JP4560927B2 - 有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子ということがある。)に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機EL素子は、従来の無機EL素子に比べ、低電圧駆動、高輝度に加えて多数の色の発光が容易に得られるという特徴があることから素子構造や有機蛍光色素、有機電荷輸送化合物について多くの試みが報告されている〔ジャパニーズ・ジャーナル・オブ・アプライド・フィジックス(Jpn.J.Appl.Phys.)第27巻、L269頁(1988年)〕、〔ジャーナル・オブ・アプライド・フィジックス(J.Appl.Phys.)第65巻、3610頁(1989年)〕。
【0003】
また、有機EL素子のなかで高分子量の発光材料(以下、高分子蛍光体と呼ぶ。)を用いる高分子発光素子が、WO9013148号公開明細書、特開平3−244630号公報、アプライド・フィジックス・レターズ(Appl.Phys.Lett.)第58巻、1982頁(1991年)などに記載されている。
高分子蛍光体またはその前駆体は、溶媒に可溶であり、塗布法により発光層を形成できるという利点がある。
【0004】
有機EL素子は電流注入型の素子であり、注入された電子と正孔の再結合で発光体の励起状態が生成し、それからの蛍光が発光として観察される。素子の発光効率は電子と正孔の再結合確率と陽極や陰極からそれぞれ注入される正孔の数や電子の数のバランスに依存する。一方が多ければ、再結合されずに、他方の電極に到達し、ジュール熱として、消費される。低分子を用いた有機EL素子では、正孔輸送層と発光層の間にエネルギー障壁が形成されているのが、一般的であるので、正孔や電子は他方の電極に到達する割合は比較的小さい。
一方、高分子蛍光体を用いた有機EL素子では、陽極とその上に形成された正孔注入層、および高分子蛍光体層、陰極の構造とするものが一般的になってきている。このような構造では、注入された電子や正孔は他方の電極に容易に到達し、再結合に寄与しない電流が生じ、効率は低くなる傾向があった。これを改良するために、導電性を有する正孔注入層材料や陰極の金属を仕事関数の小さい金属を使うなどの提案がなされてきた。すなわち、正孔注入層として、特開平3-273087号公報にはポリアニリンやポリアリーレンビニレンを正孔輸送層に使用することや特開平4-145192号公報にはこれら導電性高分子を電荷輸送層と電極との間に用いることが、また、特開2000−91081号公報にはポリチオフェンおよびその誘導体などの導電性高分子の利用が開示されている。金属材料としては、アルカリ土類金属、アルカリ金属が使用されている。
また、特開2000−156291号公報には正孔注入層あるいは正孔輸送層と発光層の間にフッ素化合物層を形成することが開示されている。また、ネイチャー、404巻481ページ(2000)(Nature 404,481(2000))には、ポリフェニレンビニレン中間体とポリチオフェン誘導体の単分子状の交互積層膜を熱処理して正孔注入層として用いることが開示されている。
【0005】
しかしながら、電子と正孔の注入数のバランスは材料により異なり、必ずしも十分にバランスが取れていない状況であり、素子の発光効率も材料の特性に見合ったものでない場合があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、低電圧駆動、高輝度に加えて多数の色の発光が容易に得られるという有機EL素子の特徴を維持しつつ、さらに発光効率の高い有機EL素子を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、このような事情をみて検討し、下記の有機EL素子が、正孔と電子のバランスが取れ、発光効率が高いことを見出し、本発明に至った。
【0008】
すなわち本発明は、以下の〔1〕〜〔6〕に係るものである。
〔1〕少なくとも一方が透明または半透明である一対の陽極および陰極からなる電極間に、少なくとも正孔注入層と発光層とを有する有機EL素子において、該正孔注入層は陽極に接しており、該正孔注入層の陽極に接する側の部分の電気伝導度が陽極に接しない側の部分の電気伝導度より低い有機EL素子。
〔2〕少なくとも一方が透明または半透明である一対の陽極および陰極からなる電極間に、少なくとも正孔注入層と発光層とを有する有機EL素子において、該正孔注入層は、少なくとも2層の正孔注入層を有し、これらのうち1層は陽極に接する正孔注入層であり、該陽極に接する正孔注入層の電気伝導度が、該陽極と最も反対側に位置する正孔注入層の電気伝導度より低い有機EL素子。
〔3〕上記〔1〕または〔2〕の有機EL素子を用いた面状光源。
〔4〕上記〔1〕または〔2〕の有機EL素子を用いたセグメント表示装置。
〔5〕上記〔1〕または〔2〕の有機EL素子を用いたドットマトリックス表示装置。
〔6〕上記〔1〕または〔2〕の有機EL素子をバックライトとする液晶表示装置。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の有機EL素子について詳細に説明する。
本発明〔1〕の有機EL素子は、少なくとも一方が透明または半透明である一対の陽極および陰極からなる電極間に、少なくとも正孔注入層と発光層とを有する有機EL素子において、該正孔注入層は陽極に接しており、該正孔注入層の陽極に接する側の部分の電気伝導度が陽極に接しない側の部分の電気伝導度より低いものである。
また、本発明〔2〕の有機EL素子は、少なくとも一方が透明または半透明である一対の陽極および陰極からなる電極間に、少なくとも正孔注入層と発光層とを有する有機EL素子において、該正孔注入層は、少なくとも2層の正孔注入層を有し、これらのうち1層は陽極に接する正孔注入層であり、該陽極に接する正孔注入層の電気伝導度が、該陽極と最も反対側に位置する正孔注入層の電気伝導度より低いものである。
【0010】
本発明の有機EL素子は、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層から選ばれる層を1層以上有していてもよい。
【0011】
また、本発明には、発光層、正孔輸送層、電子輸送層、正孔注入層のいずれかの層を2層以上用いることも例示される。これらの各層の素子中での位置は、陰極から陽極に向かって、電子注入層、電子輸送層、発光層、正孔輸送層、正孔注入層、陽極の順に用いられるのが一般的であるが、上記の1層構造や2層構造の場合はそれぞれ対応する層を省略する。また、それぞれの層を複数用いる場合は、第2の層を用いる位置に特に制限はなく、発光効率や素子寿命を勘案して適宜用いることができる。
【0012】
次に、本発明の有機EL素子に用いる部材について説明する。
本発明〔1〕の有機EL素子において、正孔注入層は陽極に接しており、該正孔注入層の陽極に接する側の部分の電気伝導度が陽極に接しない側の部分の電気伝導度より低いものである。
陽極に接する側の部分と、陽極に接しない側の部分との間の部分の電気伝導度については特に制限はなく、連続的に変化していてもよいし、段階的に変化していてもよいが、陽極に接する側の部分の電気伝導度と陽極に接しない側の部分の電気伝導度との間の電気伝導度であることが好ましい。
【0013】
本発明〔1〕に用いる正孔注入層としては、陽極上に電気伝導度の低い材料からなる層を形成した後、該層の陽極に接しない表面の部分にのみ電荷移動性の材料をドーピングしてなるものが例示される。この場合、上記陽極に接する側の部分の電気伝導度とは、電気伝導度の低い材料からなる層の電気伝導度であり、陽極に接しない側の部分の電気伝導度とは、電荷移動性の材料がドーピングされた正孔注入層の陽極に接しない表面の部分の電気伝導度をいう。
【0014】
また、本発明〔2〕の有機EL素子において、正孔注入層は、少なくとも2層の正孔注入層を有し、これらのうち1層は陽極に接する正孔注入層であり、該陽極に接する正孔注入層の電気伝導度が、該陽極と最も反対側に位置する正孔注入層の電気伝導度より低いものである。本発明〔2〕の有機EL素子は作成が簡便で効率的である
【0015】
正孔注入層に用いる材料としては、低分子化合物、高分子化合物があげられる。
低分子化合物の場合には、高分子材料と複合して使用することが例示される。
高分子化合物としては導電性高分子として知られる材料や、正孔輸送性の基を有する高分子材料があげられ、導電性高分子が好ましい。
【0016】
正孔注入層に用いる材料の具体例としては、ポリアニリンおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリピロールおよびその誘導体、ポリフェニレンビニレンおよびその誘導体、ポリチエニレンビニレンおよびその誘導体、ポリキノリンおよびその誘導体、ポリキノキサリンおよびその誘導体、芳香族アミン構造を主鎖または側鎖に含む重合体などの導電性高分子やカーボンなどが例示される。
【0017】
本発明〔1〕の有機EL素子に用いる正孔注入層の陽極に接する側の部分の電気伝導度は素子の効率が高くなるように正孔と電子の注入のバランスを考慮して選択されるが、正孔の注入を制限する観点から、1×10-3S/m以下が好ましく、より好ましくは10-5S/m以下である。また、陽極と接しない側の部分の電気伝導度は陽極に接する側の部分の電気伝導度より高いものを使用するが、高過ぎると、ドットマトリックス素子ではクロストークなど発生するために、1×105S/m以下が好ましい。より好ましくは1×10-2〜1×105S/mであり、さらに好ましくは1×10-2〜1×101S/mである。陽極に接する側の部分の電気伝導度の、陽極に接しない側の部分の電気伝導度に対する比が1×10-3以下であることが、正孔注入の制御性の観点から好ましい。
【0018】
また本発明〔2〕の有機EL素子に用いる正孔注入層の陽極に接する正孔注入層の電気伝導度は素子の効率が高くなるように正孔と電子の注入のバランスを考慮して選択されるが、正孔の注入を制限する観点から、1×10-3S/m以下が好ましく、より好ましくは10-5S/m以下である。また、陽極と最も反対側に位置する正孔注入層の電気伝導度は陽極に接する層の電気伝導度より高いものを使用するが、高過ぎると、ドットマトリックス素子ではクロストークなど発生するために、1×105S/m以下が好ましい。より好ましくは1×10-2〜1×105S/mであり、さらに好ましくは1×10-2〜1×101S/mである。陽極に接する正孔注入層の電気伝導度の、陽極と最も反対側に位置する正孔注入層の電気伝導度に対する比が1×10-3以下であることが、正孔注入の制御性の観点から好ましい。
【0019】
本発明の正孔注入層の材料として導電性高分子を用いる場合に、その電気伝導度を1×10-3S/m以上1×105S/m以下とするために、該導電性高分子に適量のイオンをドープする。
ドープするイオンの種類は、アニオンを用いる。アニオンの例としては、ポリスチレンスルホン酸イオン、アルキルベンゼンスルホン酸イオン、樟脳スルホン酸イオンなどが例示される。
【0020】
正孔注入層の膜厚としては、例えば10nm〜400nmであり、20nm〜200nmが好ましい。
本発明〔2〕の有機EL素子の正孔注入層においては、陽極に接する正孔注入層の膜厚として、5nm〜200nmが例示され、好ましくは20nm〜150nmである。陽極と最も反対側に位置する正孔注入層の膜厚として、5nm〜200nmが例示され、好ましくは10nm〜150nmである。
【0021】
本発明における有機EL素子の発光層に使用する発光体には特に制限はなく、通常有機EL素子で使用される低分子蛍光体、高分子蛍光体ともに使用できるが、高分子蛍光体が好ましい。
【0022】
低分子蛍光体としてはナフタレン誘導体、アントラセンもしくはその誘導体、ペリレンもしくはその誘導体、ポリメチン系、キサンテン系、クマリン系、シアニン系などの色素類、8−ヒドロキシキノリンもしくはその誘導体の金属錯体、芳香族アミン、テトラフェニルシクロペンタジエンもしくはその誘導体、またはテトラフェニルブタジエンもしくはその誘導体などがあげられる。
具体的には、例えば特開昭57−51781号および特開昭59−194393号公報に記載されているものがあげられる。。
【0023】
高分子蛍光体としては、固体状態で蛍光を示し、ポリスチレン換算の数平均分子量が1×104〜1×107であるものが好ましい。さらに好ましくは、固体状態で蛍光を有し、ポリスチレン換算の数平均分子量が1×104〜1×107であり、下式(1)で示される繰り返し単位を少なくとも一種類含むものが好ましい。
【化2】
−Ar1−(CR1=CR2k− ・・・・・(1)
〔ここで、Ar1は、隣接する2つの基とそれぞれ炭素−炭素結合を形成する2価の基であり、共役に関与する炭素原子の数が6個以上60個以下からなるアリーレン基、または共役に関与する炭素原子の数が4個以上60個以下からなる複素環化合物基であるものを示し、該アリーレン基、複素環化合物基は置換基を有していてもよい。 またR1、R2は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基、炭素数6〜60のアリール基、炭素数4〜60の複素環化合物基およびシアノ基からなる群から選ばれる基を示し、該アリール基、複素環化合物基は置換基を有していてもよい。kは0または1である。〕
ここで、上式(1)で示される繰り返し単位の合計が全繰り返し単位の50モル%以上であるものが好ましく、90モル%以上であるものがさらに好ましい。
さらに、上式(1)で示されるが、異なる構造の繰り返し単位を2種類以上含む共役系高分子蛍光体も本発明に含まれる。
【0024】
本発明の有機EL素子においては、高分子蛍光体に、低分子化合物からなる発光材料を混合して使用してもよい。上記高分子蛍光体以外の発光材料を含む発光層が、上記高分子蛍光体を含む発光層と積層されていてもよい。
【0025】
Ar1としては、高分子蛍光体の蛍光特性を損なわないように選択すればよく、具体的な例としては以下に例示される二価の基があげられる。
【0026】
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【0027】
Figure 0004560927
【0028】
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【0029】
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【0030】
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【0031】
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【0032】
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【0033】
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【0034】
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【0035】
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【0036】
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【0037】
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【0038】
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【0039】
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【0040】
ここで、Rは、水素原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基を持つアルコキシ基、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基を持つアルキルチオ基、炭素数1〜60のモノ、ジまたはトリアルキルシリル基、炭素数1〜40のモノまたはジアルキルアミノ基、炭素数6〜60のアリール基、炭素数6〜60のアリールオキシ基、炭素数7〜60のアリールアルキル基、炭素数7〜60のアリールアルコキシ基、炭素数8〜60のアリールアルケニル基、炭素数8〜60のアリールアルキニル基、炭素数6〜60のモノアリールアミノ基またはジアリールアミノ基(以下、モノまたはジアリールアミノ基ということがある)、炭素数2〜60の複素環化合物基ならびにシアノ基からなる群から選ばれる置換基をあらわし、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、モノまたはジアリールアミノ基および複素環化合物基はさらに置換基を有していてもよい。
【0041】
上記の例において、1つの構造式中に複数のRを有しているが、それらは同一であってもよいし、異なる基であってもよく、それぞれ独立に選択される。また、Ar1の置換基の炭素原子は、酸素原子または硫黄原子と置き換えられていてもよいし、Ar1の置換基の一つ以上の水素原子はフッ素原子に置き換えられていてもよい。
【0042】
溶媒への溶解性を高めるためには、水素原子でない置換基を少なくとも1つ以上有していることが好ましく、また置換基を含めた繰り返し単位の形状の対称性が少ないことが好ましい。
【0043】
さらに、Rは−X−RとしてAr1に結合してもよい。この時、Xは−O−,−S−、−CR34−、−SiR56−、―NR7−、−CO−、−COO−、−SO2−、−CR8=CR9−、および−C≡C−からなる群から選ばれる基を示すが、−O−,−S−、−CR10=CR11−、および−C≡C−が好ましく、−O−がさらに好ましい。R3からR11は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基、炭素数6〜60のアリール基、炭素数4〜60の複素環化合物基およびシアノ基からなる群から選ばれる基を示し、アリール基および複素環化合物基はさらに置換基を有していてもよい。
【0044】
Rの具体的な例として、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロドデシル基などが例示され、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、シクロヘキシル基が好ましい。
【0045】
炭素数1〜20の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基を持つアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基、iso−プロピルオキシ基、n−ブトキシ基、iso−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、ラウリルオキシ基、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基などが例示され、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、デシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、が好ましい。
【0046】
炭素数1〜20の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基を持つアルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基、iso−プロピルチオ基、n−ブチルチオ基、iso−ブチルチオ基、tert−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基、ノニルチオ基、デシルチオ基、ラウリルチオ基、シクロプロピルチオ基、シクロブチルチオ基、シクロペンチルチオ基、シクロヘキシルチオ基、シクロヘプチルチオ基などが例示され、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、オクチルチオ基、デシルチオ基、シクロヘキシルチオ基が好ましい。
【0047】
炭素数1〜60のモノ、ジまたはトリアルキルシリル基としては、モノメチルシリル基、ジメチルシリル基、トリメチルシリル基、モノエチルシリル基、ジエチルシリル基、トリエチルシリル基、モノプロピルシリル基、ジプロピルシリル基、トリプロピルシリル基、モノブチルシリル基、ジブチルシリル基、トリブチルシリル基、モノペンチルシリル基、ジペンチルシリル基、トリペンチルシリル基、モノヘキシルシリル基、ジヘキシルシリル基、トリヘキシルシリル基、モノへプチルシリル基、ジへプチルシリル基、トリへプチルシリル基、モノオクチルシリル基、ジオクチルシリル基、モノオクチルシリル基、ジオクチルシリル基、トリオクチルシリル基、モノノニルシリル基、ジノニルシリル基、トリノニルシリル基、モノデシルシリル基、ジデシルシリル基、トリデシルシリル基、モノラウリルシリル基、ジラウリルシリル基、トリラウリルシリル基、エチルジメチルシリル基、プロピルジメチルシリル基、ブチルジメチルシリル基、ペンチルジメチルシリル基、ヘキシルジメチルシリル基、ヘプチルジメチルシリル基、オクチルジメチルシリル基、ノニルジメチルシリル基、デシルジメチルシリル基、ラウリルジメチルシリル基などが例示され、トリペンチルシリル基、トリヘキシルシリル基、トリオクチルシリル基、トリデシルシリル基、ペンチルジメチルシリル基、ヘキシルジメチルシリル基、オクチルジメチルシリル基、デシルジメチルシリル基が好ましい。
【0048】
炭素数1〜40のモノまたはジアルキルアミノ基としては、モノメチルアミノ基、ジメチルアミノ基、モノエチルアミノ基、ジエチルアミノ基、モノプロピルアミノ基、ジプロピルアミノ基、モノブチルアミノ基、ジブチルアミノ基、モノペンチルアミノ基、ジペンチルアミノ基、モノヘキシルアミノ基、ジヘキシルアミノ基、モノヘプチルアミノ基、ジヘプチルアミノ基、モノオクチルアミノ基、ジオクチルアミノ基、モノノニルアミノ基、ジノニルアミノ基、モノデシルアミノ基、ジデシルアミノ基、モノラウリルアミノ基、ジラウリルアミノ基などが例示され、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、オクチルアミノ基、デシルアミノ基、ジペンチルアミノ基、ジヘキシルアミノ基、ジオクチルアミノ基、ジデシルアミノ基が好ましい。
【0049】
炭素数7〜60のアリールアルコキシ基としては、フェニル−C1〜C12アルコキシ基(C1〜C12は、炭素数1〜12であることを示す。以下も同様である。)、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルコキシ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルコキシ基、1−ナフチル−C1〜C12アルコキシ基、2−ナフチル−C1〜C12アルコキシ基などが例示され、フェニル−C1〜C12アルコキシ基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルコキシ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルコキシ基が好ましい。炭素数6〜60のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アンスリル基、ピレニル基、ペリレニル基などが例示され、C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルコキシ基、C6〜C20アリール基をさらに置換基として有していてもよく、C1〜C12アルコキシ基を有するフェニル基、C1〜C12アルキル基を有するフェニル基が好ましい。
【0050】
炭素数6〜60のアリールオキシ基としては、フェノキシ基、ナフチルオキシ基、アンスリルオキシ基などが例示され、C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルコキシ基、C6〜C20アリール基をさらに置換基として有していてもよく、C1〜C12アルコキシ基を有するフェノキシ基、C1〜C12アルキル基を有するフェノキシ基が好ましい。
【0051】
炭素数7〜60のアリールアルキル基としては、フェニル−C1〜C12アルキル基、ナフチル−C1〜C12アルキル基、アンスリル−C1〜C12アルキル基などが例示され、C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルコキシ基、C6〜C20アリール基をさらに置換基として有していてもよく、C1〜C12アルコキシ基を有するフェニル−C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルキル基を有するフェニル−C1〜C12アルキル基が好ましい。
【0052】
炭素数7〜60のアリールアルコキシ基としては、フェニル−C1〜C12アルコキシ基、ナフチル−C1〜C12アルコキシ基、アンスリル−C1〜C12アルコキシ基などが例示され、C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルコキシ基、C6〜C20アリール基をさらに置換基として有していてもよく、C1〜C12アルコキシ基を有するフェニル−C1〜C12アルコキシ基、C1〜C12アルキル基を有するフェニル−C1〜C12アルコキシ基が好ましい。
【0053】
炭素数8〜60のアリールアルケニル基としては、フェニルエテニル基、ナフチルエテニル基、アンスリルエテニル基、ピレニルエテニル基などが例示され、C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルコキシ基、C6〜C20アリール基をさらに置換基として有していてもよく、フェニルエテニル基、C1〜C12アルコキシ基を有するフェニルエテニル基、C1〜C12アルキル基を有するフェニルエテニル基が好ましい。
【0054】
炭素数8〜60のアリールアルキニル基としては、フェニルエチニル基、ナフチルエチニル基、アンスリルエチニル基、ピレニルエチニル基などが例示され、C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルコキシ基、C6〜C20アリール基をさらに置換基として有していてもよく、フェニルエチニル基、C1〜C12アルコキシ基を有するフェニルエチニル基、C1〜C12アルキル基を有するフェニルエチニル基が好ましい。
【0055】
炭素数6〜60のモノまたはジアリールアミノ基としては、モノフェニルアミノ基、C1〜C12アルキル−フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、モノナフチルアミノ基、C1〜C12アルキル−ナフチルアミノ基、ジナフチルアミノ基、フェニルナフチルアミノ基などが例示され、C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルコキシ基、C6〜C20アリール基をさらに置換基として有していてもよく、C1〜C12アルキルフェニルアミノ基、ジ(C1〜C12アルキルフェニル)アミノ基が好ましい。。
【0056】
炭素数2〜60の複素環化合物基としては、ピロリル基、ピリジル基、ピペラジル基、キノリル基、キノキサリル基、インドリル基、カルバゾイル基、フリル基、ベンゾフリル基、ジベンゾフリル基、チエニル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、オキサジアゾリル基、オキサゾリル基、トリアゾリル基、チオジアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾジアゾリル基、シロリル基、ベンゾシロリル基などが例示され、C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルコキシ基、C6〜C20アリール基をさらに置換基として有していてもよく、チエニル基、C1〜C12アルキル基を有するチエニル基、ピリジル基、C1〜C12アルキル基を有するピリジル基が好ましい。
【0057】
Ar1の置換基の例のうち、アルキル鎖を含む置換基においては、それらは直鎖、分岐または環状のいずれかまたはそれらの組み合わせであってもよく、直鎖でない場合、例えば、イソアミル基、2−エチルヘキシル基、3,7−ジメチルオクチル基、シクロヘキシル基、4−C1〜C12アルキルシクロヘキシル基などが例示される。高分子蛍光体の溶媒への溶解性を高めるためには、Ar1の置換基のうちの1つ以上に環状または分岐のあるアルキル鎖が含まれることが好ましい。また、2つのアルキル鎖の先端が連結されて環を形成していてもよい。さらに、アルキル鎖の一部の炭素原子がヘテロ原子を含む基で置き換えられていてもよく、それらのヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子などが例示される。
【0058】
さらに、Ar1の置換基の例のうち、アリール基や複素環化合物基をその一部に含む場合は、それらがさらに1つ以上の置換基を有していてもよい。
【0059】
1〜R11が、水素原子またはシアノ基以外の置換基である場合について述べると、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロドデシル基などが例示され、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、シクロヘキシル基が好ましい。
【0060】
炭素数6〜60のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、アンスリル基、ピレニル基、ペリレニル基などが例示され、C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルコキシ基、C6〜C20アリール基をさらに置換基として有していてもよく、フェニル基、C1〜C12アルキル基を有するフェニル基が好ましい。
【0061】
炭素数2〜60の複素環化合物基としては、ピロリル基、ピリジル基、ピペラジル基、キノリル基、キノキサリル基、インドリル基、カルバゾイル基、フリル基、ベンゾフリル基、ジベンゾフリル基、チエニル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、オキサジアゾリル基、オキサゾリル基、トリアゾリル基、チオジアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾジアゾリル基、シロリル基、ベンゾシロリル基などが例示され、C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルコキシ基、C6〜C20アリール基をさらに置換基として有していてもよく、チエニル基、C1〜C12アルキル基を有するチエニル基、ピリジル基、C1〜C12アルキル基を有するピリジル基が好ましい。
【0062】
また、高分子蛍光体の末端基は、重合活性基がそのまま残っていると、素子にしたときの発光特性や寿命が低下する可能性があるので、安定な基で保護されていてもよい。主鎖の共役構造と連続した共役結合を有しているものが好ましく、例えば、ビニレン基を介してアリール基または複素環化合物基と結合している構造が例示される。具体的には、特開平9−45478号公報の化10に記載の置換基等が例示される。
【0063】
該蛍光体の合成法としては、主鎖にビニレン基を有する場合には、例えば特開平5−202355号公報に記載の方法が挙げられる。すなわち、ジアルデヒド化合物とジホスホニウム塩化合物との重合やジアルデヒド化合物とジ燐酸エステル化合物とのHorner−Wadsworth−Emmons法による重合などのWittig反応による重合、ジビニル化合物とジハロゲン化合物とのもしくはビニルハロゲン化合物単独でのHeck反応による重合、ハロゲン化メチル基を2つ有する化合物の脱ハロゲン化水素法による重縮合、スルホニウム塩基を2つ有する化合物のスルホニウム塩分解法による重縮合、ジアルデヒド化合物とジアセトニトリル化合物とのKnoevenagel反応による重合などの方法が例示される。これらのうち、特開平3−244630号公報に開示されている、Wittig反応による重合、脱ハロゲン化水素法による重縮合、スルホニウム塩分解法による重縮合が、実施が容易である。
【0064】
また、主鎖にビニレン基を有しない場合には、例えば該当するモノマーからSuzukiカップリング反応により重合する方法、Grignard反応により重合する方法、Ni(0)触媒により重合する方法、FeCl3等の酸化剤により重合する方法、電気化学的に酸化重合する方法、あるいは適当な脱離基を有する中間体高分子の分解による方法などが例示される。
より具体的には、特開平6−73374号公報、WO99/20675号公報、WO99/48160号公報に記載の材料が例示される。
【0065】
また、該高分子蛍光体は、交互、ランダム、ブロックまたはグラフト共重合体であってもよいし、それらの中間的な構造を有する高分子、例えばブロック性を帯びたランダム共重合体であってもよい。蛍光の量子収率の高い高分子蛍光体を得る観点からは完全なランダム共重合体よりブロック性を帯びたランダム共重合体やブロックまたはグラフト共重合体が好ましい。主鎖に枝分かれがあり、末端部が3つ以上ある場合やデンドリマーも含まれる。
【0066】
また、薄膜からの発光を利用するので該高分子蛍光体は、固体状態で蛍光を有するものが好適に用いられる。
該高分子蛍光体に対する良溶媒としては、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン、デカリン、n−ブチルベンゼンなどが例示される。高分子蛍光体の構造や分子量にもよるが、通常はこれらの溶媒に0.1重量%以上溶解させることができる。
【0067】
該高分子蛍光体は、数平均分子量がポリスチレン換算で1×104〜1×107であり、それらの重合度は、繰り返し構造やその割合によっても変わる。成膜性の点から一般には繰り返し構造の合計数が、好ましくは20〜10000、さらに好ましくは30〜10000、特に好ましくは50〜5000である。
【0068】
発光層の膜厚としては、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよいが、例えば1nmから1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
【0069】
これらの高分子蛍光体を有機EL素子の発光材料として用いる場合、その純度が発光特性に影響を与えるため、重合前のモノマーを蒸留、昇華精製、再結晶等の方法で精製したのちに重合することが好ましく、また合成後、再沈精製、クロマトグラフィーによる分別等の純化処理をすることが好ましい。
【0070】
本発明において、電子注入層を設けた有機EL素子としては、陰極に隣接して電子注入層を設けた有機EL素子があげられる。
使用される電子注入層の具体的な例としては、陰極と発光層との間や陰極と電子輸送層との間に設けられ、陰極材料と発光材料との、あるいは陰極材料と電子輸送層に含まれる電子輸送材料との中間の値の電子親和力を有する材料を含む層、導電性高分子を含む層、ドープした電子輸送製材料層や2nm以下の絶縁薄膜などが例示される。
【0071】
上記電子注入層が導電性高分子を含む層の場合、該導電性高分子の電気伝導度は、10-3S/m以上105S/m以下であることが好ましく、発光画素間のリーク電流を小さくするためには、10-3S/m以上104S/m以下がより好ましく、10-3S/m以上103S/m以下がさらに好ましい。
通常は該導電性高分子の電気伝導度を10-3S/m以上105S/m以下とするために、該導電性高分子に適量のイオンをドープする。
【0072】
導電性高分子や電子輸送材料にドープするイオンの種類は、金属イオンやアンモニウムイオンである。これらのイオンの例としては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、テトラブチルアンモニウムイオンなどが例示される。
ドープする方法としては、導電性高分子では金属と蒸気で接触させる方法や電気化学的にドーピングする方法、また、電子輸送材料では共蒸着する方法が例示される。
電子注入層の膜厚としては、例えば1nm〜100nmであり、2nm〜50nmが好ましい。
【0073】
電子注入層に用いる導電性高分子は、電極や隣接する層の材料との関係で適宜選択すればよく、ポリアニリンおよびその誘導体、ポリチオフェンおよびその誘導体、ポリピロールおよびその誘導体、ポリフェニレンビニレンおよびその誘導体、ポリチエニレンビニレンおよびその誘導体、ポリキノリンおよびその誘導体、ポリキノキサリンおよびその誘導体が例示される。
【0074】
ドープした電子輸送材料層として用いることができる電子輸送材料は、オキサジアゾール誘導体、ベンゾキノンもしくはその誘導体、アントラキノンもしくはその誘導体、または8−ヒドロキシキノリンもしくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリンもしくはその誘導体、ポリキノキサリンもしくはその誘導体、ポリフルオレンもしくはその誘導体が好ましく、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、ベンゾキノン、アントラキノン、トリス(8−キノリノール)アルミニウム、バソクプロイン、バソフェナンスロリン、フラーレン、カーボン、ポリキノリンが例示される。好ましくは8−ヒドロキシキノリンもしくはその誘導体の金属錯体、バソクプロイン、バソフェナンスロリン、フラーレンおよびカーボンである。
【0075】
膜厚2nm以下の絶縁層は電子注入を容易にする機能を有するものである。該絶縁層の材料としては、金属フッ化物、金属酸化物、有機絶縁材料等があげられる。膜厚2nm以下の絶縁層を設けた有機EL素子としては、陰極に隣接して膜厚2nm以下の絶縁層を設けた有機EL素子、陽極に隣接して膜厚2nm以下の絶縁層を設けた有機EL素子があげられる。
【0076】
本発明の有機EL素子が正孔輸送層を有する場合、使用される正孔輸送材料としては、ポリビニルカルバゾールもしくはその誘導体、ポリシランもしくはその誘導体、側鎖もしくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体、ピラゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、トリフェニルジアミン誘導体、ポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体、ポリピロールもしくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)もしくはその誘導体、またはポリ(2,5−チエニレンビニレン)もしくはその誘導体などが例示される。
【0077】
具体的には、該正孔輸送材料として、特開昭63−70257号公報、同63−175860号公報、特開平2−135359号公報、同2−135361号公報、同2−209988号公報、同3−37992号公報、同3−152184号公報に記載されているもの等が例示される。
【0078】
これらの中で、正孔輸送層に用いる正孔輸送材料として、ポリビニルカルバゾールもしくはその誘導体、ポリシランもしくはその誘導体、側鎖もしくは主鎖に芳香族アミン化合物基を有するポリシロキサン誘導体、ポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)もしくはその誘導体、またはポリ(2,5−チエニレンビニレン)もしくはその誘導体等の高分子正孔輸送材料が好ましく、さらに好ましくはポリビニルカルバゾールもしくはその誘導体、ポリシランもしくはその誘導体、側鎖もしくは主鎖に芳香族アミンを有するポリシロキサン誘導体である。低分子の正孔輸送材料の場合には、高分子バインダーに分散させて用いることが好ましい。
【0079】
ポリビニルカルバゾールもしくはその誘導体は、例えばビニルモノマーからカチオン重合またはラジカル重合によって得られる。
【0080】
ポリシランもしくはその誘導体としては、ケミカル・レビュー(Chem.Rev.)第89巻、1359頁(1989年)、英国特許GB2300196号公開明細書に記載の化合物等が例示される。合成方法もこれらに記載の方法を用いることができるが、特にキッピング法が好適に用いられる。
【0081】
ポリシロキサンもしくはその誘導体は、シロキサン骨格構造には正孔輸送性がほとんどないので、側鎖または主鎖に上記低分子正孔輸送材料の構造を有するものが好適に用いられる。特に正孔輸送性の芳香族アミンを側鎖または主鎖に有するものが例示される。
【0082】
正孔輸送層の成膜の方法に制限はないが、低分子正孔輸送材料では、高分子バインダーとの混合溶液からの成膜による方法が例示される。また、高分子正孔輸送材料では、溶液からの成膜による方法が例示される。
【0083】
溶液からの成膜に用いる溶媒としては、正孔輸送材料を溶解させるものであれば特に制限はない。該溶媒として、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等のエステル系溶媒が例示される。
【0084】
溶液からの成膜方法としては、溶液からのスピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の塗布法を用いることができる。
【0085】
混合する高分子バインダーとしては、電荷輸送を極度に阻害しないものが好ましく、また可視光に対する吸収が強くないものが好適に用いられる。該高分子バインダーとして、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリシロキサン等が例示される。
【0086】
正孔輸送層の膜厚としては、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよいが、少なくともピンホールが発生しないような厚さが必要であり、あまり厚いと、素子の駆動電圧が高くなり好ましくない。従って、該正孔輸送層の膜厚としては、例えば1nmから1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
【0087】
本発明の有機EL素子が電子輸送層を有する場合、使用される電子輸送材料としては公知のものが使用でき、オキサジアゾール誘導体、アントラキノジメタンもしくはその誘導体、ベンゾキノンもしくはその誘導体、ナフトキノンもしくはその誘導体、アントラキノンもしくはその誘導体、テトラシアノアンスラキノジメタンもしくはその誘導体、フルオレノン誘導体、ジフェニルジシアノエチレンもしくはその誘導体、ジフェノキノン誘導体、または8−ヒドロキシキノリンもしくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリンもしくはその誘導体、ポリキノキサリンもしくはその誘導体、ポリフルオレンもしくはその誘導体等が例示される。
【0088】
具体的には、特開昭63−70257号公報、同63−175860号公報、特開平2−135359号公報、同2−135361号公報、同2−209988号公報、同3−37992号公報、同3−152184号公報に記載されているもの等が例示される。
【0089】
これらのうち、オキサジアゾール誘導体、ベンゾキノンもしくはその誘導体、アントラキノンもしくはその誘導体、または8−ヒドロキシキノリンもしくはその誘導体の金属錯体、ポリキノリンもしくはその誘導体、ポリキノキサリンもしくはその誘導体、ポリフルオレンもしくはその誘導体が好ましく、2−(4−ビフェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、ベンゾキノン、アントラキノン、トリス(8−キノリノール)アルミニウム、ポリキノリンがさらに好ましい。
【0090】
電子輸送層の成膜法としては特に制限はないが、低分子電子輸送材料では、粉末からの真空蒸着法、または溶液もしくは溶融状態からの成膜による方法が、高分子電子輸送材料では溶液または溶融状態からの成膜による方法がそれぞれ例示される。溶液または溶融状態からの成膜時には、高分子バインダーを併用してもよい。
【0091】
溶液からの成膜に用いる溶媒としては、電子輸送材料および/または高分子バインダーを溶解させるものであれば特に制限はない。該溶媒として、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチルセルソルブアセテート等のエステル系溶媒が例示される。
【0092】
溶液または溶融状態からの成膜方法としては、スピンコート法、キャスティング法、マイクログラビアコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ワイアーバーコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、オフセット印刷法、インクジェットプリント法等の塗布法を用いることができる。
【0093】
混合する高分子バインダーとしては、電荷輸送を極度に阻害しないものが好ましく、また、可視光に対する吸収が強くないものが好適に用いられる。該高分子バインダーとして、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体、ポリ(p−フェニレンビニレン)もしくはその誘導体、ポリ(2,5−チエニレンビニレン)もしくはその誘導体、ポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、またはポリシロキサンなどが例示される。
【0094】
電子輸送層の膜厚としては、用いる材料によって最適値が異なり、駆動電圧と発光効率が適度な値となるように選択すればよいが、少なくともピンホールが発生しないような厚さが必要であり、あまり厚いと、素子の駆動電圧が高くなり好ましくない。従って、該電子輸送層の膜厚としては、例えば1nmから1μmであり、好ましくは2nm〜500nmであり、さらに好ましくは5nm〜200nmである。
【0095】
本発明の有機EL素子を形成する基板は、電極を形成し、有機物の層を形成する際に変化しないものであればよく、例えばガラス、プラスチック、高分子フィルム、シリコン基板などが例示される。不透明な基板の場合には、反対の電極が透明または半透明であることが好ましい。
【0096】
本発明において、陽極が透明または半透明であることが好ましいが、該陽極の材料としては、導電性の金属酸化物膜、半透明の金属薄膜等が用いられる。具体的には、酸化インジウム、酸化亜鉛、酸化スズ、およびそれらの複合体であるインジウム・スズ・オキサイド(ITO)、インジウム・亜鉛・オキサイド等からなる導電性ガラスを用いて作成された膜(NESAなど)や、金、白金、銀、銅等が用いられ、ITO、インジウム・亜鉛・オキサイド、酸化スズが好ましい。
作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、メッキ法等があげられる。また、該陽極として、ポリアニリンもしくはその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体などの有機の透明導電膜を用いてもよい。
【0097】
陽極の膜厚は、光の透過性と電気伝導度とを考慮して、適宜選択することができるが、例えば10nmから10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
【0098】
また、陽極と、本発明の正孔注入層との間に電荷注入を容易にするために、フタロシアニン誘導体、カーボンなどからなる層、あるいは金属酸化物や金属フッ化物、有機絶縁材料等からなる平均膜厚2nm以下の層を設けてもよい。
【0099】
本発明の有機EL素子で用いる陰極の材料としては、仕事関数の小さい材料が好ましい。上記アルカリ金属またはアルカリ金属を含む合金を用いることができるがそれ以外の金属として、例えば、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、アルミニウム、スカンジウム、バナジウム、亜鉛、イットリウム、インジウム、セリウム、サマリウム、ユーロピウム、テルビウム、イッテルビウムなどの金属、およびそれらのうち2つ以上の合金、あるいはそれらのうち1つ以上と、金、銀、白金、銅、マンガン、チタン、コバルト、ニッケル、タングステン、錫のうち1つ以上との合金、グラファイトまたはグラファイト層間化合物等が用いられる。合金の例としては、マグネシウム−銀合金、マグネシウム−インジウム合金、マグネシウム−アルミニウム合金、インジウム−銀合金、カルシウム−アルミニウム合金などがあげられる。陰極を2層以上の積層構造としてもよい。
【0100】
陰極の膜厚は、電気伝導度や耐久性を考慮して、適宜選択することができるが、例えば10nmから10μmであり、好ましくは20nm〜1μmであり、さらに好ましくは50nm〜500nmである。
【0101】
陰極の作製方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、また金属薄膜を熱圧着するラミネート法等が用いられる。また、陰極と有機物層との間に、導電性高分子からなる層、あるいは金属酸化物や金属フッ化物、有機絶縁材料等からなる平均膜厚2nm以下の層を設けてもよく、陰極作製後、該有機EL素子を保護する保護層を装着していてもよい。該有機EL素子を長期安定的に用いるためには、素子を外部から保護するために、保護層および/または保護カバーを装着することが好ましい。
【0102】
該保護層としては、高分子化合物、金属酸化物、金属フッ化物、金属ホウ化物などを用いることができる。また、保護カバーとしては、ガラス板、表面に低透水率処理を施したプラスチック板などを用いることができ、該カバーを熱効果樹脂や光硬化樹脂で素子基板と貼り合わせて密閉する方法が好適に用いられる。スペーサーを用いて空間を維持すれば、素子がキズつくのを防ぐことが容易である。該空間に窒素やアルゴンのような不活性なガスを封入すれば、陰極の酸化を防止することができ、さらに酸化バリウム等の乾燥剤を該空間内に設置することにより製造工程で吸着した水分が素子にタメージを与えるのを抑制することが容易となる。これらのうち、いずれか1つ以上の方策をとることが好ましい。
【0103】
本発明の有機EL素子を用いて面状の発光を得るためには、面状の陽極と陰極が重なり合うように配置すればよい。また、パターン状の発光を得るためには、前記面状の発光素子の表面にパターン状の窓を設けたマスクを設置する方法、非発光部の有機物層を極端に厚く形成し実質的に非発光とする方法、陽極または陰極のいずれか一方、または両方の電極をパターン状に形成する方法がある。これらのいずれかの方法でパターンを形成し、いくつかの電極を独立にOn/OFFできるように配置することにより、数字や文字、簡単な記号などを表示できるセグメントタイプの表示素子が得られる。更に、ドットマトリックス素子とするためには、陽極と陰極をともにストライプ状に形成して直交するように配置すればよい。複数の種類の発光色の異なる高分子蛍光体を塗り分ける方法や、カラーフィルターまたは蛍光変換フィルターを用いる方法により、部分カラー表示、マルチカラー表示が可能となる。ドットマトリックス素子は、パッシブ駆動も可能であるし、TFTなどと組み合わせてアクティブ駆動してもよい。これらの表示素子は、コンピュータ、テレビ、携帯端末、携帯電話、カーナビゲーション、ビデオカメラのビューファインダーなどの表示装置として用いることができる。
【0104】
さらに、前記面状の発光素子は、自発光薄型であり、液晶表示装置のバックライト用の面状光源、あるいは面状の照明用光源として好適に用いることができる。また、フレキシブルな基板を用いれば、曲面状の光源や表示装置としても使用できる。
【0105】
【実施例】
以下、本発明をさらに詳細に説明するために実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
ここで、数平均分子量については、クロロホルムを溶媒として、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレン換算の数平均分子量を求めた。
【0106】
参考合成例1
<正孔注入材料の合成>
特開昭59―199745号公報の記載に従い、p−キシリレン−ビス(ジエチルスルホニウムブロミド)を水溶液中、水酸化ナトリウム水溶液を滴下して重合し、ポリ−p−フェニレンビニレン(以下PPV)の中間体水溶液(PPV中間体1)を得た。
さらに、p−キシリレン−ビス(テトラメチレンスルホニウムクロリド)を用いて同様に重合し、PPV中間体2を得た。
【0107】
参考合成例2
<高分子蛍光体1の合成>
4−ビス(クロロメチル)−2−{4’−(3,7−ジメチルオクチルオキシ)フェニル}ベンゼン0.41gと1,4−ビス(ブロムメチル)−2−(ジメチルオクチルシリル)ベンゼン0.184gと2−メチル−5−(3,7−ジメチルオクチル)−p−キシリレンジブロミド0.18gと2−メトキシ−5−(2−エチルヘキシルオキシ)−p−キシリレンジクロライド0.0533gとを、1,4−ジオキサン(脱水)200gに溶解した。この溶液を、20分間窒素バブリングすることで系内を窒素置換した後、窒素雰囲気中、95℃まで昇温した。次にこの溶液に、あらかじめ、カリウム−t−ブトキシド 1.1gを1,4−ジオキサン(脱水)30mlに溶解し、窒素ガスでバブリングすることで、窒素ガス置換した溶液を、約10分間で滴下した。滴下後、引き続き95℃で2時間反応した。なお、反応は窒素ガス雰囲気中で行った。
【0108】
次に、この溶液を冷却した後、酢酸を加え中和した。この溶液に、メタノールを加え、生成した沈殿を回収した。次に、この沈殿をエタノールで洗浄した後、減圧乾燥して、重合体0.40gを得た。次に、この沈殿をTHF約120gに溶解した後、この溶液に、メタノールを加える方法で、再沈精製した。得られた沈殿を、エタノールで洗浄した後、減圧乾燥して、重合体0.36gを得た。得られた重合体を高分子蛍光体1と呼ぶ。
該高分子蛍光体1のポリスチレン換算の数平均分子量は、1.2×105であった。
【0109】
実施例1
スパッタ法により150nmの厚みでITO膜を付けたガラス基板に、参考合成例1で得たPPV中間体1の溶液を一部濃縮したのち、スピンコートした。これを窒素気流下で200℃で1時間30分間熱処理し、PPVの構造を有する層を形成した。この層の上に、ポリ(3,4)エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸(Bayer製、Bytron P TP AI 4083)の懸濁液を、スピンコートにより約50nmの厚みで成膜し、120゜Cで10分間乾燥して層を形成し、2層からなる正孔注入層を作成した。
さらに、その上に、上記高分子蛍光体1のトルエン溶液をスピンコートにより約80nmの厚みで発光層を成膜した。さらに、これを減圧下80℃で1時間乾燥した後、5×10-5Paに真空度が到達したのち、0.5%のLiを含有するAL−Li合金を50nm蒸着して、有機EL素子を作製した。
得られた素子に窒素気流下で電圧を印加したところ、黄色のEL発光が観測された。窒素気流下、電圧を印加し、電流と輝度を測定して、発光効率を求めたところ、2.3Vで1cd/m2を越え、3.9Vで17.6cd/Aの効率を示した。
なお、同一条件でガラス板上で得たPPV膜とポリ(3,4)エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸膜はそれぞれ、約72nmと51nmであった。また、このときの電気伝導度を電極長1.25cm、電極間隔0.32cmの表面伝導型セルで測定したところ、PPV膜は4.2×10-7S/m、ポリ(3,4)エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸膜は6.6×10-1S/mであった。
【0110】
実施例2
実施例1と同様にPPV中間体2の溶液を用いて、2層の正孔注入層と高分子蛍光体1を有する有機EL素子を作製した。
得られた素子に窒素気流下で電圧を印加したところ、黄色のEL発光が観測された。窒素気流下、電圧を印加し、電流と輝度を測定して、発光効率を求めたところ、2.3Vで1cd/m2を越え、4.3Vで16.9cd/Aの効率を示した。
なお、PPV中間体2の溶液から製膜され、200℃の熱処理で得られる薄膜はPPV中間体1から得られるPPVとほぼ同様の構造を有しており、同様の電気伝導度を示す。
【0111】
比較例1
実施例1と同様にPPV中間体2の溶液から、PPV膜を製膜した後に、高分子蛍光体1を製膜して、有機EL素子を作製した。
得られた素子に窒素気流下で電圧を印加したところ、黄色のEL発光が観測された。窒素気流下、電圧を印加し、電流と輝度を測定して、発光効率を求めたところ、2.6Vで1cd/m2を越え、3.3Vで7.1cd/Aの効率を示した。
【0112】
比較例2
実施例1でPPV膜を製膜することなしに、ポリ(3,4)エチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸を製膜し、熱処理後に、高分子蛍光体1を製膜して、有機EL素子を作製した。
得られた素子に窒素気流下で電圧を印加したところ、黄色のEL発光が観測された。窒素気流下、電圧を印加し、電流と輝度を測定して、発光効率を求めたところ、2.3Vで1cd/m2を越え、3.1Vで12.8cd/Aの効率を示した。
【0113】
【発明の効果】
本発明の有機EL素子は、有機EL素子の特徴を維持しつつ、発光効率が高いことから、バックライトとしての面状光源,フラットパネルディスプレイ等の装置として好ましく使用できる。

Claims (7)

  1. 少なくとも一方が透明または半透明である一対の陽極および陰極からなる電極間に、少なくとも正孔注入層と発光層とを有する有機エレクトロルミネッセンス素子において、
    該正孔注入層は、2層の正孔注入層からなり、これらのうち1層は陽極に接する正孔注入層であり、
    陽極に接する正孔注入層に用いる材料が、ポリアニリンおよびその誘導体、ポリチオフェンもしくはその誘導体、ポリピロールもしくはその誘導体、ポリフェニレンビニレンもしくはその誘導体、ポリチエニレンビニレンもしくはその誘導体、ポリキノリンもしくはその誘導体、または、ポリキノキサリンもしくはその誘導体であり、
    該陽極と最も反対側に位置する正孔注入層に用いる材料が、イオンがドープされている導電性高分子であり、
    該陽極に接する正孔注入層の電気伝導度が、該陽極と最も反対側に位置する正孔注入層の電気伝導度より低く、
    該発光層が、ポリスチレン換算の数平均分子量が1×104〜1×107であり、下記一般式(1)で示される繰り返し単位を少なくとも一種類含み、その合計が全繰り返し単位の50モル%以上である高分子蛍光体を含有する
    ことを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス素子。
    【化1】
    −Ar1−(CR1=CR2k− ・・・・・(1)
    〔ここで、Ar1は、隣接する2つの基とそれぞれ炭素−炭素結合を形成する2価の基であり、共役に関与する炭素原子の数が6個以上60個以下からなるアリーレン基、または共役に関与する炭素原子の数が4個以上60個以下からなる複素環化合物基であるものを示し、該アリーレン基、複素環化合物基はさらに置換基を有していてもよい。またR1、R2は、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状または環状のアルキル基、炭素数6〜60のアリール基、炭素数4〜60の複素環化合物基およびシアノ基からなる群から選ばれる基を示し、該アリール基、複素環化合物基はさらに置換基を有していてもよい。kは0または1である。〕
  2. 前記陽極に接する正孔注入層の電気伝導度が10 -3 S/m以下であり、前記陽極と最も反対側に位置する正孔注入層の電気伝導度が10 -2 S/m以上10 5 S/m以下であることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  3. 前記陽極と最も反対側に位置する正孔注入層に用いる材料である、イオンがドープされている導電性高分子にドープされているイオンが、ポリスチレンスルホン酸イオン、アルキルベンゼンスルホン酸イオン、または、樟脳スルホン酸イオンであることを特徴とする請求項1または2に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を用いたことを特徴とする面状光源。
  5. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を用いたことを特徴とするセグメント表示装置。
  6. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子を用いたことを特徴とするドットマトリックス表示装置。
  7. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の有機エレクトロルミネッセンス素子をバックライトとすることを特徴とする液晶表示装置。
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