JP3519460B2 - ポリアミド系材料の染色法 - Google Patents
ポリアミド系材料の染色法Info
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及び絹の単独又はこれらと他の繊維との複合素材からな
るポリアミド系材料を、セルローズ繊維と共有結合する
ことができる反応染料を用いて染色する方法の改良に関
する。
これらと他の繊維との複合素材からなるポリアミド系材
料の染色にはこれまで、主として酸性染料又は直接染料
が用いられてきた。酸性染料や直接染料による染色は、
イオン結合や直接性による吸着によって染着が行われる
ため、染色物の湿潤堅牢度が充分ではない。そこで、染
料にフィックス処理等を行って湿潤堅牢度の低下を防止
しているのが現状である。しかしながら、フィックス処
理は高価で煩雑であり、より安価で簡便な方法が望まれ
ていた。
タン等の他素材を含有させて機能性を付与したものにお
いては、このことにより湿潤堅牢度や塩素堅牢度が低下
することとなり、これらの向上が望まれていた。上記堅
牢度を向上させる方法としては、繊維と化学結合するこ
とができる反応染料による吸尽染色がある。吸尽染色
は、同時に染色が濃厚かつ鮮明となり好ましい。しかし
ながら、合成ポリアミドについては、この方法によって
も、充分な染着を得ることができず、充分に実用化され
ることがなかった。
用いて堅牢度を高める工夫がなされているが、一般的な
反応染料を使用する場合には、湿潤堅牢度及び染着の両
面でなお実用的なほど満足のゆく結果が得られていな
い。更に、絹の反応染料による染色では、セルローズ繊
維の染色と同様の染浴で炭酸ナトリウム等の脱酸剤の存
在下で染色することが行われているが、この脱酸剤は絹
の風合を低下させ商品価値を減少させる等の問題点があ
った。
鑑み、合成ポリアミド、羊毛及び絹の単独又はこれらと
他の繊維との複合素材からなるポリアミド系材料を反応
染料を用いて染色する場合に、上記問題点を克服しつつ
充分な染着を達成する技術を確立する目的で鋭意研究を
重ねた。
は、これまでむしろ緩染剤として使用されていた無機中
性塩を、染色時に反応染料とともに存在させておくこと
により、見事に上記課題が解決することを見いだし、本
発明に到達した。
の反応染料による染色を無機中性塩を含有する染浴で行
うところにある。以下、本発明を詳述する。
単独又はこれらと他の繊維との複合素材を染色するのに
適用することができる。本発明において、合成ポリアミ
ドとしては、例えば、6ナイロン、66ナイロン、アラ
ミド繊維等を挙げることができるが、その中でも特に、
6ナイロン、66ナイロン等が望ましい。
ミドのほか、羊毛、絹等を被染色物として用いることが
できる。本発明においてはまた、上記のほか、合成ポリ
アミド、羊毛、絹等とその他の繊維との複合素材を被染
色物として用いることができる。
と共有結合することができる反応染料としては、セルロ
ーズ繊維用として一般に使用されている反応染料を適宜
用いることができる。このようなものとして、例えば、
反応基としてジクロロトリアジン基、ジクロロキノキサ
リン基、スルファートエチルスルホン基、ビニルスルホ
ン基、ジフルオロモノクロロピリミジン基、モノクロロ
トリアジン基、トリクロロピリミジン基、モノフルオロ
トリアジン基等を、1個又は2個以上有する染料等を挙
げることができる。その中でも、モノクロロトリアジン
基を2個以上有する同種多官能型反応基、スルファート
エチルスルホン基又はビニールスルホン基とモノクロロ
トリアジン基を有する異種多官能型反応基を有する染料
等が好ましい。
ては、例えば、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、塩化ナ
トリウム、塩化カリウム等を挙げることができる。硫酸
ナトリウムは、特に好ましい。本発明においては、これ
らの無機中性塩の2種以上を混合して用いることができ
る。
以上添加することが好ましい。染料によっても異なる
が、20〜100g/lが更に好ましく、60〜80g
/lが特に好ましい。無機中性塩は、一般的に染料中に
含有されているものであるが、その含有量はたかだか
0.2g/l程度であり、この量では本発明の目的を達
成することはできない。
3〜7であることが好ましい。その中でも5〜6が特に
好ましい。本発明の染浴のpHを調節するために、脱酸
剤としてのアルカリ剤を加える必要はない。本発明にお
いては、染料が溶解して示すそのままのpHで染色する
ことができるが、場合によっては酸性浴に調整してもよ
い。この場合には、酸性にするために酢酸等を加えるこ
とができる。硫酸を加えることは、酸性側に傾きすぎて
染色物の色相を暗ませる等の悪影響を与えるため、本発
明の目的のためには好ましくない。
例えば、脱酸剤を使用する等により染料の加水分解が生
じやすいので、染浴の温度を余り高くすることができな
いが、本発明の染色法においては染色に必要な高温度を
保つことができる。本発明によって合成ポリアミドを染
色する場合には、例えば、95℃以上の高温で染色する
ことができる。
えば、60℃以上の温度で染色することができるが、例
えば、95℃以上の高温で染色することにより本発明の
目的を容易に達成することができる。
きる。このような場合には、まず、反応染料を秤量し、
イオン交換水による熱湯又は常温水に溶解する。必要に
応じて、浸透剤、溶解助剤等を加えてもよい。ここに本
発明に係る無機中性塩を加え、その後、適宜水を加えて
全量を被染物重量の20倍程度の染浴とする。場合によ
っては、それぞれを分割して加えてもよく、また追加し
てもよい。pHを調整する必要があるときには、酢酸を
適宜加えることができる。本発明においては、この染浴
中に被染物を浸す。
し、所定の温度で30分ないし90分間染色することが
できる。ここでpHを更に調整する必要があるときに
は、追酸として酢酸を加えることができる。染色の後、
排液し、被染物を水洗した後、一般的なソーピング剤で
ソーピングをすることができる。その後、水洗し乾燥し
て仕上げることができる。本発明は、合成ポリアミド、
羊毛、及び絹ばかりではなく、これらと他の繊維との複
合素材にも適用することができる。
に染色することは技術的に難しいが、本発明によれば、
単に温度を変化させるだけで、このような複合繊維素材
を均一に染色することができる。このような複合繊維素
材を同色ではなく異色に染色するときには、温度を低下
させた後に染料を変えることにより目的を達成すること
ができる。
に詳しく説明する。
てスミフィクススプラブリリアントレッドGF(住友化
学工業社製)を4%(被染物重量に対して)使用し、無
水硫酸ナトリウムを80g/l(染浴1lに対して)、
及び染色用水としてイオン交換水を用いて、被染物重量
の20倍量の染浴を調製し、常温ないし40℃から染色
を開始した。排液し、水洗後、アデカノールTS−80
0(旭電化工業社製)2g/lのソーピング浴で100
℃で3分間処理し、水洗し乾燥して仕上げた。
度(JIS A3法)、水堅牢度(JIS A法)による
湿潤堅牢度で、変退色、白布汚染ともほとんど認められ
ない極めて堅牢な染色物を得た。これに対して、上記の
無水硫酸ナトリウムを加えないこと以外は全く同様にし
て処理をしたところ、非常にうすい染色物を得た。この
ものは実用性に乏しいものであった。
てスミフィクススプラブリリアントレッド3BFを4%
(被染物重量に対して)使用し、無水硫酸ナトリウム8
0g/lと酢酸3g/l(染浴1lに対して)、及び染
色用水としてイオン交換水を用いて、被染物重量の20
倍量の染浴を調製し、常温ないし40℃から染色を開始
した。引き続き実施例1と同じ条件で染色し、水洗し乾
燥して仕上げた。
度(JIS A3法)、水堅牢度(JIS A法)による
湿潤堅牢度で、変退色、白布汚染ともほとんど認められ
ない極めて堅牢な染色物を得た。これに対して、上記の
無水硫酸ナトリウム及び酢酸を加えないこと以外は全く
同様にして処理をしたところ、非常にうすい染色物を得
た。このものは実用性に乏しいものであった。
ドGFの代わりに、反応基の異なるスミフィクスブリリ
アントレッドBBスペシャル150%(住友化学工業社
製)を4%用いたこと以外は実施例1と全く同様にして
染色し仕上げた。得られた染色物は濃厚であった。洗濯
堅牢度(JIS A3法)、水堅牢度(JIS A法)に
よる湿潤堅牢度で、変退色、白布汚染ともほとんど認め
られない極めて堅牢な染色物を得た。
ド3BFの代わりに、反応基の異なるチバクロンレッド
F−B(チバガイギー社製)を4%(被染物重量に対し
て)用いたこと以外は実施例2と全く同様にして染色し
仕上げた。得られた染色物は濃厚であった。洗濯堅牢度
(JIS A3法)、水堅牢度(JIS A法)による湿
潤堅牢度で、変退色、白布汚染ともほとんど認められな
い極めて堅牢な染色物を得た。
フィクススプラブリリアントレッドBSFを4%(被染
物重量に対して)、及び染色用水としてイオン交換水を
用いて、被染物重量の20倍量の染浴を調製した。この
染浴1lに対して無水硫酸ナトリウム0g、5g、20
g、40g、80g及び100gの量を加えて、実施例
1と同様にして、それぞれ染色し、仕上げた。無水硫酸
ナトリウム0g添加の場合には、ほとんど染色されなか
った。無水硫酸ナトリウム5g添加の場合には、明らか
に染着が向上した。無水硫酸ナトリウム添加量が増える
に従って、大幅に染着が向上し、80g添加した場合の
向上が最高に達して、100g添加した場合も同様の向
上を示した。
クススプラブリリアントレッド3BFを4%(被染物重
量に対して)、及び染色用水としてイオン交換水を用い
て、被染物重量の20倍量の染浴を調製した。この染浴
1lに対して無水硫酸ナトリウム0g、5g、20g、
40g、80g及び100gの量を加えて、実施例1と
同様にして、それぞれ染色し、仕上げた。無水硫酸ナト
リウム0g添加の場合には、ほとんど染色されなかっ
た。無水硫酸ナトリウム5g添加の場合には、明らかに
染着が向上した。無水硫酸ナトリウム添加量が増えるに
従って、大幅に染着が向上し、80g添加した場合の向
上が最高に達して、100g添加した場合も同様の向上
を示した。これに対して、無水硫酸ナトリウム添加と同
時に酢酸を加えて弱酸性とした以外は上記と同様に処理
したところ、無水硫酸ナトリウムの量に無関係にいずれ
も良好な染着が認められなかった。
てたニットを、スミフィクススプラブリリアントレッド
3BF(住友化学工業社製)2.5%(被染物重量に対
して)、無水硫酸ナトリウム80g/l、酢酸3g/l
を、被染物重量に対して20倍量の染浴に浸漬し、10
0℃で50分間ポリアミド側の染色を行って排液した。
次に被染物の20倍量の水とスミフィクススプラブルー
BRF(住友化学工業社製)2.5%、無水炭酸ナトリ
ウム20g/l、無水硫酸ナトリウム40g/lを加え
て、25℃から20分で50℃としてから50分間、綿
の染色を行った。排液し、水洗して、マルセル石鹸2g
/lで95℃で5分間ソーピングして仕上げた。
ブルーの明らかに異色の染色物が得られた。これに対し
て、ポリアミド繊維側の染色を本発明の無水硫酸ナトリ
ウムと酢酸とを加えないこと以外は上記と全く同じ条件
で染色したところ、ポリアミド側が濃厚なレッド色が得
られず、明確な異色の染色物が得られなかった。
(2)からなる混紡編物(間宮メリヤス社製、435
5)と、片面にポリアミド繊維(48)とポリウレタン
(2)、他の面に綿(50)からなるリバーシブルの編
物(日新繊維社製、33420)を被染物として、スミ
フィクスブラックEX Conc Gran(住友化学工
業社製)12%(被染物重量に対して)、レバフィクス
ゴールデンイエローE−G(バイエル社製)0.1%、
レバフィクスレッドK−GR(バイエル社製)0.8
%、スミフィクススプラネービブルー3GF(住友化学
工業社製)1.2%、無水硫酸ナトリウム80g/l
を、被染物重量に対して20倍量の染浴に浸漬し、10
0℃で30分間ポリアミド側の染色を行った。次にその
染浴の温度を60℃まで低下させた後、無水炭酸ナトリ
ウム20g/lを加えて40分間綿側の染色を行った。
ここで染液を排液し、水洗して、マルセル石鹸2g/l
で95℃で5分間ソーピングした後、水洗して排液し
た。最後にセンカフィックス401(日本染化社製)
1.5g/lのフィクス浴で50℃で20分間処理した
後、水洗して仕上げた。
リウレタン(2)の混紡編物及びポリアミド繊維(4
8)、ポリウレタン(2)、綿(50)のリバーシブル
編物のいづれにおいてもポリアミド繊維側と綿側が同色
で濃厚な黒色の染色物が得られ、大幅な時間短縮で1日
2バッチの染色が可能になった。これに対して、先ず、
ポリアミド繊維側を酸性染料で100℃で30〜60分
間分間染色した後、排液し、その後綿側を反応染料で染
色する二浴法で同色に染色したところ、長時間を要して
1日1バッチしか染色できず、用水の少なくとも倍量の
使用が必要で大幅な染色のコストアップを生じた。
り、また湿潤堅牢度及び染着の両面で実用的な染色物が
得られるようになった。
Claims (2)
- 【請求項1】 合成ポリアミド、羊毛及び絹の単独又は
これらと他の繊維(セルローズ繊維を除く)との複合素
材からなるポリアミド系材料を、セルローズ繊維と共有
結合することができる反応染料を用いて染色する場合に
おいて、無機中性塩を20g/lを超えて100g/l
以下含有する酸性浴又は中性浴(界面活性剤を含有する
態様、グリシジル基を有する化合物を含有する態様及び
脱酸剤を含有する態様を除く)で染色することを特徴と
するポリアミド系材料の染色法。 - 【請求項2】 無機中性塩が硫酸ナトリウムである請求
項1記載の染色法。
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