JP3475500B2 - 共役系高分子蛍光体と有機el素子 - Google Patents

共役系高分子蛍光体と有機el素子

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JP3475500B2 JP16155594A JP16155594A JP3475500B2 JP 3475500 B2 JP3475500 B2 JP 3475500B2 JP 16155594 A JP16155594 A JP 16155594A JP 16155594 A JP16155594 A JP 16155594A JP 3475500 B2 JP3475500 B2 JP 3475500B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、有機エレクトロルミネ
ッセンス素子(以下、有機EL素子ということがあ
る。)用の高分子蛍光体およびそれを用いて作成された
有機EL素子に関する。詳しくは、強い蛍光を有する溶
媒可溶性の高分子蛍光体、およびそれを用いて作成され
た有機EL素子に関する。
【0002】
【従来の技術】無機蛍光体を発光材料として用いた無機
エレクトロルミネッセンス素子(以下、無機EL素子と
いうことがある。)は、例えばバックライトとしての面
状光源やフラットパネルディスプレイ等の表示装置に用
いられているが発光させるのに高電圧の交流が必要であ
った。近年、Tangらは有機蛍光色素を発光層とし、
これと電子写真の感光体等に用いられている有機電荷輸
送化合物とを積層した二層構造を有する有機EL素子を
作製し、低電圧駆動、高効率、高輝度の有機EL素子を
実現させた(特開昭59−194393号公報)。有機
EL素子は、無機EL素子に比べ、低電圧駆動、高輝度
に加えて多数の色の発光が容易に得られるという特長が
あることから素子構造や有機蛍光色素、有機電荷輸送化
合物について多くの試みが報告されている〔ジャパニー
ズ・ジャーナル・オブ・アプライド・フィジックス(J
pn.J.Appl.Phys.)第27巻、L269
頁(1988年)〕、〔ジャーナル・オブ・アプライド
・フィジックス(J.Appl.Phys.)第65
巻、3610頁(1989年)〕。
【0003】これまでに、発光層に用いる材料として
は、低分子量の有機蛍光色素が一般に用いられており、
高分子量の発光材料としては、WO9013148号公
開明細書、特開平3−244630号公報、アプライド
・フィジックス・レターズ(Appl.Phys.Le
tt.)第58巻、1982頁(1991年)などで提
案されていた。WO9013148号公開明細書の実施
例には、可溶性前駆体を電極上に成膜し、熱処理を行な
うことにより共役系高分子に変換されたポリ−p−フェ
ニレンビニレン薄膜が得られ、それを用いたEL素子が
開示されている。また、特開平3−244630号公報
には、それ自身が溶媒に可溶であり、熱処理が不要であ
るという特長を有する共役系高分子が例示されている。
アプライド・フィジックス・レターズ(Appl.Ph
ys.Lett.)第58巻、1982頁(1991
年)にも溶媒に可溶な高分子発光材料が記載されてい
る。しかし、これらの材料は、蛍光の量子収率が必ずし
も高くなかった。
【0004】高分子発光材料の蛍光の量子収率を高める
試みもすでに報告されている〔ネイチャー(Nature)第
356巻、47頁(1992年)〕。p−フェニレンエ
チレンスルホニウム塩と2,5−ジメトキシ−p−フェ
ニレン−メトキシ−エチレンの共重合体を熱処理するこ
とにより、共役系構造でない2,5−ジメトキシ−p−
フェニレン−メトキシ−エチレン部分に囲まれたポリ−
p−フェニレンビニレンの部分が生じ、ポリ−p−フェ
ニレンビニレンホモポリマーよりEL発光強度が増加す
ることが開示されている。ここでは、5−ジメトキシ−
p−フェニレン−メトキシ−エチレンは熱処理のみでは
分解しにくため、熱処理で共重合体全体が共役系高分子
に転換することを抑制することに利用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これま
で報告された蛍光の量子収率の高い材料では可溶性中間
体を薄膜に成形したのち、高温の熱処理により共役系高
分子構造に変換する必要があり、素子作成上、関連部
材、例えば基板の材質に制限があった。また、共役系高
分子と非共役系高分子の共重合体であり、電極から注入
される荷電の移動が困難となるために、薄膜の抵抗が増
加し、高い駆動電圧が必要になることが予想される。さ
らに、可溶性の共役系高分子では薄膜成形後の高温の熱
処理は不要であるが、蛍光の量子収率が低く、低輝度の
EL素子しか得られないなど問題があった。塗布法によ
り容易に有機EL素子を作成するために、溶媒への溶解
性が優れ、しかも蛍光の量子収率が高い高分子蛍光体が
要望されていた。
【0006】本発明の目的は、蛍光の量子収率が高く、
溶媒への溶解性が優れた共役系高分子蛍光体、およびこ
れを用いて塗布法により容易に作成できる高輝度の有機
EL素子を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】このような事情をみて、
本発明者等は、共役系高分子蛍光体を発光層として用い
た有機EL素子の発光効率を向上させるために、共役系
高分子蛍光体の蛍光の量子収率について鋭意検討してき
た。その結果、共役系高分子蛍光体として側鎖基を有
し、該共役系高分子の薄膜における吸収スペクトルのピ
ーク波長と蛍光スペクトルのピーク波長の差が特定の値
以上である共役系共重合体が蛍光の量子収率が高く、ま
たこれを用いることにより、塗布法で容易に有機EL素
子が作成できることを見い出し、本発明に至った。
【0008】すなわち本発明は次に記す発明である。 (1)溶媒に可溶な共役系高分子であって、該共役系高
分子の数平均分子量は103 〜107 であり、該共役系
高分子は共役結合が連続した構造であり、該共役系高分
子は互いに異なる2種類以上の繰り返し単位を有し、該
繰り返し単位は少なくとも1つの共役結合を有し、該共
役系高分子の薄膜における吸収スペクトルのピーク波長
と蛍光スペクトルのピーク波長の差が120nm以上で
あることを特徴とする共役系高分子蛍光体。
【0009】(2)共役系高分子が下記化6、化7、化
8で示される繰り返し単位からなることを特徴とする共
役系高分子蛍光体。
【化6】−Ar1 −CH=CH−
【化7】−Ar2 −CH=CH−
【化8】−Ar3 −CH=CH− (式中、Ar1 、Ar2 、Ar3 は互いに異なり、それ
ぞれビニレン基と連続した共役結合を形成するアリーレ
ン基または2価の複素環化合物基で、かつAr1、Ar2
、Ar3 の少なくとも1つは、炭素数4以上22以下
のアルキル基、アルコキシ基およびアルキルチオ基;炭
素数6以上60以下のアリール基およびアリールオキシ
基並びに炭素数4以上60以下の複素環化合物基から選
ばれた少なくとも1種の置換基を少なくとも1個有する
アリーレン基または複素環化合物基である。)
【0010】(3)下記化9、化10で示される繰り返
し単位を含むことを特徴とする(1)または(2)記載
の共役系高分子蛍光体。
【化9】−Ar4 −CH=CH−Ar5 −CH=CH−
【化10】 −Ar6 −CH=CH−Ar5 −CH=CH− (式中、Ar4 、Ar5 、Ar6 は互いに異なり、それ
ぞれビニレン基と連続した共役結合を形成するアリーレ
ン基または2価の複素環化合物基で、かつAr4、Ar
5 、Ar6 の少なくとも1つは、炭素数4以上22以下
のアルキル基、アルコキシ基およびアルキルチオ基;炭
素数6以上60以下のアリール基およびアリールオキシ
基並びに炭素数4以上60以下の複素環化合物基から選
ばれた少なくとも1種の置換基を少なくとも1個有する
アリーレン基または複素環化合物基である。)
【0011】(4)少なくとも一方が透明または半透明
である一対の陽極および陰極からなる電極間に、少なく
とも発光層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子
において、該発光層が(1)、(2)または(3)記載
の共役系高分子蛍光体であることを特徴とする有機エレ
クトロルミネッセンス素子。 (5)少なくとも一方が透明または半透明である一対の
陽極および陰極からなる電極間に、少なくとも発光層を
有する有機エレクトロルミネッセンス素子において、該
発光層が(1)、(2)または(3)記載の共役系高分
子蛍光体よりなり、かつ陰極と該発光層との間に、該発
光層に隣接して電子輸送性化合物からなる層を設けたこ
とを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
【0012】(6)少なくとも一方が透明または半透明
である一対の陽極および陰極からなる電極間に、少なく
とも発光層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子
において、該発光層が(1)、(2)または(3)記載
の共役系高分子蛍光体よりなり、かつ陽極と該発光層と
の間に、該発光層に隣接して正孔輸送性化合物からなる
層を設けたことを特徴とする有機エレクトロルミネッセ
ンス素子。 (7)少なくとも一方が透明または半透明である一対の
陽極および陰極からなる電極間に、少なくとも発光層を
有する有機エレクトロルミネッセンス素子において、該
発光層が(1)、(2)または(3)記載の共役系高分
子蛍光体よりなり、かつ陰極と該発光層との間に、該発
光層に隣接して電子輸送性化合物からなる層および陽極
と該発光層との間に、該発光層に隣接して正孔輸送性化
合物からなる層とを設けたことを特徴とする有機エレク
トロルミネッセンス素子。
【0013】以下、本発明の共役系高分子蛍光体につい
て詳細に説明する。本発明の共役系高分子蛍光体は、溶
媒可溶な共役系高分子であって、該共役系高分子の数平
均分子量は103 〜107 であり、該共役系高分子は共
役結合が連続した構造であり、該共役系高分子は互いに
異なる2種類以上の繰り返し単位を有し、それぞれの繰
り返し単位は少なくとも1つの共役結合を有し、該共役
系高分子の薄膜における吸収スペクトルのピーク波長と
蛍光スペクトルのピーク波長の差が120nm以上であ
るものである。それぞれの繰り返し単位からなるホモポ
リマーにおける光学吸収端エネルギーが最小である繰り
返し単位が、該共役系高分子中に0.01モル%以上で
40モル%以下含まれるものがさらに好ましい。ここ
で、数平均分子量はクロロホルムを溶媒として、ゲルパ
ーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求
めたポリスチレン換算の数平均分子量である。
【0014】本発明の共役系高分子蛍光体は、蛍光の量
子収率が高い共役系高分子蛍光体を得る観点から、前記
の化6、化7、化8で示される繰り返し構造を含む共役
系高分子が好ましい。さらに、好ましくは化9、化10
で示されるビニレン基とアリール基または複素環化合物
基が交互に結合された繰り返し構造を含む共役系高分子
である。
【0015】本発明の共役系高分子の繰り返し単位とし
ては化11に示す2価の芳香族化合物基またはその誘導
体基、2価の複素環化合物基またはその誘導体基;化6
〜化10に示した2価の芳香族化合物基またはその誘導
体基とビニレン基が結合した基、2価の複素環化合物基
またはその誘導体基とビニレン基が結合した基などが例
示される。
【0016】
【化11】 (R1 〜R57は、それぞれ独立に、水素、炭素数1〜2
0のアルキル基、アルコキシ基およびアルキルチオ基;
炭素数6〜18のアリール基およびアリールオキシ基;
ならびに炭素数4〜14の複素環化合物基からなる群か
ら選ばれた基である。)
【0017】これらのなかでフェニレン基、置換フェニ
レン基、ビフェニレン基、置換ビフェニレン基、ナフタ
レンジイル基、置換ナフタレンジイル基、アントラセン
−9,10−ジイル基、置換アントラセン−9,10−
ジイル基、ピリジン−2,5−ジイル基、置換ピリジン
−2,5−ジイル基、チエニレン基および置換チエニレ
ン基が好ましい。さらに好ましくは、フェニレン基、ビ
フェニレン基、ナフタレンジイル基、ピリジン−2,5
−ジイル基、チエニレン基である。
【0018】ここで、置換基について述べると、炭素数
1〜20のアルキル基としては、メチル基、エチル基、
プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプ
チル基、オクチル基、デシル基、ラウリル基などが挙げ
られ、メチル基、エチル基、ペンチル基、ヘキシル基、
ヘプチル基、オクチル基が好ましい。また、炭素数1〜
20のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ
基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘ
キシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ
基、デシルオキシ基、ラウリルオキシ基などが挙げら
れ、メトキシ基、エトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキ
シルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基が
好ましい。アルキルチオ基としては、メチルチオ基、エ
チルチオ基、プロピルチオ基、ブチルチオ基、ペンチル
チオ基、ヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチ
オ基、デシル基、ラウリルチオ基などが挙げられ、メチ
ルチオ基、エチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチ
オ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基が好ましい。ア
リール基としては、フェニル基、4−C1 〜C12アルコ
キシフェニル基(C 1 〜C12は炭素数1〜12であるこ
とを示す。)、4−C1 〜C12アルキルフェニル基、1
−ナフチル基、2−ナフチル基などが例示される。アリ
ールオキシ基としては、フェノキシ基が例示される。複
素環化合物基としては2−チエニル基、2−ピロリル
基、2−フリル基、2−、3−または4−ピリジル基な
どが例示される。
【0019】これらから選んだ繰り返し単位からなる共
役系高分子であって、薄膜における吸収スペクトルのピ
ーク波長と蛍光スペクトルのピーク波長の差が120n
m以上である場合に、高い蛍光の量子収率の発光材料を
得ることができる。さらに、これらの繰り返し単位から
選んだ共役系高分子であって、光学吸収端エネルギーが
最小である繰り返し単位が0.01モル%以上で40モ
ル%以下で含まれている共重合体がより好ましい。これ
らの繰り返し単位から、ホモポリマーとした場合の光学
吸収端エネルギーの差が0. 05eV以上あるものを選
ぶと、特に高い蛍光の量子収率の発光材料を得ることが
できるので好ましい。このためには、少なくとも2種類
以上の異なる化学構造から選ばれることが必要である。
さらに、化6、7、8に示すAr1 、Ar2 、Ar3
同一の化学構造でないものから選ばれることが好まし
い。また、光吸収端エネルギーが0.05eV以上異な
る繰り返し構造としては、Ar1 、Ar2 、Ar3 が置
換基を有する場合には、その置換基の少なくとも1つを
アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールオキシ基また
は炭素数4以上の複素環化合物基とするか、またはAr
1 、Ar2 、Ar3 のうち一つまたは二つを複素環化合
物基であるものから選んだものが例示される。
【0020】さらに、化9、10に示すAr4 、A
5 、Ar6 の場合はAr4 、Ar5 、Ar6 は互いに
異なり、かつそれらが置換基を有する場合その置換基の
少なくとも1つをアルコキシ基、アルキルチオ基、アリ
ールオキシ基または炭素数4以上の複素環化合物基とす
ることにより、またはAr4 とAr6 の一方を複素環化
合物基とすることにより、高い蛍光収率を示す共役系高
分子を得ることができる。
【0021】なお、共役系高分子は、ランダム、ブロッ
クまたはグラフト共重合体であってもよいし、それらの
中間的な構造を有する高分子、例えばブロック性を帯び
たランダム共重合体であってもよい。蛍光の量子収率の
高い共重合体を得る観点からは完全なランダム共重合体
よりブロック性を帯びたランダム共重合体やブロックま
たはグラフト共重合体が好ましい。
【0022】また、本発明の高分子蛍光体に対する良溶
媒としては、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエ
タン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレンなどが
例示される。高分子蛍光体の構造や分子量にもよるが、
通常はこれらの溶媒に0.1wt%以上溶解させること
ができる。溶媒への溶解性等、成膜性のよい重合体を得
るためには、Ar1 、Ar2 、Ar3 の組合わせ、また
はAr4 、Ar5 、Ar6 の組み合わせの内で、少なく
とも1つが炭素数4〜22のアルキル基、アルコキシ基
もしくはアルキルチオ基;炭素数6〜60のアリール基
もしくはアリールオキシ基;または炭素数4〜60の複
素環化合物基を置換基として1個以上核置換されたアリ
ール基または複素環化合物基であることが好ましい。
【0023】これらの置換基としては以下のものが例示
される。炭素数4〜22のアルキル基としては、ブチル
基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル
基、デシル基、ラウリル基などが挙げられ、ペンチル
基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基が好ましい。
また、炭素数4〜22のアルコキシ基としては、ブトキ
シ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチル
オキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基、ラウリ
ルオキシ基などが挙げられ、ペンチルオキシ基、ヘキシ
ルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基が好
ましい。アルキルチオ基としては、ブチルチオ基、ペン
チルチオ基、ヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチ
ルチオ基、デシルチオ基、ラウリルチオ基などが挙げら
れ、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、ヘプチルチオ
基、オクチルチオ基が好ましい。アリール基としては、
フェニル基、4−C1 〜C12アルコキシフェニル基(C
1 〜C12は炭素数が1〜12のいずれかの数であること
を示す。)、4−C1 〜C12アルキルフェニル基、1−
ナフチル基、2−ナフチル基などが例示される。アリー
ルオキシ基としては、フェノキシ基が例示される。複素
環化合物基としては2−チエニル基、2−ピロリル基、
2−フリル基、2−、3−または4−ピリジル基などが
例示される。
【0024】これら置換基の選定には前述したように繰
り返し構造がそのホモポリマーにおいて光学吸収端エネ
ルギーの差が0.05eV以上になるように選ぶことが
好ましい。また、溶解性の高い共重合体を得る観点か
ら、これらの置換基を有する繰り返し構造の高分子中で
の含有量は5〜100モル%であり、好ましくは15〜
100モル%である。
【0025】本発明の重合体の重合度は特に限定され
ず、繰り返し構造やその割合によっても変わる。成膜性
の点から一般には繰り返し構造の合計数で好ましくは3
〜10000、さらに好ましくは3〜3000、特に好
ましくは4〜2000である。
【0026】有機EL素子作成の際に、これらの有機溶
媒可溶性の重合体を用いることにより、溶液から成膜す
る場合、この溶液を塗布後乾燥により溶媒を除去するだ
けでよく、また後述する電荷輸送材料を混合した場合に
おいても同様な手法が適用でき、製造上非常に有利であ
る。
【0027】本発明の共重合体の代表的なものは、アリ
ーレンビニレン系共重合体であり、その合成法としては
特に限定されないが、例えば特開平1−254734号
公報、特開平1−79217号公報等に記載されている
方法と同様な方法を用いて共重合体を得ることができ
る。すなわち、例えば相当する2種類以上のビス(ハロ
ゲン化メチル)化合物、より具体的には、例えば、2,
5−ジエチル−p−キシリレンジブロミド、2,5−ジ
ヘプチルオキシ−p−キシリレンジブロミドおよびp−
キシリレンジブロミドとをキシレン/第三級ブチルアル
コール混合溶媒中、第三級ブトキシカリウムを用いて共
重合させる脱ハロゲン化水素法をあげることができる。
この場合、通常ランダム共重合体となるが、オリゴマー
を利用すればブロック共重合体も得られる。
【0028】また、相当するビス(ハロゲン化メチル)
化合物、より具体的には、例えば、2,5−ジエチル−
p−キシリレンジブロミドと2,5−ジヘプチルオキシ
−p−キシリレンジブロミドをそれぞれN,N−ジメチ
ルホルムアミド溶媒中、トリフェニルホスフィンと反応
させてホスホニウム塩を合成し、相当するジアルデヒド
化合物、より具体的には、例えば、テレフタルアルデヒ
ドを、例えばエチルアルコール中、リチウムエトキシド
を用いて重合させるWittig反応を挙げることがで
きる。共重合体を得るために、2種類以上のジホスホニ
ウム塩および/または2種類以上のジアルデヒド化合物
を反応させてもよい。この他に、相当するスルホニウム
塩をアルカリ存在下に重合させ、ついで脱スルホニウム
塩処理を行うスルホニウム塩分解法などが例示される。
また、これらの重合体を有機EL素子の発光材料として
用いる場合、その純度が発光特性に影響を与えるため、
合成後、再沈精製、クロマトグラフによる分別等の純化
処理をすることが望ましい。
【0029】本発明の発光材料を用いて作成される有機
EL素子の構造については、少なくとも一方が透明また
は半透明である一対の電極間に設ける発光層中に前述の
重合体からなる発光材料が用いられておれば、特に制限
はなく、公知の構造が採用される。例えば、該高分子蛍
光体からなる発光層、もしくは該高分子蛍光体と電荷輸
送材料(電子輸送材料と正孔輸送材料の総称を意味す
る)との混合物からなる発光層の両面に一対の電極を有
する構造のもの、さらに発光層と陰極の間に電子輸送材
料を含有する電子輸送層および/または発光層と陽極の
間に正孔輸送材料を含む正孔輸送層を積層したものが例
示される。また、発光層や電荷輸送層は1層の場合と複
数の層を組み合わせる場合も本発明に含まれる。さら
に、発光層に例えば下記に述べる該高分子蛍光体以外の
発光材料を混合使用してもよい。また、該高分子蛍光体
および/または電荷輸送材料を高分子化合物に分散させ
た層とすることもできる。
【0030】本発明の重合体とともに使用される電荷輸
送材料、すなわち、電子輸送材料または正孔輸送材料と
しては公知のものが使用でき、特に限定されないが、正
孔輸送材料としてはピラゾリン誘導体、アリールアミン
誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導
体等が、電子輸送材料としてはオキサジアゾール誘導
体、アントラキノジメタンおよびその誘導体、ベンゾキ
ノンおよびその誘導体、ナフトキノンおよびその誘導
体、アントラキノンおよびその誘導体、テトラシアノア
ンスラキノジメタンおよびその誘導体、フルオレノン誘
導体、ジフェニルジシアノエチレンおよびその誘導体、
ジフェノキノン誘導体、8−ヒドロキシキノリンおよび
その誘導体の金属錯体等が例示される。
【0031】具体的には、特開昭63−70257号、
同63−175860号公報、特開平2−135359
号、同2−135361号、同2−209988号、同
3−37992号、同3−152184号公報に記載さ
れているもの等が例示される。正孔輸送材料としてはト
リフェニルジアミン誘導体、電子輸送材料としてはオキ
サジアゾール誘導体、ベンゾキノンおよびその誘導体、
アントラキノンおよびその誘導体、8−ヒドロキシキノ
リンおよびその誘導体の金属錯体が好ましく、特に、正
孔輸送材料としては4,4’−ビス(N(3−メチルフ
ェニル)−N−フェニルアミノ)ビフェニル、電子輸送
材料としては2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t
−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、
ベンゾキノン、アントラキノン、トリス(8−キノリノ
ール)アルミニウムが好ましい。これらのうち、電子輸
送性の化合物と正孔輸送性の化合物のいずれか一方、ま
たは両方を同時に使用すればよい。これらは単独で用い
てもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
【0032】発光層と電極の間に電荷輸送層を設ける場
合、これらの電荷輸送材料を使用して電荷輸送層を形成
すればよい。また、電荷輸送材料を発光層に混合して使
用する場合、電荷輸送材料の使用量は使用する化合物の
種類等によっても異なるので、十分な成膜性と発光特性
を阻害しない量範囲でそれらを考慮して適宜決めればよ
い。通常、発光材料に対して1〜40重量%であり、よ
り好ましくは2〜30重量%である。
【0033】本発明の高分子蛍光体と共に使用できる既
知の発光材料としては特に限定されないが、例えば、ナ
フタレン誘導体、アントラセンおよびその誘導体、ペリ
レンおよびその誘導体、ポリメチン系、キサンテン系、
クマリン系、シアニン系などの色素類、8−ヒドロキシ
キノリンおよびその誘導体の金属錯体、芳香族アミン、
テトラフェニルシクロペンタジエンおよびその誘導体、
テトラフェニルブタジエンおよびその誘導体などを用い
ることができる。具体的には、例えば特開昭57−51
781号、同59−194393号公報に記載されてい
るもの等、公知のものが使用可能である。
【0034】つぎに、本発明の発光材料を用いた有機E
L素子の代表的な作製方法について述べる。陽極および
陰極からなる一対の電極で、透明または半透明な電極と
しては、ガラス、透明プラスチック等の透明基板の上
に、透明または半透明の電極を形成したものが用いられ
る。陽極の材料としては、導電性の金属酸化物膜、半透
明の金属薄膜等が用いられる。具体的にはインジウム・
スズ・オキサイド(ITO)、酸化スズ等からなる導電
性ガラスを用いて作成された膜(NESAなど)、A
u、Pt、Ag、Cu等が用いられる。作製方法として
は真空蒸着法、スパッタリング法、メッキ法などが用い
られる。
【0035】次いで、この陽極上に発光材料として上記
重合体、または該重合体と電荷輸送材料を含む発光層を
形成する。形成方法としてはこれら材料の溶液、混合液
または溶融液を使用してスピンコーティング法、キャス
ティング法、ディッピング法、バーコート法、ロールコ
ート法等の塗布法が例示されるが、溶液または混合液を
スピンコーティング法、キャスティング法、ディッピン
グ法、バーコート法、ロールコート法等の塗布法により
成膜するのが特に好ましい。
【0036】発光層の膜厚としては0.5nm〜10μ
m、好ましくは1nm〜1μmである。電流密度を上げて
発光効率を上げるためには10〜500nmの範囲が好ま
しい。なお、塗布法により薄膜化した場合には、溶媒を
除去するため、減圧下あるいは不活性雰囲気下、30〜
200℃、好ましくは60〜100℃の温度で加熱乾燥
することが望ましい。
【0037】また、該発光層と電荷輸送層(正孔輸送層
および電子輸送層の総称を意味する。)とを積層する場
合には、上記の成膜方法で発光層を設ける前に陽極の上
に正孔輸送層を形成する、および/または発光層を設け
た後にその上に電子輸送層を形成することが好ましい。
【0038】電荷輸送層の成膜方法としては、特に限定
されないが、粉末状態からの真空蒸着法、あるいは溶液
に溶かした後のスピンコーティング法、キャスティング
法、ディッピング法、バーコート法、ロールコート法等
の塗布法、あるいは高分子化合物と電荷輸送材料とを溶
液状態または溶融状態で混合し分散させた後のスピンコ
ーティング法、キャスティング法、ディッピング法、バ
ーコート法、ロールコート法等の塗布法を用いることが
できる。混合する高分子化合物としては、特に限定され
ないが、電荷輸送を極度に阻害しないものが好ましく、
また、可視光に対する吸収が強くないものが好適に用い
られる。
【0039】例えば、ポリ(N−ビニルカルバゾー
ル)、ポリアニリン及びその誘導体、ポリチオフェン及
びその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)及びそ
の誘導体、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)及びそ
の誘導体、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリ
メチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリ
スチレン、ポリ塩化ビニル、ポリシロキサンなどが例示
される。成膜が容易に行なえるという点では、塗布法を
用いることが好ましい。
【0040】電荷輸送層の膜厚は、少なくともピンホー
ルが発生しないような厚みが必要であるが、あまり厚い
と、素子の抵抗が増加し、高い駆動電圧が必要となり好
ましくない。したがって、電荷輸送層の膜厚は0.5n
m〜10μm、好ましくは1nm〜1μm、さらに好ま
しくは5〜200nmである。
【0041】次いで、発光層または電子輸送層の上に電
極を設ける。この電極は電子注入陰極となる。その材料
としては、特に限定されないが、仕事関数の小さい材料
が好ましい。例えば、Al、In、Mg、Ca、Li、
Mg−Ag合金、In−Ag合金、Mg−In合金、M
g−Al合金、Mg−Li合金、Al−Li合金、グラ
ファイト薄膜等が用いられる。陰極の作製方法としては
真空蒸着法、スパッタリング法等が用いられる。
【0042】
【作用】本発明において、該高分子蛍光体が発光材料と
して優れている点は、融点や分解温度が比較的高いので
熱的に安定で、蛍光の量子収率が高く、また塗布法によ
り容易に均一性に優れた発光層を形成できることから、
非常に容易に高輝度の有機EL素子を作製することがで
きる点である。
【0043】
【実施例】以下本発明の実施例を示すが、本発明はこれ
らに限定されるものではない。ここで、数平均分子量に
ついては、クロロホルムを溶媒として、ゲルパーミエー
ションクロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレ
ン換算の数平均分子量を求めた。 実施例1 <高分子蛍光体1の合成>2,5−ジエチル−p−キシ
リレンジブロミドを、N,N−ジメチルホルムアミド溶
媒中、トリフェニルホスフィンと反応させてホスホニウ
ム塩(A)を合成した。また、2,5−ジヘプチルオキ
シ−p−キシリレンジブロミドを、N,N−ジメチルホ
ルムアミド溶媒中、トリフェニルホスフィンと反応させ
てホスホニウム塩(B)を合成した。得られた2種類の
ホスホニウム塩(A)4.1重量部、(B)1.0重量
部と、テレフタルアルデヒド0.8重量部とを、エチル
アルコールに溶解させた。0.8重量部のリチウムエト
キシドを含むエチルアルコール溶液をホスホニウム塩と
ジアルデヒドのエチルアルコール溶液に滴下し、室温で
3時間重合させた。一夜室温で放置した後、沈殿を濾別
し、エチルアルコールで洗浄後、クロロホルムに溶解
し、これにエタノールを加え再沈生成した。これを減圧
乾燥して、重合体0.35重量部を得た。これを高分子
蛍光体1という。モノマーの仕込み比から計算される、
高分子蛍光体1の繰り返し単位とそのモル比を下記に示
す。
【0044】
【化12】 該高分子蛍光体1のポリスチレン換算の数平均分子量
は、5.0×103 であった。該高分子蛍光体1の構造
については赤外吸収スペクトルにおいて、960cm-1
のビニレン基、1520cm-1のフェニレン基、110
0cm-1のエーテル基、2860cm-1のアルキル基の
吸収を確認した。また、クロロホルム−dを溶媒として
1H−NMRを測定し、フェニレンビニレン基のH
(6.5〜8.0ppm付近)、ヘプチルオキシ基の−
OCH2 −のH(3.5〜4.0ppm付近)、エチル
基の−CH2 −のH(2.5ppm付近)を確認した。
これらの強度比から計算される繰り返し単位のモル比
が、上記のモノマーの仕込み比から計算される値とほぼ
一致した。
【0045】<吸収スペクトル、蛍光スペクトルの測定
と蛍光の量子収率の評価>高分子蛍光体1重合体は、ク
ロロホルムに容易に溶解させることができた。その0.
05%クロロホルム溶液を石英板上にスピンコートして
重合体の薄膜を作成した。この薄膜の紫外可視吸収スペ
クトルと蛍光スペクトルをそれぞれ島津製作所製自記分
光光度計UV365および日立製作所製蛍光分光光度計
850を用いて測定した。蛍光の量子収率の算出には4
10nmで励起した時の蛍光スペクトルを用いた。蛍光強
度は、横軸に波数をとってプロットした蛍光スペクトル
の面積を、410nmでの吸光度で割ることにより相対値
として求めた。この高分子蛍光体1の蛍光強度(蛍光の
量子収率の相対的な大きさ)は、表1に示すとおり、非
常に強かった。また、薄膜での吸収スペクトルのピーク
波長と蛍光スペクトルのピーク波長との差は135nm
であった。
【0046】実施例2 <高分子蛍光体2の合成と吸収、蛍光スペクトルの測定
と蛍光の量子収率の評価>実施例1で得られた2種類の
ホスホニウム塩(A)12.7重量部、(B)2.09
重量部と、テレフタルアルデヒド2.28重量部とを、
エチルアルコールに溶解させた。2.66重量部のリチ
ウムエトキシドを含むエチルアルコール溶液をホスホニ
ウム塩とジアルデヒドのエチルアルコール溶液に滴下
し、室温で3時間重合させた。一夜室温で放置した後、
沈殿を濾別し、エチルアルコールで洗浄後、クロロホル
ムに溶解、これにエタノールを加え再沈生成した。これ
を減圧乾燥して、重合体2.28重量部を得た。これを
高分子蛍光体2という。モノマーの仕込み比から計算さ
れる高分子蛍光体2の繰り返し単位とそのモル比を下記
に示す。
【0047】
【化13】 該高分子蛍光体2のポリスチレン換算の数平均分子量
は、8.4×103 であった。実施例1と同じ方法で蛍
光強度を求めた。該高分子蛍光体2の蛍光強度は、表1
に示すとおり、非常に強かった。また、薄膜での吸収ス
ペクトルのピーク波長と蛍光スペクトルのピーク波長と
の差は129nmであった。
【0048】実施例3 <高分子蛍光体3の合成と吸収、蛍光スペクトルの測定
と蛍光の量子収率の評価>第3級ブトキシカリウムを1
20重量部含む第3級ブチルアルコール溶液に、2,5
−ジオクチルオキシ−p−キシリレンジクロライドを
1.6重量部と2,5−ジオクチル−p−キシリレンジ
クロライドを9.8重量部含むキシレン溶液を滴下し、
7時間加熱還流を続けた。次に、重合液を室温まで冷却
したのち、これをメチルアルコール中に注ぎ込み、赤色
の沈殿物を得た。沈殿を濾別し、メチルアルコール、エ
チルアルコールで洗浄後、クロロホルムに溶解、これに
エタノールを加え再沈生成した。これを減圧乾燥して、
重合体1重量部を得た。これを高分子蛍光体3という。
モノマーの仕込み比から計算される高分子蛍光体3の繰
り返し単位とそのモル比を下記に示す。
【0049】
【化14】 該高分子蛍光体3のポリスチレン換算の数平均分子量
は、2.7×103 であった。該高分子蛍光体3の構造
については赤外吸収スペクトルにおいて、960cm-1
のビニレン基、1520cm-1のフェニレン基、110
0cm-1のエーテル基、2860cm-1のアルキル基の
吸収を確認した。実施例1と同じ方法で蛍光強度、吸収
スペクトルと蛍光スペクトルのピーク波長を求めた。こ
の高分子蛍光体3の蛍光強度(蛍光の量子収率の相対的
な大きさ)は、表1に示すとおり、非常に強かった。ま
た、薄膜での吸収スペクトルのピーク波長と蛍光スペク
トルのピーク波長との差は155nmであった。
【0050】比較例1 <高分子蛍光体4の合成と吸収、蛍光スペクトルの測
定、蛍光の量子収率の評価>実施例1で得られたホスホ
ニウム塩(B)7.4重量部と、テレフタルアルデヒド
1.0重量部とをエチルアルコールに溶解させた。0.
9重量部のリチウムエトキシドを含むエチルアルコール
溶液をホスホニウム塩とジアルデヒドのエチルアルコー
ル溶液に滴下し、室温で3時間重合させた。一夜室温で
放置した後、沈殿を濾別し、エチルアルコールで洗浄
後、クロロホルムに溶解、これにエタノールを加え再沈
生成した。これを減圧乾燥して、重合体1.5重量部を
得た。これを高分子蛍光体4という。モノマーの仕込み
比から計算される高分子蛍光体4の繰り返し単位とその
モル比を下記に示す。
【0051】
【化15】 該高分子蛍光体4のポリスチレン換算の数平均分子量
は、1.0×104 であった。実施例1と同じ方法で蛍
光強度、吸収スペクトルと蛍光スペクトルのピーク波長
を求めた。高分子蛍光体4の蛍光強度は、表1に示すと
おり、弱かった。また、薄膜での吸収スペクトルのピー
ク波長と蛍光スペクトルのピーク波長との差は85nmし
かなかった。
【0052】比較例2 <高分子蛍光体5の合成と吸収、発光スペクトルの測
定、蛍光の量子収率の評価>第3級ブトキシカリウムを
30重量部含む第3級ブチルアルコール溶液に、2,5
−ジヘプチルオキシ−p−キシリレンジブロミドを3.
0重量部含むキシレン溶液を滴下し、7時間加熱還流を
続けた。次に、重合液を室温まで冷却したのち、これを
メチルアルコール中に注ぎ込み、赤色の沈殿物を得た。
沈殿を濾別し、メチルアルコール、エチルアルコールで
洗浄後、クロロホルムに溶解、これにエタノールを加え
再沈生成した。これを減圧乾燥して、重合体1.0重量
部を得た。これを高分子蛍光体5という。モノマーの仕
込み比から計算される高分子蛍光体5の繰り返し単位を
下記に示す。
【0053】
【化16】 該高分子蛍光体5のポリスチレン換算の数平均分子量
は、6.0×104 であった。実施例1と同じ方法で蛍
光強度を求めた。該高分子蛍光体5の蛍光強度は、表1
に示すとおり、弱かった。また、薄膜での吸収スペクト
ルのピーク波長と蛍光スペクトルのピーク波長との差は
95nmしかなかった。
【0054】
【表1】 このように、実施例1、2、3の高分子蛍光体1、2、
3は、比較例1、2の高分子蛍光体4、5よりも、非常
に高い蛍光の量子収率を有していた。
【0055】実施例4 <素子の作成および評価>スパッタリングによって、4
0nmの厚みでITO膜を付けたガラス基板に、実施例1
で合成した高分子蛍光体1の1.0wt%クロロホルム
溶液を用いて、ディッピングにより50nmの厚みで成
膜した。次いで、これを減圧下80℃で1時間乾燥した
後、電子輸送層として、トリス(8−キノリノール)ア
ルミニウム(Alq3)を0.1〜0.2nm/sの速度で7
0nm蒸着した。最後に、その上に陰極としてマグネシウ
ム−銀合金(Mg:Ag=9:1重量比)を150nm蒸
着して有機EL素子を作製した。蒸着のときの真空度は
すべて8×10-6Torr以下であった。この素子に電
圧10.0Vを印加したところ、電流密度158mA/
cm2 の電流が流れ、輝度649cd/m2 の黄緑色の
EL発光が観察された。輝度は電流密度に比例してい
た。また、ELスペクトルは、高分子蛍光体1の薄膜の
蛍光スペクトルとほぼ一致しており高分子蛍光体1より
のEL発光が確認された。
【0056】実施例5 <素子の作成および評価>実施例1で合成した高分子蛍
光体1の代わりに実施例2で合成した高分子蛍光体2を
用いた以外は、実施例4と同じ方法で有機EL素子を作
製した。この素子に電圧9.2Vを印加したところ、電
流密度74mA/cm2 の電流が流れ、輝度1104c
d/m2 の黄緑色のEL発光が観察された。輝度は電流
密度に比例していた。また、ELスペクトルは、高分子
蛍光体2の薄膜の蛍光スペクトルとほぼ一致しており高
分子蛍光体2よりのEL発光が確認された。
【0057】
【発明の効果】本発明の共役系高分子蛍光体は、強い蛍
光を有している上、有機溶媒に可溶であり、有機EL素
子の発光材料、色素レーザー用の色素等として用いるこ
とができる。また本発明の高分子蛍光体を用いて作成し
た有機EL素子は優れた発光特性を示すので、バックラ
イトとしての面状光源,フラットパネルディスプレイ等
の装置として好ましく使用できる。
フロントページの続き (56)参考文献 特開2002−138133(JP,A) 特表 平8−510483(JP,A) 特表 平6−501035(JP,A) 国際公開92/003490(WO,A1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C09K 11/06 H05B 33/14 H05B 33/22

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】溶媒に可溶な共役系高分子であって、該共
    役系高分子の数平均分子量は103 〜107 であり、該
    共役系高分子は共役結合が連続した構造であり、該共役
    系高分子は互いに異なる2種類以上の繰り返し単位を有
    し、該繰り返し単位は少なくとも1つの共役結合を有
    し、該共役系高分子の薄膜における吸収スペクトルのピ
    ーク波長と蛍光スペクトルのピーク波長の差が120n
    m以上であり、かつそれぞれの繰り返し単位からなるホ
    モポリマーにおける光学吸収端エネルギーが最小である
    繰り返し単位が、該共役系高分子中に0.01モル%以
    上で40モル%以下含まれ、さらに、それぞれの繰り返
    し単位からなるホモポリマーにおける光学吸収端エネル
    ギーの差が0.05eV以上であって、該共役系高分子
    が下記化1、化2、化3で示される繰り返し単位からな
    ることを特徴とする請求項1記載の共役系高分子蛍光
    体。 【化1】−Ar1 −CH=CH− 【化2】−Ar2 −CH=CH− 【化3】−Ar3 −CH=CH− (式中、Ar1 、Ar2 、Ar3 は互いに異なり、それ
    ぞれビニレン基と連続した共役結合を形成するアリーレ
    ン基または2価の複素環化合物基で、かつAr1、Ar2
    、Ar3 の少なくとも1つは、炭素数4以上22以下
    のアルキル基、アルコキシ基およびアルキルチオ基;炭
    素数6以上60以下のアリール基およびアリールオキシ
    基並びに炭素数4以上60以下の複素環化合物基から選
    ばれた少なくとも1種の置換基を少なくとも1個有する
    アリーレン基または複素環化合物基である。ただし、A
    1 、Ar 2 、Ar 3 が有する置換基の少なくとも1つ
    は、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールオキシ基
    または炭素数4以上の複素環化合物基であるか、または
    Ar 1 、Ar 2 、Ar 3 のうち一つまたは二つは複素環
    化合物基から選ばれる。
  2. 【請求項2】下記化4、化5で示される繰り返し単位を
    含むことを特徴とする請求項1記載の共役系高分子蛍光
    体。 【化4】−Ar4 −CH=CH−Ar5 −CH=CH− 【化5】−Ar6 −CH=CH−Ar5 −CH=CH− (式中、Ar4 、Ar5 、Ar6 は互いに異なり、それ
    ぞれビニレン基と連続した共役結合を形成するアリーレ
    ン基または2価の複素環化合物基で、かつAr4、Ar5
    、Ar6 の少なくとも1つは、炭素数4以上22以下
    のアルキル基、アルコキシ基およびアルキルチオ基;炭
    素数6以上60以下のアリール基およびアリールオキシ
    基並びに炭素数4以上60以下の複素環化合物基から選
    ばれた少なくとも1種の置換基を少なくとも1個有する
    アリーレン基または複素環化合物基である。)
  3. 【請求項3】少なくとも一方が透明または半透明である
    一対の陽極および陰極からなる電極間に、少なくとも発
    光層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子におい
    て、該発光層が請求項1または2に記載の共役系高分子
    蛍光体であることを特徴とする有機エレクトロルミネッ
    センス素子。
  4. 【請求項4】少なくとも一方が透明または半透明である
    一対の陽極および陰極からなる電極間に、少なくとも発
    光層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子におい
    て、該発光層が請求項1または2に記載の共役系高分子
    蛍光体よりなり、かつ陰極と該発光層との間に、該発光
    層に隣接して電子輸送性化合物からなる層を設けたこと
    を特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  5. 【請求項5】少なくとも一方が透明または半透明である
    一対の陽極および陰極からなる電極間に、少なくとも発
    光層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子におい
    て、該発光層が請求項1または2に記載の共役系高分子
    蛍光体よりなり、かつ陽極と該発光層との間に、該発光
    層に隣接して正孔輸送性化合物からなる層を設けたこと
    を特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
  6. 【請求項6】少なくとも一方が透明または半透明である
    一対の陽極および陰極からなる電極間に、少なくとも発
    光層を有する有機エレクトロルミネッセンス素子におい
    て、該発光層が請求項1または2に記載の共役系高分子
    蛍光体よりなり、かつ陰極と該発光層との間に、該発光
    層に隣接して電子輸送性化合物からなる層および陽極と
    該発光層との間に、該発光層に隣接して正孔輸送性化合
    物からなる層とを設けたことを特徴とする有機エレクト
    ロルミネッセンス素子。
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