JP4410699B2 - 油脂組成物及び油脂組成物の製造方法 - Google Patents

油脂組成物及び油脂組成物の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、油脂組成物及び油脂組成物の製造方法に関し、特に、パームオレインを原料油脂として用いていながら、5℃の低温下においても流動性を有する油脂組成物及び該油脂組成物の製造方法に関するものである。
パーム油は、パーム樹の果実の油であって、大豆油とともに食用油の2大供給源のうちの1つとされており、土地生産性が高く生産コストが安いので、低価格の食用油として注目されていた。
しかしながら、パーム油は、日本の気温では固体であることから、汎用される液体油と比べて、ハンドリング性や用途が限定される等の問題があった。
また、パーム油を分別して得られる低融点部のパームオレインは、パーム油よりも融点が低く、25℃においては液体であるが、20℃では固体化してしまうことから、冬場ではパーム油と同様の問題があった。
そこで、パーム油やパームオレイン等のパーム関連油を用いた油脂として、液状で、かつ、冬場の低温下においても固体化せずに流動性を有するものが求められていた。
パーム油を液状化する方法として、パーム油やパーム油を原料とした油脂と液状油との混合油を、1,3位特異性リパーゼでエステル交換し、液状化する方法が開示されている(例えば、特許文献1乃至特許文献3参照)。
特許文献1には、パーム油と無臭の液状原料油を5:95〜50:50で混合した油を、無溶媒下で1,3位特異性リパーゼ用いてエステル交換し、得られた油を無溶媒下で分画することにより、耐冷却性を有するサラダ油を製造することができると記載されている。
また、特許文献2には、パーム油を原料とする特定の油脂と液状食料油を5:95〜95:5で混合した油を、無溶媒下で1,3位特異性リパーゼ用いてエステル交換し、得られた油を無溶媒下で分画することにより、パーム油由来の原料の配合量を多くでき、かつ、耐冷却性を有するサラダ油を製造することができると記載されている。
また、特許文献3には、液体油(なたね油や大豆油等)と液体油あたり5〜400重量%の固体脂(パーム油やパーム分別固体脂等)の混合油を、1,3選択性を有する(1,3選択性係数0.1以下の)リパーゼを触媒としてエステル交換することにより、固体脂の90%以上を液体油に変換でき、著しく耐寒性が改善され、工程を単純化できると記載されている。
特開昭61−293389号公報 特開平4−197188号公報 特開昭63−198992号公報
しかし、特許文献1や特許文献2に記載の方法によれば、エステル交換後に分別操作が必要であり、工程が複雑で生産コストがかかるという問題があった。
また、特許文献3に記載の方法によれば、1,3選択性係数0.1以下のリパーゼを用いる必要があるため、汎用性に劣り、かつ、特許文献3記載の方法で得られる液体油の耐寒性は十分満足のいくものではなかった。
そこで、本発明の目的は、パームオレインを原料油脂として用いていながら、5℃の低温下においても流動性を有する油脂組成物、及び製造コストを削減でき、低価格のパーム関連油を有効活用することができる該油脂組成物の製造方法を提供することにある。
本発明は、上記目的を達成するため、パームオレインと全構成脂肪酸中のリノール酸含量が40質量%以上である油脂とを質量比70:30〜30:70で混合して、パームオレインと全構成脂肪酸中のリノール酸含量が40質量%以上である油脂とからなる混合油を得る工程と、前記混合油を1,3位特異性リパーゼを用いてエステル交換してエステル交換油を得る工程と、前記エステル交換油に全構成脂肪酸中のリノール酸含量が40質量%以上である油脂を、下記式1により求められる原料として使用したパームオレイン換算値が15〜30質量%となるように混合する工程とを含むことを特徴とする油脂組成物の製造方法を提供する。
式1:原料として使用したパームオレイン換算値(質量%)
=混合油中のパームオレイン含量(質量%)×油脂組成物中のエステル交換油の含量(質量%)/100(質量%)
また、本発明は、上記目的を達成するため、下記油脂Aと下記油脂Bとを含有する油脂組成物であり、下記式2により求められる原料として使用したパームオレイン換算値が15〜30質量%であることを特徴とする油脂組成物を提供する。
油脂A:パームオレインと全構成脂肪酸中のリノール酸含量が40質量%以上である油脂とを質量比70:30〜30:70で混合して、パームオレインと全構成脂肪酸中のリノール酸含量が40質量%以上である油脂とからなる混合油を得た後、1,3位特異性リパーゼを用いて該混合油をエステル交換して得られたエステル交換油
油脂B:全構成脂肪酸中のリノール酸含量が40質量%以上である油脂
式2:原料として使用したパームオレイン換算値(質量%)
=油脂Aの原料中のパームオレイン含量(質量%)×油脂組成物中の油脂Aの含量(質量%)/100(質量%)
本発明によれば、パームオレインを原料油脂として用いていながら、5℃の低温下でも流動性を有する油脂組成物が得られる。また、エステル交換後の分別工程を必要としないので、製造工程がより単純となり、製造コストを削減することができる。また、低価格のパーム関連油を有効活用することができる。
以下、本発明を具体的に説明する。
〔本発明の油脂組成物の製造方法〕
図1は、本発明の油脂組成物の製造フローを示す図である。本発明の油脂組成物の製造方法は、主として以下に説明する、混合油の準備工程、エステル交換工程、混合処理工程の各工程を含んで構成される。
(混合油の準備工程)
混合油の準備工程では、パームオレイン、及び全構成脂肪酸中のリノール酸含量が40質量%以上の油脂(以下、「特定の液体油」ということがある)を原料として準備し、パームオレイン:特定の液体油の混合比が、70:30〜30:70となるように配合して混合油を得る。
原料油脂として用いられるパームオレインは、パーム油を1回分別して得られるシングルオレイン、パーム油を2回分別して得られるダブルオレイン等が挙げられ、経済性の面からパーム油を1回分別して得られるシングルオレインが好ましく、シングルオレインのよう素価は54〜62である。また、使用するパームオレインは、未精製のものでも、精製処理をしたものでも、どちらを用いることもできる。
分別は常法により行うことができ、具体的には、パームの果肉から採取した油に溶剤等を加え、又は加えないで冷却した後、これを滴下式、ろ過式、又は遠心式による分離操作を行って分離し、液体部分を採取する。
一方、原料油脂として用いられる特定の液体油は、上記の通り、液体油の全構成脂肪酸中のリノール酸含量が40質量%以上の油脂であり、リノール酸含量が50質量%以上の油脂であることがより好ましい。また、使用する全構成脂肪酸中のリノール酸含量が40質量%以上の油脂は、未精製のものでも、精製処理をしたものでも、どちらを用いることもできる。
全構成脂肪酸中のリノール酸含量が40質量%以上の油脂の具体例としては、大豆油、ひまわり油、綿実油、ハイリノールサフラワー油、コーン油が挙げられ、これらの2種以上の混合油としてもよい。特に、大豆油とひまわり油は好適に用いることができる。
液体油の全構成脂肪酸中のリノール酸含量が40質量%以上となれば、上記のリノール酸含量が40質量%以上の油脂と、菜種油や亜麻仁油等のリノール酸含量が40質量%より低い油脂との混合油を特定の液体油として用いてもよい。
原料油脂の配合比については、パームオレイン:特定の液体油=70:30〜30:70である必要がある。液状油としての耐寒性という品質及びコストの両面を考慮すると、パームオレイン:特定の液体油=65:35〜40:60がより好ましく、65:35〜45:55がさらに好ましい。最も好ましくは、62:38〜55:45である。
(エステル交換工程)
次に、エステル交換工程について説明する。
エステル交換工程では、トリグリセリドの1,3位に反応特異性があるリパーゼ(1,3位特異性リパーゼ)を使用した酵素エステル交換法により、混合油の準備工程で得たパームオレインと特定の液体油の混合油についてエステル交換を行う。
実際としては、例えば、反応原料油脂に対し、1,3位特異性リパーゼ粉末を0.06質量%添加し、60℃で16時間、緩やかに攪拌することにより達成できる。
エステル交換した混合油は、酵素除去された後、必要に応じて脱酸、脱色、及び減圧脱臭等の通常の精製処理を施され、これにより、次の混合処理工程にて使用されるパームオレイン・エステル交換油が得られる。
本工程で用いられる1,3位特異性リパーゼは、アスペルギルス(Aspergillus)属、アルカリゲネス(Alcaligenes)属、ムコール(Mucor)属、ペニシリウム属(Penicillium)属、リゾプス(Rhizopus)属等の微生物由来のものや、牛や豚の膵臓由来のものが好適に用いられる。経済性を考慮すると、アルカリゲネス エスピー由来の1,3位特異性リパーゼ(例えば、商品名:リパーゼPL、名糖産業(株)製)が好ましい。該酵素は、担体等に固定化せずに粉末のままエステル交換反応に用いることができる。
本工程で用いられる1,3位特異性リパーゼは、当業者間で1,3位特異性リパーゼと称せられるものであれば特に限定されるものではなく、ランダム化率が比較的大きいものであっても用いることができる。例えば、ランダム化率が10%より大きいリパーゼを用いてもよい。具体的には、上記のアルカリゲネス エスピー由来のリパーゼがあり、リパーゼ粉末を0.06質量%添加し、60℃で16時間エステル交換した時のエステル交換率は70〜85%、ランダム化率は15〜25%である。
ここで、エステル交換率とは、反応開始前の油脂の特定トリグリセリド成分と完全にエステル交換がなされた後の特定トリグリセリド成分との差を100とし、任意のエステル交換油脂の特定トリグリセリド成分が、反応開始前と比較して変化した度合いを100分率で表したものであり、詳細には、特表平10−508497号公報に記載される。
具体的には下記の式によって算出される。
エステル交換率(%)=(Xt−XO)/(Xeq−XO)×100
X:トリグリセリド混合物の分子組成に依存する、測定可能な特性であって、エステル交換開始前の組成物と、完全にエステル交換がなされた後の組成物が、その両極端の値を有する特性
O:エステル交換前のXの値
Xeq:完全にエステル交換がなされた後のXの値
Xt:エステル交換が測定されることになっている組成物のXの値
また、ランダム化率とは、エステル交換前の油脂混合物の2位置における特定の脂肪酸含量と全脂肪酸組成における特定の脂肪酸含量との差を100とし、エステル交換後の油脂の2位置の特定の脂肪酸含量がエステル交換前の2位置の特定の脂肪酸含量に比べ、どれだけ変化したかを100分率で表したものである。2位置の脂肪酸組成の測定は、油化学,29,p.587,(1980)に準じて行える。
(混合処理工程)
続いて、混合処理工程について説明する。
混合処理工程では、エステル交換工程にて得たパームオレイン・エステル交換油に、前述の混合油の準備工程にて配合した特定の液体油を添加混合する。
特定の液体油は、混合油の準備工程にて配合したものと同じものでも異なるものでもよい。例えば、混合油の準備工程で大豆油を使用し、本工程でひまわり油を使用してもよい。
特定の液体油の配合量は、本工程にて特定の液体油を添加混合して得た最終目的物である油脂組成物全体量に対する混合油の準備工程にて原料として使用したパームオレインの割合が15〜30質量%となるように調整して添加混合する。すなわち、上記混合油中のパームオレイン含量(質量%)×油脂組成物中のエステル交換油の含量(質量%)/100(質量%)により求められる、原料として使用したパームオレイン換算値(質量%)が、15〜30質量%となるように調整して添加混合する。好ましくは、20〜30質量%であり、より好ましくは、20〜25質量%となるように調整する。また、得られた油脂組成物は、必要に応じて脱酸、脱色、及び減圧脱臭等の通常の精製処理を施すことができる。
例えば、混合油の準備工程にて配合したパームオレインの含量がその混合油中に60質量%であった場合には、本工程では、パームオレイン・エステル交換油:特定の液体油=33.3:66.7(質量比)の配合比にて混合することで、パームオレイン換算値が約20質量%となるように調整できる。
本工程は本発明において必須の工程であるので、混合油の準備工程にて配合したパームオレインの含量がその混合油中に30質量%であった場合には、最終目的物である油脂組成物全体量に対して15質量%以上30質量%未満となるように調整して特定の液体油を添加混合する。
以上の各工程の処理を行うことにより、本発明の油脂組成物を製造することができる。得られた油脂組成物は、5℃においても長期間に渡って流動性が良好であり、耐寒性に優れる。
〔本発明の油脂組成物の構成〕
上記の製造方法において説明したように、本発明の油脂組成物は、下記油脂Aと下記油脂Bとを含有する油脂組成物であり、
油脂A:パームオレインと全構成脂肪酸中のリノール酸含量が40質量%以上である油脂とを質量比70:30〜30:70で混合して、パームオレインと全構成脂肪酸中のリノール酸含量が40質量%以上である油脂とからなる混合油を得た後、1,3位特異性リパーゼを用いて該混合油をエステル交換して得られたエステル交換油
油脂B:全構成脂肪酸中のリノール酸含量が40質量%以上である油脂
かつ、
原料として使用したパームオレイン換算値(質量%)
=油脂Aの原料中のパームオレイン含量(質量%)×油脂組成物中の油脂Aの含量(質量%)/100(質量%)
により求められる、原料として使用したパームオレイン換算値が15〜30質量%であることを特徴とする油脂組成物である。
本発明の油脂組成物は、ドレッシング、マヨネーズ、揚げ物、天ぷら、炒め物、マーガリン、ファットスプレッド、ショートニング等の各種油脂食品に使用することができる。これらの食品は公知の常法で製造、調理することができる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はそれらによって限定されるものではない。
<流動性の評価>
実施例及び比較例において、試験油の状態を評価するために、以下に示す方法により流動性の評価を行った。
〔流動性の評価方法〕
円筒形サンプル瓶(容量約100ml)に試験油を80g採り、60℃まで加熱し、結晶を完全に融解させた。25℃で1時間放冷した後に、5℃に静置して流動性を1週間毎に観察した。流動性は、サンプル瓶を真横に倒した時の試験油の状態を、下記の評価基準に従って評価した。
〔流動性の評価基準〕
◎:非常にスムーズに流動する
○:粘性が上がってはいるが、流動する
△:一部流動しない部分がある
×:流動性なし
<実施例1〜5、比較例1〜3>
エステル交換時の原料油脂の配合比、及びエステル交換油への全構成脂肪酸中のリノール酸含量が40質量%以上である油脂を配合する必要性についての検討を行った。
(試験油の作製)
パームオレイン(よう素価56)(商品名:「パームオレイン」、日清オイリオグループ(株)製)と大豆油(リノール酸含量52.0質量%)(商品名:「大豆白絞油」、日清オイリオグループ(株)製)とを80:20、70:30、60:40、50:50、40:60、30:70、及び20:80(質量比)で混合した混合油に、アルカリゲネス エスピー由来の1,3位特異性リパーゼ(商品名:「リパーゼPL」、名糖産業(株)製)を混合油に対して0.06質量%添加し、60℃で16時間ゆるやかに攪拌しながらエステル交換反応を行った。酵素除去後、脱酸、脱色、及び減圧脱臭の通常の精製処理を施して、エステル交換油(A’、B’、C’、D’、E’、F’、G)を得た。
次に、エステル交換油(A’、B’、C’、D’、E’、F’)それぞれについて、最終の油脂組成物中のパームオレイン換算値が20質量%となるように大豆油を混合し、試験油(A、B、C、D、E、F)を得た。例えば、パームオレインと大豆油との配合比が50:50でエステル交換して得られたエステル交換油D’では、D’40に対し、大豆油60(質量比)を混合した。
なお、エステル交換油Gの比較例2については、パームオレインと大豆油のエステル交換のみで、エステル交換後に大豆油を配合していない。
また、比較として、エステル交換を行わず、パームオレインと大豆油とを20:80(質量比)でブレンドしただけの混合油を試験油Hとした。
(試験油の評価)
上述した流動性の評価方法に従って、試験油A、B、C、D、E、F、G、Hについて流動性評価を行った。結果を表1に示す。
表1より明らかなように、エステル交換時のパームオレインと大豆油との配合比が70:30〜30:70(質量比)で、かつ、エステル交換後にパームオレイン換算値が20質量%となるように大豆油を配合した実施例1〜5の油脂組成物は、5℃の低温保存条件下、4週間後も流動性を有しており、優れた物性であった。
これに対して、最終の油脂組成物中のパームオレイン換算値が同じ20質量%であっても、エステル交換時のパームオレインと大豆油との配合比が70:30〜30:70(質量比)の範囲からはずれる比較例1、エステル交換のみでエステル交換後に大豆油を配合しなかった比較例2、及びエステル交換を行わずブレンドのみの比較例3は、5℃の低温保存条件下、経時的に流動性が失われた。
<実施例6〜7、比較例4〜5>
原料油脂及びエステル交換油への配合油脂として、全構成脂肪酸中のリノール酸含量が40質量%以上である油脂を用いる必要性についての検討を行った。
(試験油の作製)
パームオレイン(よう素価56)(商品名:「パームオレイン」、日清オイリオグループ(株)製)と菜種油(商品名:「菜種白絞油」、日清オイリオグループ(株)製)、大豆油(商品名:「大豆白絞油」、日清オイリオグループ(株)製)、ひまわり油(商品名:「ヘルシーオイル ひまわり油」、アルゼンチン産、日本流通産業(株)輸入)、又は亜麻仁油(商品名:「亜麻仁油」、日清オイリオグループ(株)製)とを60:40(質量比)で混合した混合油に、アルカリゲネス エスピー由来の1,3位特異性リパーゼ(商品名:「リパーゼPL」、名糖産業(株)製)を混合油に対して0.06質量%添加し、60℃で16時間ゆるやかに攪拌しながらエステル交換反応を行った。酵素除去後、脱酸、脱色、及び減圧脱臭の通常の精製処理を施して、エステル交換油(I’、J’、K’、L’)を得た。
次に、エステル交換油(I’、J’、K’、L’)それぞれについて、最終の油脂組成物中のパームオレイン換算値が20質量%となるように、原料油として配合した液体油と同種の液体油を混合し、試験油(I、J、K、L)を得た。例えば、パームオレインと菜種油との配合比が60:40でエステル交換して得られたエステル交換油I’では、I’33.3に対し、菜種油66.7(質量比)を混合した。
(試験油の評価)
上述した流動性の評価方法に従って、試験油I、J、K、Lについて流動性評価を行った。流動性評価の結果を表2に示す。
表2より明らかなように、全構成脂肪酸中のリノール酸含量が40質量%以上である大豆油又はひまわり油を配合した実施例6及び実施例7の油脂組成物は、5℃の低温保存条件下、4週間後も流動性を有しており、優れた物性であった。
これに対して、最終の油脂組成物中のパームオレイン換算値が同じ20質量%であっても、全構成脂肪酸中のリノール酸含量が40質量%より低い菜種油、亜麻仁油を配合した比較例4、及び比較例5は、5℃の低温保存条件下、経時的に流動性が失われた。
<実施例8、比較例6>
1,3位特異性リパーゼによるエステル交換とランダムエステル交換による比較を行い、1,3位特異性リパーゼによるエステル交換とする必要性についての検討を行った。
(試験油の作製)
パームオレイン(よう素価56)(商品名:「パームオレイン」、日清オイリオグループ(株)製)と大豆油(商品名:「大豆白絞油」、日清オイリオグループ(株)製)とを60:40(質量比)で混合した混合油に、アルカリゲネス エスピー由来の1,3位特異性リパーゼ(商品名:「リパーゼPL」、名糖産業(株)製)を混合油に対して0.06質量%添加し、60℃で16時間ゆるやかに攪拌しながらエステル交換反応を行った。酵素除去後、脱酸、脱色、及び減圧脱臭の通常の精製処理を施して、エステル交換油M’を得た。
また、パームオレイン(よう素価56)(商品名:「パームオレイン」、日清オイリオグループ(株)製)と大豆油(商品名:「大豆白絞油」、日清オイリオグループ(株)製)とを60:40(質量比)で混合した混合油を脱気乾燥後、混合油に対して0.1質量%のナトリウムメトキシドを添加し、100℃で15分エステル交換反応(ランダムエステル交換)を行った。該反応油に、湯洗い、脱酸、脱色、及び減圧脱臭の通常の精製処理を施して、エステル交換油N’を得た。
次に、エステル交換油M’、N’それぞれについて、最終の油脂組成物中のパームオレイン換算値が20質量%となるようにエステル交換油に大豆油を混合し、試験油M及びNを得た。
(試験油の評価)
上述した流動性の評価方法に従って、試験油M、Nについて流動性評価を行った。流動性評価の結果を表3に示す。
表3より明らかなように、1,3位特異性リパーゼでエステル交換した実施例8の油脂組成物は、5℃の低温保存条件下、4週間後も流動性を有しており、優れた物性であった。
これに対して、最終の油脂組成物中のパームオレイン換算値が同じ20質量%であっても、ランダムエステル交換した比較例6は、5℃の低温保存条件下、経時的に流動性が失われた。
<実施例9〜10、比較例7〜9>
最終の油脂組成物中のパームオレイン換算値が所定量となるように、エステル交換油へ全構成脂肪酸中のリノール酸含量が40質量%以上である油脂を配合する必要性についての検討を行った。
(試験油の作製)
実施例7におけるエステル交換油K’について、最終の油脂組成物中のパームオレイン換算値が25質量%、30質量%及び35質量%となるようにひまわり油(商品名:「ヘルシーオイル ひまわり油」、アルゼンチン産、日本流通産業(株)輸入)を混合し、試験油O、P、Qを得た。
パームオレイン(よう素価56)(商品名:「パームオレイン」、日清オイリオグループ(株)製)とひまわり油とを25:75(質量比)で混合した混合油に、アルカリゲネス エスピー由来の1,3位特異性リパーゼ(商品名:「リパーゼPL」、名糖産業(株)製)を混合油に対して0.06質量%添加し、60℃で16時間ゆるやかに攪拌しながらエステル交換反応を行った。酵素除去後、脱酸、脱色、及び減圧脱臭の通常の精製処理を施して、最終の油脂組成物中のパームオレイン換算値が25質量%のエステル交換油Rを得た。
また、比較として、エステル交換を行わず、パームオレインとひまわり油とを25:75(質量比)でブレンドしただけの混合油を試験油Sとした。
(試験油の評価)
上述した流動性の評価方法に従って、試験油O、P、Q、R、Sについて流動性評価を行った。結果を表4に示す。
表4より明らかなように、エステル交換して得られたエステル交換油にひまわり油を配合して最終の油脂組成物中のパームオレイン換算値を20〜30質量%とした実施例7、9及び10の油脂組成物は、5℃の低温保存条件下、4週間後も流動性を有しており、優れた物性であった。
これに対して、最終の油脂組成物中のパームオレイン換算値が35質量%である比較例7は、5℃の低温保存条件下、経時的に流動性が失われた。また、最終の油脂組成物中のパームオレイン換算値が同じ25質量%であっても、エステル交換のみでエステル交換後にひまわり油を配合しなかった比較例8、及びエステル交換を行わずブレンドのみの比較例9についても、5℃の低温保存条件下、経時的に流動性が失われた。
本発明の油脂組成物の製造フローを示す図である。

Claims (8)

  1. パームオレインと全構成脂肪酸中のリノール酸含量が40質量%以上である油脂とを質量比70:30〜30:70で混合して、パームオレインと全構成脂肪酸中のリノール酸含量が40質量%以上である油脂とからなる混合油を得る工程と、
    前記混合油を1,3位特異性リパーゼを用いてエステル交換してエステル交換油を得る工程と、
    前記エステル交換油に全構成脂肪酸中のリノール酸含量が40質量%以上である油脂を、下記式1により求められる原料として使用したパームオレイン換算値が15〜30質量%となるように混合する工程とを含むことを特徴とする油脂組成物の製造方法。
    式1:原料として使用したパームオレイン換算値(質量%)
    =混合油中のパームオレイン含量(質量%)×油脂組成物中のエステル交換油の含量(質量%)/100(質量%)
  2. 前記全構成脂肪酸中のリノール酸含量が40質量%以上である油脂が、大豆油、ひまわり油、綿実油、ハイリノールサフラワー油、及びコーン油から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1に記載の油脂組成物の製造方法。
  3. 前記混合油の前記質量比が、60:40〜40:60であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の油脂組成物の製造方法。
  4. 前記1,3位特異性リパーゼが、アルカリゲネス エスピー由来であることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の油脂組成物の製造方法。
  5. 前記パームオレイン換算値が、20〜25質量%であることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の油脂組成物の製造方法。
  6. 下記油脂Aと下記油脂Bとを含有する油脂組成物であり、下記式2により求められる原料として使用したパームオレイン換算値が15〜30質量%であることを特徴とする油脂組成物。
    油脂A:パームオレインと全構成脂肪酸中のリノール酸含量が40質量%以上である油脂とを質量比70:30〜30:70で混合して、パームオレインと全構成脂肪酸中のリノール酸含量が40質量%以上である油脂とからなる混合油を得た後、1,3位特異性リパーゼを用いて該混合油をエステル交換して得られたエステル交換油
    油脂B:全構成脂肪酸中のリノール酸含量が40質量%以上である油脂
    式2:原料として使用したパームオレイン換算値(質量%)
    =油脂Aの原料中のパームオレイン含量(質量%)×油脂組成物中の油脂Aの含量(質量%)/100(質量%)
  7. 前記全構成脂肪酸中のリノール酸含量が40質量%以上である油脂が、大豆油、ひまわり油、綿実油、ハイリノールサフラワー油、及びコーン油から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項6に記載の油脂組成物。
  8. 請求項6又は請求項7に記載の油脂組成物を使用したことを特徴とする食品。
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