JP3456630B2 - 耐熱性向上自己融着線およびスピーカー用耐熱性ボイスコイル - Google Patents
耐熱性向上自己融着線およびスピーカー用耐熱性ボイスコイルInfo
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Description
カー用ボイスコイル(以下、ボイスコイルと略記する)
に関する。更に詳しくは、耐熱性が要求される偏向ヨー
ク、ボイスコイル、モーター用コイル等の電気機器用コ
イルを製造するのに好適で、180℃〜200℃の高温
下においても融着皮膜の皮膜変形量が少ない、即ち耐熱
接着力が優れている耐熱性向上自己融着線およびスピー
カー用耐熱性ボイスコイルに関する。
布,焼付けた自己融着線は、コイルの巻線後加熱または
溶剤処理により、融着皮膜が溶解又は膨潤し線間相互を
融着固化せしめ得ることから、簡単に自己支持型コイル
を作ることが可能である。例えば偏向ヨーク、ボイスコ
イル、モーター用コイル等の電気機器用コイルとして、
自己融着線を整列巻きにしたコイルが製造され,使用さ
れている。前記ボイスコイルやモーター用コイルに用い
られている自己融着線の融着塗料は、通常,アルコール
可溶性ポリアミド樹脂のみを有機溶剤に溶解して製造さ
れている。従って、この融着塗料を絶縁導体上に塗布,
焼付けた自己融着線の融着皮膜はアルコール可溶性ポリ
アミド樹脂から形成されている。
高性能化するとともに、ボイスコイルやモーターへの負
荷が大きくなるためにコイルの耐熱性向上が要求されて
いる。しかしながら、前記アルコール可溶性ポリアミド
樹脂は、融点が175℃〜195℃の熱可塑性樹脂であ
るため、自己融着線を巻線したコイルは200℃近辺に
おいて接着力の低下が著しくなり、耐熱性が十分ではな
かった。そのため、例えばボイスコイルの場合、近年の
高出力,高性能化が要求されるオーディオのスピーカー
等に使用できなかった。
点を解決するためになされたものであり、アルコール接
着が可能で、特にはボイスコイルに使用される耐熱性向
上自己融着線を提供し、またこの耐熱性向上自己融着線
を使用した、例えば200℃近辺の高温においても接着
力の低下がなく、十分な耐熱性を有するスピーカー用耐
熱性ボイスコイルを提供することを目的とする。
は、融点が150℃を超える高融点アルコール可溶性ポ
リアミド樹脂50〜90重量部に、芳香族系ポリアミド
樹脂10〜50重量部、及びフェノール樹脂20〜40
重量部を添加し、これを有機溶剤に溶解した融着塗料を
導体上に直接、または他の絶縁皮膜を介して塗布,焼付
け、アルコール可溶性に優れ、また耐熱性を向上させる
融着皮膜を形成させた耐熱性向上自己融着線(以下、耐
熱性自己融着線と略記する)にある。
ール可溶性ポリアミド樹脂(以下、高融点アルコール可
溶性ポリアミド樹脂と略記する)は、融着塗料の主成分
樹脂として用いられ、融着皮膜となった場合、接着力に
一番寄与する樹脂である。この高融点アルコール可溶性
ポリアミド樹脂の具体例としては、例えばM1178
(独国elf atchem社商品名:融点170℃〜
180℃)、M1603(独国elf atchem社
商品名:融点180℃〜190℃)等の樹脂が挙げられ
る。
脂に添加される芳香族系ポリアミド樹脂は、融着皮膜の
耐熱性向上を目的として添加する樹脂である。この芳香
族系ポリアミド樹脂の具体例としては、例えばT7X2
01EE(株式会社巴川製紙社商品名)等の樹脂が挙げ
られる。
寄与するために添加する樹脂であり、例えばPS−27
72(群栄化学工業社商品名)、ヒタノール1130
(日立化成社商品名)等の樹脂が挙げられる。
高融点アルコール可溶性ポリアミド樹脂を主成分とし、
これに芳香族系ポリアミド樹脂及びフェノール樹脂を添
加した融着塗料を絶縁導体上に塗布,焼付けすることに
よりアルコール可溶性に優れ、また耐熱性を向上させる
融着皮膜(融着層)が形成される。
ルに巻線後、更に加熱処理を行うことにより融着皮膜を
硬化することが可能となり、接着力が優れ、また耐熱性
が向上する。また、芳香族系ポリアミド樹脂及びフェノ
ール樹脂の添加は、融着皮膜の耐熱性の維持を行う作用
をする。以上のように、本発明の耐熱性自己融着線は、
優れた耐熱性が付与されるため、得られるコイルの耐熱
性が高くなり、高温環境下での使用に極めて好適とな
る。
の耐熱性向上自己融着線をアルコール系溶剤を用いて巻
き筒に巻線した後、更に熱処理を施してコイルの接着力
と耐熱性を向上させたスピーカー用耐熱性ボイスコイル
(以下、耐熱性ボイスコイルと略記する)にある。
は、前記耐熱性自己融着線を用いてボイスコイルに巻線
した後、更に熱処理されているため、コイルの接着力が
優れ、またコイルの耐熱性が高くなり、高温環境下での
使用に極めて好適となる。従って、高出力のボイスコイ
ルとしても極めて好適となる。
を挙げ、図を用いて詳しく説明する。なお、本発明は本
実施の形態に限定されるものではない。なお、実施の形
態については、実施例とも表示する。図1は本発明の耐
熱性自己融着線の1実施形態を示す断面図、図2は本発
明の耐熱性ボイスコイルの1実施形態を示す斜視図、図
3は本発明の耐熱性ボイスコイルの1実施形態を示す断
面図、図4はボイスコイルの接着強度を測定した結果を
示すグラフ図、図5はボイスコイルの接着強度を測定す
る方法を説明するための略図、また図6はボイスコイル
の耐熱接着強度を測定した結果を示すグラフ図である。
なお、図1は比較例の自己融着線にも使用しており、ま
た図2及び図3は比較例のボイスコイルにも使用してい
る。これらの図において、1は導体(銅線)、2は絶縁
皮膜(絶縁層)、3は融着皮膜(融着層)、4は耐熱性
自己融着線(自己融着線)、10は巻き筒(基材)、2
0は耐熱性ボイスコイル(ボイスコイル)、またAは引
張試験器である。
着塗料(以下、耐熱性融着塗料と略記する)の調製から
説明する。また、比較例の融着塗料の調製についても説
明する。 −実施形態1T− 攪拌機、温度計及び冷却管を取り付けた2000mlの
セパラブル丸底フラスコに、下記表1の配合組成表に従
って、主成分の高融点アルコール可溶性ポリアミド樹脂
のM1178を90g、芳香族系ポリアミド樹脂のT7
X201EEを10g、フェノール樹脂のPS−277
2を30g、及び有機溶剤としてクレゾール/キシロー
ル=1/1混合溶剤を870g入れ、60〜80℃の温
度で3時間攪拌して各樹脂を溶解した後、この溶液を室
温まで冷却し、濃度13%の実施形態1Tの耐熱性融着
塗料を調製した。
て濃度13%の実施形態2T〜5Tの融着塗料を調製し
た。
て濃度13%の比較例1T、2Tの融着塗料を調製し
た。
ついて図1を用いて説明する。また、比較例の自己融着
線の製造についても説明する。 −実施形態1− 導体径0.200mmの銅線(1) にポリエステル絶縁塗
料を外径が0.214mmとなるように塗布,焼付けし
て絶縁皮膜(絶縁層)(2) を設けた絶縁導体上に、前記
実施形態1Tにより得られた耐熱性融着塗料をダイスを
用いて5回掛けで塗布,焼付し、皮膜厚が5〜7μmの
融着皮膜(融着層)(3) を設けて実施形態1の耐熱性自
己融着線(4) を製造した。また、前記融着皮膜(3) の焼
付後、皮膜の表面に流動パラフィンを塗布してからボビ
ンに巻き取った。なお、前記焼付は2.5m長の横型電
気炉を用い、炉温260/300℃,線速40m/mi
nで行った。
をそれぞれ用いて皮膜厚が5〜7μmの融着皮膜(3) を
設ける以外は前記実施形態1と同様にして実施形態2〜
5の耐熱性自己融着線(4) を製造した。
それぞれ用いて皮膜厚が5〜7μmの融着皮膜(3) を設
ける以外は前記実施形態1と同様にして比較例1、2の
自己融着線(4) を製造した。
(4) 及び比較例1、2の自己融着線について一般特性試
験を行った。その結果を下記表2に示す。
熱性自己融着線はピンホール等の一般特性が良好なこと
が分かる。
1〜図3を用いて説明する。また、比較例のボイスコイ
ルの製造についても説明する。なお、自動巻線機等は図
示しない。 −実施形態1V− ボイスコイルのアルコール塗布による接着として、先
ず、基材がカプトンからなる巻き筒(10)を自動巻線機の
巻線治具に円筒状に取り付けた。次にこの巻き筒(10)
に、それぞれ、前記実施形態1により得られた耐熱性自
己融着線(4) にメタノールを塗布し、この融着線(4) の
融着皮膜(3) を膨潤,溶解させながら回転数500rp
mで整列に一層密巻きした。巻線後、常温にて30分乾
燥し、続いて120℃、140℃、160℃、180
℃、200℃及び220℃の各熱処理温度に設定した恒
温槽(図示せず)中にて、30分間保持するという熱処
理を行い、半硬化状態にあった融着皮膜樹脂を硬化さ
せ、実施形態1Vの試験用の耐熱性ボイスコイル(20)を
製造した。
例1V、比較例2V− 前記実施形態2〜5により得られた耐熱性自己融着線お
よび比較例1、2により得られた自己融着線を用いる以
外は、前記実施形態1Vと同様にして実施形態2V〜5
Vの試験用の耐熱性ボイスコイル(20)および比較例1
V、2Vの試験用のボイスコイル(20)を製造した。
得られた各種ボイスコイル(20)について接着力を測定し
た。その結果を図4に示す。なお、接着力の測定は、図
5に示すように、ボイスコイル(20)より巻き終り端末の
自己融着線(4)を巻き筒(10)より引き出してから専用の
治具に取り付け(図示せず)、引っ張り試験器(A)を
用いて常温(20℃)での接着力(平均値)を測定した
ものである。
に、本発明の耐熱性ボイスコイルは熱処理温度120℃
〜220℃の広範囲において接着力が優れていることが
分かる。このことは、本発明の耐熱性自己融着線の融着
皮膜がアルコール可溶性に優れていることによるもので
ある。また、220℃で融着皮膜を完全に硬化させた本
発明の耐熱性ボイスコイルは一段と接着力が優れている
ことが分かる。
イル(220℃×30分間熱処理品)(20)について耐熱
接着強度を測定した。その結果を図6に示す。なお、耐
熱接着強度の測定は、前記接着力試験と同様、図5に示
すように、前記ボイスコイル(20)より巻き終りの自己融
着線(4) を巻き筒(10)より引き出してから専用の治具に
取り付け、恒温槽(図示せず)中にて、40℃〜160
℃の雰囲気温度で、20℃間隔で各温度に3分間保持
し、そのときの接着力の平均値を引っ張り試験器(A)
を用いて測定したものである。
うに、本発明の耐熱ボイスコイルは耐熱接着力が優れて
いることが分かる。即ち、本発明の耐熱性自己融着線は
融着皮膜の皮膜変形量が少ないことが分かる。
ル可溶性に優れ、また耐熱性を向上させる融着皮膜が形
成されるため、得られるコイルの接着力が優れ、また耐
熱性が高くなり、高温環境下での使用に極めて好適とな
る。また、本発明の耐熱性ボイスコイルは、前記耐熱性
自己融着線を用いてボイスコイルに巻線後、更に熱処理
されているため、コイルの接着力が優れ、またコイルの
耐熱性が高く、高温環境下での使用に耐えられるため、
高出力のボイスコイルとして極めて好適となる。なお、
本発明ではボイスコイルについて詳述したが、耐熱性が
要求される偏向ヨーク、モーターコイル等の電気機器用
コイルに適用できるのは勿論である。従って、本発明は
産業に寄与する効果が極めて大である。
断面図である。(比較例の自己融着線にも使用)
す斜視図である。(比較例のボイスコイルにも使用)
す断面図である。(比較例のボイスコイルにも使用)
グラフ図である。
するための略図である。
示すグラフ図である。
Claims (2)
- 【請求項1】 融点が150℃を超える高融点アルコー
ル可溶性ポリアミド樹脂50〜90重量部に、芳香族系
ポリアミド樹脂10〜50重量部、及びフェノール樹脂
20〜40重量部を添加し、これを有機溶剤に溶解した
融着塗料を導体上に直接、または他の絶縁皮膜を介して
塗布,焼付け、アルコール可溶性に優れ、また耐熱性を
向上させる融着皮膜を形成させたことを特徴とする耐熱
性向上自己融着線。 - 【請求項2】 前記請求項1記載の耐熱性向上自己融着
線をアルコール系溶剤を用いて巻き筒に巻線した後、更
に熱処理を施してコイルの接着力と耐熱性を向上させた
ことを特徴とするスピーカー用耐熱性ボイスコイル。
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-
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