JP4097425B2 - 多層プリント配線板およびその製造方法 - Google Patents

多層プリント配線板およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光導波路用樹脂組成物、光導波路および多層プリント配線板に関する。
【0002】
近年、通信分野を中心として光ファイバに注目が集まっている。特にIT(情報技術)分野においては、高速インターネット網の整備に、光ファイバを用いた通信技術が必要となる。
光ファイバは、▲1▼低損失、▲2▼高帯域、▲3▼細径・軽量、▲4▼無誘導、▲5▼省資源等の特徴を有しており、この特徴を有する光ファイバを用いた通信システムでは、従来のメタリックケーブルを用いた通信システムに比べ、中継器数を大幅に削減することができ、建設、保守が容易になり、通信システムの経済化、高信頼性化を図ることができる。
【0003】
また、光ファイバは、一つの波長の光だけでなく、多くの異なる波長の光を1本の光ファイバで同時に多重伝送することができるため、多様な用途に対応可能な大容量の伝送路を実現することができ、映像サービス等にも対応することができる。
【0004】
そこで、このようなインターネット等のネットワーク通信においては、光ファイバを用いた光通信を、基幹網の通信のみならず、基幹網と端末機器(パソコン、モバイル、ゲーム等)との通信や、端末機器同士の通信にも用いることが提案されている。
このように基幹網と端末機器との通信等に光通信を用いる場合、端末機器において情報(信号)処理を行うICが、電気信号で動作するため、端末機器には、光→電気変換器や電気→光変換器等の光信号と電気信号とを変換する装置(以下、光/電気変換器ともいう)を取り付ける必要がある。
そこで、従来の端末機器では、例えば、光ファイバ等を介して外部から送られてきた光信号を光/電気変換器へ伝送したり、光/電気変換器から送られる光信号を光ファイバ等へ伝送したりする光導波路と半田バンプを介して電気信号を伝送する多層プリント配線板とを別々に実装し、信号伝送および信号処理を行っていた。
【0005】
このような従来の端末機器では、光導波路と多層プリント配線板とを別々に実装しているため、装置全体が大きくなり、端末機器の小型化をはかることが難しかった。
そこで、本発明者らは、先に、端末機器の小型化に寄与することができる多層プリント配線板として、光導波路がその内部や表面に形成された多層プリント配線板を提案した。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
また、このような光導波路を内蔵した多層プリント配線板においては、光導波路として、従来公知の光導波路を使用していた。このような構成の多層プリント配線板は、光導波路が内部に形成されているため端末機器の小型化をはかるという点では優れているものの、光信号伝送時の伝送損失が大きくなってしまうことがあった。
【0007】
従来の光導波路は、例えば、有機系光導波路の場合、セラミック、ガラス、ガラスエポキシなどの補強材が含浸された樹脂等の硬質材料からなる基材等の上に、液状ポリマーをスピンコーター等を用いて塗布成膜し、その後、硬化処理を施すことにより形成していた。
このような方法で光導波路を形成する場合、光導波路の形成に用いる液状ポリマーと上記基材等との熱膨張係数が異なるため、硬化処理等の熱処理を施した場合に、熱膨張係数の大きい光導波路(液状ポリマーからなる膜)にクラックが発生したり、光導波路と基材との間で剥離が発生したりすることがあり、このクラックや剥離の発生が伝送損失の原因になることがあった。
【0008】
また、光導波路は、上述したように、熱処理を施した際に膨張することとなるが、この際、光導波路の基板等と接触した面方向の膨張率(以下、X軸/Y軸方向の熱膨張率とする)と、基板等と直交する方向の膨張率(以下、Z軸方向の膨張率とする)とが異なるため、熱膨張により、光信号伝送時のTMモードとTEモードとのバランスが崩れることとなり、これに起因した伝送損失が光導波路に発生することがあった。
【0009】
さらに、このような熱膨張によるTMモードとTEモードとのバランスの崩れは、多層プリント配線板の製造において、基板や層間樹脂絶縁層上に光導波路を形成した後、他の部材(ソルダーレジスト層や半田バンプ等)を形成する際の熱処理によっても発生することがあった。
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者等は、上記問題を解消するには、光導波路用樹脂組成物に粒子を含有させることにより、光導波路と基板等との熱膨張係数を整合させればよいことに想到し、以下に示す本発明を完成した。
【0010】
即ち、本発明に係る多層プリント配線板は、基板上に導体回路と層間樹脂絶縁層とが積層形成された多層プリント配線板であって、
上記基板の表面には、球状または楕円球状で、粒径が伝搬光の波長よりも短い樹脂粒子、粒径が伝搬光の波長よりも短い金属粒子、1〜50μmの樹脂粒子、または、1〜50μmの金属粒子を含有する樹脂組成物からなる光導波路が形成されていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る多層プリント配線板は、基板上に導体回路と層間樹脂絶縁層とが積層形成された多層プリント配線板であって、
上記層間樹脂絶縁層同士の間に、球状または楕円球状で、粒径が伝搬光の波長よりも短い樹脂粒子、粒径が伝搬光の波長よりも短い金属粒子、1〜50μmの樹脂粒子、または、1〜50μmの金属粒子を含有する樹脂組成物からなる光導波路が形成されていることを特徴とする多層プリント配線板。
【0012】
さらに、本発明に係る多層プリント配線板は、基板上に導体回路と層間樹脂絶縁層とが積層形成された多層プリント配線板であって、
上記層間樹脂絶縁層同士の間に、球状または楕円球状で、粒径が伝搬光の波長よりも短い樹脂粒子、粒径が伝搬光の波長よりも短い金属粒子、1〜50μmの樹脂粒子、または、1〜50μmの金属粒子を含有する樹脂組成物からなる光導波路が形成されていることを特徴とする。
【0018】
上記多層プリント配線板は、その表面または内部に光導波路が形成された多層プリント配線板であって、光導波路が球状、楕円球状、破砕状、および、多面体状のうちの一の形状を有する粒子を含有していることが望ましい。
【0019】
上記多層プリント配線板において、上記光導波路は、樹脂成分として、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、UV硬化性樹脂、ベンゾシクロブテンからなる樹脂、ポリウレタン樹脂、トリシクロデカン、シクロヘキサジエン系樹脂、ノルボルネン系樹脂、および、ポリオレフィンのうちの少なくとも一種を含んでいることが望ましい。
【0020】
また、上記多層プリント配線板において、上記光導波路が含有している粒子は、樹脂粒子、無機粒子および金属粒子のうちの少なくとも一種、または、二種以上の混合物であることが望ましい。
【0021】
上記樹脂粒子は、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、感光性樹脂、熱硬化性樹脂の一部をアクリル化した樹脂、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との樹脂複合体、および、感光性樹脂と熱可塑性樹脂との樹脂複合体のうちの少なくとも一種、または、二種以上の混合物からなるものであることが望ましい。
【0022】
上記無機粒子は、アルミニウム化合物、カルシウム化合物、カリウム化合物、マグネシウム化合物、ケイ素化合物、および、チタン化合物のうちの少なくとも一種、または、二種以上の混合物からなるものが望ましい。
上記金属粒子は、Au、Ag、Cu、Pd、NiおよびPtのうちの少なくとも一種、または、二種以上の混合物からなるものが望ましい。
【0023】
また、上記多層プリント配線板において、上記粒子の配合量は、10〜80重量%であることが望ましい。
また、上記粒子の形状は、球状、楕円球状、破砕状、および、多面体状のうちの一の形状であることが望ましい。
【0024】
また、本発明の多層プリント配線板において、上記粒子の粒径は、伝搬光の波長よりも短いことが望ましい。
また、上記多層プリント配線板においては、上記光導波路の光信号の進行方向に垂直な方向の断面形状が長方形であり、上記粒子の粒径が、上記長方形の長い方の辺の長さの1/2以下であることも望ましい。
【発明の実施の形態】
まず、本発明の光導波路用樹脂組成物について説明する。
本発明の光導波路用樹脂組成物は、粒子を含有することを特徴とする。
【0025】
本発明の光導波路用樹脂組成物は、粒子を含有しているため、該光導波路用樹脂組成物を用いて光導波路を硬質材料からなる基材等の上に形成する場合に、光導波路と上記基材等との間で熱膨張係数の整合をはかることができ、熱膨張係数の差に起因するクラックや剥離はほとんど発生せず、また、基材等の上に形成した上記光導波路用樹脂組成物からなる光導波路は、熱履歴を受けた際に、X軸/Y軸方向の膨張率とZ軸方向の膨張率とが略均一であるため、光導波路のTMモードとTEモードとのバランスが崩れることもほとんどない。従って、これらに起因した光信号の伝送損失を抑制することができ、本発明の光導波路用樹脂組成物からなる光導波路は、良好に光信号を伝送することができる。
【0026】
また、上記光導波路用樹脂組成物が含有する粒子の粒径は、伝搬光の波長よりも短いことが望ましく、この場合、粒子の存在により光信号の伝送が阻害おそれがより少なくなる。
なお、本明細書において、「粒子の粒径が伝搬光の波長よりも短い」とは、粒径の絶対値を規定するものではなく、光信号伝送時に使用する光信号の波長と粒子の粒径との大小関係を規定するものであり、例えば、波長1.55μmの光信号で通信を行う光導波路では、含有される粒子の粒径は1.55μm未満であり、波長0.85μmの光信号で通信を行う光導波路では、含有される粒子の粒径は0.85μm未満であることを意味する。
【0027】
本発明の光導波路用樹脂組成物は、粒子を含有しており、その具体例としては、例えば、樹脂粒子、無機粒子、金属粒子等が挙げられる。
上記樹脂粒子としては、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、感光性樹脂、熱硬化性樹脂の一部が感光性化された樹脂、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との樹脂複合体、感光性樹脂と熱可塑性樹脂との複合体等からなるものが挙げられる。
【0028】
具体的には、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリフェニレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂等の熱硬化性樹脂;これらの熱硬化性樹脂の熱硬化基(例えば、エポキシ樹脂におけるエポキシ基)にメタクリル酸やアクリル酸等を反応させ、アクリル基を付与した樹脂;フェノキシ樹脂、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリスルフォン(PSF)、ポリフェニレンスルホン(PPS)、ポリフェニレンサルファイド(PPES)、ポリフェニルエーテル(PPE)、ポリエーテルイミド(PI)等の熱可塑性樹脂;アクリル樹脂等の感光性樹脂等からなるものが挙げられる。
また、上記熱硬化性樹脂と上記熱可塑性樹脂との樹脂複合体や、上記アクリル基を付与した樹脂や上記感光性樹脂と上記熱可塑性樹脂との樹脂複合体からなるものを用いることもできる。
また、上記樹脂粒子としては、ゴムからなる樹脂粒子を用いることもできる。
【0029】
また、上記無機粒子としては、例えば、アルミナ、水酸化アルミニウム等のアルミニウム化合物、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム等のカルシウム化合物、炭酸カリウム等のカリウム化合物、マグネシア、ドロマイト、塩基性炭酸マグネシウム等のマグネシウム化合物、二酸化ケイ素(シリカ)、ゼオライト等のケイ素化合物、二酸化チタン(チタニア)等のチタン化合物等からなるものが挙げられる。
また、上記無機粒子として、リンやリン化合物からなるものを用いることもできる。
【0030】
上記金属粒子としては、例えば、金、銀、銅、パラジウム、ニッケル、白金、鉄、亜鉛、鉛、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム等からなるものが挙げられる。
これらの樹脂粒子、無機粒子および金属粒子は、単独で用いても良いし、2種以上の混合物で用いてもよい。
上記粒子として、2種以上の混合物を用いる場合、具体的には、2種以上の粒子を溶かして混合した後、使用してもよいし、1種類の粒子の周囲の他の粒子をコーティングして使用してもよいし、1種類の粒子の結晶構造または分子構造の内部に他の粒子が入った構造の粒子を用いてもよいし、2種類の粒子の互いの結晶構造および/または分子構造が絡みあった構造の粒子を用いてもよい。
【0031】
また、上記粒子の形状は特に限定されないが、球状、楕円球状、破砕状、および、多面体状のうちの一の形状であることが望ましく、これらのなかでは、球状、または、楕円球状がより望ましい。球状や楕円球状の粒子には角がないため、光導波路用樹脂組成物を用いて光導波路を形成した場合に、該光導波路にクラックがより発生しにくくなるからである。
【0032】
本発明の光導波路用樹脂組成物に含有される粒子の粒径は、この粒子の存在に起因して光信号の伝送が阻害されにくいとうい点から伝播光の波長よりも短いことが望ましいが、上記光導波路用樹脂組成物に含有される粒子の粒径は、これに限定されるわけではなく、通常、1〜50μm程度が望ましく、1〜20μm程度がより望ましい。粒径が1μm未満の粒子を用いると、コストが高くつくため経済的に不利であり、粒径が50μmを超える粒子を用いると光導波路用樹脂組成物の粘度調整が困難になることがある。
【0033】
なお、本明細書において、粒子の粒径とは、粒子の一番長い部分の平均長さをいう。
また、上記光導波路用樹脂組成物は、2種類以上の異なる粒径の粒子を含有していてもよい。
【0034】
上記光導波路用樹脂組成物が含有している粒子の配合量は、光導波路中に10〜80重量%であることが望ましく、20〜70重量%であることがより望ましい。粒子の配合量が10重量%未満であると、粒子を配合させる効果が得られないことがあり、粒子の配合量が80重量%を超えると、上記光導波路用樹脂組成物からなる光導波路において、光信号の伝送が阻害されることがあるからである。なお、「粒子の配合量は、光導波路中に10〜80重量%」とあるのは、本発明の光導波路樹脂組成物を用いて作製した光導波路中に含まれる粒子の配合量が10〜80重量%であるという意味である。
【0035】
上記光導波路用樹脂組成物は、上記粒子以外に樹脂成分を含んでおり、該樹脂成分としては、例えば、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、UV硬化性樹脂、シリコーン樹脂、メタクリレート樹脂、ベンゾシクロブテンからなる樹脂、フッ素樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、トリシクロデカン、シクロヘキサジエン系樹脂、ノルボルネン系樹脂、ポリオレフィン、ポリスチレン等が挙げられる。
これらは、単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0036】
また、上記光導波路用樹脂組成物は、上記粒子や樹脂成分以外に、必要に応じて、硬化剤、反応安定剤、溶剤等を含んでいてもよい。
このような本発明の光導波路用樹脂組成物は、後述する本発明の光導波路や多層プリント配線板を作製する際に好適に用いることができる。
【0037】
次に、本発明の光導波路について説明する。
本発明の光導波路は、粒子を含有していることを特徴とする。
【0038】
本発明の光導波路は、粒子を含有しているため、硬質材料からなる基材等の上に形成されている場合には、光導波路と上記基材等との間で熱膨張係数の整合をはかることができ、熱膨張係数の差に起因するクラックや剥離はほとんど発生せず、また、基材等の上に形成された光導波路は、熱履歴を受けた際に、X軸/Y軸方向の膨張率とZ軸方向の膨張率とが略均一であるため、光導波路のTMモードとTEモードとのバランスが崩れることもほとんどない。従って、これらに起因した光信号の伝送損失を抑制することができ、本発明の光導波路では、良好に光信号を伝送することができる。
【0039】
上記光導波路は、樹脂成分として、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、UV硬化性樹脂、シリコーン樹脂、メタクリレート樹脂、ベンゾシクロブテンからなる樹脂、フッ素樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、トリシクロデカン、シクロヘキサジエン系樹脂、ノルボルネン系樹脂、ポリオレフィン、および、ポリスチレンのうちの少なくとも一種の硬化物を含んでいることが望ましい。
【0040】
上記光導波路は粒子を含有しており、上記粒子は、樹脂粒子、無機粒子および金属粒子のうちの少なくとも一種、または、二種以上の混合物であることが望ましい。
また、上記樹脂粒子、上記無機粒子、および、上記金属粒子の具体例としては、例えば、本発明の光導波路用樹脂組成物に含まれるものと同様のもの等が挙げられる。
【0041】
また、上記光導波路に含有される粒子の配合量は、10〜80重量%であることが望ましく、上記粒子の形状は、球状、楕円球状、破砕状、および、多面体状のうちの一の形状であることが望ましい。
【0042】
また、上記光導波路に含まれる粒子の粒径は、伝搬光の波長よりも短いことが望ましい。粒径が伝播光の波長よりも短い場合には、粒子の存在に起因して光信号の伝送が阻害されるおそれがより少なくなるからである。
【0043】
また、上記光導波路に含まれる粒子の粒径は、該光導波路の光信号の進行方向に垂直な方向の断面形状が長方形である場合には、上記長方形の長い方の辺の長さの1/2以下であることが望ましい。
このような粒子径の粒子が含有されている光導波路においても、粒子の存在に起因して光信号の伝送が阻害されるおそれがより少なくなるからである。
【0044】
また、本発明の光導波路は、上述した効果を享受することができるという点から、硬質材料からなる基材等の上に張り付けられていることが望ましい。また、剥離可能なシート上に光導波路フィルムとして形成されていてもよい。
上記光導波路が、上記基材等の上に張り付けられている場合、具体的には、光導波路は、シリコンからなる基板上やセラミックからなる基板上に張り付けられていてもよいし、プリント配線板の張り付けられていてもよいし、また、表面に凹部を有する樹脂板、金属板、セラミック板、プリント配線板等の所望の位置(例えば、該凹部)に張り付けられていてもよい。さらには、樹脂板、金属板、セラミック板等の上に機械的に固定されていてもよい。
このように、本発明の光導波路は、樹脂、金属、セラミックからなる基材やフィルムの表面、または、その一部に凹部が形成された基材やフィルムの該凹部等に張り付けられていることが望ましい。
【0045】
上記光導波路を張り付ける樹脂板としては、例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、シリコーン樹脂、ポリカーボネート樹脂等の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、または、紫外線硬化型樹脂からあるもの等が挙げられる。
また、上記金属板としては、例えば、アルミニウム、黄銅、SUS等からなるもの等が挙げられる。
また、上記光導波路を機械的に固定するには、例えば、バネや、固定プレートのネジ止め等を用いることができる。
【0046】
光導波路が上記基材等の上に張り付けられている場合、予め、光導波路として成形されたものが張り付けられていてもよいが、上記基材等の上に、アンダークラッド部、コア部、および、オーバークラッド部をこの順で積層形成することにより、基材等の上に光導波路が張り付けられた構造としてもよい。
【0047】
また、本発明の光導波路は、上述した本発明の光導波路用樹脂組成物を用いて形成することかできる。
【0048】
次に、本発明の光導波路を作製する方法について簡単に説明する。
上記光導波路の形成は、例えば、選択重合法、反応性イオンエッチングとフォトリソグラフィーとを用いる方法、直接露光法、射出成形を用いる方法、フォトブリーチング法、これらを組み合わせた方法等を用いることができる。
【0049】
具体的には、例えば、まず、基材等の上に、アンダークラッド部となる光導波路用樹脂組成物をスピンコーター等を用いて塗布成膜し、これを加熱硬化し、その後、アンダークラッド部上にコア層となる光導波路用樹脂組成物を塗布成膜し、これを加熱硬化する。次に、コア層の表面にレジストを塗布し、フォトリソグラフィーによりレジストパターンを形成してRIE(反応性イオンエッチング)や、露光現像処理等によりコア部の形状にパターニングする。さらに、アンダークラッド部上(コア部上を含む)にオーバークラッド部となる光導波路用樹脂組成物を塗布成膜し、これを加熱硬化すること等により光導波路を形成することができる。
なお、樹脂組成物の塗布成膜は、カーテンコーターやロールコーターを用いる方法、印刷等により行ってもよい。
なお、ここでは、作製する光導波路のコア部、および、クラッド部(アンダークラッド部、オーバークラッド部)がそれぞれ所望の屈折率を有するものとなるように、予め、光導波路用樹脂組成物の組成を調整しておく。
【0050】
ここで、光導波路用樹脂組成物の塗布は、それぞれ一回で行ってもよいし、複数回に分けて行ってもよい。なお、どちらを選択するかは、クラッド部およびコア部の厚さ等を考慮して適宜選択すればよい。
また、未硬化の樹脂組成物を塗布成膜する方法に代えて、予め形成しておいた光導波路用樹脂組成物からなるフィルムを貼り付ける方法を用いてもよい。
【0051】
上記基材としては、例えば、セラミック、AlN、ムライト、ジルコニア、SiC、アルミナ、シリコン、ガラス等の無機材料、銅、鉄、ニッケル等の金属材料、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、感光性樹脂、熱硬化性樹脂の一部をアクリル化した樹脂、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との樹脂複合体、感光性樹脂と熱可塑性樹脂との樹脂複合体、プリント配線板等に用いられる補強材が含浸された樹脂等の樹脂材料等や、これらを組み合わせた材料からなるもの等が挙げられる
また、上記基材の表面には、スマット処理やコーティング剤による処理が施されていてもよい。
【0052】
また、表面に凹部を有する樹脂板等の基材上の所望の位置(例えば、該凹部)に、光導波路が機械的に固定されたもの(光導波路基板)を作製は、例えば、予め、光導波路をフィルム状に形成しておき、ザクリ加工等により凹部を形成しておいた樹脂板等の基材上にフィルム状の光導波路を転写し、その後、この光導波路をアルミニウム製の固定プレート等でネジ止めすることにより行うことができる。
このようにして作製した光導波路基板は、例えば、ボードとボードとの接続を行うバッグプレーンとして用いることができる。
【0053】
次に、本発明の多層プリント配線板について説明する。
本発明の多層プリント配線板は、その表面または内部に光導波路が形成された多層プリント配線板であって、
上記光導波路は、粒子を含有していることを特徴とする。
【0054】
本発明の多層プリント配線板は、光導波路とが形成されているため、光信号と電気信号との両方を伝送することができ、また、多層プリント配線板に光導波路が形成されていることにより光通信用端末機器の小型化に寄与することができる。
【0055】
また、本発明の多層プリント配線板の光導波路は、粒子を含有しているため、該光導波路と基板や層間樹脂絶縁層との間で熱膨張係数の整合をはかることができ、熱膨張係数の差に起因するクラックや剥離はほとんど発生せず、また、上記光導波路は、熱履歴を受けても、X軸/Y軸方向の膨張率とZ軸方向の膨張率とが略均一であるため、光導波路のTMモードとTEモードとのバランスが崩れることもほとんどない。従って、これらに起因した光信号の伝送損失を抑制することができ、本発明の多層プリント配線板では、良好に光信号を伝送することができる。
【0056】
上記多層プリント配線板に形成された光導波路に含有されている粒子の粒径は、伝搬光の波長よりも短いことが望ましい。粒径が伝播光の波長よりも短い場合には、粒子の存在に起因して光信号の伝送が阻害されるおそれがより少なくなるからである。
【0057】
また、上記多層プリント配線板に形成された光導波路に含まれる粒子の粒径は、該光導波路の光信号の進行方向に垂直な方向の断面形状が長方形である場合には、上記長方形の長い方の辺の長さの1/2以下であることが望ましい。
このような粒子径の粒子が含有されている光導波路においても、粒子の存在に起因して光信号の伝送が阻害されるおそれがより少なくなるからである。
【0058】
上記多層プリント配線板は、その表面または内部に光導波路が形成されている。従って、上記光導波路を介して光信号の伝送を行うことができる。
また、上記光導波路には、粒子が含有されており、このような光導波路は、例えば、本発明の光導波路用樹脂組成物を用いて形成することができる。
【0059】
また、上記光導波路の形状は特に限定されないが、その形成が容易であることから、シート状が望ましく、さらには、シート状であって、その光信号の進行方向に垂直な方向の断面形状が長方形のものが望ましい。
また、上記光導波路の大きさは特に限定されず、多層プリント配線板の設計等に応じて適宜選択すればよいが、例えば、該光導波路がアンダークラッド部とコア部とオーバークラッド部とがこの順で積層形成された光導波路(以下、ビルドアップにより形成された光導波路ともいう)である場合には、上記光導波路の厚さおよび幅は、1〜150μmが望ましく、1〜100μmがより望ましい。上記厚さおよび幅が1μm未満では、その形成が容易でないことがあり、一方、上記厚さおよび幅が100μmを超えると、多層プリント配線板を構成する導体回路等の設計の自由度を阻害する原因となることがあるからである。
【0060】
また、上記光導波路がシングルモード用の光導波路である場合には、厚さおよび幅が5〜25μmであることが望ましく、上記光導波路がマルチモード用の光導波路である場合には、厚さおよび幅が10〜75μmであることが望ましい。
なお、上記光導波路の厚さおよび幅とは、光導波路の形状が、シート状であって、その光信号の進行方向に垂直な方向の断面形状が長方形のものの場合には、該長方形における互いに平行でない2辺のうち、一の辺が厚さであり、他の辺が幅である。
【0061】
また、上記光導波路が金型成形や、射出成形により作製されたものである場合には、通常、その大きさは、上記ビルドアップにより形成された光導波路よりも大きく、例えば、その厚さおよび幅が50μm〜1mm程度である。
【0062】
上記多層プリント配線板においては、光導波路として、受光用光導波路と発光用光導波路とが形成されていることが望ましい。
なお、上記受光用光導波路とは、光ファイバ等を介して外部から送られてきた光信号を受光素子へ伝送するための光導波路をいい、上記発光用光導波路とは、発光素子から送られてきた光信号を光ファイバ等へ伝送するための光導波路をいう。
上記受光用光導波路と上記発光用光導波路とは同一の材料からなるものであることが望ましい。熱膨張係数等の整合がはかりやすく、形成が容易であるからである。
【0063】
上記光導波路には、光路変換ミラーが形成されていることが望ましい。光路変換ミラーを形成することにより、光路を所望の角度に変更することが可能だからである。
上記光路変換ミラーの形成は、後述するように、例えば、光導波路の一端を切削することにより行うことができる。
【0064】
また、上記多層プリント配線板においては、その表面または内部に光導波路が形成されているため、必要に応じて、該光導波路と外部の光学素子(受光素子や発光素子、光ファイバ等)との間で光信号を伝送するための光路用開口が形成されていることが望ましい。
具体的には、例えば、本発明の多層プリント配線板が、その表面の一部に光導波路が形成された基板の両面に導体回路と層間樹脂絶縁層とが積層形成された多層プリント配線板である場合には、基板の片面に積層形成された層間樹脂絶縁層を貫通する光路用開口が形成されていることが望ましい。また、後述するように、多層プリント配線板の最外層にソルダーレジスト層が形成されている場合には、ソルダーレジスト層と層間樹脂絶縁層とを貫通する連通した光路用開口が形成されていることが望ましい。
【0065】
また、上記光路用開口内は、光信号の伝送を阻害しない樹脂、例えば、上記光導波路に用いる樹脂と同様の樹脂等で充填されていてもよい。光路用開口内を樹脂で充填することにより、基板上に形成した光導波路を保護することができるとともに、該光路用開口にゴミや異物等が入り込み、これにより光信号の伝送が阻害されることを防止することができるからである。また、上記光路用開口内を樹脂で充填する場合、この樹脂には粒子が含有されていてもよい。ここで含有される粒子の具体例としては、例えば、本発明の光導波路用樹脂組成物に含まれるものと同様のもの等が挙げられる。
【0066】
また、上記多層プリント配線板が、基板上に導体回路と層間樹脂絶縁層とが積層形成されたものである場合には、該層間樹脂絶縁層を挟んだ導体回路間は、バイアホールにより接続されていることが望ましい。
導体回路同士をバイアホールで接続することにより、導体回路を高密度で配線することができるとともに、導体回路の設計の自由度が向上する。
また、上記導体回路は、後述する多層プリント配線板の製造方法の説明にあるように、アディティブ法により形成されていることが望ましい。
アディティブ法は、その間隔が50μm以下の微細配線の導体回路を形成するのに適しているからである。
なお、上記アディティブ法は、フルアディティブ法であってもよいし、セミアディティブ法であってもよい。
上記導体回路は、サブトラクティブ法により形成されていてもよい。
【0067】
また、上記多層プリント配線板では、最外層にソルダーレジスト層が形成され、さらに、必要に応じて、該ソルダーレジスト層に、半田バンプ形成用開口が形成されていいてもよい。
ソルダーレジスト層に半田バンプ形成用開口を形成した場合には、半田バンプを形成したり、PGA(Pin Grid Array)やBGA(Ball Grid Array)を配設したりすることができ、これにより多層プリント配線板と外部基板等とを電気的に接続することができるからである。
【0068】
また、本発明の多層プリント配線板において、上記光導波路が形成されている側に、発光素子や受光素子等の光学素子が実装された外部基板を半田バンプを介して接続した場合には、半田が有するセルフアライメント作用により上記多層プリント配線板と上記外部基板とを確実に所定の位置に配置することができる。
そのため、本発明の多層プリント配線板における光導波路の取り付け位置と、上記外部基板における光学素子の取り付け位置とが正確であれば、両者の間で正確な光信号の伝送を行うことができる。
【0069】
なお、セルフアライメント作用とは、ソルダーレジスト層が半田をはじくため、リフロー処理時に半田が自己の有する流動性により半田バンプ形成用開口の中央付近により安定な形状で存在しようとする作用をいう。
このセルフアライメント作用を利用した場合、上記半田バンプを介して、上記多層プリント配線板上と、上記外部基板とを接続する際に、リフロー前には両者に位置ズレが発生していたとしても、リフロー時に上記外部基板が移動し、該外部基板を上記多層プリント配線板上の正確な位置に取り付けることができる。
【0070】
以下、上記した構成からなる多層プリント配線板の実施形態の一例について、図面を参照しながら説明する。ここでは、その表面の一部に光導波路が形成された基板の両面に導体回路と層間樹脂絶縁層とが積層形成された多層プリント配線板について説明する。
図1は、本発明の多層プリント配線板の一実施形態を模式的に示す断面図である。
【0071】
図1に示すように、多層プリント配線板100では、基板121の両面に導体回路124と層間樹脂絶縁層122とが積層形成され、基板121を挟んだ導体回路間、および、層間樹脂絶縁層122を挟んだ導体回路間は、それぞれ、スルーホール129およびバイアホール127により電気的に接続されており、最外層には、ソルダーレジスト層134が形成されている。
【0072】
また、基板121表面には、最下層の導体回路124とともに光導波路150(150a、150b)が形成されており、光導波路150の先端の光路変換ミラー151(151a、151b)が形成された部分には、光路用開口138(138a、138b)が、基板121に垂直方向に形成されている。また、この光路用開口138には、光信号の伝送を阻害しない樹脂152が充填されている。なお、光導波路150a、150bは、一方が、受光用光導波路であり、他方が、発光用光導波路である。
【0073】
このような構成からなる多層プリント配線板100では、光ファイバ(図示せず)等を介して外部から送られてきた光信号が、光導波路150aに導入され、光路変換ミラー151aおよび光路用開口138aを介して受光素子(図示せず)等に送られることとなる。
また、発光素子(図示せず)等から送り出された光信号は、光路用開口138bから光変換ミラー151b介して光導波路150bに導入され、さらに、光ファイバ(図示せず)等を介して光信号として外部に送りだされることとなる。
【0074】
また、半田バンプ137を介して、ICチップ実装基板等の外部基板(図示せず)を接続した場合には、多層プリント配線板100と外部基板とを電気的に接続することができ、さらに、この外部基板に光学素子が実装されている場合には、多層プリント配線板100と外部基板との間で光信号と電気信号とを伝送することができる。
【0075】
なお、上述した多層プリント配線板では、基板の表面に、粒子を含有する光導波路が形成されているが、該光導波路が基板表面以外の部分、即ち、層間樹脂絶縁層同士の間や、最外層の層間樹脂絶縁層上に形成された多層プリント配線板においても、上述した効果を得ることができる。また、場合によっては、基板や層間樹脂絶縁層の一部に凹部が形成されており、この凹部内に光導波路が形成されていてもよい。
さらには、最外層にソルダーレジスト層が形成され、その表面の一部等に光導波路が形成されていてもよい。
【0076】
次に、本発明の多層プリント配線板を製造する方法について説明する。
なお、ここでは、主に、その表面の一部に光導波路が形成された基板の両面に導体回路と層間樹脂絶縁層とが積層形成された多層プリント配線板を製造する方法について説明する。勿論、本発明の多層プリント配線板を製造する方法、下記の方法に限定されるものではない。
【0077】
(1)絶縁性基板を出発材料とし、まず、該絶縁性基板上に導体回路を形成する。
上記絶縁性基板としては、例えば、ガラスエポキシ基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、ビスマレイミド−トリアジン(BT)樹脂基板、熱硬化性ポリフェニレンエーテル基板、銅張積層板、RCC基板等が挙げられる。
また、窒化アルミニウム基板等のセラミック基板や、シリコン基板を用いてもよい。
上記導体回路は、例えば、上記絶縁性基板の表面に無電解めっき処理等によりベタの導体層を形成した後、エッチング処理を施すことにより形成することができる。また、銅張積層板やRCC基板にエッチング処理を施すことにより形成してもよい。
【0078】
また、エッチング処理を施すことにより導体回路を形成する方法に代えて、ベタの導体層上にめっきレジストを形成した後、めっきレジスト非形成部に電気めっき層を形成し、その後、めっきレジストと該めっきレジスト下の導体層とを除去することにより導体回路を形成する方法を用いて導体回路を形成してもよい。
【0079】
また、上記絶縁性基板を挟んだ導体回路間の接続をスルーホールにより行う場合には、例えば、上記絶縁性基板にドリルやレーザ等を用いて貫通孔を形成した後、無電解めっき処理等を施すことによりスルーホールを形成しておく。なお、上記貫通孔の直径は、通常、100〜300μmである。
また、スルーホールを形成した場合には、該スルーホール内に樹脂充填材を充填することが望ましい。
【0080】
(2)次に、必要に応じて、導体回路の表面に粗化形成処理を施す。
上記粗化形成処理としては、例えば、黒化(酸化)−還元処理、第二銅錯体と有機酸塩とを含むエッチング液等を用いたエッチング処理、Cu−Ni−P針状合金めっきによる処理等を挙げることができる。
ここで、粗化面を形成した場合、該粗化面の平均粗度は、通常、0.1〜5μmが望ましく、導体回路と層間樹脂絶縁層との密着性、導体回路の電気信号伝送能に対する影響等を考慮すると2〜4μmがより望ましい。
なお、この粗化形成処理は、スルーホール内に樹脂充填材を充填する前に行い、スルーホールの壁面にも粗化面を形成してもよい。スルーホールと樹脂充填材との密着性が向上するからである。
【0081】
(3)次に、基板上の導体回路非形成部に光導波路を形成する。
具体的には、例えば、本発明の光導波路用樹脂組成物を用いて作製したフィルム状の光導波路を基板上に貼り付けることにより形成する。
また、光導波路の形成は、上記基板上に直接行ってもよい。この場合、光導波路の形成は、例えば、上述した基材上に本発明の光導波路用樹脂組成物を用いて光導波路を形成する方法と同様の方法を用いて行うことができる。
なお、光導波路の形成工程は、基板上に導体回路を形成する前に行ってもよい。
【0082】
また、光導波路の形成は、基板上に本発明の光導波路用樹脂組成物を用いて、アンダークラッド部とコア部とオーバークラッド部とを順次形成することより、基板上に光導波路を直接形成してもよい。
【0083】
また、上記光導波路には、光路変換ミラーを形成する。
上記光路変換ミラーは、光導波路を基板上に取り付ける前に形成しておいてもよいし、基板上に取り付けた後に形成してもよいが、該光導波路を基板上に直接形成する場合を除いて、予め、光路変換ミラーを形成しておくことが望ましい。作業を容易に行うことができ、作業時に多層プリント配線板を構成する多層プリント配線板の部材、例えば、導体回路や基板等に傷をつけたりこれらを破損させたりするおそれがないからである。
【0084】
上記光路変換ミラーを形成する方法としては特に限定されず、従来公知の形成方法を用いることができる。具体的には、先端がV形90°のダイヤモンドソーや刃物による機械加工、反応性イオンエッチングによる加工、レーザアブレーション等を用いることができる。
【0085】
(4)次に、光導波路および導体回路を形成した基板上に、熱硬化性樹脂、感光性樹脂、熱硬化性樹脂の一部がアクリル化された樹脂や、これらと熱可塑性樹脂と含む樹脂複合体からなる未硬化の樹脂層を形成するか、または、熱可塑性樹脂からなる樹脂層を形成する。
上記未硬化の樹脂層は、未硬化の樹脂をロールコーター、カーテンコーター等により塗布したり、未硬化(半硬化)の樹脂フィルムを熱圧着したりすることにより形成することができる。
また、上記熱可塑性樹脂からなる樹脂層は、フィルム上に成形した樹脂成形体を熱圧着することにより形成することができる。
【0086】
これらのなかでは、未硬化(半硬化)の樹脂フィルムを熱圧着する方法が望ましく、樹脂フィルムの圧着は、例えば、真空ラミネータ等を用いて行うことができる。
また、圧着条件は特に限定されず、樹脂フィルムの組成等を考慮して適宜選択すればよいが、通常は、圧力0.25〜1.0MPa、温度40〜70℃、真空度13〜1300Pa、時間10〜120秒程度の条件で行うことが望ましい。
【0087】
上記熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレン樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。
上記エポキシ樹脂の具体例としては、例えば、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型等のノボラック型エポキシ樹脂や、ジシクロペンタジエン変成した脂環式エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0088】
上記感光性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂等が挙げられる。
また、上記熱硬化性樹脂の一部をアクリル化した樹脂としては、例えば、上記した熱硬化性樹脂の熱硬化基とメタクリル酸やアクリル酸とをアクリル化反応させたもの等が挙げられる。
【0089】
上記熱可塑性樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリスルフォン(PSF)、ポリフェニレンスルフォン(PPS)ポリフェニレンサルファイド(PPES)、ポリフェニレンエーテル(PPE)ポリエーテルイミド(PI)等が挙げられる。
【0090】
また、上記樹脂複合体としては、熱硬化性樹脂や感光性樹脂(熱硬化性樹脂の一部をアクリル化した樹脂も含む)と熱可塑性樹脂とを含むものであれば特に限定されず、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との具体的な組み合わせとしては、例えばフェノール樹脂/ポリエーテルスルフォン、ポリイミド樹脂/ポリスルフォン、エポキシ樹脂/ポリエーテルスルフォン、エポキシ樹脂/フェノキシ樹脂等が挙げられる。また、感光性樹脂と熱可塑性樹脂との具体的な組み合わせとしては、例えば、アクリル樹脂/フェノキシ樹脂、エポキシ基の一部をアクリル化したエポキシ樹脂/ポリエーテルスルフォン等が挙げられる。
【0091】
また、上記樹脂複合体における熱硬化性樹脂や感光性樹脂と熱可塑性樹脂との配合比率は、熱硬化性樹脂または感光性樹脂/熱可塑性樹脂=95/5〜50/50が望ましい。耐熱性を損なうことなく、高い靱性値を確保することができるからである。
【0092】
また、上記樹脂層は、2層以上の異なる樹脂層から構成されていてもよい。
具体的には、例えば、下層が熱硬化性樹脂または感光性樹脂/熱可塑性樹脂=50/50の樹脂複合体から形成され、上層が熱硬化性樹脂または感光性樹脂/熱可塑性樹脂=90/10の樹脂複合体から形成されている等である。
このような構成にすることにより、絶縁性基板等との優れた密着性を確保するとともに、後工程でバイアホール用開口等を形成する際の形成容易性を確保することができる。
【0093】
また、上記樹脂層は、粗化面形成用樹脂組成物を用いて形成してもよい。
上記粗化面形成用樹脂組成物とは、例えば、酸、アルカリおよび酸化剤から選ばれる少なくとも1種からなる粗化液に対して難溶性の未硬化の耐熱性樹脂マトリックス中に、酸、アルカリおよび酸化剤から選ばれる少なくとも1種からなる粗化液に対して可溶性の物質が分散されたものである。
なお、上記「難溶性」および「可溶性」という語は、同一の粗化液に同一時間浸漬した場合に、相対的に溶解速度の早いものを便宜上「可溶性」といい、相対的に溶解速度の遅いものを便宜上「難溶性」と呼ぶ。
【0094】
上記耐熱性樹脂マトリックスとしては、層間樹脂絶縁層に上記粗化液を用いて粗化面を形成する際に、粗化面の形状を保持することができるものが好ましく、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、これらの複合体等が挙げられる。また、感光性樹脂を用いることにより、層間樹脂絶縁層に露光、現像処理を用いてバイアホール用開口を形成してもよい。
【0095】
上記熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。また、上記熱硬化性樹脂を感光化する場合は、メタクリル酸やアクリル酸等を用い、熱硬化基を(メタ)アクリル化反応させる。
【0096】
上記エポキシ樹脂としては、例えば、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、アルキルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェノールF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、フェノール類とフェノール性水酸基を有する芳香族アルデヒドとの縮合物のエポキシ化物、トリグリシジルイソシアヌレート、脂環式エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。それにより、耐熱性等に優れるものとなる。
【0097】
上記熱可塑性樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリフェニレンスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニルエーテル、ポリエーテルイミド等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0098】
上記酸、アルカリおよび酸化剤から選ばれる少なくとも1種からなる粗化液に対して可溶性の物質としては、例えば、無機粒子、樹脂粒子、金属粒子、ゴム粒子、液相樹脂、液相ゴム等が挙げられ、これらのなかでは、無機粒子、樹脂粒子および金属粒子が望ましい。また、これらは単独で用いても良いし、2種以上併用してもよい。
【0099】
上記無機粒子としては、例えば、アルミナ、水酸化アルミニウム等のアルミニウム化合物、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム等のカルシウム化合物、炭酸カリウム等のカリウム化合物、マグネシア、ドロマイト、塩基性炭酸マグネシウム、タルク等のマグネシウム化合物、シリカ、ゼオライト等のケイ素化合物等からなるものが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
上記アルミナ粒子は、ふっ酸で溶解除去することができ、炭酸カルシウムは塩酸で溶解除去することができる。また、ナトリウム含有シリカやドロマイトはアルカリ水溶液で溶解除去することができる。
【0100】
上記樹脂粒子としては、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等からなるものが挙げられ、酸、アルカリおよび酸化剤から選ばれる少なくとも1種からなる粗化液に浸漬した場合に、上記耐熱性樹脂マトリックスよりも溶解速度の早いものであれば特に限定されず、具体的には、例えば、アミノ樹脂(メラミン樹脂、尿素樹脂、グアナミン樹脂等)、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、ビスマレイミド−トリアジン樹脂等からなるものが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
なお、上記樹脂粒子は予め硬化処理されていることが必要である。硬化させておかないと上記樹脂粒子が樹脂マトリックスを溶解させる溶剤に溶解してしまうため、均一に混合されてしまい、酸や酸化剤で樹脂粒子のみを選択的に溶解除去することができないからである。
【0101】
上記金属粒子としては、例えば、金、銀、銅、スズ、亜鉛、ステンレス、アルミニウム、ニッケル、鉄、鉛等からなるものが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
また、上記金属粒子は、絶縁性を確保するために、表層が樹脂等により被覆されていてもよい。
【0102】
上記可溶性の物質を、2種以上混合して用いる場合、混合する2種の可溶性の物質の組み合わせとしては、樹脂粒子と無機粒子との組み合わせが望ましい。両者とも導電性が低くいため、層間樹脂絶縁層の絶縁性を確保することができるとともに、難溶性樹脂との間で熱膨張の調整が図りやすく、粗化面形成用樹脂組成物からなる層間樹脂絶縁層にクラックが発生せず、層間樹脂絶縁層と導体回路との間で剥離が発生しないからである。
【0103】
上記粗化液として用いる酸としては、例えば、リン酸、塩酸、硫酸、硝酸や、蟻酸、酢酸等の有機酸等が挙げられるが、これらのなかでは有機酸を用いることが望ましい。粗化処理した場合に、バイアホールから露出する金属導体層を腐食させにくいからである。
また、上記アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
上記酸化剤としては、例えば、クロム酸、クロム硫酸、アルカリ性過マンガン酸塩(過マンガン酸カリウム等)の水溶液等を用いることが望ましい。
【0104】
上記可溶性の物質の平均粒径は、10μm以下が望ましい。
また、平均粒径が2μm以下の平均粒径の相対的に大きな粗粒子と平均粒径が相対的に小さな微粒子とを組み合わせて使用してもよい。即ち、平均粒径が0.1〜0.8μmの可溶性の物質と平均粒径が0.8〜2.0μmの可溶性の物質とを組み合わせる等である。
【0105】
このように、平均粒子と相対的に大きな粗粒子と平均粒径が相対的に小さな微粒子とを組み合わせることにより、無電解めっき膜の溶解残渣をなくし、めっきレジスト下のパラジウム触媒量を少なくし、さらに、浅くて複雑な粗化面を形成することができる。
さらに、複雑な粗化面を形成することにより、粗化面の凹凸が小さくても実用的なピール強度を維持することができる。
【0106】
(5)次に、その材料として熱硬化性樹脂や樹脂複合体を用いた層間樹脂絶縁層を形成する場合には、未硬化の樹脂絶縁層に硬化処理を施すとともに、バイアホール用開口を形成し、層間樹脂絶縁層とする。また、この工程では、必要に応じて、貫通孔を形成してもよい。
上記バイアホール用開口は、レーザ処理により形成することが望ましい。また、層間樹脂絶縁層の材料として感光性樹脂を用いた場合には、露光現像処理により形成してもよい。
【0107】
また、その材料として熱可塑性樹脂を用いた層間樹脂絶縁層を形成する場合には、熱可塑性樹脂からなる樹脂層にバイアホール用開口を形成し、層間樹脂絶縁層とする。この場合、バイアホール用開口は、レーザ処理を施すことにより形成することができる。
また、この工程で貫通孔を形成する場合、該貫通孔は、ドリル加工やレーザ処理等により形成すればよい。
【0108】
上記レーザ処理に使用するレーザとしては、例えば、炭酸ガスレーザ、紫外線レーザ、エキシマレーザ等が挙げられる。これらのなかでは、エキシマレーザや短パルスの炭酸ガスレーザが望ましい。
【0109】
また、エキシマレーザのなかでも、ホログラム方式のエキシマレーザを用いることが望ましい。ホログラム方式とは、レーザ光をホログラム、集光レンズ、レーザマスク、転写レンズ等を介して目的物に照射する方式であり、この方式を用いることにより、一度のレーザ照射で多数の開口を効率的に形成することができる。
【0110】
また、炭酸ガスレーザを用いる場合、そのパルス間隔は、10-4〜10-8秒であることが望ましい。また、開口を形成するためのレーザを照射する時間は、10〜500μ秒であることが望ましい。
また、光学系レンズと、マスクとを介してレーザ光を照射することにより、一度に多数のバイアホール用開口を形成することができる。光学系レンズとマスクとを介することにより、同一強度で、かつ、照射強度が同一のレーザ光を複数の部分に照射することができるからである。
このようにしてバイアホール用開口を形成した後、必要に応じて、デスミア処理を施してもよい。
【0111】
(6)次に、バイアホール用開口の内壁を含む層間樹脂絶縁層の表面に薄膜導体層を形成する。
上記薄膜導体層は、例えば、無電解めっき、スパッタリング等の方法により形成することができる。
【0112】
上記薄膜導体層の材質としては、例えば、銅、ニッケル、スズ、亜鉛、コバルト、タリウム、鉛等が挙げられる。
これらのなかでは、電気特性、経済性等に優れる点から銅や銅およびニッケルからなるものが望ましい。
また、上記薄膜導体層の厚さとしては、無電解めっきにより薄膜導体層を形成する場合には、0.3〜2.0μmが望ましく、0.6〜1.2μmがより望ましい。また、スパッタリングにより形成する場合には、0.1〜1.0μmが望ましい。
なお、無電解めっきにより薄膜導体層を形成する場合には、予め、層間樹脂絶縁層の表面に触媒を付与しておく。上記触媒としては、例えば、塩化パラジウム等が挙げられる。
【0113】
また、上記薄膜導体層を形成する前に、層間樹脂絶縁層の表面に粗化面を形成しておいてもよい。粗化面を形成することにより、層間樹脂絶縁層と薄膜導体層との密着性を向上させることができる。
【0114】
また、上記(5)の工程で貫通孔を形成した場合には、層間樹脂絶縁層上に薄膜導体層を形成する際に、貫通孔の壁面にも薄膜導体層を形成することによりスルーホールとしてもよい。
【0115】
(7)次いで、その表面に薄膜導体層が形成された基板の上にめっきレジストを形成する。
上記めっきレジストは、例えば、感光性ドライフィルムを張り付けた後、めっきレジストパターンが描画されたガラス基板等からなるフォトマスクを密着配置し、露光現像処理を施すことにより形成することができる。
【0116】
(8)その後、薄膜導体層をめっきリードとして電解めっきを行い、上記めっきレジスト非形成部に電解めっき層を形成する。上記電解めっきとしては、銅めっきが望ましい。
また、上記電解めっき層の厚さは、5〜20μmが望ましい。
その後、上記めっきレジストと該めっきレジスト下の無電解めっき膜および薄膜導体層とを除去することにより導体回路(バイアホールを含む)を形成することができる。
上記めっきレジストの除去は、例えば、アルカリ水溶液等を用いて行えばよく、上記薄膜導体層の除去は、硫酸と過酸化水素との混合液、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、塩化第二鉄、塩化第二銅等のエッチング液を用いて行えばよい。
また、上記導体回路を形成した後、必要に応じて、層間樹脂絶縁層上の触媒を酸や酸化剤を用いて除去してもよい。電気特性の低下を防止することができるからである。
このような(6)〜(8)の工程を経ることにより導体回路を形成することができる。
【0117】
なお、上記(6)〜(8)の方法は、セミアディティブ法であるが、この方法に代えて、フルアディティブ法により導体回路を形成してもよい。
具体的には,上記(6)と同様の方法で形成した薄膜導体層上の全面に電解めっき層を形成した後、該電解めっき層上の一部にドライフィルムを用いてエッチングレジストを形成し、その後、エッチングレジスト非形成部下の電解めっき層および薄膜導体層をエッチングにより除去し、さらに、エッチングレジストを剥離することにより独立した導体回路を形成してもよい。
【0118】
このようなアディティブ法は、サブトラクティブ法等の他の導体回路の製造方法に比べ、エッチング精度が高いため、より微細な導体回路を形成することができるとともに、導体回路の設計の自由度が向上する。
なお、場合によっては、サブトラクティブ法により導体回路を形成してもよい。
【0119】
また、上記(5)および(6)の工程においてスルーホールを形成した場合には、該スルーホール内に樹脂充填材を充填してもよい。
また、スルーホール内に樹脂充填材を充填した場合、必要に応じて、無電解めっきを行うことにより樹脂充填材層の表層部を覆う蓋めっき層を形成してもよい。
【0120】
(9)次に、蓋めっき層を形成した場合には、必要に応じて、該蓋めっき層の表面に粗化処理を行い、さらに、必要に応じて、(4)〜(8)の工程を繰り返すことにより、その両面に層間樹脂絶縁層と導体回路とを積層形成する。なお、この工程では、スルーホールを形成してもよいし、形成しなくてもよい。
【0121】
(10)次に、最外層のソルダーレジスト層を形成する。
上記ソルダーレジスト層は、例えば、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、熱可塑性エラストマー、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂等からなるソルダーレジスト組成物を用いて形成することができる。
【0122】
また、上記以外のソルダーレジスト組成物としては、例えば、ノボラック型エポキシ樹脂の(メタ)アクリレート、イミダゾール硬化剤、2官能性(メタ)アクリル酸エステルモノマー、分子量500〜5000程度の(メタ)アクリル酸エステルの重合体、ビスフェノール型エポキシ樹脂等からなる熱硬化性樹脂、多価アクリル系モノマー等の感光性モノマー、グリコールエーテル系溶剤などを含むペースト状の流動体が挙げられ、その粘度は25℃で1〜10Pa・sに調整されていることが望ましい。
最外層に上記ソルダーレジスト層を形成することにより、上記光導波路を損傷や熱等から保護することができる。
【0123】
(11)次に、上記ソルダーレジスト層に、必要に応じて、半田バンプ形成用開口を形成するとともに、基板の片面に、ソルダーレジスト層と層間樹脂絶縁層とを貫通する連通した開口を形成する。
上記半田バンプ形成用開口の形成は、具体的には、例えば、バイアホール用開口を形成する方法と同様の方法、即ち、露光現像処理やレーザ処理を用いて行うことができる。
また、上記半田バンプ形成用開口の開口径は、100〜300μmが望ましい。
【0124】
また、上記ソルダーレジスト層と層間樹脂絶縁層とを貫通する連通した開口(光路用開口)の形成は、例えば、露光現像処理や、レーザ処理等により行う。
上記レーザ処理おいて使用するレーザとしては、上記バイアホール用開口の形成おいて使用するレーザと同様のもの等が挙げられる。
この場合、上記レーザとしては、上記光導波路が吸収を持たない波長のレーザを用いることが望ましい。上記を形成する時に上記光導波路表面を傷つけるおそれが少ないからである。
また、上記光路用開口の形成位置は、光導波路からの光信号や光導波路への信号を伝送することができる位置であれば特に限定されず、導体回路の設計等を考慮して適宜選択すればよい。
【0125】
上記光路用開口の開口径は、50〜200μmが望ましい。また、その形状は特に限定されず、例えば、円柱状、楕円柱状、四角柱状、多角柱状等が挙げられる。
なお、光路用開口の形成は、上述したように、ソルダーレジスト層を形成した後行なってもよいが、場合によっては、層間樹脂絶縁層を形成後に、一度光路用開口を形成し、ソルダーレジスト層を形成した後に、再度、層間樹脂絶縁層に設けた光路用開口に連通した開口を形成し、光路用開口としてもよい。層間樹脂絶縁層やソルダーレジスト層の厚さによっては、一度のレーザ処理で光路用開口を形成することが難しいことがあるからである。
【0126】
また、ソルダーレジスト層を形成する際に、予め、所望の位置に開口を有する樹脂フィルムを作製し、該樹脂フィルムを張り付けることにより、半田バンプ形成用開口を有するソルダーレジスト層を形成してもよい。
【0127】
(12)次に、上記半田バンプ形成用開口を形成することにより露出した導体回路部分を、必要に応じて、ニッケル、パラジウム、金、銀、白金等の耐食性金属により被覆し、半田パッドとする。これらのなかでは、ニッケル−金、ニッケル−銀、ニッケル−パラジウム、ニッケル−パラジウム−金等の金属により被覆層を形成することが望ましい。
上記被覆層は、例えば、めっき、蒸着、電着等により形成することができるが、これらのなかでは、被覆層の均一性に優れるという点からめっきにより形成することが望ましい。
【0128】
また、この工程では、半田パッドを形成する前に、上記(11)の工程で形成した光路用開口内に樹脂を充填しておくことが望ましい。このように樹脂を充填することにより、上述した効果を得ることができるとともに、半田パッドを形成する際に、めっき液等が光路用開口内に入り込むことがないからである。
また、上記(11)の工程で行う光路用開口の形成は、この工程で半田パッドを形成した後に行ってもよい。この場合も、半田パッドを形成する際に、めっき液等が光路用開口内に入り込むことがないからである。
【0129】
(13)次に、上記半田パッドに相当する部分に開口部が形成されたマスクを介して、上記半田パッドに半田ペーストを充填した後、リフローすることにより半田バンプを形成する。また、光導波路を形成する面と反対側のソルダーレジスト層では、外部基板接続面に導電性接着剤等を用いてピンを配設したり、半田ボールを形成したりすることにより、PGAやBGAとしてもよい。上記ピンとしては特に限定されないが、T型のピンが望ましい。また、その材質としては、例えば、コバール、42アロイ等が挙げられる。
このような工程を経ることにより、本発明の多層プリント配線板を製造することができる。
【0130】
また、ここでは、基板上に光導波路の形成された多層プリント配線板の製造方法について説明したが、層間樹脂絶縁層上に光導波路が形成された多層プリント配線板を製造する場合には、基板上に光導波路を形成する代わりに、層間樹脂絶縁層上に光導波路を形成する以外は、上述した方法と同様の方法を用いることができる。
【0131】
【実施例】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
(実施例1)
A.光導波路用樹脂組成物(クラッド用樹脂組成物およびコア用樹脂組成物)の調製
アクリル樹脂40重量部、アクリレート系モノマー10重量部、硬化剤としてイミダゾール硬化剤4重量部、光重合開始剤としてベンゾフェノン5重量部、溶剤として乳酸エチル40重量部、安定剤1重量部、および、シリカ粒子(粒径分布1〜10μm、平均粒径5μm)を攪拌混合し、回転数5min−1(rpm)で25℃において、その粘度が5±1Pa・sの光導波路用樹脂組成物を調製した。なお、シリカ粒子の配合量は作製した光導波路中に50重量%であり、シリカ粒子を加える前の光導波路用樹脂組成物の透過度は95%であった。
また、上記光導波路用樹脂組成物の一部のC−Hをフッ素化(C−F)することで屈折率を小さくし、クラッド用樹脂組成物(硬化後の屈折率1.54)を調製した。さらに、上記光導波路用樹脂組成物の一部のC−Hを重水素化(C−D)して屈折率を大きくし、コア用樹脂組成物(硬化後の屈折率1.56)を調製した。
なお、調製したクラッド用樹脂組成物、および、コア用樹脂組成物の硬化後の透過率(850nm)は、90%であった。
【0132】
B.光導波路の作製
(1)まず、基材上に、Aで調製したクラッド部用樹脂組成物を、スピンコーターを用いて厚さ50μmで塗布成膜し、これを80℃、20分間の条件で仮硬化させ、2000mJで露光後、140℃で60分間の条件で加熱硬化させることによりアンダークラッド部を形成した。
なお、基材としては、厚さが10mmで、その表面に研磨処理が施されたセラミックからなる基材を用いた。
【0133】
(2)次に、Aで調製したコア部用樹脂組成物をアンダークラッド部上に、硬化後の厚さが50μmで塗布成膜し、これを80℃で20分間の条件で仮硬化させ、500mJで露光し、さらに、現像処理を施すことで、その幅を50μmとした後、150℃で60分間の条件で加熱硬化させてコア部を形成した。なお、仮硬化処理後層の表面には、スキン層が形成されていた。
【0134】
(3)次に、アンダークラッド部上(コア部上を含む)にクラッド部用樹脂組成物をコア部上での厚さが50μmとなるように塗布成膜し、これを80℃で20分間の条件で仮硬化させた後、2000mJで露光し、140で60分間の条件で加熱硬化させることによりオーバークラッド部を形成し、光導波路とした。
なお、形成した光導波路は、その厚さが150μmである。
【0135】
(実施例2)
樹脂成分としてポリメチルメタクリレート(PMMA)、粒子としてチタニア粒子を用いて光導波路用樹脂組成物を調製した後、該光導波路用樹脂組成物を用いて、セラミックからなる基板上にアンダークラッド部、コア部およびオーバークラッド部をこの順で積層形成することにより、光導波路を作製した。
なお、作製した光導波路中のチタニア粒子の配合量は、70重量%であった。
【0136】
(実施例3)
樹脂成分としてUV硬化性エポキシ樹脂、粒子として銅粒子を用いて光導波路用樹脂組成物を調製した後、該光導波路用樹脂組成物を用いて、セラミックからなる基板上にアンダークラッド部、コア部およびオーバークラッド部をこの順で積層形成することにより、光導波路を作製した。
なお、作製した光導波路中の銅粒子の配合量は、20重量%であった。
【0137】
(実施例4)
樹脂成分として重水素化シリコーン樹脂、粒子としてアルミナ粒子を用いて光導波路用樹脂組成物を調製した後、該光導波路用樹脂組成物を用いて、セラミックからなる基板上にアンダークラッド部、コア部およびオーバークラッド部をこの順で積層形成することにより、光導波路を作製した。
なお、作製した光導波路中のアルミナ粒子の配合量は、20重量%であった。
【0138】
(実施例5)
樹脂成分としてUV硬化性アクリレート樹脂、粒子としてエポキシ樹脂を硬化した樹脂粒子を用いて光導波路用樹脂組成物を調製した後、該光導波路用樹脂組成物を用いて、セラミックからなる基板上にアンダークラッド部、コア部およびオーバークラッド部をこの順で積層形成することにより、光導波路を作製した。
なお、作製した光導波路中のエポキシ樹脂を硬化した樹脂粒子の配合量は、30重量%であった。
【0139】
(実施例6)
樹脂成分としてフッ素化ポリイミド、粒子としてシリカ粒子およびチタニ粒子を用いて光導波路用樹脂組成物を調製した後、該光導波路用樹脂組成物を用いて、セラミックからなる基板上にアンダークラッド部、コア部およびオーバークラッド部のをこの順で積層形成することにより、光導波路を作製した。
なお、作製した光導波路中のシリカ粒子およびチタニア粒子の配合量は、40重量%であった。
【0140】
(実施例7)
樹脂成分としてポリオレフィン樹脂、粒子としてシリカおよびチタニアを溶融した後形成した粒子を用いて光導波路用樹脂組成物を調製した後、該光導波路用樹脂組成物を用いて、セラミックからなる基板上にアンダークラッド部、コア部およびオーバークラッド部をこの順で積層形成することにより、光導波路を作製した。
なお、作製した光導波路中のシリカおよびチタニアを溶融した後形成した粒子の配合量は、60重量%であった。
【0141】
(実施例8)
粒径分布0.2〜0.8μm、平均粒径0.5μmのシリカ粒子を用いた以外は、実施例1と同様にして光導波路用樹脂組成物を調製し、光導波路を作製した。
【0142】
(実施例9)
粒径分布5〜30μm、平均粒径15μmのシリカ粒子を用いた以外は、実施例1と同様にして光導波路用樹脂組成物を調製し、光導波路を作製した。
【0143】
(比較例1)
粒子を配合しなかった以外は、実施例1と同様にして光導波路を作製した。
【0144】
(参考例1)
作製した光導波路中の粒子の配合量が5重量%になるようにシリカ粒子を配合した以外は、実施例1と同様にして光導波路を作製した。
【0145】
(参考例2)
作製した光導波路中の粒子の配合量が90重量%になるようにシリカ粒子を配合した以外は、実施例1と同様にして光導波路を作製した。
【0146】
(参考例3)
作製した光導波路中の粒子の配合量が2重量%になるようにチタニア粒子を配合した以外は、実施例2と同様にして光導波路を作製した。
【0147】
(参考例4)
作製した光導波路中の粒子の配合量が85重量%になるようにチタニア粒子を配合した以外は、実施例2と同様にして光導波路を作製した。
【0148】
(参考例5)
作製した光導波路中の粒子の配合量が8重量%になるように銅粒子を配合した以外は、実施例3と同様にして光導波路を作製した。
【0149】
(参考例6)
作製した光導波路中の粒子の配合量が87重量%になるように銅粒子を配合した以外は、実施例3と同様にして光導波路を作製した。
【0150】
実施例1〜9、比較例1、参考例1〜6で作製した光導波路について、135℃、相対湿度85%の条件下で100時間放置する信頼性試験を行い、この信頼性試験前後において、波長0.85μmの光信号の伝送損失を測定したところ、実施例1〜9の光導波路では、伝送損失の増加率が15%以下であったのに対し、比較例1の光導波路では、伝送損失の増加率が25%以上であり、参考例1〜6の光導波路では、伝送損失の増加率が15〜20%であった。
なお、伝送損失の増加率は、下記計算式(1)より算出した。
【0151】
伝送損失の増加率=〔(信頼性試験前後の伝送損失の差)/(信頼性試験前の伝送損失)〕×100・・・(1)
【0152】
また、実施例1〜9の光導波路で作製した光導波路について、上記信頼性試験前後に、形状観察を行い、クラックが発生しているか否か、および、基材と光導波路との間で剥離が発生しているか否かを観察した。その結果、実施例1〜9の光導波路では、信頼性試験前後にクラックの発生や、基材と光導波路との間での剥離の発生は観察されなかった。
【0153】
(実施例10)
A.層間樹脂絶縁層用樹脂フィルムの作製
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量469、油化シェルエポキシ社製エピコート1001)30重量部、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量215、大日本インキ化学工業社製 エピクロンN−673)40重量部、トリアジン構造含有フェノールノボラック樹脂(フェノール性水酸基当量120、大日本インキ化学工業社製 フェノライトKA−7052)30重量部をエチルジグリコールアセテート20重量部、ソルベントナフサ20重量部に攪拌しながら加熱溶解させ、そこへ末端エポキシ化ポリブタジエンゴム(ナガセ化成工業社製 デナレックスR−45EPT)15重量部と2−フェニル−4、5−ビス(ヒドロキシメチル)イミダゾール粉砕品1.5重量部、微粉砕シリカ2重量部、シリコン系消泡剤0.5重量部を添加しエポキシ樹脂組成物を調製した。
得られたエポキシ樹脂組成物を厚さ38μmのPETフィルム上に乾燥後の厚さが50μmとなるようにロールコーターを用いて塗布した後、80〜120℃で10分間乾燥させることにより、層間樹脂絶縁層用樹脂フィルムを作製した。
【0154】
B.貫通孔充填用樹脂組成物の調製
ビスフェノールF型エポキシモノマー(油化シェル社製、分子量:310、YL983U)100重量部、表面にシランカップリング剤がコーティングされた平均粒径が1.6μmで、最大粒子の直径が15μm以下のSiO2 球状粒子(アドテック社製、CRS 1101−CE)170重量部およびレベリング剤(サンノプコ社製 ペレノールS4)1.5重量部を容器にとり、攪拌混合することにより、その粘度が23±1℃で45〜49Pa・sの樹脂充填材を調製した。なお、硬化剤として、イミダゾール硬化剤(四国化成社製、2E4MZ−CN)6.5重量部を用いた。
【0155】
C.多層プリント配線板の製造
(1)厚さ0.8mmのガラスエポキシ樹脂またはBT(ビスマレイミドトリアジン)樹脂からなる絶縁性基板21の両面に18μmの銅箔28がラミネートされている銅張積層板を出発材料とした(図2(a)参照)。まず、この銅張積層板をドリル削孔し、無電解めっき処理を施し、パターン状にエッチングすることにより、基板21の両面に導体回路24とスルーホール29とを形成した。
【0156】
(2)スルーホール29および導体回路24を形成した基板を水洗いし、酸性脱脂した後、ソフトエッチングし、次いで、エッチング液を基板の両面にスプレイで吹きつけた後、搬送ロールで送ることでそのスルーホール29を含む導体回路24の表面に粗化面(図示せず)を形成した。エッチング液として、イミダゾール銅 (II)錯体10重量部、グリコール酸7重量部、塩化カリウム5重量部からなるエッチング液(メック社製、メックエッチボンド)を使用した。
【0157】
(3)次に、基板上の所定の位置に、以下の方法を用いて光路変換ミラー51を有する光導波路50を形成した(図2(b)参照)。
即ち、実施例1で作製した光導波路の一端に、先端がV形90°のダイヤモンドソーを用いて45°光路変換ミラーを形成しておき、この光導波路を光変換ミラー非形成側のその他端の側面と基板の側面とが揃うように貼り付けた。
なお光導波路の貼り付けは、該光導波路の基板との接着面に熱硬化性樹脂からなる接着剤を厚さ10μmに塗布しておき、圧着後、60℃で1時間硬化させることにより行った。
なお、本実施例では、60℃/1時間の条件で硬化を行ったが、場合によってはステップ硬化をおこなってもよい。貼り付け時に光導波路により応力が発生しにくいからである。
【0158】
(4)上記Bに記載した樹脂充填材を調製した後、下記の方法により調製後24時間以内に、スルーホール29内ならびに基板21の片面の導体回路非形成部、光導波路非形成部および導体回路24の外縁部とに樹脂充填材30′の層を形成した(図2(c)参照)。
即ち、まず、スキージを用いてスルーホール内に樹脂充填材を押し込んだ後、100℃、20分の条件で乾燥させた。次に、導体回路非形成部(光導波路非形成部を含む)に相当する部分が開口したマスクを基板上に載置し、スキージを用いて凹部となっている導体回路非形成部にも樹脂充填材を充填し、100℃、20分の条件で乾燥させることにより樹脂充填材30′の層を形成した。ついで、他方の面の導体回路非形成部(光導波路非形成部を含む)と導体回路の外縁部とにも同様にして樹脂充填材30′の層を形成した(図2(c)参照)。
【0159】
(5)上記(4)の処理を終えた基板の片面を、♯600のベルト研磨紙(三共理化学社製)を用いたベルトサンダー研磨により、導体回路24の表面やスルーホール29のランド表面に樹脂充填材30′が残らないように研磨し、次いで、上記ベルトサンダー研磨による傷を取り除くためのバフ研磨を行った。このような一連の研磨を基板の他方の面についても同様に行った。
次いで、100℃で1時間、120℃で3時間、150℃で1時間、180℃で7時間の加熱処理を行って樹脂充填材層30を形成した。
【0160】
このようにして、スルーホール29や導体回路非形成部に形成された樹脂充填材30の表層部および導体回路24の表面を平坦化し、樹脂充填材30と導体回路24の側面とが粗化面を介して強固に密着し、また、スルーホール29の内壁面と樹脂充填材30とが粗化面を介して強固に密着した絶縁性基板を得た(図2(d)参照)。この工程により、樹脂充填材層30の表面と導体回路24の表面とが同一平面となる。
【0161】
(6)上記基板を水洗、酸性脱脂した後、ソフトエッチングし、次いで、エッチング液を基板の両面にスプレイで吹き付けて、導体回路24の表面とスルーホール29のランド表面と内壁とをエッチングすることにより、導体回路24の全表面に粗化面を形成した。エッチング液として、イミダゾール銅(II)錯体10重量部、グリコール酸7重量部、塩化カリウム5重量部を含むエッチング液(メック社製、メックエッチボンド)を使用した。
【0162】
(7)次に、上記Aで作製した基板より少し大きめの層間樹脂絶縁層用樹脂フィルムを基板上に載置し、圧力0.4MPa、温度80℃、圧着時間10秒の条件で仮圧着して裁断した後、さらに、以下の方法により真空ラミネータ装置を用いて貼り付けることにより層間樹脂絶縁層22を形成した(図2(e)参照)。
即ち、層間樹脂絶縁層用樹脂フィルムを基板上に、真空度65Pa、圧力0.4MPa、温度80℃、時間60秒の条件で本圧着し、その後、170℃で30分間熱硬化させた。
【0163】
(8)次に、層間樹脂絶縁層22上に、厚さ1.2mmの貫通孔が形成されたマスクを介して、波長10.4μmのCO2 ガスレーザにて、ビーム径4.0mm、トップハットモード、パルス幅8.0μ秒、マスクの貫通孔の径1.0mm、1ショットの条件で層間樹脂絶縁層22に、直径80μmのバイアホール用開口26を形成した(図3(a)参照)。
【0164】
(9)バイアホール用開口26を形成した基板を、60g/lの過マンガン酸を含む80℃の溶液に10分間浸漬し、層間樹脂絶縁層22の表面に存在するエポキシ樹脂粒子を溶解除去することにより、バイアホール用開口26の内壁面を含むその表面に粗化面(図示せず)を形成した。
次に、上記処理を終えた基板を、中和溶液(シプレイ社製)に浸漬してから水洗いした。
さらに、粗面化処理(粗化深さ3μm)した該基板の表面に、パラジウム触媒を付与することにより、層間樹脂絶縁層22の表面(バイアホール用開口26の内壁面を含む)に触媒核を付着させた(図示せず)。即ち、上記基板を塩化パラジウム(PdCl)と塩化第一スズ(SnCl)とを含む触媒液中に浸漬し、パラジウム金属を析出させることにより触媒を付与した。
【0165】
(10)次に、以下の組成の無電解銅めっき水溶液中に、基板を浸漬し、層間樹脂絶縁層22の表面(バイアホール用開口26の内壁面を含む)に厚さ0.6〜3.0μmの薄膜導体層(無電解銅めっき膜)32を形成した(図3(b)参照)。
〔無電解めっき水溶液〕
NiSO4 0.003 mol/l
酒石酸 0.200 mol/l
硫酸銅 0.030 mol/l
HCHO 0.050 mol/l
NaOH 0.100 mol/l
α、α′−ビピリジル 100 mg/l
ポリエチレングリコール(PEG) 0.10 g/l
〔無電解めっき条件〕
30℃の液温度で40分
【0166】
(11)次に、無電解銅めっき膜32が形成された基板に市販の感光性ドライフィルムを張り付け、マスクを載置して、100mJ/cm2 で露光し、0.8%炭酸ナトリウム水溶液で現像処理することにより、厚さ20μmのめっきレジスト23を設けた(図3(c)参照)。
【0167】
(12)ついで、基板を50℃の水で洗浄して脱脂し、25℃の水で水洗後、さらに硫酸で洗浄してから、以下の条件で電解めっきを施し、めっきレジスト23非形成部に、厚さ20μmの電解銅めっき膜33を形成した(図3(d)参照)。
〔電解めっき液〕
硫酸 2.24 mol/l
硫酸銅 0.26 mol/l
添加剤 19.5 ml/l
(アトテックジャパン社製、カパラシドGL)
〔電解めっき条件〕
電流密度 1 A/dm2
時間 65 分
温度 22±2 ℃
【0168】
(13)さらに、めっきレジスト23を5%NaOHで剥離除去した後、そのめっきレジスト23下の無電解めっき膜を硫酸と過酸化水素との混合液でエッチング処理して溶解除去し、無電解銅めっき膜32と電解銅めっき膜33とからなる厚さ18μmの導体回路25(バイアホール27を含む)を形成した(図4(a)参照)。
【0169】
(14)次に、上記(6)〜(13)の工程を繰り返すことにより、上層の層間樹脂絶縁層と導体回路とを積層形成した(図4(b)〜図5(b)参照)。さらに、上記(6)の工程で用いた方法と同様の方法を用いて最外層の導体回路25(バイアホール27を含む)に粗化面(図示せず)を形成し、多層配線板を得た。
【0170】
(15)次に、ジエチレングリコールジメチルエーテル(DMDG)に60重量%の濃度になるように溶解させた、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬社製)のエポキシ基50%をアクリル化した感光性付与のオリゴマー(分子量:4000)46.67重量部、メチルエチルケトンに溶解させた80重量%のビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェル社製、商品名:エピコート1001)15.0重量部、イミダゾール硬化剤(四国化成社製、商品名:2E4MZ−CN)1.6重量部、感光性モノマーである2官能アクリルモノマー(日本化薬社製、商品名:R604)3.0重量部、同じく多価アクリルモノマー(共栄化学社製、商品名:DPE6A)1.5重量部、分散系消泡剤(サンノプコ社製、S−65)0.71重量部を容器にとり、攪拌、混合して混合組成物を調製し、この混合組成物に対して光重合開始剤としてベンゾフェノン(関東化学社製)2.0重量部、光増感剤としてのミヒラーケトン(関東化学社製)0.2重量部、を加えることにより、粘度を25℃で2.0Pa・sに調整したソルダーレジスト組成物を得た。
なお、粘度測定は、B型粘度計(東京計器社製、DVL−B型)で60min-1(rpm)の場合はローターNo.4、6min-1(rpm)の場合はローターNo.3によった。なお、上記ソルダーレジスト組成物としては、市販のソルダーレジスト組成物を使用することもできる。
【0171】
(16)次に、多層配線板の両面に、上記ソルダーレジスト組成物を30μmの厚さで塗布し、70℃で20分間、70℃で30分間の条件で乾燥処理を行い、ソルダーレジスト組成物の層を形成した。
【0172】
(17)次いで、半田バンプ形成用開口および光路用開口のパターンが描画された厚さ5mmのフォトマスクをソルダーレジスト組成物の層に密着させて1000mJ/cmの紫外線で露光し、DMTG溶液で現像処理し、開口径200μmの半田バンプ形成用開口となる開口、および、開口径150μmの光路用開口となる開口を形成した。
さらに、80℃で1時間、100℃で1時間、120℃で1時間、150℃で3時間の条件でそれぞれ加熱処理を行ってソルダーレジスト組成物の層を硬化させ、半田バンプ形成用開口39および光路用開口を有し、その厚さが20μmのソルダーレジスト層34を形成した。さらに、レーザ処理を施すことにより、層間樹脂絶縁層に上記光路用開口と連通した開口を形成した。
【0173】
(18)次に、ソルダーレジスト層および層間樹脂絶縁層に形成した光路用開口38の壁面にデスミア処理を施した(図6(a)参照)。
さらに、光路用開口38に、アクリル樹脂を含む樹脂組成物を充填し、硬化させて光路用樹脂層52を形成した。
【0174】
(19)次に、ソルダーレジスト層34を形成した基板を、塩化ニッケル(2.3×10-1mol/l)、次亜リン酸ナトリウム(2.8×10-1mol/l)、クエン酸ナトリウム(1.6×10-1mol/l)を含むpH=4.5の無電解ニッケルめっき液に20分間浸漬して、半田バンプ形成用開口15に厚さ5μmのニッケルめっき層を形成した。さらに、その基板をシアン化金カリウム(7.6×10-3mol/l)、塩化アンモニウム(1.9×10-1mol/l)、クエン酸ナトリウム(1.2×10-1mol/l)、次亜リン酸ナトリウム(1.7×10-1mol/l)を含む無電解金めっき液に80℃の条件で7.5分間浸漬して、ニッケルめっき層上に、厚さ0.03μmの金めっき層を形成し、半田パッド36とした(図6(b)参照)。
【0175】
(20)次に、ソルダーレジスト層14に形成した半田バンプ形成用開口15に半田ペーストを印刷し、200℃でリフローすることにより、半田バンプ形成用開口15に半田バンプ17を形成し、多層プリント配線板とした(図1参照)。
【0176】
(実施例11)
実施例10の(3)の工程において、実施例1で作製した光導波路に代えて、実施例2で作製した光導波路を用いた以外は、実施例10と同様にして多層プリント配線板を製造した。
【0177】
(実施例12)
実施例10の(3)の工程において、実施例1で作製した光導波路に代えて、実施例3で作製した光導波路を用いた以外は、実施例10と同様にして多層プリント配線板を製造した。
【0178】
(実施例13)
実施例10の(3)の工程において、実施例1で作製した光導波路に代えて、実施例4で作製した光導波路を用いた以外は、実施例10と同様にして多層プリント配線板を製造した。
【0179】
(実施例14)
実施例10の(3)の工程において、実施例1で作製した光導波路に代えて、実施例5で作製した光導波路を用いた以外は、実施例10と同様にして多層プリント配線板を製造した。
【0180】
(実施例15)
実施例10の(3)の工程において、実施例1で作製した光導波路に代えて、実施例6で作製した光導波路を用いた以外は、実施例10と同様にして多層プリント配線板を製造した。
【0181】
(実施例16)
実施例10の(3)の工程において、実施例1で作製した光導波路に代えて、実施例7で作製した光導波路を用いた以外は、実施例10と同様にして多層プリント配線板を製造した。
【0182】
(実施例17)
実施例10の(3)の工程において、実施例1で作製した光導波路に代えて、実施例8で作製した光導波路を用いた以外は、実施例10と同様にして多層プリント配線板を製造した。
【0183】
(実施例18)
実施例10の(3)の工程において、下記(i)〜(iii)の工程を経ることにより光導波路を作製した以外は、実施例10と同様にして多層プリント配線板を製造した。
(i)まず、基板上の所定の位置に、実施例1で調製したクラッド部用樹脂組成物を、スピンコーターを用いて厚さ50μmで塗布成膜し、これを80℃、20分間の条件で仮硬化させ、2000mJで露光後、140℃で60分間の条件で加熱硬化させることによりアンダークラッド部を形成した。
【0184】
(ii)次に、実施例1で調製したコア部用樹脂組成物をアンダークラッド部上に、硬化後の厚さが50μmで塗布成膜し、これを80℃で20分間の条件で仮硬化させ、500mJで露光、現像処理を施すことで、その幅を50μmとした後、150℃で60分間の条件で加熱硬化させてコア部を形成した。なお、仮硬化処理後層の表面には、スキン層が形成されていた。
【0185】
(iii)次に、アンダークラッド部上(コア部上を含む)にクラッド部用樹脂組成物をコア部上での厚さが50μmとなるように塗布成膜し、これを80℃で20分間の条件で仮硬化させた後、2000mJで露光し、140で60分間の条件で加熱硬化させることによりオーバークラッド部を形成し、光導波路とした。なお、形成した光導波路は、その厚さが150μmであった。
【0186】
実施例10〜18で得られた多層プリント配線板について、下記の評価方法により、(1)光導波路の形状観察、(2)光信号の検出および(3)導通試験を行い、評価した。
【0187】
評価方法
(1)光導波路の形状観察
実施例10〜18の多層プリント配線板について、これらの多層プリント配線板を光導波路を通るように刃物で切断し、その断面を観察した。
【0188】
(2)光信号の検出
まず、実施例10〜18の多層プリント配線板の光導波路が形成されている側に、受光素子および発光素子が実装されたICチップ実装用基板を、受光素子および発光素子がそれぞれ光路用開口に対向する位置に配設されるように半田バンプを介して接続した。
次に、発光素子に対向する光導波路の多層プリント配線板側面からの露出面に光ファイバを取り付け、受光素子に対向する光導波路の多層プリント配線板側面からの露出面に検出器を取り付けた後、光ファイバを介して光信号を送り、ICチップで演算させた後、検出器で光信号を検出した。
【0189】
(3)導通試験
上記光信号の検出と同様して、多層プリント配線板にICチップ実装用基板を接続し、その後、導通試験を行い、モニターに表示される結果から導通状態を評価した。
【0190】
上記評価の結果、実施例10〜18の多層プリント配線板は、受光用光導波路および発光用光導波路の2種類の光導波路が所定の位置に形成されていた。
また、実施例10〜18の多層プリント配線板では、ICチップ実装用基板を接続し、光信号を伝送した場合に所望の光信号を検出することができ、本実施例で製造した多層プリント配線板は、充分な光信号伝送能を有していることが明らかとなった。
さらに、実施例10〜18の多層プリント配線板では、半田バンプを介してICチップ実装用基板を接続した場合の導通試験において、電気信号の導通性に問題はなく、光信号とともに、電気信号も伝送することができることが明らかとなった。
【0193】
【発明の効果】
本発明によれば、上述した構成からなるため、光導波路と基板や層間樹脂絶縁層との間で熱膨張係数の整合をはかることができ、熱膨張係数の差に起因するクラックや剥離を減少できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の多層プリント配線板の一実施形態を模式的に示す断面図である。
【図2】本発明の多層プリント配線板を製造する工程の一部を模式的に示す断面図である。
【図3】本発明の多層プリント配線板を製造する工程の一部を模式的に示す断面図である。
【図4】本発明の多層プリント配線板を製造する工程の一部を模式的に示す断面図である。
【図5】本発明の多層プリント配線板を製造する工程の一部を模式的に示す断面図である。
【図6】本発明の多層プリント配線板を製造する工程の一部を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
100 多層プリント配線板
21、121 基板
22、122 層間樹脂絶縁層
24、124 導体回路
25、125 導体回路
27、127 バイアホール
29、129 スルーホール
38、138 光路用開口
34、134 ソルダーレジスト層
36、136 半田パッド
37、137 半田バンプ
50、150 光導波路

Claims (10)

  1. 基板上に導体回路と層間樹脂絶縁層とが積層形成された多層プリント配線板であって、
    前記基板の表面には、球状または楕円球状で、粒径が伝搬光の波長よりも短い樹脂粒子、粒径が伝搬光の波長よりも短い金属粒子、1〜50μmの樹脂粒子、または、1〜50μmの金属粒子を含有する樹脂組成物からなる光導波路が形成されていることを特徴とする多層プリント配線板。
  2. 基板上に導体回路と層間樹脂絶縁層とが積層形成された多層プリント配線板であって、
    前記層間樹脂絶縁層同士の間に、球状または楕円球状で、粒径が伝搬光の波長よりも短い樹脂粒子、粒径が伝搬光の波長よりも短い金属粒子、1〜50μmの樹脂粒子、または、1〜50μmの金属粒子を含有する樹脂組成物からなる光導波路が形成されていることを特徴とする多層プリント配線板。
  3. 基板上に導体回路と層間樹脂絶縁層とが積層形成された多層プリント配線板であって、
    前記層間樹脂絶縁層の最外層に、球状または楕円球状で、粒径が伝搬光の波長よりも短い樹脂粒子、粒径が伝搬光の波長よりも短い金属粒子、1〜50μmの樹脂粒子、または、1〜50μmの金属粒子を含有する樹脂組成物からなる光導波路が形成されていることを特徴とする多層プリント配線板。
  4. 前記光導波路は、一端に光路の角度を変更する光路変換ミラーをさらに備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の多層プリント配線板。
  5. 前記光導波路は、樹脂組成物として、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、UV硬化性樹脂、ベンゾシクロブテンからなる樹脂、ポリウレタン樹脂、トリシクロデカン、シクロヘキサジエン系樹脂、ノルボルネン系樹脂、および、ポリオレフィンのうちの少なくとも一種の硬化物を含んでいることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の多層プリント配線板。
  6. 前記基板は、片面に前記層間樹脂絶縁層を貫通する光路用開口をさらに備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の多層プリント配線板。
  7. 前記樹脂粒子は、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、感光性樹脂、熱硬化性樹脂の一部をアクリル化した樹脂、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との樹脂複合体および感光性樹脂と熱可塑性樹脂との樹脂複合体のうちの少なくとも一種、または、二種以上の混合物からなる請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の多層プリント配線板。
  8. 前記金属粒子は、Au、Ag、Cu、Pd、NiおよびPtのうちの少なくとも一種、二種以上の混合物からなる金属粒子のうちの少なくとも一種、または、二種以上の混合物からなる請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の多層プリント配線板。
  9. 前記粒子の配合量は、10〜80重量%である請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の多層プリント配線板。
  10. 前記光導波路の光信号の進行方向に垂直な方向の断面形状は長方形であり、前記粒子の粒径は、前記長方形の長い方の辺の長さの1/2以下である請求項1乃至請求項9のいずれか1項に記載の多層プリント配線板。
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