JP3492499B2 - 画像形成装置 - Google Patents

画像形成装置

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JP3492499B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プリンタや複写機
などで実施され、画像形成回転体および転写ドラムを有
する電子写真方式の画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】図9は、上述のような電子写真方式の画
像形成装置1の一般的な構造を模式的に示す図である。
感光体ドラム2では、図示しない帯電装置、潜像形成光
学系および現像装置などによって、記録すべき像がトナ
ー像に顕像化されており、このトナー像は、転写ドラム
3を介して、紙やOHPシートなどの記録紙に転写さ
れ、図示しない定着装置によって記録紙に定着されて記
録される。
【0003】このように、電子写真方式の画像形成装置
1では、画像形成回転体である感光体ドラム2および転
写ドラム3などの回転部品を有している。また、該ドラ
ム2,3の一端などに形成されるギア2a,3aが相互
に噛合して連動して回転するこれらのドラム2,3に対
して、少なくともいずれか一方のドラム(図9の例では
感光体ドラム2)に対して、モータ5からの駆動力が、
ベルト、プーリおよびギア列(図9の例ではベルトおよ
びプーリ)などで実現される駆動伝達機構6を介して伝
達され、回転駆動される。前記モータ5は、駆動回路7
によって駆動制御され、回転体駆動手段である前記モー
タ5、駆動伝達機構6および駆動回路7はまた、図示し
ない前記現像装置や定着装置等をはじめとする回転機構
および記録紙の搬送機構等を同時に駆動するように構成
されることもある。
【0004】したがって、前記ギアやプーリなどの駆動
伝達機構6の形状精度、モータ5の駆動トルク変動およ
び前記回転機構や搬送機構等の負荷変動などによって、
ドラム2,3の回転速度に変動が生じることがある。こ
のような速度変動が生じると、記録紙への形成画像に対
して、該記録紙の搬送方向の長さに歪みが生じることに
なり、画像品質を著しく損なうことになる。このような
不具合は、前記駆動伝達機構6の精度および剛性の向上
ならびにモータ5のトルク変動の抑制など、設計の最適
化によって、ある程度排除することができる。
【0005】しかしながら、前記速度変動を皆無にする
ことは困難であり、このため、典型的な従来技術とし
て、たとえば特開平4−120582号公報、特開平5
−72836号公報および特開平7−140841号公
報が挙げられる。これらの従来技術では、感光体ドラム
と同軸上に動吸振部材を設け、感光体ドラムによって振
動の吸収を行うことによって、前記速度変動を吸収する
ように構成されている。
【0006】しかしながら、このような従来技術では、
消耗部品であって、定期的に交換を必要とする感光体ド
ラムと一体に動吸振部材が設けられているので、感光体
ドラムの交換時には、交換の必要のない動吸振部材を合
わせて交換する必要があり、コストが嵩むという問題が
ある。
【0007】一方、前記動吸振部材を感光体ドラムと別
体化すると、この動吸振部材を感光体ドラムに取付ける
ためのカップリング部材が必要となる。ところが、この
カップリング部材の剛性が低く、動吸振部材の感光体ド
ラムへの取付強度が小さいと、目的とする速度変動、す
なわち振動を抑制することができないばかりでなく、ま
ったく別の振動を引起こしてしまう可能性がある。この
ため、前記カップリング部材には、高い剛性および取付
強度が要求される。このような要求を満足するために
は、該カップリング部材は、大きく、かつ重くなってし
まい、コストが嵩むとともに、余分な構成要素であるこ
のカップリング部材に対する振動抑制のための考慮が必
要となり、設計上の制約が生じるという問題もある。
【0008】このため、振動吸収部材を交換の必要のな
い転写ドラムに設けるようにしたさらに他の従来技術
が、特開平4−287070号公報に示されている。
【0009】図10はそのような振動吸収構造を有する
転写ドラム11の斜視図であり、図11はその転写ドラ
ム11の軸線方向断面図である。この転写ドラム11
は、大略的に、金属製の本体ドラム12の外周面に、弾
発性を有する導電性スポンジ13がライニングされ、さ
らにその外周面に導電性ゴム14がライニングされて構
成されている。
【0010】前記本体ドラム12は、一端側に取付けら
れたギア15の中心部に形成されたボス16と、他端側
に取付けられた端板17の中心部に形成されたボス18
とが、画像形成装置本体の支持部材に支持されることに
よって、回転自在に支持されている。前記ギア15には
感光体ドラムの一端側に形成されたギアが噛合し、こう
して感光体ドラムとこの転写ドラム11とは連動して回
転し、前記駆動伝達機構などで発生した速度変動、すな
わち振動を、前記導電性スポンジ13で吸収し、前記振
動による画像劣化を抑制するように構成されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上述のような従来技術
の転写ドラム11では、駆動伝達機構やモータなどによ
って発生した振動を導電性スポンジ13の弾性変形と粘
性減衰とによって吸収しているので、種々の周波数の振
動を一様に減衰することができるけれども、図12で示
すような、特定のギアに起因した、または駆動伝達機構
全体の有する、固有振動数ω0のピーキーな振動を効果
的に吸収することはできないという問題がある。
【0012】本発明の目的は、固有振動を低コストな構
成で抑制することができる画像形成装置を提供すること
である。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明に係る画像形成装
置は、画像形成回転体に形成されたトナー像を転写ドラ
ムを介して記録媒体に転写するようにした電子写真方式
の画像形成装置において、前記転写ドラムは、慣性モー
メントを有する慣性体と、バネ性を有する弾性要素と、
減衰性を有する減衰要素とを含み、前記弾性要素および
減衰要素によって前記慣性体を本体ドラムに取付ける
とによって動吸振器を構成すると共に、前記慣性体は、
転写ドラムを回転自在に支持し該転写ドラム内を遊挿す
る支持軸に回転自在に支持されることを特徴とする。
【0014】上記の構成によれば、振動の吸収を、交換
頻度の高い画像形成回転体ではなく、転写ドラムに設け
た弾性要素、減衰要素および慣性体から成る動吸振器に
よって行うので、ランニングコストを低減することがで
きるとともに、これら振動吸収のための構成を転写ドラ
ムに一体化することができ、そのような振動吸収の構成
を着脱可能に構成するような設計上格別な考慮は不要と
なり、設計を簡略化することもできる。
【0015】また、転写ドラムは、一般に、画像形成回
転体よりも大径である。これは、該転写ドラムが記録紙
を保持して回転するとき、用紙長さよりも周長が長い必
要があるためである。一方、画像形成回転体は、消耗部
品であり、かつ感光体機能材料が表面に形成されている
ので、コストの観点から、あまり大きくすることが得策
でないためである。
【0016】このように、転写ドラムは画像形成回転体
よりも大径であるので、本願では、動吸振器として大き
な慣性モーメントの吸振部材を使用することができ、振
動吸収量を大きくすることができる。これによって、所
望の周波数の振動の吸収性能が高く、回転速度変動を効
果的に抑えることができ、高品質なプリント出力を得る
ことができる。また、これらの弾性要素や減衰要素から
成る吸振部材を収納する空間が大きいので、これらの定
数の選択の幅を広くすることができる。したがって、設
計の自由度が大きいので、大きな振動抑制効果を得るこ
とができる。さらに、装置内の空間を余分に必要とせず
に上記の作用効果を得ることができるので、装置サイズ
を抑えることもできる。
【0017】さらにまた、特定のギアに起因する固有振
動や、駆動伝達機構全体の固有振動などの予め定める周
波数を対象として、アクティブに振動を吸収するので、
ピーキーな振動も効果的に吸収することができる。
【0018】以上のように、画像形成回転体の内部また
はその近傍に動吸振器を形成する場合に比べて、本願で
は、振動吸収性能が高く高品質なプリント出力を得るこ
とができ、また装置サイズを損なうことのない画像形成
装置を提供することができる。
【0019】また、前記慣性体は、転写ドラムを回転自
在に支持し、該転写ドラム内を遊挿する支持軸に回転自
在に支持されるため、転写ドラムを回転自在に支持する
支持軸によって、慣性体もまた、回転自在に支持される
ので、動吸振器の回転精度を高く構成することができ、
かつ回転停止時に弾性要素や減衰要素に該慣性体の重量
が加わることなく、耐久性を向上することもできる。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明の実施の第1の形態につい
て、図1〜図6に基づいて説明すれば、以下のとおりで
ある。
【0021】図1は本発明の実施の第1の形態の画像形
成装置に用いられる転写ドラム21の斜視図であり、図
2はその転写ドラム21の軸線方向断面図である。この
転写ドラム21は、たとえば前記図9で示すような画像
形成装置1に用いられ、画像形成回転体である感光体ド
ラム2に密着して回転し、該感光体ドラム2に形成され
たトナー像を記録紙へ転写する。
【0022】この転写ドラム21は、大略的に、本体ド
ラム22に、スポンジゴム23と慣性体パイプ24とに
よって構成される動吸振器が取付けられて構成されてい
る。金属製の本体ドラム22の一様な最大内径の内周面
において、該本体ドラム22の両端付近にリング状のス
ポンジゴム23が接着されており、さらにそのスポンジ
ゴム23の内周面に、ステンレスなどから成る慣性体パ
イプ24が接着されている。スポンジゴム23は、弾性
要素としての機能と減衰要素としての機能とを兼備えて
おり、慣性体パイプ24は、慣性体として機能する。
【0023】前記本体ドラム22の一方の端部には、前
記感光体ドラム2のギア2aに噛合して駆動力が伝達さ
れるギア25が取付けられており、またこのギア25の
中心部には、ボス26が立設されている。本体ドラム2
2の他方の端部には、端板27が取付けられており、こ
の端板27の中心部にも、ボス28が立設されている。
前記ボス26,28が、画像形成装置本体に形成された
支持部材に枢支されることによって、該転写ドラム21
が回転自在に支持される。
【0024】このように構成された転写ドラム21を用
いる画像形成装置は、振動モデルとして、模式的に図3
で表すことができる。なお、この振動モデルは、回転運
動部品である該転写ドラム21を直進運動系でモデル化
して表しているけれども、不都合はない。主振動系は、
本体ドラム22およびそれに接続される感光体ドラム2
や駆動伝達機構6を統合して表しており、m1はこの主
振動系の等価質量を表し、k1は動力伝達部分の剛性な
どに起因するバネ定数である。
【0025】これに対して、前述のように動吸振器は、
前記スポンジゴム23および慣性体パイプ24によって
構成されており、m2は慣性体パイプ24の等価質量で
あり、k2はスポンジゴム23のバネ定数であり、cは
スポンジゴム23の粘性減衰係数である。
【0026】ここで、外力の角振動数をpとすると、主
振動系の振動振幅は、図4のように表される。なお、こ
の図4では、縦軸は、主振動系の振動振幅を、外力によ
って静的に変位する量を基準として表しており、該主振
動系の振動振幅と、前記静的に変位する量との比を表
す。また、横軸は、角振動数pを前記固有角振動数ω0
を基準として表しており、該角振動数pと、固有角振動
数ω0との比を表している。
【0027】この図4において、参照符α1で示す曲線
は、前記慣性体パイプ24がない状態、すなわちm2=
0の状態を表しており、主振動系の固有角周波数ω0
と、外力の角振動数pとが一致した、p/ω0=1.0
の点で共振を起こし、主振動系の振動振幅が無限大とな
っていることが理解される。
【0028】これに対して、慣性体パイプ24が設けら
れているとき、動吸振器と主振動系との質量比、すなわ
ちm2/m1=βと、動吸振器の固有角周波数ω2と、
主振動系の固有角周波数ω0との振動数比、すなわちω
2/ω0=δと、動吸振器の減衰比μ(=c/2・m2
・ω0)との値によって曲線が変化する。なお、主振動
系の固有角周波数ω0と、動吸振器の固有角周波数ω2
とは、それぞれ、
【0029】
【数1】
【0030】で表される。
【0031】図4では、β=1/20とし、δ=1とし
た場合、減衰比μの変化に対する振動振幅を参照符α
2,α3で表しており、参照符α2は、μ=0.32と
した場合であり、参照符α3は、μ=0.10とした場
合を表している。このように減衰比μを変化することに
よって、固有振動のレベルが変化することが理解され
る。
【0032】したがって、本発明では、動吸振の理論か
ら、前記振動数比δおよび減衰比μを、最も動吸振効果
の高い値に、下式に従って設定する。
【0033】
【数2】
【0034】上記式3および式4において、β=0.2
5とした場合、図5で示すような振動特性を得ることが
でき、振動を効果的に低減することができる。したがっ
て、前記図1および図2で示す構造の転写ドラム21を
用いた場合、画像形成装置の振動特性を、たとえば図6
で示すように設定することができる。この図6と、前記
図12との特性を比較すると、固有角周波数ω0におけ
るピーキーな振動が、動吸振器によって効果的に抑制さ
れていることが理解される。
【0035】このように、本発明に従う転写ドラム21
を用いる画像形成装置では、ピーキーな固有振動を動吸
振器によってアクティブに除去するので、感光体ドラム
および該転写ドラム21のジッタを抑え、高い画像品質
を得ることができる。また、前記動吸振器を該転写ドラ
ム21に設けるので、消耗品の感光体ドラムに設ける場
合に比べて、ランニングコストを低減することができ
る。さらにまた、動吸振器を転写ドラム21に一体化す
ることができ、着脱自在の構成に比べて、設計上の制約
および負担を低減することもできる。
【0036】また、動吸振器は、本体ドラム22と同軸
に設けられるので、該本体ドラム22の端部側に設ける
場合に比べて、構造が簡単となり、コストを抑制するこ
とができるとともに、信頼性および耐久性を向上するこ
とができる。また、本体ドラム22内の空洞に設けられ
るので、装置全体のサイズに影響を与えることなく、デ
ッドスペースを有効に活用することもできる。さらにま
た、本体ドラム22の最大内径の箇所で係合して設けら
れるので、性能を発揮し易く、高い吸振性能を得ること
ができる。
【0037】また、前記スポンジゴム23によって、バ
ネ要素と減衰要素とを兼用しているので、信頼性や組立
性を向上することができる。さらにまた、発泡性のスポ
ンジゴム23を用いることによって、安価な材料で、所
望とする弾性定数および減衰定数に、材料の定数を変化
させるのではなく、発泡の度合いを変化させることによ
って対応することができ、簡単に最適な動吸振器の設計
を行うことができる。
【0038】なお、上述の転写ドラム21では、スポン
ジゴム23をリング状に形成し、本体ドラム22の両端
部付近に配置したけれども、本体ドラム22の内周面全
体に亘ってライニングされていてもよく、また3つ以上
のリング状に形成されていてもよいことは言うまでもな
い。また、前記スポンジゴム23によって、バネ要素と
減衰要素とを兼用したけれども、それぞれ別の要素、た
とえば金属製のスプリングと粘性流体とを用いて構成し
てもよく、または粘弾性を有する樹脂材料を用いてもよ
く、必ずしも発泡性の部材である必要はない。さらにま
た、慣性体パイプ24は、ステンレスに限らず、より安
価な、鉄、アルミニウムまたは真鍮などの他の金属を用
いてもよく、また前記質量m2が小さくてすむ場合に
は、樹脂などの材料を用いてもよい。
【0039】さらにまた、たとえばスポンジゴム23の
物性を変化させることができる範囲が小さい場合など
で、必ずしも上記式3および式4に適合した値にパラメ
ータを設定することができなくても、動吸振器を設けな
い場合に比べて、図4において、たとえば参照符α1か
らα2で示すように固有振動レベルを低減するだけで、
画質改善の効果を得ることができる。
【0040】本発明の実施の第2の形態について、図7
および図8に基づいて説明すれば、以下のとおりであ
る。
【0041】図7は本発明の実施の第2の形態の転写ド
ラム31の軸線方向断面図であり、図8はその転写ドラ
ム31の軸直角断面図である。この転写ドラム31で
は、本体ドラム32の内周面において、該本体ドラム3
2の両端部付近で、それぞれ3枚のエラストマー33に
よって慣性体パイプ34が取付けらている。前記慣性体
パイプ34内には基準軸35が遊挿しており、装置本体
に固定される該基準軸35によって、慣性体パイプ3
4、すなわち該転写ドラム31が回転自在に支持され
る。本体ドラム32の一端部側には、前記感光体ドラム
2のギア2aに噛合するギア36が形成されている。
【0042】上述のように構成される転写ドラム31に
おいて、前記エラストマー33が弾性要素および減衰要
素として機能し、慣性体パイプ34が慣性体として機能
する。これらの要素のパラメータを前述のように設定す
ることによって、同様に、動吸振効果を得ることができ
る。
【0043】このように複数個のエラストマー33によ
って慣性体パイプ34を支持することによって、バネ
性、すなわちヤング率が大きい材料であっても、前記バ
ネ定数k2を小さくすることができ、該エラストマー3
3の厚みを適宜選択することによって、材料定数に大き
く左右されずに、所望とするバネ定数k2を設定するこ
とができる。また同様に、前記減衰係数cについても設
定することができ、材料選択の幅を広げることができ
る。
【0044】また、基準軸35によって慣性体パイプ3
4の質量が支持されているので、該慣性体パイプ34、
したがって、転写ドラム31の回転精度を向上すること
ができるとともに、エラストマー33の劣化を抑制し、
耐久性を向上することもできる。
【0045】また、この図7および図8で示すような構
造においても、エラストマー33の配置箇所や配置個数
が異なるように構成してもよく、さらにまた、エラスト
マー33によって弾性要素および減衰要素を兼用したけ
れども、板バネ状の金属部材を弾性要素として、その部
材上に減衰要素としてゴム部材を張付けるなどした構造
が用いられてもよい。さらにまた、前述の転写ドラム2
1のように、スポンジゴムが用いられてもよく、通常の
ゴムやシリコーンゴムなどが用いられてもよいことは言
うまでもない。
【0046】
【発明の効果】本発明に係る画像形成装置は、以上のよ
うに、電子写真方式の画像形成装置において、振動の吸
収を、交換頻度の高い画像形成回転体ではなく、転写ド
ラムに設けた弾性要素、減衰要素および慣性体から成る
動吸振器によって行う。
【0047】それゆえ、ランニングコストを低減するこ
とができるとともに、これら振動吸収のための構成を転
写ドラムに一体化することができ、そのような振動吸収
の構成を着脱可能に構成するような設計上格別な考慮は
不要となり、設計を簡略化することもできる。
【0048】また、転写ドラムは、画像形成回転体より
も大径である場合が多く、動吸振器の設計にあたって、
大きな慣性モーメントを得ることができ、また弾性要素
や減衰要素の定数の選択の幅を広くすることができ、容
易に大きな振動抑制効果を得ることができ、画像品質を
向上することができる。
【0049】さらにまた、特定のギアに起因する固有振
動や、駆動伝達機構全体の固有振動などの予め定める周
波数を対象として、アクティブに振動を吸収するので、
ピーキーな振動も効果的に吸収することができる。
【0050】また、本発明に係る画像形成装置は、以上
のように、前記慣性体を、転写ドラムを回転自在に支持
し、該ドラム内を遊挿する支持軸に回転自在に支持す
る。
【0051】それゆえ、転写ドラムを回転自在に支持す
る支持軸によって、慣性体もまた、回転自在に支持され
るので、動吸振器の回転精度を高く構成することがで
き、かつ回転停止時に弾性要素や減衰要素に該慣性体の
重量が加わることなく、耐久性を向上することもでき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の第1の形態の画像形成装置に用
いられる転写ドラムの斜視図である。
【図2】図1で示す転写ドラムの軸線方向断面図であ
る。
【図3】図1および図2で示す転写ドラムを用いた場合
の画像形成装置の振動モデルを説明するための図であ
る。
【図4】図1および図2で示す転写ドラムによる動吸振
効果を説明するためのグラフである。
【図5】図1および図2で示す転写ドラムの動吸振効果
の最大値における特性を示すグラフである。
【図6】図1および図2で示す転写ドラムを用いる画像
形成装置の振動レベルを示すグラフである。
【図7】本発明の実施の第2の形態の転写ドラムの軸線
方向断面図である。
【図8】図7で示す転写ドラムの軸直角断面図である。
【図9】電子写真方式の画像形成装置の一般的な構造を
模式的に示す図である。
【図10】典型的な従来技術の転写ドラムの構造を示す
斜視図である。
【図11】図10で示す転写ドラムの軸線方向断面図で
ある。
【図12】図10および図11で示す従来技術の転写ド
ラムを用いた場合の画像形成装置の振動レベルを示すグ
ラフである。
【符号の説明】
1 画像形成装置 2 感光体ドラム(画像形成回転体) 3 転写ドラム 5 モータ 6 駆動伝達機構 7 駆動回路 21,31 転写ドラム 22,32 本体ドラム 23 スポンジゴム(弾性要素・減衰要素) 24,34 慣性体パイプ(慣性体) 25,36 ギア 33 エラストマー(弾性要素・減衰要素) 35 基準軸
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 永留 誠一 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シャープ株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−287070(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 15/16

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】画像形成回転体に形成されたトナー像を転
    写ドラムを介して記録媒体に転写するようにした電子写
    真方式の画像形成装置において、 前記転写ドラムは、 慣性モーメントを有する慣性体と、 バネ性を有する弾性要素と、 減衰性を有する減衰要素とを含み、 前記弾性要素および減衰要素によって前記慣性体を本体
    ドラムに取付けることによって動吸振器を構成すると共
    に、 前記慣性体は、転写ドラムを回転自在に支持し該転写ド
    ラム内を遊挿する支持軸に回転自在に支持されることを
    特徴とする画像形成装置。
  2. 【請求項2】前記慣性体は、前記支持軸断面において、
    前記弾性要素および減衰要素として機能する複数のエラ
    ストマーによって係合されていることを特徴とする請求
    項1記載の画像形成装置。
  3. 【請求項3】前記弾性要素および減衰要素は、本体ドラ
    ムの両端部近傍において慣性体に取り付けられており、 また、該慣性体は、本体ドラムの上記両端部近傍に渡っ
    て単一のパイプ部材から構成されていることを特徴とす
    る請求項1に記載の画像形成装置。
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