JP3857055B2 - 自動車のサイドアウタパネルの分割部結合構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車の左右外側に配設されるサイドアウタパネルを前後に分割した場合の該分割部の結合構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車のサイドパネルにおいては、例えば、図6ないし図8に示すように、車両前後方向に延びるルーフレール50に上下方向に延びるクォータピラー51を一体に接続形成し、該ルーフレール50とクォータピラー51とでリヤドア開口52とクォータウインド開口53を形成する場合がある。
【0003】
このようなルーフレール50とクォータピラー51とのピラーコーナ部Aの剛性を確保するために、従来、上記ピラーコーナ部Aに2枚のリインホース54,55を配設したり、あるいはリインホースとピラーインナとで複数の閉断面を形成したりするのが一般的である(実開平6−12267号公報参照)。
【0004】
一方、衝突時のサイドパネルの車体剛性を高めとともに、不必要な部分での過剰な板厚アップを回避する観点から、サイドアウタパネルを前後に分割し、前側のサイドアウタパネルの板厚を後側のサイドアウタパネルの板厚より大きくする場合がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のピラーコーナ部にリインホースを配設する構造とした場合には、部品点数が増える分だけコストが上昇するという問題がある。
【0006】
また上述のサイドパネルを前後に分割する構造を採用した場合には、分割部の剛性を高める必要がある。この場合、分割部に上述のリインホースを単に追加するだけでは、コスト上昇の問題が生じ、この点での改善が要請されている。
【0007】
本発明は、リインホースを追加することなくサイドアウタパネルの分割部の剛性を確保できる自動車のサイドアウタパネルの分割部結合構造を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、車両前後方向に延びるサイドアウタ部と、該サイドアウタ部から車両上下方向に延びるピラー部とを有するサイドアウタパネルを、上記ピラー部近傍にて前,後のサイドアウタパネルに分割するようにした自動車のサイドアウタパネルの分割部結合構造において、上記前,後のサイドアウタパネルのうちの一方のサイドアウタパネルは、上記ピラー部を含み、かつ他方のサイドアウタパネルの分割部まで延びる延長部を有し、上記前,後のサイドアウタパネルのうちの他方のサイドアウタパネルは、上記一方のサイドアウタパネルのサイドアウタ部のピラー部を越える中途部まで延びる第1延長部と、該第1延長部から上記ピラー部の中途部まで延びる第2延長部とを有し、上記一方のサイドアウタパネルのサイドアウタ部,ピラー部及び延長部と、他方のサイドアウタパネルの第1,第2延長部との重ね合わせ部は、上記第1延長部とサイドアウタ部とで第1閉断面が形成され、上記第2延長部とピラー部とで第2閉断面が形成されるよう接着剤により結合されていることを特徴としている。
【0009】
ここで、上記サイドアウタ部には、ルーフパネルの左右側部に配設されるルーフレール,あるいはフロアパネルの左右側部に配設されるロッカパネルが含まれる。また上記ピラー部には、上記ルーフレールとロッカパネルとの間に架設されるフロントピラー,センタピラー,クォータピラーが含まれる。
【0013】
【発明の作用効果】
請求項1の発明に係るサイドアウタパネルの分割部結合構造によれば、前後のサイドアウタパネルの一方をピラー部を含むものとするとともに、他方のサイドアウタ部に重なるように延長形成し、他方のサイドアウタパネルを上記一方のサイドアウタパネルのピラー部及びサイドアウタ部の該ピラー部を越えた部分に重なるように延長形成し、この両者の重合わせ部を結合したので、上記前後のサイドアウタパネルの分割部及びピラーコーナ部における必要な剛性を確保することができる。その結果、従来のリインホースを不要にでき、部品点数を削減できるとともに、コストを低減できる。
【0014】
本発明では、上記重ね合わせ部に第1,第2閉断面を形成したので、上記分割部及びピラーコーナ部の剛性をさらに高めることがてきる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0018】
図1ないし図5は、本発明の一実施形態による自動車のサイドアウタパネルの分割部結合構造を説明するための図であり、図1は前後サイドアウタパネルの重合わせ部の側面図、図2は上記重合わせ部の断面背面図(図1のII-II 線断面図)、図3は上記重合わせ部の断面平面図(図1のIII-III 線断面図)、図4は上記重合わせ部の差厚結合部の断面平面図(図1のIV-IV 線断面図)、図5は自動車の車体の側面図である。
【0019】
図において、1は自動車の側部車体を示しており、これは左右のサイドパネル2の上端間にルーフパネル3を配設するとともに、下端間にフロアパネル(不図示)を配設して車室を形成した概略構造となっている。
【0020】
上記サイドパネル2は、サイドアウタパネル4とサイドインナパネル5とを閉断面をなすように接合してなるものであり、上記ルーフパネル3の左右外側に沿って車両前後方向に延びるルーフレール2aと、フロアパネルの左右外側に沿って車両前後方向に延びるロッカパネル2bとの間に、上下方向に延びるフロントピラー2c,センタピラー2dを架設してフロントドア開口eを形成し、上記センタピラー2dとクォータピラー2fとでリヤドア開口2gを形成した構造となっている。また上記サイドパネル2のリヤドア開口2gの後側にはクォータウインド開口2hが形成されている。
【0021】
上記サイドアウタパネル4及びサイドインナパネル5の上縁部にはそれぞれフランジ4a,5aが段落ち形成されており、該フランジ4a,5aには上記ルーフパネル3の側縁部に段落ち形成されたフランジ3aが凹溝をなすように重ね合わせて接合されている。この凹溝内にはルーフモール(不図示)が充填されている。
【0022】
上記サイドアウタパネル4は、ルーフレール2a,ロッカパネル2b,フロントピラー2c及びセンタピラー2dを含む前側サイドアウタパネル7と、ルーフレール2a,ロッカパネル2bの後端部,及びクォータピラー2f,クォータパネル2iを含む後側サイドアウタパネル8とに車両前後に分割されている。上記サイドアウタパネル4の上側の分割部B1はルーフレール2aのクォータピラー2f近傍に設定され、下側の分割部B2はロッカパネル2bのクォータピラー2近傍に設定されている。
【0023】
また前側サイドアウタパネル7の板厚は後側サイドアウタパネル8の板厚より大きく設定されている。具体的には前側サイドアウタパネル7の板厚は1.0mmに、後側サイドアウタパネル8の板厚は0.6mm程度にそれぞれ設定されている。このようにして前面衝突時の車体前部の剛性を図ることにより衝撃力による車室への影響を抑制しており、また車体後部においては必要以上の板厚アップによる重量増加,及びコスト上昇を抑制している。
【0024】
上記後側サイドアウタパネル8のルーフレール部8aには、上記前側サイドアウタパネル7のルーフレール部7aの分割部B1に延びる延長部8cが一体形成されている。
【0025】
上記延長部8cと前側ルーフレール部7aとの分割部B1は差厚結合により結合されている。この差厚結合は、前側のルーフレール部7aの後端部に段部7a´を車室側に段落ち状に屈曲形成し、該段部7a´に上記延長部8cの前端面8c´を対向させて重ね合わせるとともに両者を接合し、これにより連続面を形成した構造となっている。上記段部7a´とルーフレール部8aの前端面8a´との接合は、例えばアーク溶接,あるいはマスチック接着剤が採用可能である。また上記後側サイドアウタパネル8のロッカ部8dと、上記前側サイドアウタパネル7のロッカ部7bとの分割部B2についても上記同様に差厚結合により接合されている。
【0026】
上記前側サイドアウタパネル7のルーフレール部7aには、上記段部7a´に続いて後側サイドアウタパネル8の車内側に重なるように延びる延長部10が一体形成されている。該延長部10と後側サイドアウタパネル8のピラーコーナ部とで重合わせ部が形成されている。この延長部10は、側面視で略T字形状のものであり、上記延長部8cからクォータピラー部8bを通り越してルーフレール部8aのクォータウインド開口2hの前コーナ部に渡って延びる第1延長部10aと、該第1延長部10aからクォータピラー部8bに沿って下方に延びる第2延長部10bとを備えている。
【0027】
上記第1延長部10aの上縁部にはフランジ部10cが段落ち形成されており、該フランジ部10cは、後側サイドアウタパネル8のフランジ4aとともに、サイドインナパネル5のフランジ5a及びルーフパネル3のフランジ3aに4枚重ね合わせて接合されている。また上記延長部10の前後コーナ縁部10d,10eは、後側サイドアウタパネル8のクォータピラー部8bの開口縁部及びサイドインナパネル5の開口縁部(不図示)に3枚重ね合わせて接合されている。
【0028】
上記第1延長部10aには、後側のルーフレール部8aとで第1閉断面11を形成する第1屈曲部10fが車内側に折り曲げ形成されている。また上記第2延長部10bには、後側のクォータピラー部8bに折り曲げ形成された角部8b´とで第2閉断面12を形成する第2屈曲部10gが形成されている。このようにして第2屈曲部10gと上記角部8b´とを上下方向にずらすことにより第2閉断面12が形成されている。また上記延長部10はマスチック接着剤13により後側のルーフレール部8a及びクォータピラー部8bに結合されている。
【0029】
次に本実施形態の作用効果について説明する。
【0030】
本実施形態の分割部結合構造によれば、サイドアウタパネル4を前側サイドアウタパネル7と後側サイドアウタパネル8とに分割し、該前側サイドアウタパネル7の板厚を後側サイドアウタパネル8の板厚より大きくしたので、前面衝突時の車体前部の剛性を向上できるとともに、不必要な車体後部の板厚アップによる重量増加,及びコスト上昇を抑制できる。
【0031】
そして上記前後サイドアウタパネル7,8の分割部B1を結合するにあたって、クォータピラー部8bを含む後側サイドアウタパネル8に延長部8cを形成し、前側サイドアウタパネル7に延長部10を一体形成し、該延長部10を上記延長部8c,ルーフレール部8a及びクォータピラー部8bに重ね合わせて結合したので、上記延長部8c,10がリインホースとして機能することとなり、上記分割部B1及びピラーコーナ部における曲げ剛性,捩じり剛性を確保することができる。その結果、従来の別体のリインホースを不要にでき、部品点数を削減できるとともに、コストを低減できる。
【0032】
また板厚の大きい前側サイドアウタパネル7に延長部10を形成し、該延長部10を後側サイドアウタパネル8のピラーコーナ部に結合したので、剛性を高めることができる。
【0033】
上記延長部10と後側サイドアウタパネル8のルーフレール部8a及びクォータピラー部8bとで第1,第2閉断面11,12を形成したので、上記分割部B1及びピラーコーナ部の剛性をさらに高めることができる。
【0034】
また上記延長部10のフランジ部10cを後側サイドアウタパネル8のフランジ4aとともに、サイドインナパネル5のフランジ5a及びルーフパネル3のフランジ3aに4枚重ね合わせて接合したので、クォータピラー部8bの上端を閉塞することができ、重合わせ部全体の剛性をさらに高めることができる。
【0035】
なお、上記実施形態では、上側の分割部B1の結合構造を例に説明したが、本発明の分割部結合構造はこれに限られるものではない。例えば、ロッカパネル2aの分割部B2についても適用でき、あるいはルーフレール2a,もしくはロッカパネル2bのセンタピラー2dの近傍を前後に分割する場合にも勿論適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による自動車のサイドアウタパネルの分割部結合構造のを説明するための重合わせ部の側面図である。
【図2】上記重合わせ部の断面背面図(図1のII-II 線断面図)である。
【図3】上記重合わせ部の断面平面図(図1のIII-III 線断面図)である。
【図4】上記重合わせ部の分割部の断面平面図(図1のIV-IV 線断面図)である。
【図5】上記分割部結合構造が適用された自動車の車体の側面図である。
【図6】従来の一般的なピラーコーナ部の補強構造を示す側面図である。
【図7】上記ピラーコーナ部の断面図(図6のVII-VII 線断面図)である。
【図8】上記ピラーコーナ部の補強構造が採用された車体の概略図である。
【符号の説明】
4 サイドアウタパネル
7 前側サイドアウタパネル
7a ルーフレール部(サイドアウタ部)
8 後側サイドアウタパネル
8a ルーフレール部(サイドアウタ部)
8b クォータピラー部(ピラー部)
8c 延長部
10a,10b 第1,第2延長部
11,12 第1,第2閉断面
B1,B2 分割部
Claims (1)
- 車両前後方向に延びるサイドアウタ部と、該サイドアウタ部から車両上下方向に延びるピラー部とを有するサイドアウタパネルを、上記ピラー部近傍にて前,後のサイドアウタパネルに分割するようにした自動車のサイドアウタパネルの分割部結合構造において、上記前,後のサイドアウタパネルのうちの一方のサイドアウタパネルは、上記ピラー部を含み、かつ他方のサイドアウタパネルの分割部まで延びる延長部を有し、上記前,後のサイドアウタパネルのうちの他方のサイドアウタパネルは、上記一方のサイドアウタパネルのサイドアウタ部のピラー部を越える中途部まで延びる第1延長部と、該第1延長部から上記ピラー部の中途部まで延びる第2延長部とを有し、上記一方のサイドアウタパネルのサイドアウタ部,ピラー部及び延長部と、他方のサイドアウタパネルの第1,第2延長部との重ね合わせ部は、上記第1延長部とサイドアウタ部とで第1閉断面が形成され、上記第2延長部とピラー部とで第2閉断面が形成されるよう接着剤により結合されていることを特徴とする自動車のサイドアウタパネルの分割部結合構造。
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