JP3485522B2 - アイスコーティング用油脂組成物およびアイスコーティング用剤 - Google Patents
アイスコーティング用油脂組成物およびアイスコーティング用剤Info
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Description
好であり、流通・保存時にひび割れしにくく、かつコー
ティング後の固化(乾き)の早いアイスコーティング用
油脂組成物に関する。
ィングすることによって冷菓の嗜好性の向上や、コーン
カップの湿気防止が図られてきた。そして、そのチョコ
レートを構成するアイスコーティング用油脂には従来か
ら、コーティング適性(薄く均一にコーティングできる
事、固化が早い事等)、耐ひび割れ性、口溶けの良さ等
の諸特性の両立が求められてきた。そして通常、薄く均
一にコーティングできる事、固化が早い事、口溶けが良
い事などから、ラウリン系の油脂が主に用いられてき
た。しかし、これらはコーティング膜にひび割れが生じ
易い欠点を有している。
添加したり、特開昭61−56050号公報のようにポ
リグリセリン脂肪酸エステルを添加する方法等が考え出
された。しかしながら、液状油を添加する方法は、その
添加量が多いとひび割れは抑制されるものの、乾きが遅
くべたついたものになり、冷菓の生産効率を著しく損
ね、一方、液状油の添加量が少ないと、ひび割れ防止効
果が少ないため、十分な方法とは言えなかった。また、
特開昭61−56050号公報のようにポリグリセリン
脂肪酸エステルを添加する方法では、ポリグリセリン脂
肪酸エステル自体に油脂の結晶化を遅らせ、固形脂含量
(SFC)も低くする機能があるため、ある程度の耐ひ
び割れ性は付与できるものの、油脂そのものの性質を大
きく変えるものでなく、効果は不十分であった。
発明ではコーティング性が良好であり、流通・保存時に
ひび割れしにくく、かつコーティング後の固化(乾き)
の早いアイスコーティング用油脂組成物を提供すること
を目的とした。
系油脂30〜90質量%と液状油10〜70質量%を含
む原料油脂をグリセリドの1、3位に特異性のあるリパ
ーゼを用いてエステル交換を行った改質油脂を40〜1
00質量%含有してなるアイスコーティング用油脂組成
物を用いることによって、コーティング性が良好であ
り、流通・保存時にひび割れしにくく、かつコーティン
グ後の固化(乾き)の早いアイスコーティング用油脂組
成物が提供される。
する。本発明は、パーム系油脂30〜90質量%と液状
油10〜70質量%を含む原料油脂をグリセリドの1、
3位に特異性のあるリパーゼを用いてエステル交換を行
った改質油脂を40〜100質量%含有してなるアイス
コーティング用油脂組成物に関する。
ーム系油脂とは、パーム油、パーム油を分別して得られ
る軟質又は硬質部分および水素添加された硬化油をい
う。これらのうち、パーム分別軟質部が好ましく、これ
らから選ばれる1種または2種以上を用いることができ
る。また、よう素価が52〜70のものが好ましく、5
3〜67のものがより好ましい。液状油とは、常温で液
状の油脂のことで、大豆油、菜種油、綿実油、ひまわり
油、コーン油、米油、紅花油、落花生油などを用いるこ
とが出来る。また、その軽度水素添加品や分別し常温で
液状のものを用いることも出来る。これらを単独でも混
合して用いてもよい。
%、好ましくは40〜80質量%及び液状油10〜70
質量%、好ましくは20〜60質量%を含む原料油脂を
トリグリセリドの1、3位に特異性のあるリパーゼを用
いてエステル交換を行った改質油脂を40〜100質量
%、好ましくは50〜100質量%含有することを特徴
とするアイスコーティング用油脂組成物に関するもので
あるが、この改質油脂原料中のパーム系油脂は30〜9
0質量%でなければならない。すなわち、30質量%未
満ではコーティング後の固化が遅く、冷菓製造の効率が
悪くなる。また、90質量%を超えるとコーティング時
にむらになるばかりでなく、コーティング膜とアイス部
分の収縮率の差によりひび割れが生じることになる。一
方、改質油脂原料中の液状油は10〜70質量%でなけ
ればならない。すなわち、10質量%未満ではコーティ
ング時にむらになるばかりでなく、コーティング膜とア
イス部分の収縮率の差によりひび割れが生じることにな
る。また、70質量%を超えるとコーティング後の固化
が遅く、冷菓製造の効率が悪くなる。
溶解させて均質にした後、リパーゼを用いてエステル交
換処理する。リパーゼは、アスペルギルス(Aspergillu
s)属、アルカリゲネス(Alcaligenes)属、キャンディ
ダ(Candida)属、ムコール(Mucor)属、シュードモナ
ス(Pseudomonus)属、リゾプス(Rhizopus)属等の微
生物、牛や豚の膵臓由来のリパーゼ、より好ましくは特
公昭58−36953号公報に記載のアルカリゲネス
エスピー(Alcaligenes sp)由来のリパーゼ、例えば
微工研菌寄第3187号として寄託されているリパーゼ
生産菌名糖PL−266号が生産するリパーゼQL(名
糖産業(株)製)や、これとは別のアルカリゲネス エ
スピー(Alcaligenes sp)起源のリパーゼPL(名糖
産業(株)製)で、グリセリドの1位および3位に選択
的に作用する特異性を有するリパーゼを使用することが
必須である。この1、3位特異性リパーゼは粉末のま
ま、あるいはケイソウ土、活性炭、合成樹脂、イオン交
換樹脂等の公知の担体に固定化して用いることができ
る。
を加えバッチ方式で、またはリパーゼを充填した容器に
原料油脂を流入させるカラム方式で行うことができる。
原料油脂中の水分量は、副反応としての加水分解を抑制
し、かつある程度のエステル交換反応速度およびリパー
ゼの活性を維持するために、約0.05〜約0.5質量
%に保持する必要がある。反応温度は、通常、室温程度
〜約80℃に設定すればよい。なお、前記アルカリゲネ
ス エスピー由来のリパーゼでは約80〜約120℃の
高温でエステル交換反応を行わせることができるため、
該リパーゼを用いることは好適である。反応時間は、バ
ッチ方式の場合には概ね1〜20時間である。エステル
交換反応物は、リパーゼ酵素を加熱処理等で失活させ、
一般的な精製処理すなわちアルカリ脱酸、活性白土や活
性炭による脱色、および減圧脱臭の処理を施して、本発
明に係る改質油脂を得ることができる。
の1、3位に特異性のあるリパーゼを用いずに、グリセ
リドの位置特異性の無いリパーゼや、アルカリ触媒など
を用いた場合、微細な結晶による緻密なコーティング膜
を得ることができなくなる。その結果、コーティング膜
の乾きが悪くなったり、逆にひび割れを生じることとな
る。また、このようにして得た改質油脂を乾式分別し、
その硬質部を用いることが固化(乾き)速度の点でより
好ましい。乾式分別は常法に則り行い、硬質部とは、析
出した結晶部をいう。
0質量%配合することによって、ひび割れ防止機能が発
揮される。40質量%未満であると、グリセリドの1、
3位に特異性のあるリパーゼを用いずに、グリセリドの
位置特異性の無いリパーゼや、アルカリ触媒などを用い
た場合と同様、原料油脂の種類によっては冷凍温度下で
の結晶粒の間隙が多くなり、コーティング膜の乾きが悪
くなったり、逆にひび割れを生じることとなる。
型熱量計)において、油脂組成物融液を冷却凝固させる
際、油脂組成物結晶化に伴う発熱ピークが20〜5℃、
0〜−15℃、−40〜−60℃の各温度帯に少なくと
もそれぞれ1つ以上存在し、かつ0℃以上での発熱量が
全発熱量の10%以下となるよう、改質油脂の原料油脂
配合を適宜調整、または上記改質油脂に種々の動植物性
油脂またはその分別油、硬化油、エステル交換油を1種
または2種以上配合することにより適宜調整を行うこと
が好ましい。これによって、一層の耐ひび割れ性向上、
および良好な作業適性が得られる。これは、20〜5℃
のDSCピークを構成するトリアシルグリセリドが均一
で微小な結晶核を生成し、0〜−15℃のDSCピーク
を構成するトリアシルグリセリドの微細で均一な結晶化
を誘発していることによると考えられ、−40〜−60
℃のDSCピークを構成するトリアシルグリセリドは、
その均一なコーティング膜の柔軟性を維持する機能を有
していると考えられる。そして、0℃以上での発熱量が
総発熱量の10%以下であることによりアイスコーティ
ングとしての適度な粘度が得られ、良好なコーティング
性・作業性が得られる。DSC(示差走査型熱量計)測
定条件は、−5℃/分の冷却速度で60℃から−80℃
まで冷却していく。また、この際、ピークが存在すると
は、油脂組成物の結晶化に伴う発熱が存在し、チャート
上、明らかに上に凸な状態をいう。
組成物は、特に、アイスコーティングチョコレートなど
のアイスコーティング用剤に配合することで耐ひび割れ
等の効果を発揮し、好適に使用することができる。通
常、アイスコーティングチョコレートなどのアイスコー
ティング用剤として本アイスコーティング用油脂組成物
を使用する際には、本発明に係る油脂組成物を20〜7
0質量%、好ましくは、30〜50質量%配合する。ま
た、本発明におけるパーム系油脂30〜90質量%と液
状油10〜70質量%を含む原料油脂をトリグリセリド
の1、3位に特異性のあるリパーゼを用いてエステル交
換を行った改質油脂を直接に8〜70質量%配合させて
アイスコーティング用剤を得ることも出来る。
説明するが、本発明はこれらによって限定されるもので
はない。 実施例1〜3および5、6〜8および10 表1に示す配合原料油に、アルカリゲネス エスピー由
来の1、3位特異性リパーゼ(名糖産業(株)製、商品
名:リパーゼPL)を対原料油脂0.3質量%添加し、
60〜70℃にて10時間ゆるやかに攪拌してエステル
交換反応を行わせた。ついで、該反応物にカセイソーダ
による脱酸、活性炭による脱色、および減圧脱臭の各処
理を施して精製処理し、改質油脂A、B、C、Eを調製
した。次に、これらの改質油脂を用いて表2に示す組成
で油脂を溶解混合し、アイスコーティング用油脂組成物
1〜3および5を試作した。そして、これらについてD
SC(示差走査型熱量計:島津製作所製、DSC−5
0)において、−5℃/分の割合でこの油脂組成物融液
を60〜−80℃まで冷却させる際、20〜5℃、0〜
−15℃、−40〜−60℃の各温度帯での油脂組成物
の結晶化に伴う発熱ピークの有無および0℃以上での発
熱量の総発熱量に占める割合を表3に示した。次に、こ
れらのアイスコーティング用油脂組成物を用いて表4に
示す組成で常法によりそれぞれアイスコーティングチョ
コレート6〜8および10を試作した。そして、アイス
クリームフリーザーより取り出したラクトアイスを棒状
に成型し、それぞれのアイスコーティングチョコレート
を塗布、固化させた。この際、固化速度および膜の均一
さについて評価を行い、結果を表5に示した。さらに、
このようにして調製した冷菓を−18℃で7日間保存
し、そのひび割れの程度を観察評価し、結果を表5に示
した。
質油脂を乾式分別した硬質部をもって改質油脂分別硬質
部Dとした。この改質油脂分別硬質部Dを用いて同様に
してアイスコーティング用油脂組成物4、そしてアイス
コーティングチョコレート9を試作して、同様に評価を
行った。
用した。その他は実施例1〜3および5、6〜8および
10に準じて比較例1〜2、3〜4の試作、評価を行っ
た。
早く、均一なコーティング膜を有しており、保存後の観
察では全くひび割れが認められなかったことから、良好
な固化速度と耐ひび割れ性を有していることが認められ
た。同様に実施例6も固化速度と耐ひび割れ性は良好で
あったが、コーティング膜の一部にやや厚い部分が見ら
れた。実施例10は、ひび割れ性は良好であったが、固
化速度は実施例6〜9と比べてやや遅く、また、コーテ
ィング膜の一部に薄い部分が多少見られた。一方、比較
例3は保存後に大きくひび割れを生じ、また、コーティ
ング膜の厚い部分が見られた。また、比較例4はひび割
れはあまり生じなかったものの固化速度が遅くコーティ
ング膜も不均一であった。
であり、流通・保存時にひび割れしにくく、かつコーテ
ィング後の固化(乾き)の早いアイスコーティング用油
脂組成物が得られ、またそれを用いた付加価値の高い商
品を提供しうる。
Claims (6)
- 【請求項1】 パーム系油脂30〜90質量%と液状油
10〜70質量%を含む原料油脂をトリグリセリドの
1、3位に特異性のあるリパーゼを用いてエステル交換
を行った改質油脂を40〜100質量%含有してなるア
イスコーティング用油脂組成物。 - 【請求項2】 DSC(示差走査型熱量計)において、
油脂組成物融液を冷却凝固させる際、油脂組成物結晶化
に伴う発熱ピークが20〜5℃、0〜−15℃、−40
〜−60℃の各温度帯に少なくともそれぞれ1つ以上存
在し、かつ0℃以上での発熱量が全発熱量の10%以下
である請求項1に記載のアイスコーティング用油脂組成
物。 - 【請求項3】 パーム系油脂がパーム分別軟質部油であ
る、請求項1または2に記載のアイスコーティング用油
脂組成物。 - 【請求項4】 改質油脂がエステル交換の後、分別工程
を経た硬質部である請求項1〜3のいずれか1項に記載
のアイスコーティング用油脂組成物。 - 【請求項5】 請求項1〜4のいずれか1項に記載のア
イスコーティング用油脂組成物を20質量%〜70質量
%含有してなるアイスコーティング用剤。 - 【請求項6】 パーム系油脂30〜90質量%と液状油
10〜70質量%を含む原料油脂をトリグリセリドの
1、3位に特異性のあるリパーゼを用いてエステル交換
を行った改質油脂を8〜70質量%含有してなるアイス
コーティング用剤。
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Family Applications (1)
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