JP3486668B2 - 同時検出同位体比質量分析計 - Google Patents
同時検出同位体比質量分析計Info
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Description
上の質量分散イオン・ビームを同時に検出できる磁気セ
クタ質量分析計であり、例えば水素、炭素、並びに酸素
等の低原子質量の元素に関する同位体組成の決定に特に
有用である磁気セクタ質量分析計に関する。
定は、通常、その質量分散焦点面に沿って配置された複
数のコレクタを有する磁気セクタ質量分析器によって実
行される。そうした分析計において、各コレクタは所与
の質量対電荷比のイオンのみを受け取るべく位置決めさ
れ、所与の期間中に受け取ったイオンの数を読み取る手
段が備えられている。結果として、異なる質量対電荷比
の幾つかのイオンビームの到着によって生成される信号
の比は、イオン化源への試料流速とイオン源効率等のパ
ラメータにおける変動に影響されず、よって両ビームに
同等に影響して、例えば、試料における1元素の同位体
組成が非常に正確に決定可能となるように両ビームに同
等に影響する。磁気セクタ質量分析計に対する従来の多
重コレクタ・アレイの1例は、Stacey等の「Int. J. Ma
ss Spectrom. and Ion Phys.」1981年,第39冊,
第167〜180頁に記載されている。
る他の同位体に対して小さな割合でのみ存在している場
合、質量分析計のアバンダンス(存在度)感度として知
られる特性が極めて重要となる。アバンダンス感度は、
M±1でのより大きな信号の存在による任意の所与質量
対電荷比Mでの干渉信号の分量である。もし特別な予防
措置が採られなければ、そのより大きなピークは典型的
には「テール(tail)」を有し、通常、ピークの低質量側
で最大であり、しばしば隣接する質量まで延びて、その
質量での信号の真のゼロにおける不確定性を生ずる。
ジング内においての中性ガス分子との衝突によって、主
要ピーク内に構成されたイオンの散乱であると考えられ
ている。典型的には、これら衝突でエネルギー損失が生
じて、それら衝突を被ったイオンは結果としてのスペク
トルの質量対電荷軸上の真の位置の低質量上に現れる。
々の構成が知られている。第1として、磁気セクタ角
度、ポールフェース(poleface)傾斜、曲率、並びに、
入口及び出口スリットの位置及びサイズ等々の分析器の
イオン光学的構成が選択され得て、高い分散を作り出し
て、1ユニットの質量対電荷比で異なるイオンを含む数
々のビーム間における検出器での重なり又は部分的重複
を最小化している。このアプローチで例としては、Woll
nikの「Int. J. Mass Spectrom. and Ion Phys.」19
79年,第30冊,第137〜154頁、Prosserの「I
nt. J. Mass Spectrom. and Ion Proc.」1993年,
第125(2−3)冊,第241〜266頁、並びに、
Prosser及びScrimegour「Anal. Chem.」1995年,第
67冊,第1992〜1997頁が挙げられる。このア
プローチは同時衝突分析計にうまく採用され得るが、質
量分散を増大することは必然的にはアバンダンス感度を
改善せず、それは、数々の隣接質量ピークの幅が対応し
て増大される一方でそれら数々の隣接質量ピークの重心
が更に離間させられるからである。代替的なアプローチ
は、静電レンズ或は遅延電極構成を分析器の出口アパー
チャと検出器自体との間に提供することである。この電
極はバイアスされ得て、イオンが検出器に到達すべく乗
り越えなければならない又は打ち勝たなければならない
電位障壁を提供する。もし正しくセットされたならば、
エネルギーを喪失し且つそれ故にピークの不要な低質量
テールに含まれるイオンはその障壁を乗り越えるには不
十分なエネルギーを有して、検出器に到達することが妨
げられることになる。そうした装置は、Kaiser及びStev
ensの「Report No ANL-7393 of Argonne National Labo
ratory」(1997年11月出版)、Merrill,Collin
s,並びに,Petersonの「27 th An. Confr. on Mass Spe
ctrometry and Allied Topics」1979年,7月,シ
アトル,第334頁、Freeman, Daly及びPowellの「Re
v. Sci. Instrum.」1967年,第38(7)冊,第9
45〜948頁等々によって教示されている。この方法
は、典型的には、同時衝突質量分析器には適用されなか
った。その理由は、電位障壁を乗り越えるような必要イ
オンの遅延が、任意の成分であってそれらの移動方向に
直交する速度を有し得るそれら成分の相対的寄与を増幅
し、数々の隣接質量ピーク間におけるより大きな重なり
又は部分重複を実際に生じ得るからである。
タ分析器及びイオン検出器間にエネルギー分析装置を使
用することである。White, Rourke及びSheffield著の
「Appld. Spectroscopy」1958年(2)第46〜5
2頁での3段質量分析計は、静電エネルギー分析器が追
従される2つの磁気セクタ分析器を備え、改善されたア
バンダンス感度を提供することが意図されている。しか
しながら、最終的な静電分析器による質量対電荷焦点面
の範囲に課せられた制限がこの箇所でのマルチ・コレク
タ検出器の使用を排除した。代わりに、「低質量」イオ
ンビームが、それが第2磁気セクタを離れると共に補助
電子マルチ・プライヤ内に偏向され、高質量イオンビー
ムだけがエネルギー分析器に入った。こうして、ウラニ
ウムの同位体分析のその意図された目的に対して使用さ
れた際、238Uイオンビームはエネルギー分析器内へ入
り、235Uビームが第2磁石の後に阻止される。与えら
れた例において、238Uビームは235Uビームよりも14
0倍以上の強度であったので、エネルギー分析器の存在
は235Uコレクタを打つ喪失エネルギーを有する238Uイ
オンを防止することがなく、それはそのコレクタがエネ
ルギー分析器の上流に配置しているからである。それ故
にこの先行技術が教示することは、エネルギー・フィル
タが最大のアバンダント(abundant)・イオンビームを濾
過すべく使用されるべきであるが、著者が明確にしてい
るように、同時収集モードで使用された際に、アバンダ
ンス感度に関する改善は、静電分析器からではなく、2
つの磁気セクタ分析器の存在から引き出されることであ
る。より小さいアバンダント・ビームに対して使用され
るコレクタ通過に続いての最大強度のイオンビームのエ
ネルギー濾過は、そのコレクタでの信号に対して喪失エ
ネルギーを有する最大アバンダント・ビームにおけるイ
オンからの干渉に対して何等影響し得ないことは明らか
である。
有する同位体比マルチ・コレクタ分析計は、Zhangが「N
ucl. Instrum. and Methods in Phys. Research」19
87年,第B26冊,第377〜380頁で説明されて
いる。この器具ではエネルギー・フィルタが、他のイオ
ンビーム用のコレクタがエネルギー分析器の入口スリッ
ト前に配置されて、それらコレクタがより低い質量のイ
オンビームのみを遮断するようにしている一方で、最高
質量のイオンビームだけ(即ち、与えられた例での238
U)を濾過すべく配列されている点で、White, Rourke
及びSheffieldによって説明されたものと同様である。
結果として、より早期の器具におけるように、同時収集
モードで使用されたならば、この器具はより小さいアバ
ンダント23 5U,236U,237Uビームに対する干渉を低
減できない。与えられた例が提案することは、アバンダ
ンス感度における改善を獲得するために、器具は従来通
りの単一コレクタ・モードで使用されて磁場が走査(ス
キャン)されることである。
出願第WO97/15944号は、検出器での異なる質
量対電荷比のビーム間の分離を増大するために、同位体
比質量分析計における磁気セクタ質量分析器と、コレク
タ・アレイとの間に配置された静電レンズの使用を教示
している。そうした構成は上述したようにアバンダンス
感度を改善しない。
レンズ及び四重極質量フィルタの配置を教示し、同時収
集質量分析計内においてイオンビームの内の1つを受け
取って、そのビームからの散乱による喪失エネルギーを
有する異なる質量対電荷比のイオンを削除する。米国特
許第5,545,894号は水素同位体比質量分析計を
説明しており、そこでは、同重干渉が、水素、重水素、
トリチウム(三重水素)、ヘリウムのイオンをそれらイ
オンが通過しなければならない薄い箔を含む検出装置内
へ通すことによって低減されている。H、D、並びに、
Tの原子イオンが負イオンとしてその箔を出て、その箔
の下流側に配置された静電エネルギー分析器を走査させ
ることによって分離可能となる。
する同一のサイズ及びコストのものよりも、より高いア
バンダンス感度を有する同時収集同位体比質量分析計を
提供することである。他の目的は、ヘリウムガスが存在
する状態で水素同位体比の決定に適合できるそうした質
量分析計を提供することである。本発明の更なる他の目
的は、そうした同時収集質量分析計を用いて同位体組成
を決定する方法を提供することであり、またその他の目
的はヘリウムガスが存在する状態で水素の同位体組成を
決定する改善された方法を提供することである。
供された同位体比用多重コレクタ型の質量分析計であっ
て、 a)試料から初期運動エネルギーを有するイオンを生成
するイオン化源と、 b)前記イオンをそれらの運動量に従って、相互に異な
る質量対電荷比の複数のイオンをそれぞれが実質的に含
む複数のイオンビームに分散して、それらビームの各々
を焦点面における相互に異なる位置に焦点が合うように
為す磁気セクタ分析器であり、使用に際して、前記複数
のビームが、少なくとも、第1イオンビームと、該第1
イオンビームよりも高強度の第2イオンビームとを含む
ことから成る磁気セクタ分析器と、 c)前記第1イオンビーム内に含まれる第1質量対電荷
比のイオンを受け取るべく、前記焦点面内に配置された
第1イオン検出手段と、 d)前記第1イオンビーム以外の、前記複数のイオンビ
ームの内のその他のイオンビーム内に含まれる第2質量
対電荷比のイオンを受け取るべく、前記焦点面内に配置
された第2イオン検出手段と、 e)前記第1イオン検出手段及び前記第2イオン検出手
段によって生成された信号から、前記第1質量対電荷比
を有するイオンの数の、前記第2質量対電荷比を有する
イオンの数に対する比を決定する手段と、を備え、 前記第1イオン検出手段が、前記初期運動エネルギーを
実質的に有するイオンのみを収集電極へ進めさせ、それ
によって当該第1イオン検出手段から前記信号を生成す
ることを可能とするイオン-エネルギー・フィルタを含
むことを特徴とする質量分析計である。
スが存在する状態での水素同位体比の決定に適合されて
いる。この実施例において、第1イオンビームは少数派
の同位体HD+(質量対電荷比3)を含み得るものであ
り、第2のより高強度のイオンビームは、決定されるべ
きではないがイオン源での発生が避けることができない
He+(質量対電荷比4)を含む。好ましくはビーム・
ストップが第2イオンビームの経路内に設けられて、H
e+イオンを放電する。第2イオン検出手段が質量対電
荷比2の多数派同位体H2 +を受け取るべく配置される。
本発明に従えば、エネルギー・フィルタが質量対電荷比
3のイオンを受け取るべく配置された第1イオン検出手
段に設けられて、イオン源で形成された際の初期運動エ
ネルギーを近似的に有するイオンだけがコレクタ電極に
到達して信号を生成することになる。この構成によっ
て、イオン源から焦点面までの移行中に中性ガス分子と
の衝突を介しての喪失エネルギーを有するHe+イオン
(質量対電荷比4)から、即ち質量対電荷比4の位置で
の焦点面を通過するよりか、質量対電荷比3の第1イオ
ン検出手段に入り得るそうしたイオンから、さもなけれ
ば生ずることになる質量対電荷比3の信号に対する干渉
を大きく削除し、質量対電荷比3の分析計におけるアバ
ンダンス感度が収集電極に到達するそれらイオンを防止
することによって改善される。
は、固体或は液体の試料から、水素、HD、並びに、ジ
ュウテリウム(重水素)のガス状試料を生成できるイン
レット・システム、例えば欧州特許第EP041916
7 B1号に教示された構成等を更に備える。そうした
連続流導入システムは大量のヘリウムガスをイオン源に
導入することは避けられず、従来の質量分析計で決定さ
れるHD/H2同位体比の精度はHD+検出器による散乱
He+の検出によって損なわれる可能性がある。しかし
ながら、本発明に従った分析計の改善されたアバンダン
ス感度は、質量対電荷比3の非常に小さな信号に対する
散乱He+からのHD+によっての干渉を低減することに
なり、HD+/H2 +比決定の精度を改善する。
の同位体ビームを受け取るべく配置された追加のイオン
検出手段を備えることができ、それらの内の少なくとも
幾つかは第1イオン検出手段で利用されたものと同様の
エネルギー・フィルタを備えることができる。典型的に
は、第2イオン検出手段は多数派の同位体ビームを受け
取り、エネルギー・フィルタを必要としないが、その設
置を排除するものではない。この実施例は、もしその分
析計がイオン源に導入された二酸化炭素のガス状試料か
らの酸素或は炭素の同位体をモニタするに適合されてい
れば特に有用である。この目的が意図された従来のマル
チ・コレクタ質量分析計において、質量対電荷比44の
多数派同位体ビーム(CO2 +)からの散乱イオンは、質
量対電荷比45及び46の少数派ビームの精度を低減で
きる。本発明に従った分析計は、この問題を克服するた
めに、質量対電荷比45のイオンを受け取る第1検出手
段、質量対電荷比46のイオンを受け取るべく第1検出
手段に使用されたものと同様なエネルギー・フィルタを
有する他のイオン検出手段、並びに、第2ビーム、即ち
質量対電荷比44の多数派同位体を受け取る第2イオン
検出手段(エネルギー・フィルタ無し)を配列すること
によって適合させることができる。明らかに、そうした
実施例においてはビーム・ストップが第2イオンビーム
の経路内に設けられない。
析計は広範囲の異なる基本的種又は元素種の同位体組成
を決定するために、先行技術での分析計における少数派
同位体強度測定の精度を低減することになる隣接質量の
強力なイオンビームが存在している状態で、少数派同位
体ビームを受け取るべくエネルギー・フィルタが具備さ
れたイオン検出手段を用いることによって適合させるこ
とができる。本発明は、より強力なビームが実際に決定
されようが否かにかかわらず、そのより強力なビームに
隣接する少数派の同位体ビームに関しての分析計のアバ
ンダンス感度を改善する。
の、上述した先行技術に係る分析計のエネルギー・フィ
ルタによって課せられる同時にモニタされ得るイオンビ
ームの数に対する制限を克服しており、それは各フィル
タには1つの特定質量対電荷比のイオンのみを透過する
ことが要求されているからである。
ギー・フィルタは小さな円筒形状セクタ分析器を備え、
それが正しい初期イオン・エネルギーを有するイオンの
焦点を、同位体比マルチ-コレクタ質量分析計に従来よ
り用いられていたタイプのファラディー・バケットを含
むコレクタ電極に合わせるように為す。しかしながら他
のタイプのエネルギー・フィルタも利用され得る。
タ質量分析計を用いて同位体組成を決定する方法を提供
しており、 a)試料から初期運動エネルギーを有するイオンを生成
する段階と、 b)前記イオンをそれらの運動量に従って、相互に異な
る質量対電荷比の複数のイオンをそれぞれが実質的に含
む複数のイオンビームに磁気セクタ分析器によって分散
する段階であり、それらビームの各々を焦点面における
相互に異なる位置に焦点が合うように為し、使用に際し
て、前記複数のビームが、少なくとも、第1イオンビー
ムと、該第1イオンビームよりも高強度の第2イオンビ
ームとを含むことから成るように為す段階と、 c)前記初期運動エネルギーと前記第1イオンビーム内
に含まれる第1質量対電荷比とを有する該第1イオンビ
ーム内に含まれるイオンを前記焦点面内に配置された第
1イオン検出手段で受け取る段階と、 d)前記初期運動エネルギーと(前記第1イオンビーム
以外の)前記複数のイオンビームの内のその他のイオン
ビーム内に含まれる第2質量対電荷比とを有する、(前
記第1イオンビーム以外の)前記複数のイオンビームの
内のその他のイオンビーム内に含まれるイオンを、前記
焦点面内に配置された第2イオン検出手段で受け取る段
階と、 e)前記第1イオン検出手段及び前記第2イオン検出手
段によって生成された信号から、前記第1質量対電荷比
を有するイオンの数の、前記第2質量対電荷比を有する
イオンの数に対する比を決定する段階と、の諸段階を含
み、前記初期運動エネルギーを有するイオンのみを収集
電極へ進めさせて、前記第1イオン検出手段から前記信
号を生成することを可能とするために、前記イオンが前
記第1イオン検出手段に入った後にそれらイオンをエネ
ルギー濾過する追加段階を特徴とする方法である。
り、水素同位体比がヘリウムガス存在状態で決定されて
いる。この好ましい方法において、第1イオンビームは
HD+を含み、第2イオンビームはHe+を含み、第2イ
オン検出手段は多数派の同位体成分H2 +を受け取るべく
配置されている。第2イオンビームは、好ましくは、そ
の経路内に配置されたビーム・ストップによって妨害又
は遮断される。更に好ましい方法において、例えば欧州
特許第0419167 B1号で教示されている方法に
よって、ガス状水素及びHDの連続流が試料からヘリウ
ム搬送ガスの流れの中に生成される。
以上の追加のイオン検出手段が提供され得て、そうした
追加の検出手段の少なくとも幾つかに入ったイオンはエ
ネルギー濾過されて、初期イオン・エネルギーを近似的
に有するイオンのみがコレクタ電極に到達して、それら
から信号を生成する。この方法は、二酸化炭素ガスの試
料から、炭素或は酸素同位体比を決定するのに特に適用
可能である。そうした決定において、第1及び第3のイ
オン検出手段にはエネルギー・フィルタが具備され、4
5及び46の質量対電荷比を有するイオンを検出すべく
使用され、第2ビームは44の質量対電荷比の多数派同
位体のイオンを含む。エネルギー・フィルタ無しの第2
イオン検出手段が使用されて、第2イオンビームを測定
しており、明らかに第2イオンビームはビーム・ストッ
プで遮断されない。
検出手段に入ったイオンは、それらイオンを円筒形状セ
クタ静電エネルギー分析器に通過させることによってエ
ネルギー濾過しており、その分析器は初期エネルギーを
近似的に有するイオンの焦点を、同位体比多重コレクタ
質量分析計に従来より利用されているタイプのファラデ
ィー・バケットを含むコレクタ電極に合わせている。
目的で、図面を参照してより詳細に説明する。
符号1で全体的に示される同位体比マルチ・コレクタ質
量分析計は、真空ハウジング(不図示)と、サンプル
(試料)から正のイオンを生成するイオン源3とを備え
る。過度のヘリウム搬送ガス内の水素同位体を含むガス
試料はインレット・パイプ4を通じてイオン源3へ導入
される。磁気セクタ分析器5は、イオン源3及び分析器
入口スリット7間に維持されている電位で決定される初
期エネルギーを有したイオンを含むイオン源3によって
生成されたイオンビーム6を受け取る。電源2はイオン
源3及び入口スリット7間に電位差(典型的には約4キ
ロボルト)を維持する。磁気セクタ分析器5はイオンを
それらの質量対電荷比に従ってビーム6に分散し、それ
ぞれが質量対電荷比2、3並びに4を有するイオンを含
んだ複数のビーム8、9、並びに10を作り出す。これ
らはビームは分析器5の焦点面14における異なる位置
(11、12、並びに、13)に該分析器5によって焦
点が合わされる。
第1イオンビーム9は焦点面14上の位置12に焦点が
合わされ、検出器入口スリット15、エネルギー・フィ
ルタ16、並びに、収集電極17を備える第1イオン検
出手段に入る。エネルギー・フィルタ16は、従来の円
筒状セクタ分析器の場合のように、電源18によって、
検出器入口スリット15の電位に対してそれぞれ正及び
負に維持された一対の円筒状電極19及び43を備え
る。フィルタ16の半径及びセクタ(扇形)角度と、電
極19及び43に印加された電位とは、検出器入口スリ
ット15を通過して収集電極17に入るような正しい初
期イオン・エネルギーを有するイオンを偏向すべく選択
される。収集電極17は、好ましくは、例えば欧州特許
出願第0762472 A1号で教示されたようなマル
チプル・コレクタ質量分析計で従来より採用されている
タイプの従来型ファラディー・バケット・コレクタを備
える。フィルタ16は、検出器入口スリット15のイオ
ン画像が、その焦点合わせ作用の結果として、収集電極
17上に作り出されるようにも配列されている。
の入力抵抗を流れる電流を発生して、第1イオン検出手
段から信号を生成する。
スリット15を通過したとしても、(中性ガス分子との
衝突の結果としての)形成のために喪失エネルギーを有
するイオンが収集電極17に到達することを防止する。
これらイオンのエネルギー・フィルタ16を通る弾道又
はトラジェクトリはより小さな半径を有することで、イ
オンはフィルタの内部電極を打つか、或は、収集電極1
7を打つことがないように出るかの何れかである。典型
的にはこれらイオンは多数存在する散乱されたHe+イ
オンであり、それらの低エネルギーのために、正規エネ
ルギーのイオンよりもこの磁気セクタ分析器5内でより
小さな半径の弾道に沿って偏向させられ、検出器スリッ
ト15を通過しない第2ビーム10内に閉じ込められる
代わりに、検出器入口スリット15を通過する。結果と
して、同様サイズの従来の質量分析計と比較して、HD
+を表す小さな信号に対する散乱ヘリウムからの干渉は
著しく低減される(即ち、アバンダンス感度は改善され
る)。
+イオン(質量対電荷比4)は磁気セクタ分析器5から
出て第2ビーム10内に入って、ビーム・ストップ21
によって遮断される。質量対電荷比2でのH2 +イオン
は、磁気セクタ分析器5から出てビーム8内に入って、
焦点面14の位置11に配置された第2イオン検出手段
22で受け取られる。このビームはHD+ビーム9より
も不変的に極度に高強度であり且つHe+ビーム10か
らより大きな距離で分離されているので、エネルギー・
フィルタを設ける必要性はなく、検出器22は従来のフ
ァラディー・バケット・コレクタのみを備える。増幅器
23は検出器22によって生成された信号を増幅する。
ンピュータ24は、(HD+及びH2 +イオンのイオン強
度をそれぞれ表す)2つの増幅器20及び23からの信
号を受信して、それらの比を決定し、それによって試料
ガス内のH及びDの比の正確な測定を提供する。従来の
同位体比分析計におけるように、基準試料がイオン源内
にシステムを較正すると共に高精度の決定を為すべく試
料と交互に導入され得る。
アバンダンス感度を改善している本発明の効果を示して
いる。図3において、縦軸は第1イオン検出手段(図1
における15,16,17)によって生成された信号を
表し、横軸は分析器5の磁場強さである。このスペクト
ルは、質量対電荷比3のイオンのビームが検出器入口ス
リット15にわたって走査されるように磁場強さを走査
することによって獲得された。ピーク25はHD+イオ
ンを表し、非常に大きなピーク26はイオン源内に導入
された典型的な試料に対する質量対電荷比4でのHe+
ピークの一部である。He+ピークのサイズにもかかわ
らず、完全な基線分離がピーク間に存在することは明ら
かである。
体組成の決定に適合する本発明に係る分析計27が示さ
れている。3つのイオン検出手段が設けられて、質量対
電荷比44の多数派の同位体と質量対電荷比45及び4
6の2つの少数派の同位体とを同時にモニタする。磁気
セクタ分析器5は、図示の如くに、焦点面14内におけ
る地点31,32,33に焦点が合った3つのビーム2
8,29,30を発生する。これらビーム28,29,
30は質量対電荷比44,45,46にそれぞれ対応し
たイオンを含む。最大強度ビーム28(第2ビーム)は
従来のファラディー・バケットを含む第2イオン検出手
段34内で受け取られるが、第1イオン検出手段は少数
派のビーム29を受け取ると共に、地点33に位置決め
された入口スリット、エネルギー・フィルタ35、並び
に、収集電極36を備える。他の少数派の同位体ビーム
30は、地点33に位置決めされた検出器入口スリッ
ト、エネルギー分析器35における第2分析チャネル、
並びに、他の収集電極37を備える第3イオン検出手段
内で受け取られる。図1での実施例のように、収集電極
36及び37は従来のファラディー・バケット・コレク
タを含むものであって良い。
電極38,39及び内側電極40を備え、これら電極
は、2つのビーム29及び30がそれぞれ貫通して移動
する2つの別個の円筒形状環状チャネルを提供すべく形
作られている。図1の実施例のように、セクタ角度、半
径、画像、並びに、分析器の各パーツの対象距離が、そ
れら各々を通過するビームが適切な収集電極に焦点が合
うように選択されている。事実上、主要ビーム28から
の不要な散乱イオンに関連されたエネルギー損失は典型
的には非常に大きいので著しく正確な焦点合わせ為す必
要がなく、それらを拒絶するためにエネルギー濾過は極
めて先鋭的である必要性がない。結果として、外側電極
35及び39は構造の簡略化のために同一半径であって
よい。
らの信号はそれぞれ対応する別個となった増幅器41,
42,43に供給され、ディジタル・コンピュータ24
は、従来質量分析計の如くに、質量対電荷比44,4
5,46に対する3つの信号から適切な同位体比を計算
すべくプログラムされている。
設備で、それら検出器からの信号に対する、衝突を介し
ての喪失エネルギーを有する質量対電荷比44の主要ビ
ームにおけるイオンによっての干渉を実質的に削除する
と共に、本分析計のアバンダンス感度を著しく改善す
る。
体比の決定に適合する本発明に係る質量分析計の概略図
である。
体組成の決定に適合する本発明に係る質量分析計の概略
図である。
た質量スペクトルの一部であり、該装置のアバンダンス
感度を示す。
Claims (8)
- 【請求項1】 ヘリウムが存在する状態で水素同位体比
の決定を為す同位体比多重コレクタ型質量分析計であっ
て、 試料から初期運動エネルギーを有するイオン(6)を生
成するイオン化源(3)と、 前記イオン(6)をそれらの運動量に従って、相互に異
なる質量対電荷比の複数のイオンをそれぞれが実質的に
含む複数のイオンビーム(8,9,10)に分散して、
それらビームの各々を焦点面(14)における相互に異
なる位置(11,12,13)に焦点が合うように為す
磁気セクタ分析器(5)であり、使用に際して、前記複
数のイオンビーム(8,9,10)が、第1イオンビー
ム(9)と、該第1イオンビーム(9)よりも高強度の
第2イオンビーム(10)と、第3イオンビーム(8)
とを含むことから成る磁気セクタ分析器と、 前記第1イオンビーム(9)内の3の質量対電荷比を有
するイオンを受け取るべく配置された第1イオン検出手
段(15,16,17)と、 前記第3イオンビーム(8)内の2の質量対電荷比を有
するイオンを受け取るべく配置された第2イオン検出手
段(22)と、 4の質量対電荷比を有するイオンを含む前記第2イオン
ビーム(10)内のイオンを放電すべく該第2イオンビ
ーム(10)の経路内に配置されたビーム・ストップ
(21)と、 前記第1イオン検出手段(15,16,17)及び前記
第2イオン検出手段(22)によって生成される信号か
ら、3の質量対電荷比を有するイオンの数と2の質量対
電荷比を有するイオンの数との比を決定する手段(2
0,23,24)と、を備え、 前記第1イオン検出手段(15,16,17)が前記初
期運動エネルギーを実質的に有するイオンのみを収集電
極(17)へ向けて前進させるイオン-エネルギー・フ
ィルタ(16)を含み、それによって前記第1イオン検
出手段(15,16,17)から前記信号を生成するこ
とを特徴とする質量分析計。 - 【請求項2】 分析されるべき試料から前記イオン化源
(3)へ搬送するための、ヘリウム搬送ガス内におけるH
2、HD、並びに、D2から成る流れを生成する連続流イ
ンレット・システムを更に備える、請求項1に記載の質
量分析計。 - 【請求項3】 前記イオン-エネルギー・フィルタ(1
6)が、前記初期運動エネルギーを有するイオンを前記
収集電極(17)に焦点が合うように為す円筒形状セク
タ分析器を含む、請求項1或は2の何れか一項に記載の
質量分析計。 - 【請求項4】 前記収集電極(17)がファラディー・
バケット・コレクタ電極である、請求項1、2、或は、
3の内の何れか一項に記載の質量分析計。 - 【請求項5】 多重コレクタ型質量分析計を用いて、ヘ
リウムが存在する状態で水素比を決定する方法であっ
て、 試料から初期運動エネルギーを有するイオン(6)を生
成する段階と、 前記イオン(6)を磁気セクタ分析器(5)によってそ
れらの運動量に従って分散する段階であり、それによっ
て、相互に異なる質量対電荷比の複数のイオンをそれぞ
れが実質的に含む複数のイオンビーム(8,9,10)
を作り出し、それらビーム(8,9,10)の各々を焦
点面(14)における相互に異なる位置に焦点が合うよ
うに為し、前記複数のビーム(8,9,10)が、第1
イオンビーム(9)と、該第1イオンビーム(9)より
も高強度の第2イオンビーム(10)と、第3イオンビ
ーム(8)とを含んでいることから成る段階と、 3の質量対電荷比を有して前記第1イオンビーム(9)
内に含まれるイオンを第1イオン検出手段(15,1
6,17)内に受け取る段階と、 前記第3イオンビーム(8)内における2の質量対電荷
比を有するイオンを第2イオン検出手段(22)内に受
け取る段階と、 4の質量対電荷比を有するイオンを含む前記第2イオン
ビーム(10)の経路内にビーム・ストップ(21)を
配置することによって該第2イオンビーム(10)を遮
断する段階と、 前記第1イオン検出手段(15,16,17)及び前記
第2イオン検出手段(22)によって生成された信号か
ら、3の質量対電荷比を有するイオンの数と2の質量対
電荷比を有するイオンの数との比を決定する段階と、の
諸段階を含み、 前記イオンが前記第1イオン検出手段(15,16,1
7)に入った後にエネルギー濾過されて、前記初期運動
エネルギーを有するイオンのみを収集電極(17)に到
着させることによって、前記第1イオン検出手段(1
5,16,17)から前記信号を生成することから成る
方法。 - 【請求項6】 前記イオン(6)の生成前に、試料中に
存在する水素同位体を連続流インレット・システムによ
ってヘリウムガス流内のH2、HD、並びに、D2に変換
する段階を更に含む、請求項5に記載の方法。 - 【請求項7】 前記エネルギー濾過が、前記初期運動エ
ネルギーを有するイオンを収集電極(17)に焦点が合
うように為す円筒形状セクタ分析器によって実行され
る、請求項5或は6の何れか一項に記載の方法。 - 【請求項8】 前記収集電極がファラディー・バケット
・コレクタ電極を含む、請求項5、6、或は、7の何れ
か一項に記載の方法。
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