JP3506414B2 - 車体構造 - Google Patents

車体構造

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潔 伏木田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車の車体構造
に関するもので、特に、車体側壁のピラー部分のの剛性
を向上させる結合構造に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車の側壁部分は、アウタパネルとイ
ンナパネルとを結合させて閉断面構造とするのが一般的
であるが、このような側壁の構造において、アウタパネ
ルを1枚のパネルで構成し、外板部品の合わせを無くし
て、防錆性能・水密性能・建付け精度の向上および軽量
化を図ることが知られている。このような構造として、
例えば、日産自動車株式会社1990年5月発行の「新
型車解説書(W10−1)」のD−9頁に記載のものが
知られている。この従来技術にあっては、図9に示すよ
うに、ボディサイドアウタ01が一体に形成されてい
る。そして、その内側には、図10に示すようなサイド
ルーフレールアウタ02とリヤピラーインナ03とを接
合させた部材を閉断面を形成するように接合し、さら
に、それらの間にレインフォース04を設けて、剛性の
向上を図っている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
従来技術にあっては、レインフォース04は、柱状を成
すピラーの部分では、ボディサイドアウタ01とリヤピ
ラーインナ03とに接合されて剛性アップが図られてい
るが、ルーフサイドレールの部分にあっては、図11に
示すように、レインフォース04の前端部が何処にも結
合されておらず、剛性の向上を図る余地が残されてい
た。ちなみに、レインフォース04の前端部を車外方向
あるいは車内方向に折曲させてボディサイドアウタ01
やサイドルーフレールインナ02に結合させた場合、レ
インフォース04が閉断面を横切る状態で設けられない
ため、充分な剛性が得られない。
【0004】さらに、ボディサイドアウタ01を1枚の
パネルで形成する構成では、安価に製造するためにはプ
レスの方向をできるだけ一定方向に統一する必要があ
る。すなわち、プレス方向が複数の方向を向く形状とす
ると、必要な成形型の数およびプレス機の数が増し、コ
ストアップを招く。しかしながら、上述のように安価に
製造するためにプレスの方向を一定にした場合、全体の
造形形状が制約されるもので、特に、ボディサイドアウ
タ01の前端部や後端部におけるランプ取付部の形状な
どに大きな制約を受け、設計自由度が低いという問題が
あった。
【0005】ところで、上述のワゴンタイプの車両では
なしにセダンタイプの車両にあっては、図12に示すよ
うに、ボディサイドアウタと同様に1枚のパネルで形成
されたボディサイドパネル05をリヤピラーの付近から
車内側に折曲させてサイドルーフレールインナ02など
と接合してインナパネルとして機能させ、その外側にリ
ヤフードリッジパネル06を設ける構造が提案されてい
る。このような構造では、車体の外面は、前側ではボデ
ィサイドパネル05、後側ではリヤフードリッジパネル
06により構成されるから、プレス上の制約を前後に分
けることができる分だけ設計自由度が向上する。しかし
ながら、このような構造をそのまま、上述のワゴンタイ
プの車両に適用した場合には、レインフォースが設けら
れていない分だけ剛性が不足すると予想される。
【0006】本発明は、上述の従来の問題点に着目して
なされたもので、ボディサイドパネルが途中から車体内
側に折曲されてインナパネルとして構成され、その外側
に車体外板を構成するアウタパネルが設けられた設計自
由度に優れた構造において、剛性アップを図ることを第
1の目的とし、さらに、このような車両において車体側
壁上部にガイドレールを設ける場合に、部品点数の削減
を図ることを第2の目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
め本発明は、車体のピラーを中間部に含む側壁を構成す
る1枚のボディサイドパネルが車体の前後方向に延在さ
れ、前記ボディサイドパネルの中間部には、ピラーを構
成する部位よりも前方位置ではアウタパネルとして車外
側に面し、その後方ではインナパネルとして側壁内面に
位置するよう車幅方向に変位された変位部が設けられ、
前記側壁が、前記変位部よりも前方の部位ではボディサ
イドパネルにインナパネルを結合して閉断面構造に形成
され、前記変位部よりも後方の部位ではボディサイドパ
ネルにアウタパネルを結合して閉断面構造に形成され、
前記側壁のピラーを構成する部分には、剛性を向上させ
るレインフォースが、上下方向に延在されてボディサイ
ドパネルとインナパネルおよびアウタパネルとの間に重
ねられて結合されている車体構造において、前記レイン
フォースの上部であって、ピラーを形成する閉断面部分
よりも上方に位置する部分の前端部を、前記ボディサイ
ドパネルの変位部に面合わせして結合させたことを特徴
とする。したがって、レインフォースの上端部までその
前端部が、側壁の閉断面を構成する場合に面合わせして
結合されており、車体の剛性が向上する。
【0008】なお、請求項2に記載のように、請求項1
記載の車体構造において、前記ボディサイドパネルの変
位部に、前後方向に延在された面を有した段部を形成
し、この段部に前記レインフォースの前端部を結合する
のが好ましい。したがって、レインフォースとボディサ
イドアウタとの合わせ面の方向を、レインフォースの一
般部の向きと一致して、剛性をよりいっそう向上させる
ことができる。
【0009】また、請求項3に記載のように、請求項1
または2記載の車体構造において、前記レインフォース
の一部に、アウタパネルに当接する凸部を設け、スライ
ドドアのスライドをガイドするガイドレールをこの凸部
に固定するのが好ましい。このようにガイドレールを固
定する場合、アウタパネルだけでは板厚が不足するた
め、従来は、アウタパネルの裏面にこの固定部強化用の
パネルを設定していたが、これを省略することができ
る。
【0010】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を図
面に基づいて説明する。図6は本発明実施の形態を適用
した自動車のボディの斜視図であって、この自動車はル
ーフパネル1が車体の後端部まで延在されたいわゆるワ
ゴンタイプの形状に形成されていて、ルーフパネル1の
四隅がフロントピラー2aおよびリヤエンドピラー2b
に結合され、かつ、ルーフパネル1の左右端縁の中間部
が、ドア用の開口部3を挟んで設けられたセンタピラー
2cおよびリヤピラー2dに結合されている。
【0011】上記自動車の側壁を構成する部材としてボ
ディサイドパネル4が設けられている。このボディサイ
ドパネル4は、図7に示すように、フロントピラーa2
からリヤエンドピラー2bまでの間の側壁を構成する1
枚のパネルであって、従来技術と同様に、外板部品の合
わせを少なくして、防錆性能・水密性能・建付け精度の
向上および軽量化が図られている。また、前記ボディサ
イドパネル4は、前半分はアウタパネルとして機能して
おり裏面側に間に閉断面を形成するようにインナパネル
5が接合され、後半分はインナパネルとして機能してお
り表面側に間に閉断面を形成するようにリヤフェンダパ
ネル6が接合されているもので、このアウタパネルとし
て機能する部分とインナパネルとして機能する部分との
間に車外側から車室側に向けて折曲された変位部4aが
形成されている。さらに、前記リヤピラー2dには、ボ
ディサイドパネル4とリヤフェンダパネル6との間に、
図7に示すT字形状のレインフォース7が上下方向に延
在して設けられている。
【0012】以下に、これらボディサイドパネル4とサ
イドパネルインナ5とリヤフェンダパネル6とレインフ
ォース7との接合構造について図1〜図5により詳細に
説明する。前記レインフォース7は、下端から上端部近
傍にかけては、従来技術と同様、図2に示すようにボデ
ィサイドパネル4とリヤフェンダパネル6とで形成され
た閉断面を横切って設置されて、その前後端縁部がボデ
ィサイドパネル4とリヤフェンダパネル6の端縁と重ね
られてスポット溶接されている。
【0013】本実施の形態にあっては、ボディサイドパ
ネル4とサイドパネルインナ5とリヤフェンダパネル6
とレインフォース7との接合構造において、車体側壁の
上端部であるルーフサイドレール8の部分に配置された
レインフォース7の上端部の接合に特徴がある。すなわ
ち、ボディサイドパネル4は、図7のS1−S1線によ
る断面図である図1に示すように、車外側から車室側に
向けて折曲されている部分である変位部4aを挟んで、
車外側の端部にリヤフェンダパネル6の前端部がスポッ
ト溶接されている一方、車室側の端部にサイドパネルイ
ンナ5の後端部がスポット溶接されている。そして、前
記変位部4aの中間部には、レインフォース7の前後方
向に延在されている向きと同一方向に延在された段部4
bが形成され、この段部4bにレインフォース7の前端
部がスポット溶接されている。ちなみに、前記段部4b
は、図1および図7のS4−S4線による断面図である
図4に示すように、斜め上方を向いて形成されている。
【0014】また、図3,図4に示すように、ルーフサ
イドレール8の外側には、図示を省略したスライドドア
のスライドをガイドするガイドレール9が設けられてお
り、このガイドレール9の後端部が、図1に示すよう
に、レインフォース7をリヤフェンダパネル6に当接す
るまで突設して形成された支持用凸部7aにボルトおよ
びナットにより固定されている。
【0015】なお、図3〜図5は、それぞれ図7および
図1のS3−S3,S4−S4,S5−S5線による断
面図であって、これらの図により、ルーフサイドレール
8の断面形状が各部で変化していないことや、ボディサ
イドパネル4の車外側から車室側への変位状態が解る。
また、各図において*の印はスポット溶接点を示してい
る。
【0016】以上のように構成した実施の形態にあって
は、レインフォース7の上端部の前端部が、ボディサイ
ドパネル4と結合されるため、従来技術と比較して、車
体剛性が向上し、これにより、自動車の安全性・耐久性
・快適生の向上を図ることができるという効果が得られ
る。さらに、実施の形態では、ボディサイドパネル4の
変位部4aに車体前後方向に延在された段部4bを形成
し、この段部4bにレインフォース7の端縁部を折り曲
げることなく真っ直ぐに重ね合わせてスポット溶接する
ようにしたため、車両前後方向に斜めを向いた面に対し
て溶接する場合と比較して、より高い剛性を得ることが
できる。さらに、実施の形態では、レインフォース7に
支持用凸部7aを形成し、この支持用凸部7aとリヤフ
ェンダパネル6とが重なり合う部分にガイドレール9を
固定するように構成したため、ガイドレール9の固定用
のパネルを別に設定することなく支持剛性を高めること
ができ、ガイドレール9を固定するためのコストを低減
することができるという効果が得られる。
【0017】以上、図面により実施の形態について説明
したが、本発明はこの実施の形態に限られるものではな
い。すなわち、実施の形態では、ボディサイドパネル4
の変位部4aに段部4bを形成し、この段部4bにレイ
ンフォース7を結合させたが、図8のように、斜めを向
いた変位部4aにレインフォース7の前端で折り曲げた
端縁部を結合するようにしてもよい。また、実施の形態
では、パネルとパネルとの結合部分は、全てスポット溶
接を用いた例を示したが、ボルトやねじなどによる結合
を採用することもできる。実施の形態では、ルーフパネ
ル1がリヤピラー2dよりも後方まで延在されているい
わゆるワゴンタイプの自動車に適用した例を示したが、
セダンタイプの自動車に適用することもできる。実施の
形態では、レインフォース7にガイドレール9を固定す
るための支持用凸部7aを形成したが、この支持用凸部
7aは必ずしも設ける必要はない。
【0018】
【発明の効果】以上説明してきたように本発明の車体構
造にあっては、車体の側壁の閉断面を構成する部材とし
て前後に長い1枚のボディサイドパネルを用いて外板部
品の合わせを少なくして、防錆性能・水密性能・建付け
精度の向上および軽量化を図ることができる車体構造に
おいて、ボディサイドパネルのアウタパネルとして機能
する部位とインナパネルとして機能する部位の間に設け
た変位部に、ピラーの剛性を向上するためのレインフォ
ースの前端部を面合わせして結合させた構造としたた
め、簡単な構成の変更で車体の剛性を向上させることが
できるという効果を奏する。また、請求項2に記載の発
明では、前記ボディサイドパネルの変位部に、前後方向
に延在された面を有した段部を形成し、この段部に前記
レインフォースの前端部を結合した構造としたため、レ
インフォースとボディサイドアウタとの合わせ面の方向
を、レインフォースの一般部の向きと一致させて、剛性
をよりいっそう向上させることができるという効果を奏
する。また、請求項3に記載の発明では、前記レインフ
ォースの一部に、アウタパネルに当接する凸部を設け、
スライドドアのスライドをガイドするガイドレールをこ
の凸部に固定した構造としたため、ガイドレールの固定
部強化用のパネルを別途設定する必要がなくなり、安価
にガイドレールの支持剛性の向上を図ることができると
いう効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態の車体構造を示す断面図(図7のS
1−S1断面)である。
【図2】実施の形態の断面図(図7のS2−S2断面)
図である。
【図3】実施の形態の断面図(図1および図7のS3−
S3断面)である。
【図4】実施の形態の断面図(図1および図7のS4−
S4断面)である。
【図5】実施の形態の断面図(図1および図7のS5−
S5断面)である。
【図6】実施の形態を適用した自動車の斜視図である。
【図7】実施の形態の要部の側面図である。
【図8】他の実施の形態の断面図である。
【図9】従来技術の要部の斜視図である。
【図10】従来技術の要部の斜視図である。
【図11】従来技術の要部の断面図である。
【図12】従来技術の要部の断面図である。
【符号の説明】
1 ルーフパネル 2a フロントピラー 2b リヤエンドピラー 2c センタピラー 2d リヤピラー 3 開口部 4 ボディサイドパネル 4a 変位部 4b 段部 5 サイドパネルインナ 6 リヤフェンダパネル 7 レインフォース 7a 支持用凸部 8 ルーフサイドレール 9 ガイドレール
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B62D 25/04 B62D 25/02

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車体のピラーを中間部に含む側壁を構成
    する1枚のボディサイドパネルが車体の前後方向に延在
    され、 前記ボディサイドパネルの中間部には、ピラーを構成す
    る部位よりも前方位置ではアウタパネルとして車外側に
    面し、その後方ではインナパネルとして側壁内面に位置
    するよう車幅方向に変位された変位部が設けられ、 前記側壁が、前記変位部よりも前方の部位ではボディサ
    イドパネルにインナパネルを結合して閉断面構造に形成
    され、前記変位部よりも後方の部位ではボディサイドパ
    ネルにアウタパネルを結合して閉断面構造に形成され、 前記側壁のピラーを構成する部分には、剛性を向上させ
    るレインフォースが、上下方向に延在されてボディサイ
    ドパネルとインナパネルおよびアウタパネルとの間に重
    ねられて結合されている車体構造において、 前記レインフォースの上部であって、ピラーを形成する
    閉断面部分よりも上方に位置する部分の前端部を、前記
    ボディサイドパネルの変位部に面合わせして結合させた
    ことを特徴とする車体構造。
  2. 【請求項2】 前記ボディサイドパネルの変位部に、前
    後方向に延在された面を有した段部が形成され、 この段部に前記レインフォースの前端部が結合されてい
    ることを特徴とする請求項1記載の車体構造。
  3. 【請求項3】 前記レインフォースの一部に、アウタパ
    ネルに当接する凸部を設け、スライドドアのスライドを
    ガイドするガイドレールをこの凸部に固定したことを特
    徴とする請求項1または2記載の車体構造。
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