JP3498761B2 - 長波長紫外線吸収能を有するポリビニルアルコールフィルム、その製造方法および積層体 - Google Patents

長波長紫外線吸収能を有するポリビニルアルコールフィルム、その製造方法および積層体

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、偏光サングラスや液晶
表示装置などに用いられる偏光フィルム、窓、衣類や食
品などの包装に用いられる包装材料、あるいはその他の
目的に用いられる種々の材料として使用することができ
る、長波長の紫外線をも吸収することができるポリビニ
ルアルコールフィルム、その製造方法及びそのフィルム
を使用した積層体に関するものである。さらに詳しく
は、人体、衣類、食品及び樹脂などに有害な紫外線、特
に360〜400nmの長波長の紫外線をも遮断するこ
とができるポリビニルアルコールフィルム、その製造方
法及びそのフィルムを使用した積層体に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】近年、紫外線の人体、衣類、食品及び樹
脂などに対する有害性についての認識が深まり、従来は
比較的安全と考えられていた長波長の紫外線、特に36
0〜400nmの紫外線の有害性も指摘されるようにな
ってきた。このため長波長の紫外線、特に360〜40
0nmの紫外線をも遮断する技術が要望されている。特
に、透明性樹脂であるポリビニルアルコールフィルム
は、その特異な性質から偏光フィルム、包装材料及びそ
の他の材料として広く用いられており、ポリビニルアル
コールフィルムそのものに紫外線吸収能、特に長波長の
紫外線吸収能を付与することへの要望が高まっている。
【0003】一般的なポリビニルアルコールフィルムの
製造方法としては、溶融押し出し方式とキャスティング
方式がある。しかし、これらの方法で長波長の紫外線を
も吸収することができるフィルムを製造しようとする
と、一般に紫外線吸収剤の長波長の紫外線吸収能は十分
ではないために紫外線吸収剤を大量に添加しなければな
らず、紫外線吸収剤の昇華や揮散、フィルムの外観の悪
化や強度の低下などの問題が発生してしまうため、実用
性に乏しい。
【0004】一方では、紫外線吸収剤の長波長の紫外線
吸収能を増加させて使用するいくつかの提案がなされて
いる。例えば、オルトヒドロキシベンゾフェノンとクロ
ムまたはアルミニウムとからなる水溶性のウェルナー錯
体が知られている(米国特許第2,989,416号明細
書)。この錯体で、種々の高分子からなる形成品、フィ
ルム及び繊維などの表面を被覆することによって、内部
を紫外線から保護することができるが、この錯体は長波
長の紫外線、特に380〜400nmの紫外線を十分に
遮断することはできない。また、2,2’,4,4’−テ
トラヒドロキシベンゾフェノン、水酸化アンモニウム、
金属塩、アミンからなる反応混合物でプラスチックの表
面を被覆して紫外線及び赤外線を遮断する方法が知られ
ているが(米国特許第4,874,672号明細書)、こ
の方法は酸素の存在下での光反応によって被覆を形成す
る必要があり、工程が煩雑であるばかりでなく、長波長
の紫外線の遮断効果も十分であるとは言えない。
【0005】さらに、ポリビニルアルコール含有溶液に
金属酸化物微粒子を分散させ、ガラス面に噴霧乾燥し成
膜する方法(特開平1−306435号、及び特開平2
−75683号公報参照)、ポリビニルアルコール及び
ポリタングステン酸含有溶液を基材上で塗布乾燥してフ
ィルムを形成する方法(特開平2−41337号公報参
照)なども提案されているが、いずれの方法も、操作が
煩雑であるだけでなく、得られたフィルムの紫外線吸収
能が十分ではない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の第1の目的
は、人体、衣類、食品及び樹脂などに有害な紫外線、特
に360〜400nmの長波長の紫外線の遮断効果に優
れたポリビニルアルコールフィルムを提供することにあ
る。本発明の第2の目的は、簡単な工程でかつ安価に製
造することが可能な、前記効果を有するポリビニルアル
コールフィルムを提供することにある。本発明の第3の
目的は、前記効果を有するポリビニルアルコールフィル
ムの工業的に有利な製造方法を提供することにある。本
発明の第4の目的は、前記効果を有するポリビニルアル
コールフィルムを使用した積層体を提供することにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らの研究によれ
ば、前記本発明の目的は、下記一般式(I)
【0008】
【化2】
【0009】[式中、X及びYは、同一もしくは異な
る、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキ
シル基、アミノ基、アシル基、カルボキシル基、スルホ
ン酸基またはそれらの金属塩を示し、a、b、c及びd
は独立して、0〜5の整数を示し、(c+d)は1〜1
0の整数、(a+c)は0〜5の整数、(b+d)は0
〜5の整数である。]で表わされるヒドロキシベンゾフ
ェノン化合物と、(i)アルカリ金属の水酸化物、炭酸
塩或いは重炭酸塩及び(ii)アンモニウムの炭酸塩或
いは重炭酸塩よりなる群から選ばれた少なくとも1種の
塩基性化合物との複合物の少なくとも1種を含有するこ
とを特徴とするポリビニルアルコールフィルムによって
達成されることが見出された。
【0010】また本発明者らの研究によれば、前記本発
明の目的は、ポリビニルアルコールフィルムを、 (a)前記一般式(I)で表わされるヒドロキシベンゾ
フェノン化合物及び(b)(i)アルカリ金属の水酸化
物、炭酸塩或いは重炭酸塩及び(ii)アンモニウムの
炭酸塩或いは重炭酸塩よりなる群から選ばれた少なくと
も1種の塩基性化合物とを含有する水性媒体溶液に浸漬
し、次いで乾燥することを特徴とする前記特性を有する
ポリビニルアルコールフィルムの製造方法によって達成
されることが見出された。
【0011】以下本発明についてさらに具体的に説明す
る。本発明において、前記複合物を含有しないベースフ
ィルムとしてのポリビニルアルコールフィルムを、以下
単に“PVAフィルム(B)”と略称し、前記複合物を
含有する、目的物であるポリビニルアルコールフィルム
を以下“PVAフィルム(A)”と略称することがあ
る。本発明の目的物としてのPVAフィルム(A)中に
は、前記一般式(I)で表わされるヒドロキシベンゾフ
ェノン化合物と前記の塩基性化合物との複合物を含有し
ている。
【0012】ベースフィルムとしてのPVAフィルム
(B)は、例えば偏光フィルム、包装材料などのための
ポリビニルアルコールフィルムとして通常使用されてい
るものであればよく、未延伸フィルム或いは延伸フィル
ムのいずれでもよい。またその延伸は一軸延伸でもまた
二軸延伸のいずれでもよい。このPVAフィルム(B)
の厚さは、使用する分野或いは積層されるべき他の樹脂
フィルムまたはガラスによっても異なるが、一般に5〜
500μm、好ましくは10〜100μmの範囲が適当
である。
【0013】またPVAフィルム(B)を形成するポリ
ビニルアルコールは、そのポリマー中にビニルアルコー
ル単位を全単位量体単位中に少なくとも70モル%、好
ましくは少なくとも80モル%含有するものが望まし
く、他の単量体、例えばエチレン、ステアリン酸ビニ
ル、メチルビニルエーテル、メチル(メタ)アクリレー
ト、アクリルアミド、アクリル酸またはそのエステル、
ビニルスルホン酸、ビニルピリジン及びアリルアルコー
ルなどの共重合可能なビニル単量体を少割合共重合して
いても何等差支えない。さらにポリビニルアルコール
は、完全にケン化されていてもよく或いは部分的にケン
化されていてもよい。さらにPVAフィルム(B)は部
分的にホルマール化、アセタール化されたものでもよ
い。またPVAフィルム(B)は、ヨウ素または染料に
よって、可視光領域の透過率を適当に調整されたもので
あってもよい。
【0014】本発明においてPVAフィルム(A)中に
含有される複合物を形成するヒドロキシベンゾフェノン
化合物は前記一般式(I)で表わされる。前記一般式
(I)においてX及びYは、同一もしくは異なっていて
もよく、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アル
コキシル基、アミノ基、アシル基、カルボキシル基、ス
ルホン酸基またはそれらの金属塩を示す。これらX及び
Yの具体例としては、弗素、塩素、臭素または沃素の如
きハロゲン原子;メチル、エチル、プロピル、ブチルま
たはヘキシルの如き炭素数1〜6の低級アルチル基;フ
ェニルまたはナフチルの如き炭素数6〜15のアリール
基、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシまたは
ヘキシルオキシの如き炭素数1〜6の低級アルコキシル
基;アミノ基;アセチルまたはプロピオニルの如き炭素
数2〜6のアシル基;カルボキシル基;スルホン酸基が
挙げられる。カルボキシル基またはスルホン酸基の場
合、これらはアルカリ金属、アルカリ土類金属などの金
属塩であってもよい。
【0015】また前記一般式(I)において、a、b、
c及びdはそれぞれ独立して0〜5の整数を示すが、
(c+d)は1〜10の整数、好ましくは2〜6の整数
を示し、(a+c)は0〜5の整数を示し、且つ(b+
d)は0〜5の整数を示す。前記一般式(I)において
c及びdはヒドロキシル基の数を示すが、その内の1個
は少なくとも2位(または2’位)に存在している化合
物が好ましい。
【0016】前記一般式(I)で表わされるヒドロキシ
ベンゾフェノン化合物の具体例としては、例えば2−ヒ
ドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキ
シ−4−クロロベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−
メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、2−ヒドロ
キシ−2’−カルボキシ−4−メトキシベンゾフェノ
ン、2,2’−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジ
ヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−ジヒドロキシベ
ンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシ
ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジ
メトキシベンゾフェノン、2,2’,4−トリヒドロキシ
ベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシ
ベンゾフェノン、2,2’,5,5’−テトラヒドロキシ
ベンゾフェノン、2,2’,4,5’−テトラヒドロキシ
ベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシ
−6,6’−ジメチルベンゾフェノン及び2,2’,3,
3’,4,4’−ヘキサヒドロキシベンゾフェノン等を挙
げることができる。これらのうち、好ましいものとして
は、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェ
ノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェ
ノンを挙げることができる。
【0017】本発明におけるPVAフィルム(A)中に
含有されている複合物は、前記一般式(I)で表わされ
るヒドロキシベンゾフェノン化合物と下記(i)または
(ii)の塩基性化合物とから形成されている。 (i)アルカリ金属の水酸化物、炭素塩或いは重炭酸塩 (ii)アンモニウムの炭酸塩或いは重炭酸塩 前記(i)におけるアルカリ金属としては、リチウム、
ナトリウムまたはカリウムが挙げられ、(i)に属する
化合物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、
水酸化カリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸
カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム及び
炭酸水素カリウムが例示される。また前記(ii)に属
する化合物としては炭酸アンモニウム及び炭酸水素アン
モニウムが例示される。
【0018】本発明において使用される複合物は、前記
一般式(I)で表わされるヒドロキシベンゾフェノン化
合物と前記塩基性化合物とから形成されているが、この
複合物における両者の割合は、ヒドロキシベンゾフェノ
ン化合物における水酸(OH)基の結合位置及び数、塩
基性化合物の種類及びこれらの組合せによって主として
変化する。またヒドロキシベンゾフェノン化合物と塩基
性化合物の組合せが同じであっても、複合物中の両者の
割合は必ずしも一定の値とは決っていない。
【0019】しかし、複合物の下記式で表わされる複合
【数1】複合比=塩基性化合物(モル)/ヒドロキシベ
ンゾフェノン化合物(モル)
【0020】の値は、通常0.1〜10の範囲、好まし
くは0.2〜5の範囲にあるのが適当である。
【0021】本発明のPVAフィルム(A)において、
そのフィルム中に前記複合物が長波長の紫外線を遮断す
るのに有効な量含有されている限り、フィルムとしての
目的を達成することができる。ここで長波長とは360
〜400nmの波長を云う。本発明のPVAフィルム
(A)中の複合物は、複合物の形態でその量を分析する
ことは困難であるが、フィルム(A)中に含まれるヒド
ロキシベンゾフェノン化合物と塩基性化合物とのそれぞ
れの化合物の形態で分析することは後述する方法によっ
て容易である。
【0022】かくして本発明のPVAフィルム(A)中
のヒドロキシベンゾフェノン化合物の量は、分析された
量として表わしてフィルム1cm2当り、6〜600μ
g、好ましくは10〜500μgの範囲であるのが適当
である。そして塩基性化合物の割合は、分析された値と
して前記複合比で表して0.1〜10、好ましくは0.2
〜5の範囲であるのが有効である。前述したように、本
発明のPVAフィルム(A)は、PVAフィルム(B)
を、(a)前記ヒドロキシベンゾフェノン化合物及び
(b)前記塩基性化合物を含有する水性媒体溶液に浸漬
処理し、次いで乾燥することによって製造することがで
きる。
【0023】この際水性媒体溶液を形成する溶媒として
は、水単独溶媒のみならず、水とそれに相溶性のある有
機溶媒との混合溶媒が使用される。水と有機溶媒との混
合溶媒を使用する場合、その割合は重量で95:5〜
5:95の範囲、特に90:10〜10:90の範囲が
適当である。水と混合される有機溶媒としてはメタノー
ル、エタノール、アセトニトリル、テトラヒドロフラン
及びテトラヒドロピランなどが例示される。
【0024】浸漬処理に使用される水性媒体溶液中にお
けるヒドロキシベンゾフェノン化合物の濃度は、PVA
フィルム(A)中にヒドロキシベンゾフェノン化合物が
前記した量含有されるような範囲であればよいが、一般
に0.5〜500g/リットル、好ましくは1〜100
g/リットルの範囲が適当である。また水性媒体溶液中
の塩基性化合物の量は、その溶液中のヒドロキシベンゾ
フェノン化合物1モル当り0.1〜10モル、好ましく
は0.2〜5モルの範囲であるのが望ましい。一般に塩
基性化合物の割合が多い程、ヒドロキシベンゾフェノン
化合物が溶解し易くなると共に、得られたPVAフィル
ム(A)の紫外線吸収能が長波長側に移行する傾向にな
る。一方塩基性化合物の割合が前記範囲よりも少ない場
合、得られたフィルムの長波長の紫外線の吸収能が不充
分となる。また塩基性化合物の割合が前記範囲よりあま
りに高いと、得られたフィルムの耐久性や強度が低下し
たり、PVAフィルム(A)中に前記複合物を充分に含
有させることができなかったりするため好ましくない。
【0025】また水性媒体溶液中に塩化ナトリウム、硫
酸ナトリウム、塩化カリウム、硫酸カリウムなどに例示
される中性無機塩を0.1〜100g/リットルの濃度
になる量加えて、ヒドロキシベンゾフェノン化合物と塩
基性化合物との複合物のポリビニルアルコールへの染着
性をより高めることも好ましい。PVAフィルム(B)
の浸漬処理は、10〜80℃、好ましくは20〜50℃
の温度で0.1〜120分間、好ましくは0.5〜60分
間実施するのが望ましい。 前記した浸漬処理したフィ
ルムは、次いで乾燥処理することにより、目的とするP
VAフィルム(A)を得ることができる。この乾燥処理
は溶媒が除去される条件で実施されるが、通常30〜1
50℃、好ましくは50〜120℃の温度で、0.1〜
120分間、好ましくは1〜60分間行われる。
【0026】かくして得られた本発明のPVAフィルム
(A)は前記複合物を長波長の紫外線の遮断に充分な有
効量を含有している。本発明のPVAフィルム(A)
は、紫外線特に360〜400nmの長波長の紫外線を
遮断する効果が極めて高い。本発明のPVAフィルム
(A)は例えば、400nmの波長の紫外線の透過率は
4%またはそれ以下であるという優れた効果を有してい
る。
【0027】本発明のPVAフィルム(A)は、それ自
体、知られた用途に使用できる。特に偏光サングラスや
液晶表示装置などに用いられる偏光フィルム、衣類や食
品などの包装に用いられる包装材料などに利用できる。
その際、ポリカーボネート樹脂、ポリメタクリル酸メチ
ルなどのアクリル樹脂、ポリジエチレングリコール−ビ
ス(アリルカーボネート)などのアリル樹脂、トリアセ
チルセルロースなどのセルロース系樹脂、ポリエチレン
テレフタレートなどのポリエステル樹脂またはポリプロ
ピレン樹脂などの透明樹脂フィルムまたはガラス板を、
PVAフィルム(A)の片面、または両面に積層して利
用するのが好ましいが、両面に積層して利用するのがよ
り好ましい。
【0028】
【実施例】以下の実施例により本発明を更に詳しく説明
するが、これらは例示的なものであり、本発明はこれら
に限定されるものではない。なお、実施例及び比較例に
おいて、透過率は分光光度計(日本分光工業(株)製、
商品名:Ubest−35)を用いて測定し、単板透過
率を可視部400〜700nmの透過率を視感度補正し
て求めた。
【0029】また、ポリビニルアルコールフィルム中の
ヒドロキシベンゾフェノン化合物及び塩基性化合物は、
それぞれ下記の測定法に従って分析された。 (1) ヒドロキシベンゾフェノン化合物の分析 PVAフィルム(A)を温水などに溶かして調整した溶
液をHPLCで分析し、ポリビニルアルコールフィルム
中のヒドロキシベンゾフェノン化合物を定量した。 (2) 塩基性化合物の分析 上記の溶液を、ヒドロキシベンゾフェノン化合物の吸収
波長のシフトを観察しながら塩酸で滴定し、シフトが完
了するのに要した塩酸の量からポリビニルアルコールフ
ィルム中の塩基性化合物を定量した。
【0030】実施例1 ポリビニルアルコールフィルム[(株)クラレ製、商品
名:クラレビニロンVF9P75RB]を35℃の水中
に5分間浸漬して水洗し、水中で1軸方向に2.6倍に
延伸した。このフィルムを2,2’,4,4’−テトラヒ
ドロキシベンゾフェノン:2.00g/Lと水酸化ナト
リウム:0.32g/Lを含む35℃の水溶液(ヒドロ
キシベンゾフェノンと水酸化ナトリウムとのモル比1:
1)に5分間浸漬し、水溶液中で1軸方向に4倍に延伸
した後、110℃で3分間乾燥して長波長紫外線吸収能
を有するポリビニルアルコールフィルムを得た。このフ
ィルムの380nmの透過率は0.1%、400nmの
透過率は0.1%、420nmの透過率は4.9%であっ
た。また、このフィルムの1cm2当たりのヒドロキシ
ベンゾフェノンの含有量は94.3μg、ヒドロキシベ
ンゾフェノンと水酸化ナトリウムの複合比は0.98で
あった。
【0031】実施例2 2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン:
2.00g/Lと水酸化ナトリウム:0.65g/Lを含
む水溶液(ヒドロキシベンゾフェノンと水酸化ナトリウ
ムとのモル比1:2)を調製し、該溶液を用いて実施例
1と同様の操作を行い、長波長紫外線吸収能を有するポ
リビニルアルコールフィルムを得た。このフィルムの3
80nmの透過率は0.1%、400nmの透過率は0.
1%、420nmの透過率は0.2%であった。また、
このフィルムの1cm2当たりのヒドロキシベンゾフェ
ノンの含有量は74.2μg、ヒドロキシベンゾフェノ
ンと水酸化ナトリウムの複合比は1.95であった。
【0032】実施例3 2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン:
2.00g/Lと水酸化ナトリウム:0.32g/Lと硫
酸ナトリウム:10.00g/Lを含む水溶液(ヒドロ
キシベンゾフェノンと水酸化ナトリウムとのモル比1:
1)を調製し、該溶液を用いて実施例1と同様の操作を
行い、長波長紫外線吸収能を有するポリビニルアルコー
ルフィルムを得た。このフィルムの380nmの透過率
は0.1%、400nmの透過率は0.1%、420nm
の透過率は0.2%であった。また、このフィルムの1
cm2当たりのヒドロキシベンゾフェノンの含有量は1
27.3μg、ヒドロキシベンゾフェノンと水酸化ナト
リウムの複合比は0.98であった。
【0033】実施例4 2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン:
2.00g/Lと水酸化ナトリウム:0.32g/Lと塩
化ナトリウム:10.00g/Lを含む水溶液(ヒドロ
キシベンゾフェノンと水酸化ナトリウムとのモル比1:
1)を調製し、該溶液を用いて実施例1と同様の操作を
行い、長波長紫外線吸収能を有するポリビニルアルコー
ルフィルムを得た。このフィルムの380nmの透過率
は0.1%、400nmの透過率は0.1%、420nm
の透過率は0.4%であった。また、このフィルムの1
cm2当たりのヒドロキシベンゾフェノンの含有量は1
25.0μg、ヒドロキシベンゾフェノンと水酸化ナト
リウムの複合比は0.97であった。
【0034】実施例5 2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン:
2.00g/Lと水酸化カリウム:0.46g/Lを含む
水溶液(ヒドロキシベンゾフェノンと水酸化カリウムと
のモル比1:1)を調製し、該溶液を用いて実施例1と
同様の操作を行い、長波長紫外線吸収能を有するポリビ
ニルアルコールフィルムを得た。このフィルムの380
nmの透過率は0.1%、400nmの透過率は0.2
%、420nmの透過率は5.1%であった。また、こ
のフィルムの1cm2当たりのヒドロキシベンゾフェノ
ンの含有量は90.2μg、ヒドロキシベンゾフェノン
と水酸化カリウムの複合比は0.99であった。
【0035】実施例6 2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン:
2.00g/Lと炭酸ナトリウム:0.86g/Lを含む
水溶液(ヒドロキシベンゾフェノンと炭酸ナトリウムと
のモル比1:1)を調製し、該溶液を用いて実施例1と
同様の操作を行い、長波長紫外線吸収能を有するポリビ
ニルアルコールフィルムを得た。このフィルムの380
nmの透過率は0.1%、400nmの透過率は0.1
%、420nmの透過率は0.8%であった。また、こ
のフィルムの1cm2当たりのヒドロキシベンゾフェノ
ンの含有量は101.2μg、ヒドロキシベンゾフェノ
ンと炭酸ナトリウムの複合比は0.96であった。
【0036】実施例7 2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン:
2.00g/Lと炭酸アンモニウム:0.78g/Lを含
む水溶液(ヒドロキシベンゾフェノンと炭酸アンモニウ
ムとのモル比1:1)を調製し、該溶液を用いて実施例
1と同様の操作を行い、長波長紫外線吸収能を有するポ
リビニルアルコールフィルムを得た。このフィルムの3
80nmの透過率は0.1%、400nmの透過率は1.
8%、420nmの透過率は28.7%であった。ま
た、このフィルムの1cm2当たりのヒドロキシベンゾ
フェノンの含有量は71.3μg、ヒドロキシベンゾフ
ェノンと炭酸アンモニウムの複合比は0.95であっ
た。
【0037】実施例8 2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン:
2.00g/Lと炭酸水素アンモニウム:0.64g/L
を含む水溶液(ヒドロキシベンゾフェノンと炭酸水素ア
ンモニウムとのモル比1:1)を調製し、該溶液を用い
て実施例1と同様の操作を行い、長波長紫外線吸収能を
有するポリビニルアルコールフィルムを得た。このフィ
ルムの380nmの透過率は0.1%、400nmの透
過率は2.3%、420nmの透過率は31.2%であっ
た。また、このフィルムの1cm2当たりのヒドロキシ
ベンゾフェノンの含有量は68.3μg、ヒドロキシベ
ンゾフェノンと炭酸水素アンモニウムの複合比は0.9
1であった。
【0038】実施例9 2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノ
ン:2.00g/Lと水酸化ナトリウム:0.66g/L
を含む水溶液(ヒドロキシベンゾフェノンと水酸化ナト
リウムとのモル比1:2)を調製し、該溶液を用いて実
施例1と同様の操作を行い、長波長紫外線吸収能を有す
るポリビニルアルコールフィルムを得た。このフィルム
の380nmの透過率は1.4%、400nmの透過率
は3.2%、420nmの透過率は9.8%であった。ま
た、このフィルムの1cm2当たりのヒドロキシベンゾ
フェノンの含有量は81.3μg、ヒドロキシベンゾフ
ェノンと炭酸ナトリウムの複合比は1.80であった。
【0039】実施例10 ポリビニルアルコールフィルム[(株)クラレ製、商品
名:クラレビニロンVF9P75RB]を35℃の水中
に5分間浸漬して水洗し、水中で1軸方向に2.6倍に
延伸した。そのフィルムをクリソフェニン[住友化学工
業(株)製]:0.20g/L、スミライトレッド4B
[住友化学工業(株)製]:0.38g/L、ダイレク
トスカイブルー6B[三菱化成ヘキスト(株)製]:
0.27g/L、硫酸ナトリウム:10.00g/Lを含
む35℃の水溶液中3分間浸漬して染色し、さらに、3
5℃のホウ酸:6.60g/L水溶液に2分間浸漬して
ホウ酸処理を行った。このフィルムを2,2’,4,4’
−テトラヒドロキシベンゾフェノン:2.00g/Lと
水酸化ナトリウム:0.32g/Lを含む35℃の水溶
液(ヒドロキシベンゾフェノンと水酸化ナトリウムとの
モル比1:1)に5分間浸漬し、水溶液中で1軸方向に
4倍に延伸した後、110℃で3分間乾燥して長波長の
紫外線吸収能を有する偏光フィルムを得た。このフィル
ムの380nmの透過率は0.0%、400nmの透過
率は0.1%、420nmの透過率は9.8%、単板透過
率は21.63%であった。
【0040】比較例1 ポリビニルアルコールフィルム[(株)クラレ製、商品
名:クラレビニロンVF9P75RB]を35℃の水中
に5分間浸漬して水洗し、水中で1軸方向に4倍に延伸
した。このフィルムを110℃で3分間乾燥してポリビ
ニルアルコールフィルムを得た。このフィルムの380
nmの透過率は88.6%、400nmの透過率は89.
2%、420nmの透過率は89.5%であった。
【0041】比較例2 2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン:
0.50g/Lの水溶液を調製し、該溶液を用いて実施
例1と同様の操作を行い、ポリビニルアルコールフィル
ムを得た。このフィルムの380nmの透過率は6.4
%、400nmの透過率は44.8%、420nmの透
過率は78.5%で、長波長の紫外線の吸収が十分では
なかった。
【0042】比較例3 2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン:
2.00g/Lの水溶液を調製しようとしたが、該ヒド
ロキシベンゾフェノンは完全には溶解しなかった。
【0043】比較例4 水酸化ナトリウム:0.32g/Lの水溶液を調製し、
該溶液を用いて実施例1と同様の操作を行い、ポリビニ
ルアルコールフィルムを得た。このフィルムの380n
mの透過率は88.5%、400nmの透過率は89.1
%、420nmの透過率は89.4%で、紫外線吸収能
は認められなかった。
【0044】比較例5 ポリビニルアルコールフィルム[(株)クラレ製、商品
名:クラレビニロンVF9P75RB]を35℃の水中
に5分間浸漬して水洗し、水中で1軸方向に2.6倍に
延伸した。そのフィルムを2,2’,4,4’−テトラヒ
ドロキシベンゾフェノン:0.50g/Lと塩化クロム
(III):1.61g/Lを含む35℃の水溶液(ヒ
ドロキシベンゾフェノンと塩化クロム(III)とのモ
ル比1:5)に20分間浸漬し、水溶液中で1軸方向に
4倍に延伸したAと、110℃で3分間乾燥してポリビ
ニルアルコールフィルムを得た。このフィルムの380
nmの透過率は1.2%、400nmの透過率は10.8
%、420nmの透過率は32.5%で、長波長の紫外
線吸収能が十分ではなかった。
【0045】比較例6 2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン:
2.00g/Lとトリエチルアミン:0.82g/Lと酢
酸銀:6.78g/Lを含む水溶液(ヒドロキシベンゾ
フェノンとトリエチルアミンと酢酸銀とのモル比1:
1:5)を含む水溶液を調製したところ、淡黄色の沈澱
が生成した。このため、この液でポリビニルアルコール
フィルムを処理することはできなかった。
【0046】比較例7 2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン:
2.00g/Lとトリエチルアミン:0.82g/Lと塩
化鉄(II):5.15g/Lを含む水溶液(ヒドロキ
シベンゾフェノンとトリエチルアミンと塩化鉄(II)
とのモル比1:1:5)を含む水溶液を調製したとこ
ろ、褐色の沈澱が生成した。このため、この液でポリビ
ニルアルコールフィルムを処理することはできなかっ
た。
【0047】比較例8 2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン:
2.00g/Lとトリエチルアミン:0.82g/Lと酢
酸銅(II):7.39g/Lを含む水溶液(ヒドロキ
シベンゾフェノンとトリエチルアミンと酢酸銅(II)
とのモル比1:1:5)を含む水溶液を調製したとこ
ろ、淡黄色の沈澱が生成した。このため、この液でポリ
ビニルアルコールフィルムを処理することはできなかっ
た。
【0048】比較例9 2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン:
2.00g/Lとトリエチルアミン:0.82g/Lと酢
酸亜鉛:7.45g/Lを含む水溶液(ヒドロキシベン
ゾフェノンとトリエチルアミンと酢酸亜鉛とのモル比
1:1:5)を含む水溶液を調製したところ、白色の沈
澱が生成した。このため、この液でポリビニルアルコー
ルフィルムを処理することはできなかった。
【0049】比較例10 2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン:
2.00g/Lとトリエチルアミン:0.82g/Lと酢
酸ニッケル:7.18g/Lを含む水溶液(ヒドロキシ
ベンゾフェノンとトリエチルアミンと酢酸ニッケルとの
モル比1:1:5)を含む水溶液を調製したところ、黄
緑色の沈澱が生成した。このため、この液でポリビニル
アルコールフィルムを処理することはできなかった。
【0050】比較例11 2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン:
0.50g/Lと酢酸ナトリウム:1.67g/Lを含む
水溶液ヒドロキシベンゾフェノンと酢酸ナトリウムとの
モル比1:10)を調製し、該溶液を用いて比較例5と
同様の操作を行い、ポリビニルアルコールフィルムを得
た。このフィルムの380nmの透過率は0.6%、4
00nmの透過率は10.3%、420nmの透過率は
48.4%で、長波長の紫外線の吸収が十分ではなかっ
た。
【0051】比較例12 2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン:
0.50g/Lと酢酸アンモニウム:1.54g/Lを含
む水溶液(ヒドロキシベンゾフェノンと酢酸アンモニウ
ムとのモル比1:5)を調製し、該溶液を用いて比較例
5と同様の操作を行い、ポリビニルアルコールフィルム
を得た。このフィルムの380nmの透過率は1.3
%、400nmの透過率は25.0%、420nmの透
過率は68.8%で、長波長の紫外線の吸収が十分では
なかった。
【0052】比較例13 2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン:
0.50g/Lと酢酸マグネシウム:1.45g/Lを含
む水溶液(ヒドロキシベンゾフェノンと酢酸マグネシウ
ムとのモル比1:5)を調製し、該溶液を用いて比較例
5と同様の操作を行い、ポリビニルアルコールフィルム
を得た。このフィルムの380nmの透過率は0.7
%、400nmの透過率は9.2%、420nmの透過
率は39.7%で、長波長の紫外線の吸収が十分ではな
かった。
【0053】比較例14 2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン:
0.50g/Lと酢酸カルシウム:1.61g/Lを含む
水溶液(ヒドロキシベンゾフェノンと酢酸カルシウムと
のモル比1:5)を調製し、該溶液を用いて比較例5と
同様の操作を行い、ポリビニルアルコールフィルムを得
た。このフィルムの380nmの透過率は0.6%、4
00nmの透過率は9.8%、420nmの透過率は4
5.0%で、長波長の紫外線の吸収が十分ではなかっ
た。
【0054】比較例15 2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン:
0.50g/Lと酢酸バリウム:2.55g/Lを含む水
溶液(ヒドロキシベンゾフェノンと酢酸バリウムとのモ
ル比1:5)を調製し、該溶液を用いて比較例5と同様
の操作を行い、ポリビニルアルコールフィルムを得た。
このフィルムの380nmの透過率は0.7%、400
nmの透過率は10.8%、420nmの透過率は49.
5%で、長波長の紫外線の吸収が十分ではなかった。
【0055】比較例16 2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン:
0.50g/Lと酢酸亜鉛:1.86g/Lを含む水溶液
(ヒドロキシベンゾフェノンと酢酸亜鉛とのモル比1:
5)を調製し、該溶液を用いて比較例5と同様の操作を
行い、ポリビニルアルコールフィルムを得た。このフィ
ルムの380nmの透過率は1.1%、400nmの透
過率は15.5%、420nmの透過率は50.9%で、
長波長の紫外線の吸収が十分ではなかった。
【0056】比較例17 2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン:
0.50g/Lと酢酸マンガン:1.76g/Lを含む水
溶液(ヒドロキシベンゾフェノンと酢酸マンガンとのモ
ル比1:5)を調製し、該溶液を用いて比較例5と同様
の操作を行い、ポリビニルアルコールフィルムを得た。
このフィルムの380nmの透過率は0.8%、400
nmの透過率は10.9%、420nmの透過率は36.
6%で、長波長の紫外線の吸収が十分ではなかった。
【0057】比較例18 2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン:
0.50g/Lと酢酸コバルト:1.80g/Lを含む水
溶液(ヒドロキシベンゾフェノンと酢酸コバルトとのモ
ル比1:5)を調製し、該溶液を用いて比較例5と同様
の操作を行い、ポリビニルアルコールフィルムを得た。
このフィルムの380nmの透過率は1.1%、400
nmの透過率は10.5%、420nmの透過率は32.
0%で、長波長の紫外線の吸収が十分ではなかった。
【0058】比較例19 2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン:
0.50g/Lと酢酸ニッケル:1.79g/Lを含む水
溶液(ヒドロキシベンゾフェノンと酢酸ニッケルとのモ
ル比1:5)を調製し、該溶液を用いて比較例5と同様
の操作を行い、ポリビニルアルコールフィルムを得た。
このフィルムの380nmの透過率は1.3%、400
nmの透過率は11.1%、420nmの透過率は32.
9%で、長波長の紫外線の吸収が十分ではなかった。
【0059】比較例20 2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン:
0.50g/Lと酢酸銀:1.69g/Lを含む水溶液
(ヒドロキシベンゾフェノンと酢酸銀とのモル比1:
5)を調製し、該溶液を用いて比較例5と同様の操作を
行い、ポリビニルアルコールフィルムを得た。このフィ
ルムの380nmの透過率は0.8%、400nmの透
過率は13.1%、420nmの透過率は48.1%で、
長波長の紫外線の吸収が十分ではなかった。
【0060】比較例21 2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン:
2.00g/Lと塩化クロム(III):6.43g/
L、酢酸ナトリウム:3.33g/L、酢酸アンモニウ
ム:3.13g/L、酢酸マグネシウム:5.78g/
L、酢酸カルシウム:6.42g/L、酢酸バリウム:
10.37g/L、酢酸亜鉛:7.45g/L、酢酸マン
ガン:7.03g/L、酢酸コバルト:7.19g/L、
酢酸ニッケル:7.18g/L、または酢酸銀:6.78
g/Lを含有する水溶液(ヒドロキシベンゾフェノンと
それぞれの金属塩とのモル比1:5)を調製しようとし
たが、いずれもベンゾフェノンは完全に溶解しきらなか
った。
【0061】比較例22 ポリビニルアルコールフィルム[(株)クラレ製、商品
名:クラレビニロンVF9P75RB]を35℃の水中
に5分間浸漬して水洗し、水中で1軸方向に2.6倍に
延伸した。そのフィルムをクリソフェニン[住友化学工
業(株)製];0.20g/L、スミライトレッド4B
[住友化学工業(株)製]:0.38g/L、ダイレク
トスカイブルー6B[三菱化成ヘキスト(株)製]:
0.27g/L、硫酸ナトリウム:10.00g/Lを含
む35℃の水溶液中3分間浸漬して染色した。さらに、
35℃のホウ酸:6.60g/L水溶液に2分間浸漬し
てホウ酸処理を行った後、35℃の水中で1軸方向4倍
に延伸し、110℃で3分間乾燥して偏光フィルムを得
た。このフィルムの380nmの透過率は20.3%、
400nmの透過率は17.5%、420nmの透過率
は17.1%、単板透過率は22.24であった。
【0062】
【発明の効果】本発明によるポリビニルアルコールフィ
ルムは、優れた紫外線吸収能を有し、特に人体、衣類、
食品及び樹脂などに有害な360〜400nmの長波長
の紫外線をも効果的に遮断することができる。本発明に
より得られるポリビニルアルコールフィルムは、単独
で、あるいは透明樹脂フィルムやガラス板またはそれら
を着色、蒸着、ハードコートなどの表面処理を施したも
のと積層して、偏光サングラスなどの光学分野、窓、液
晶表示装置などのディスプレーの分野、衣類や食品など
の包装材料の分野で使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1、実施例2、比較例1、及び比較例2
で得られたポリビニルアルコールフィルムの分光曲線を
示す。
【図2】実施例3で得られたポリビニルアルコールフィ
ルムの分光曲線を示す。
【図3】実施例4で得られたポリビニルアルコールフィ
ルムの分光曲線を示す。
【図4】実施例5で得られたポリビニルアルコールフィ
ルムの分光曲線を示す。
【図5】実施例6で得られたポリビニルアルコールフィ
ルムの分光曲線を示す。
【図6】実施例7で得られたポリビニルアルコールフィ
ルムの分光曲線を示す。
【図7】実施例8で得られたポリビニルアルコールフィ
ルムの分光曲線を示す。
【図8】実施例9で得られたポリビニルアルコールフィ
ルムの分光曲線を示す。
【図9】実施例10及び比較例22で得られたポリビニ
ルアルコールフィルムの分光曲線を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI C08K 5/07 C08K 5/07 C08L 29/04 C08L 29/04 (56)参考文献 特開 昭49−43952(JP,A) 特開 平1−308468(JP,A) 特開 平7−304884(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 5/18 B32B 27/08 B32B 27/18 B32B 27/30 C08K 3/20 C08K 5/07 C08L 29/04

Claims (13)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I) 【化1】 [式中、X及びYは、同一もしくは異なる、ハロゲン原
    子、アルキル基、アリール基、アルコキシル基、アミノ
    基、アシル基、カルボキシル基、スルホン酸基、または
    それらの金属塩を示し、a、b、c及びdは独立して、
    0〜5の整数を示し、(c+d)は1〜10の整数、
    (a+c)は0〜5の整数、(b+d)は0〜5の整数
    である。]で表わされるヒドロキシベンゾフェノン化合
    物と、(i)アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩或いは重
    炭酸塩及び(ii)アンモニウムの炭酸塩或いは重炭酸
    塩よりなる群から選ばれた少なくとも1種の塩基性化合
    物との複合物の少なくとも1種を含有することを特徴と
    するポリビニルアルコールフィルム。
  2. 【請求項2】 前記一般式(I)で表わされるヒドロキ
    シベンゾフェノン化合物が、少なくとも2−位または少
    なくとも2,2’−位に水酸基を有する化合物である請
    求項1記載のポリビニルアルコールフィルム。
  3. 【請求項3】 フィルム1cm 2 当たり6〜600μg
    の該複合物を含有し、400 nm の波長の紫外線の透過率
    が4%以下である請求項1記載のポリビニルアルコール
    フィルム。
  4. 【請求項4】 該複合物が、該ヒドロキシベンゾフェノ
    ン化合物に対する塩基性化合物のモル比が0.1〜10
    の範囲である請求項1記載のポリビニルアルコールフィ
    ルム。
  5. 【請求項5】 分析された値として該ヒドロキシベンゾ
    フェノン化合物をフィルム1cm2当たり6〜600μ
    gの範囲で含有する請求項1記載のポリビニルアルコー
    ルフィルム。
  6. 【請求項6】 400 nm の波長の紫外線の透過率が4%
    以下である請求項1記載のポリビニルアルコールフィル
    ム。
  7. 【請求項7】 ポリビニルアルコールフィルムを、 (a)前記一般式(I)で表わされるヒドロキシベンゾ
    フェノン化合物及び (b)(i)アルカリ金属の水酸化物、炭酸塩或いは重
    炭酸塩及び(ii)アンモニウムの炭酸塩或いは重炭酸
    塩よりなる群から選ばれた少なくとも1種の塩基性化合
    物とを含有する水性媒体溶液中に浸漬処理し、次いで乾
    燥処理することを特徴とする請求項1記載のポリビニル
    アルコールフィルムの製造方法。
  8. 【請求項8】 該水性媒体が、水または水と水可溶性有
    機溶媒との混合媒体である請求項7記載の製造方法。
  9. 【請求項9】 該水性媒体溶液は該ヒドロキシベンゾフ
    ェノン化合物を0.5〜500g/リットルの濃度で含
    有する請求項7記載の製造方法。
  10. 【請求項10】 該水性媒体溶液が、該塩基性化合物を
    該ヒドロキシベンゾフェノン化合物1モル当り0.1〜
    10モルの範囲で含有する請求項7記載の製造方法。
  11. 【請求項11】 該浸漬処理を10〜80℃の温度で実
    施する請求項7記載の製造方法。
  12. 【請求項12】 請求項1記載のフィルムを他の透明樹
    脂フィルムまたはガラス板の少なくとも片面に貼り合わ
    せるか或いは請求項1記載のフィルム両面に他の透明樹
    脂フィルムまたはガラス板を貼り合わせた積層体。
  13. 【請求項13】 他の透明樹脂フィルムがポリカーボネ
    ート樹脂フィルム、アクリル樹脂フィルム、アリル樹脂
    フィルム、セルロース系樹脂フィルム、ポリエステル樹
    脂フィルムまたはポリプロピレン樹脂フィルムである請
    求項12記載の積層体。
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