JP3492922B2 - 自動車のピラー下部補強構造 - Google Patents

自動車のピラー下部補強構造

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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、自動車のドア開口
を形成するロッカパネルとピラー下部との接合部の補強
構造に関する。 【0002】 【従来の技術】一般に自動車のサイドパネルは、車体前
後方向に延びるロッカパネルに車体上下方向に延びるフ
ロントピラー,センタピラーの下端部を接続してドア開
口を形成した構造となっている。またドア開口部の剛性
を高める観点から、上記ロッカパネル,フロントピラ
ー,センタピラー内にそれぞれリインホースを配設して
補強する場合がある。 【0003】このようなリインホースによる補強構造と
して、従来、図8及び図9に示すものがある。図におい
て、ロッカリインホース50は、車体前後方向に延びる
断面ハット状のロッカアウタリインホース51にロッカ
インナリインホース52を接合して矩形閉断面を形成し
た構造を有している。上記ロッカアウタリインホース5
1の外面には車体上下方向に延びるセンタピラーリイン
ホース53の下端部53aが補強板54を介在させて接
合されている。 【0004】このセンタピラーリインホース53,及び
ロッカアウタリインホース51の外側にはロッカアウ
タ,ピラーアウタ兼用のサイドアウタパネル55が配設
され、ロッカインナリインホース52の内側にはロッカ
インナパネル56が配設されている。 【0005】ところで、上記ロッカアウタリインホース
51とピラーリインホース53の下端部53aとを接合
する場合、従来、上記ロッカインナリインホース52に
作業用開口58を形成し、該開口58からスポットガン
60を挿入してスポッ溶接するのが一般的である(例え
ば、特開平8−183475号公報,特開平8−216
922号公報参照)。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の補強構造では、側面衝突時にロッカリインホース5
0の開口部の断面形状が崩れるおそれがあり、衝撃力に
対する耐力が低いという問題がある。このため場合によ
っては、側面衝突によりドアが開かなくなるという懸念
があり、この点での改善が要請されている。 【0007】本発明は、上記従来の状況に鑑みてなされ
たもので、側面衝突時の断面剛性を高めることにより、
衝撃力に対する耐力を向上できる自動車のピラー下部の
補強構造を提供することを目的としている。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明は、車体底部を前
後方向に延びるロッカアウタリインホースとロッカイン
ナリインホースとを矩形閉断面をなすように接合してな
るロッカリインホースの上記ロックアウタリインホース
の外面に車体上下方向に延びるピラーリインホースの下
端部を重ね合わせ、上記ロッカインナリインホースに形
成された作業用開口から上記ピラーリインホースとロッ
カアウタリインホースとの重合部をスポット溶接した自
動車のピラー下部補強構造において、上記ロッカアウタ
リインホースを上壁,下壁,底壁からなる断面ハット状
のものとし、該ロッカアウタリインホース内に上記作業
用開口を縦断するようにバルクヘッドを配置し、該バル
クヘッドを、本体部の外縁に外フランジを屈曲形成する
とともに上縁,下縁にそれぞれ上,下フランジを屈曲形
成してなるものとし、上記外フランジを上記ロッカアウ
タリインホースの底壁とピラーリインホースの下端部と
の重合部にスポット溶接し、上記上フランジをロッカア
ウタリインホースの上壁に、下フランジをロッカアウタ
リインホースの下壁にそれぞれスポット溶接したことを
特徴としている。 【0009】 【発明の作用効果】本発明に係るピラー下部の補強構造
によれば、断面ハット状のロッカアウタリインホース内
作業用開口を縦断するようにバルクヘッドを配置し、
該バルクヘッドの外フランジをピラーリインホースとロ
ッカアウタリインホースとの重合部に重ね合わせてスポ
ット溶接し、上,下フランジをロッカアウタリインホー
スの上,下壁にそれぞれスポット溶接したので、ロッカ
リインホースの開口部の断面剛性を高めることができ、
それだけ側面衝突時の耐力を向上でき、ひいては衝突に
よりドアが開かなくなるのを回避できる効果がある。 【0010】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を添付
図面に基づいて説明する。図1ないし図7は、本発明の
一実施形態による自動車のセンタピラー下部補強構造を
説明するための図であり、図1はセンタピラー下部の断
面図、図2は車体外側から見たセンタピラー下部の側面
図、図3は車体内側から見たセンタピラー下部の側面
図、図4〜図6はそれぞれバルクヘッドの斜視図、図7
は自動車のサイドパネルの側面図である。 【0011】図7において、1は自動車のサイドパネル
であり、これは車体底部にて前後方向に延びる左, 右の
ロッカパネル2の前端部に上下方向に延びるフロントピ
ラー3の下端部を接続するとともに、該ロッカパネル2
の長手方向中央部に上下方向に延びるセンタピラー4の
下端部を接続し、該センタピラー4の上端部とフロント
ピラー3の上端部とをルーフサイドレール5により接続
し、該ルーフサイドレール5,フロントピラー3,セン
タピラー4,及びロッカパネル2によりフロントドア開
口1aを形成した概略構造となっている。 【0012】上記ロッカパネル2は、ロッカアウタ2a
とロッカインナ2bとの上縁部同士,下縁部同士をスポ
ット溶接してなる矩形閉断面を有する。またセンタピラ
ー4は、ピラーアウタ4aとピラーインナ4bとの前縁
部同士,後縁部同士をスポット溶接してなる矩形閉断面
を有する。上記ロッカアウタ2a,ピラーアウタ4aは
フロントドア開口1aの全周に渡って一体形成されたも
のであり、不図示のフロントピラーアウタ,ルーフサイ
ドレールアウタを兼ねている。 【0013】上記ロッカパネル2内にはロッカリインホ
ース7が配設されている。このロッカリインホース7
は、上壁7c,下壁7d,底壁7eからなる断面ハット
状のロッカアウタリインホース7aと、帯板状のロッカ
インナリインホース7bとを矩形閉断面をなすように接
合したものであり、該ロッカリインホース7の上縁部,
下縁部は上記ロッカパネル2の接合部に重ね合わせてス
ポット溶接されている。 【0014】また上記センタピラー4内には上下方向に
延びるピラーリインホース8が配設されており、該ピラ
ーリインホース8の前縁部,後縁部は上記センタピラー
4の接合部に重ね合わせてスポット溶接されている。 【0015】図1〜図3において、上記ピラーリインホ
ース8の下端部8aは車体前後方向に少し拡がるように
延長形成されている。また上記ロッカアウタリインホー
ス7aの外面にはこれを囲むように上壁9a,下壁9
b,底壁9cからなる横断面ハット状の板金製の補強板
9が配設されており、該補強板9の外面に上記ピラーリ
インホース8の下端部8aとが重ね合わされている。 【0016】そして上記ロッカリインホース7内には本
実施形態の特徴をなす3つのバルクヘッド12,13,
14が前後方向に間隔をあけて配設されている。この各
バルクヘッド12〜14は板金製のものであり、平板状
の本体部12a,13a,14aの外縁に外フランジ1
2b,13b,14bを屈曲形成するとともに、上縁,
下縁にそれぞれ上フランジ12c,13c,14c,及
び下フランジ12d,13d,14dを屈曲形成して構
成されている。上記各本体部12a,13a,14aに
は、それぞれ組み付け基準孔15,軽量化を図るための
肉抜き孔16,及び補強ビード17が形成されている。 【0017】上記ロッカインナリインホース7bの、上
記下端部8aに臨む部分にはスポット作業用開口10が
形成されており、該開口10は前後方向に延びる長孔状
になっている。そして上記前側のバルクヘッド12は車
内側から見たとき上記開口10の前部を縦断するように
配置され、中央側のバルクヘッド13は上記開口10の
中央部を縦断するように配置されている。また後側のバ
ルクヘッド14は上記開口10の後縁の後方に配置され
ている。 【0018】上記前側,中央の各バルクヘッド12,1
3の外フランジ12b,13bは、上記ロッカアウタリ
インホース7aの底壁7e,補強板9の底壁9c及びピ
ラーリインホース8の下端部8aの重合部に重ね合わさ
れてスポット溶接されている。また後側のバルクヘッド
14の外フランジ14bはロッカアウタリインホース7
aの底壁7e及び補強板9の底壁9cに重ね合わされて
スポット溶接されている。 【0019】また上記各バルクヘッド12,13,14
の上フランジ12c,13c,14cはロッカアウタリ
インホース7aの上壁7cと補強板9の上壁9aとに重
ね合わされてスポット溶接されており、下フランジ12
d,13d,14dはロッカアウタリインホース7aの
下壁7dと補強板9の下壁9bとに重ね合わされてスポ
ット溶接されている。上記各バルクヘッド12,13,
14は開口10から挿入されたスポットガンにより溶接
されたものである。 【0020】また、上記重合部をスポット溶接した後、
ロッカアウタ2a,ピラーアウタ4aを配設するととも
に、ロッカインナ2bを配設し、該ピラーアウタ4aの
下縁とロッカインナ2bの下縁とをロッカリインホース
7の下縁に重ね合わせてスポット溶接し、該ロッカイン
ナ2bの上縁をロッカリインホース7の上縁に重ね合わ
せてスポット溶接する。これにより作業用開口10はロ
ッカインナ2bにより覆われている。 【0021】次に本実施形態の作用効果について説明す
る。本実施形態の補強構造によれば、ロッカリインホー
ス7内に車内側から見たとき作業用開口10を縦断する
ようにバルクヘッド12,13を配置し、該バルクヘッ
ド12,13の外フランジ12b,13bをピラーリイ
ンホース8の下端部8aと補強板9の底壁9cとロッカ
アウタリインホース7aの底壁7eとの重合部に重ね合
わせてスポット溶接するとともに、上フランジ12c,
13c及び下フランジ12d,13dをそれぞれロッカ
アウタリインホース7aの上壁7c,下壁7dと補強板
9の上壁9a,下壁9bとの重合部にスポット溶接した
ので、ロッカリインホース7の開口部の断面剛性を高め
ることができ、それだけ側面衝突時の耐力を向上でき
る。これにより側面衝突によりドアが開かなくなるのを
回避できる。 【0022】なお、上記実施形態では、各バルクヘッド
12〜14をロッカアウタリインホース7aの底壁7
e,上壁7c,下壁7dにスポット溶接した場合を説明
したが、本発明では、さらに図1の一点鎖線で示すよう
に、バルクヘッド13にロッカインナリインホース7b
の内面に当接する内フランジ13eを延長形成し、該内
フランジ13eをロッカインナリインホース7bにスポ
ット溶接してもよい。このようにした場合には、ロッカ
リインホース7の開口部の断面剛性をさらに向上でき
る。 【0023】また上記実施形態では、3つのバルクヘッ
ド12〜14を間隔をあけて配置したが、本発明のバル
クヘッドはこれに限られるものではなく、開口面積,必
要耐力等に応じてバックヘッドの数量,形状,サイズ等
を適宜設定すれば良い。 【0024】さらに上記実施形態では、センタピラー4
下部の接合部を例にとって説明したが、本発明はフロン
トピラーの下部,あるいはクォータピラーの下部にも適
用でき、要はピラー下部の接合部に作業用開口を有する
構造であれば、何れにも適用可能である。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の一実施形態による自動車のセンタピラ
ー下部の補強構造を説明するための断面図である(図2
のI−I線断面図)。 【図2】上記センタピラー下部の車体外側から見た側面
図である。 【図3】上記センタピラー下部の車体内側から見た側面
図である。 【図4】本実施形態の中央のバルクヘッドの斜視図であ
る。 【図5】本実施形態の前側のバルクヘッドの斜視図であ
る。 【図6】本実施形態の後側のバルクヘッドの斜視図であ
る。 【図7】上記自動車のサイドパネルの概略側面図であ
る。 【図8】従来の一般的なピラーリインホース下部の側面
図である。 【図9】従来のピラーリインホース下部の補強構造を示
す断面図である(図8のIX-IX線断面図) 。 【符号の説明】 7 ロッカリインホース 7a ロッカアウタリインホース 7b ロッカインナリインホース 8 ピラーリインホース 8a 下端部 10 作業用開口 12〜14 バルクヘッド
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B62D 25/20 B62D 25/04

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 車体底部を前後方向に延びるロッカアウ
    タリインホースとロッカインナリインホースとを矩形閉
    断面をなすように接合してなるロッカリインホースの上
    記ロックアウタリインホースの外面に車体上下方向に延
    びるピラーリインホースの下端部を重ね合わせ、上記ロ
    ッカインナリインホースに形成された作業用開口から上
    記ピラーリインホースとロッカアウタリインホースとの
    重合部をスポット溶接した自動車のピラー下部補強構造
    において、上記ロッカアウタリインホースを上壁,下
    壁,底壁からなる断面ハット状のものとし、該ロッカア
    ウタリインホース内に上記作業用開口を縦断するように
    バルクヘッドを配置し、該バルクヘッドを、本体部の外
    縁に外フランジを屈曲形成するとともに上縁,下縁にそ
    れぞれ上,下フランジを屈曲形成してなるものとし、上
    記外フランジを上記ロッカアウタリインホースの底壁と
    ピラーリインホースの下端部との重合部にスポット溶接
    し、上記上フランジをロッカアウタリインホースの上壁
    に、下フランジをロッカアウタリインホースの下壁にそ
    れぞれスポット溶接したことを特徴とする自動車のピラ
    ー下部補強構造。
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