶
性ポリアミド樹脂を使用した場合は耐熱性の良好なコイ
ルを製造することが可能である。
【0006】一方、熱風接着型ワイヤは、融着皮膜に用
いる樹脂として融点が100 〜 155℃程度の低融点のポリ
アミド樹脂を使用している。このワイヤは整列巻線性に
おいて溶剤接着型ワイヤより優れており、寸法精度の良
いコイルを得ることが出来る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来の溶剤接着型ワイ
ヤにあっては、ワイヤに塗布されるアルコール系溶剤の
塗布量のばらつき等により融着皮膜の溶解,膨潤特性が
大きく影響され、例えばフラットコイルに巻線する場
合、コイルの寸法精度や整列巻線性が変わり易いという
問題があった。
【0008】また従来の熱風接着型ワイヤは、特にこの
ワイヤを高速コイル巻線に適用する場合、その融着皮膜
は低温で溶融し、且つ樹脂の流れの良いものであること
が望ましいとされており、低融点のポリアミド樹脂が用
いられている。しかしながら、このことはコイルの耐熱
性を低下させ、耐熱性を要求される機器に使用される場
合に問題があった。
【0009】自己融着性マグネットワイヤをコイル巻線
する際に用いる巻線機の種類としては、溶剤接着型ワイ
ヤにアルコール系溶剤を塗布しながら巻線を行う溶剤接
着型の巻線機(以下アルコール巻線機という)と、熱風
接着型ワイヤに熱風を吹き付けながら巻線を行う熱風接
着型の巻線機(以下熱風巻線機という)が知られてい
る。アルコール巻線機は、主として耐熱性を要求される
ボイスコイル等の巻線に使われている。また熱風巻線機
は、一般にコイル巻線の全自動化を行うのに有利とされ
ており広く用いられている。
【0010】自己融着性マグネットワイヤにおいて、そ
の融着皮膜の主成分樹脂として前記高融点アルコール可
溶性ポリアミド樹脂が使用されている場合、アルコール
巻線機には好適であるが、熱風巻線機においては、巻線
機に対する影響を考慮すると、ワイヤに吹き付ける熱風
温度には限度があるため不適である。また、融着皮膜の
主成分樹脂に融点が 155℃以下の低融点アルコール可溶
性ポリアミド樹脂を用いた場合は、熱風巻線機,アルコ
ール巻線機ともに使用できるが、得られるコイルの耐熱
性を考慮すれば好適とは言い難かった。
【0011】本発明は、上記従来技術の有する問題点を
解決するために為されたものであり、特に整列巻線性,
耐熱性が要求されるフラットコイルの巻線において、融
着皮膜の溶剤または熱による溶融特性の調整が可能とし
た自己融着性マグネットワイヤを提供することを目的と
する。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、アルコール可溶性ポリアミド樹脂100重
量部に、アルコール不溶性ポリアミド樹脂5〜40重量
部,フェノール樹脂15〜35重量部,ビスフェノール
A型エポキシ樹脂10〜25重量部及びブロックイソシ
アネート樹脂5〜10重量部を添加し、これを有機溶剤
に溶解した融着塗料を、導体上に絶縁皮膜を介して塗布
焼き付けし、融着皮膜の溶剤または熱による溶融特性の
調整が可能とした自己融着性マグネットワイヤにある。
【0013】また本発明は、前記アルコール可溶性ポリ
アミド樹脂は、融点が 155℃を越える高融点アルコール
可溶性ポリアミド樹脂(以下、高融点アルコール可溶性
ポリアミド樹脂と略記する)からなり、また前記アルコ
ール不溶性ポリアミド樹脂は、融点が 155℃以下の低融
点アルコール不溶性ポリアミド樹脂(以下、低融点アル
コール不溶性ポリアミド樹脂と略記する)からなる溶剤
または熱による溶融特性の調整が可能とした自己融着性
マグネットワイヤにある。
【0014】また本発明は、前記アルコール可溶性ポリ
アミド樹脂は、融点が 155℃を越える高融点アルコール
可溶性ポリアミド樹脂と融点が 155℃以下の低融点のア
ルコール可溶性ポリアミド樹脂(以下、低融点アルコー
ル可溶性ポリアミド樹脂と略記する)の2種類のアルコ
ール可溶性ポリアミド樹脂からなる溶剤または熱による
溶融特性の調整が可能とした自己融着性マグネットワイ
ヤにある。
【0015】また本発明は、前記アルコール可溶性ポリ
アミド樹脂は、融点が 155℃以下の低融点アルコール可
溶性ポリアミド樹脂からなり、また前記アルコール不溶
性ポリアミド樹脂は、融点が 155℃を越える高融点アル
コール不溶性ポリアミド樹脂(以下、高融点アルコール
不溶性ポリアミド樹脂と略記する)からなる溶剤または
熱による溶融特性の調整が可能とした自己融着性マグネ
ットワイヤにある。
【0016】一般に熱風を線材に吹き付け融着皮膜を溶
融接着させる熱風接着型ワイヤでは、融着皮膜が熱によ
り軟化溶融し線間を強固に接着できなければならない。
そのため、ポリアミド樹脂の選定および組合せが重要と
なるが、本発明ではその組合せについて特に配慮してい
るものである。主成分のアルコール可溶性ポリアミド樹
脂の融点が 155℃を越える高融点の場合は熱融着しにく
いので、融点が 155℃以下の低融点ポリアミド樹脂を添
加し使用している。また、主成分のアルコール可溶性ポ
リアミド樹脂の融点が 155℃以下の低融点の場合は熱融
着しやすいが、耐熱性を低下させてしまうという欠点が
ある。そのため、コイルにした場合の耐熱性を考慮して
添加するポリアミド樹脂を選択している。また、アルコ
ールに対する溶解性も考慮して選択している。
【0017】本発明に用いる高融点アルコール可溶性ポ
リアミド樹脂としては、例えばウルトラミッド1C(独
国BASF社商品名:融点 180〜 190℃) , プラタボン
ドMX1603(日本リルサン社商品名:融点 190〜 200
℃),同MX1178(日本リルサン社商品名:融点 170〜 1
80℃) 等の樹脂が用いられる。また、低融点アルコール
可溶性ポリアミド樹脂としては、例えばアミランCM40
00, 同CM4001(東レ社商品名:融点 140〜 150℃) 等
の樹脂が用いられる。
【0018】上記アルコール可溶性ポリアミド樹脂に添
加されるアルコール不溶性ポリアミド樹脂は、融着皮膜
のアルコール溶解性の制御と熱による接着性の向上を目
的に添加するものである。このうち、高融点アルコール
不溶性ポリアミド樹脂としては、具体的にはグリルアミ
ドELY60(エムスジャパン社商品名:融点 160℃),グ
リロンCR9(エムスジャパン社商品名:融点 200℃),
ダイアミドL1801(ダイセル社商品名:融点 175〜 180
℃),プラタボンドM1426(日本リルサン社商品名:融点
195〜 200℃) 等を挙げることができる。また、低融点
アルコール不溶性ポリアミド樹脂としては、例えばダイ
アミドN1901(ダイセル社商品名:融点150℃),プラタ
ボンドM1425(日本リルサン社商品名:融点 145〜 155
℃) 等を挙げることができる。
【0019】主成分樹脂のアルコール可溶性ポリアミド
樹脂に添加されるアルコール不溶性ポリアミド樹脂の添
加量を5〜40重量部に限定した理由は、40重量部を
越えるとアルコール溶解性を阻害し溶剤接着が難しくな
り、また5重量部未満では添加による効果が認められな
いためである。主成分樹脂のアルコール可溶性ポリアミ
ド樹脂として、高融点アルコール可溶性ポリアミド樹脂
と低融点アルコール可溶性ポリアミド樹脂の2種類を用
いる場合は、得られる自己融着性マグネットワイヤの融
着皮膜の熱軟化温度等を考慮して配合する必要がある。
【0020】フェノール樹脂は塗膜の指触乾燥性の改良
及び融着塗料の粘度調整のために添加される樹脂であ
り、具体例としてはヒタノール1133, 同1140(日立化成
社商品名)、レヂトップPS2780(群栄化学工業社商品
名)等のフェノール樹脂が用いられる。
【0021】ビスフェノールA型エポキシ樹脂は、ポリ
アミド樹脂やブロックイソシアネート樹脂との反応によ
り、融着皮膜のアルコールに対する溶解性を制御すると
ともに皮膜の耐熱性向上に寄与する樹脂であり、具体例
としては、エピコート1004,同1007, 同1009(油化シェ
ル社商品名)、エポトートYD014,同YD017,同YD01
9 (東都化成社商品名) 等、分子量1000〜4000のビスフ
ェノールA系エポキシ樹脂を挙げることができる。
【0022】ブロックイソシアネート樹脂は架橋剤とし
て添加され、エポキシ樹脂との架橋反応により皮膜の耐
熱性を向上させる。具体例としては、ミリオネートMS
-50,コロネートAPステーブル(日本ポリウレタン社商
品名)等を挙げることができる。
【0023】前記アルコール可溶性ポリアミド樹脂に対
するフェノール樹脂の添加量を15〜35重量部,ビス
フェノールA型エポキシ樹脂の添加量を10〜25重量
部及びブロックイソシアネート樹脂の添加量を5〜10
重量部に限定した理由は、これらの樹脂において、限定
重量部未満では添加による前記の効果が認められず、ま
た限定重量部を越えた場合は融着皮膜の接着性を著しく
阻害するためである。
【0024】
【作用】アルコール可溶性ポリアミド樹脂を主成分と
し、これにアルコール不溶性ポリアミド樹脂,フェノー
ル樹脂, ビスフェノールA型エポキシ樹脂及びブロック
イソシアネート樹脂を添加した5成分からなる融着塗料
は塗布焼き付けされることにより、アルコール可溶性ポ
リアミド樹脂とアルコール不溶性ポリアミド樹脂が絡み
合った樹脂のマトリックス中に、フェノール樹脂とエポ
キシ樹脂が一定の比率で均一に分布し、フェノール樹脂
とエポキシ樹脂の水酸基とブロックイソシアネート樹脂
が反応し、耐熱性に優れる網目構造の架橋を形成する。
即ち、ブロックイソシアネート樹脂を架橋剤として使用
することにより、分子間架橋密度の大小を制御すること
ができる。したがって、フェノール樹脂,エポキシ樹脂
及びブロックイソシアネート樹脂の添加は、融着皮膜の
アルコール系溶剤に対する膨潤度又は溶解度を適正な値
に押さえるとともに、融着皮膜の耐熱性と熱溶融特性を
調整する作用をする。
【0025】溶剤接着型ワイヤを用いたフラットコイル
の整列巻線において、融着皮膜がアルコール系溶剤に対
して膨潤度又は溶解度が良すぎる場合は、膨潤又は溶解
した融着皮膜の一部が巻治具に付着したりワイヤの外径
が変動しやすいため、コイルの整列率の低下と寸法変化
を起こす。また、逆にアルコール系溶剤に対する膨潤度
又は溶解度が悪い場合には、線間の接着が不十分となり
巻線ができなくなってしまう。
【0026】一方、熱風を線材に吹き付け融着皮膜を溶
融接着させる熱風接着型ワイヤでは、融着皮膜が熱によ
り軟化溶融し線間を強固に接着できなければならない。
そのため、ポリアミド樹脂の熱的特性が重要である。本
発明においては、低融点のアルコール可溶性或はアルコ
ール不溶性のポリアミド樹脂を高融点アルコール可溶性
ポリアミド樹脂に添加することにより、高融点アルコー
ル可溶性ポリアミド樹脂から成る融着皮膜の熱軟化温度
を下げることができるので熱風接着する際に好適とな
る。
【0027】フェノール樹脂は、前記した作用の他に、
ポリアミド樹脂からなる融着皮膜に起こりやすい粘着の
防止作用をするとともに、加熱溶融時の融着皮膜の流れ
調整剤としての作用をする。以上のように、本発明の自
己融着性マグネットワイヤは、融着皮膜の溶剤または熱
による溶融特性を調整することが可能になったので、自
己支持型コイル、特にフラットコイルの巻線に極めて好
適となる。
【0028】
【実施例】以下に本発明の内容を実施例、比較例及び参
考例をあげて説明する。なお本発明は、本実施例に限定
されるものではない。 融着塗料の調製表1は実施例1〜6、比較例1〜3及び
参考例1の融着塗料の樹脂配合組成表 である。なお、実施例1,2は、請求項第1,2項に対
応する融着塗料であり、また実施例3,4は、請求項第
1,3項に対応する融着塗料であり、更に実施例5,6
は、請求項第1,4項に対応する融着塗料である。
【0029】実施例1 攪拌機,温度計及び冷却管を付けた2000mlのセパラブ
ル丸底フラスコに、表1の配合組成表に従って、主成分
のアルコール可溶性ポリアミド樹脂として高融点アルコ
ール可溶性ポリアミド樹脂のウルトラミッド1Cを 100
g、アルコール不溶性ポリアミド樹脂として低融点アル
コール不溶性ポリアミド樹脂のダイアミドN1901を20
g、フェノール樹脂としてレヂトップPS2780を25
g、ビスフェノールA型エポキシ樹脂としてエピコート
1007を10g、ブロックイソシアネート樹脂としてミリ
オネートMS-50 を5g、及び有機溶剤としてクレゾー
ル/キシロール=1/1混合溶剤(以下混合溶剤とい
う)を 907g入れ、60〜80℃の温度で3時間加熱攪
拌して樹脂を溶解した後、この溶液を室温迄冷却し、濃
度15%の融着塗料を調製した。
【0030】実施例2 表1の配合組成表に従って、アルコール不溶性ポリアミ
ド樹脂として低融点アルコール不溶性ポリアミド樹脂の
ダイアミドN1901を30g及び混合溶剤を 963g用いた
以外は、実施例1と同様にして濃度15%の融着塗料を
調製した。
【0031】実施例3,4 表1の配合組成表に従い、主成分のアルコール可溶性ポ
リアミド樹脂として高融点アルコール可溶性ポリアミド
樹脂のウルトラミッド1Cと低融点アルコール可溶性ポ
リアミド樹脂のプラタボンドMX1178を使用し、アルコ
ール不溶性ポリアミド樹脂として低融点アルコール不溶
性ポリアミド樹脂のダイアミドN1901を使用し、その他
は実施例1と同様にして濃度15%の融着塗料を調製し
た。なお、混合溶剤の量は全樹脂分に対して濃度15%
となるように添加している(以下の実施例、比較例及び
参考例に於いても同様)。
【0032】実施例5,6 表1の配合組成表に従い、主成分のアルコール可溶性ポ
リアミド樹脂として低融点アルコール可溶性ポリアミド
樹脂のアミランCM4000,アルコール不溶性ポリアミド
樹脂に高融点アルコール不溶性ポリアミド樹脂のグリロ
ンCR9を使用し、その他は実施例1と同様にして濃度
15%の融着塗料を調製した。
【0033】比較例および参考例 比較例1〜3 表1の配合組成表に従い、主成分樹脂として1種類のポ
リアミド樹脂(アルコール可溶性ポリアミド樹脂又はア
ルコール不溶性ポリアミド樹脂)を使用し、これに実施
例と同じフェノール樹脂を加え、その他は実施例1と同
様にして濃度15%の融着塗料を調製した。参考例1 表1の配合組成表に従い、その他は実施例1と同様にし
て濃度15%の融着塗料を調製した。なお、本参考例1
の融着塗料は実施例1の塗料と比較してビスフェノール
A型エポキシ樹脂のみ添加されていないものである。
【0034】自己融着性マグネットワイヤの製造 実施例1w〜6w,比較例1w〜3w,参考例1w 前記実施例1〜6、比較例1〜3及び参考例1の、計1
0種類の融着塗料を、導体径 0.300mm,絶縁外径 0.324
mmのポリウレタン絶縁電線にダイスを用い、4回掛で塗
布焼付けし、仕上外径 0.334mmの自己融着性マグネット
ワイヤ(実施例1w〜6w、比較例1w〜3w及び参考
例1w)を製造した。このワイヤの製造に用いた焼付炉
は 2.5m長の横型焼付炉を用い、炉温 300℃, 線速 50m
/min の焼付条件で製造した。なお、融着皮膜の焼付後
皮膜の表面に流動パラフィンを塗布してからボビンに巻
取った。これらの自己融着性マグネットワイヤをJIS
C3003「エナメル銅線及びエナメルアルミニウム線試験
方法」に基づき試験を行い、その結果を表2に示した。
なお本発明(実施例1w)と、ビスフェノールA型エポ
キシ樹脂のみ添加されていないもの(参考例1w)とを
比較する為に当社独自の試験方法である溶解性試験を行
っている。この溶解性試験は、各ワイヤを10数ターン
軽く撚り合わせてから、常温のメタノール中に約50mm
長を浸漬し、浸漬後何秒で融着皮膜が白化してメタノー
ル中に溶け出してくるかをストップウォッチにより測定
したものである。表2に示す溶解性試験結果から明らか
なように、参考例1wのワイヤは実施例1wのワイヤと
比較して溶解性が劣っていた。また接着力試験結果から
明らかなように、参考例1wのワイヤは実施例1wのワ
イヤと比較して接着力が劣っていた 。従って、ビスフェ
ノールA型エポキシ樹脂は、ポリアミド樹脂やブロック
イソシアネート樹脂との反応により融着皮膜のアルコー
ルに対する溶解性を制御しており、接着力にも影響を及
ぼしていることが分かる。
【0035】フラットコイルの巻線 (1) アルコール巻線(実施例1a〜6a,比較例1a〜
3a,参考例1a) フラットコイルのアルコール巻線として、単軸型自動巻
線機を使用し、上記実施例1w〜6w,比較例1w〜3
及び参考例1wの自己融着性マグネットワイヤにアル
コールを塗布しながら、回転数1600r.p.m でコイルの巻
線を行い、実施例1a〜6a,比較例1a〜3a及び参
考例1aのフラットコイルを製造した。
【0036】 (2) 熱風巻線(実施例1n〜6n,比較例1n〜3n
参考例1n) フラットコイルの熱風巻線として、単軸型自動巻線機を
使用し、上記実施例,比較例及び参考例の自己融着性マ
グネットワイヤに約 180℃の熱風を吹き付けながら、回
転数1600r.p.m でコイル巻線を行い、実施例1n〜6
n,比較例1n〜3n及び参考例1nのフラットコイル
を製造した。上記(1) 及び(2) の巻線により得られたフ
ラットコイル100 個について、整列率,接着力,耐熱性
等を調べた結果を表3及び表4に示した。表3,4に示
す接着力試験結果から明らかなように、アルコール巻線
及び熱風巻線において、参考例1a, 1nのフラットコイ
ルは実施例1a, 1nのコイルと比較して接着力が大幅に
劣っていた。これは前記したように、参考例1wのワイ
ヤが実施例1wのワイヤと比較して溶解性が劣っている
ためである。
【0037】
【表1】
【0038】
【表2】
【0039】
【表3】
【0040】
【表4】
【0041】
【発明の効果】本発明の自己融着性マグネットワイヤ
は、表2に示すようにワイヤ自体としての特性が優れて
いる。また、表3及び表4に示す特性より明らかなよう
に、本発明の自己融着性マグネットワイヤより得られた
フラットコイルは、従来の自己融着性マグネットワイヤ
より得られたコイルと比較して整列率が良く、巻治具の
汚れが少なく、熱風巻線とアルコール巻線のどちらでも
接着力が強く、また耐熱性の良い,即ち熱変形の少ない
コイルとなる。また本発明と、ビスフェノールA型エポ
キシ樹脂のみ添加されていないものとの差は溶解性試験
および接着力試験により明白である。特に、本発明の自
己融着性マグネットワイヤの場合、融着皮膜はアルコー
ル可溶性ポリアミド樹脂を主成分とし、これにアルコー
ル不溶性ポリアミド樹脂,フェノール樹脂, エポキシ樹
脂,及びブロックイソシアネート樹脂を好ましい割合で
添加した5成分からなるため、溶剤または熱による溶融
特性の調整が可能である。従って、本発明の自己融着性
マグネットワイヤは産業に寄与するところ極めて大であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H01B 3/30 H01B 3/30 M (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01B 7/02 H01B 3/16 - 3/56

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルコール可溶性ポリアミド樹脂100
    重量部に、アルコール不溶性ポリアミド樹脂5〜40重
    量部,フェノール樹脂15〜35重量部,ビスフェノー
    ルA型エポキシ樹脂10〜25重量部及びブロックイソ
    シアネート樹脂5〜10重量部を添加し、これを有機溶
    剤に溶解した融着塗料を、導体上に絶縁皮膜を介して塗
    布焼き付けし、融着皮膜の溶剤または熱による溶融特性
    の調整が可能としたことを特徴とする自己融着性マグネ
    ットワイヤ。
  2. 【請求項2】 前記アルコール可溶性ポリアミド樹脂
    は、融点が 155℃を越える高融点アルコール可溶性ポリ
    アミド樹脂からなり、また前記アルコール不溶性ポリア
    ミド樹脂は、融点が 155℃以下の低融点アルコール不溶
    性ポリアミド樹脂からなることを特徴とする請求項1記
    載の自己融着性マグネットワイヤ。
  3. 【請求項3】 前記アルコール可溶性ポリアミド樹脂
    は、融点が 155℃を越える高融点アルコール可溶性ポリ
    アミド樹脂と融点が 155℃以下の低融点のアルコール可
    溶性ポリアミド樹脂の2種類のアルコール可溶性ポリア
    ミド樹脂からなることを特徴とする請求項1記載の自己
    融着性マグネットワイヤ。
  4. 【請求項4】 前記アルコール可溶性ポリアミド樹脂
    は、融点が 155℃以下の低融点アルコール可溶性ポリア
    ミド樹脂からなり、また前記アルコール不溶性ポリアミ
    ド樹脂は、融点が 155℃を越える高融点アルコール不溶
    性ポリアミド樹脂からなることを特徴とする請求項1記
    載の自己融着性マグネットワイヤ。
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