JP2010081834A - ハードバター組成物の製造法 - Google Patents

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Abstract

【課題】
SUS(2−不飽和,1,3−ジ飽和トリグリセリド)に富むハードバター組成物を1,3特異性リパーゼによるエステル交換で製造するに際し、より簡便にまたはより効率良く製造出来る方法を提供することにある。
【解決手段】
SUS(2−不飽和,1,3−ジ飽和トリグリセリド)に富むハードバター組成物を1,3特異性リパーゼによるエステル交換で製造するに際し、特定の高ステアリン・高オレインひまわり油を主要原料として、油脂の1,3位に選択的に飽和脂肪酸を導入し、これを分別することなくまたは分別してSUSに富む画分を得るハードバター組成物を製造する。
【選択図】なし

Description

この発明は、ハードバター組成物の製造法に係り、特定のひまわり油を用いてハードバター組成物を製造する方法に関するものである。
ひまわりは中央アメリカ原産と言われ、キク科に属する1年生の草木で、種子には40%前後の油が含まれている。従来種のひまわりは、ロシア、ヨーロッパ、アルゼンチンで古くから栽培、搾油されているが、近年は品種改良されたハイオレイックひまわりがアメリカ合衆国のノースダコタ州、カリフォルニア州やアルゼンチン等で多く栽培、搾油されるようになっている。従来種のひまわり油はリノール酸が65重量%と主成分であるが、ハイオレイックひまわり油はオレイン酸が主成分になるよう改良されたものである。リノール酸をオレイン酸に変換することにより、油脂の酸化安定性が飛躍的に向上するため高安定性液状油としてフライ油やスプレー油、マーガリン、その他加工油脂などに使用されている。
ハイオレイックひまわり油はその名のごとく、オレイン酸が約80重量%も含まれ、リノール酸が約10重量%、パルミチン酸、ステアリン酸が各4重量%程度の脂肪酸組成を持つ。この特異的な脂肪酸組成に加えて、トリグリセリドの2位が殆どオレイン酸及びリノール酸で占められるという組成に着目して、本出願人は先に特許文献1のようにハイオレイックひまわり油をハードバター製造に活用することに成功した。ハイオレイックひまわり油を原料の一部または全部とする油脂の1,3位に選択的に飽和脂肪酸を導入して、さらに分別してSUS(2−不飽和、1,3−ジ飽和型グリセリド)に富む油脂を得ることを特徴とするハードバター組成物の製造法である。ハイオレイックひまわり油を油脂原料にして、1,3位置特異性を持つリパーゼを用いて、その1,3位に選択的に飽和脂肪酸を導入してUUU(トリ不飽和脂肪酸型トリグリセリド)を主成分とする油脂をSUSに富む油脂に変換する方法であるが、油脂の1,3位に飽和脂肪酸を導入した反応油では油脂中のSUS含有量がハードバターとして十分でなく、良品質のハードバターとするために、反応油をさらに分別して少なくとも50%重量以上にSUS含有量を高めた中融点部を得るハードバターの製造法である。かかる方法によって、高品質のハードバター組成物を安定的に製造することが出来るが、リパーゼによるエステル交換の基質中の飽和脂肪酸導入源の量を多く必要として反応容器が嵩高になったり、反応後に溶剤分別などによる分別濃縮の設備が必要であるため、エステル交換反応、分別に関して設備費用が膨大になる問題があった。
また、本出願人は特許文献2のように、上記のSUS含有量を溶剤分別などによる濃縮を行うことなく高める方法も開示している。かかる方法は、POP(2−オレオジパルミチン)に富む油脂画分の1,3位にステアリン酸を導入する態様や、トリオレインに富む油脂画分の1,3位にパルミチン酸またはステアリン酸を導入する態様の油脂加工において、原料油脂と1,3位に導入する脂肪酸または脂肪酸エステルの1,3特異性リパーゼによるエステル交換を複数段に分割して実施することにより、段階的にSUS含有量を高めて良品質のハードバターを得るものである。
例えば、原料油脂50重量部と脂肪酸エステル50重量部のエステル交換反応を5回繰り返しにより、溶剤などにより分別濃縮することなく、カカオバターに良く類似した油脂が得られている。かかる方法によって、リパーゼによるエステル交換だけで良質のハードバターが得られ分別工程を必須としない利点があるが、多段にエステル交換反応を行う必要があり、リパーゼ反応設備からのハードバターの生産出来高が低い問題がった。ハードバター生産出来高を高くするために、同文献2にはエステル交換反応を2段に留めSUS含有量を少し高めてから溶剤分別により目的のSUS含有量のカカオバター代用脂を得る方法も開示しているが、やはりエステル交換反応設備の繰り返し利用と分別設備が必要という問題が残る方法であった。
一方、ハイオレイックひまわり油に続く新育種ひまわり油が開発されている。例えば、特許文献3の高ステアリン酸種、特許文献4の高ステアリン・高オレイン種などの品種が既に知られているが、その用途はマーガリン、ショートニング、製菓用などでハードバターへの利用の記載は見当たらない。また、高ステアリン・高オレインひまわり油を直接分別してSUS画分を得るという試みもあり(特許文献5)、高ステアリン・高オレインひまわり油の分別硬質部と植物性液体油が重量比で20:80〜80:20から成るマーガリン用油脂である。従来のマーガリン・ショートニング用油脂は動植物油脂の水素添加油が広く用いられていたが、これらの水素添加油脂は近年健康へのリスクが問題になっているトランス型脂肪酸を多く含むため、トランス型脂肪酸を含まない硬質油脂のひとつとして、高ステアリン・高オレインひまわり油を直接分別して分別硬質部を得るという試みであるが、かかる方法では、分別収率が低い上に分別硬質部のSUS含有量も極めて低いものであった。
特開昭62−155048号公報 特公平3−69516号公報 特許WO1995−20313号公報 米国特許6388113号公報 米国特許6475548号公報
本発明は、生産効率に優れ低コストでより付加価値の高い、SUS(2−不飽和,1,3−ジ飽和トリグリセリド)に富む油脂を得る新規なハードバターの製造法を課題とする。
本出願人は先にハイオレイックひまわり油をハードバター製造に活用することに成功したが、その過程では多段のエステル交換反応や分別が不可欠であったため、引き続き生産設備費と生産コストの低減に努力をしてきた。かかる状況の中で、特定の高ステアリン・高オレインひまわり油の利用のみが、ハードバター組成物生産の効率化を図れる方法であることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明の第1は、構成脂肪酸組成中のステアリン酸が12重量%以上、オレイン酸が40重量%以上であり、かつ2位脂肪酸組成中の飽和脂肪酸が10重量%以下である高ステアリン・高オレインひまわり油を油脂の主要原料とし、その1,3位に選択的に飽和脂肪酸を導入し、またはこれをさらに分別して、SUS(2−不飽和、1,3−ジ飽和型グリセリド、S:炭素数16〜24の飽和脂肪酸、U:炭素数16〜18の不飽和脂肪酸)の含有量が70重量%以上の油脂を得ることを特徴とするハードバター組成物の製造法である。第2は、油脂への飽和脂肪酸の導入を、遊離脂肪酸または脂肪酸の低級アルコールのエステルと混合しリパーゼを用いた1段のエステル交換反応で行う第1記載の製造法である。第3は、エステル交換反応の基質中の油脂の割合が10〜70重量%である第2記載の製造法である。第4は、エステル交換反応の基質中の油脂の割合が40重量%未満で、分別をせずに行う第2記載の製造法である。第5は、エステル交換反応の基質中の油脂の割合が25重量%以上で、分別して行う第2記載の製造法である。
本発明は、高ステアリン・高オレインひまわり油を油脂の主要原料として1,3位に選択的に飽和脂肪酸を導入してSUS含有量が70重量%以上のハードバター組成物を得る製造法であり、本発明により酵素エステル交換反応の反復を要しない、或いは酵素エステル交換後に分別を要しない効率的なハードバター組成物の製造が可能となった。また、酵素エステル交換後に分別を実施する場合は、酵素エステル交換の反応基質中の原料油脂の割合を向上することが出来るため、生産効率の高いハードバター製造が可能となった。
本発明は、構成脂肪酸組成中のステアリン酸が12重量%以上、オレイン酸が40重量%以上であり、かつ2位脂肪酸組成中の飽和脂肪酸が10重量%以下である高ステアリン・高オレインひまわり油を油脂の主要原料とし、その1,3位に選択的に飽和脂肪酸を導入し、またはこれをさらに分別して、SUS(2−不飽和、1,3−ジ飽和型グリセリド、S:炭素数16〜24の飽和脂肪酸、U:炭素数16〜18の不飽和脂肪酸)の含有量が70重量%以上の油脂を得ることを特徴とするハードバター組成物の製造法である。
本発明に利用する高ステアリン・高オレインひまわり油は、構成脂肪酸組成中のステアリン酸が12重量%以上、好ましくは20重量%以上である。12重量%未満であると、飽和脂肪酸の導入量を上げるために、飽和脂肪酸導入時の基質中の油脂の割合を下げ、飽和脂肪酸または飽和脂肪酸の低級アルコールエステルの割合を上げる必要があり、飽和脂肪酸導入油脂の生産効率が低下するので好ましくない。
構成脂肪酸組成中のオレイン酸は40重量%以上、より好ましくは55重量%以上である。40重量%未満であると、必然的にリノール酸含有量が高くなり、飽和脂肪酸導入後にハードバターのテンパリング性や耐熱保型性を低下させるSLS(2−リノール、1,3ジ飽和型グリセリド)の含有量が高くなるため、ハードバターの品質低下やエステル交換後の分別収率の低下が起こり好ましくない。オレイン酸/リノール酸比率では、15以上、より好ましくは20以上である。
更に、2位脂肪酸組成中の飽和脂肪酸は10重量%以下、より好ましくは5重量%以下である。10重量%を超えると、飽和脂肪酸導入後にSSS(トリ飽和型グリセリド)やSSU(1,2−ジ飽和、3−不飽和型グリセリド)の生成が多くなり、やはりテンパリング性、耐熱保型性及び口溶け性の低下や分別収率の低下が起こり好ましくない。
本発明は、油脂への飽和脂肪酸の導入を、油脂と遊離脂肪酸または脂肪酸の低級アルコールのエステルと混合しリパーゼを用いた1段のエステル交換反応で行うハードバター組成物の製造法である。飽和脂肪酸としては、炭素数16〜22の天然由来の飽和脂肪酸または不飽和脂肪酸の水素添加物が利用出来る。脂肪酸の低級アルコールエステルとしては、炭素数16〜22の天然由来の飽和脂肪酸または不飽和脂肪酸の水素添加物をメチルアルコール、エチルアルコール、ブチルアルコールなどでエステル化したものを用いることが出来る。導入する飽和脂肪酸の中では、特にステアリン酸の場合が経済的効果大である。
1,3位に選択的に飽和脂肪酸を導入する油脂としては、上記特定の高ステアリン・高オレインひまわり油を主要原料として、2位がオレイン酸に富む油脂、例えば、パーム油、サル脂、イリッペ脂、コクム脂、シア脂、マウア脂、オリーブ油、椿油、山茶花油、ハイオレイックひまわり油、ハイオレイックサフラワー油、ハイオレイック菜種油などを上記の高ステアリン・高オレインひまわり油の等量以下好ましくは半量以下で併用することが出来る。
本発明における油脂の1,3位に選択的に飽和脂肪酸を導入する方法としては、1,3位特異性リパーゼによる選択的エステル交換反応が利用出来る。1,3位特異性リパーゼによる選択的エステル交換反応とは、油脂の主成分であるトリグリセリドの1,3位をエステル交換するが2位をほとんどエステル交換しない性質を持つような選択性のある酵素を用いる反応である。このような選択性を示す酵素として膵臓リパーゼ、米ヌカリパーゼ等の動植物起源のもの、リゾープス・デレマー、リゾープス・ジャパニカス、リゾープス・ニベウス、アスペルギルス・ニガー、ムコール・ジャパニカス等の微生物起源のもの等が例示出来る。反応温度は概ね20〜75℃である。この選択的エステル交換反応では、反応の副生物としてジグリセリドやトリ飽和グリセリドの生成を極力抑えるために、基質水分が0.18%以下のような系で反応するのが好ましい。
本発明においては、1,3位に選択的に飽和脂肪酸を導入した後に、分別を必要としない態様と分別を必要とする態様があるが、分別を必要とする場合の分別方法は溶剤分別、乾式分別、ディタージェント分別、蒸留分別、ゾーンメルティング等を採用することが出来るが、通常溶剤分別法または乾式分別法が好適に採用される。
本発明で目指す所望のSUS含有量は70重量%以上である。SUS含有量が50重量%以上であれば、チョコレート用のハードバターとして使用可能であるが、チョコレートに必要とされるスナップ性(20℃程度の常温でパキット割れる性質)や冷感を伴う口溶け感、30℃前後までの耐熱保形性を得るには、SUS含有量としては少なくとも70重量%が必要である。但し、LUS(L:炭素数20〜24の飽和脂肪酸、U:炭素数16〜18の不飽和脂肪酸、S:炭素数16〜24の飽和脂肪酸)を5重量%以上含むときは、SUS含有量は75%重量%以上が好ましい。
本発明におけるエステル交換反応の基質中の油脂の割合は10〜70重量%である。油脂の割合が10重量%以下であるとエステル交換油のSUS含有量は高く出来るが、90重量%の脂肪酸または脂肪酸の低級アルコールエステルを蒸留する必要があり、エネルギー効率が悪い上にエステル交換油の生産量が少なく、生産効率が極めて低くなり好ましくない。逆に、油脂の割合が70重量%を超えると、エステル交換油中のSUS含有量が低く、エステル交換だけでは所望のSUS含有量とならず、また分別しても分別収率が低くやはり生産効率が低いものになり好ましくない。
エステル交換反応後に分別をせずに一段のエステル交換反応のみで所望のSUS含有量のハードバター組成物を得る目的の場合は、基質中の油脂の割合を40重量%未満、好ましくは10〜40重量%にするのがよい。所望のSUS含有量70重量%以上のハードバター組成物を得るには、高ステアリン・高オレインひまわり油の構成脂肪酸中のステアリン酸含量により、基質中の油脂の割合を40重量%未満の範囲で適宜調整する必要がある。例えば、ステアリン酸含量が20重量%の場合は、基質中の油脂の割合は25重量%まで可能である。ステアリン酸含量が30重量%の場合は、基質中の油脂の割合は35重量%まで増加することが出来る。基質中の油脂の割合が40重量%を超えると、現状ではステアリン酸含量が30重量%を大きく超える高ステアリン・高オレインひまわり油は入手困難であることから、SUS含有量70重量%以上のハードバター組成物を製造することは出来ない。
エステル交換反応後に分別して所望のSUS含有量のハードバター組成物を得る目的の場合は、エステル交換の基質中の油脂の割合は25重量%以上、好ましくは40重量%以上が好適である。この方法は、高ステアリン・高オレインひまわり油と飽和脂肪酸または飽和脂肪酸エステルとを混合したもの(重量比率で25:75〜70:30)を基質として、リパーゼ反応を行いSUS含有量が30〜65重量%の反応油を作成し、その後分別によりSUS含有量を所望の70重量%以上に高める方法である。基質中の油脂の割合が25重量%未満であると、エステル交換油のSUS含有量は高くなるが、脂肪酸または脂肪酸の低級アルコールエステルの蒸留負荷が大きく、エステル交換油の生産効率が低い問題がある。基質中の油脂の割合が70重量%を超えると、エステル交換油のSUS含有量が低いため、分別収率が低くやはり生産効率上好ましくない。
本発明において、飽和脂肪酸としてステアリン酸を導入した場合、ハードバター組成物の主成分はStOSt(2−オレオ、1,3ジステアリン)であるが、これをカカオバター代用脂として利用する場合はPOP(2−オレオ、1,3ジパルミチン)を主成分とするパーム中融点部と混合して、カカオバター近似の融点、融解性状となるよう本ハードバター組成物とパーム中融点部を重量比率で40:60〜70:30で混合して利用するのが好ましい。また、このハードバター組成物はカカオバターの耐熱保形性を改良するカカオバター改良油脂としても利用することが出来、その場合は本ハードバター組成物とパーム中融点部を重量比率で70:30〜100:0で混合して利用するのが好ましい。
以下この発明を実施例で説明する。
アルゼンチン産のIV62.9の高ステアリン・高オレインひまわり油の脱酸油イ、IV83.1のハイオレイックひまわり油の脱酸油ロをそれぞれ調製し、それぞれの全脂肪酸組成、2位脂肪酸組成を測定した。その結果を表1に示す。
<表1> 脂肪酸組成(%)
Figure 2010081834
脱酸油イの高ステアリン・高オレインひまわり油は飽和脂肪酸の大部分が1,3位に配位し、2位はほとんどオレイン酸で占められている。
〔実施例1〕
市販のリゾープス・ニベウスのリパーゼ1重量部と珪藻土2重量部を混合し、更に冷水適当量を攪拌しながら散布して粒状とし、これを15℃で減圧乾燥して水分1.5重量%の珪藻土酵素を得た。別に脱酸油イ10重量部とステアリン酸エチル(93%純度)90重量部を減圧加熱乾燥して反応基質(水分0.01重量%)を作成し、これに前の珪藻土酵素3重量部を加え密閉下43℃で3日間攪拌して後、基質油を回収した。更に、蒸留でエチルエステルを除いて反応油aを得た。この反応油aを脱色、脱臭してハードバター組成物aを得た。
〔実施例2〕
脱酸油イ20部とステアリン酸エチル80重量部を減圧加熱乾燥して反応基質(水分0.01重量%)を作成し、これに実施例1の珪藻土酵素3重量部を加え密閉下43℃で3日間攪拌して後、基質油を回収した。更に、蒸留でエチルエステルを除いて反応油bを得た。この反応油bを脱色、脱臭してハードバター組成物bを得た。
〔実施例3〕
脱酸油イ25重量部とステアリン酸エチル75重量部を減圧加熱乾燥して反応基質(水分0.01重量%)を作成し、これに実施例1の珪藻土酵素3重量部を加え密閉下43℃で3日間攪拌して後、基質油を回収した。更に、蒸留でエチルエステルを除いて反応油cを得た。この反応油cを脱色、脱臭してハードバター組成物cを得た。
〔比較例1〕
脱酸油ロ(ハイオレイックひまわり油)20重量部とステアリン酸エチル80重量部を減圧加熱乾燥して反応基質(水分0.01%)を作成し、これに実施例1の珪藻土酵素3部を加え密閉下43℃で3日間攪拌して後、基質油を回収した。更に、蒸留でエチルエステルを除いて反応油dを得た。この反応油dを脱色、脱臭してハードバター組成物dを得た。
ハードバター組成物a〜eのトリグリセリド組成を表2に示す。
<表2> トリグリセリド組成(%)
Figure 2010081834
実施例1〜3では目標とするSUS含有量70重量%以上を達成することが出来たが、比較例1ではSUS含有量が十分高いものではなかった。
〔実施例4〕
脱酸油イ45重量部とステアリン酸エチル(純度93%)55重量部を減圧加熱乾燥して反応基質(水分0.01重量%)を作成し、これに実施例1の珪藻土酵素3重量部を加え密閉下43℃で3日間攪拌して後、基質油を回収した。更に、蒸留でエチルエステルを除いて反応油eを得た。この反応油をノルマルヘキサンを用いて分別を実施してSUS含有量84.6重量%の中融点画分eを得た。この中融点画分の収率は64.2重量%であった。
〔比較例2〕
実施例4の脱酸油イを脱酸油ロ(ハイオレイックひまわり油)に代えて、実施例4同様にエステル交換、分別を実施してSUS含有量85.3%の中融点画分fを得た。この中融点画分の収率は44.5%とかなり低いものであった。
〔比較例3〕
比較例2のエステル交換の反応基質を脱酸油ロ30重量部とステアリン酸エチル(純度93%)70重量部に代えて、実施例4同様にエステル交換、分別を実施してSUS含有量83.6%の中融点画分gを得た。この中融点画分の収率は59.5%とほぼ実施例4に匹敵するものであった。
<表3>
Figure 2010081834
実施例4では、原料油脂割合45%の基質のエステル交換とその反応油の分別でSUS含有量84.6%のハードバター組成物が64.2%の高い分別収率で得られた。同じ原料油脂混合比率の比較例2では同SUS含有量のハードバター組成物の分別収率は44.5%と低く、生産効率が低いものであった。原料油脂混合比率を30%とした比較例3では、SUS含有量83.6%のハードバター組成物が実施例4に近い分別収率で得られたが、原料油脂の割合が低いためエステル交換油の生産効率が低く脂肪酸エステルの蒸留コストが実施例4対比で高いものであった。
本発明は、チョコレートに用いられるハードバター製造法に関し、生産効率が高く経済性に優れたハードバター製造法に関するものである。

Claims (5)

  1. 構成脂肪酸組成中のステアリン酸が12重量%以上、オレイン酸が40重量%以上であり、かつ2位脂肪酸組成中の飽和脂肪酸が10重量%以下である高ステアリン・高オレインひまわり油を油脂の主要原料とし、その1,3位に選択的に飽和脂肪酸を導入し、またはこれをさらに分別して、SUS(2−不飽和、1,3−ジ飽和型グリセリド、S:炭素数16〜24の飽和脂肪酸、U:炭素数16〜18の不飽和脂肪酸)の含有量が70重量%以上の油脂を得ることを特徴とするハードバター組成物の製造法。
  2. 油脂への飽和脂肪酸の導入を、遊離脂肪酸または脂肪酸の低級アルコールのエステルと混合しリパーゼを用いた1段のエステル交換反応で行う請求項1記載の製造法。
  3. エステル交換反応の基質中の油脂の割合が10〜70重量%である請求項2記載の製造法。
  4. エステル交換反応の基質中の油脂の割合が40重量%未満で、分別をせずに行う請求項2記載の製造法。
  5. エステル交換反応の基質中の油脂の割合が25重量%以上で、分別して行う請求項2記載の製造法。
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