JP3486325B2 - ポリアミド酸溶液、ポリイミドフィルムおよびポリイミドフィルムの特性制御方法 - Google Patents

ポリアミド酸溶液、ポリイミドフィルムおよびポリイミドフィルムの特性制御方法

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JP3486325B2 JP17018397A JP17018397A JP3486325B2 JP 3486325 B2 JP3486325 B2 JP 3486325B2 JP 17018397 A JP17018397 A JP 17018397A JP 17018397 A JP17018397 A JP 17018397A JP 3486325 B2 JP3486325 B2 JP 3486325B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規なポリイミド
材料に関し、特に光学用途に使用できるポリイミド材料
およびその特性制御に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリイミドは耐熱性に優れた高分子材料
でLSIなどの層間絶縁膜、フルキシブルプリント基板
などの電子材料として用いられている。電子材料にとっ
て半導体プロセスに適合できるか、ハンダ工程に耐えう
るかは重要なポイントであり、従って耐熱性は不可欠な
特性である。電子材料への適用は、耐熱性に優れている
ポリイミドの性能が如何なく発揮される適用先であると
言える。
【0003】ところで光通信システムの進展に伴い、光
学材料においても電子材料と同様な要求が顕在化してき
ている。例えば光部品構成に必須な光導波路の作製に
は、半導体プロセスとの適合性が要求されるし、また光
配線と電気配線が同じ基板上に作製されるため光導波路
にはハンダ耐熱性も要求される。これまでの高分子光学
材料としては、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボ
ネート、ポリスチレンなどがあるが、ハンダ工程に耐え
る耐熱性は有していない。その点ポリイミドは耐熱性に
優れているため、光学材料としても期待できる。
【0004】ポリイミドを光学材料として使用する場合
ポリイミドには様々な性能が要求されるが、特に光透過
性、屈折率制御性、熱膨張率制御性、低複屈折性は光学
材料として極めて重要な特性である。光透過性はポリイ
ミドを光伝搬媒体として使用する場合は特に重要であ
る。屈折率制御性は、光の結合、閉じ込め等に重要であ
る。また熱膨張率制御性は、基板との熱膨張率の相違に
より発生する応力による問題、例えば基板のそり、接着
信頼性などを解決するために重要である。さらに低複屈
折性は光学部品の偏波依存性を起こさないために重要で
ある。
【0005】一般にポリイミドは、ポリイミド特有の褐
色を呈し、光透過性に劣っている。これまで光学用途に
使用されていない最も大きな理由は光透過性に劣るとい
うことにある。ポリイミドの光透過性の向上については
最近幾つかの報告がされはじめており、例えばSAMPE JO
URNAL JULY/AUGUST 1985の28頁には光透過性に優れた
ポリイミドの例が報告されている。また本発明者らは特
開平3−72528号で光透過性に優れたフッ素化ポリ
イミドを明らかにしている。屈折率制御性については本
発明者らは特開平4−8734号では2種類のフッ素化
ポリイミドを共重合し、フッ素含量を調整することによ
り実現している。また特開平6−51146号ではフッ
素化ポリイミドに電子線を照射し、その照射量を制御す
ることにより屈折率を制御できることを明らかにしてい
る。熱膨張率制御については、松浦らは1993年に発
行されたMacromoleculesの26巻419頁〜423頁に
熱膨張率の小さなポリイミドと熱膨張率の大きなポリイ
ミドを共重合することにより実現できることを報告して
いる。低複屈折性については、小勝負らは第44回高分
子学会年次大会の予稿集44巻316頁に複屈折が比較
的小さいポリイミドを明らかにしている。このようにポ
リイミドを光学材料として使用する場合に要求される光
透過性、屈折率制御性、熱膨張率制御性、低複屈折性を
幾つかの方法で実現している。
【0006】しかしながらこれまでの方法は、ポリイミ
ド自体の化学構造を変えたり、共重合を行ったり、また
電子線を照射するなど特定のポリイミドにしか適用でき
ないとか複雑な工程が必要などの問題点もある。現用の
ポリイミドを用いて簡易な方法でこれらの性能を付加で
きれば、光学用途への適用範囲も飛躍的に拡大されるも
のと期待される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、光学用ポリ
イミドに要求される光透過性、屈折率制御性、熱膨張率
制御性、低複屈折性を簡易な方法でポリイミドに付与さ
せる方法とそのための材料を提供することを目的とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の目
的を達成するため、鋭意検討を行った結果ポリイミドに
粒径を制御した二酸化ケイ素の微粒子を配合することに
より透明性を損なわず屈折率制御、熱膨張率制御また複
屈折の低減ができることを見いだし、本発明を完成する
に至った。
【0009】すなわち本発明の第1の発明は、二酸化ケ
イ素微粒子含有ポリアミド酸溶液であって、二酸化ケイ
素微粒子とポリアミド酸を主成分とする二酸化ケイ素微
粒子含有ポリアミド酸溶液において二酸化ケイ素微粒子
の粒径が0.5〜50nmであり、かつ、該ポリアミド
酸は、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)
ヘキサフルオロプロパンおよび2,2′−ビス(トリフ
ルオロメチル)−4,4′−ジアミノビフェニルから製
造されたものであることを特徴とする。
【0010】
【0011】本発明の第の発明は、二酸化ケイ素微粒
子含有ポリイミドフィルムであって、二酸化ケイ素微粒
子とポリイミドを主成分とする二酸化ケイ素微粒子含有
ポリイミドフィルムにおいて、二酸化ケイ素微粒子の粒
径が0.5〜50nmであり、かつ、該ポリイミドは、
2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサ
フルオロプロパンおよび2,2′−ビス(トリフルオロ
メチル)−4,4′−ジアミノビフェニルから製造され
たものであることを特徴とする。
【0012】
【0013】本発明の第の発明は、ポリイミドフィル
ムの屈折率制御方法であって、2,2−ビス(3,4−
ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンおよび
2,2′−ビス(トリフルオロメチル)−4,4′−ジ
アミノビフェニルから製造されたポリイミドフィルム中
に粒径が0.5〜50nmである二酸化ケイ素微粒子を
配合し、その配合量を調整して屈折率を制御することを
特徴とする。
【0014】本発明の第の発明は、ポリイミドフィル
ムの熱膨張率制御方法であって、2,2−ビス(3,4
−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンおよ
び2,2′−ビス(トリフルオロメチル)−4,4′−
ジアミノビフェニルから製造されたポリイミドフィルム
中に粒径が0.5〜50nmである二酸化ケイ素微粒子
を配合し、その配合量を調整して熱膨張率を制御するこ
とを特徴とする。
【0015】本発明の第5の発明は、ポリイミドフィル
ムの複屈折低減方法であって、2,2−ビス(3,4−
ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンおよび
2,2′−ビス(トリフルオロメチル)−4,4′−ジ
アミノビフェニルから製造されたポリイミドフィルム中
に粒径が0.5〜50nmである二酸化ケイ素微粒子を
配合して複屈折を低減することを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明についてその実施の
形態について詳説する。
【0017】本発明で使用するポリアミド酸、ポリイミ
ドとしては、例えば以下に示すテトラカルボン酸または
その誘導体とジアミンから製造されるポリアミド酸、ポ
リイミドが挙げられる。なおこれらのポリアミド酸、ポ
リイミドの共重合体、混合物も使用できる。
【0018】テトラカルボン酸ならびにその誘導体とし
ての酸無水物、酸塩化物、エステル化物等としては次の
ようなものが挙げられる。ここではテトラカルボン酸と
しての例を挙げる。
【0019】(トリフルオロメチル)ピロメリット酸、
ジ(トリフルオロメチル)ピロメリット酸、ジ(ヘプタ
フルオロプロピル)ピロメリット酸、ペンタフルオロエ
チルピロメリット酸、ビス〔3,5−ジ(トリフルオロ
メチル)フェノキシ〕ピロメリット酸、2,3,3′,
4′−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3′,4,
4′−テトラカルボキシジフェニルエーテル、2,
3′,3,4′−テトラカルボキシジフェニルエーテ
ル、3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボ
ン酸、2,3,6,7−テトラカルボキシナフタレン、
1,4,5,7−テトラカルボキシナフタレン、1,
4,5,6−テトラカルボキシナフタレン、3,3′,
4,4′−テトラカルボキシジフェニルメタン、3,
3′,4,4′−テトラカルボキシジフェニルスルホ
ン、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プ
ロパン、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニ
ル)ヘキサフルオロプロパン、5,5′−ビス(トリフ
ルオロメチル)−3,3′,4,4′−テトラカルボキ
シビフェニル、2,2′,5,5′−テトラキス(トリ
フルオロメチル)−3,3′,4,4′−テトラカルボ
キシビフェニル、5,5′−ビス(トリフルオロメチ
ル)−3,3′,4,4′−テトラカルボキシジフェニ
ルエーテル、5,5′−ビス(トリフルオロメチル)−
3,3′,4,4′−テトラカルボキシベンゾフェノ
ン、ビス〔(トリフルオロメチル)ジカルボキシフェノ
キシ〕ベンゼン、ビス〔(トリフルオロメチル)ジカル
ボキシフェノキシ〕(トリフルオロメチル)ベンゼン、
ビス(ジカルボキシフェノキシ)(トリフルオロメチ
ル)ベンゼン、ビス(ジカルボキシフェノキシ)ビス
(トリフルオロメチル)ベンゼン、ビス(ジカルボキシ
フェノキシ)テトラキス(トリフルオロメチル)ベンゼ
ン、3,4,9,10−テトラカルボキシペリレン、
2,2−ビス〔4−(3,4−ジカルボキシフェノキ
シ)フェニル〕プロパン、ブタンテトラカルボン酸、シ
クロペンタンテトラカルボン酸、2,2−ビス〔4−
(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル〕ヘキサ
フルオロプロパン、ビス〔(トリフルオロメチル)ジカ
ルボキシフェノキシ〕ビフェニル、ビス〔(トリフルオ
ロメチル)ジカルボキシフェノキシ〕ビシ(トリフルオ
ロメチル)ビフェニル、ビス〔(トリフルオロメチル)
ジカルボキシフェノキシ〕ジフェニルエーテル、ビス
(ジカルボキシフェノキシ)ビス(トリフルオロメチ
ル)ビフェニル、ビス(3,4−ジカルボキシフェニ
ル)ジメチルシラン、1,3−ビス(3,4−ジカルボ
キシフェニル)テトラメチルジシロキサン、ジフルオロ
ピロメリット酸、1,4−ビス(3,4−ジカルボキシ
トリフルオロフェノキシ)テトラフルオロベンゼン、
1,4−ビス(3,4−ビスカルボキシトリフルオロフ
ェノキシ)オクタフルオロビフェニルなどである。
【0020】これらのテトラカルボン酸類の中でも、フ
ッ素置換基を有する2,2−ビス(3,4−ジカルボキ
シフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス
(3,4−ジカルボキシトリフルオロフェノキシ)テト
ラフルオロベンゼン、(トリフルオロメチル)ピロメリ
ット酸、ジ(トリフルオロメチル)ピロメリット酸、ジ
フルオロピロメリット酸等が好ましく、さらに好ましく
は2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキ
サフルオロプロパンおよび1,4−ビス(3,4−ジカ
ルボキシトリフルオロフェノキシ)テトラフルオロベン
ゼンである。
【0021】ジアミンとしては、例えば次のものが挙げ
られる。m−フェニレンジアミン、2,4−ジアミノト
ルエン、2,4−ジアミノキシレン、2,4−ジアミノ
デュレン、4−(1H,1H,11H−エイコサフルオ
ロウンデカノキシ)−1,3−ジアミノベンゼン、4−
(1H,1H−パーフルオロ−1−ブタノキシ)−1,
3−ジアミノベンゼン、4−(1H,1H−パーフルオ
ロ−1−ヘプタノキシ)−1,3−ジアミノベンゼン、
4−(1H,1H−パーフルオロ−1−オクタノキシ)
−1,3−ジアミノベンゼン、4−ペンタフルオロフェ
ノキシ−1,3−ジアミノベンゼン、4−(2,3,
5,6−テトラフルオロフェノキシ)−1,3−ジアミ
ノベンゼン、4−(4−フルオロフェノキシ)−1,3
−ジアミノベンゼン、4−(1H,1H,2H,2H−
パーフルオロ−1−ヘキサノキシ)−1,3−ジアミノ
ベンゼン、4−(1H,1H,2H,2H−パーフルオ
ロ−1−ドデカノキシ)−1,3−ジアミノベンゼン、
p−フェニレンジアミン、2,5−ジアミノトルエン、
2,3,5,6−テトラメチル−p−フェニレンジアミ
ン、2,5−ジアミノベンゾトリフルオライド、ビス
(トルフルオロメチル)フェニレンジアミン、ジアミノ
テトラ(トリフルオロメチル)ベンゼン、ジアミノ(ペ
ンタフルオロエチル)ベンゼン、2,5−ジアミノ(パ
ーフルオロヘキシル)ベンゼン、2,5−ジアミノ(パ
ーフルオロブチル)ベンゼン、ベンジジン、2,2′−
ジメチルベンジジン、3,3′−ジメチルベンジジン、
3,3′−ジメトキシベンジジン、2,2′−ジメトキ
シベンジジン、3,3′,5,5′−テトラメチルベン
ジジン、3,3′−ジアセチルベンジジン、2,2′−
ビス(トリフルオロメチル)−4,4′−ジアミノビフ
ェニル、2,2′−ビス(トリフルオロメトキシ)−
4,4′−ジアミノビフェニル、オクタフルオロベンジ
ジン、3,3′−ビス(トリフルオロメチル)−4,
4′−ジアミノビフェニル、3,3′−ビス(トリフル
オロメトキシ)−4,4′−ジアミノビフェニル、4,
4′−ジアミノジフェニルエーテル、4,4′−ジアミ
ノジフェニルメタン、4,4′−ジアミノジフェニルス
ルホン、2,2−ビス(p−アミノフェニル)プロパ
ン、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノジフェニ
ルエーテル、3,3′−ジメチル−4,4′−ジアミノ
ジフェニルメタン、1,2−ビス(アニリノ)エタン、
2,2−ビス(p−アミノフェニル)ヘキサフルオロプ
ロパン、1,3−ビス(アニリノ)ヘキサフルオロプロ
パン、1,4−ビス(アニリノ)オクタフルオロブタ
ン、1,5−ビス(アニリノ)デカフルオロペンタン、
1,7−ビス(アニリノ)テトラデカフルオロヘプタ
ン、2,2′−ビス(トリフルオロメチル)−4,4′
−ジアミノジフェニルエーテル、3,3′−ビス(トリ
フルオロメチル)−4,4′−ジアミノジフェニルエー
テル、3,3′,5,5′−テトラキス(トリフルオロ
メチル)−4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、
3,3′−ビス(トリフルオロメチル)−4,4′−ジ
アミノベンゾフェノン、4,4′′−ジアミノ−p−テ
ルフェニル、1,4−ビス(p−アミノフェニル)ベン
ゼン、p−ビス(4−アミノ−2−トリフルオロメチル
フェノキシ)ベンゼン、ビス(アミノフェノキシ)ビス
(トリフルオロメチル)ベンゼン、ビス(アミノフェノ
キシ)テトラキス(トリフルオロメチル)ベンゼン、
4,4′′′−ジアミノ−p−クオーターフェニル、
4,4′−ビス(p−アミノフェノキシ)ビフェニル、
2,2−ビス〔4−(p−アミノフェノキシ)フェニ
ル〕プロパン、4,4′−ビス(3−アミノフェノキシ
フェニル)ジフェニルスルホン、2,2−ビス〔4−
(4−アミノフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプ
ロパン、2,2−ビス〔4−(3−アミノフェノキシ)
フェニル〕ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス〔4
−(2−アミノフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロ
プロパン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキ
シ)−3,5−ジメチルフェニル〕ヘキサフルオロプロ
パン、2,2−ビス〔4−(4−アミノフェノキシ)−
3,5−ジトリフルオロメチルフェニル〕ヘキサフルオ
ロプロパン、4,4′−ビス(4−アミノ−2−トリフ
ルオロメチルフェノキシ)ビフェニル、4,4′−ビス
(4−アミノ−3−トリフルオロメチルフェノキシ)ビ
フェニル、4,4′−ビス(4−アミノ−2−トリフル
オロメチルフェノキシ)ジフェニルスルホン、4,4′
−ビス(3−アミノ−5−トリフルオロメチルフェノキ
シ)ジフェニルスルホン、2,2−ビス〔4−(4−ア
ミノ−3−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル〕
ヘキサフルオロプロパン、ビス〔(トリフルオロメチ
ル)アミノフェノキシ〕ビフェニル、ビス{〔(トリフ
ルオロメチル)アミノフェノキシ〕フェニル}ヘキサフ
ルオロプロパン、ジアミノアントラキノン、1,5−ジ
アミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、ビス
{〔2−(アミノフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオ
ロイソプロピル}ベンゼン、ビス(2,3,5,6−テ
トラフルオロ−4−アミノフェニル)エーテル、ビス
(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−アミノフェニ
ル)スルフィド、1,3−ビス(3−アミノプロピル)
テトラメチルジシロキサン、1,4−ビス(3−アミノ
プロピルジメチルシリル)ベンゼン、ビス(4−アミノ
フェニル)ジエチルシラン、1,3−ジアミノテトラフ
ルオロベンゼン、1,4−ジアミノテトラフルオロベン
ゼン、4,4′−ビス(テトラフルオロアミノフェノキ
シ)オクタフルオロビフェニル等がある。
【0022】これらのジアミン類の中でも、フッ素置換
基を有する2,2′−ビス(トリフルオロメチル)−
4,4′−ジアミノビフェニル、ビス(2,3,5,6
−テトラフルオロ−4−アミノフェニル)エーテル、
2,2−ビス(p−アミノフェニル)ヘキサフルオロプ
ロパン、1,3−ジアミノテトラフルオロベンゼン、
2,2′−ビス(トリフルオロメトキシ)−4,4′−
ジアミノビフェニル、ビス(2,3,5,6−テトラフ
ルオロ−4−アミノフェニル)エーテル等が好ましく、
さらに好ましくは2,2′−ビス(トリフルオロメチ
ル)−4,4′−ジアミノビフェニルおよび、ビス
(2,3,5,6−テトラフルオロ−4−アミノフェニ
ル)エーテルである。
【0023】上記のようなテトラカルボン酸およびジア
ミンから得られるポリアミド酸およびポリイミドの中で
は、フッ素置換基を有するテトラカルボン酸およびフッ
素置換基を有するジアミンから得られるもの、すなわち
繰り返し構造単位中に含フッ素置換基が入ったいわゆる
フッ素化ポリアミド酸、フッ素化ポリイミドが耐湿性の
観点から好適である。また光透過性の観点からも好適で
あるが、特に波長1.0〜1.7μmの光通信波長領域
の透過性の観点から好適である。
【0024】本発明に使用する二酸化ケイ素微粒子は、
光の散乱を防ぎ高い光透過性を持たせるため粒径が小さ
いほうが好ましい。0.5〜50nmの範囲、特に微粒
子の分散性を考慮して実用的には5〜50nmの範囲が
好適と考える。ここでの粒径は一般に粒子の粒径を推定
する方法と知られているBet法を用いて定めた粒径を
意味する。
【0025】二酸化ケイ素微粒子のポリアミド酸溶液や
ポリイミド溶液の配合方法としては、二酸化ケイ素微粒
子をポリアミド酸やポリイミドを溶解する溶媒に分散さ
せた溶液をポリアミド酸溶液やポリイミド溶液に配合す
る方法が使用できる。この例としては日産化学工業株式
会社製のオルガノシリカゾルなどが使用できる。また二
酸化ケイ素微粒子を直接ポリアミド酸溶液やポリイミド
溶液にボールミルなどを使用して配合する方法も使用で
きる。
【0026】二酸化ケイ素微粒子の配合量は狙いとする
屈折率や熱膨張率の値によって自由に変化させて良い。
ポリイミドフィルムの機械的強度を考えた場合上限は5
0wt%程度で、特性制御の観点からは最低1wt%は
必要と考える。
【0027】このようにして調整した二酸化ケイ素微粒
子配合ポリアミド酸溶液やポリイミド溶液からフィルム
を作製するには、通常のポリイミドフィルム作製方法と
同様で良い。例えば次の方法で作製できる。シリコンな
どの基板上にポリアミド酸溶液またはポリイミド溶液を
スピンコート法、ディップ法等により、均一な厚さに塗
布する。その後溶媒の揮発のため加熱する。ポリアミド
酸溶液を用いる場合はイミド化に必要な加熱をさらに行
う。
【0028】二酸化ケイ素微粒子配合ポリイミドフィル
ムの屈折率を制御するためには、二酸化ケイ素微粒子の
配合量を調整すればよく、また熱膨張率を制御するため
には、同様に二酸化ケイ素微粒子の配合量を調整すれば
よい。
【0029】
【実施例】以下いくつかの実施例を用いて本発明をさら
に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に限定さ
れるものではない。
【0030】実施例1 三角フラスコに2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフ
ェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物(以下6FD
Aと略記する)88.8g(0.2mlo)と2,2′
−ビス(トリフルオロメチル)−4,4′−ジアミノビ
フェニル(以下TFDBと略記する)64.0g(0.
2mol)およびN,N−ジメチルアセトアミド(以下
DMAcと略記する)1000gを加えた。この混合物
を窒素雰囲気下、室温で3日間攪拌し、濃度約15wt
%のポリアミド酸溶液(以下6FDA/TFDBポリア
ミド酸溶液と略記する)を得た。
【0031】容量100mlのガラス製容器に、得られ
た6FDA/TFDBポリアミド酸溶液8.52gと、
粒径10〜20nmの二酸化ケイ素微粒子をDMAcに
20wt%分散させた二酸化ケイ素微粒子分散溶液(オ
ルガノシリカゾルDMAc−ST、日産化学工業株式会
社製)1.53gを入れ、室温で24時間攪拌し、無色
透明な二酸化ケイ素微粒子含有ポリアミド酸溶液を得
た。
【0032】次にこの二酸化ケイ素微粒子含有ポリアミ
ド酸溶液を酸化膜が付いたシリコン基板に滴下し、スピ
ンコート法で均一な厚さの膜とした。続いてこれをオー
ブン中で70℃で2時間、160℃で1時間、250℃
で30分、350℃で1時間加熱し、イミド化を行い、
厚さ約13μmの二酸化ケイ素微粒子含有ポリイミドフ
ィルムを得た。このポリイミドフィルムは二酸化ケイ素
微粒子を20wt%含有している。
【0033】得られた二酸化ケイ素微粒子20wt%含
有ポリイミドフィルムの光透過率、屈折率、熱膨張率の
測定結果を表1に示す。
【0034】実施例2 二酸化ケイ素微粒子含有ポリイミドフィルムの二酸化ケ
イ素微粒子含有量を10wt%となるように二酸化ケイ
素微粒子含有ポリアミド酸溶液を作製し、実施例1と同
様にして二酸化ケイ素微粒子含有ポリイミドフィルムを
得た。
【0035】得られた二酸化ケイ素微粒子10wt%含
有ポリイミドフィルムの光透過率、屈折率、熱膨張率の
測定結果を表1に示す。
【0036】実施例3 二酸化ケイ素微粒子含有ポリイミドフィルムの二酸化ケ
イ素微粒子含有量を5wt%となるように二酸化ケイ素
微粒子含有ポリアミド酸溶液を作製し、実施例1と同様
にして二酸化ケイ素微粒子含有ポリイミドフィルムを得
た。
【0037】得られた二酸化ケイ素微粒子5wt%含有
ポリイミドフィルムの光透過率、屈折率、熱膨張率の測
定結果を表1に示す。
【0038】実施例4〜6 二酸化ケイ素微粒子の粒径を30〜40nmとし、この
配合量を20wt%(実施例4)、10wt%(実施例
5)および5wt%(実施例6)とした以外は、実施例
1と同様にして二酸化ケイ素微粒子含有ポリイミドフィ
ルムを得た。
【0039】得られた二酸化ケイ素含有ポリイミドフィ
ルムの光透過率、屈折率、熱膨張率の測定結果を表1に
示す。
【0040】比較例1 実施例1で作製した6FDA/TFDBポリアミド酸溶
液から二酸化ケイ素微粒子を含まないポリイミドフィル
ムを得た。
【0041】得られたポリイミドフィルムの光透過率、
屈折率、熱膨張率の測定結果を表1に示す。
【0042】比較例2 実施例1において粒径が70〜100nmの二酸化ケイ
素微粒子を用いて、実施例1と同様にして二酸化ケイ素
微粒子20wt%含有ポリイミドフィルムを得た。
【0043】得られたポリイミドフィルムの光透過率、
屈折率の測定結果を表1に示す。
【0044】比較例3 実施例1において粒径が500nmの二酸化ケイ素微粒
子を用いて、実施例1と同様にして二酸化ケイ素微粒子
20wt%含有ポリイミドフィルムを得た。このフィル
ムは光をほとんど透過せず、屈折率の測定はできなかっ
た。
【0045】
【表1】
【0046】なお粒径はBet法を用いて定めた値であ
る。配合量はポリイミドフィルム中の微粒子の重量%で
ある。屈折率はプリズムカップラー法で測定した波長1
320nmでの値である。なお屈折率TEとは入射する
偏波の電界ベクトルが基板表面に平行な方向の屈折率で
あり、屈折率TMとは偏波面がこれに垂直な方向の屈折
率である。複屈折は屈折率TEと屈折率TMの差であ
る。光透過率は分光光度計を用いて測定した波長500
nmでの値である。また熱膨張率は熱機械分析装置を使
用して測定し、50℃〜300℃の平均熱膨張率で表し
た。
【0047】表1から次のことが明らかである。
【0048】(1)二酸化ケイ素微粒子の粒径が15〜
20nmのものを配合したポリイミドフィルムは光透過
性が二酸化ケイ素微粒子を未配合のものと同じ光透過率
を示すのに対し、粒径が70nm以上のものを配合した
ポリイミドフィルムの光透過性は顕著に悪い。
【0049】(2)粒径が15〜20nmの二酸化ケイ
素微粒子の配合量を変化させることによりポリイミドフ
ィルムの光透過性を損なわずに屈折率を制御できる。
【0050】(3)粒径が15〜20nmの二酸化ケイ
素微粒子の配合量を変化させることによりポリイミドフ
ィルムの光透過性を損なわずに複屈折を低減できる。
【0051】(4)粒径が15〜20nmの二酸化ケイ
素微粒子の配合量を変化させることによりポリイミドフ
ィルムの光透過性を損なわずに熱膨張率を制御できる。
【0052】
【発明の効果】以上述べてきたように本発明の二酸化ケ
イ素微粒子含有ポリアミド酸溶液を用いて作製したポリ
イミドフィルムは、二酸化ケイ素微粒子の含有量を調整
することにより光透過性を損なわずに屈折率や熱膨張率
を制御することが可能である。また複屈折の低減効果も
顕著である。
【0053】本発明のポリイミドフィルムを光導波路な
どの光部品として用いる場合には、これらの特徴を利用
することにより、これらの光部品の屈折率や熱膨張率を
制御できることは勿論、これらを簡易に作製できる等の
利点がある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI G02B 1/04 G02B 1/04 5/30 5/30 (72)発明者 丸野 透 東京都新宿区西新宿三丁目19番2号 日 本電信電話株式会社内 (72)発明者 山田 典義 東京都武蔵野市御殿山一丁目1番3号 エヌ・ティ・ティ・アドバンステクノロ ジ株式会社内 (56)参考文献 特開 平7−331069(JP,A) 特開 昭63−172741(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 79/00 - 79/08

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 二酸化ケイ素微粒子とポリアミド酸を主
    成分とする二酸化ケイ素微粒子含有ポリアミド酸溶液に
    おいて、該ポリアミド酸は、2,2−ビス(3,4−ジ
    カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンおよび
    2,2′−ビス(トリフルオロメチル)−4,4′−ジ
    アミノビフェニルから製造されたものであり、かつ、二
    酸化ケイ素微粒子の粒径が0.5〜50nmであること
    を特徴とする、二酸化ケイ素微粒子含有ポリアミド酸溶
    液。
  2. 【請求項2】 二酸化ケイ素微粒子とポリイミドを主成
    分とする二酸化ケイ素微粒子含有ポリイミドフィルムに
    おいて、該ポリイミドは、2,2−ビス(3,4−ジカ
    ルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンおよび2,
    2′−ビス(トリフルオロメチル)−4,4′−ジアミ
    ノビフェニルから製造されたものであり、かつ、二酸化
    ケイ素微粒子の粒径が0.5〜50nmであることを特
    徴とする二酸化ケイ素微粒子含有ポリイミドフィルム。
  3. 【請求項3】 2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフ
    ェニル)ヘキサフルオロプロパンおよび2,2′−ビス
    (トリフルオロメチル)−4,4′−ジアミノビフェニ
    ルから製造されたポリイミドフィルム中に粒径が0.5
    〜50nmである二酸化ケイ素微粒子を配合し、その配
    合量を調整して屈折率を制御することを特徴とするポリ
    イミドフィルムの屈折率制御方法。
  4. 【請求項4】 2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフ
    ェニル)ヘキサフルオロプロパンおよび2,2′−ビス
    (トリフルオロメチル)−4,4′−ジアミノビフェニ
    ルから製造されたポリイミドフィルム中に粒径が0.5
    〜50nmである二酸化ケイ素微粒子を配合し、その配
    合量を調整して熱膨張率を制御することを特徴とするポ
    リイミドフィルムの熱膨張率制御方法。
  5. 【請求項5】 2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフ
    ェニル)ヘキサフルオロプロパンおよび2,2′−ビス
    (トリフルオロメチル)−4,4′−ジアミノビフェニ
    ルから製造されたポリイミドフィルム中に粒径が0.5
    〜50nmである二酸化ケイ素微粒子を配合して複屈折
    を低減することを特徴とするポリイミドフィルムの複屈
    折低減方法。
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