JP2010008812A - 耐湿性偏光フィルム - Google Patents

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充弘 柴田
Naozumi Teramoto
直純 寺本
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美高 岩成
Hidehito Harashima
秀人 原島
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Abstract

【課題】現在実用化されている偏光フィルムは、ポリビニルアルコールを基材としている。しかし、ポリビニルアルコールは耐湿性や耐熱性に劣るため、トリアセチルセルロース(TAC)フィルムを貼り合わせて用いるのが一般的である。しかし、近年、さらなる薄型化要求される液晶ディスプレイにおいて、トリアセチルセルロースフィルムを貼り合わせることは、薄型化に不利である。また、トリアセチルセルロースフィルムを貼り合わせる為の行程や、トリアセチルセルロースフィルムを貼り合わせる為の接着剤などが必要となり、コストが上昇することが考えられる。
【解決手段】本件発明ではポリビニルアルコールをテトラアルコキシシランなどの金属アルコキシドによって架橋することで、ポリビニルアルコールの耐湿性を向上させ、この架橋した材料からなる耐湿性偏光フィルムを提供する。
【選択図】 図9

Description

本件発明は、偏光フィルムの基材となるポリビニルアルコールを、金属化合物により架橋することで耐湿性を向上させた耐湿性偏光フィルムに関する。
液晶ディスプレイ(LCD)は、近年、PCモニター、液晶テレビ、携帯電話などあらゆる画像表示機器に用いられ、需要も著しく増加する傾向にある。それに伴い液晶ディスプレイ用偏光板の需要も高まってきている。液晶ディスプレイを構成する部材には、数多くの光学有機材料が用いられるが、液晶材料と並ぶ最も基本的な部材に偏光フィルムがある。
現在実用化されている偏光フィルムは、ポリビニルアルコールを基材とし、ヨウ素錯体や二色性染料を一軸方向に配列させて製造されるのが一般的である。しかし、ポリビニルアルコールは耐湿性や耐熱性に劣るため、特許文献1や特許文献2に示したように、ポリビニルアルコールフィルムに温度・湿度による劣化を防止するためトリアセチルセルロース(TAC)フィルムを貼り合わせて用いるのが一般的である。
特開平9−318814 特開2005−092112
しかし、近年、さらなる薄型化要求される液晶ディスプレイにおいて、ポリビニルアルコールフィルムに、さらにトリアセチルセルロースフィルムを貼り合わせることは、薄型化に不利である。また、トリアセチルセルロースフィルムを貼り合わせる為の行程や、トリアセチルセルロースフィルムを貼り合わせる為の接着剤などが必要となり、コストが上昇することが考えられる。
上記問題に鑑み、本件発明では次の耐湿性偏光フィルムと耐湿性偏光フィルムの製造方法を提供する。すなわち、第一の発明としては、ポリビニルアルコールを金属化合物で架橋した材料からなる耐湿性偏光フィルムを提供する。
第二の発明としては、金属アルコキシドを用いてポリビニルアルコールを架橋した材料からなる耐湿性偏光フィルムを提供する。
第三の発明としては、金属アルコキシドを加水分解し、ポリビニルアルコールと脱水縮合することで、ポリビニルアルコールを金属化合物で架橋した材料からなる耐湿性偏光フィルムを提供する。
第四の発明としては、金属アルコキシドを加水分解し、ポリビニルアルコールと脱水縮合することで、ポリビニルアルコールを金属化合物で架橋した材料からなり、ヨウ素化合物を用いて着色することを特徴とする耐湿性偏光フィルムを提供する。
第五の発明としては、ヨウ素化合物の存在下、金属アルコキシドを加水分解し、ポリビニルアルコールと脱水縮合することで、ポリビニルアルコールを金属化合物で架橋した材料を酸化してなる耐湿性偏光フィルムを提供する。
第六の発明としては、金属アルコキシドを加水分解し、ポリビニルアルコールと脱水縮合することで、ポリビニルアルコールを金属化合物で架橋した材料をヨウ素化合物で染色してなる耐湿性偏光フィルムを提供する。
第七の発明としては、前記金属アルコキシドはテトラアルコキシシランであることを特徴とする第二の発明から第六の発明のいずれか一に記載の耐湿性偏光フィルムを提供する。
第八の発明としては、金属アルコキシドを加水分解し、ポリビニルアルコールと脱水縮合することで、ポリビニルアルコールを金属化合物で架橋した材料からなり、ヨウ素化合物を用いて着色することを特徴とする耐湿性偏光フィルムの製造方法を提供する。
第九の発明としては、ヨウ素化合物の存在下、金属アルコキシドを加水分解し、ポリビニルアルコールと脱水縮合することで、ポリビニルアルコールを金属化合物で架橋した材料を酸化することによる耐湿性偏光フィルムの製造方法を提供する。
第十の発明としては、ヨウ素化合物の存在下、金属アルコキシドを加水分解し、ポリビニルアルコールと脱水縮合することで、ポリビニルアルコールを金属化合物で架橋した材料をヨウ素化合物により染色することによる耐湿性偏光フィルムの製造方法を提供する。
第十一の発明としては、前記金属アルコキシドはテトラアルコキシシランであることを特徴とする第八の発明から第十のいずれか一に記載の耐湿性偏光フィルムの製造方法を提供する。
本件発明により、ポリビニルアルコールを金属アルコキシドにより架橋することで、耐湿性が向上したポリビニルアルコールフィルムを基材とした耐湿性偏光フィルムを提供可能となる。これにより、ポリビニルアルコールフィルムを保護するトリアセチルセルロースフィルムを貼り合わせる必要が無くなり、製造工程の簡略化や、液晶パネルのよりいっそうの薄型化を図ることが可能となる。
以下、本件発明の実施の形態について、添付図面を用いて説明する。なお、本件発明は、これら実施形態に何ら限定されるべきものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得る。
実施形態1は、主に請求項1、請求項2、請求項3、請求項7などに関する。
実施形態2は、主に請求項4、請求項5、請求項6、請求項8、請求項9、請求項10、請求項11などに関する。
<実施形態1>
<実施形態1 概要>
本実施形態は、ポリビニルアルコールを金属化合物で架橋することにより、耐湿性を向上させたことを特徴とする耐湿性偏光フィルムである。ポリビニルアルコールは、一般的に液晶ディスプレイ用偏光フィルムの基材として広く用いられているが、水に可溶であるため、偏光フィルムとして使用するには耐湿性が問題となる。本実施形態では、ポリビニルアルコールを金属化合物にて架橋することで、ポリビニルアルコールの耐湿性を向上させた偏光フィルムを提供する。
<実施形態1 構成>
本実施形態の耐湿性偏光フィルムは、ポリビニルアルコールを金属化合物で架橋した材料からなる。本実施形態の耐湿性偏光フィルムは、ポリビニルアルコールを金属化合物で架橋することで耐湿性を向上させている。一般的に、耐湿性を向上させる手段として、材料を構成する分子の分子量を大きくした入り、材料を構成する分子が持つ親水基(水酸基など)を何らかの方法によって疎水化するなどの方法が考えられる。本実施形態の耐湿性偏光フィルムでは、ポリビニルアルコールを金属化合物によって架橋し耐湿性を向上させている。
ポリビニルアルコールを架橋する金属化合物は、金属化合物の価数に応じて架橋される。また、ポリビニルアルコールと金属化合物間は共有結合の他、配位結合、イオン結合、水素結合、ファンデルワールス結合などによって架橋される。
また本実施形態の耐湿性偏光フィルムは、金属アルコキシドを用いてポリビニルアルコールを架橋しても良い。
本実施形態で用いられる金属アルコキシドは、R1nM(OR2)m-nで表される。ここで、式中R1およびR2は、アルキル基を表し、Mは金属、mは金属Mの原子価、nは0≦n≦m-1を満たす整数である。また、本実施形態の金属アルコキシドは、各種金属のアルコキシドであって、官能基として2つ以上のメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基などのアルコキシ基を有するものであればよい。また上記金属Mとしては、バリウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、ホウ素、ガリウム、インジウム、ランタン、ケイ素、ジルコニウム、チタニウム、スズなどが用いられるが、この中でも、特にケイ素、ジルコニウム、チタニウム、アルミニウムが好ましい。
具体的に金属アルコキシドの例としては、例えば2価の金属を有する金属アルコキシドとして、ジメトキシバリウム、ジエトキシバリウム、ジプロポキシバリウム、ジメトキシカルシウム、ジエトキシカルシウム、ジプロポキシカルシウム、ジメトキシマグネシウム、ジエトキシマグネシウム、ジプロポキシマグネシウム、等である。
3価の金属を有する金属アルコキシドの例としては、トリメトキシアルミニウム、トリエトキシアルミニウム、トリプロポキシアルミニウム、トリイソプロポキシアルミニウム、トリメトキシホウ素、トリエトキシホウ素、トリプロポキシホウ素、トリイソプロポキシホウ素、トリメトキシガリウム、トリエトキシガリウム、トリプロポキシガリウム、トリイソプロポキシガリウム、トリメトキシインジウム、トリエトキシアインジウム、トリプロポキシインジウム、トリイソプロポキシインジウム、トリメトキシランタン、トリエトキシランタン、トリプロポキシランタン、トリイソプロポキシランタン等である。
4価の金属を有する金属アルコキシドの例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラメトキシジルコニウム、テトラエトキシジルコニウム、テトラプロポキシジルコニウム、テトライソプロポキシジルコニウム、テトラブトキシジルコニウム、テトラメトキシチタニウム、テトラエトキシチタニウム、テトラプロポキシチタニウム、テトライソプロポキシチタニウム、テトラブトキシチタニウム等である。
また、本実施形態で用いられる金属アルコキシドが有する官能基は、前記の金属アルコキシドのように、メトキシ基のみやエトキシ基のみで構成されていても良いが、一部がメチル基やエチル基、プロピル基など異なる種類の官能基を含む構成となっていても良い。例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、プロポキシトリメトキシシラン、プロポキシトリエトキシシラン、プロポキシトリプロポキシシラン等である。
金属アルコキシドによるポリビニルアルコールの架橋は、一般的に金属アルコキシドの加水分解と、加水分解された金属アルコキシドとポリビニルアルコールとの脱水縮合によって行われる。この方法は一般的にゾルゲル法と言われる方法である。
このゾルゲル法において金属アルコキシドは、加水分解され、金属水酸化物とアルコールを生成する。次に金属水酸化物とポリビニルアルコールは脱水縮合され、ポリビニルアルコールが架橋される。
ここで、金属アルコキシドとしてテトラエトキシシランを用いた場合、まずテトラエトキシシランは、加水分解され、オルトケイ酸とエタノールを生成する。次にオルトケイ酸とポリビニルアルコールは脱水縮合され、ポリビニルアルコールがケイ素によって架橋される。
<テトラエトキシシランによって架橋されたポリビニルアルコールの物性>
<熱分析結果>
図1にテトラエトキシシランによって架橋されたポリビニルアルコールの物性の熱重量分析結果を示した。尚、図1および図2に示した、熱重量分析および動的粘弾性測定に用いた試料は、ポリビニルアルコールをテトラエトキシシランを用いて架橋し、キャスト成型したポリビニルアルコールであり、偏光色素となるヨウ素は添加されていない状態である。
図1では、テトラエトキシシラン(TEOS)の添加量を0%から30%まで添加し、架橋を行った。テトラエトキシシランの添加量が0%、すなわち架橋が行われていないポリビニルアルコールでは、温度が310℃を超えた頃から重量の減少が始まる。これに対して、テトラエトキシシランを10%加え、架橋を行ったポリビニルアルコールでは、350℃付近から重量の減少が始まっている。またテトラエトキシシランを20%添加したポリビニルアルコールでは、400℃付近から重量の減少が始まっていることが明らかとなった。ここで、テトラエトキシシランの添加量を30%としたとき、重量減少が200℃付近から始まるような現象がみられる。これは、温度上昇に伴い未反応のテトラエトキシシランの脱水縮合が進行し、これに伴った重量減少と考えられる。仮に、テトラエトキシシランの添加量が30%であって、熱重量分析時に未反応のテトラエトキシシランが存在しなかった場合には、波線のような軌跡をたどり、400℃付近から重量減少が始まる物と思われる。以上の結果から、テトラエトキシシランを添加することで、ポリビニルアルコールが架橋されていることが示され、さらにポリビニルアルコールの耐熱性が向上したことを示している。このテトラエトキシシランにより架橋されたポリビニルアルコールを用いることで、耐湿性偏光フィルムを得ることが可能となる。
<動的粘弾性測定>
図2に動的粘弾性測定結果を示した。図2の(a)は貯蔵弾性率(E')であって、(b)は損失正接(tanδ)である。図2の(a)の貯蔵弾性率の測定結果において、100℃から150℃付近の貯蔵弾性率は、テトラエトキシシランの添加率が増加するにつれて、上昇し、20%と30%添加ではほとんど変化しなくなった。
また図2の(b)の損失正接の測定結果において、テトラエトキシシランを加えていない(添加率0%)ポリビニルアルコールフィルムのtanδの極大点(0201)に比べ、テトラエトキシシランを添加したポリビニルアルコールフィルムのtanδの極大点(0202、0203、0204)は、高温側にシフトしていることがわかる。高温側にシフトした極大点の温度は、テトラエトキシシランの添加率に対してばらつきが大きく、明確な相関関係は得られなかった。しかし、極大点の温度は、テトラエトキシシランを添加することで、高温側にシフトすることは明らかである。従って、tanδの極大点の温度は、測定試料のガラス転移温度に相当するので、テトラエトキシシランの添加により、架橋密度が高くなって、ガラス転移温度が上昇していることがわかる。
以上の動的粘弾性の測定結果から、テトラエトキシシランを添加することでポリビニルアルコールは架橋され、ガラス転移点が高温側にシフトすることが明らかとなった。従って、テトラエトキシシランによりポリビニルアルコールは架橋されたことが確認された。なお、本実施形態は偏光フィルムに関しておもに述べたが、フィルムの利用目的は偏光に限らなくてもよい。耐湿性を必要とする場面一般で本実施形態のフィルムを利用することができる。つまり、本件発明は、 ポリビニルアルコールを金属化合物で架橋した材料からなる耐湿性フィルム、であってもよい。なお、実施形態2以降に関しても同様である。
<実施形態1 効果>
本実施形態で示したように、ポリビニルアルコールを金属アルコキシドにより架橋することで、耐湿性や耐熱性をもったポリビニルアルコールフィルムを得ることが可能となる。この金属アルコキシドにより架橋されたポリビニルアルコールフィルムに、実施形態2で詳述するヨウ素化合物を用いた酸化法あるいは染色法により着色・染色および延伸する方法や、それ以外の着色料を用いて着色・染色、延伸する方法や、従来から用いられている偏光フィルムの製造方法を適用することで耐湿性偏光フィルムを得ることが可能となる。
<実施形態2>
<実施形態2 概要>
本実施形態の耐湿性偏光フィルムは、金属アルコキシドを加水分解し、ポリビニルアルコールと脱水縮合することによって得られた材料からなり、ヨウ素化合物を用いて着色することを特徴とする耐湿性偏光フィルムおよびその製造方法である。
<実施形態2 構成>
本実施形態の耐湿性偏光フィルムは、金属アルコキシドを加水分解し、ポリビニルアルコールと脱水縮合することで、ポリビニルアルコールを金属化合物で架橋し、酸化法または染色法によって着色することを特徴とする耐湿性偏光フィルムである。
<金属アルコキシド>
本発明において用いられる金属アルコキシドとしては、テトラエトキシシランなどを用いる。使用する金属アルコキシドは、一般に市販されているもの(例えば、純度98%品など)を使用できるが、不純物の種類や含有量が少ないことが好ましい。
<ポリビニルアルコール>
本発明において用いられるポリビニルアルコールとしては、一般に市販されているものを使用することが可能である。ただし、不純物の種類や含有量が少なく、反応の進行を妨げる不純物が少ないことが好ましい。尚、本件発明の実験において使用したポリビニルアルコールは、重合度が1700、鹸化度が98.0mol%から99.0mol%のものを使用した。ただし、重合度のより高いものや、鹸化度のより低いポリビニルアルコールを用いることもできる。
<ヨウ素化合物>
本発明において用いられるヨウ素化合物としては、ヨウ素とヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウムなどのアルカリ金属のヨウ素塩などが挙げられる。それらのヨウ素化合物は一般に市販されているものを使用することが可能である。ただし、不純物の種類や含有量が少なく、反応の進行を妨げる不純物が少ないことが好ましい。尚、本件発明の実験において使用したヨウ素化合物は、酸化法ではヨウ化カリウムであり、染色法ではヨウ素とヨウ化カリウムである。また、偏光特性をもたせるために、ヨウ素化合物以外に各種の染料を用いることもできる。
<製造方法>(酸化法)
本実施形態の酸化法によって得られる耐湿性偏光フィルムは、予めヨウ素化合物と、ポリビニルアルコールを混合し、金属アルコキシドを加水分解し、ポリビニルアルコールと脱水縮合することで、ポリビニルアルコールを金属化合物で架橋した後に、酸化処理することを特徴とする。
本実施形態の酸化法による耐湿性偏光フィルムの製造方法では、まずポリビニルアルコールにヨウ素化合物としてヨウ化カリウムやヨウ化ナトリウム、ヨウ化リチウムなどを混合する。ヨウ化カリウムが混合されたポリビニルアルコールは、実施形態1に示した反応を経て、ポリビニルアルコールが架橋されたフィルムとなる。得られたフィルムを過酸化水素などの酸化剤を含む溶液中に浸漬することで、ヨウ素化合物のヨウ素が酸化されI2やI3-、I5-などのヨウ素化合物をポリビニルアルコールのフィルム中に生成させる。ヨウ素のアルカリ金属塩が酸化されることで、ポリビニルアルコールフィルムは着色される。この着色されたポリビニルアルコールフィルムを延伸することにより優れた偏光特性が得られる。
図3に本実施形態の酸化法による耐湿性偏光フィルムの製造方法を説明するためのフローチャートを示した。まず、純水に5 wt %のポリビニルアルコールとヨウ化カリウム(0.9 mmol/g-polymer)を加え、80℃で1時間溶解(S0301)させ、ポリビニルアルコールとヨウ化カリウムの混合溶液を作製する。溶解後、所定量の金属アルコキシドとしてテトラエトキシシランと塩酸を加え、常温で1時間撹拌(S0302)させた後、キャスト成形(S0303)し、40℃で24時間常圧乾燥(S0304)させ、ポリビニルアルコールフィルムを得る。続いて、ポリビニルアルコールフィルムを5℃、10 wt%の過酸化水素水溶液で酸化処理(S0305)を行った後、5℃の純水で洗浄(S0306)を行う。次に、ポリビニルアルコールフィルムを40℃、4 wt%ホウ酸水溶液中膨潤(S0307)させ、4倍延伸(S0308)し、4分間ホウ酸処理(安定化)を行った後、40℃で3時間常圧乾燥(S0309)することにより耐湿性偏光フィルムを得る。
<製造方法>(染色法)
本実施形態の染色法によって得られる耐湿性偏光フィルムは、実施形態1に示したように金属アルコキシドを加水分解し、ポリビニルアルコールと脱水縮合することで、ポリビニルアルコールを金属化合物で架橋したポリビニルアルコールフィルムを、ヨウ素とヨウ素のアルカリ金属塩を含む溶液に浸漬させ、着色を行う。
本実施形態の染色法による耐湿性偏光フィルムの製造方法では、まず実施形態1に示した反応を経て、ポリビニルアルコールが架橋されたフィルムを得る。その後、H2Oにより膨潤させ、ヨウ素のヨウ化カリウム溶液とホウ酸水溶液を含む染色液で、ポリビニルアルコールフィルムを染色する。この染色されたポリビニルアルコールフィルムを延伸することにより優れた偏光特性が得られる。
図4に本実施形態の染色法による耐湿性偏光フィルムの製造法を説明するためのフローチャートを示した。まず、純水に5 wt%のポリビニルアルコールを加え、80℃で1時間溶解(S0401)させポリビニルアルコール溶液を作製する。溶解後、金属アルコキシドとして所定量のテトラエトキシシランと塩酸を加え、常温で1時間撹拌(S0402)させた後にキャスト成形(S0403)し、40℃で24時間常圧乾燥(S0404)させ、ポリビニルアルコールフィルムを得た。続いて、ポリビニルアルコールフィルムを純水で1分間膨潤(S0405)し、染色液で6分間染色(S0406)した後、純水で洗浄(S0407)した。さらにポリビニルアルコールフィルムを40℃、4 wt%ホウ酸水溶液中で4倍延伸(S0408)し、4分間ホウ酸処理(安定化)を行った後、40℃で3時間常圧乾燥(S0409)することにより耐湿性偏光フィルムを得た。
<耐湿性偏光フィルムの物性測定>
(紫外・可視分光スペクトル)
UV-VISスペクトル測定は、日本分光社製のV‐650を使用した。測定条件は、レスポンス:Fast、バンド幅:L 2.0 nm、走査速度:400 nm/min、測定波長範囲:200〜800 nmにて測定を行った。また、偏光フィルムの各透過率は、図5の(a)に示す2度視野におけるX、Y、Z表色系の式により求めた。また偏光度は図5の(b)に示す式を用いて算出した。
図6に、酸化法により作成した耐湿性偏光フィルムの透過率と偏光度の値を示す。酸化法で作成した耐湿性偏光フィルムの透過率は、テトラエトキシシランの添加により少し低下した。また各サンプルで偏光フィルムとして十分な高い偏光度が得られた。
図7に、染色法により作成した耐湿性偏光フィルムの透過率と偏光度の値を示す。染色法で作製した偏光フィルムの透過率は40%以上の値となり、偏光度においても高い値となった。テトラエトキシシランを添加した系においても透過率、偏光度はポリビニルアルコール単体に比べ、低下する傾向は見られなかった。一般に市販されているヨウ素系偏光フィルムは、透過率40〜44%、偏光度95〜99%であり、総じてこの条件に近い結果となった。このことよりハイブリッド化したポリビニルアルコールフィルムから高い条件に当てはまる偏光フィルムが作製可能である。
(耐湿性試験)
図8および図9に耐湿性試験結果を示す。図8では、測定温度を40℃、測定湿度を100%として測定を行い、図9では、測定温度を60℃、測定湿度を80%として測定を行った。測定は、測定は、恒温恒湿器中で偏光フィルムを高温高湿度中に暴露し、偏光度の変化から耐湿性を評価した。
図8において、酸化法および染色法によって得られた偏光フィルムの耐湿性に関して、テトラエトキシシランを添加せず、ポリビニルアルコールが架橋されていない偏光フィルム(テトラエトキシシラン添加量:0%)においては、測定開始直後から偏光度は低下していることがわかる。一方で、テトラエトキシシランを10%から30%添加し、ポリビニルアルコールが架橋されている偏光フィルムにおいては、偏光度は低下するが、低下の度合いは緩やかである。またテトラエトキシシランを30%添加した偏光フィルムでは、測定時間が経過しても、偏光度の低下は緩やかであり、測定終了時点での偏光度は、80%から90%程度までしか低下していない。
図9において、酸化法および染色法によって得られた偏光フィルムの耐湿性に関して、テトラエトキシシランを添加せず、ポリビニルアルコールが架橋されていない偏光フィルム(テトラエトキシシラン添加量:0%)においては、測定開始直後か偏光度が低下し、測定終了時点では60%程度の偏光度となっている。テトラエトキシシランの添加量が10%の偏光フィルムにおいても、テトラエトキシシランが添加されていない偏光フィルム(テトラエトキシシラン添加量:0%)と同様に、測定終了時点では60%程度の偏光度となっている。一方、酸化法によって得られた、テトラエトキシシランを20または30%添加した偏光フィルムでは、偏光度の低下はほとんど見られず、測定終了時点においてもほぼ100%の偏光度を保っている。
以上の結果から、テトラエトキシシランを添加していない偏光フィルム(テトラエトキシシラン添加量:0%)を高湿度状態に置いた場合、偏光度の低下は著しいが、テトラエトキシシランを20%から30%添加しポリビニルアルコールを架橋することで、高湿度状態に置いても、偏光度の低下しにくい、耐湿性のある偏光フィルムを得ることが可能となる。またテトラエトキシシランの添加量は、10%の場合、高温状態での耐湿性が低いことが明らかとなった。
<実施形態2 効果>
本実施形態の耐湿性偏光フィルムおよび耐湿性偏光フィルムの製造法により、耐湿性に優れた耐湿性偏光フィルムを製造することが可能となる。これにより、ポリビニルアルコールフィルムを保護するトリアセチルセルロースフィルムを貼り合わせる必要が無くなり、製造工程の簡略化や、液晶パネルのよりいっそうの薄型化を図ることが可能となる。
テトラエトキシシランによって架橋されたポリビニルアルコールの熱重量分析測定結果 テトラエトキシシランによって架橋されたポリビニルアルコールの動的粘弾性測定結果 酸化法による耐湿性偏光フィルムの製造方法 染色法による耐湿性偏光フィルムの製造方法 透過率および偏光度の算出方法 酸化法により作成した耐湿性偏光フィルムの透過率と偏光度 染色法により作成した耐湿性偏光フィルムの透過率と偏光度 耐湿性偏光フィルムの耐湿性試験 耐湿性偏光フィルムの耐湿性試験
符号の説明
□ TEOS 0%
◇ TEOS 10%
○ TEOS 20%
△ TEOS 30%
S0301 溶解
S0302 撹拌
S0303 キャスト成形
S0304 乾燥
S0305 酸化処理
S0306 洗浄
S0307 膨潤
S0308 延伸
S0309 乾燥
S0401 溶解
S0402 撹拌
S0403 キャスト成形
S0404 乾燥
S0405 膨潤
S0406 染色
S0407 洗浄
S0408 延伸
S0409 乾燥

Claims (11)

  1. ポリビニルアルコールを金属化合物で架橋した材料からなる耐湿性偏光フィルム。
  2. 金属アルコキシドを用いてポリビニルアルコールを架橋した材料からなる耐湿性偏光フィルム。
  3. 金属アルコキシドを加水分解し、ポリビニルアルコールと脱水縮合することで、ポリビニルアルコールを金属化合物で架橋した材料からなる耐湿性偏光フィルム。
  4. 金属アルコキシドを加水分解し、ポリビニルアルコールと脱水縮合することで、ポリビニルアルコールを金属化合物で架橋した材料からなり、ヨウ素化合物を用いて着色することを特徴とする耐湿性偏光フィルム。
  5. ヨウ素化合物の存在下、金属アルコキシドを加水分解し、ポリビニルアルコールと脱水縮合することで、ポリビニルアルコールを金属化合物で架橋した材料を酸化してなる耐湿性偏光フィルム。
  6. 金属アルコキシドを加水分解し、ポリビニルアルコールと脱水縮合することで、ポリビニルアルコールを金属化合物で架橋した材料をヨウ素化合物で染色してなる耐湿性偏光フィルム。
  7. 前記金属アルコキシドはテトラアルコキシシランであることを特徴とする請求項2から6のいずれか一に記載の耐湿性偏光フィルム。
  8. 金属アルコキシドを加水分解し、ポリビニルアルコールと脱水縮合することで、ポリビニルアルコールを金属化合物で架橋した材料からなり、ヨウ素化合物を用いて着色することを特徴とする耐湿性偏光フィルムの製造方法。
  9. ヨウ素化合物の存在下、金属アルコキシドを加水分解し、ポリビニルアルコールと脱水縮合することで、ポリビニルアルコールを金属化合物で架橋した材料を酸化する耐湿性偏光フィルムの製造方法。
  10. 金属アルコキシドを加水分解し、ポリビニルアルコールと脱水縮合することで、ポリビニルアルコールを金属化合物で架橋した材料をヨウ素化合物で染色する耐湿性偏光フィルムの製造方法。
  11. 前記金属アルコキシドはテトラアルコキシシランであることを特徴とする請求項8から10のいずれか一に記載の耐湿性偏光フィルムの製造方法。
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