JPH09227827A - ボイスコイル用接着塗料、巻き筒及びボイスコイル - Google Patents

ボイスコイル用接着塗料、巻き筒及びボイスコイル

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JPH09227827A
JPH09227827A JP5835396A JP5835396A JPH09227827A JP H09227827 A JPH09227827 A JP H09227827A JP 5835396 A JP5835396 A JP 5835396A JP 5835396 A JP5835396 A JP 5835396A JP H09227827 A JPH09227827 A JP H09227827A
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JP
Japan
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alcohol
voice coil
polyamide resin
resin
melting point
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Application number
JP5835396A
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English (en)
Inventor
Shigeya Kazama
重弥 風間
Masatake Uehara
正丈 上原
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Totoku Electric Co Ltd
Original Assignee
Totoku Electric Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ボイスコイル用接着塗料として、巻き筒基材
上に塗布乾燥して設けた接着層はアルコール接着又は熱
風接着が可能であり、また接着層を設けた巻き筒に自己
融着性絶縁電線を密巻したボイスコイルは高温において
も接着力の低下がなく,耐熱性を十分満足するようにす
る。 【解決手段】 アルコール可溶性ポリアミド樹脂100
重量部に、アルコール不溶性ポリアミド樹脂5〜40重
量部,フェノール樹脂15〜35重量部,ビスフェノー
ルA型エポキシ樹脂10〜25重量部及びブロックイソ
シアネート樹脂5〜10重量部を添加し、これを有機溶
剤に溶解した接着塗料を、ボイスコイルの巻き筒基体1
a上に塗布し、半硬化状態に乾燥してアルコール接着又
は熱風接着が可能な接着層1bを設けた巻き筒1に自己
融着性絶縁電線2を密巻きしボイスコイル3とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は接着塗料、巻き筒及びボ
イスコイルに関する。更に詳しくは、ステレオ等の音響
機器のスピーカに用いられるボイスコイル用接着塗料、
巻き筒及びボイスコイルに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ステレオ等の音響機器は高出力,
高性能化が要求され、スピーカに加わる負荷も益々苛酷
となり、これに用いられるボイスコイルも耐熱性に優れ
ることが要求されてきている。ボイスコイルは、一般
に、巻き筒の外周に接着塗料を塗布乾燥して接着層を設
けた巻き筒に自己融着性絶縁電線を整列に数層密巻きし
て製造される。
【0003】ボイスコイルの巻き筒に用いられる接着塗
料(以下、ボイスコイル用接着塗料と略記する)として
は、ポリビニルブチラール樹脂や、アルコール可溶性ポ
リアミド樹脂を有機溶剤に溶解した接着塗料が用いられ
ている。従って、これらの塗料が巻き筒に塗布乾燥され
た接着層の樹脂成分もポリビニルブチラール樹脂や、ア
ルコール可溶性ポリアミド樹脂となっているものであ
る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記ポ
リビニルブチラール樹脂や、アルコール可溶性ポリアミ
ド樹脂は熱可塑性樹脂であるため、融点が比較的高いア
ルコール可溶性ポリアミド樹脂を接着層に用いたボイス
コイルにおいても高温,例えば180℃近辺において接
着力の低下が著しく、耐熱性は十分満足するものではな
かった。そのため、近年の高出力,高性能化が要求され
るステレオ等の音響機器のスピーカに使用することが出
来ない状態であった。
【0005】そこで、アルコール可溶性ポリアミド樹脂
にフェノール樹脂等の硬化成分を配合した接着塗料をボ
イスコイル用接着塗料に使用し耐熱性を向上させること
が行われているが、得られた接着層はアルコールの塗布
量のばらつき等によって、接着層の溶解特性が大きく影
響され、接着力特性が低下するという問題があった。ま
た、熱によって接着を行うことは、主成分のアルコール
可溶性ポリアミド樹脂の融点が比較的高いため十分な接
着力が得られず不適であった。
【0006】本発明は、上記従来技術が有する各種問題
点を解決するために開発されたアルコール接着又は熱風
接着が可能なボイスコイル用接着塗料に関するものであ
り、巻き筒及びこの巻き筒に自己融着性絶縁電線を密巻
きしたボイスコイルの製造を可能にし、これにより高温
においても接着力の低下がなく、十分な耐熱性を有する
ボイスコイルを提供しうるものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、アルコール可溶性ポリアミド樹脂100重
量部に、アルコール不溶性ポリアミド樹脂5〜40重量
部,フェノール樹脂15〜35重量部,ビスフェノール
A型エポキシ樹脂10〜25重量部及びブロックイソシ
アネート樹脂5〜10重量部を添加し、これを有機溶剤
に溶解した接着塗料であって、ボイスコイルの巻き筒基
材上に塗布し,半硬化状態に乾燥することにより、アル
コール接着又は熱風接着が可能な接着層が得られるボイ
スコイル用接着塗料にある。
【0008】また本発明は、前記アルコール可溶性ポリ
アミド樹脂は、融点が 155℃を越える高融点アルコール
可溶性ポリアミド樹脂からなり、また前記アルコール不
溶性ポリアミド樹脂は、融点が 155℃以下の低融点アル
コール不溶性ポリアミド樹脂からなるボイスコイル用接
着塗料にある。
【0009】また本発明は、前記アルコール可溶性ポリ
アミド樹脂は、融点が 155℃を越える高融点アルコール
可溶性ポリアミド樹脂と融点が 155℃以下の低融点のア
ルコール可溶性ポリアミド樹脂の2種類のアルコール可
溶性ポリアミド樹脂からなるボイスコイル用接着塗料に
ある。
【0010】また本発明は、前記アルコール可溶性ポリ
アミド樹脂は、融点が 155℃以下の低融点アルコール可
溶性ポリアミド樹脂からなり、また前記アルコール不溶
性ポリアミド樹脂は、融点が 155℃を越える高融点アル
コール不溶性ポリアミド樹脂からなるボイスコイル用接
着塗料にある。
【0011】また本発明は、前記ボイスコイル用接着塗
料を巻き筒基材上に塗布し、半硬化状態に乾燥して接着
層を設けた巻き筒にある。
【0012】また本発明は、前記巻き筒に自己融着性絶
縁電線を巻線したボイスコイルにあり、また前記自己融
着性絶縁電線の融着層は前記ボイスコイル用接着塗料を
塗布焼付したものである。更に本発明は、前記ボイスコ
イルに更に熱処理を施したボイスコイルにある。
【0013】ボイスコイル用接着塗料においては、この
塗料が塗布乾燥された接着層が軟化溶融して巻き筒と絶
縁電線を強固に固着できなければならない。そのため、
ポリアミド樹脂の選定及び組合せが重要となるが、本発
明では、その組合せについて特に配慮したものである。
【0014】主成分のアルコール可溶性ポリアミド樹脂
の融点が 155℃を越える高融点の場合は熱融着しにくい
ので、融点が 155℃以下の低融点ポリアミド樹脂を添加
し、また、主成分のアルコール可溶性ポリアミド樹脂の
融点が 155℃以下の低融点の場合は熱融着しやすいが、
耐熱性を低下させるという欠点がある。そのため、耐熱
性を考慮して添加するポリアミド樹脂を選択している。
また、アルコールに対する溶解性も考慮して選択してい
る。
【0015】本発明において用いられる高融点アルコー
ル可溶性ポリアミド樹脂としては、例えばウルトラミッ
ド1C(独国BASF社商品名:融点 180〜 190℃) ,
プラタボンドMX1603(日本リルサン社商品名:融点 1
90〜 200℃),同MX1178(日本リルサン社商品名:融点
170〜 180℃) 等の樹脂が挙げられる。また、低融点ア
ルコール可溶性ポリアミド樹脂としては、例えばアミラ
ンCM4000, 同CM4001(東レ社商品名:融点 140〜 1
50℃) 等の樹脂が挙げられる。
【0016】上記アルコール可溶性ポリアミド樹脂に添
加されるアルコール不溶性ポリアミド樹脂は、接着皮膜
のアルコール溶解性の制御と熱による接着性の向上を目
的に添加するものである。このうち、高融点アルコール
不溶性ポリアミド樹脂としては、例えばグリロンCR9
(エムスジャパン社商品名:融点 200℃),ダイアミドL
1801(ダイセル社商品名:融点 175〜 180℃),プラタボ
ンドM1426(日本リルサン社商品名:融点 195〜 200
℃) 等を挙げることができる。また、低融点アルコール
不溶性ポリアミド樹脂としては、例えばダイアミドN19
01(ダイセル社商品名:融点 150℃),プラタボンドM14
25(日本リルサン社商品名:融点 145〜 155℃) 等を挙
げることができる。
【0017】主成分樹脂のアルコール可溶性ポリアミド
樹脂に添加されるアルコール不溶性ポリアミド樹脂の添
加量を5〜40重量部に限定した理由は、40重量部を
越えるとアルコール溶解性を阻害し溶剤接着が難しくな
り、また5重量部未満では添加による効果が認められな
いためである。主成分樹脂のアルコール可溶性ポリアミ
ド樹脂として、高融点アルコール可溶性ポリアミド樹脂
と低融点アルコール可溶性ポリアミド樹脂の2種類を用
いる場合は、得られる接着層の熱軟化温度等を考慮して
配合する必要がある。
【0018】フェノール樹脂は接着層の指触乾燥性の改
良及び接着塗料の粘度調整のために添加される樹脂であ
り、例えばヒタノール1133, 同1140(日立化成社商品
名)、レヂトップPS2780(群栄化学工業社商品名)等
を挙げることができる。
【0019】ビスフェノールA型エポキシ樹脂は接着層
の耐熱性向上に寄与する樹脂であり、例えば、エピコー
ト1004, 同1007, 同1009(油化シェル社商品名)、エポ
トートYD014,同YD017,同YD019 (東都化成社商品
名) 等、分子量1000〜4000のビスフェノールA型エポキ
シ樹脂を挙げることができる。
【0020】ブロックイソシアネート樹脂は架橋剤とし
て添加され、エポキシ樹脂との架橋反応により接着層の
耐熱性を向上させる樹脂である。例えば、ミリオネート
MS-50,コロネートAPステーブル(日本ポリウレタン
社商品名)等を挙げることができる。
【0021】前記アルコール可溶性ポリアミド樹脂に対
するフェノール樹脂の添加量を15〜35重量部,ビス
フェノールA型エポキシ樹脂の添加量を10〜25重量
部及びブロックイソシアネート樹脂の添加量を5〜10
重量部に限定した理由は、これらの樹脂において、限定
重量部未満では添加による前記の効果が認められず、ま
た限定重量部を越えた場合は接着層の接着力を著しく阻
害するためである。
【0022】
【作用】アルコール可溶性ポリアミド樹脂を主成分と
し、これにアルコール不溶性ポリアミド樹脂,フェノー
ル樹脂, ビスフェノールA型エポキシ樹脂及びブロック
イソシアネート樹脂を添加した5成分からなるボイスコ
イル用接着塗料は、巻き筒上に半硬化状態に塗布乾燥さ
れることにより半硬化の接着層が形成される。この接着
層は、アルコール可溶性ポリアミド樹脂とアルコール不
溶性ポリアミド樹脂が絡み合った樹脂のマトリックス中
に、フェノール樹脂とエポキシ樹脂が一定の比率で均一
に分布した構造となっている。そして、更に加熱処理を
行うことにより、フェノール樹脂とエポキシ樹脂の水酸
基とブロックイソシアネート樹脂のイソシアネート基と
が反応し、耐熱性に優れる網目構造の架橋を形成する。
即ち、ブロックイソシアネート樹脂を架橋剤として使用
することにより、分子間架橋密度の大小を制御すること
ができる。したがって、フェノール樹脂,エポキシ樹脂
及びブロックイソシアネート樹脂の添加は、接着層のア
ルコール系溶剤に対する膨潤度又は溶解度を適正な値に
押さえるとともに、接着層の耐熱性と熱溶融特性を調整
する作用をする。
【0023】なお、巻き筒の接着層に溶剤を塗布して該
接着層を膨潤,溶融させ、自己融着性絶縁電線と接着さ
せるボイスコイルの整列巻線においては、接着層樹脂が
アルコール系溶剤に対して膨潤度又は溶解度が良すぎる
場合は、膨潤又は溶解した接着層樹脂が流れやすいた
め、電線と巻き筒間の接着力が悪くなる。また、逆に接
着層樹脂がアルコール系溶剤に対して膨潤度又は溶解度
が悪い場合も、電線と巻き筒間の接着が不十分となって
しまう。
【0024】また、熱風を巻き筒の接着層に吹き付けて
接着層樹脂を溶融させ、自己融着性絶縁電線と接着させ
るボイスコイルの整列巻線においては、接着層樹脂が熱
により軟化溶融することが必要であるが、そのために
は、ポリアミド樹脂の熱的特性が重要である。本発明に
おいては、低融点のアルコール可溶性或はアルコール不
溶性のポリアミド樹脂を高融点アルコール可溶性ポリア
ミド樹脂に添加することにより、高融点アルコール可溶
性ポリアミド樹脂から成る接着層の熱軟化温度を低下さ
せることができるので熱接着する際に好適となる。
【0025】フェノール樹脂は、前記した作用の他に、
ポリアミド樹脂からなる接着層に起こりやすい粘着の防
止作用をするとともに、加熱溶融時の接着層樹脂の流れ
調整剤としての作用をする。またビスフェノールA型エ
ポキシ樹脂は、前記した作用の他に、ポリアミド樹脂や
ブロックイソシアネート樹脂との反応により、接着層樹
脂のアルコールに対する溶解性を制御するとともに耐熱
性を高める作用をする。
【0026】以上のように、本発明のボイスコイル用接
着塗料により得られる接着層は、溶剤または熱による溶
融特性を調整することが可能になったので、アルコール
接着又は熱接着のどちらの方法でも接着可能となる。更
に巻き筒に自己融着性絶縁電線を接着した後の加熱処理
により接着層(接着部)に優れた耐熱性が付与されるた
め、得られるボイスコイルの耐熱性も高くなり小型,高
出力のスピーカに用いられるボイスコイルとして極めて
好適となる。
【0027】
【実施例】以下に本発明の内容を実施例及び比較例を挙
げて説明する。なお本発明は、本実施例に限定されるも
のではない。 (1) ボイスコイル用接着塗料の調製 表1は実施例1〜6、比較例1,2の接着塗料の樹脂配
合組成表である。なお、実施例1,2は請求項第1,2
項に対応する塗料であり、また実施例3,4は請求項第
1,3項に対応する塗料であり、更に実施例5,6は請
求項第1,4項に対応する塗料である。
【0028】実施例1 攪拌機,温度計及び冷却管を付けた2000mlのセパラブ
ル丸底フラスコに、表1の配合組成表に従って、主成分
のアルコール可溶性ポリアミド樹脂として高融点アルコ
ール可溶性ポリアミド樹脂のウルトラミッド1Cを 100
g、アルコール不溶性ポリアミド樹脂として低融点アル
コール不溶性ポリアミド樹脂のダイアミドN1901を20
g、フェノール樹脂としてレヂトップPS2780を25
g、ビスフェノールA型エポキシ樹脂としてエピコート
1007を10g、ブロックイソシアネート樹脂としてミリ
オネートMS-50 を5g、及び有機溶剤としてクレゾー
ル/キシロール=1/1混合溶剤(以下混合溶剤とい
う)を 907g入れ、60〜80℃の温度で3時間加熱攪
拌して樹脂を溶解した後、この溶液を室温迄冷却し、濃
度15%の接着塗料を調製した。
【0029】実施例2 表1の配合組成表に従い、アルコール不溶性ポリアミド
樹脂として低融点アルコール不溶性ポリアミド樹脂のダ
イアミドN1901を30g及び混合溶剤を 963g用いた以
外は、実施例1と同様にして濃度15%の接着塗料を調
製した。
【0030】実施例3,4 表1の配合組成表に従い、主成分のアルコール可溶性ポ
リアミド樹脂として、高融点アルコール可溶性ポリアミ
ド樹脂のウルトラミッド1Cと低融点アルコール可溶性
ポリアミド樹脂のアミランCM4000を使用し、またアル
コール不溶性ポリアミド樹脂として、低融点アルコール
不溶性ポリアミド樹脂のダイアミドN1901を使用し、そ
の他は実施例1と同様にして濃度15%の接着塗料を調
製した。なお、混合溶剤の量は全樹脂分に対して濃度1
5%となるように添加している(以下の実施例5,6及
び比較例1,2に於いても同様)。
【0031】実施例5,6 表1の配合組成表に従い、主成分のアルコール可溶性ポ
リアミド樹脂として低融点アルコール可溶性ポリアミド
樹脂のアミランCM4000,アルコール不溶性ポリアミド
樹脂として高融点アルコール不溶性ポリアミド樹脂のグ
リロンCR9を使用し、その他は実施例1と同様にして
濃度15%の接着塗料を調製した。
【0032】比較例1 表1の配合組成表に従い、主成分樹脂としてアルコール
可溶性ポリアミド樹脂のウルトラミッド1Cを使用し、
これにビスフェノールA型エポキシ樹脂のエピコート10
07を加え、その他は実施例1と同様にして濃度15%の
接着塗料を調製した。
【0033】比較例2 表1の配合組成表に従い、ポリビニルブチラール樹脂の
エスレックBM−5を使用し、これに混合溶剤を加え、
その他は実施例1と同様にして濃度15%の接着塗料を
調製した。
【0034】
【表1】
【0035】(2) 巻き筒の製作 実施例1b〜6b,比較例1b,2b 巻き筒の製作について、図1(a) を用いて説明する。な
お、この図は巻き筒の断面図である。前記表1に示す、
実施例1〜6及び比較例1,2の、計8種類の接着塗料
を、巻き筒の基体1aとなる幅75mm,長さ300 mm,厚さ
0.07mmのポリイミドガラスクロスにバーコーターで塗布
した後、140℃の恒温槽中に2分間放置し半硬化状態
(比較例2の塗料は乾燥状態)に乾燥させ、厚さ0.010
mmの接着層1bを設けた。次に接着層1bを設けたポ
リイミドガラスクロスを幅25mm,長さ75mmの短冊状に切
断し、実施例1b〜6b及び比較例1b,2bの短冊状
の巻き筒1を製作した。(但し、図1(a) では短冊状の
巻き筒1を円筒状にした状態を示す)
【0036】(3) 自己融着性絶縁電線の製造 実施例1w〜6w及び比較例1w,2w 自己融着性絶縁電線の製造について、図1(b) を用いて
説明する。なお、この図は自己融着性絶縁電線の断面図
である。導体径 0.300mmの銅線2aにポリエステルイミ
ド絶縁塗料を外径が 0.324mmとなるように塗布焼付し絶
縁層2bを設けた絶縁導体上に、前記表1に示す,前記
巻き筒の製造に用いたのと同じ実施例1〜6及び比較例
1,2の接着塗料をダイスを用い、皮膜厚が5〜7μm
となるように4回掛で塗布焼付けして融着皮膜2cを設
け、実施例1w〜6w及び比較例1w,2wの自己融着
性絶縁電線2を製造した。この電線の製造に用いた焼付
炉は 2.5m長の横型焼付炉を用い、炉温 300℃, 線速 5
0m/min の焼付条件で製造した。なお、融着皮膜2cの
焼付後皮膜の表面に流動パラフィンを塗布してからボビ
ンに巻取った。
【0037】(4) ボイスコイルの製造 ボイスコイルの製造について、図1(c) を用いて説明す
る。なお、この図はボイスコイルの斜視図である。 アルコールによる接着(実施例1a〜6a,比較例1
a,2a) ボイスコイルのアルコールによる接着として、まず、前
記短冊状巻き筒1の接着層1bを外側にしてボイスコイ
ル自動巻線機の巻線治具に円筒状に取り付ける。次に該
巻き筒1に前記(3) により得られた自己融着性絶縁電線
2にメタノールを塗布し、該電線2の融着層2cと巻き
筒1の接着層1bを膨潤,溶解させながら回転数600r.
p.mで整列に一層密巻する。巻線後、常温にて1時間乾
燥し、次に200 ℃±5 ℃の恒温槽中で30分間熱処理を行
ない半硬化状態にあった融着層2c及び接着層1bを完
全に硬化させ、実施例1a〜6a及び比較例1a, 2 a
の試験用のボイスコイル3を製造した。
【0038】熱による接着(実施例1n〜6n,比較
例1n,2n) ボイスコイルの熱による接着として、まず、前記短冊状
巻き筒1の接着層1bを外側にしてボイスコイル自動巻
線機の巻線治具に円筒状に取り付ける。次に該巻き筒1
に前記(3) により得られた自己融着性絶縁電線2に約 1
80℃の熱風を吹き付け、該電線2の融着層2cと巻き筒
1の接着層1bを加熱溶解させながら、回転数1600r.p.
m で整列に一層密巻する。巻線後、200 ℃±5 ℃の恒温
槽中で30分間熱処理を行ない半硬化状態にあった融着層
2c及び接着層1bを完全に硬化させ、実施例1n〜6
n及び比較例1n, 2 nの試験用のボイスコイル3(以
下ボイスコイル3と略記する)を製造した。これらボイ
スコイルの製造に用いられた接着塗料,巻き筒および自
己融着性絶縁電線について、表2のボイスコイル構成材
料表に示す。
【0039】
【表2】
【0040】(5) ボイスコイルの接着特性試験 前記(4) およびで得られた実施例1a〜6a,比較
例1a,2aおよび実施例1n〜6n,比較例1n,2
nの試験用ボイスコイルについて耐熱特性試験および接
着力試験を行った。
【0041】耐熱特性試験(耐熱接着強度の測定) イ.試験片の作製 試験片の作製について、図2を用いて説明する。なお、
同図(a) は試験片の正面図であり、また同図(b) は側面
図である。まず、ボイスコイル3の1ケ所をコイルに対
して直角に切断して広げる。すると巻き筒1と線輪2が
密着し一体化した短冊状のボイスコイル片が得られる。
次にこの短冊状ボイスコイル片の中央部に10mm長の接
着部bが残るようにして両端より巻き筒と線輪を剥が
す。次に各々剥いだ部分の巻き筒と線輪を互いに切断す
ることにより図2に示すような試験片3sを作製した。
【0042】ロ.接着破壊温度の測定 前記試験片3sの耐熱接着強度を恒温槽を用いて測定す
る方法を示す。まず、常温のままの恒温槽を開け、前記
各試験片3sの一端(巻き筒1端)を恒温槽中の上部に
固定し他端(線輪2端)に500 gの荷重をかける。次に
恒温槽を密閉し、温度を常温から約2℃/分の速度で昇
温してゆき、前記荷重が落下したときの温度を読み取っ
た。そして、この温度を巻き筒と線輪間の耐熱接着強度
(接着破壊温度)とした。その結果を下記表3に示す。
【0043】接着力試験について、図3を用いて説明す
る、この図は巻き筒と線輪間の接着力を測定する方法を
説明するための略図である。前記各ボイスコイルについ
て、オートグラフ(島津製作所製AG−5000B型)Aを
用いて、巻き筒と線輪間の平均接着力を測定した。その
結果を下記表3に示す。
【0044】
【表3】
【0045】上記表3より明らかなように、本発明のボ
イスコイルは、耐熱特性および接着力が極めて優れてい
ることが分かる。
【0046】
【発明の効果】本発明の接着塗料は、ボイスコイルの巻
き筒基体上に塗布し,半硬化状態に乾燥することによ
り、アルコール接着又は熱風接着が可能となるので、ボ
イスコイル巻線機の種類に関係なく巻線が可能である。
【0047】また本発明の巻き筒は、接着層のアルコー
ルに対する溶解性及び熱による溶融特性が極めて優れて
おり初期接着力特性に富むため、ボイスコイルの製造を
効率よく行うことが可能である。
【0048】また本発明のボイスコイルは、耐熱特性お
よび接着力が極めて優れているので、ボイスコイル自体
の発熱によって線輪が巻き筒より脱落するようなことが
無くなり、小型,高出力のスピーカに用いられるボイス
コイルとして極めて大きな効果を発揮する。したがっ
て、本発明は産業界に寄与する効果が極めて大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の巻き筒、自己融着性絶縁電線およびボ
イスコイルの一実施例を示す略図である。(a) は巻き筒
の断面図、(b) は自己融着性絶縁電線の断面図、また
(c) はボイスコイルの斜視図である。
【図2】ボイスコイルの耐熱接着強度を測定するための
試験片を示す略図である。(a)は正面図、また(b) は側
面図である。
【図3】ボイスコイルの接着力を測定する方法を説明す
るための略図である。
【符号の説明】
1 巻き筒 1a 巻き筒基材(ポリイミドガラスクロス) 1b 接着層 2 線輪(自己融着性絶縁電線) 2a 銅線 2b 絶縁層 2c 融着層 3 ボイスコイル 3s 試験片 A オートグラフ b 接着部

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルコール可溶性ポリアミド樹脂100
    重量部に、アルコール不溶性ポリアミド樹脂5〜40重
    量部,フェノール樹脂15〜35重量部,ビスフェノー
    ルA型エポキシ樹脂10〜25重量部及びブロックイソ
    シアネート樹脂5〜10重量部を添加し、これを有機溶
    剤に溶解した接着塗料であって、 ボイスコイルの巻き筒基材上に塗布し,半硬化状態に乾
    燥することにより、アルコール接着又は熱風接着が可能
    な接着層が得られることを特徴とするボイスコイル用接
    着塗料。
  2. 【請求項2】 前記アルコール可溶性ポリアミド樹脂
    は、融点が 155℃を越える高融点アルコール可溶性ポリ
    アミド樹脂からなり、また前記アルコール不溶性ポリア
    ミド樹脂は、融点が 155℃以下の低融点アルコール不溶
    性ポリアミド樹脂からなることを特徴とする請求項1記
    載のボイスコイル用接着塗料。
  3. 【請求項3】 前記アルコール可溶性ポリアミド樹脂
    は、融点が 155℃を越える高融点アルコール可溶性ポリ
    アミド樹脂と融点が 155℃以下の低融点のアルコール可
    溶性ポリアミド樹脂の2種類のアルコール可溶性ポリア
    ミド樹脂からなることを特徴とする請求項1記載のボイ
    スコイル用接着塗料。
  4. 【請求項4】 前記アルコール可溶性ポリアミド樹脂
    は、融点が 155℃以下の低融点アルコール可溶性ポリア
    ミド樹脂からなり、また前記アルコール不溶性ポリアミ
    ド樹脂は、融点が 155℃を越える高融点アルコール不溶
    性ポリアミド樹脂からなることを特徴とする請求項1記
    載のボイスコイル用接着塗料。
  5. 【請求項5】 前記請求項1〜4のボイスコイル用接着
    塗料を巻き筒基材上に塗布し、半硬化状態に乾燥して接
    着層を設けたことを特徴とする巻き筒。
  6. 【請求項6】 前記請求項5の巻き筒に自己融着性絶縁
    電線を巻線したことを特徴とするボイスコイル。
  7. 【請求項7】 前記自己融着性絶縁電線の融着層が前記
    請求項1〜4のボイスコイル用接着塗料を塗布焼付した
    ものであることを特徴とする請求項6記載のボイスコイ
    ル。
  8. 【請求項8】 前記請求項6又は7のボイスコイルに更
    に熱処理を施したことを特徴とするボイスコイル。
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