JP5510063B2 - 円筒状像担持体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置 - Google Patents

円筒状像担持体、プロセスカートリッジ及び画像形成装置 Download PDF

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本発明は、電子写真方式の画像形成に用いられる円筒状像担持体、該円筒状像担持体の組み立て方法、該円筒状像担持体を備えたプロセスカートリッジ、該円筒状像担持体を備えた複写機、プリンタ、ファクシミリ、プロッタ等の画像形成装置に関する。
複写機等の画像形成装置では、画像情報に応じて円筒状像担持体としての感光体ドラムに静電潜像を形成し、該静電潜像をトナーで可視像化した後、記録媒体に転写するようになっている。
転写後感光体ドラムの表面は例えば該表面に当接するクリーニングブレードによりクリーニングされ、転写残トナー等を除去される。
この種の画像形成装置では、感光体ドラムの回転駆動をする上で以下の問題を抱えている。
(1)クリーニングブレードの摩擦摺動による振動が、ドラムの共振周波数に合致した時に振動音(鳴き音)が発生する。
(2)ドラム駆動系における駆動系共振により、ドラムの回転変動が生じる。
(1)は不快音の発生となり、(2)は画像上の色むらや、色ずれとして認識される。
(1)の問題に対する対策としては、サイレンサと称される振動抑制部材を感光体ドラムの中に詰める方法が知られている。特許文献1には、おもり部材と防振材とでなる組み立て体を、感光体ドラムの中の軸方向の一部分に内蔵させる構成が開示されている。
(2)の問題に対する対策としては、慣性体の付与が有効で、感光体ドラム近傍に大径のフライホイールを設定する手法が一般的であるが、装置の大型化を招くという問題を避けられない。
特許文献2には、感光体ドラムと一体で回転する転写ドラム内に円筒状の慣性体を回転軸とは無関係に設け、転写ドラムの内周面と慣性体の外周面との間の軸方向両端部に動吸振器としてのスポンジゴムを設けて感光体ドラムの固有振動を抑制する構成が開示されている。
しかしながら、特許文献1におけるおもり部材は質量を増加させる役目をしているが、その内周面及び軸方向両側端は開放状態にあり、ここから振動音が放散されるので十分な効果は期待できない。
また、ドラム内面と防振材を密着させるのに、おもり部材にV字型溝を設けて変形圧入させるようにしているが、両者間の摩擦抵抗が大きくその作業性は極めて困難である。
上記(2)の問題に対する引用文献1の構成の適用を考えて見ると、おもり部材が慣性体の機能を有するものの、振動音防止のための設定であるため、回転偏芯に対する考慮がなされていないといえる。
すなわち、重量体(感光体ドラム本体)が弾性体を介して保持される状態なので、部品精度により同軸が出ない場合や、回転速度が高速になった場合は、微少な偏芯に伴う回転むらが増幅されて画質の劣化につながる虞がある。
さらに、おもり部材はドラム軸方向の一部分に設定する構成であるため、回転体の支持部から離れた位置に質量を集中させて回転させると、ドラムの表層はU字状に変形するため、現像時のギャップ変形による画像劣化の問題を起こす虞もある。
特許文献2では、慣性体が転写ドラム内においてスポンジゴムのみで支持されるため、上記と同様に、部品精度により同軸が出ない場合や、回転速度が高速になった場合は、微少な偏芯に伴う回転むらが増幅されて画質の劣化につながる虞があり、感光体ドラムへの適用は困難である。
本発明は、このような現状に鑑みてなされたもので、サイレンサ機能(振動抑制機能)を向上させることができるとともに、回転変動抑制機能を向上させることができ、高画質化並びに小型化にも寄与できる円筒状像担持体の提供を、その主な目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明では、回転軸を軸心として回転駆動される円筒状の像担持体ドラムの内部に、該像担持体ドラムの内周面に当接する円筒状の弾性体を設けるとともに、前記弾性体の内周面に当接する円筒状の慣性体を設け、前記像担持体ドラムの振動及び回転変動を抑制するようにした円筒状像担持体において、前記弾性体と前記慣性体は、前記像担持体ドラムの軸方向略全体に亘る長さを有し、前記像担持体ドラムの両端部にはそれぞれドラムフランジが設けられ、前記ドラムフランジは、前記回転軸に対して前記像担持体ドラムと前記慣性体とを同心上に位置決めする形状を有し、前記慣性体の内部に、該慣性体の内周面にその軸方向略全体に亘って当接する内方弾性体を有していることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の円筒状像担持体において、前記ドラムフランジは、前記回転軸に対して、前記像担持体ドラムと前記慣性体のそれぞれの内周面を位置決めする形状を有していることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項に記載の円筒状像担持体において、前記慣性体は、前記弾性体、前記内方弾性体よりも高質量且つ高剛性の材料で形成されていることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の円筒状像担持体において、前記弾性体と前記慣性体と前記内方弾性体とが接着又は成型により一体に形成されていることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の円筒状像担持体において、前記慣性体の外周面に回転バランスを損なわないように一定の間隔で開口部が形成され、これらの開口部に前記弾性体又は前記内方弾性体と同一又は同種の材料が充填されて一体化されていることを特徴とする。
請求項6に記載の発明は、請求項4又は5に記載の円筒状像担持体において、前記弾性体の外周面に、前記像担持体ドラムの内周面との摺動摩擦を低減する材料を保持するための溝ないし凹部が形成されていることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、プロセスカートリッジにおいて、請求項1〜6のいずれか1つに記載の円筒状像担持体を有することを特徴とする。
請求項8に記載の発明は、画像形成装置において、請求項1〜6のいずれか1つに記載の円筒状像担持体を有することを特徴とする
本発明によれば、振動抑制機能を向上させることができるとともに、回転変動抑制機能を向上させることができ、高画質化並びに小型化にも寄与できる。
本発明の一実施形態に係る画像形成装置の概要構成図である。 プロセスカートリッジの概要拡大図である。 感光体回りのプロセス構成を示す模式図である。 感光体の駆動構成を示す概要図である。 感光体の概要断面図である。 感光体の組み立て方法を示す図である。 感光体ドラムに対する慣性パイプ付きサイレンサモジュールの挿入を容易化する構成を示す斜視図である。 感光体ドラムに対する慣性パイプ付きサイレンサモジュールの挿入を容易化する構成の別例を示す斜視図である。 慣性パイプ付きサイレンサモジュールの変形例を示す概要断面図である。 慣性パイプ付きサイレンサモジュールを有する場合と有しない場合の速度変動率の違いを示す特性図である。
以下、本発明の実施形態を図を参照して説明する。
まず、図1に基づいて本実施形態に係る画像形成装置としての4連タンデム中間転写方式カラー複写機の構成の概要を説明する。
図1において、符号100は作像手段を、200は中間転写手段を示している。作像手段100の上に設置されている画像読取手段は図示を省略してある。
作像手段100は、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の4つの作像ステーションを備えている。各作像ステーションは、それぞれ同一構成であり、共に反時計回りに回転する円筒状像担持体としてのドラム状の感光体1を平行に並べて設置している。
色別の符号を略して説明すると、各感光体1の回りには帯電手段としての帯電ローラ3、現像手段としての現像装置2、各感光体1上に形成されたトナー像を後述する中間転写体としての中間転写ベルト4に転写する1次転写手段としての1次転写ローラ5、潤滑剤塗布手段を兼ねる1次クリーニング装置6が配置されている。各1次転写ローラ5は、1次転写位置でそれぞれ中間転写ベルト4を挟んで不図示の付勢部材によって感光体1に押し当てられている。
各現像装置2にはそれぞれ異なる色のカラートナーが収容されている。各作像ステーションの上には、露光手段としての光書込み装置11(Y、C、M、K)が設けられている。
中間転写手段200では、無端ベルト状の中間転写ベルト4が、駆動ローラ21、従動ローラ22、2次転写対向ローラ23に掛け回されて、図中時計回りに走行可能に備えられている。
従動ローラ22の対向部位には、中間転写ベルト4の表面をクリーニングするベルトクリーニング装置24が設けられている。
2次転写対向ローラ23の対向位置には2次転写手段としての2次転写ローラ25が備えられている。2次転写ローラ25は、不図示の押圧バネによって2次転写対向ローラ23に向けて押圧されながら中間転写ベルト4のトナー像担持面に当接して2次転写ニップである圧接部を形成している。
図示しない電源によって2次転写バイアスが2次転写ローラ25に印加され、接地された2次転写対向ローラ23との間に位置する2次転写ニップには、2次転写電界が形成される。
図2に示すように、感光体1とその周辺の上記各部材は装置本体に対して着脱自在なプロセスカートリッジ300に一体に収容されている。
すなわち、プロセスカートリッジ300は、ケーシング310内に感光体1と、各プロセス手段としての帯電ローラ3、現像装置2、1次クリーニング装置6を備えている(図1では簡略表示している)。
本実施形態では、プロセスカートリッジ300そのものを交換するようになっているが、プロセスカートリッジ300を画像形成装置本体から取り外し、感光体1、帯電ローラ3、現像装置2、1次クリーニング装置6のような単位で新しいものと交換するような構成でもよい。
1次クリーニング装置6のトナー除去手段及び潤滑剤塗布手段の構成動作について図2にて詳細に説明する。
感光体1の回転方向の上流側から順に、クリーニング前除電ランプ60で感光体1を除電し、ファーブラシ61で転写残トナーを掻き乱しながら、除去部材としてのクリーニングブレード62でトナーを除去しやすくしており、ファーブラシ61上に付着したトナーはフリッカー63によりフリッキングされる。
フリッキングではじき飛ばされたトナーは搬送スクリュ64でクリーニング装置外に搬送するようになっている。ファーブラシ61は感光体1に対して矢印のごとく連れまわり方向に回転している。感光体1に対するファーブラシ61の入り込みは見かけ上の食い込みを表している。
クリーニングブレード62は図示しない回転自在に保持されたホルダに固定されており、感光体1の回転方向に対してカウンタ方向で当接するように支持されている。また、クリーニングブレード62は、図示しない加圧スプリングにより感光体1に対して加圧され、トナー除去するようになっている。クリーニングブレード62によりトナー除去された感光体1は潤滑剤塗布手段65の塗布部材としてのブラシローラ状の塗布ブラシ66により潤滑剤であるステアリン酸亜鉛を塗布される。
ステアリン酸亜鉛の塗布は図示しないガイドブラケットに保持された固形状のステアリン酸亜鉛67が加圧スプリング68により塗布ブラシ66に加圧され、塗布ブラシ66によりステアリン酸亜鉛67を削って感光体1上に塗布している。
感光体1に対する塗布ブラシ66の入り込みは見かけ上の食い込みを表している。
潤滑剤塗布手段65の感光体回転方向下流側には、塗布ブラシ66で感光体1上に粉体状に付着したステアリン酸亜鉛を均すゴムブレードからなる均し部材としての塗布ブレード69が、感光体1にカウンタ方向で当接するように設けられている。
図2において、符号LBは光書込み装置11からのレーザービームを示している。
図1に示すように、帯電ローラ3で一様に帯電されたY(イエロー)、C(シアン)、M(マゼンタ)、K(黒)の各作像ステ−ションの感光体1上にスキャナで読み取られた画像を色分解して各色毎に書き込み、静電潜像を形成する。
画像形成プロセスをY(イエロー)のステーションで説明する。感光体1上に形成された潜像は、現像装置2によりYトナーを潜像に合わせて現像し、トナー像を形成する。現像されたY(イエロー)トナー像は、感光体1と中間転写ベルト4が接している部分で1次転写ローラ5へのバイアス印加によって中間転写ベルト4上に転写される。
このようにして順次C(シアン)、M(マゼンタ)、K(黒)の順で各作像ステーションでも同様にして感光体1上でトナー像を形成し、中間転写ベルト4上に転写されたトナー像が2次転写位置に到達するタイミングに合わせて図示しないレジストローラ対から記録媒体としての転写紙Pが給紙され、2次転写ローラ25により転写紙P上に一括転写される。
中間転写ベルト4上にトナー像を1次転写した後の感光体1は、1次クリーニング装置6で転写残トナーを除去され、潤滑剤塗布手段65により潤滑剤を塗布され、再度、帯電ローラ3で一様に帯電される動作を繰り返す。
転写紙にトナー像を2次転写した後の中間転写ベルト4は、ベルトクリーニング装置であるクリーニング装置24により、転写残トナーを除去される。
図3及び図4に基づいて、感光体1における振動及び回転変動の問題を具体的に説明する。
図3は、感光体1の周辺に設けられるプロセスを説明する図である。感光体1から発生する振動音は、図中、転写後のトナーをクリーニングするのに設定されたクリーニングブレード62部位に起因する。
ウレタン製のゴムブレードからなるクリーニングブレード62が感光体1の表面に加圧接触してクリーニングを続けるが、両者間に介在する滑剤の効果が減少すると、スティックスリップ現象を起こす。そしてその微振動が、ドラム系の共振点と合致して共振を起こし、いわゆる「鳴き音」を発生する。アルミ材質の、押し出し加工型円筒ドラムで、その径がφ60では、150〜200HZあたりで発生する。
図4は、感光体1の回転駆動系を説明する図である。感光体1はドラム軸7を回転軸として、高精度に回転させる必要がある。感光体1の一回転の変動は主にカラーの色ずれに影響し、数十Hz以上の変動は主に色むらやバンディングを発生する要因となる。
感光体1の一回転の変動は、ドラム軸7と出力軸8を結合するジョイント部9の偏芯や、ドラム軸7と感光体1の偏芯によって発生する。高周波域の変動は、減速器10内に設けられたギヤ列のフレ精度や、噛み合い変動及びモータ12の回転変動によって発生する。
図4において、符号13は軸受部を、14はドラムフランジ左を、15はドラムフランジ右をそれぞれ示している。
図5に基づいて本実施形態に係る感光体(「感光体ドラムユニット」ともいう)1を詳細に説明する。
感光体ドラムユニット1は、感光体ドラム30の内部にサイレンサ機能と慣性体機能とを複合化して設けた構成を有している。具体的に説明すると、円筒状の感光体ドラム30の内周面に密着するように、円筒状の弾性体としてのサイレンサ弾性体31が設けられ、該サイレンサ弾性体31の内周面に密着するように、回転慣性付与用の円筒状の慣性体32が設けられている。さらに慣性体32の内周面に密着するように、内方弾性体としてのサイレンサ弾性体33が設けられている。
サイレンサ弾性体31とサイレンサ弾性体33はゴム(ここではブチルゴム)で形成されており、厚さは2.5〜5mm程度である。
慣性体32は、サイレンサ弾性体よりも高質量で慣性効果の大きい鉄板、又は鉄系焼結体、又は銅系焼結対で形成する。
鉄板の場合には、例えばロール状に丸め加工後、合わせ部をスポット溶接により固定して円筒にする。必要な慣性量に応じて、使用する材料の厚さで調整する。既製品としての金属製パイプを用いてもよい。
慣性パイプ(慣性体32)に対して、それぞれ筒状に形成される二つのゴム製のサイレンサ弾性体31、33は、ゴム系の接着剤によって、慣性パイプ32をサンドイッチするように接着してモジュール化する。
一体にモジュール化されたものを、以下、「慣性パイプ付きサイレンサモジュール34」という。
ここでは接着による一体化を説明したが、上記3部材を型の中にセットして、焼き付けにより固定する方法でも可能である。
感光体ドラム30の両端部に設けられるドラムフランジ左14、ドラムフランジ右15はそれぞれ、感光体ドラム30の軸方向端面に対する突き当て面を有するとともに軸受部13の収容部を有するフランジ本体35と、フランジ本体35の軸方向内方に一体に形成され、ドラム軸7に対して感光体ドラム30の内周面を位置決めする鍔部36と、鍔部36の軸方向内方に一体に形成され、ドラム軸7に対して慣性体32の内周面を位置決めする鍔部37とを有している。
ドラムフランジ左14、ドラムフランジ右15にはそれぞれ、ドラム軸7を挿通するための挿通孔が形成されている。感光体ドラム30の両端部は固定ピン38により鍔部36に一体に固定されている。
ドラム軸7のドラムフランジ右15側には、回転伝達ピン39が径方向に貫通して設けられ、ドラムフランジ右15の鍔部36には回転伝達ピン39を収容する凹部が形成されている。固定ピン38及び回転伝達ピン39による連結構造により、感光体ドラムユニット1はドラム軸7に一体化されている。
ドラム軸7のドラムフランジ右15側は延長され、その延長部分にはジョイント部9に噛み合うジョイント歯部40が設けられている。
回転基準は左右のドラムフランジに設けた軸受部13であり、感光体ドラム30及び慣性体リング(慣性体)32の組立基準は、同じく左右のドラムフランジに設けたそれぞれの鍔部36、37としている。感光体ドラム30は鍔部36、慣性体32は鍔部37である。この構成により、振れの発生しない高精度回転系が得られる。
図6に基づいて、感光体ドラムユニット1の組み立て方法を説明する。
まず、慣性パイプ付きサイレンサモジュール34を感光体ドラム30内に挿入し、ドラムフランジ左14を装着した後、ドラム軸7を一体に有するドラムフランジ右15を装着する。ドラムフランジ左14とドラムフランジ右15の装着順序は逆でもよい。
両側のドラムフランジを装着した後、固定ピン38により一体化する。なお、回転伝達ピン39は、ドラムフランジ右15にドラム軸7を挿通する段階でドラム軸7に貫通固定される。
慣性パイプ付きサイレンサモジュール34は、感光体ドラム30内部に装填する時に摺動摩擦を低減する材料であるグリース、又は高粘度オイルを介在させると、極めてスムースに行うことができる。
但し、感光体ドラム30の内部に塗っただけでは、挿入する時のゴム先端がグリースを押し出してしまい、長手の後半を入れるときには潤滑効果がなく、大変きつくなってしまう。
これを解消すべく、本実施形態では、図7に示すように、幅1mm深さ1mm程度の油溜めをサイレンサ弾性体31の外周面に連続的な溝として形成している。図7に示す複数本の螺旋状の溝50や、図8に示す複数本の直線溝51が有効であり、挿入の進行とともに、ドラム内周径より僅かに大きく加工されているサイレンサ弾性体31は、変形するに応じて溝部に充填したグリースが搾り出されて、次々と潤滑作用をさせることができる。
不連続の溝や不連続の凹部を形成してグリース等を保持する構成であっても、軸方向に亘って存在すれば潤滑作用を得ることができる。
このようにすることにより、作業効率の改善とともに、装着時に余分な力を感光体ドラムに作用させないので、変形問題も発生することが無い。
図9に示すように、慣性パイプ32の外周面に、回転バランスを損なわないように、全周に均等なピッチで、開口部としての同形状の丸穴52を形成して、該丸穴52にもサイレンサー用ゴムを充填する構成とすることもできる。丸穴52におけるゴム53の固定はゴム系接着剤でも良いし、焼つけ法でも良い。開口部は丸穴に限定されない。
丸穴52を形成した慣性体32に、サイレンサ弾性体31又はサイレンサ弾性体33を構成するゴム材料を流し込んで一体に成型するようにしてもよい。また、サイレンサ弾性体31とサイレンサ弾性体33を同一材料として一体に成型するようにしてもよい。
図10に、同一の感光体ドラム30を有する感光体において、上述した慣性パイプ付きサイレンサモジュール34を有している場合と有していない場合の比較特性を示す。
図10(a)は有していない場合(従来)を、図10(b)は有している場合(本発明)を示し、それぞれ縦軸は速度変動率を、横軸は周波数を示している。
慣性パイプ付きサイレンサモジュール34を有していない場合は、共振周波数は350Hzで速度変動率が大きいが、本発明では共振周波数は120Hzで速度変動率が小さいことがわかる。
この理由は、アルミの引き抜き加工によって薄肉形成された感光体ドラム30の内部全周に、一定の厚さを持ったゴム層(サイレンサ弾性体31)を接触させることで、ドラムに発生する振動の制振効果が得られるからである。
さらに、減衰された振動が慣性リング32に伝搬して、ここから放出される振動音を、この内側に接触させたゴム層(サイレンサ弾性体33)で完全に消滅させることができる。
ゴム層と一体の高質量な筒状体を慣性体として設けたことで、高い慣性量を得ることができることになり、ドラムの共振周波数を移動させて、共振帯の回避も行われることになる。
一方、慣性パイプ32によって設定された慣性効果により、ドラムの回転速度変動の振幅値は大きく減少する。
三部品(サイレンサ弾性体31、慣性パイプ32、サイレンサ弾性体33)を、接着又は一体成型により固定してモジュールとして完成させ、これをドラム内に装着する構成では、先ず第1に、長い円筒状ドラムの内周への装着が容易となる。本来、別々にやろうとすると摩擦抵抗やゴム部の変形応力により、挿入することは至難の業である。
次に、ゴム層(サイレンサ弾性体31)の内側に形成した慣性体としての円筒は高剛性であるため、制振効果を得るゴム層部分(サイレンサ弾性体31)を、ドラム内壁に均一な力で押し広げるように密着させるので、ドラム内壁とゴムとの間のエアーギャップが存在しないため、ロスのない高効率な制振効果が得られる。
感光体ドラム30で発生した振動は、ゴム層(サイレンサ弾性体31)でダンピングされつつ、円筒状慣性体32に伝搬するが、その後に円筒状慣性体32の共振周波数域において、円筒状慣性体32の内面から共振音を発生する場合がある。
上記のようにサイレンサ弾性体33を慣性体32の内面に設け、サイレンサ弾性体31との間で覆い内包させることで振動の遮断が可能となる。円筒状慣性体32に設ける開口部52は、サイレンサ弾性体31とサイレンサ弾性体33とを一体成型する場合の密着性を確実にさせる効果がある。
また、ドラム回転軸に対して、ドラム外周の振れ精度と円筒状慣性体32の振れ精度を、フランジ基準で位置決めさせる構成により、高い回転精度を獲得することができる。円筒状慣性体32は、偏芯による1回転周期の回転変動がなくなり、色むらや色ずれを起こすことがない。
上記実施形態では、内方弾性体としてサイレンサ弾性体33を設ける構成としたが、慣性パイプ付きサイレンサモジュール34をサイレンサ弾性体31と慣性体32とにより構成する場合であっても、従来に比べてサイレンサ機能(振動抑制機能)を向上させることができるとともに、回転変動抑制機能を向上させることができ、高画質化並びに小型化にも寄与できる。
7 回転軸としてのドラム軸
14、15 ドラムフランジ
30 像担持体ドラムとしての感光体ドラム
31 円筒状の弾性体としてのサイレンサ弾性体
32 円筒状の慣性体
33 内方弾性体としてのサイレンサ弾性体
300 プロセスカートリッジ
特開平7−302025号公報 特開平11−52764号公報 特開2001−305908号公報

Claims (8)

  1. 回転軸を軸心として回転駆動される円筒状の像担持体ドラムの内部に、該像担持体ドラムの内周面に当接する円筒状の弾性体を設けるとともに、前記弾性体の内周面に当接する円筒状の慣性体を設け、前記像担持体ドラムの振動及び回転変動を抑制するようにした円筒状像担持体において、
    前記弾性体と前記慣性体は、前記像担持体ドラムの軸方向略全体に亘る長さを有し、
    前記像担持体ドラムの両端部にはそれぞれドラムフランジが設けられ、
    前記ドラムフランジは、前記回転軸に対して前記像担持体ドラムと前記慣性体とを同心上に位置決めする形状を有し
    前記慣性体の内部に、該慣性体の内周面にその軸方向略全体に亘って当接する内方弾性体を有していることを特徴とする円筒状像担持体。
  2. 請求項1に記載の円筒状像担持体において、
    前記ドラムフランジは、前記回転軸に対して、前記像担持体ドラムと前記慣性体のそれぞれの内周面を位置決めする形状を有していることを特徴とする円筒状像担持体。
  3. 請求項に記載の円筒状像担持体において、
    前記慣性体は、前記弾性体、前記内方弾性体よりも高質量且つ高剛性の材料で形成されていることを特徴とする円筒状像担持体。
  4. 請求項3に記載の円筒状像担持体において、
    前記弾性体と前記慣性体と前記内方弾性体とが接着又は成型により一体に形成されていることを特徴とする円筒状像担持体。
  5. 請求項4に記載の円筒状像担持体において、
    前記慣性体の外周面に回転バランスを損なわないように一定の間隔で開口部が形成され、これらの開口部に前記弾性体又は前記内方弾性体と同一又は同種の材料が充填されて一体化されていることを特徴とする円筒状像担持体。
  6. 請求項4又は5に記載の円筒状像担持体において、
    前記弾性体の外周面に、前記像担持体ドラムの内周面との摺動摩擦を低減する材料を保持するための溝ないし凹部が形成されていることを特徴とする円筒状像担持体。
  7. 請求項1〜6のいずれか1つに記載の円筒状像担持体を有するプロセスカートリッジ
  8. 請求項1〜6のいずれか1つに記載の円筒状像担持体を有する画像形成装置。
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