JP2004294808A - ヨウ素系偏光フィルム、その製造方法及び偏光板 - Google Patents

ヨウ素系偏光フィルム、その製造方法及び偏光板 Download PDF

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Abstract

【課題】ポリビニルアルコール系樹脂をベースとする耐久性の改良されたヨウ素系偏光フィルムを提供し、その製造法を提供し、さらにはその偏光フィルムを用いた耐久性に優れる偏光板を提供する。
【解決手段】ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに、一軸延伸、ヨウ素を含む水溶液による染色、及びその染色後のホウ酸を含む水溶液への浸漬処理を施すことにより得られ、ヨウ素が吸着配向したポリビニルアルコール系樹脂フィルムからなる偏光フィルムであって、この偏光フィルムはさらに、ポリアクリル酸及びその誘導体から選ばれる水溶性アクリル系高分子を含有し、その水溶性アクリル系高分子は、上記のヨウ素を含む水溶液による染色又はそれより後に導入されたものであるヨウ素系偏光フィルムが提供される。この偏光フィルムの片面又は両面に保護フィルムを貼合して、偏光板とされる。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヨウ素系偏光フィルム、その製造方法、及びそのヨウ素系偏光フィルムを用いたヨウ素系偏光板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
偏光フィルムは一般に、二色性色素であるヨウ素又は二色性染料をポリビニルアルコール系樹脂フィルムに吸着配向させ、製造されている。この偏光フィルムの少なくとも片面に、接着剤層を介してトリアセチルセルロースなどからなる保護フィルムを貼合して偏光板とされ、液晶表示装置などに用いられる。二色性色素としてヨウ素を用いた偏光フィルムはヨウ素系偏光フィルムと呼ばれ、一方、二色性色素として二色性染料を用いた偏光フィルムは染料系偏光フィルムと呼ばれる。これらのうち、ヨウ素系偏光フィルムは、染料系偏光フィルムに比べ、高透過率で高偏光度、すなわち高コントラストを示すことから、広く用いられている。ヨウ素系偏光フィルムは、このように光学特性の面では染料系偏光フィルムに勝っているものの、光学耐久性の面では染料系偏光フィルムに劣っており、例えば、ヨウ素系偏光フィルムを乾熱下に放置すると、透過率が低下したり偏光板が変色したりするなどの問題が生じていた。
【0003】
一方で近年、液晶表示装置の利用分野の拡大と周辺技術の進歩により、偏光板の性能に対する要求も一段と厳しくなってきている。具体的には、透過率及び偏光度が高い、すなわち高コントラストで、耐熱性及び耐湿熱性にも優れる偏光板が求められている。これに対して、例えば、特開昭 58−68008 号公報(特許文献1)には、ポリエステル系樹脂を一軸延伸し、これを基材とした偏光フィルムが提案されている。しかし、偏光性能と耐久性の両者に優れた偏光フィルムを得るには不十分なものであり、さらなる改良が求めらていた。
【0004】
また、特開 2000−35512 号公報(特許文献2)には、ヨウ素染色されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、亜鉛イオン及びヨウ化カリウムを含有するホウ酸水溶液に浸漬処理することで、偏光フィルム中に所定量の亜鉛を含有させ、その偏光フィルムの高温下における耐久性を高めることが提案されている。
【0005】
なお、特開 2001−290029号公報(特許文献3)には、カルボン酸ビニル系重合体(例えばポリ酢酸ビニル)をけん化してポリビニルアルコール系樹脂とする際に、金属アルコキシド又はそのオリゴマーを存在させ、その金属アルコキシド又はそのオリゴマーの重縮合反応とカルボン酸ビニル系重合体のけん化反応を同時に行うことにより、金属アルコキシド又はそのオリゴマーの重縮合反応生成物である金属酸化物をポリビニルアルコール系樹脂中に存在させ、その組成物から偏光フィルムを製造することが記載されており、上記の反応において、ポリアクリル酸等の高分子化合物を存在させてよい旨の記載がある。
【0006】
【特許文献1】特開昭58−68008号公報
【特許文献2】特開2000−35512号公報
【特許文献3】特開2001−290029号公報(段落0038)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、前記特許文献1及び2とは異なる手段で、ポリビニルアルコール系樹脂からなるヨウ素系偏光板の耐久性を高めるべく研究を行い、本発明に到達した。したがって本発明の目的は、ポリビニルアルコール系樹脂をベースとする耐久性の改良されたヨウ素系偏光フィルムを提供し、その製造法を提供し、さらにはその偏光フィルムを用いた耐久性に優れる偏光板を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、かかる目的のもとで研究を行った結果、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムの延伸、ヨウ素染色、染色後のホウ酸処理及び水洗により、ヨウ素系偏光フィルムを製造するに際し、ヨウ素染色以降のいずれかの段階で、用いる水溶液又は水中に水溶性アクリル系高分子を溶解させ、その水溶性アクリル系高分子を含む水溶液にポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬処理することにより、偏光フィルム中に水溶性アクリル系高分子を含有させることができ、それによって、偏光フィルムの乾熱下における変色などの問題を抑える効果が発現されることを見出し、本発明に至った。
【0009】
すなわち、本発明によれば、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに、一軸延伸、ヨウ素を含む水溶液による染色、及びその染色後のホウ酸を含む水溶液への浸漬処理を施すことにより得られ、ヨウ素が吸着配向したポリビニルアルコール系樹脂フィルムからなる偏光フィルムであって、この偏光フィルムはさらに、ポリアクリル酸及びその誘導体から選ばれる水溶性アクリル系高分子を含有し、その水溶性アクリル系高分子は、上記のヨウ素を含む水溶液による染色又はそれより後に導入されたものであるヨウ素系偏光フィルムが提供される。
【0010】
また本発明によれば、このヨウ素系偏光フィルムの製造方法も提供され、この方法は、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを一軸延伸する工程、そのポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、ヨウ素とヨウ化カリウムを含む水溶液中で染色する工程、染色後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、ホウ酸を含む水溶液に浸漬処理する工程、及びホウ酸を含む水溶液への浸漬処理後に水洗する工程を経て、ヨウ素系偏光フィルムを製造するに際し、上記のヨウ素とヨウ化カリウムを含む水溶液、ホウ酸を含む水溶液、及び水洗用の水のいずれか少なくとも一つに、ポリアクリル酸及びその誘導体から選ばれる水溶性アクリル系高分子を溶解含有させるものである。
【0011】
さらに、本発明によれば、上記の水溶性アクリル系高分子を含むヨウ素系偏光フィルムの片面又は両面に保護フィルムが貼合されたヨウ素系偏光板も提供される。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。ヨウ素系偏光フィルムは、一軸延伸したポリビニルアルコール系樹脂フィルムにヨウ素が吸着配向されたものである。そして本発明では、この偏光フィルムに、ポリアクリル酸及びその誘導体から選ばれる水溶性アクリル系高分子を含有させる。
【0013】
偏光フィルムを構成するポリビニルアルコール系樹脂は、ポリ酢酸ビニル系樹脂をケン化することにより得られる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニルのほか、酢酸ビニル及びこれと共重合可能な他の単量体の共重合体などが例示される。酢酸ビニルに共重合される他の単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸類、オレフィン類、ビニルエーテル類、不飽和スルホン酸類などが挙げられる。ポリビニルアルコール系樹脂のケン化度は、通常85〜100モル%程度であり、好ましくは98〜100モル%程度である。このポリビニルアルコール系樹脂は、さらに変性されていてもよく、例えば、アルデヒド類で変性されたポリビニルホルマールやポリビニルアセタールなども使用し得る。このポリビニルアルコール系樹脂の重合度は、通常1,000〜10,000程度、好ましくは1,500〜5,000程度である。
【0014】
かかるポリビニルアルコール系樹脂を製膜したものが、原反フィルムとして用いられる。ポリビニルアルコール系樹脂を製膜する方法は特に限定されるものでなく、公知の方法で製膜することができる。ポリビニルアルコール系樹脂からなる原反フィルムの膜厚は特に限定されないが、例えば、10μm〜150μm程度である。
【0015】
ヨウ素系偏光フィルムは、このようなポリビニルアルコール系樹脂フィルムを一軸延伸する工程、このポリビニルアルコール系樹脂フィルムをヨウ素で染色して当該ヨウ素を吸着させる工程、ヨウ素が吸着されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液で処理する工程、及びこのホウ酸水溶液による処理後に水洗する工程を経て、製造される。
【0016】
一軸延伸は、ヨウ素染色の前に行ってもよいし、ヨウ素染色と同時に行ってもよいし、ヨウ素染色の後に行ってもよい。一軸延伸をヨウ素染色の後で行う場合には、この一軸延伸は、ホウ酸処理の前に行ってもよいし、ホウ酸処理中に行ってもよい。もちろん、これらの複数の段階で一軸延伸を行うことも可能である。一軸延伸後にヨウ素染色する場合は、この染色の段階でヨウ素が延伸軸に沿って配向して吸着され、一方、ヨウ素染色と同時に、又はヨウ素染色後に一軸延伸を行う場合は、吸着されたヨウ素が延伸時に延伸軸に沿って配向することになる。一軸延伸するには、周速の異なるロール間で一軸に延伸してもよいし、熱ロールを用いて一軸に延伸してもよい。また、大気中で延伸を行う乾式延伸であってもよいし、溶剤で膨潤した状態にて延伸を行う湿式延伸であってもよい。延伸倍率は、通常4〜8倍程度である。
【0017】
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムへのヨウ素の吸着は、ヨウ素を含む水溶液、通常はヨウ素とヨウ化カリウムを含む水溶液に、このポリビニルアルコール系樹脂フィルムを浸漬して染色することにより行われる。なお、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、上記の染色処理の前に、水への浸漬処理を施しておくことが好ましい。ヨウ素及びヨウ化カリウムを含む水溶液におけるヨウ素の含有量は、水100重量部あたり0.01〜0.5重量部程度であり、ヨウ化カリウムの含有量は、水100重量部あたり 0.5〜10重量部程度である。この水溶液の温度は、20〜40℃程度であり、また、この水溶液への浸漬時間は、20〜600秒程度である。
【0018】
ヨウ素染色後のホウ酸処理は、ヨウ素により染色されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムをホウ酸水溶液に浸漬することにより行われる。ホウ酸水溶液におけるホウ酸の含有量は、水100重量部あたり、通常2〜15重量部程度、好ましくは5〜12重量部程度である。また、このホウ酸水溶液は、ヨウ化カリウムを含有するのが好ましい。ホウ酸水溶液がヨウ化カリウムを含有する場合、ヨウ化カリウムの量は、水100重量部あたり、通常30重量部以下、好ましくは20重量部以下である。ホウ酸水溶液への浸漬時間は、通常 100〜1,200秒程度、好ましくは150〜600秒程度、さらに好ましくは200〜400秒程度である。
【0019】
ホウ酸処理後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムは、通常、水洗処理される。水洗処理は、ホウ酸処理されたポリビニルアルコール系樹脂フィルムを水に浸漬することにより行われる。水洗後は乾燥処理が施されて、ヨウ素が吸着配向されたポリビニルアルコール系樹脂フィルム、すなわちヨウ素系偏光フィルムが得られる。
【0020】
本発明では、かかるヨウ素系偏光フィルム中にポリアクリル酸及びその誘導体から選ばれる水溶性アクリル系高分子を含有させる。この水溶性アクリル系高分子は、上記のヨウ素を含む水溶液による染色以降の段階で導入される。具体的には、上記のようにしてヨウ素系偏光フィルムを製造する工程中、ヨウ素及びヨウ化カリウムを含む水溶液、ホウ酸処理に用いるホウ酸を含む水溶液、及び水洗に用いる水のうち、いずれか1又は複数に、水溶性アクリル系高分子を溶解させる方法を採用することができる。このうち、ホウ酸を含む水溶液に水溶性アクリル系高分子を溶解し、含有させる方法が好ましい。
【0021】
いずれの段階で水溶性アクリル系高分子を溶解させるにしても、水溶性アクリル系高分子の量は、水100重量部あたり 0.01〜60重量部程度であり、好ましくは 0.5〜30重量部程度、より好ましくは1〜15重量部程度である。水溶性アクリル系高分子の量が水100重量部あたり 0.01重量部より少ないと、得られる偏光フィルムの乾熱下における変色などの問題を抑える効果が十分に発揮されない。
【0022】
ここで用いる水溶性アクリル系高分子は、ポリアクリル酸又はその誘導体である。ポリアクリル酸の誘導体とは、ポリアクリル酸が水溶性を保ったまま、そのカルボン酸基(−COOH )の部分で変化したものをいう。具体的には、カルボン酸基がナトリウム塩のような塩、特に金属塩、例えばアルカリ金属塩になったポリアクリル酸塩、カルボン酸基がホルミル基(−CHO)になったポリアクロレイン、カルボン酸基がアミド(−CONH)になったポリアクリルアミド、カルボン酸基がシアノ基(−CN )になったポリアクリロニトリルなどが挙げられる。またこれらのポリアクリル酸又はその誘導体のもとになる単量体、すなわち、アクリル酸、アクリル酸エステル、アクリル酸塩、アクロレイン、アクリルアミド、アクリロニトリルなどのうち、2種以上の単量体を用いた水溶性共重合体であってもよいし、これら1又は複数の単量体に、水溶性を損なわない範囲でそれと共重合可能な他の単量体を組み込んだ水溶性共重合体であってもよい。ここでいう共重合可能な他の単量体には、例えば、アクリル酸エステルなどが包含される。これらの水溶性アクリル系高分子のなかでも、ポリアクリル酸が最も好ましい。
【0023】
水溶性アクリル系高分子の平均分子量は必ずしも限定されないが、通常は重量平均分子量で 500〜6,000,000の範囲であり、好ましくは1,000〜1,000,000の範囲、より好ましくは2,000〜250,000の範囲である。
【0024】
偏光フィルム中に含まれる水溶性アクリル系高分子の量は、 0.01〜30重量%程度であり、好ましくは 0.1重量%以上、また好ましくは20重量%以下である。その量があまり少ないと、得られる偏光フィルムの乾熱下における変色などの問題を抑える効果が十分に発揮されない。また、その量があまり多くなると、フィルムの強度が劣るので、好ましくない。
【0025】
ポリビニルアルコール系樹脂フィルムからなる偏光フィルム中のポリアクリル酸は、例えば、Analytical Chemistry, Vol. 38, No. 13, p.1958−1959 (1966) に記載の方法に準じて、偏光フィルムを溶媒に溶かし、その溶液をメチレンブルー水溶液と混合してポリアクリル酸とメチレンブルーの錯体を形成させ、この錯体をカラムクロマトグラフィーで吸着させて採取したものについて、可視領域の吸光度を測定し、同様に測定した標準サンプルの結果との比濁分析により、定量できる。
【0026】
本発明により得られる偏光フィルムは、その片面又は両面に保護フィルムを積層して、偏光板とされる。保護フィルムとしては、例えば、トリアセチルセルロースやジアセチルセルロースのようなセルロースアセテート樹脂フィルム、アクリル樹脂フィルム、ポリエステル樹脂フィルム、ポリアリレート樹脂フィルム、ポリエーテルサルホン樹脂フィルム、ノルボルネンのような環状オレフィンをモノマーとする環状ポリオレフィン樹脂フィルムなどが挙げられる。保護フィルムの厚みは、通常10〜200μm 程度である。
【0027】
またこの偏光板は、一方の表面、すなわち、保護フィルムの露出面に、反射防止層や防眩層、ハードコート層など、公知の各種機能性層を有していてもよい。
【0028】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、例中に示す直交色相とは、偏光フィルムにその透過軸と直交する直線偏光光を入射したときの透過光の色相を意味する。
【0029】
実施例1
平均重合度約2,400、ケン化度99.9モル%以上で厚さ75μm のポリビニルアルコールフィルムを乾式で延伸倍率5倍に一軸延伸し、さらに緊張状態を保ったまま、60℃の純水に1分間浸漬した。次に、ヨウ素/ヨウ化カリウム/水の重量比が0.15/5/100 の水溶液に28℃で35秒間浸漬し、染色した。その後、重量平均分子量5,000 のポリアクリル酸/ヨウ化カリウム/ホウ酸/水が重量比で10/26/9.5/100 の水溶液に76℃で300秒間浸漬した。15℃の純水で2秒間水洗した後、50℃で乾燥して、ポリビニルアルコールにヨウ素が吸着配向され、さらにポリアクリル酸が吸着された偏光フィルムを得た。得られた偏光フィルムについて、以下の方法で、乾熱下における耐久性を評価した。
【0030】
《耐久性の評価方法》
まず、偏光フィルムの分光透過率τ(λ)を、分光光度計〔(株)島津製作所製の“UV−2200 ”〕を用いて測定する。得られる分光透過率τ(λ)から、直交色相L、a及びb を求める。次に、この偏光フィルムを100℃の乾燥雰囲気に14時間放置して、耐久性試験を行う。この耐久性試験後の偏光フィルムについて、改めて分光透過率τ(λ)を測定し、それから直交色相L、a及びb を求める。耐久性試験前後の直交色相L、a及びb から、下式(1)〜(3)に従ってそれぞれの差ΔL、Δa及びΔb を求め、さらに下式(4)に従って全体の色差ΔE を求める。
【0031】
ΔL=(Lafter−(Lbefore (1)
Δa=(aafter−(abefore (2)
Δb=(bafter−(bbefore (3)
ここで、before は耐久性試験前の値、after は耐久性試験後の値である。
ΔE={(ΔL+(Δa+(Δb1/2 (4)
【0032】
そして、直交色相b の差Δb と全体の色差ΔE の値が大きいほど、乾熱下における変色の度合いが大きいものと判断した。結果を表1に示す。
【0033】
実施例2
ヨウ素及びヨウ化カリウムの水溶液での染色を28℃で37秒間行い、その後のホウ酸処理浴の組成を、重量平均分子量5,000 のポリアクリル酸/ヨウ化カリウム/ホウ酸/水が重量比で5/13/9.5/100 の水溶液としたこと以外は、実施例1と同様の操作を行って、偏光フィルムを作製した。得られた偏光フィルムについて、実施例1と同様の方法で評価し、結果を表1に示した。
【0034】
比較例1
ホウ酸含有水溶液にポリアクリル酸を添加しなかったこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、偏光フィルムを作製した。得られた偏光フィルムについて、実施例1と同様の方法で評価し、結果を表1に示した。
【0035】
【表1】
Figure 2004294808
【0036】
【発明の効果】
本発明により得られるヨウ素系偏光フィルムは、乾熱下に置いた後の劣化が防止され、耐久性に優れたものとなる。

Claims (5)

  1. ポリビニルアルコール系樹脂フィルムに、一軸延伸、ヨウ素を含む水溶液による染色、及び該染色後のホウ酸を含む水溶液への浸漬処理を施すことにより得られ、ヨウ素が吸着配向したポリビニルアルコール系樹脂フィルムからなる偏光フィルムであって、該偏光フィルムはさらに、ポリアクリル酸及びその誘導体から選ばれる水溶性アクリル系高分子を含有し、該水溶性アクリル系高分子は、上記のヨウ素を含む水溶液による染色又はそれより後に導入されたものであることを特徴とする、ヨウ素系偏光フィルム。
  2. 水溶性アクリル系高分子がポリアクリル酸である請求項1に記載のヨウ素系偏光フィルム。
  3. ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを一軸延伸する工程、該ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、ヨウ素とヨウ化カリウムを含む水溶液中で染色する工程、染色後の該ポリビニルアルコール系樹脂フィルムを、ホウ酸を含む水溶液に浸漬処理する工程、及びホウ酸を含む水溶液への浸漬処理後に水洗する工程を経て、ヨウ素系偏光フィルムを製造する方法であって、上記のヨウ素とヨウ化カリウムを含む水溶液、ホウ酸を含む水溶液、及び水洗用の水のいずれか少なくとも一つに、ポリアクリル酸及びその誘導体から選ばれる水溶性アクリル系高分子を溶解含有させることを特徴とする、ヨウ素系偏光フィルムの製造方法。
  4. ホウ酸を含む水溶液が水溶性アクリル系高分子を含有し、ヨウ素染色後のポリビニルアルコール系樹脂フィルムを該水溶液に浸漬処理する請求項3に記載の方法。
  5. 請求項1又は2に記載のヨウ素系偏光フィルムの片面又は両面に保護フィルムが貼合されてなることを特徴とするヨウ素系偏光板。
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