JP4036644B2 - Icチップ実装用基板、icチップ実装用基板の製造方法、および、光通信用デバイス - Google Patents

Icチップ実装用基板、icチップ実装用基板の製造方法、および、光通信用デバイス Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ICチップ実装用基板、ICチップ実装用基板の製造方法、および、光通信用デバイスに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、通信分野を中心として光ファイバに注目が集まっている。特にIT(情報技術)分野においては、高速インターネット網の整備に、光ファイバを用いた通信技術が必要となる。
光ファイバは、▲1▼低損失、▲2▼高帯域、▲3▼細径・軽量、▲4▼無誘導、▲5▼省資源等の特徴を有しており、この特徴を有する光ファイバを用いた通信システムでは、従来のメタリックケーブルを用いた通信システムに比べ、中継器数を大幅に削減することができ、建設、保守が容易になり、通信システムの経済化、高信頼性化を図ることができる。
【0003】
また、光ファイバは、一つの波長の光だけでなく、多くの異なる波長の光を1本の光ファイバで同時に多重伝送することができるため、多様な用途に対応可能な大容量の伝送路を実現することができ、映像サービス等にも対応することができる。
【0004】
そこで、このようなインターネット等のネットワーク通信においては、光ファイバを用いた光通信を、基幹網の通信のみならず、基幹網と端末機器(パソコン、モバイル、ゲーム等)との通信や、端末機器同士の通信にも用いることが提案されている。
【0005】
このように基幹網と端末機器との通信等に光通信を用いる場合、端末機器において情報(信号)処理を行うICが、電気信号で動作するため、端末機器には、光→電気変換器や電気→光変換器等の光信号と電気信号とを変換する装置(以下、光/電気変換器ともいう)を取り付ける必要がある。
そこで、従来の端末機器では、例えば、ICチップを実装したパッケージ基板、光信号を処理する受光素子や発光素子等の光学素子等を別々に実装し、これらに電気配線や光導波路を接続し、信号伝送および信号処理を行っていた。
また、ICチップを実装したパッケージ基板の内部に受光素子等の光学素子を内蔵させ、この光学素子を内蔵したパッケージ基板(以下、光学素子内蔵パッケージ基板ともいう)を用いて端末機器の光通信を行うことも提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このような従来の端末機器において、ICチップを実装したパッケージ基板、光信号を処理する受光素子や発光素子等の光学素子等を別々に実装した場合には、装置自体が大きくなり、端末機器の小型化をはかることが難しかった。
また、光学素子が内蔵され、ICチップが実装されたICチップ実装用基板を用いる場合は、装置自体が大きくなるという問題は解消されるものの、以下のような不都合があった。
【0007】
すなわち、光学素子内蔵パッケージ基板では、光学素子が基板内に完全に内蔵されているため、外部の光学素子(光ファイバや光導波路等)と接続する際に、位置合わせの微調整を行うことが難しく、また、パッケージ基板を製造する際に予め光学素子を内蔵しておくため、光学素子の位置ずれが発生しやすかった。これは、パッケージ基板の製造工程において、熱処理等を施す必要があり、光学素子を樹脂層に内蔵する場合には、この熱処理時に光学素子の位置ずれが発生するものと考えられる。
このように、内蔵した光学素子に位置ずれが発生した場合、外部の光学部品(例えば、光導波路)と接続した際の接続損失が大きく、光通信における接続信頼性の低下につながっていた。
また、この光学素子内蔵パッケージ基板では、内蔵した光学素子のいずれかに不都合が発生した場合、その光学素子のみを取り替えることができず、その光学素子内蔵パッケージ基板自体が不良品となるため、経済的に不利であった。
また、光学素子の実装位置は、光信号伝送用光路の確保や、光学素子と外部基板に取り付けた光学部品(光導波路等)との位置関係により制限されてしまい、そのため、ICチップ実装用基板の高密度化が困難になることがあった。
【0008】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明者らは、接続信頼性に優れる光通信を達成するとともに、端末機器の小型化に寄与することができるICチップ実装用基板について鋭意検討した結果、ICチップ実装用基板に該ICチップ実装用基板を貫通する光信号伝送用光路を設けることにより、上述した課題を解決することができることに想到し、下記の構成からなる本発明のICチップ実装用基板を完成させた。
さらに、ICチップ実装用基板と多層プリント配線板とからなる光通信用デバイスにおいて、上記ICチップ実装用基板と上記多層プリント配線板と少なくともいずれか一方に、光信号伝送用光路を所定の態様で形成することにより、優れた光信号伝送性を確保するとともに、高密度配線を達成することができることを見出し、本発明の光通信用デバイスを完成させた。
【0009】
すなわち、第一の本発明のICチップ実装用基板は、基板の両面に導体回路と層間絶縁層とが積層形成され、最外層にソルダーレジスト層が形成されるとともに、光学素子が実装されたICチップ実装用基板であって、
上記ICチップ実装用基板を貫通する光信号伝送用光路が配設されていることを特徴とする。
【0010】
第一の本発明のICチップ実装用基板において、上記光信号伝送用光路は、空隙により構成されているか、または、樹脂組成物および空隙により構成されていることが望ましい。
【0011】
また、第一の本発明のICチップ実装用基板において、上記光信号伝送用光路は、空隙とその周囲の導体層とにより構成されているか、または、樹脂組成物および空隙とこれらの周囲の導体層とにより構成されていることも望ましい。
【0012】
また、上記ICチップ実装用基板において、上記光学素子の実装位置は、ICチップ実装用基板の表面であることが望ましく、上記光学素子は、受光素子および/または発光素子であることが望ましい。
また、上記ICチップ実装用基板の表面には、電子部品が実装されていることが望ましい。
【0013】
また、上記ICチップ実装用基板において、上記光信号伝送用光路の端部には、マイクロレンズが配設されていることが望ましく、上記光信号伝送用光路の断面の径は、100〜500μmであることが望ましい。
【0014】
また、上記ICチップ実装用基板において、上記基板を挟んだ導体回路間がスルーホールを介して接続され、上記層間絶縁層を挟んだ導体回路間がバイアホールを介して接続されていることが望ましい。
【0015】
また、第二の本発明のICチップ実装用基板の製造方法は、
(a)基板の両面に導体回路と層間絶縁層とを順次積層形成し、多層配線板とする多層配線板製造工程と、
(b)上記多層配線板に貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、
(c)上記(b)の工程で形成した貫通孔に連通した開口を有するソルダーレジスト層を形成するソルダーレジスト層形成工程と
を含むことを特徴とする。
【0016】
上記ICチップ実装用基板の製造方法は、上記(b)の工程で形成した貫通孔の壁面を粗化面にする粗化面形成工程を含むことが望ましい。
また、上記ICチップ実装用基板の製造方法は、上記(b)の工程で形成した貫通孔の壁面に導体層を形成する導体層形成工程を含むことが望ましい。
【0017】
また、上記ICチップ実装用基板の製造方法は、上記(b)の工程で形成した貫通孔内に未硬化の樹脂組成物を充填する樹脂組成物充填工程を含むことが望ましい。
また、上記ICチップ実装用基板の製造方法は、上記(c)の工程で形成した開口の端部にマイクロレンズを配設するマイクロレンズ配設工程を含むことが望ましい。
【0018】
第三の本発明の光通信用デバイスは、ICチップ実装用基板と多層プリント配線板とからなる光通信用デバイスであって、
上記ICチップ実装用基板には、該ICチップ実装用基板を貫通する光信号伝送用光路が形成されていることを特徴とする。
【0019】
第四の本発明の光通信用デバイスは、ICチップ実装用基板と多層プリント配線板とからなる光通信用デバイスであって、
上記多層プリント配線板は、基板と導体回路とを含んで構成されており、
上記多層プリント配線板には、少なくとも基板を貫通する光信号伝送用光路が形成されていることを特徴とする。
【0020】
第五の本発明の光通信用デバイスは、ICチップ実装用基板と多層プリント配線板とからなる光通信用デバイスであって、
上記ICチップ実装用基板には、該ICチップ実装用基板を貫通する光信号伝送用光路が形成されており、
上記多層プリント配線板は、基板と導体回路とを含んで構成されており、
上記多層プリント配線板には、少なくとも基板を貫通する光信号伝送用光路が形成されていることを特徴とする。
【0021】
第三〜第五の本発明の光通信用デバイスにおいて、上記光信号伝送用光路は、空隙により構成されているか、または、樹脂組成物および空隙により構成されていることが望ましい。
【0022】
また、第三〜第五の本発明の光通信用デバイスにおいて、上記光信号伝送用光路は、空隙とその周囲の導体層とにより構成されているか、または、樹脂組成物および空隙とこれらの周囲の導体層とにより構成されていることも望ましい。
【0023】
また、上記光通信用デバイスにおいて、上記光信号伝送用光路の端部には、マイクロレンズが配設されていることが望ましい。
また、上記光通信用デバイスにおいて、上記光信号伝送用光路の断面の径は、100〜500μmであることが望ましい。
【0024】
また、上記光通信用デバイスにおいて、上記ICチップ実装用基板には、光学素子が実装されており、上記光学素子の実装位置は、ICチップ実装用基板の表面であることが望ましい。
上記光学素子は、受光素子および/または発光素子であることが望ましい。
【0025】
また、上記光通信用デバイスにおいて、上記ICチップ実装用基板は、導体回路、層間絶縁層および上記層間絶縁層を挟んだ導体回路間を接続するバイアホールを含んで構成されていることが望ましい。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、第一の本発明のICチップ実装用基板について説明する。
第一の本発明のICチップ実装用基板は、基板の両面に導体回路と層間絶縁層とが積層形成され、最外層にソルダーレジスト層が形成されるとともに、光学素子が実装されたICチップ実装用基板であって、
上記ICチップ実装用基板を貫通する光信号伝送用光路が配設されていることを特徴とする。
【0027】
第一の本発明のICチップ実装用基板は、光学素子が実装されるとともに、該ICチップ実装用基板を貫通する光信号伝送用光路が配設されているため、上記光信号伝送用光路を介して、上記光学素子の入出力信号を伝送することができる。
【0028】
また、該ICチップ実装用基板にICチップを実装した場合、ICチップと光学素子との距離が短く、電気信号伝送の信頼性に優れる。具体的には、光学素子が受光素子である場合には、大容量の光信号の処理を正確に、かつ、速く行うことができ、光学素子が発光素子である場合には、外部への光信号の発信を迅速に行うことができる。
また、ICチップを実装した第一の本発明のICチップ実装用基板では、光通信に必要な電子部品や光学素子を一体化することができるため、光通信用端末機器の小型化に寄与することができる。
【0029】
また、光学素子が表面実装されている場合は、上記ICチップ実装用基板の導体回路や層間絶縁層を形成した後、光学素子を実装するため、該導体回路や層間絶縁層等を形成する際の熱処理時には、光学素子は未実装であり、熱処理時に起こりうる位置ずれは発生することがない。
さらに、光学素子が表面実装されている場合には、一の光学素子に不都合が発生した場合、その光学素子のみを取り替えればよく、経済的に有利である。
【0030】
また、第一の本発明のICチップ実装用基板では、光学素子を実装する際に、該光学素子の位置合わせを光信号伝送用光路を基準として光学的処理や機械的処理により行うことができるため、正確に、かつ、所望の位置に光学素子を実装することができる。
【0031】
また、上述したような光信号伝送用光路が形成されている第一の本発明のICチップ実装用基板では、光学素子を実装する場合、該光学素子の実装位置の自由度が高まることとなり、ICチップ実装用基板の配線の高密度化をはかることができる。これは、光学素子の実装位置の自由度が高まることにより、ICチップ実装用基板の設計においてフリースペースが広くなるからである。
なお、上記フリースペースとは、導体回路を形成したり、コンデンサ等の電子部品を実装したりする領域をいう。
【0032】
第一の本発明のICチップ実装用基板では、該ICチップ実装用基板を貫通する光信号伝送用光路が配設されている。
このような光信号伝送用光路が配設されたICチップ実装用基板では、上記ICチップ実装用基板の両面に実装した光学素子同士の情報の授受を、この光信号伝送用光路を介して光信号により行うことができる。
また、上記ICチップ実装用基板では、その一の面側に光学素子を表面実装し、他の面側を別の光学素子を実装した外部基板と半田等を介して接続することにより、第一の本発明のICチップ実装用基板に実装した光学素子と上記外部基板に実装した光学素子との間の情報の授受を、光信号伝送用光路を介して光信号により行うことができる。
【0033】
上記光信号伝送用光路は、空隙により構成されていることが望ましい。光信号伝送用光路が空隙により形成されている場合には、その形成が容易であるとともに、該光信号伝送用光路を介した光信号の伝送において、伝送損失が発生しにくい。なお、上記光信号伝送用光路の構成を空隙とするか否かは、ICチップ実装用基板の厚さ等を考慮して適宜決定すればよい。
【0034】
また、上記光信号伝送用光路は、樹脂組成物および空隙により構成されていることも望ましい。上記光信号伝送用光路が樹脂組成物および空隙により構成されている場合には、ICチップ実装用基板の強度の低下を防ぐことができる。
なお、上記光信号伝送用光路が樹脂組成物および空隙により構成されている場合には、基板および層間絶縁層を貫通する部分に形成された光信号伝送用光路が樹脂組成物により構成され、ソルダーレジスト層に形成された光信号伝送用光路が空隙により構成されていることが望ましい。通常、基板や層間絶縁層は樹脂との密着性が高く、ソルダーレジスト層は樹脂との密着性が低いからである。
【0035】
また、上記光信号伝送用光路は、樹脂組成物により構成されていることも望ましい。上記光信号伝送用光路が樹脂組成物により構成されている場合には、ICチップ実装用基板の強度の低下を防止することができる。
また、光信号伝送用光路が樹脂組成物により構成されていると、該光信号伝送用光路内にゴミや異物等が入り込むことを防止することができるため、ゴミや異物等の存在に起因して光信号の伝送が阻害されることを防止することができる。
【0036】
また、上述したような構成の光信号伝送用光路、すなわち、空隙および/または樹脂組成物から構成される光信号伝送用光路では、熱処理工程や信頼性試験下において、熱等による悪影響(例えば、光信号伝送用光路の断面の径が小さくなる等)が発生しにくい。
【0037】
上記光信号伝送用光路の一部または全部が樹脂組成物で構成されている場合、その樹脂成分としては、通信波長帯での吸収が少ないものであれば特に限定されず、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、感光性樹脂、熱硬化性樹脂の一部が感光性化された樹脂等が挙げられる。
具体的には、例えば、エポキシ樹脂、UV硬化性エポキシ樹脂、ポリオレフィン系樹脂、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、重水素化PMMA、重水素フッ素化PMMA等のアクリル樹脂、フッ素化ポリイミド等のポリイミド樹脂、重水素化シリコーン樹脂等のシリコーン樹脂、ベンゾシクロブテンから製造されるポリマー等が挙げられる。
【0038】
また、上記樹脂組成物には、上記樹脂成分以外に、例えば、樹脂粒子、無機粒子、金属粒子等の粒子が含まれていてもよい。これらの粒子を含ませることにより光信号伝送用光路と、基板、層間絶縁層、ソルダーレジスト層等との間で熱膨張係数の整合を図ることができ、また、粒子の種類によっては難燃性を付与することもできる。
上記樹脂粒子としては、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、感光性樹脂、熱硬化性樹脂の一部が感光性化された樹脂、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との樹脂複合体、感光性樹脂と熱可塑性樹脂との複合体等が挙げられる。
【0039】
具体的には、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリフェニレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂等の熱硬化性樹脂;これらの熱硬化性樹脂の熱硬化基(例えば、エポキシ樹脂におけるエポキシ基)にメタクリル酸やアクリル酸等を反応させ、アクリル基を付与した樹脂;フェノキシ樹脂、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリスルフォン(PSF)、ポリフェニレンスルホン(PPS)、ポリフェニレンサルファイド(PPES)、ポリフェニルエーテル(PPE)、ポリエーテルイミド(PI)等の熱可塑性樹脂;アクリル樹脂等の感光性樹脂等が挙げられる。
また、上記熱硬化性樹脂と上記熱可塑性樹脂との樹脂複合体や、上記アクリル基を付与した樹脂や上記感光性樹脂と上記熱可塑性樹脂との樹脂複合体を用いることもできる。
また、上記樹脂粒子としては、ゴムからなる樹脂粒子を用いることもできる。
【0040】
また、上記無機粒子としては、例えば、アルミナ、水酸化アルミニウム等のアルミニウム化合物、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム等のカルシウム化合物、炭酸カリウム等のカリウム化合物、マグネシア、ドロマイト、塩基性炭酸マグネシウム等のマグネシウム化合物、シリカ、ゼオライト等のケイ素化合物、チタニア等のチタン化合物等が挙げられる。
また、上記無機粒子として、リンやリン化合物からなるものを用いることもできる。
【0041】
上記金属粒子としては、例えば、Au、Ag、Cu、Pd、Ni、Pt、Fe、Zn、Pb、Al、Mg、Ca、Ti等が挙げられる。
これらの樹脂粒子、無機粒子および金属粒子の粒子は、それぞれ単独で用いても良いし、2種以上併用してもよい。
【0042】
また、上記樹脂粒子等の粒子の形状は特に限定されず、例えば、球状、楕円球状、破砕状、多面体状等が挙げられる。
また、上記粒子の粒径(粒子の一番長い部分の長さ)は、通信波長より短いことが望ましい。粒径が通信波長より長いと光信号の伝送を阻害することがあるからである。
【0043】
また、上記光信号伝送用光路の形状は特に限定されず、例えば、円柱状、楕円柱状、四角柱状、多角柱状等が挙げられる。これらのなかでは、円柱状が望ましい。その形成が容易だからである。
【0044】
また、上記光信号伝送用光路の断面の径は、望ましい下限が100μmであり、望ましい上限が500μmである。上記断面の径が100μm未満では、光路が塞がれてしまうおそれがあるとともに、該光信号伝送用光路の少なくとも一部が樹脂組成物から構成されている場合、未硬化の樹脂組成物を充填することが困難である。一方、上記断面の径を500μmより大きくしても光信号の伝送性はあまり向上せず、ICチップ実装用基板を構成する導体回路等の設計の自由度を阻害する原因となることがあるからである。
より望ましい断面の径は、下限が250μmであり、上限が350μmである。光信号の伝送性と設計の自由度とがともに優れ、また、未硬化の樹脂組成物を充填する際にも不都合が発生しないからである。
なお、上記光信号伝送用光路の断面の径とは、上記光信号伝送用光路が円柱状の場合にはその断面の直径、楕円柱状の場合にはその断面の長径、四角柱状や多角柱状の場合にはその断面の最も長い部分の長さをいう。
【0045】
上記光信号伝送用光路は、空隙とその周囲の導体層とから構成されていることが望ましい。
また、上記光信号伝送用光路は、樹脂組成物とその周囲の導体層とから構成されていることも望ましい。
また、上記光信号伝送用光路は、樹脂組成物および空隙とこれらの周囲の導体層とから構成されていることも望ましい。
なお、上記導体層が形成される場合、該導体層は、樹脂組成物および/または空隙の周囲全体に形成されていてもよいし、周囲の一部にのみ形成されていてもよい。
【0046】
このように、光信号伝送用光路に導体層を形成することにより、光信号伝送用光路の壁面での光の乱反射を低減し、光信号の伝送性を向上させることができる。上記導体層は、1層から形成されていてもよく、2層以上から構成されていてもよい。
上記導体層の材料としては、例えば、銅、ニッケル、クロム、チタン、貴金属等が挙げられる。
また、上記導体層は、場合によっては、スルーホールとしての役目、即ち、基板を挟んだ導体回路間や、基板と層間絶縁層とを挟んだ導体回路間を電気的に接続する役目を果たすことができる。
【0047】
上記導体層の材料としては、ニッケル、貴金属等の光沢を有する金属が望ましい。光沢を有する金属からなる導体層を形成した場合、光信号の損失がより少なく、また、光信号の伝送が阻害されることもより少ないため、光信号は光信号伝送用光路を介してより確実に伝送されることとなるからである。
【0048】
また、上記導体層の上に、さらに、スズ、チタン、亜鉛等からなる被覆層や粗化層を設けてもよい。光信号伝送用光路を介して伝送される光信号の種類(波長等)によっては、光信号伝送用光路の壁面における光の乱反射を抑えることが望ましい場合があり、上記被覆層や上記粗化層を設けて、該壁面における光の乱反射を低減することにより、光信号の伝送性を向上させることができる場合がある。また、光信号伝送用光路の壁面に上記粗化層等を形成することにより、光信号伝送用光路と基板や層間絶縁層との密着性をより向上させることができる。
【0049】
また、上記樹脂組成物により構成される光信号伝送用光路(空隙および樹脂組成物により構成される光信号伝送用光路のうちの樹脂組成物かちなる部分を含む)や上記導体層は、基板や層間絶縁層と粗化面を介して接していてもよい。上記光信号伝送用光路等が、粗化面を介して接している場合には、基板や層間絶縁層との密着性に優れ、光信号伝送用光路等の剥離がより発生しにくいからである。
【0050】
上記ICチップ実装用基板においては、上記光信号伝送用光路として、受光用光信号伝送用光路と発光用光信号伝送用光路と両方が形成されていてもよいし、どちらか一方のみが形成されていてもよい。従って、上記ICチップ実装用基板においては、複数の光信号伝送用光路が形成されていてもよい。
上記受光用光信号伝送用光路とは、光ファイバや光導波路等を介して伝送されてきた外部からの光信号を受光素子へと伝えるためのものであり、上記発光用光信号伝送用光路とは、発光素子から発信された光信号を外部の光ファイバや光導波路等に伝送するためのものある。
また、上記ICチップ実装用基板においては、通信波長ごとに光信号伝送用光路が形成されていてもよい。
【0051】
また、第一の本発明のICチップ実装用基板には、受光素子や発光素子等の光学素子が実装されている。
上記受光素子としては、例えば、PD(フォトダイオード)、APD(アバランシェフォトダイオード)等が挙げられる。
これらは、上記ICチップ実装用基板の構成や、要求特性等を考慮して適宜使い分ければよい。
上記受光素子の材料としては、Si、Ge、InGaAs等が挙げられる。
これらのなかでは、受光感度に優れる点からInGaAsが望ましい。
【0052】
上記発光素子としては、例えば、LD(半導体レーザ)、DFB−LD(分布帰還型−半導体レーザ)、LED(発光ダイオード)等が挙げられる。
これらは、上記ICチップ実装用基板の構成や要求特性等を考慮して適宜使い分ければよい。
【0053】
上記発光素子の材料としては、ガリウム、砒素およびリンの化合物(GaAsP)、ガリウム、アルミニウムおよび砒素の化合物(GaAlAs)、ガリウムおよび砒素の化合物(GaAs)、インジウム、ガリウムおよび砒素の化合物(InGaAs)、インジウム、ガリウム、砒素およびリンの化合物(InGaAsP)等が挙げられる。
これらは、通信波長を考慮して使い分ければよく、例えば、通信波長が0.85μm帯の場合にはGaAlAsを使用することができ、通信波長が1.3μm帯や1.55μm帯の場合には、InGaAsやInGaAsPを使用することができる。
【0054】
また、上記光学素子の実装位置は、ICチップ実装用基板の表面であることが望ましい。上述したように、光学素子がICチップ実装用基板の表面に実装されている場合、一の光学素子に不都合が発生した際に、その光学素子のみを取り替えればよいからである。上記光学素子は、フリップチップ型のものが望ましい。その取り替えが容易であり、また、実装時にセルフアライメント作用により所望の位置に実装しやすいからである。
また、光学素子の実装位置がICチップ実装用基板の表面であれば、上述したように、光信号伝送用光路を原点に光学素子の位置合わせを行うことができる。
【0055】
さらに、光学素子の実装位置がICチップ実装用基板の表面である場合には、従来の光学素子内蔵パッケージ基板で発生していた、光学素子の位置ずれが発生するという問題を回避することができる。
従来のICチップ実装用基板では、予め、受光素子や発光素子等の光学素子を実装するエリアを基板に形成しておき、この基板に光学素子を取り付けた後、埋め込み樹脂を充填、硬化すること等により光学素子を実装していた。このような方法で光学素子を実装した場合、該光学素子は、層間絶縁層やソルダーレジスト層の硬化処理、半田ペーストのリフロー処理等の際に受ける熱、基板の反りやめっき処理時の揺動に起因する応力等の影響により位置ずれが発生しやすかった。
さらに、光学素子の実装を接着剤や半田を用いて行った場合には、後工程の熱履歴により、この接着剤や半田が軟化し、これに伴って、光学素子の位置ずれが発生することがあった。
しかしながら、光学素子をICチップ実装用基板の表面に実装した場合には、このような応力や位置ずれが発生する問題を回避することができる。従来のものと比べて、ICチップ実装用基板の強度が保たれているからである。
【0056】
なお、光学素子をICチップ実装用基板の表面に実装する場合、光学素子を実装する面は、ICチップを実装する面と同一の面であってもよいし、これとは反対側の面であってもよい。また、ICチップ実装用基板に複数個の光学素子を実装する場合には、全てが同一の面に実装されていなくてもよい。
【0057】
また、上記ICチップ実装用基板の表面には、コンデンサ等の電子部品も実装されていてもよい。上記光学素子の場合と同様、不都合の発生した部品のみを取り替えることができるからである。
【0058】
また、上記ICチップ実装用基板では、基板を挟んだ導体回路間がスルーホールを介して接続され、前記層間絶縁層を挟んだ導体回路間がバイアホールを介して接続されていることが望ましい。
ICチップ実装用基板の高密度化をはかることができるからである。
さらに、導体回路やバイアホールの形成位置を適宜選択することにより、ICチップや光学素子等の熱膨張係数の差に起因して発生した応力を緩和することができるからである。
【0059】
次に、第一の本発明のICチップ実装用基板の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、第一の本発明のICチップ実装用基板の一実施形態を模式的に示す断面図である。なお、図1では、ICチップが実装された状態のICチップ実装用基板を示す。
【0060】
図1に示すように、ICチップ用実装基板120は、基板121の両面に導体回路124と層間絶縁層122とが積層形成され、基板121を挟んだ導体回路間、および、層間絶縁層122を挟んだ導体回路間は、それぞれ、スルーホール129およびバイアホール127により電気的に接続されている。また、最外層にはソルダーレジスト層134が形成されている。
【0061】
また、このICチップ用実装基板120では、導体回路124や層間絶縁層122、ソルダーレジスト層134が形成された基板121を貫通する光信号伝送用光路142が形成されており、光信号伝送用光路142は、樹脂組成物142aおよび空隙142bとその周囲に形成された導体層145とから構成されている。ICチップ実装用基板120に実装された光学素子(受光素子138および発光素子139)の入出力信号は、光信号伝送用光路を介して伝送されることとなる。
なお、光信号伝送用光路は空隙または樹脂組成物により形成されていてもよいし、その周囲に導体層が形成されていなくてもよい。
【0062】
ICチップ用実装基板120の一の面には、受光部138aおよび発光部139aのそれぞれが光信号伝送用光路142に対向するように、受光素子138および発光素子139が半田接続部144を介して表面実装されるとともに、ICチップ140が半田接続部143を介して表面実装されている。また、ICチップ実装用基板120の他の面のソルダーレジスト層134には、半田バンプ137が形成されている。
【0063】
このような構成からなるICチップ実装用基板120において、光ファイバや光導波路等(図示せず)を介して外部から送られてきた光信号は、光信号伝送用光路142を介して受光素子138(受光部138a)で受信した後、受光素子138で電気信号に変換され、さらに、半田接続部143、144、導体回路124、バイアホール127、スルーホール129等を介してICチップ140に送られることとなる。
【0064】
また、ICチップ140から送り出された電気信号は、半田接続部143、144、導体回路124、バイアホール127、スルーホール129等を介して発光素子139に送られた後、発光素子139で光信号に変換され、発光素子139(発光部139a)から発信した光信号は、光信号伝送用光路142を介して外部の光学素子(光ファイバや光導波路等)に送り出されることとなる。
【0065】
第一の本発明のICチップ実装用基板では、ICチップに近い位置に実装された受光素子および発光素子において、光/電気信号変換を行うため、電気信号の伝送距離が短く、信号伝送の信頼性に優れ、より高速通信に対応することができる。
【0066】
また、ICチップ実装用基板120では、ソルダーレジスト層134に半田バンプ137が形成されているため、ICチップから送り出された電気信号は、上述したように光信号に変換された後、光信号伝送用光路142等を介して外部に送りだされるだけでなく、半田バンプを介しても外部基板に送られることとなる。
【0067】
このように半田バンプが形成されている場合には、上記ICチップ実装用基板を外部基板と半田バンプを介して接続することができ、この場合には、半田が有するセルフアライメント作用により上記ICチップ実装用基板を所定の位置に配置することができる。
【0068】
なお、上記セルフアラインメント作用とは、ソルダーレジスト層が半田をはじくため、リフロー処理時に半田が自己の有する流動性により半田バンプ形成用開口の中央付近により安定な形状で存在しようとする作用をいう。このセルフアライメント作用を利用した場合、上記半田バンプを介して、上記ICチップ実装用基板を外部基板に接続する際に、リフロー前には両者に位置ズレが発生していたとしても、リフロー時に上記ICチップ実装用基板が移動し、該ICチップ実装用基板を外部基板上の正確な位置に取り付けることができる。
従って、上記ICチップ実装用基板に実装された受光素子や発光素子と、外部の光学素子とを光信号伝送用光路を介して、光信号の伝送を行う場合に、上記ICチップ実装用基板に実装された受光素子や発光素子の実装位置が正確であれば、上記ICチップ実装用基板と上記外部基板との間で正確な光信号の伝送を行うことができる。
【0069】
また、第一の本発明のICチップ実装用基板では、上記光信号伝送用光路の端部にマイクロレンズが配設されていることが望ましい。光信号の伝送損失をより抑えることができるからである。
【0070】
上記マイクロレンズとしては特に限定されず、通常光学レンズに使用されているもの等が挙げられ、その材質の具体例としては、光学ガラス、光学レンズ用樹脂等が挙げられる。上記光学レンズ用樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等の後述する光導波路に用いるポリマー材料と同様のもの等が挙げられる。
【0071】
以下、光信号伝送用光路の端部にマイクロレンズが配設されたICチップ実装用基板について図面を参照しながら説明する。
図2は、第一の本発明のICチップ実装用基板の別の一実施形態を模式的に示す断面図である。なお、図2では、ICチップが実装された状態のICチップ実装用基板を示す。
図2に示すICチップ実装用基板1120では、樹脂組成物142aおよび空隙142bと導体層145とから構成される光信号伝送用光路142の端部に、マイクロレンズ146a、146bが接着材層147a、147bを介して配設されている。
このように、マイクロレンズを配設することにより、光信号の伝送損失を抑えることができる。
なお、ICチップ実装用基板1120の実施形態は、マイクロレンズ146a、146bを配設した以外は、図1に示したICチップ実装用基板120の実施形態と同一である。
【0072】
また、ICチップ実装用基板1120では、発光素子139に対向するマイクロレンズ146bは、光信号伝送用光路142の発光素子139側に配設されているが、マイクロレンズの配設位置は、光信号伝送用光路142の発光素子139側と反対側であってもよい。
なお、受光素子138に対向するマイクロレンズ146aは、図2のように、光信号伝送用光路142の受光素子138側と反対側に配設されていることが望ましい。
【0073】
なお、マイクロレンズの配設位置は、光信号伝送用光路の端部に限定されるわけではなく、例えば、樹脂組成物および空隙、または、樹脂組成物および空隙とこれらの周囲の導体層とから構成される光信号伝送用光路にマイクロレンズが配設される場合には、その配設位置は、樹脂組成物の端部であってもよい。この場合、マイクロレンズの配設位置は、光信号伝送用光路の内部となることもある。
このような構成からなる第一の本発明のICチップ実装用基板は、例えば、第二の本発明のICチップ実装用基板の製造方法を用いて製造することができる。
【0074】
次に、第二の本発明のICチップ実装用基板の製造方法について説明する。
第二の本発明のICチップ実装用基板の製造方法は、
(a)基板の両面に導体回路と層間絶縁層とを順次積層形成し、多層配線板とする多層配線板製造工程と、
(b)上記多層配線板に貫通孔を形成する貫通孔形成工程と、
(c)上記(b)の工程で形成した貫通孔に連通した開口を有するソルダーレジスト層を形成するソルダーレジスト層形成工程と
を含むことを特徴とする。
【0075】
第二の本発明の製造方法で製造されたICチップ実装用基板では、上記(b)工程で形成した貫通孔と、上記(c)の工程で形成した貫通孔に連通した開口とが光信号伝送用光路としての役割を果たすこととなるため、第一の本発明のICチップ実装用基板、即ち、ICチップ実装用基板を貫通する光信号伝送用光路を介して光学素子の入出力信号の伝送を行うICチップ実装用基板を好適に製造することができる。
【0076】
まず、上記(a)の工程、即ち、多層配線板を製造する多層配線板製造工程について工程順に説明する。具体的には、例えば、下記(1)〜(9)の工程を経ることにより多層配線板を製造することができる。
(1)絶縁性基板を出発材料とし、まず、該絶縁性基板上に導体回路を形成する。
上記絶縁性基板としては、例えば、ガラスエポキシ基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、ビスマレイミド−トリアジン(BT)樹脂基板、熱硬化性ポリフェニレンエーテル基板、銅張積層板、RCC基板等が挙げられる。
また、窒化アルミニウム基板等のセラミック基板や、シリコン基板を用いてもよい。
上記導体回路は、例えば、上記絶縁性基板の表面に無電解めっき処理等によりベタの導体層を形成した後、エッチング処理を施すことにより形成することができる。また、銅張積層板やRCC基板にエッチング処理を施すことにより形成してもよい。
【0077】
また、上記絶縁性基板を挟んだ導体回路間の接続をスルーホールにより行う場合には、例えば、上記絶縁性基板にドリルやレーザ等を用いてスルーホール用貫通孔を形成した後、無電解めっき処理等を施すことによりスルーホールを形成しておく。なお、上記スルーホール用貫通孔の直径は、通常、100〜300μmである。
また、スルーホールを形成した場合には、該スルーホール内に樹脂充填材を充填することが望ましい。
【0078】
(2)次に、必要に応じて、導体回路の表面に粗化形成処理を施す。
上記粗化形成処理としては、例えば、黒化(酸化)−還元処理、第二銅錯体と有機酸塩とを含むエッチング液等を用いたエッチング処理、Cu−Ni−P針状合金めっきによる処理等を挙げることができる。
ここで、粗化面を形成した場合、該粗化面の平均粗度は、通常、0.1〜5μmが望ましく、導体回路と層間絶縁層との密着性、導体回路の電気信号伝送能に対する影響等を考慮すると2〜4μmがより望ましい。
なお、この粗化形成処理は、スルーホール内に樹脂充填材を充填する前に行い、スルーホールの壁面にも粗化面を形成してもよい。スルーホールと樹脂充填材との密着性が向上するからである。
【0079】
(3)次に、導体回路を形成した基板上に、熱硬化性樹脂、感光性樹脂、熱硬化性樹脂の一部がアクリル化された樹脂や、これらと熱可塑性樹脂と含む樹脂複合体からなる未硬化の樹脂層を形成するか、または、熱可塑性樹脂からなる樹脂層を形成する。
上記未硬化の樹脂層は、未硬化の樹脂をロールコーター、カーテンコーター等により塗布したり、未硬化(半硬化)の樹脂フィルムを熱圧着したりすることにより形成することができる。
また、上記熱可塑性樹脂からなる樹脂層は、フィルム状に成形した樹脂成形体を熱圧着することにより形成することができる。
【0080】
これらのなかでは、未硬化(半硬化)の樹脂フィルムを熱圧着する方法が望ましく、樹脂フィルムの圧着は、例えば、真空ラミネータ等を用いて行うことができる。
また、圧着条件は特に限定されず、樹脂フィルムの組成等を考慮して適宜選択すればよいが、通常は、圧力0.25〜1.0MPa、温度40〜70℃、真空度13〜1300Pa、時間10〜120秒程度の条件で行うことが望ましい。
【0081】
上記熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリフェニレン樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。
上記エポキシ樹脂の具体例としては、例えば、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型等のノボラック型エポキシ樹脂や、ジシクロペンタジエン変成した脂環式エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0082】
上記感光性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂等が挙げられる。
また、上記熱硬化性樹脂の一部をアクリル化した樹脂としては、例えば、上記した熱硬化性樹脂の熱硬化基とメタクリル酸やアクリル酸とをアクリル化反応させたもの等が挙げられる。
【0083】
上記熱可塑性樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂、ポリエーテルスルフォン(PES)、ポリスルフォン(PSF)、ポリフェニレンスルフォン(PPS)ポリフェニレンサルファイド(PPES)、ポリフェニレンエーテル(PPE)ポリエーテルイミド(PI)等が挙げられる。
【0084】
また、上記樹脂複合体としては、熱硬化性樹脂や感光性樹脂(熱硬化性樹脂の一部をアクリル化した樹脂も含む)と熱可塑性樹脂とを含むものであれば特に限定されず、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂との具体的な組み合わせとしては、例えばフェノール樹脂/ポリエーテルスルフォン、ポリイミド樹脂/ポリスルフォン、エポキシ樹脂/ポリエーテルスルフォン、エポキシ樹脂/フェノキシ樹脂等が挙げられる。また、感光性樹脂と熱可塑性樹脂との具体的な組み合わせとしては、例えば、アクリル樹脂/フェノキシ樹脂、エポキシ基の一部をアクリル化したエポキシ樹脂/ポリエーテルスルフォン等が挙げられる。
【0085】
また、上記樹脂複合体における熱硬化性樹脂や感光性樹脂と熱可塑性樹脂との配合比率は、熱硬化性樹脂または感光性樹脂/熱可塑性樹脂=95/5〜50/50が望ましい。耐熱性を損なうことなく、高い靱性値を確保することができるからである。
【0086】
また、上記樹脂層は、2層以上の異なる樹脂層から構成されていてもよい。
具体的には、例えば、下層が熱硬化性樹脂または感光性樹脂/熱可塑性樹脂=50/50の樹脂複合体から形成され、上層が熱硬化性樹脂または感光性樹脂/熱可塑性樹脂=90/10の樹脂複合体から形成されている等である。
このような構成にすることにより、基板との優れた密着性を確保するとともに、後工程でバイアホール用開口等を形成する際の形成容易性を確保することができる。
【0087】
また、上記樹脂層は、粗化面形成用樹脂組成物を用いて形成してもよい。
上記粗化面形成用樹脂組成物とは、例えば、酸、アルカリおよび酸化剤から選ばれる少なくとも1種からなる粗化液に対して難溶性の未硬化の耐熱性樹脂マトリックス中に、酸、アルカリおよび酸化剤から選ばれる少なくとも1種からなる粗化液に対して可溶性の物質が分散されたものである。
なお、上記「難溶性」および「可溶性」という語は、同一の粗化液に同一時間浸漬した場合に、相対的に溶解速度の早いものを便宜上「可溶性」といい、相対的に溶解速度の遅いものを便宜上「難溶性」と呼ぶ。
【0088】
上記耐熱性樹脂マトリックスとしては、層間絶縁層に上記粗化液を用いて粗化面を形成する際に、粗化面の形状を保持することができるものが好ましく、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、これらの複合体等が挙げられる。また、感光性樹脂を用いることにより、層間絶縁層に露光、現像処理を用いてバイアホール用開口を形成してもよい。
【0089】
上記熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂等が挙げられる。また、上記熱硬化性樹脂を感光化する場合は、メタクリル酸やアクリル酸等を用い、熱硬化基を(メタ)アクリル化反応させる。
【0090】
上記エポキシ樹脂としては、例えば、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、アルキルフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェノールF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、フェノール類とフェノール性水酸基を有する芳香族アルデヒドとの縮合物のエポキシ化物、トリグリシジルイソシアヌレート、脂環式エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。それにより、耐熱性等に優れるものとなる。
【0091】
上記熱可塑性樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂、ポリエーテルスルフォン、ポリスルフォン、ポリフェニレンスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニルエーテル、ポリエーテルイミド等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0092】
上記酸、アルカリおよび酸化剤から選ばれる少なくとも1種からなる粗化液に対して可溶性の物質は、無機粒子、樹脂粒子および金属粒子から選ばれる少なくとも1種であることが望ましい。
【0093】
上記無機粒子としては、例えば、アルミニウム化合物、カルシウム化合物、カリウム化合物、マグネシウム化合物、ケイ素化合物等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0094】
上記アルミニウム化合物としては、例えば、アルミナ、水酸化アルミニウム等が挙げられ、上記カルシウム化合物としては、例えば、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム等が挙げられ、上記カリウム化合物としては、例えば、炭酸カリウム等が挙げられ、上記マグネシウム化合物としては、例えば、マグネシア、ドロマイト、塩基性炭酸マグネシウム、タルク等が挙げられ、上記ケイ素化合物としては、例えば、シリカ、ゼオライト等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0095】
上記アルミナ粒子は、ふっ酸で溶解除去することができ、炭酸カルシウムは塩酸で溶解除去することができる。また、ナトリウム含有シリカやドロマイトはアルカリ水溶液で溶解除去することができる。
【0096】
上記樹脂粒子としては、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等からなるものが挙げられ、酸、アルカリおよび酸化剤から選ばれる少なくとも1種からなる粗化液に浸漬した場合に、上記耐熱性樹脂マトリックスよりも溶解速度の早いものであれば特に限定されず、具体的には、例えば、アミノ樹脂(メラミン樹脂、尿素樹脂、グアナミン樹脂等)、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、フェノキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリフェニレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、ビスマレイミド−トリアジン樹脂等挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
なお、上記樹脂粒子は予め硬化処理されていることが必要である。硬化させておかないと上記樹脂粒子が耐熱性樹脂マトリックスを溶解させる溶剤に溶解してしまうこととなるからである。
【0097】
また、上記樹脂粒子としては、ゴム粒子や液相樹脂、液相ゴム等を用いてもよい。
上記ゴム粒子としては、例えば、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、ポリクロロプレンゴム、ポリイソプレンゴム、アクリルゴム、多硫系剛性ゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、ABS樹脂等が挙げられる。
また、例えば、ポリブタジエンゴム、エポキシ変性、ウレタン変性、(メタ)アクリロニトリル変性等の各種変性ポリブタジエンゴム、カルボキシル基を含有した(メタ)アクリロニトリル・ブタジエンゴム等を使用してもよい。
【0098】
上記液相樹脂としては、上記熱硬化性樹脂の未硬化溶液を使用することができ、このような液相樹脂の具体例としては、例えば、未硬化のエポキシオリゴマーとアミン系硬化剤の混合液等が挙げられる。
上記液相ゴムとしては、例えば、上記したポリブタジエンゴム、エポキシ変性、ウレタン変性、(メタ)アクリロニトリル変性等の各種変性ポリブタジエンゴム、カルボキシル基を含有した(メタ)アクリロニトリル・ブタジエンゴム等の未硬化溶液等を使用することができる。
【0099】
上記液相樹脂や液相ゴムを用いて上記感光性樹脂組成物を調製する場合には、耐熱性樹脂マトリックスと可溶性の物質とが均一に相溶しない(つまり相分離するように)ように、これらの物質を選択する必要がある。
上記基準により選択された耐熱性樹脂マトリックスと可溶性の物質とを混合することにより、上記耐熱性樹脂マトリックスの「海」の中に液相樹脂または液相ゴムの「島」が分散している状態、または、液相樹脂または液相ゴムの「海」の中に、耐熱性樹脂マトリックスの「島」が分散している状態の感光性樹脂組成物を調製することができる。
そして、このような状態の感光性樹脂組成物を硬化させた後、「海」または「島」の液相樹脂または液相ゴムを除去することにより粗化面を形成することができる。
【0100】
上記金属粒子としては、例えば、金、銀、銅、スズ、亜鉛、ステンレス、アルミニウム、ニッケル、鉄、鉛等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
また、上記金属粒子は、絶縁性を確保するために、表層が樹脂等により被覆されていてもよい。
【0101】
上記可溶性の物質を、2種以上混合して用いる場合、混合する2種の可溶性の物質の組み合わせとしては、樹脂粒子と無機粒子との組み合わせが望ましい。両者とも導電性が低くいため、層間絶縁層の絶縁性を確保することができるとともに、難溶性樹脂との間で熱膨張の調整が図りやすく、粗化面形成用樹脂組成物からなる層間絶縁層にクラックが発生せず、層間絶縁層と導体回路との間で剥離が発生しないからである。
【0102】
上記粗化液として用いる酸としては、例えば、リン酸、塩酸、硫酸、硝酸や、蟻酸、酢酸等の有機酸等が挙げられるが、これらのなかでは有機酸を用いることが望ましい。粗化処理した場合に、バイアホールから露出する金属導体層を腐食させにくいからである。
上記酸化剤としては、例えば、クロム酸、クロム硫酸、アルカリ性過マンガン酸塩(過マンガン酸カリウム等)の水溶液等を用いることが望ましい。
また、上記アルカリとしては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水溶液が望ましい。
【0103】
上記可溶性の物質の平均粒径は、10μm以下が望ましい。
また、平均粒径が2μm以下の平均粒径の相対的に大きな粗粒子と平均粒径が相対的に小さな微粒子とを組み合わせて使用してもよい。即ち、平均粒径が0.1〜0.5μmの可溶性の物質と平均粒径が1〜2μmの可溶性の物質とを組み合わせる等である。
【0104】
このように、平均粒子と相対的に大きな粗粒子と平均粒径が相対的に小さな微粒子とを組み合わせることにより、薄膜導体層の溶解残渣をなくし、めっきレジスト下のパラジウム触媒量を少なくし、さらに、浅くて複雑な粗化面を形成することができる。
さらに、複雑な粗化面を形成することにより、粗化面の凹凸が小さくても実用的なピール強度を維持することができる。
上記粗粒子は平均粒径が0.8μmを超え2.0μm未満であり、微粒子は平均粒径が0.1〜0.8μmであることが望ましい。
【0105】
(4)次に、その材料として熱硬化性樹脂や樹脂複合体を用いた層間絶縁層を形成する場合には、未硬化の樹脂絶縁層に硬化処理を施すとともに、バイアホール用開口を形成し、層間絶縁層とする。また、この工程では、必要に応じて、スルーホール用貫通孔を形成してもよい。
上記バイアホール用開口は、レーザ処理により形成することが望ましい。また、層間絶縁層の材料として感光性樹脂を用いた場合には、露光現像処理により形成してもよい。
【0106】
また、その材料として熱可塑性樹脂を用いた層間絶縁層を形成する場合には、熱可塑性樹脂からなる樹脂層にバイアホール用開口を形成し、層間絶縁層とする。この場合、バイアホール用開口は、レーザ処理を施すことにより形成することができる。
また、この工程でスルーホール用貫通孔を形成する場合、該スルーホール用貫通孔は、ドリル加工やレーザ処理等により形成すればよい。
【0107】
上記レーザ処理に使用するレーザとしては、例えば、炭酸ガスレーザ、紫外線レーザ、エキシマレーザ等が挙げられる。これらのなかでは、エキシマレーザや短パルスの炭酸ガスレーザが望ましい。
【0108】
また、エキシマレーザのなかでも、ホログラム方式のエキシマレーザを用いることが望ましい。ホログラム方式とは、レーザ光をホログラム、集光レンズ、レーザマスク、転写レンズ等を介して目的物に照射する方式であり、この方式を用いることにより、一度の照射で樹脂フィルム層に多数の開口を効率的に形成することができる。
【0109】
また、炭酸ガスレーザを用いる場合、そのパルス間隔は、10-4〜10-8秒であることが望ましい。また、開口を形成するためのレーザを照射する時間は、10〜500μ秒であることが望ましい。
また、光学系レンズと、マスクとを介してレーザ光を照射することにより、一度に多数のバイアホール用開口を形成することができる。光学系レンズとマスクとを介することにより、同一強度で、かつ、照射強度が同一のレーザ光を複数の部分に照射することができるからである。
このようにしてバイアホール用開口を形成した後、必要に応じて、デスミア処理を施してもよい。
【0110】
(5)次に、バイアホール用開口の内壁を含む層間絶縁層の表面に、導体回路を形成する。
導体回路を形成するにあたっては、まず、層間絶縁層の表面に薄膜導体層を形成する。
上記薄膜導体層は、無電解めっき、スパッタリング等の方法により形成することができる。
【0111】
上記薄膜導体層の材質としては、例えば、銅、ニッケル、スズ、亜鉛、コバルト、タリウム、鉛等が挙げられる。
これらのなかでは、電気特性、経済性等に優れる点から銅や銅およびニッケルからなるものが望ましい。
また、上記薄膜導体層の厚さとしては、無電解めっきにより薄膜導体層を形成する場合には、0.3〜2.0μmが望ましく、0.6〜1.2μmがより望ましい。また、スパッタリングにより形成する場合には、0.1〜1.0μmが望ましい。
【0112】
また、上記薄膜導体層を形成する前に、層間絶縁層の表面に粗化面を形成しておいてもよい。粗化面を形成することにより、層間絶縁層と薄膜導体層との密着性を向上させることができる。特に、粗化面形成用樹脂組成物を用いて層間絶縁層を形成した場合には、酸や酸化剤等を用いて粗化面を形成することが望ましい。
【0113】
また、上記(4)の工程でスルーホール用貫通孔を形成した場合には、層間絶縁層上に薄膜導体層を形成する際に、貫通孔の壁面にも薄膜導体層を形成することによりスルーホールとしてもよい。
【0114】
(6)次いで、その表面に薄膜導体層が形成された基板の上にめっきレジストを形成する。
上記めっきレジストは、例えば、感光性ドライフィルムを張り付けた後、めっきレジストパターンが描画されたガラス基板等からなるフォトマスクを密着配置し、露光現像処理を施すことにより形成することができる。
【0115】
(7)その後、薄膜導体層をめっきリードとして電気めっきを行い、上記めっきレジスト非形成部に電気めっき層を形成する。上記電気めっきとしては、銅めっきが望ましい。
また、上記電気めっき層の厚さ、5〜20μmが望ましい。
【0116】
その後、上記めっきレジストと該めっきレジスト下の薄膜導体層を除去することにより導体回路(バイアホールを含む)を形成することができる。
上記めっきレジストの除去は、例えば、アルカリ水溶液等を用いて行えばよく、上記薄膜導体層の除去は、硫酸と過酸化水素との混合液、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、塩化第二鉄、塩化第二銅等のエッチング液を用いて行えばよい。
また、上記導体回路を形成した後、必要に応じて、層間絶縁層上の触媒を酸や酸化剤を用いて除去してもよい。電気特性の低下を防止することができるからである。
また、このめっきレジストを形成した後、電気めっき層を形成する方法(工程(6)および(7))に代えて、薄膜導体層上の全面に電気めっき層を形成した後、エッチング処理を施す方法を用いて導体回路を形成してもよい。
【0117】
また、上記(4)および(5)の工程においてスルーホールを形成した場合には、該スルーホール内に樹脂充填材を充填してもよい。
また、スルーホール内に樹脂充填材を充填した場合、必要に応じて、無電解めっきを行うことにより樹脂充填材層の表層部を覆う蓋めっき層を形成してもよい。
【0118】
(8)次に、蓋めっき層を形成した場合には、必要に応じて、該蓋めっき層の表面に粗化処理を行い、さらに、上記(3)および(4)の工程を繰り返すことにより層間絶縁層を形成する。なお、この工程では、スルーホールを形成してもよいし、形成しなくてもよい。
(9)さらに、必要に応じて、(5)〜(8)の工程を繰り返すことにより、導体回路と層間絶縁層とを積層形成してもよい。
【0119】
このような(1)〜(9)の工程を行うことにより、基板の両面に導体回路と層間絶縁層とが積層形成された多層配線板を製造することができる。
なお、ここで詳述した多層配線板の製造方法は、セミアディテブ法であるが、上記(a)の工程で製造する多層配線板の製造方法は、セミアディテブ法に限定されず、フルアディテブ法、サブトラクティブ法、一括積層法、コンフォーマル法等を用いて行うこともできる。
【0120】
第二の本発明のICチップ実装用基板の製造方法では、上記(a)の工程を経て、多層配線板を製造した後、上記(b)の工程、即ち、上記多層配線板に貫通孔を形成する貫通孔形成工程を行う。この工程で形成する貫通孔は、ICチップ実装用基板において光信号伝送用光路の役割を果たすこととなる。従って、この工程で形成する貫通孔を、以下、光路用貫通孔という。
【0121】
上記光路用貫通孔の形成は、例えば、ドリル加工やレーザ処理等により行う。
上記レーザ処理において使用するレーザとしては、上記バイアホール用開口の形成において使用するレーザと同様のもの等が挙げられる。
上記光路用貫通孔の形成位置は特に限定されず、導体回路の設計、ICチップの実装位置等を考慮して適宜選択すればよい。
また、上記光路用貫通孔は、受光素子や発光素子等の光学素子ごとに形成することが望ましい。また、信号波長ごとに形成してもよい。
【0122】
また、光路用貫通孔形成後、必要に応じて、デスミア処理を行ってもよい。
上記デスミア処理は、例えば、過マンガン酸溶液による処理や、プラズマ処理、コロナ処理等を用いて行うことができる。なお、上記デスミア処理を行うことにより、光路用貫通孔内の樹脂残り、バリ等を除去することができ、光信号伝送用光路の壁面での乱反射に起因した伝送損失を低下させることができる。
【0123】
また、光路用貫通孔形成後、下記工程で導体層を形成したり、未硬化の樹脂組成物を充填したりする前、必要に応じて、光路用貫通孔の壁面を粗化面とする粗化面形成工程を行ってもよい。導体層や樹脂組成物との密着性の向上をはかることができるからである。
上記粗化面の形成は、例えば、硫酸、塩酸、硝酸等の酸;クロム酸、クロム硫酸、過マンガン酸塩等の酸化剤等により、基板や層間絶縁層等の光路用貫通孔を形成した際に露出した部分を溶解することにより行うことができる。また、プラズマ処理やコロナ処理等により行うこともできる。
上記粗化面の平均粗度(Ra)は、0.5〜5μmが望ましく、1〜3μmがより望ましい。この範囲であれば、導体層や樹脂組成物との密着性に優れるともに、光信号の伝送に悪影響を及ぼさないからである。
【0124】
上記光路用貫通孔を形成した後には、必要に応じて、上記光路用貫通孔の壁面に導体層を形成する導体層形成工程を行ってもよい。
上記導体層の形成は、例えば、無電解めっき、スパッタリング等の方法により行うことができる。
具体的には、例えば、光路用貫通孔を形成した後、該光路用貫通孔の壁面に触媒核を付与し、その後、光路用貫通孔が形成された基板を無電解めっき浴に浸漬する方法等を用いることができる。
また、無電解めっきやスパッタリングを組み合わせて2層以上からなる導体層を形成してもよいし、無電解めっきやスパッタリングの後、電解めっきを行って2層以上からなる導体層を形成してもよい。
【0125】
このような導体層形成工程においては、上記光路用貫通孔の壁面に導体層を形成するとともに、上記(a)の工程で形成した層間絶縁層上に、最外層の導体回路を形成することが望ましい。
具体的には、まず、無電解めっき等により光路用貫通孔の壁面に導体層を形成する際に、層間絶縁層の表面全体にも導体層を形成する。
【0126】
次に、この層間絶縁層表面に形成した導体層上にめっきレジストを形成する。めっきレジストの形成は、例えば、感光性ドライフィルムを張り付けた後、めっきレジストパターンが描画されたガラス基板等からなるフォトマスクを密着載置し、露光現像処理を施すことにより形成する。
【0127】
さらに、上記層間絶縁層上に形成した導体層をめっきリードとして電解めっきを行い、上記めっきレジスト非形成部に電気めっき層を形成し、その後、上記めっきレジストと該めっきレジスト下の導体層を除去することにより層間絶縁層上に独立した導体回路を形成する。
【0128】
また、上記導体層を形成した後、上記導体層の壁面に粗化層を形成してもよい。上記粗化層の形成は、例えば、黒化(酸化)−還元処理、第二銅錯体と有機酸塩とを含むエッチング液等を用いたエッチング処理、Cu−Ni−P針状合金めっきによる処理等を用いて行うことができる。
また、粗化層に代えて、または、粗化層とともに被覆層を形成してもよい。
【0129】
また、上記光路用貫通孔を形成した後、必要に応じて、該貫通孔に未硬化の樹脂組成物を充填する樹脂充填工程を行ってもよい。
未硬化の樹脂組成物を充填した後、硬化処理を施すことにより、その少なくとも一部が樹脂組成物により構成される光信号伝送用光路を形成することができる。具体的な未硬化の樹脂組成物の充填方法としては特に限定されず、例えば、印刷やポッティング等の方法を用いることができる。
なお、未硬化の樹脂組成物の充填を印刷により行う場合、未硬化の樹脂組成物は一回で印刷してもよいし、2回以上に分けて印刷してもよい。また、多層配線板の両面から印刷を行ってもよい。
【0130】
また、未硬化の樹脂組成物の充填を行う際には、上記光路用貫通孔の内積よりも少し多い量の未硬化の樹脂組成物を充填し、充填終了後、光路用貫通孔から溢れた余分な樹脂組成物を除去してもよい。
上記余分な樹脂組成物の除去は、例えば、研磨等により行うことができる。また、余分な樹脂組成物を除去する場合、樹脂組成物の状態は半硬化状態であっても良いし、完全に硬化した状態であってもよく、樹脂組成物の材料等を考慮して適宜選択すればよい。
【0131】
このような貫通孔形成工程と、必要に応じて行う、粗化面形成工程、導体層形成工程、および、樹脂組成物充填工程を経ることにより上記(a)の工程を経て製造した多層配線板に光信号伝送用光路を形成することができる。
また、上記導体層形成工程を行う際に、層間絶縁層の表面にも導体層を形成し、上述した処理を行うことにより独立した導体回路を形成することができる。勿論、上記導体層を形成工程を行わない場合であっても、上述した方法により層間絶縁層の表面に導体回路を形成することができる。
【0132】
次に、上記(c)の工程、即ち、上記(b)の工程で形成した光路用貫通孔に連通した開口を有するソルダーレジスト層を形成するソルダーレジスト層形成工程を行う。
具体的には、例えば、下記(1)および(2)の工程を行うことによりソルダーレジスト層を形成することができる。
【0133】
(1)まず、光路用貫通孔を形成した多層配線板の最外層にソルダーレジスト組成物の層を形成する。
上記ソルダーレジスト組成物の層は、例えば、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリオレフィン樹脂、フッ素樹脂、熱可塑性エラストマー、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂等からなるソルダーレジスト組成物を用いて形成することができる。
【0134】
また、上記以外のソルダーレジスト組成物としては、例えば、ノボラック型エポキシ樹脂の(メタ)アクリレート、イミダゾール硬化剤、2官能性(メタ)アクリル酸エステルモノマー、分子量500〜5000程度の(メタ)アクリル酸エステルの重合体、ビスフェノール型エポキシ樹脂等からなる熱硬化性樹脂、多価アクリル系モノマー等の感光性モノマー、グリコールエーテル系溶剤などを含むペースト状の流動体が挙げられ、その粘度は25℃で1〜10Pa・sに調整されていることが望ましい。
また、上記ソルダーレジスト組成物からなるフィルムを圧着してソルダーレジスト組成物の層を形成してもよい。特に、光路用貫通孔が空隙により構成されている場合は、フィルムを圧着してソルダーレジスト組成物の層を形成することが望ましい。
【0135】
(2)次に、上記ソルダーレジスト組成物の層に、上記光路用貫通孔に連通した開口(以下、光路用開口ともいう)を形成する。
具体的には、例えば、露光現像処理やレーザ処理等により形成することができる。
また、上記光路用開口を形成する際には、同時に、半田バンプ形成用開口を形成することが望ましい。なお、上記光路用開口を形成と、上記半田バンプ形成用開口の形成とは、別々に行ってもよい。
また、ソルダーレジスト層を形成する際に、予め、所望の位置に開口を有する樹脂フィルムを作製し、該樹脂フィルムを張り付けることにより、光路用開口と半田バンプ形成用開口とを有するソルダーレジスト層を形成してもよい。
【0136】
また、この工程では、光路用開口を形成した後、該光路用開口に未硬化の樹脂組成物を充填し、その後、硬化処理を施すことにより樹脂組成物、または、樹脂組成物とその周囲の導体層により構成される光信号伝送用光路を形成することができる。なお、ここで充填する未硬化の樹脂組成物は、上記(b)の工程で充填した未硬化と樹脂組成物と同様の組成からなるものが望ましい。
【0137】
また、上記未硬化の樹脂組成物を充填する方法としては特に限定されず、上記(b)の工程で光路用貫通孔に未硬化の樹脂組成物を充填する際に用いた方法と同様の方法等を用いることができる。
なお、この工程で未硬化の樹脂組成物を充填する場合、上記(b)の工程で先に、光路用貫通孔内に未硬化の樹脂組成物を充填しておくことが望ましいが、上記(b)の工程においては、未硬化の樹脂組成物の充填は行わず、この工程で、光路用開口を形成した後、該光路用開口と上記光路用貫通孔とに、同時に未硬化の樹脂組成物を充填してもよい。
【0138】
このような(1)および(2)の工程を経ることにより、光路用貫通孔の形成された多層配線板上に、該光路用貫通孔と連通した開口を有するソルダーレジスト層を形成することができる。
【0139】
また、上記光路用貫通孔と上記光路用開口とを形成した後、必要に応じて、該光路用開口の端部にマイクロレンズを配設するマイクロレンズ配設工程を行ってもよい。
上記マイクロレンズの配設は、光学レンズを接着剤層を介して取り付けることにより行うことが望ましい。
【0140】
また、光学レンズ用樹脂を用いてマイクロレンズの配設を行う場合には、上記光光路用開口の端部に、未硬化の光学レンズ用樹脂を適量滴下し、この未硬化の光学レンズ用樹脂に硬化処理を施すことによりマイクロレンズを配設することができる。従って、この場合には、上記光路用開口内に樹脂組成物が充填されていることが望ましい。
このような方法を用いる場合、未硬化の光学レンズ用樹脂の滴下は、例えば、ディスペンサー、インクジエット、マイクロピペット、マイクロシリンジ等の装置を用いて行うことができる。また、これらの装置を用いて滴下した未硬化の光学レンズ用樹脂は、表面張力により球形になろうとするため、光路用開口の端部(樹脂組成物の端部)で半球状となり、硬化後、この半球状の光学レンズ用樹脂がマイクロレンズとなる。
また、光学レンズ用樹脂からなるマイクロレンズの直径や曲面の形状等は、樹脂組成物と未硬化の光学レンズ用樹脂との塗れ性等を考慮しながら、適宜未硬化の光学レンズ用樹脂の粘度等を調整することで制御することができる。
【0141】
なお、樹脂組成物および空隙、または、樹脂組成物および空隙とこれらの周囲の導体層とから構成される光信号伝送用光路にマイクロレンズを配設する場合には、樹脂組成物の端部にマイクロレンズを配設してもよく、この場合、マイクロレンズの配設位置は、光信号伝送用光路の端部に限定されない。
【0142】
また、上記(a)〜(c)の工程を行う第二の本発明の製造方法では、多層配線板を製造した後、該多層配線板に光路用貫通孔を形成し、その後、ソルダーレジスト層の形成を行っているが、第一の本発明のICチップ実装用基板を製造する際には、場合によっては、多層配線板を製造した後、先に、ソルダーレジスト層の形成を行い、その後、光信号伝送用光路を形成するための貫通孔を形成してもよい。
【0143】
第二の本発明のICチップ実装用基板の製造方法では、このような(a)〜(c)の工程を行った後、例えば、下記の方法を用いて、半田パッドや半田バンプの形成、光学素子の実装を行うことによりICチップ実装用基板を製造することができる。
【0144】
即ち、上記半田バンプ形成用開口を形成することにより露出した導体回路部分を、必要に応じて、ニッケル、パラジウム、金、銀、白金等の耐食性金属により被覆し、半田パッドとする。これらのなかでは、ニッケル−金、ニッケル−銀、ニッケル−パラジウム、ニッケル−パラジウム−金等の金属により被覆層を形成することが望ましい。
上記被覆層は、例えば、めっき、蒸着、電着等により形成することができるが、これらのなかでは、被覆層の均一性に優れるという点からめっきにより形成することが望ましい。
【0145】
さらに、上記半田パッドに相当する部分に開口部が形成されたマスクを介して、上記半田パッドに半田ペーストを充填した後、リフローすることにより半田バンプを形成する。
【0146】
さらに、ソルダーレジスト層に光学素子(受光素子および発光素子)を実装する。光学素子の実装は、例えば、上記半田バンプを介して行うことができる。また、例えば、上記半田バンプを形成する際に、半田ペーストを充填した時点で光学素子を取りつけておき、リフローと同時に光学素子の実装を行ってもよい。
また、半田に代えて、導電性接着剤等を用いて光学素子を実装してもよい。
このような工程を経ることにより、第一の本発明のICチップ実装用基板を製造することができる。
【0147】
次に、第三の本発明の光通信用デバイスについて説明する。
第三の本発明の光通信用デバイスは、ICチップ実装用基板と多層プリント配線板とからなる光通信用デバイスであって、
上記ICチップ実装用基板には、該ICチップ実装用基板を貫通する光信号伝送用光路が形成されていることを特徴とする。
【0148】
第三の本発明の光通信用デバイスでは、上記ICチップ実装用基板に形成された光信号伝送用光路を介して光信号の伝送を行うことができる。
【0149】
上記光通信用デバイスを構成するICチップ実装用基板としては、該ICチップ実装用基板を貫通する光信号伝送用光路が形成されているものであれば特に限定されないが、上述した第一の本発明のICチップ実装用基板が望ましい。ICチップ実装用基板として、第一の本発明のICチップ実装用基板を用いることにより、上述した種々の効果を得ることができるからである。
【0150】
なお、上記した形状の光信号伝送用光路が形成されているICチップ実装用基板としては、RCCタイプ基板等を用いてもよい。
【0151】
また、第一の本発明のICチップ実装用基板では、最外層にソルダーレジスト層が形成されているが、第三の本発明の光通信用デバイスを構成するICチップ実装用基板では、最外層にソルダーレジスト層が形成されていなくてもよい。ただし、ICチップ実装用基板の最外層にソルダーレジスト層が形成されている場合には、多層プリント配線板と半田バンプ等を介して接続する際や、光学素子を表面実装する際に、セルフアライメント作用による位置合わせの効果を得ることができる。
【0152】
上記光通信用デバイスを構成する多層プリント配線板としては、例えば、基板と導体回路とを含んで構成され、さらに、光導波路が形成されたもの等が挙げられる。
このような多層プリント配線板では、光導波路を介して光信号の伝送を行うことができる。
また、上記多層プリント配線板では、上記ICチップ実装用基板との間(例えば、上記ICチップ実装用基板に実装された光学素子との間)で、光信号の伝送を行うことができるように、必要に応じて、光信号伝送用光路が形成されていてもよい。
【0153】
上記光導波路の材料としては、例えば、石英ガラス、化合物半導体、ポリマー材料等が挙げられる。これらのなかでは、加工性に優れるとともに、多層プリント配線板の層間絶縁層との密着性に優れ、低コストである点からポリマーが望ましい。
【0154】
上記ポリマー材料としては、従来公知のものを用いることができ、具体的には、例えば、PMMA(ポリメチルメタクリレート)、重水素化PMMA、重水素フッ素化PMMA等のアクリル樹脂;フッ素化ポリイミド等のポリイミド樹脂;エポキシ樹脂;UV硬化性エポキシ樹脂;重水素化シリコーン樹脂等のシリコーン樹脂;ベンゾシクロブテンから製造されるポリマー等が挙げられる。
【0155】
また、上記光導波路の厚さは1〜50μmが望ましく、その幅は1〜50μmが望ましい。
また、上記ICチップ実装用基板に受光素子および発光素子が実装されており、上記多層プリント配線板において、上記受光素子および発光素子に対向するそれぞれの位置に光導波路が形成されている場合には、上記受光素子に対向する位置に形成された光導波路と、上記発光素子に対向する位置に形成された光導波路とは同一の材料からなるものであることが望ましい。
【0156】
また、上記光導波路には、光路変換ミラーが形成されていることが望ましい。光路変換ミラーを形成することにより、光路を所望の角度に変更することが可能だからである。
上記光路変換ミラーの形成は、後述するように、例えば、光導波路の一端を研削することにより行うことができる。
【0157】
また、上記多層プリント配線板は、電気信号を伝達するための半田バンプが形成されていることが望ましい。これにより、外部電子部品や外部基板との間で電気信号の伝送を行うことができるからである。
また、半田バンプが形成されている場合には、ICチップ実装用基板と多層プリント配線板とを半田バンプを介して接続することにより、ICチップ実装用基板に実装された受光素子や発光素子と、多層プリント配線板に形成された光導波路とが対向する所定の位置に両者を配置することができる。半田のセルフアライメント作用を利用することができるからである。なお、上記ICチップ実装用基板と上記多層プリント配線板とがPGAやBGAを介して接続されている場合にも同様の効果を得ることができる。
【0158】
以上説明したように、第三の本発明の光通信用デバイスは、上述したような光信号伝送用光路が形成されたICチップ実装用基板と、多層プリント配線板とからなるものであれば特に限定されないが、受光素子および発光素子が実装されたICチップ実装用基板と、光導波路が形成された多層プリント配線板とからなり、上記受光素子および発光素子と光導波路との間で光信号伝送用光路を介して光信号を伝送することができるように構成されたものであることが望ましい。
【0159】
第三の本発明の光通信用デバイスの実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図3は、第三の本発明の光通信用デバイスの一実施形態を模式的に示す断面図である。なお、図3では、ICチップが実装された状態の光通信用デバイスを示す。
【0160】
図3に示すように、第三の本発明の光通信用デバイス250は、ICチップ240を実装したICチップ実装用基板220と多層プリント配線板200とから構成され、ICチップ実装用基板220と多層プリント配線板200とは、半田接続部241を介して電気的に接続されている。
【0161】
ICチップ実装用基板220は、基板221の両面に導体回路224と層間絶縁層222とが積層形成され、基板221を挟んだ導体回路同士、および、層間絶縁層222を挟んだ導体回路同士は、それぞれ、スルーホール229およびバイアホール227により電気的に接続されている。
また、ICチップ実装用基板220には、これを貫通する光信号伝送用光路251が形成されており、この光信号伝送用光路251は、その壁面の一部に導体層251bが形成され、さらに、その内部の一部に樹脂組成物251aが充填されている。従って、光信号伝送用光路251は、樹脂組成物および空隙とこれらの周囲の導体層とから構成されている。
【0162】
また、ICチップ実装用基板220では、ICチップ240が実装された側の面に受光素子238および発光素子239が実装され、光信号伝送用光路251を介して、受光素子238や発光素子239と光導波路219(219a、219b)との間で光信号を伝送することができるように構成されている。
さらに、ICチップ用実装基板220の最外層には、半田バンプを備えたソルダーレジスト層234が形成されている。
【0163】
多層プリント配線板200は、基板201の両面に導体回路204と層間絶縁層202とが積層形成され、基板201を挟んだ導体回路同士、および、層間絶縁層202を挟んだ導体回路同士は、それぞれ、スルーホール209およびバイアホール207により電気的に接続されている。
また、多層プリント配線板200のICチップ用実装基板220と対向する側の最外層には、光路用開口211と半田バンプとを備えたソルダーレジスト層214が形成されるとともに、光路用開口211(211a、211b)直下に光変換ミラー219(219a、219b)を備えた光導波路218(218a、218b)が形成されている。
【0164】
このような構成からなる光通信用デバイス250では、光ファイバ(図示せず)を介して外部から送られてきた光信号が、光導波路218aに導入され、光路変換ミラー219a、光路用開口211aおよび光信号伝送用光路251を介して受光素子238(受光部238a)に送られた後、受光素子238で電気信号に変換され、さらに、半田接続部242、導体回路224、バイアホール227、および、半田接続部243を介してICチップ240に送られることとなる。
【0165】
また、ICチップ240から送り出された電気信号は、半田接続部243、バイアホール227、導体回路224、および、半田接続部242を介して発光素子239に送られた後、発光素子239で光信号に変換され、この光信号が発光素子239(発光部239a)から光信号伝送用光路251、光路用開口211bおよび光変換ミラー219b介して光導波路218bに導入され、さらに、光ファイバ(図示せず)を介して光信号として外部に送りだされることとなる。
【0166】
第三の本発明の光通信用デバイスでは、ICチップ実装用基板の表面、即ち、ICチップに近い位置で、光/電気信号変換を行うため、電気信号の伝送距離が短く、より高速通信に対応することができる。
また、ICチップから送り出された電気信号は、上述したように光信号に変換された後、光ファイバを介して外部に送りだされるだけでなく、半田接続部を介して多層プリント配線板に送られ、該多層プリント配線板の導体回路(バイアホール、スルーホールを含む)を介して、多層プリント配線板に実装された他のICチップ等の電子部品に送られることとなる。
また、このような構成からなる光通信用デバイス250では、ICチップ実装用基板に実装した受光素子および発光素子、ならびに、多層プリント配線板に形成した光導波路に位置ズレが発生しにくいため、光信号の接続信頼性に優れることとなる。
【0167】
なお、図3に示した多層プリント配線板における光導波路の形成位置は、ICチップ実装用基板に近い側の最外層の層間絶縁層上であるが、第三の本発明のICチップ実装用基板を構成する多層プリント配線板において、光導波路の形成位置はここに限定されるわけではなく、層間絶縁層同士の間であってもよいし、基板上であってもよい。
【0168】
次に、第三の本発明の光通信用デバイスを製造する方法について説明する。
上記光通信用デバイスの製造は、例えば、まず、ICチップ実装用基板と多層プリント配線板とを別々に製造し、その後、両者を半田等を介して接続することにより行うことができる。
従って、ここでは、まず、ICチップ実装用基板と多層プリント配線板とのそれぞれを製造する方法について説明し、その後、両者を接続する方法について説明する。
【0169】
上記ICチップ実装用基板を製造する方法としては、例えば、第一の本発明のICチップ実装用基板を製造する方法と同様の方法等を用いることができる。
なお、第三の本発明の光通信用デバイスを構成するICチップ実装用基板は、上述したように、必ずしもソルダーレジスト層が形成されている必要がない。従って、ソルダーレジスト層が形成されていないICチップ実装用基板を製造する場合には、第二の本発明のICチップ実装用基板の製造方法において、(c)の工程を行わなければよい。
【0170】
上記多層プリント配線板を製造する方法としては、例えば、下記(1)〜(6)の工程を行う方法等を用いることができる。
(1)第二の本発明のICチップ実装用基板の製造方法の(a)の工程と同様の方法を用いて多層配線板を製造する。
【0171】
(2)次に、上記多層配線板の層間絶縁層上の導体回路非形成部に光導波路を形成する。
上記光導波路の形成は、その材料に石英ガラス等の無機材料を用いて行う場合には、予め、所定の形状に成形しておいた光導波路を接着剤を介して取り付けることにより行うことができる。
上記無機材料からなる光導波路は、例えば、LiNbO、LiTaO等の無機材料を液相エピタキシャル法、化学堆積法(CVD)、分子線エピタキシャル法等により成膜させることにより形成することができる。
【0172】
また、上記光導波路をポリマー材料を用いて形成する場合は、予め、基板や離型フィルム上でフィルム状に形成しておいた光導波路形成用フィルムを層間絶縁層上に張り付けたり、層間絶縁層に直接形成することにより、光導波路を形成することができる。
具体的には、選択重合法、反応性イオンエッチングとフォトリソグラフィーとを用いる方法、直接露光法、射出成形を用いる方法、フォトブリーチング法、これらを組み合わせた方法等を用いて形成することができる。
なお、これらの方法は、光導波路を基板や離型フィルム上に形成する場合にも、層間絶縁層上に形成する直接形成する場合にも用いることができる。
【0173】
また、上記光導波路には、光路変換ミラーを形成する。
上記光路変換ミラーは、光導波路を層間絶縁層上に取り付ける前に形成しておいてもよいし、層間絶縁層上に取り付けた後に形成してもよいが、該光導波路を層間絶縁層上に直接形成する場合を除いて、予め光路変換ミラーを形成しておくことが望ましい。作業を容易に行うことができ、また、多層プリント配線板を構成する他の部材、例えば、導体回路や層間絶縁層等を傷付けたり、これらを破損させたりするおそれがないからである。
【0174】
上記光路変換ミラーを形成する方法としては特に限定されず、従来公知の形成方法を用いることができる。具体的には、例えば、先端がV形90°のダイヤモンドソーや刃物による機械加工、反応性イオンエッチングによる加工、レーザアブレーション等を用いることができる。
【0175】
(3)次に、光導波路を形成した多層配線板の最外層にソルダーレジスト層を形成する。上記ソルダーレジスト層は、例えば、上記ICチップ実装用基板のソルダーレジスト層を形成する際に用いる樹脂組成物と同様の樹脂組成物を用いて形成することができる。なお、上記ソルダーレジスト層の形成は必要に応じて行えばよい。
【0176】
(4)次に、ICチップ実装用基板と対向する側のソルダーレジスト層に半田バンプ形成用開口と光路用開口とを形成する。
上記半田バンプ形成用開口と光路用開口との形成は、ICチップ実装用基板に半田バンプ形成用開口を形成する方法と同様の方法、即ち、露光現像処理やレーザ処理等を用いて行うことができる。
なお、上記半田バンプ形成用開口の形成と、光路用開口の形成とは同時に行ってもよいし、別々に行ってもよい。
【0177】
これらのなかでは、ソルダーレジスト層を形成する際に、その材料として感光性樹脂を含む樹脂組成物を塗布し、露光現像処理を施すことにより半田バンプ形成用開口と光路用開口とを形成する方法を選択することが望ましい。
露光現像処理により光路用開口を形成する場合には、開口形成時に、該光路用開口の下に存在する光導波路に傷を付けるおそれがないからである。
また、ソルダーレジスト層を形成する際に、予め、所望の位置に開口を有する樹脂フィルムを作製し、該樹脂フィルムを張り付けることにより、半田バンプ形成用開口と光路用開口とを有するソルダーレジスト層を形成してもよい。
【0178】
また、必要に応じて、ICチップ実装用基板と対向する面と反対側のソルダーレジスト層にも半田バンプ形成用開口を形成してもよい。
後工程を経ることにより、ICチップ実装用基板と対向する面と反対側のソルダーレジスト層にも外部接続端子を形成することができるからである。
【0179】
また、この工程では、光路用開口を形成した後、該光路用開口に樹脂組成物を充填してもよい。なお、上記光路用開口内に充填する樹脂組成物としては、第二の本発明のICチップ実装用基板の製造方法において、光路用貫通孔に充填する樹脂組成物と同様のもの等が挙げられる。
【0180】
(5)次に、上記半田バンプ形成用開口を形成することにより露出した導体回路部分を、必要に応じて、ニッケル、スズ、パラジウム、金、銀、白金等の耐食性金属により被覆し、半田パッドとする。具体的には、ICチップ実装用基板に半田パッドを形成する方法と同様の方法を用いて行えばよい。
【0181】
(6)次に、上記半田パッドに相当する部分に開口部が形成されたマスクを介して、上記半田パッドに半田ペーストを充填した後、リフローすることにより半田バンプを形成する。なお、場合によっては、PGAやBGAを形成してもよい。また、ICチップ実装用基板と対向する面と反対側のソルダーレジスト層では、外部基板接続面に、ピンを配設したり、半田ボールを形成したりすることにより、PGA(Pin Grid Array)やBGA(Ball Grid Array)としてもよい。
このような工程を経ることにより、第三の本発明の光通信用デバイスを構成する多層プリント配線板を製造することができる。
【0182】
次に、上記した方法で製造したICチップ実装用基板と多層プリント配線板とを用い、光通信用デバイスを製造する方法について説明する。
まず、上記ICチップ実装用基板の半田バンプと、上記多層プリント配線板の半田バンプとにより半田接続部を形成し、両者を電気的に接続する。
即ち、ICチップ実装用基板と多層プリント配線板とをそれぞれ所定の位置に、所定の向きで対向配置し、その後、リフローすることにより両者を接続し、光通信用デバイスとすることができる。
【0183】
また、この工程では、ICチップ実装用基板と多層プリント配線板とを両者の半田バンプを用いて接続するため、両者を対向配置した際に、両者の間で若干の位置ズレが存在していても、リフロー時に半田によるセルフアライメント効果で両者を所定の位置に配置することができる。
なお、上記ICチップ実装用基板および多層プリント配線板のそれぞれの対向する面のうち、どちらか一方の面にのみ半田バンプが形成されていてもよい。この場合も両者を電気的に接続することができるからである。
【0184】
次に、上記ICチップ実装用基板にICチップを実装し、その後、必要に応じて、樹脂封止を行う。
上記ICチップの実装は従来公知の方法で行うことができる。なお、ICチップは、上述したように、フリップチップ接続により実装することができるものが望ましい。
また、ICチップの実装を、ICチップ実装用基板と多層プリント配線板とを接続する前に行い、ICチップを実装したICチップ実装用基板と多層プリント配線板とを接続してもよい。
このような工程を経ることにより、第三の本発明の光通信用デバイスを製造することができる。
【0185】
次に、第四の本発明の光通信用デバイスについて説明する。
第四の本発明の光通信用デバイスは、ICチップ実装用基板と多層プリント配線板とからなる光通信用デバイスであって、
上記多層プリント配線板は、基板と導体回路とを含んで構成されており、
前記多層プリント配線板には、少なくとも基板を貫通する光信号伝送用光路が形成されていること特徴とする。
【0186】
第四の本発明の光通信用デバイスでは、上記多層プリント配線板に形成された光信号伝送用光路を介して光信号の伝送を行うことができる。
【0187】
上記光通信用デバイスを構成するICチップ実装用基板としては特に限定されず、例えば、第一の本発明のICチップ実装用基板等が挙げられる。
また、第四の本発明の光通信用デバイスを構成するICチップ実装用基板には、必ずしも光信号伝送用光路が形成されている必要はない。従って、上記ICチップ実装用基板に受光素子や発光素子等の光学素子を実装する場合には、ICチップ実装用基板の多層プリント配線板と対向する側に、半田や導電性接着剤等を介して取り付ければよい。この場合、ICチップ実装用基板に光信号伝送用光路が形成されていなくても、受光素子や発光素子と多層プリント配線板に形成した光導波路との間で光信号の伝送を行うことができる。また、光学素子がICチップ実装用基板の多層プリント配線板と対向する側に実装されている場合も、該光学素子は、ICチップ実装用基板の表面に実装されていることが望ましい。
【0188】
また、第四の本発明の光通信用デバイスを構成するICチップ実装用基板は、導体回路、層間絶縁層および上記層間絶縁層を挟んだ導体回路間を接続するバイアホールを含んで構成されていることが望ましい。ICチップ実装用基板の高密度化をはかることができるからである。
なお、上記ICチップ実装用基板としては、RCCタイプ基板等を用いてもよい。
【0189】
また、上記ICチップ実装用基板では、最外層にソルダーレジスト層が形成されていなくてもよい。ただし、ICチップ実装用基板の最外層にソルダーレジスト層が形成されている場合には、多層プリント配線板と半田バンプ等を介して接続する際や、光学素子を表面実装する際に、セルフアライメント作用による位置合わせの効果を得ることができる。
【0190】
また、第四の本発明の光通信用デバイスを構成する多層プリント配線板は、基板と導体回路とを含んで構成されており、さらに、少なくとも上記基板を貫通する光信号伝送用光路が形成されたものである。
このような多層プリント配線板では、上記光信号伝送用光路を介して、外部基板(ICチップ実装用基板)との間で光信号の授受を行うことができる。
【0191】
また、上述したような光信号伝送用光路が形成されている多層プリント配線板では、光導波路を形成する場合、該光導波路の形成位置の自由度が高まることとなり、多層プリント配線板の高密度化をはかることができる。これは、光導波路の形成位置の自由度が高まることにより、多層プリント配線板の設計においてフリースペースが広くなるからである。
【0192】
また、上記多層プリント配線板では、光導波路を形成する場合、該光導波路の位置合わせを光信号伝送用光路を基準として光学的処理や機械的処理により行うことができるため、正確に、かつ、所望の位置に光導波路を形成することができる。
【0193】
上記光信号伝送用光路は、空隙により構成されていることが望ましい。光信号伝送用光路が空隙により形成されている場合には、その形成が容易であるとともに、該光信号伝送用光路を介した光信号の伝送において、伝送損失が発生しにくい。なお、上記光信号伝送用光路の構成を空隙とするか否かは、基板の厚さ等を考慮して適宜決定すればよい。
【0194】
また、上記光信号伝送用光路は、樹脂組成物および空隙により構成されていることも望ましい。上記光信号伝送用光路が樹脂組成物および空隙により構成されている場合には、多層プリント配線板の強度の低下を防ぐことができる。
【0195】
また、上記光信号伝送用光路は、樹脂組成物により構成されていることも望ましい。上記光信号伝送用光路が樹脂組成物により構成されている場合には、ICチップ実装用基板の強度の低下を防止することができる。
また、光信号伝送用光路が樹脂組成物により構成されていると、該光信号伝送用光路内にゴミや異物等が入り込むことを防止することができるため、ゴミや異物等の存在に起因して光信号の伝送が阻害されることを防止することができる。
【0196】
また、上述したような構成の光信号伝送用光路、すなわち、空隙および/または樹脂組成物から構成される光信号伝送用光路では、熱処理工程や信頼性試験下において、熱等による悪影響(例えば、光信号伝送用光路の断面の径が小さくなる等)が発生しにくい。
【0197】
上記光信号伝送用光路の一部または全部が樹脂組成物で構成されている場合、該樹脂組成物としては、例えば、第一の本発明のICチップ実装用基板おいて、光信号伝送用光路を構成する樹脂組成物と同様のもの等が挙げられる。
【0198】
上記光信号伝送用光路の形状は特に限定されず、例えば、円柱状、楕円柱状、四角柱状、多角柱状等が挙げられる。これらのなかでは、円柱状が望ましい。その形成が容易だからである。
【0199】
また、上記光信号伝送用光路の断面の径は、望ましい下限が100μmであり、望ましい上限が500μmである。上記断面の径が100μm未満では、光路が塞がれてしまうおそれがあるとともに、該光信号伝送用光路の少なくとも一部が樹脂組成物から構成されている場合、未硬化の樹脂組成物を充填することが困難である。一方、上記断面の径を500μmより大きくしても光信号の伝送性はあまり向上せず、多層プリント配線板を構成する導体回路等の設計の自由度を阻害する原因となることがあるからである。
より望ましい断面の径は、下限が250μmであり、上限が350μmである。光信号の伝送性と設計の自由度とがともに優れ、また、未硬化の樹脂組成物を充填する際にも不都合が発生しないからである。
【0200】
上記光信号伝送用光路は、空隙とその周囲の導体層とから構成されていることが望ましい。
また、上記光信号伝送用光路は、樹脂組成物とその周囲の導体層とから構成されていることも望ましい。
また、上記光信号伝送用光路は、樹脂組成物および空隙とこれらの周囲の導体層とから構成されていることも望ましい。
なお、上記導体層が形成されている場合、該導体層は、樹脂組成物および/または空隙の周囲全体に形成されていてもよいし、周囲の一部にのみ形成されていてもよい。
【0201】
このように、光信号伝送用光路に導体層を形成することにより、光信号伝送用光路の壁面での光の乱反射を低減し、光信号の伝送性を向上させることができる。上記導体層は、1層から形成されていてもよく、2層以上から構成されていてもよい。
上記導体層の材料としては、例えば、銅、ニッケル、クロム、チタン、貴金属等が挙げられる。
また、上記導体層は、場合によっては、スルーホールとしての役目、即ち、基板を挟んだ導体回路間や、基板と層間絶縁層とを挟んだ導体回路間を電気的に接続する役目を果たすことができる。
【0202】
上記導体層の材料としては、ニッケル、貴金属等の光沢を有する金属が望ましい。光沢を有する金属からなる導体層を形成した場合、光信号の損失がより少なく、また、光信号の伝送が阻害されることもより少ないため、光信号は光信号伝送用光路を介して確実に伝送されることとなるからである。
【0203】
また、上記導体層の上に、さらに、スズ、チタン、亜鉛等からなる被覆層や粗化層を設けてもよい。光信号伝送用光路を介して伝送される光信号の種類(波長等)によっては、光信号伝送用光路の壁面における光の乱反射を抑えることが望ましい場合があり、上記被覆層や上記粗化層を設けて、該壁面における光の乱反射を低減することにより、光信号の伝送性を向上させることができる場合がある。また、光信号伝送用光路の壁面に上記粗化層等を形成することにより、光信号伝送用光路と基板や層間絶縁層との密着性をより向上させることができる。
【0204】
また、上記樹脂組成物により構成される光信号伝送用光路(空隙および樹脂組成物により構成される光信号伝送用光路のうちの樹脂組成物からなる部分を含む)や上記導体層は、基板や層間絶縁層と粗化面を介して接していてもよい。上記光信号伝送用光路等が、粗化面を介して接している場合には、基板や層間絶縁層との密着性に優れ、光信号伝送用光路等の剥離がより発生しにくいからである。
【0205】
上記多層プリント配線板においては、上記光信号伝送用光路として、受光用光信号伝送用光路と発光用光信号伝送用光路と両方が形成されていてもよいし、どちらか一方のみが形成されていてもよい。従って、上記多層プリント配線板においては、複数の光信号伝送用光路が形成されていてもよい。
また、上記多層プリント配線板においては、通信波長ごとに光信号伝送用光路が形成されていてもよい。
【0206】
上記多層プリント配線板に形成した光信号伝送用光路の端部、特に、ICチップ実装用基板と対向する側の端部には、マイクロレンズが配設されていることが望ましい。光信号の伝送損失をより低減することができるからである。
上記マイクロレンズとしては、例えば、第一の本発明のICチップ実装用基板において、光信号伝送用光路の端部に形成するマイクロレンズと同様のもの等が挙げられる。
【0207】
また、上記多層プリント配線板には、光導波路が形成されていることが望ましい。
このような多層プリント配線板では、光信号伝送用光路および光導波路を介して光信号の伝送を行うことができる。
上記光導波路としては、例えば、第三の本発明の光通信用デバイスを構成する多層プリント配線板に形成される光導波路と同様のもの等が挙げられる。
【0208】
また、上記光導波路には、第三の本発明の光通信用デバイスを構成する多層プリント配線板と同様、光路変換ミラーが形成されていることが望ましい。
【0209】
また、上記多層プリント配線板は、導体回路、層間絶縁層および上記層間絶縁層を挟んだ導体回路間を接続するバイアホールを含んで構成されていてもよい。このような構成とすることにより、多層プリント配線板の高密度化をはかることができる。
【0210】
また、上記多層プリント配線板は、電気信号を伝達するための半田バンプが形成されていることが望ましい。これにより、外部電子部品や外部基板との間で電気信号の伝送を行うことができるからである。
また、半田バンプが形成されている場合には、ICチップ実装用基板と多層プリント配線板とを半田バンプを介して接続することにより、ICチップ実装用基板に実装された受光素子や発光素子と、多層プリント配線板に形成された光導波路とが対向する所定の位置に両者を配置することができる。半田のセルフアライメント作用を利用することができるからである。なお、上記ICチップ実装用基板と上記多層プリント配線板とがPGAやBGAを介して接続されている場合にも同様の効果を得ることができる。
【0211】
以上説明したように、第四の本発明の光通信用デバイスは、ICチップ実装用基板と、上述したような光信号伝送用光路が形成された多層プリント配線板とからなるものであれば特に限定されないが、受光素子および発光素子が実装されたICチップ実装用基板と、光導波路が形成された多層プリント配線板とからなり、上記受光素子および発光素子と光導波路との間で光信号伝送用光路を介して光信号を伝送することができるように構成されたものであることが望ましい。
【0212】
第四の本発明の光通信用デバイスの実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図4は、第四の本発明の光通信用デバイスの一実施形態を模式的に示す断面図である。なお、図4では、ICチップが実装された状態の光通信用デバイスを示す。
【0213】
図4に示すように、第四の本発明の光通信用デバイス350は、ICチップ340を実装したICチップ実装用基板320と多層プリント配線板300とから構成され、ICチップ実装用基板320と多層プリント配線板300とは、半田接続部341を介して電気的に接続されている。
【0214】
ICチップ用実装基板320は、基板321の両面に導体回路324と層間絶縁層322とが積層形成され、基板321を挟んだ導体回路同士、および、層間絶縁層322を挟んだ導体回路同士は、それぞれ、スルーホール329およびバイアホール327により電気的に接続されている。
また、ICチップ用実装基板320の最外層には、半田バンプを備えたソルダーレジスト層334が形成されており、加えて、多層プリント配線板300と対向する側の最外層は、受光部338aおよび発光部339aがそれぞれ露出するように、受光素子338および発光素子339を備えている。
【0215】
多層プリント配線板300は、基板301の両面に導体回路304と層間絶縁層302とが積層形成され、基板301を挟んだ導体回路同士、および、層間絶縁層302を挟んだ導体回路同士は、それぞれ、スルーホール309およびバイアホール307により電気的に接続されている。
また、多層プリント配線板300には、基板301と層間絶縁層302とソルダーレジスト層314とを貫通する光信号伝送用光路361が形成されており、この光信号伝送用光路361を介して、光導波路319(319a、319b)と受光素子338や発光素子339との間で光信号の伝送を行うことができるように構成されている。さらに、この光信号伝送用光路361は、その壁面の一部に導体層361bが形成され、その内部の一部に樹脂組成物361aが充填されている。
多層プリント配線板300では、光導波路319が、基板301を挟んでICチップ実装用基板320と反対側の最外層の層間絶縁層302上に形成されており、光導波路319は光路変換ミラー319(319a、319b)を備えている。
図4に示す光通信用デバイス350では、受光素子および発光素子が多層プリント配線板と対向する側の面に実装されることとなる。
【0216】
なお、図4に示した多層プリント配線板における光導波路の形成位置は、最外層の層間絶縁層上であるが、第四の本発明のICチップ実装用基板を構成する多層プリント配線板において、光導波路の形成位置はここに限定されるわけではなく、層間絶縁層同士の間であってもよいし、基板上であってもよい。
【0217】
このような第四の本発明の光通信用デバイスでは、ICチップ実装用基板内、即ち、ICチップに近い位置で、光/電気信号変換を行うため、電気信号の伝送距離が短く、より高速通信に対応することができる。
また、ICチップから送り出された電気信号は、上述したように光信号に変換された後、光ファイバを介して外部に送りだされるだけでなく、半田接続部を介して多層プリント配線板に送られ、該多層プリント配線板の導体回路(バイアホール、スルーホールを含む)を介して、多層プリント配線板に実装された他のICチップ等の電子部品に送られることとなる。
また、このような構成からなる光通信用デバイスでは、ICチップ実装用基板に実装した受光素子および発光素子、ならびに、多層プリント配線板に形成した光導波路に位置ズレが発生しにくいため、光信号の接続信頼性に優れることとなる。
【0218】
次に、第四の本発明の光通信用デバイスを製造する方法について説明する。
上記光通信用デバイスを製造する場合もまた、第三の本発明の光通信用デバイスを製造する場合と同様、まず、ICチップ実装用基板と多層プリント配線板とを別々に製造し、その後、両者を半田等を介して接続することにより製造することができる。
従って、ここでは、まず、ICチップ実装用基板と多層プリント配線板とのそれぞれを製造する方法について説明し、その後、両者を接続する方法について説明する。
【0219】
上記ICチップ実装用基板を製造する方法としては、例えば、第一の本発明のICチップ実装用基板を製造する方法と同様の方法等を用いることができる。
なお、上述したように、第四の本発明の光通信用デバイスを構成するICチップ実装用基板には、光信号伝送用光路が形成されていなくてもよい。
従って、光信号伝送用光路が形成されていないICチップ実装用基板を製造する場合には、例えば、第二の本発明のICチップ実装用基板の製造する方法において、(b)の工程を行わず、さらに、(c)の工程において光路用開口の行わずに、必要に応じて、光学素子実装用開口の形成を行えばよい。
また、上記ICチップ実装用基板を形成する場合、ソルダーレジスト層の形成は、必要に応じて行えばよい。
【0220】
上記多層プリント配線板を製造する方法としては、例えば、下記(1)〜(5)の工程を行う方法等を用いることができる。
(1)第二の本発明のICチップ実装用基板の製造方法の(a)および(b)の工程と同様の方法を用いて、光路用貫通孔が形成された多層配線板を製造する。
【0221】
(2)次に、上記多層配線板の層間絶縁層上の導体回路非形成部に光導波路を形成する。該光導波路は、光路用貫通孔を介して、光信号を伝送することができる位置に形成する。
なお、具体的な光導波路の形成方法としては、第四の本発明の光通信用デバイスを構成する多層プリント配線板を製造する方法の(2)の工程で用いる方法と同様の方法等を用いることができる。
また、ここで形成する光導波路には、光路変換ミラーを形成する。
【0222】
(3)次に、光導波路を形成した多層配線板の最外層にソルダーレジスト層を形成する。上記ソルダーレジスト層は、第四の本発明の光通信用デバイスを構成する多層プリント配線板を製造する方法の(3)の工程で用いる方法と同様の方法等を用いて形成すればよい。
なお、上記ソルダーレジスト層の形成は必要に応じて行えばよい。
【0223】
(4)次に、ICチップ実装用基板と対向する側のソルダーレジスト層に半田バンプ形成用開口と光路用開口とを形成する。
上記半田バンプ形成用開口と光路用開口とは、第四の本発明の光通信用デバイスを構成する多層プリント配線板を製造する方法の(4)の工程で用いる方法と同様の方法等を用いて形成すればよい。
また、上記光路用開口は、上記(1)の工程で形成した光路用貫通孔に連通するように形成する。
また、この工程では、光路用開口を形成した後、光路用開口内に樹脂組成物を充填してもよい。上記樹脂組成物としては、上記(1)の工程で光路用貫通孔に充填する樹脂組成物と同様のもの等が挙げられる。この工程で、光路用貫通孔と光路用開口とに同時に樹脂組成物を充填してもよい。
【0224】
(5)次に、第四の本発明の光通信用デバイスを構成する多層プリント配線板を製造する方法の(5)および(6)の工程で用いる方法と同様の方法等を用いて、半田パッドや半田バンプ等を形成することにより、第四の本発明の光通信用デバイスを構成する多層プリント配線板を製造することができる。
【0225】
次に、上記した方法で製造したICチップ実装用基板と多層プリント配線板とを接続し、光通信用デバイスを製造する。
具体的には、第三の本発明の光通信用デバイスを製造する際に用いた方法と同様の方法を用いて行えばよい。
また、第三の本発明の光通信用デバイスを製造する場合と同様、上記ICチップ実装用基板と上記多層プリント配線板とは、その対向する面のうちどちらか一方にのみ半田バンプが形成されていてもよい。この場合も両者を接続することができるからである。
【0226】
次に、第五の本発明の光通信用デバイスについて説明する。
第五の本発明の光通信用デバイスは、ICチップ実装用基板と多層プリント配線板とからなる光通信用デバイスであって、
上記ICチップ実装用基板には、該ICチップ実装用基板を貫通する光信号伝送用光路が形成されており、
上記多層プリント配線板は、基板と導体回路とを含んで構成されており、
上記多層プリント配線板には、少なくとも基板を貫通する光信号伝送用光路が形成されていることを特徴とする。
【0227】
第五の本発明の光通信用デバイスでは、上記ICチップ実装用基板に形成された光信号伝送用光路、および、上記多層プリント配線板に形成された光信号伝送用光路を介して光信号の伝送を行うことができる。
【0228】
第五の本発明の光通信用デバイスを構成するICチップ実装用基板としては、該ICチップ実装用基板を貫通する光信号伝送用光路が形成されているものであれば特に限定されず、例えば、第三の本発明の光通信用デバイスを構成するICチップ実装用基板と同様のもの等が挙げられる。このようなICチップ実装用基板を用いることにより、上述した種々の効果を得ることができる。
【0229】
第五の本発明の光通信用デバイスを構成する多層プリント配線板としては、基板と導体回路とを含んで構成されており、さらに、少なくとも上記基板を貫通する光信号伝送用光路が形成されたものであれば特に限定されず、例えば、第三の本発明の光通信用デバイスを構成する多層プリント配線板と同様のもの等が挙げられる。このような多層プリント配線板を用いることにより、上述した種々の効果を得ることができる。
【0230】
具体的には、ICチップ実装用基板および多層プリント配線板に光信号伝送用光路が形成されているため、ICチップ実装用基板に光学素子を実装したり、多層プリント配線板に光導波路を形成したりする際に、光学素子の実装位置や光導波路の形成位置の自由度が高まることとなり、ICチップ実装用基板および多層プリント配線板の高密度化をはかることができる。これは、ICチップ実装用基板および多層プリント配線板の設計において、フリースペースが広くなるからである。
【0231】
また、上記ICチップ実装用基板および多層プリント配線板のそれぞれに形成された光信号伝送用光路を基準として、光学的処理や機械的処理により光学素子の実装位置や光導波路の形成位置の位置合わせを行うことができるため、正確に、かつ、所望の位置に光学素子や光導波路を実装することができる。
さらに、上述したような構成の光信号伝送用光路は、熱処理工程や信頼性試験下において、熱等による悪影響が発生しにくい。
【0232】
第五の本発明の光通信用デバイスの実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図5は、第五の本発明の光通信用デバイスの一実施形態を模式的に示す断面図である。なお、図5では、ICチップが実装された状態の光通信用デバイスを示す。
【0233】
図5に示すように、第五の本発明の光通信用デバイス450は、ICチップ440を実装したICチップ実装用基板420と多層プリント配線板400とから構成され、ICチップ実装用基板420と多層プリント配線板400とは、半田接続部441を介して電気的に接続されている。
【0234】
また、光通信用デバイス450では、ICチップ実装用基板420に、これを貫通する光信号伝送用光路451が形成されており、この光信号伝送用光路451は、その壁面の一部に導体層451bが形成されており、さらに、その内部の一部には樹脂組成物451aが充填されている。このICチップ実装用基板420の構成は、図3に示したICチップ実装用基板220の構成と同一である。
【0235】
また、多層プリント配線板400には、基板401と層間絶縁層402とソルダーレジスト層414とを貫通する光信号伝送用光路461が形成されており、この光信号伝送用光路461を介して、光導波路419と受光素子438や発光素子439との間で光信号の伝送を行うことができるように構成されている。この光信号伝送用光路461は、その壁面の一部に導体層461bが形成されており、さらに、その内部の一部には樹脂組成物461aが充填されている。この多層プリント配線板400の構成は、図4に示した多層プリント配線板300の構成と同一である。
この光通信用デバイス450では、受光素子438や発光素子439と光導波路419とが、ICチップ実装用基板420に形成された、これを貫通する光信号伝送用光路451と、多層プリント配線板400に形成された基板401と層間絶縁層402とソルダーレジスト層414とを貫通する光信号伝送用光路461とを介して光信号の伝送を行うことができる。
また、第五の本発明の光通信用デバイスの実施形態は、図5に示す形態に限定されるものではなく、例えば、図6、7に示すような形態であってもよい。
【0236】
また、図6に示すICチップ実装用基板550では、受光素子538がICチップ実装用基板520の多層プリント配線板500と対向する側の面に実装されており、発光素子539が多層プリント配線板500と対向する側の面と反対側の面に実装されている。
また、発光素子539が多層プリント配線板500に形成された光導波路との間で光信号の伝送を行うことができるように、ICチップ実装用基板520を貫通する光信号伝送用光路551が形成されている。光信号伝送用光路551は、その壁面の一部に導体層551bが形成され、その内部の一部に樹脂組成物551aが充填されている。
【0237】
また、多層プリント配線板500には、光導波路が形成されており、受光素子538との間で光信号を伝送するための光導波路518aが、基板501を挟んでICチップ実装用基板520に近い側の最外層の層間絶縁層502上に形成されており、発光素子539との間で光信号を伝送するための光導波路518bは、基板501を挟んでICチップ実装用基板520と反対側の最外層の層間絶縁層502上に形成されている。さらに、多層プリント配線板500には、発光素子539と光導波路518bとの間で光信号を伝送するための光信号伝送用光路561が形成されている。光信号伝送用光路561は、基板501と層間絶縁層502とソルダーレジスト層514とを貫通するように形成されており、その壁面の一部には導体層561bが形成され、その内部の一部には樹脂組成物561aが充填されている。
【0238】
この光通信用デバイス550では、発光素子539と光導波路519bとが、ICチップ実装用基板520に形成された、これを貫通する光信号伝送用光路551と、多層プリント配線板500に形成された基板501と層間絶縁層502とソルダーレジスト層514とを貫通する光信号伝送用光路561とを介して光信号の伝送を行うことができる。
なお、受光素子538と光導波路519aとは、多層プリント配線板500のソルダーレジスト層に形成された光路用開口511aを介して光信号を伝送することができる。
【0239】
また、図7に示す光通信用デバイス650では、ICチップ実装用基板620の多層プリント配線板600と対向する側の面と反対側の面に受光素子638が実装されており、発光素子639が多層プリント配線板600と対向する側の面に実装されている。
また、受光素子638が多層プリント配線板600に形成された光導波路618aとの間で光信号の伝送を行うことができるように、ICチップ実装用基板620を貫通する光信号伝送用光路651が形成されている。この光信号伝送用光路651は、その壁面の一部に導体層651bが形成されており、その内部の一部に樹脂組成物651aが充填されている。
【0240】
また、多層プリント配線板600には、光導波路619が形成されており、受光素子638との間で光信号を伝送するための光導波路618aは、基板601を挟んでICチップ実装用基板620に近い側の最外層の層間絶縁層上に形成されており、発光素子639との間で光信号を伝送するための光導波路618bは、基板601を挟んでICチップ実装用基板620と反対側の最外層の層間絶縁層上に形成されている。さらに、多層プリント配線板600には、発光素子639と光導波路618bとの間で光信号を伝送するための光信号伝送用光路651が形成されている。光信号伝送用光路661は、基板601と層間絶縁層602とソルダーレジスト層614とを貫通するように形成されており、その壁面の一部には導体層661bが形成され、その内部の一部には樹脂組成物661aが充填されている。
【0241】
この光通信用デバイス650では、発光素子639と光導波路619bとが、多層プリント配線板600に形成された基板601と層間絶縁層602とソルダーレジスト層614を貫通する光信号伝送用光路661を介して光信号の伝送を行うことができる。
また、受光素子638と光導波路619aとは、ICチップ実装用基板620に形成された、これを貫通する光信号伝送用光路651を介して光信号を伝送することができる。
【0242】
なお、上述したように、第五の本発明のICチップ実装用基板の実施形態は、図5〜7に示した形態に限定されるわけではなく、受光素子や発光素子の実装位置、光導波路の形成位置、光信号伝送用光路を形成するか否かを適宜選択して組み合わせた形態であればよい。
【0243】
なお、図5〜7に示した多層プリント配線板における光導波路の形成位置は、最外層の層間絶縁層上であるが、第五の本発明のICチップ実装用基板を構成する多層プリント配線板において、光導波路の形成位置はここに限定されるわけではなく、層間絶縁層同士の間であってもよいし、基板上であってもよい。
【0244】
このような第五の本発明の光通信用デバイスでは、ICチップ実装用基板内、即ち、ICチップに近い位置で、光/電気信号変換を行うため、電気信号の伝送距離が短く、より高速通信に対応することができる。
また、ICチップから送り出された電気信号は、上述したように光信号に変換された後、光ファイバを介して外部に送りだされるだけでなく、半田接続部を介して多層プリント配線板に送られ、該多層プリント配線板の導体回路(バイアホール、スルーホールを含む)を介して、多層プリント配線板に実装された他のICチップ等の電子部品に送られることとなる。
また、このような構成からなる光通信用デバイスでは、ICチップ実装用基板に実装した受光素子および発光素子、ならびに、多層プリント配線板に形成した光導波路に位置ズレが発生しにくいため、光信号の接続信頼性に優れることとなる。
【0245】
なお、図3〜7に示した光通信用デバイスに形成された光信号伝送用光路は、その壁面に導体層が形成され、その内部に樹脂組成物が充填されているが、これらの導体層の形成や樹脂組成物の充填は必要に応じて形成すればよい。
【0246】
次に、第五の本発明の光通信用デバイスを製造する方法について説明する。
上記光通信用デバイスを製造する場合もまた、第三の本発明の光通信用デバイスを製造する場合と同様、まず、ICチップ実装用基板と多層プリント配線板とを別々に製造し、その後、両者を半田等を介して接続することにより製造することができる。
従って、ここでは、まず、ICチップ実装用基板と多層プリント配線板とのそれぞれを製造する方法について説明し、その後、両者を接続する方法について説明する。
【0247】
上記ICチップ実装用基板を製造する方法としては、例えば、第三の本発明の光通信用デバイスを構成するICチップ実装用基板を製造する方法と同様の方法等を用いることができる。
上記ICチップ実装用基板を形成する場合、ソルダーレジスト層の形成は、必要に応じて行えばよい。
【0248】
上記多層プリント配線板を製造する方法としては、例えば、第四の本発明の光通信用デバイスを構成する多層プリント配線板を製造する方法と同様の方法等を用いることができる。
上記多層プリント配線板を形成する場合、ソルダーレジスト層の形成は、必要に応じて行えばよい。
【0249】
次に、上記した方法で製造したICチップ実装用基板と多層プリント配線板と接続し、光通信用デバイスを製造する。
具体的には、第三の本発明の光通信用デバイスを製造する際に用いた方法と同様の方法等を用いて行えばよい。
また、第三の本発明の光通信用デバイスを製造する場合と同様、上記ICチップ実装用基板と上記多層プリント配線板とは、その対向する面のうちどちらか一方にのみ半田バンプが形成されていてもよい。この場合も両者を接続することができるからである。
【0250】
なお、第三〜第五の本発明の光通信用デバイスに実装されるICチップは、ワイヤボンディングにより実装されるものであってもよいし、フリップチップ接続により実装されるものであってもよいが、フリップチップ接続により実装されるものであることが望ましい。
【0251】
【実施例】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
(実施例1)
A.層間絶縁層用樹脂フィルムの作製
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エポキシ当量469、油化シェルエポキシ社製エピコート1001)30重量部、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(エポキシ当量215、大日本インキ化学工業社製 エピクロンN−673)40重量部、トリアジン構造含有フェノールノボラック樹脂(フェノール性水酸基当量120、大日本インキ化学工業社製 フェノライトKA−7052)30重量部をエチルジグリコールアセテート20重量部、ソルベントナフサ20重量部に攪拌しながら加熱溶解させ、そこへ末端エポキシ化ポリブタジエンゴム(ナガセ化成工業社製 デナレックスR−45EPT)15重量部と2−フェニル−4、5−ビス(ヒドロキシメチル)イミダゾール粉砕品1.5重量部、微粉砕シリカ2重量部、シリコン系消泡剤0.5重量部を添加しエポキシ樹脂組成物を調製した。
得られたエポキシ樹脂組成物を厚さ38μmのPETフィルム上に乾燥後の厚さが50μmとなるようにロールコーターを用いて塗布した後、80〜120℃で10分間乾燥させることにより、層間絶縁層用樹脂フィルムを作製した。
【0252】
B.貫通孔充填用樹脂組成物の調製
ビスフェノールF型エポキシモノマー(油化シェル社製、分子量:310、YL983U)100重量部、表面にシランカップリング剤がコーティングされた平均粒径が1.6μmで、最大粒子の直径が15μm以下のSiO2 球状粒子(アドテック社製、CRS 1101−CE)170重量部およびレベリング剤(サンノプコ社製 ペレノールS4)1.5重量部を容器にとり、攪拌混合することにより、その粘度が23±1℃で45〜49Pa・sの樹脂充填材を調製した。なお、硬化剤として、イミダゾール硬化剤(四国化成社製、2E4MZ−CN)6.5重量部を用いた。
【0253】
C.ICチップ実装用基板の製造
(1)厚さ0.8mmのガラスエポキシ樹脂またはBT(ビスマレイミドトリアジン)樹脂からなる絶縁性基板21の両面に18μmの銅箔28がラミネートされている銅張積層板を出発材料とした(図8(a)参照)。まず、この銅張積層板をドリル削孔し、無電解めっき処理を施し、パターン状にエッチングすることにより、基板21の両面に導体回路24とスルーホール29とを形成した。
【0254】
(2)スルーホール29と導体回路24とを形成した基板を水洗いし、乾燥した後、NaOH(10g/l)、NaClO2 (40g/l)、Na3 PO4 (6g/l)を含む水溶液を黒化浴(酸化浴)とする黒化処理、および、NaOH(10g/l)、NaBH4 (6g/l)を含む水溶液を還元浴とする還元処理を行い、スルーホール29を含む導体回路24の表面に粗化面(図示せず)を形成した(図8(b)参照)。
【0255】
(3)上記Bに記載した樹脂充填材を調製した後、下記の方法により調製後24時間以内に、スルーホール29内および基板21の片面の導体回路非形成部と導体回路24の外縁部とに樹脂充填材30′の層を形成した。
即ち、まず、スキージを用いてスルーホール内に樹脂充填材を押し込んだ後、100℃、20分の条件で乾燥させた。次に、導体回路非形成部に相当する部分が開口したマスクを基板上に載置し、スキージを用いて凹部となっている導体回路非形成部にも樹脂充填材を充填し、100℃、20分の条件で乾燥させることにより樹脂充填材30′の層を形成した(図8(c)参照)。
【0256】
(4)上記(3)の処理を終えた基板の片面を、♯600のベルト研磨紙(三共理化学社製)を用いたベルトサンダー研磨により、導体回路24の表面やスルーホール29のランド表面に樹脂充填材30′が残らないように研磨し、次いで、上記ベルトサンダー研磨による傷を取り除くためのバフ研磨を行った。このような一連の研磨を基板の他方の面についても同様に行った。
次いで、100℃で1時間、120℃で3時間、150℃で1時間、180℃で7時間の加熱処理を行って樹脂充填材層30を形成した。
【0257】
このようにして、スルーホール29や導体回路非形成部に形成された樹脂充填材30の表層部および導体回路24の表面を平坦化し、樹脂充填材30と導体回路24の側面とが粗化面(図示せず)を介して強固に密着し、また、スルーホール29の内壁面と樹脂充填材30とが粗化面(図示せず)を介して強固に密着した絶縁性基板を得た(図8(d)参照)。この工程により、樹脂充填材層30の表面と導体回路24の表面とが同一平面となる。
【0258】
(5)上記基板を水洗、酸性脱脂した後、ソフトエッチングし、次いで、エッチング液を基板の両面にスプレイで吹き付けて、導体回路24の表面とスルーホール29のランド表面と内壁とをエッチングすることにより、導体回路24の全表面に粗化面(図示せず)を形成した。エッチング液として、イミダゾール銅(II)錯体10重量部、グリコール酸7重量部、塩化カリウム5重量部を含むエッチング液(メック社製、メックエッチボンド)を使用した。
【0259】
(6)次に、上記Aで作製した基板より少し大きめの層間絶縁層用樹脂フィルムを基板上に載置し、圧力0.4MPa、温度80℃、圧着時間10秒の条件で仮圧着して裁断した後、さらに、以下の方法により真空ラミネータ装置を用いて貼り付けることにより層間絶縁層22を形成した(図8(e)参照)。
即ち、層間絶縁層用樹脂フィルムを基板上に、真空度65Pa、圧力0.4MPa、温度80、時間60秒の条件で本圧着し、その後、170℃で30分間熱硬化させた。
【0260】
(7)次に、層間絶縁層22上に、厚さ1.2mmの貫通孔が形成されたマスクを介して、波長10.4μmのCO2 ガスレーザにて、ビーム径4.0mm、トップハットモード、パルス幅8.0μ秒、マスクの貫通孔の径1.0mm、1ショットの条件で層間絶縁層22に、直径80μmのバイアホール用開口26を形成した(図9(a)参照)。
【0261】
(8)バイアホール用開口26を形成した基板を、60g/lの過マンガン酸を含む80℃の溶液に10分間浸漬し、層間絶縁層22の表面に存在するエポキシ樹脂粒子を溶解除去することにより、バイアホール用開口26の内壁面を含むその表面に粗化面(図示せず)を形成した。
【0262】
(9)次に、上記処理を終えた基板を、中和溶液(シプレイ社製)に浸漬してから水洗いした。
さらに、粗面化処理(粗化深さ3μm)した該基板の表面に、パラジウム触媒を付与することにより、層間絶縁層22の表面(バイアホール用開口26の内壁面を含む)に触媒核を付着させた(図示せず)。即ち、上記基板を塩化パラジウム(PdCl2 )と塩化第一スズ(SnCl2 )とを含む触媒液中に浸漬し、パラジウム金属を析出させることにより触媒を付与した。
【0263】
(10)次に、以下の組成の無電解銅めっき水溶液中に、基板を浸漬し、層間絶縁層22の表面(バイアホール用開口26の内壁面を含む)に厚さ0.6〜3.0μmの薄膜導体層(無電解銅めっき膜)32を形成した(図9(b)参照)。
〔無電解めっき水溶液〕
NiSO4 0.003 mol/l
酒石酸 0.200 mol/l
硫酸銅 0.030 mol/l
HCHO 0.050 mol/l
NaOH 0.100 mol/l
α、α′−ビピリジル 100 mg/l
ポリエチレングリコール(PEG) 0.10 g/l
〔無電解めっき条件〕
30℃の液温度で40分
【0264】
(11)次に、薄膜導体層(無電解銅めっき膜)32が形成された基板に市販の感光性ドライフィルムを張り付け、マスクを載置して、100mJ/cm2 で露光し、0.8%炭酸ナトリウム水溶液で現像処理することにより、厚さ20μmのめっきレジスト23を設けた(図9(c)参照)。
【0265】
(12)ついで、基板を50℃の水で洗浄して脱脂し、25℃の水で水洗後、さらに硫酸で洗浄してから、以下の条件で電解めっきを施し、めっきレジスト23非形成部に、厚さ20μmの電解銅めっき膜33を形成した(図9(d)参照)。
〔電解めっき液〕
硫酸 2.24 mol/l
硫酸銅 0.26 mol/l
添加剤 19.5 ml/l
(アトテックジャパン社製、カパラシドHL)
〔電解めっき条件〕
電流密度 1 A/dm2
時間 65 分
温度 22±2 ℃
【0266】
(13)さらに、めっきレジスト23を5%NaOHで剥離除去した後、そのめっきレジスト23下の薄膜導体層を硫酸と過酸化水素との混合液でエッチング処理して溶解除去し、薄膜導体層(無電解銅めっき膜)32と電解銅めっき膜33とからなる厚さ18μmの導体回路25(バイアホール27を含む)を形成した(図10(a)参照)。
【0267】
(14)さらに、上記(5)の工程で用いたエッチング液と同様のエッチング液を用いて、導体回路25の表面に粗化面(図示せず)を形成し、次いで、上記(6)〜上記(8)の工程と同様にしてバイアホール用開口26を有し、その表面に粗化面(図示せず)が形成された層間絶縁層22を積層形成した(図10(b)参照)。
その後、直径395μmのドリルを用いて、基板21および層間絶縁層22を貫通する貫通孔46を形成し、さらに、貫通孔46の壁面にデスミア処理を施した(図10(c)参照)。
【0268】
(15)次に、上記(9)の工程で用いた方法と同様の方法で、貫通孔46の壁面および層間絶縁層22の表面に触媒を付与し、さらに、上記(10)の工程で用いた無電解めっき液と同様の無電解銅めっき水溶液中に、基板を浸漬し、層間絶縁層22の表面(バイアホール用開口26の内壁面を含む)、および、貫通孔46の壁面に薄膜導体層(無電解銅めっき膜)32を形成した(図11(a)参照)。
【0269】
(16)次に、上記(11)の工程で用いた方法と同様の方法で、めっきレジスト23を設け、さらに、上記(12)の工程で用いた方法と同様の方法で、めっきレジスト23非形成部に、厚さ20μmの電解銅めっき膜33を形成した(図11(b)参照)。
【0270】
(17)次に、上記(13)の工程で用いた方法と同様の方法で、めっきレジスト23の剥離と、めっきレジスト23下の薄膜導体層の除去とを行い、導体回路25(バイアホール27を含む)および導体層45を形成した。
さらに、上記(2)の工程で用いた方法と同様の方法で、酸化還元処理を行い、導体回路25の表面および導体層45の表面を粗化面(図示せず)とした(図11(c)参照)。
【0271】
(18)次に、スキージを用いて、導体層45が形成された貫通孔46内にエポキシ樹脂を含む樹脂組成物を充填し、乾燥させた後、バフ研磨によりその表層を平坦化した。さらに、硬化処理を施し、樹脂組成物層42aを形成した(図12(a)参照)。
【0272】
(19)次に、ジエチレングリコールジメチルエーテル(DMDG)に60重量%の濃度になるように溶解させた、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬社製)のエポキシ基50%をアクリル化した感光性付与のオリゴマー(分子量:4000)46.67重量部、メチルエチルケトンに溶解させた80重量%のビスフェノールA型エポキシ樹脂(油化シェル社製、商品名:エピコート1001)15.0重量部、イミダゾール硬化剤(四国化成社製、商品名:2E4MZ−CN)1.6重量部、感光性モノマーである2官能アクリルモノマー(日本化薬社製、商品名:R604)4.5重量部、同じく多価アクリルモノマー(共栄化学社製、商品名:DPE6A)1.5重量部、分散系消泡剤(サンノプコ社製、S−65)0.71重量部を容器にとり、攪拌、混合して混合組成物を調製し、この混合組成物に対して光重合開始剤としてベンゾフェノン(関東化学社製)2.0重量部、光増感剤としてのミヒラーケトン(関東化学社製)0.2重量部、を加えることにより、粘度を25℃で2.0Pa・sに調整したソルダーレジスト組成物を得た。
なお、粘度測定は、B型粘度計(東京計器社製、DVL−B型)で60min-1(rpm)の場合はローターNo.4、6min-1(rpm)の場合はローターNo.3によった。
【0273】
(20)次に、樹脂組成物層42aを形成した基板の両面に、上記ソルダーレジスト組成物を30μmの厚さで塗布し、70℃で20分間、70℃で30分間の条件で乾燥処理を行い、ソルダーレジス組成物の層34′を形成した。(図12(b)参照)。
【0274】
(21)次いで、半田バンプ形成用開口および光路用開口のパターンが描画された厚さ5mmのフォトマスクをICチップ実装側のソルダーレジスト組成物の層34′に密着させて1000mJ/cm2 の紫外線で露光し、DMTG溶液で現像処理し、直径200μmの開口を形成した。
さらに、80℃で1時間、100℃で1時間、120℃で1時間、150℃で3時間の条件でそれぞれ加熱処理を行ってソルダーレジスト組成物の層を硬化させ、半田バンプ形成用開口47、および、光路用開口42bを有し、その厚さが20μmのソルダーレジスト層34を形成した(図13(a)参照)。なお、上記ソルダーレジスト組成物としては、市販のソルダーレジスト組成物を使用することもできる。
【0275】
(22)次に、ソルダーレジスト層34を形成した基板を、塩化ニッケル(2.3×10-1mol/l)、次亜リン酸ナトリウム(2.8×10-1mol/l)、クエン酸ナトリウム(1.6×10-1mol/l)を含むpH=4.5の無電解ニッケルめっき液に20分間浸漬して、半田バンプ形成用開口47に厚さ5μmのニッケルめっき層を形成した。さらに、その基板をシアン化金カリウム(7.6×10-3mol/l)、塩化アンモニウム(1.9×10-1mol/l)、クエン酸ナトリウム(1.2×10-1mol/l)、次亜リン酸ナトリウム(1.7×10-1mol/l)を含む無電解金めっき液に80℃の条件で7.5分間浸漬して、ニッケルめっき層上に、厚さ0.03μmの金めっき層を形成し、半田パッド36とした。
【0276】
(23)次に、ソルダーレジスト層34に形成した半田バンプ形成用開口47に半田ペーストを印刷し、さらに、受光素子38および発光素子39の受光部38aおよび発光部39aの位置合わせを行いながら取り付け、200℃でリフローすることにより、受光素子38および発光素子39を実装するとともに、半田バンプ形成用開口47に半田バンプ37を形成し、ICチップ実装用基板を得た(図13(b)参照)。
なお、受光素子38としては、InGaAsからなるものを用い、発光素子39としては、InGaAsPからなるものを用いた。
なお、本実施例で製造したICチップ実装用基板では、光信号伝送用光路が樹脂組成物および空隙とこれらの周囲の導体層とにより構成されることとなる。
【0277】
(実施例2)
実施例1の(18)の工程において、エポキシ樹脂を含む樹脂組成物に代えて、ポリオレフィンを含む樹脂組成物を用いた以外は実施例1と同様にしてICチップ実装用基板を得た。
なお、本実施例で製造したICチップ実装用基板では、光信号伝送用光路が樹脂組成物および空隙とこれらの周囲の導体層とにより構成されることとなる。
【0278】
(実施例3)
実施例1の(18)の工程、即ち、樹脂組成物層42aを形成する工程を行わなかった以外は実施例1と同様にしてICチップ実装用基板を得た。
なお、本実施例で製造したICチップ実装用基板では、光信号伝送用光路が空隙とその周囲の導体層とにより構成されることとなる。
【0279】
(実施例4)
実施例1の(15)および(16)の工程において、貫通孔の壁面には導体層を形成しなかった以外は、実施例1と同様にしてICチップ実装用基板を得た。
なお、本実施例で製造したICチップ実装用基板では、光信号伝送用光路が樹脂組成物および空隙により構成されることとなる。
【0280】
(実施例5)
実施例1の(15)および(16)の工程において、貫通孔の壁面には導体層を形成せず、(18)の工程において、エポキシ樹脂を含む樹脂組成物に代えて、ポリオレフィンを含む樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様にしてICチップ実装用基板を得た。
なお、本実施例で製造したICチップ実装用基板では、光信号伝送用光路が樹脂組成物および空隙により構成されることとなる。
【0281】
(実施例6)
実施例1の(15)および(16)の工程において、貫通孔の壁面には導体層を形成せず、(18)の工程、即ち、樹脂組成物層42aを形成する工程を行わなかった以外は実施例1と同様にしてICチップ実装用基板を得た。
なお、本実施例で製造したICチップ実装用基板では、光信号伝送用光路が空隙により構成されることとなる。
【0282】
このようにして得られた実施例1〜6のICチップ実装用基板について、これらのICチップ実装用基板を光信号伝送用光路を通るように刃物で切断し、その断面を観察したところ、ICチップ実装用基板を貫通する光路が確保されていた。また、ICチップ実装用基板の光信号伝送用光路の受光素子実装側と反対側の端部にPMMAからなる光導波路を配置し、光信号伝送用光路の発光素子実装側と反対側の端部に検出器を取りつけ、その後、上記光導波路光を介して光信号を送り、ICチップで演算させた後、検出器で光信号を検出したところ、所望の光信号を検出することができた。
また、受光素子および発光素子と光信号伝送用光路との接続損失を測定したところ、その接続損失は小さく、光信号の伝送に問題が発生するものではなかった。
【0283】
【発明の効果】
第一の本発明のICチップ実装用基板は、上述したように、光学素子が実装されるとともに、該ICチップ実装用基板を貫通する光信号伝送用光路が配設されているため、上記光信号伝送用光路を介して、上記光学素子の入出力信号を伝送することができる。また、該基板にICチップを実装した場合、ICチップと光学素子との距離が短く、電気信号伝送の信頼性に優れる。
また、ICチップを実装した第一の本発明のICチップ実装用基板では、光通信に必要な電子部品や光学素子を一体化することができるため、光通信用端末機器の小型化に寄与することができる。
また、第一の本発明のICチップ実装用基板において、光学素子が表面実装されている場合は、製造時の熱処理に起因する位置ずれが発生することがなく、加えて、一の光学素子に不都合が発生した場合、その光学素子のみを取り替えればよく、経済的に有利である。
【0284】
第二の本発明のICチップ実装用基板の製造方法は、上述したように、ICチップ実装用基板を貫通する光信号伝送用光路を形成するため、該光信号伝送用光路を介して光学素子の入出力信号を伝送することができる第一の本発明のICチップ実装用基板を好適に製造することができる。
【0285】
第三〜第五の本発明の光通信用デバイスでは、ICチップ実装用基板および多層プリント配線板のうちの少なくともいずれか一方に、上述した態様の光信号伝送用光路が形成されているため、該光信号伝送用光路を介して好適に光信号を伝送することができる。また、優れた光信号伝送性を確保するとともに、高密度配線を達成することができる。
さらに、上記光通信用デバイスを構成するICチップ実装用基板として、第一の本発明のICチップ実装用基板を用いた場合には、上述した第一の本発明のICチップ実装用基板に係る効果と同様の効果を、第三〜第五の本発明の光通信用デバイスにおいて得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第一の本発明のICチップ実装用基板の一実施形態を模式的に示す断面図である。
【図2】第一の本発明のICチップ実装用基板の別の一実施形態を模式的に示す断面図である。
【図3】第三の本発明の光通信用デバイスの一実施形態を模式的に示す断面図である。
【図4】第四の本発明の光通信用デバイスの一実施形態を模式的に示す断面図である。
【図5】第五の本発明の光通信用デバイスの一実施形態を模式的に示す断面図である。
【図6】第五の本発明の光通信用デバイスの別の一実施形態を模式的に示す断面図である。
【図7】第五の本発明の光通信用デバイスの別の一実施形態を模式的に示す断面図である。
【図8】第二の本発明のICチップ実装用基板を製造方法の一部を模式的に示す断面図である。
【図9】第二の本発明のICチップ実装用基板の製造方法の一部を模式的に示す断面図である。
【図10】第二の本発明のICチップ実装用基板の製造方法の一部を模式的に示す断面図である。
【図11】第二の本発明のICチップ実装用基板の製造方法の一部を模式的に示す断面図である。
【図12】第二の本発明のICチップ実装用基板の製造方法の一部を模式的に示す断面図である。
【図13】第二の本発明のICチップ実装用基板の製造方法の一部を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
20 ICチップ実装用基板
21 基板
22 層間絶縁層
24 導体回路
27 バイアホール
29 スルーホール
34 ソルダーレジスト層
38 受光素子
39 発光素子
120 ICチップ実装用基板
121 基板
122 層間絶縁層
124 導体回路
127 バイアホール
129 スルーホール
134 ソルダーレジスト層
138 受光素子
139 発光素子
140 ICチップ
142 光信号伝送用光路
145 導体層

Claims (9)

  1. 基板の両面に導体回路と層間絶縁層とが積層形成され、最外層にソルダーレジスト層が形成されるとともに、光学素子を実装するための半田バンプが形成されたICチップ実装用基板と、
    基板の両面に導体回路と層間絶縁層とが積層形成されるとともに、光導波路が形成された多層プリント配線板とが対向配置された光通信用デバイスであって、
    前記ICチップ実装用基板および前記多層プリント配線板の両対向面には、基板接続用半田接続部が設けられ、両者が電気的に接続されるとともに、機械的に接続固定され、
    前記ICチップ実装用基板には、該ICチップ実装用基板を貫通する第1の光信号伝送用光路が形成されるとともに、前記多層プリント配線板に対向する側とは反対側の前記第1の光信号伝送用光路と光信号の伝送が可能な位置に前記光学素子が配置されるように前記半田バンプが形成され、
    前記多層プリント配線板には、前記第1の光信号伝送用光路と光信号の伝送が可能な位置に、少なくとも前記基板を貫通する第2の光信号伝送用光路が形成されるとともに、前記第2の光信号伝送用光路と光信号を伝達可能な位置に光路変換用ミラーを有する前記光導波路が形成されていることを特徴とする光通信用デバイス
  2. 基板の両面に導体回路と層間絶縁層とが積層形成され、最外層にソルダーレジスト層が形成されるとともに、光学素子を実装するための半田バンプが形成されたICチップ実装用基板と、
    基板の両面に導体回路と層間絶縁層とが積層形成されるとともに、光導波路が形成された多層プリント配線板とが対向配置された光通信用デバイスであって、
    前記ICチップ実装用基板および前記多層プリント配線板の両対向面には、基板接続用半田接続部が設けられ、両者が電気的に接続されるとともに、機械的に接続固定され、
    前記ICチップ実装用基板には、前記多層プリント配線板に対向する側に前記半田バンプが形成され、
    前記多層プリント配線板には、前記半田バンプに実装される光学素子と光信号の伝送が可能な位置に、少なくとも前記基板を貫通する光信号伝送用光路が形成されるとともに、前記光信号伝送用光路と光信号を伝達可能な位置に光路変換用ミラーを有する前記光導波路が形成されていることを特徴とする光通信用デバイス
  3. 前記光信号伝送用光路は、樹脂組成物および空隙により構成されている請求項1または2に記載の光通信用デバイス。
  4. 前記光信号伝送用光路は、空隙とその周囲の導体層とにより構成されている請求項1〜3のいずれか1に記載の光通信用デバイス。
  5. 前記光信号伝送用光路は、樹脂組成物および空隙とこれらの周囲の導体層とにより構成されている請求項1〜4のいずれか1に記載の光通信用デバイス。
  6. 前記光信号伝送用光路の端部には、マイクロレンズが配設されている請求項1〜5のいずれか1に記載の光通信用デバイス。
  7. 前記光信号伝送用光路の断面の径は、100〜500μmである請求項1〜6のいずれか1に記載の光通信用デバイス。
  8. 前記光学素子は、受光素子および/または発光素子である請求項1〜7のいずれか1に記載の光通信用デバイス。
  9. 前記ICチップ実装用基板は、導体回路、層間絶縁層および前記層間絶縁層を挟んだ導体回路間を接続するバイアホールを含んで構成されている請求項1〜8のいずれか1に記載の光通信用デバイス。
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