JP3473847B2 - 磁気記録媒体およびその製造方法 - Google Patents
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Description
記憶装置を初めとする各種磁気記録装置に搭載される磁
気記録媒体およびその製造方法に関する。より詳細に
は、本発明は、ガラス系材料の基板を用いて作成される
「異方性」磁気記録媒体、および該「異方性」磁気記録
媒体の安価かつ簡単な製造方法に関する。
て用いた磁気記録媒体では、基板表面に円周状の溝(テ
クスチャーと呼ばれる)を形成するテクスチャー加工が
行われる。テクスチャー加工された基板に対して、シー
ド層、下地層、磁性層および保護層を順次積層して磁気
記録媒体が得られる。テクスチャー加工は、磁気記録媒
体上を磁気ヘッドが浮上しシークする時に、磁気記録媒
体と磁気ヘッドが接触し磨耗するのを防止すること、お
よび、面内での磁化方向を記録方向である円周方向に配
向させていわゆる「異方性媒体」とすることによる記録
密度の高密度化することを目的として行われている。一
般に、アルミニウム系材料を用いた磁気記録媒体用基板
は、アルミニウムのブランク上にNiPメッキを施し、
その表面にテクスチャー加工を行うことにより、円周状
の溝が形成される。そのテクスチャー加工による歪およ
び円周状の溝が、下地層および磁性層の成膜時に円周方
向と半径方向の残留磁化(Mr)の差を発生させてい
る。
磁気記録媒体においては、1)材料そのものの硬度が高
く信頼性が向上していること、2)材料の熱膨張が小さ
いこと、および3)アルミニウム系と同様なテクスチャ
ー加工を行っても、円周方向と半径方向の残留磁化の差
が発生しないことにより、テクスチャー加工は行なわれ
ておらず、いわゆる「等方性媒体」が一般的である。本
明細書において、「等方性媒体」とは円周方向と半径方
向の残留磁化の比がほぼ1(たとえば0.95〜1.0
5)である媒体を意味し、「異方性媒体」とは円周方向
と半径方向の残留磁化の比が1.05以上である媒体を
意味する。
につれて、磁気記録媒体に書き込まれるデータの最小単
位である1ビットの記録領域(ビットサイズ)はますま
す小さくなってきている。前述のように従来のガラス系
基板を用いた磁気記録媒体では、等方性媒体が主流であ
るが、ビットサイズが小さくなるにつれて、アルミニウ
ム系基板のような異方性媒体と比較し、分解能(LF出
力に対するMF出力の割合)が低く、S/N比(SN
R、雑音に対する信号の比)も悪いという特性差が顕著
になってきた。これは、等方性媒体で異方性媒体と同様
な特性を得るためには、円周方向の残留磁化値(Mrt
−Cir)を高くする必要があるため、磁性層の厚さが
厚くなり、結果として磁性層に起因する媒体ノイズが増
加してしまうためである。
制することに関して、下地層から磁性層のスパッタ時に
は純Arを用いる一方で、米国特許第5,866,22
7号は、NiPまたはTaシード層をArおよび酸素の
混合ガス中における反応スパッタにより形成し、それに
よって磁性層の結晶配向を改善して低ノイズ化を達成す
ることを教示している。また、米国特許第5,879,
783号は、NiPシード層表面をその形成後にAr+
酸素混合ガスに暴露して、該表面の微小粗さを増大させ
て、磁性層の結晶粒の大きさを減少させることによる低
ノイズ化を教示している。しかしながら、これらの参考
文献において、基板およびシード層表面は、形状的に面
内異方性を有することを教示していない。したがってこ
れらの文献に記載の磁気記録媒体は、面内の磁気特性
は、基板の円周方向も半径方向もほぼ同様の値をとり、
等方的な磁気特性を有する。
ルミニウム基板よりも硬度が高く、かつ熱膨張が小さい
という優れた特性を有するガラス基板を用いて、高記録
密度化に対応することができる優れた電磁変換特性を有
する磁気記録媒体の製造方法を提供することが、本発明
の課題である。より具体的には、ガラス基板を用いて
「異方性媒体」を製造する方法を提供することが、本発
明の課題である。
いて、低コスト化を目的として工程数を少なくすること
が、本発明のさらなる課題である。
である磁気記録媒体の製造方法は、ガラス系材料により
形成される非磁性基板の表面に直接テクスチャー加工を
施して1μm平方当たり5本以上の円周状の溝を形成
し、その表面の中心線平均粗さを0.2から1nmとす
るテクスチャー加工工程と、該テクスチャー加工を施し
た非磁性基板上に、NiPを主とする材料からなるシー
ド層をスパッタ法により成膜するシード層成膜工程と、
該成膜されたシード層を酸素と不活性ガスとを含む混合
ガスに暴露する酸素含有混合ガス暴露工程と、該酸素含
有混合ガスに暴露されたシード層上に、CrまたはCr
に低濃度(10原子%以下)の第2元素を含むCrW合
金もしくはCrMo合金からなる膜厚3〜8nmの第1
下地層と、その上のCrに高濃度(15原子%以上)の
第2元素を含むCrW合金もしくはCrMo合金からな
る膜厚1〜8nmの第2下地層とからなる下地層をスパ
ッタ法により成膜する下地層成膜工程と、該下地層上
に、Coを主とする磁性材料からなる磁性層をスパッタ
法により成膜する磁性層成膜工程と、該磁性層上に、保
護層を成膜する保護層成膜工程とを具えた磁気記録媒体
の製造方法であって、該磁気記録媒体の面内の半径方向
残留磁化に対する該磁気記録媒体の面内の円周方向残留
磁化比を1.05以上とすることを特徴とする。本発明
の第2の実施形態である磁気記録媒体の製造方法は、ガ
ラス系材料により形成される非磁性基板の表面に直接テ
クスチャー加工を施して1μm平方当たり5本以上の円
周状の溝を形成し、その表面の中心線平均粗さを0.2
から1nmとするテクスチャー加工工程と、該テクスチ
ャー加工を施した非磁性基板上に、CrまたはCrWか
らなる第1のシード層と、その上のNiPを主とする材
料からなる第2のシード層とからなるシード層をスパッ
タ法により成膜するシード層成膜工程と、該成膜された
シード層を酸素と不活性ガスとを含む混合ガスに暴露す
る酸素含有混合ガス暴露工程と、該酸素含有混合ガスに
暴露されたシード層上に、CrまたはCrに低濃度(1
0原子%以下)の第2元素を含むCrW合金もしくはC
rMo合金からなる膜厚3〜8nmの第1下地層と、そ
の上のCrに高濃度(15原子%以上)の第2元素を含
むCrW合金もしくはCrMo合金からなる膜厚1〜8
nmの第2下地層とからなる下地層をスパッタ法により
成膜する下地層成膜工程と、該下地層上に、Coを主と
する磁性材料からなる磁性層をスパッタ法により成膜す
る磁性層成膜工程と、該磁性層上に、保護層を成膜する
保護層成膜工程とを具えた磁気記録媒体の製造方法であ
って、該磁気記録媒体の面内の半径方向残留磁化に対す
る該磁気記録媒体の面内の円周方向残留磁化比を1.0
5以上とすることを特徴とする。
体の製造方法は、ガラス系材料により形成される非磁性
基板の表面に直接テクスチャー加工を施して1μm平方
当たり5本以上の円周状の溝を形成し、その表面の中心
線平均粗さを0.2から1nmとするテクスチャー加工
工程と、該テクスチャー加工を施した非磁性基板上に、
CrまたはCrWからなる第1のシード層と、その上の
NiPを主とする材料からなる第2のシード層とからな
るシード層をスパッタ法により成膜するシード層成膜工
程と、該成膜されたシード層を酸素と不活性ガスとを含
む混合ガスに暴露する酸素含有混合ガス暴露工程と、該
酸素含有混合ガスに暴露されたシード層上に、Cr、C
rW合金またはCrMo合金からなる膜厚3〜10nm
の下地層をスパッタ法により成膜する下地層成膜工程
と、該下地層上に、Coを主とする磁性材料からなる磁
性層をスパッタ法により成膜する磁性層成膜工程と、該
磁性層上に、保護層を成膜する保護層成膜工程とを具え
た磁気記録媒体の製造方法であって、該磁気記録媒体の
面内の半径方向残留磁化に対する該磁気記録媒体の面内
の円周方向残留磁化比を1.05以上とすることを特徴
とする。本発明の第4の実施形態である磁気記録媒体の
製造方法は、ガラス系材料により形成される非磁性基板
の表面に直接テクスチャー加工を施して1μm平方当た
り5本以上の円周状の溝を形成し、その表面の中心線平
均粗さを0.2から1nmとするテクスチャー加工工程
と、該テクスチャー加工を施した非磁性基板上に、Ni
Pを主とする材料からなるシード層をスパッタ法により
成膜するシード層成膜工程と、該シード層成膜工程にお
いて、当該シード層の最表層を不活性ガス中に酸素を含
む混合ガス中での反応性スパッタにより成膜するシード
層最表層成膜工程と、該混合ガス中での反応性スパッタ
により成膜されたシード層最表層上に、CrまたはCr
に低濃度(10原子%以下)の第2元素を含むCrW合
金もしくはCrMo合金からなる膜厚3〜8nmの第1
下地層と、その上のCrに高濃度(15原子%以上)の
第2元素を含むCrW合金もしくはCrMo合金からな
る膜厚1〜8nmの第2下地層とからなる下地層をスパ
ッタ法により成膜する下地層成膜工程と、該下地層上
に、Coを主とする磁性材料からなる磁性層をスパッタ
法により成膜する磁性層成膜工程と、該磁性層上に、保
護層を成膜する保護層成膜工程とを具えた磁気記録媒体
の製造方法であって、該磁気記録媒体の面内の半径方向
残留磁化に対する該磁気記録媒体の面内の円周方向残留
磁化比を1.05以上とすることを特徴とする。
体の製造方法は、ガラス系材料により形成される非磁性
基板の表面に直接テクスチャー加工を施して1μm平方
当たり5本以上の円周状の溝を形成し、その表面の中心
線平均粗さを0.2から1nmとするテクスチャー加工
工程と、該テクスチャー加工を施した非磁性基板上に、
CrまたはCrWからなる第1のシード層と、その上の
NiPを主とする材料からなる第2のシード層とからな
るシード層をスパッタ法により成膜するシード層成膜工
程と、該シード層成膜工程において、当該シード層の最
表層を不活性ガス中に酸素を含む混合ガス中での反応性
スパッタにより成膜するシード層最表層成膜工程と、該
混合ガス中での反応性スパッタにより成膜されたシード
層最表層上に、CrまたはCrに低濃度(10原子%以
下)の第2元素を含むCrW合金もしくはCrMo合金
からなる膜厚3〜8nmの第1下地層と、その上のCr
に高濃度(15原子%以上)の第2元素を含むCrW合
金もしくはCrMo合金からなる膜厚1〜8nmの第2
下地層とからなる下地層をスパッタ法により成膜する下
地層成膜工程と、該下地層上に、Coを主とする磁性材
料からなる磁性層をスパッタ法により成膜する磁性層成
膜工程と、該磁性層上に、保護層を成膜する保護層成膜
工程とを具えた磁気記録媒体の製造方法であって、該磁
気記録媒体の面内の半径方向残留磁化に対する該磁気記
録媒体の面内の円周方向残留磁化比を1.05以上とす
ることを特徴とする。
前記テクスチャー加工は、ウレタン、ポリエステルおよ
びナイロンからなる群から選択される材料で構成されか
つ研磨砥粒を含まない加工布を、9.8kPa以上19
6kPa以下の圧力で前記非磁性基板に押圧し、ダイア
モンド、酸化アルミニウム、酸化セリウム、シリコンカ
ーバイトおよびコロイダルシリカからなる群から選択さ
れる平均粒子径0.01μm以上2μm以下の研磨砥粒
を0.01質量%以上5質量%以下の濃度で含んだスラ
リーを滴下しながら、当該非磁性基板を当該加工布で摩
擦することにより行ってもよく、前記加工布として、直
径10μm以下の極細繊維を織って作成した織布および
該織布を起毛させた起毛布からなる群から選択されるも
のを用いることができる。また、前記混合ガスは、0.
7体積%以上の酸素を含むか、2体積%以上の空気を含
むか、あるいは1.6体積%以上の窒素と0.4体積%
以上の酸素を含んでもよい。
て、前記シード層最表層成膜工程は、前記シード層の表
面から深さ0.8〜3nmまでの部分を、不活性ガス中
に1%以上の酸素を含む混合ガス中での反応性スパッタ
により成膜する工程であってもよい。また、該混合ガス
は、不活性ガス中に3%以上の空気を含むもの、または
不活性ガス中に2.4%以上の窒素と0.6%以上の酸
素とを含むものであってもよい。
前記NiPは、19から33原子%のPを含んでもよ
い。また、本発明の第1〜第5の実施形態において、前
記テクスチャー加工を施した非磁性基板は、その表面に
1μm平方当たり5本以上100本以下、より好ましく
は1μm平方当たり25〜60本の前記円周状の溝を有
することができる。
体は、ガラス系材料からなり、その表面に直接テクスチ
ャー加工を施されて1μm平方当たり5本以上の円周状
の溝が形成され、その表面の中心線平均粗さが0.2か
ら1nmである非磁性基板と、該非磁性基板上にスパッ
タ法により成膜され、かつ表面が酸素と不活性ガスとを
含む混合ガスに暴露されてなるNiPを主とする材料か
らなるシード層と、CrまたはCrに低濃度(10原子
%以下)の第2元素を含むCrW合金もしくはCrMo
合金からなる膜厚3〜8nmの第1下地層と、その上の
Crに高濃度(15原子%以上)の第2元素を含むCr
W合金もしくはCrMo合金からなる膜厚1〜8nmの
第2下地層とが前記シード層上にスパッタ法により成膜
されてなる下地層と、該下地層上にスパッタ法により成
膜されたCoを主とする磁性材料からなる磁性層と、該
磁性層上に成膜されてなる保護層とを具えた磁気記録媒
体であって、該磁気記録媒体の面内の半径方向残留磁化
に対する該磁気記録媒体の面内の円周方向残留磁化比が
1.05以上であることを特徴とする。本発明の第7の
実施形態である磁気記録媒体は、ガラス系材料からな
り、その表面に直接テクスチャー加工を施されて1μm
平方当たり5本以上の円周状の溝が形成され、その表面
の中心線平均粗さが0.2から1nmである非磁性基板
と、CrまたはCrWからなる第1のシード層とその上
のNiPを主とする材料からなる第2のシード層とが前
記非磁性基板上にスパッタ法により成膜され、かつ表面
が酸素と不活性ガスとを含む混合ガスに暴露されてなる
シード層と、CrまたはCrに低濃度(10原子%以
下)の第2元素を含むCrW合金もしくはCrMo合金
からなる膜厚3〜8nmの第1下地層と、その上のCr
に高濃度(15原子%以上)の第2元素を含むCrW合
金もしくはCrMo合金からなる膜厚1〜8nmの第2
下地層とが前記シード層上にスパッタ法により成膜され
てなる下地層と、該下地層上にスパッタ法により成膜さ
れたCoを主とする磁性材料からなる磁性層と、該磁性
層上に成膜されてなる保護層とを具えた磁気記録媒体で
あって、該磁気記録媒体の面内の半径方向残留磁化に対
する該磁気記録媒体の面内の円周方向残留磁化比が1.
05以上であることを特徴とする。
体は、ガラス系材料からなり、その表面に直接テクスチ
ャー加工を施されて1μm平方当たり5本以上の円周状
の溝が形成され、その表面の中心線平均粗さが0.2か
ら1nmである非磁性基板と、CrまたはCrWからな
る第1のシード層とその上のNiPを主とする材料から
なる第2のシード層とが前記非磁性基板上にスパッタ法
により成膜され、かつ表面が酸素と不活性ガスとを含む
混合ガスに暴露されてなるシード層と、該シード層上に
スパッタ法により成膜されたCr、CrW合金またはC
rMo合金からなる膜厚3〜10nmの下地層と、該下
地層上にスパッタ法により成膜されたCoを主とする磁
性材料からなる磁性層と、該磁性層上に成膜されてなる
保護層とを具えた磁気記録媒体であって、該磁気記録媒
体の面内の半径方向残留磁化に対する該磁気記録媒体の
面内の円周方向残留磁化比が1.05以上であることを
特徴とする。
前記NiPは、19から33原子%のPを含んでもよ
い。また、本発明の第6〜第8の実施形態において、前
記テクスチャー加工を施した非磁性基板は、その表面に
1μm平方当たり5本以上100本以下、より好ましく
は1μm平方当たり25〜60本の前記円周状の溝を有
することができる。
においては、ガラス系材料からなる基板に対して機械的
なテクスチャー加工を行い円周方向に同心円状の溝を形
成し、該基板上にシード層、下地層、磁性層および保護
層を形成する。必要に応じて、該保護層の上に液体潤滑
剤からなる潤滑層を設けてもよい。
表面の平滑性、剛性等の必要とされる物性を満たす任意
のガラス(たとえば、Hoya製のN5またはN10基
板、あるいはNSG製GD7基板)を用いることができ
る。特に、化学強化ガラスが好ましい。基板は、中心部
に円形孔を有する円形を有することが好ましい。中心部
の円形孔の径および基板の外径は、所望される用途に依
存して当業者によって容易に決定することができる。基
板は、0.635〜1.6mm、好ましくは0.635
〜1mmの厚さを有する。
成される層の結晶配向および/または結晶粒径などを制
御して、磁気記録媒体の所望される特性を達成するため
に設けられる。シード層の材料としては、Cr、Cr
W、NiPまたはTaを用いることができる。好ましく
は19から33原子%、より好ましくは19から28.
6原子%のPを含むNiPが本発明において有用であ
る。また本発明において、シード層を2層構成とするこ
とができる。2層構成のシード層を用いる場合には、基
板と接触する第1のシード層をCrまたはCrWを用い
て形成することが好ましく、および下地層と接触する第
2のシード層をNiPを用いて形成することが好まし
い。上記の材料をスパッタ、蒸着、CVDまたはメッキ
等の慣用の方法を用いて基板に積層することにより、本
発明のシード層を形成することができる。同時に他の層
の形成を行うことを考慮すると、スパッタ法を用いるこ
とが好ましい。本発明の磁気記録媒体のシード層は、5
から28nm、好ましくは7から28nmの厚さを有す
る。2層構成のシード層を用いる場合には、第1のシー
ド層の膜厚を1〜2nmとし、第2のシード層の膜厚が
前記の範囲内であることが好ましい。
性層の結晶配向および/または結晶粒径などを制御し
て、磁気記録媒体の所望される特性を達成するために設
けられる。下地層の材料としては、Cr、CrW合金ま
たはCrMo合金を用いることができる。上記の材料を
スパッタ、蒸着またはCVD等の慣用の方法を用いて基
板に積層することにより、本発明の下地層を形成するこ
とができる。同時に他の層の形成を行うことを考慮する
と、スパッタ法を用いることが好ましい。本発明の磁気
記録媒体の下地層は、3から10nm、好ましくは3か
ら8nmの厚さを有する。
の構成とすることもできる。第1下地層と第2下地層か
らなる2層構成が好ましい。第1下地層はOR−Mrt
(=Mrt_Cir/Mrt_Rad)を大きくするた
めに機能し、Cr、または低濃度(たとえば10原子%
以下)の第2元素を含むCrW合金もしくはCrMo合
金を用いて形成することができる。第2下地層は磁性層
のエピタキシャル成長を補助するために機能し、高濃度
(たとえば15原子%以上)の第2元素を含むCrW合
金またはCrMo合金を用いることができる。第1下地
層および第2下地層のそれぞれは、スパッタ、蒸着また
はCVD等の慣用の方法を用いて形成することができ
る。同時に他の層の形成を行うことを考慮すると、スパ
ッタ法を用いることが好ましい。第1下地層は、3〜8
nm、好ましくは3〜5nmの膜厚を有する。第2下地
層は、1〜5nm、好ましくは1〜3nmの膜厚を有す
る。
料により形成される。好ましい磁性材料は、CoCr合
金、CoCrTa合金、CoNiCr合金、CoCrP
t合金、CoCrPtTa合金、CoNiPt合金、C
oNiCrPt合金およびCoCrPtB合金を含む。
上記の材料をスパッタ、蒸着またはCVD等の慣用の方
法を用いて基板に積層することにより、本発明の磁性層
を形成することができる。同時に他の層の形成を行うこ
とを考慮すると、スパッタ法を用いることが好ましい。
本発明の磁気記録媒体の磁性層は、5から20nm、好
ましくは8から15nmの厚さを有する。
触による破壊を防止するために形成される。保護層とし
て好ましい材料は、カーボン(C)、シリコンカーバイ
ド(SiC)、酸化ジルコニウム(ZrO2)およびカ
ーボンナイトライド(CN)を含む。カーボン材料とし
て、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)を用いるこ
ともできる。上記の材料をスパッタ、蒸着またはCVD
等の慣用の方法を用いて基板に積層することにより、本
発明の磁性層を形成することができる。同時に他の層の
形成を行うことを考慮すると、スパッタ法を用いること
が好ましい。保護層は、好ましくは1から30nm、よ
り好ましくは2から4nmの厚さを有する。
ッタ法を用いる場合には、基板に対して直流またはRF
バイアスを印加してもよい。
潤滑層は、液体潤滑剤を、スピンコート、吹付、浸漬、
ナイフ塗布などの慣用の方法を用いて付着することによ
り形成される。潤滑層は、主としてヘッドと磁気記録媒
体とが接触した場合の摩擦を低減することを目的として
設けられる。液体潤滑剤として、フルオロカーボン系の
ような慣用の潤滑剤を用いることができる。設けられる
場合には、潤滑層は、0.5から5nm、好ましくは1
から2nmの厚さを有する。
て、最初に、基板に対してポリッシュ加工を施して所望
の表面粗さを付与することが好ましい。ポリッシュ加工
は、当該技術において知られている任意の方法を用いて
行うことができる。本発明において望ましい表面粗さ
は、0.2〜1nmの、より好ましくは0.2〜0.5
nmの中心線平均粗さ(Ra)である。次に、所望の表
面粗さを有する基板に対して、機械的テクスチャー加工
を施すことにより、円周方向に同心円状の溝を形成す
る。該テクスチャー加工は、研磨砥粒を含まない加工布
を基板表面に押圧し、さらに研磨用のスラリーを付着さ
せて、基板を回転させることによって実施される。長尺
またはロール状の加工布を準備して、常に加工布の新し
い部分が基板に接触するように加工布を送りながら、テ
クスチャー加工を行ってもよい。基板表面に押圧する際
には、当該技術において知られている治具等を用いるこ
とができ、9.8〜196kPa(100〜2000g
f/cm2)の、好ましくは9.8〜98kPa(10
0〜1000gf/cm2)の圧力を印加される。その
際に、実際に基板表面に印加される圧力は、3.9〜7
8.4kPa(40〜800gf/cm2)、好ましく
は3.9〜39.2kPa(40〜400gf/c
m2)である。
砥粒を含まない加工布としては、ウレタン、ポリエステ
ルまたはナイロン製の布を用いることができる。前述の
材料を用いて加工布を形成する場合には、直径10μm
以下の極細繊維を織って作成した織布とすることが好ま
しい。また、該織布に起毛処理を施した起毛布を用いる
こともできる。
リーは、ダイアモンド、酸化アルミニウム、酸化セリウ
ム、シリコンカーバイトまたはコロイダルシリカの1種
の研磨砥粒を含む。該研磨砥粒は、好ましくは0.01
μm以上2μm以下、より好ましくは0.05μm以上
1.5μm以下の平均粒子径を有する。該研磨砥粒は、
前記スラリーの全重量を基準として0.01質量%以上
5質量%以下の濃度において該スラリー中に含有され
る。
は、その表面1μm平方当たり5本以上、好ましくは5
本以上100本以下、より好ましくは25〜60本の円
周方向の同心円状の溝が形成される。形成された溝の数
は、走査型電子顕微鏡(SEM)あるいは原子間力顕微
鏡(AFM)を用いて測定することができる。表面1μ
m平方あたりに形成される溝が5本未満の場合には、所
望される残留磁化異方性を達成することができない。基
板に形成される溝は、1〜10nm、好ましくは3〜5
nmの深さを有する。溝の深さが1nm未満の場合には
所望される残留磁化異方性を達成することができず、一
方、溝の深さが10nmを越える場合には磁気記録媒体
の他の特性(具体的には磁気記録媒体の信号品質(エラ
ー特性))に悪影響を与える恐れがある。
おいて、シード層を成膜する工程と下地層を成膜する工
程との間に、シード層を酸素と不活性ガスとを含有する
混合ガスに暴露することが好ましい。不活性ガスは、H
e、Ne、Ar、Xe、Krを含むが、特にArが好ま
しい。酸素源として、純粋な酸素の他に、空気を用いる
ことも可能である。不活性ガス(好ましくはAr)と、
混合ガス全体積を基準として0.7体積%以上の酸素を
含有する混合ガスを用いることができる。酸素含有量
は、好ましくは1〜4体積%の範囲内である。あるいは
また、不活性ガス(好ましくはAr)と、混合ガス全体
積を基準として2体積%以上の空気とを含有する混合ガ
スを用いることができる。空気含有量は、好ましくは2
〜10体積%の範囲内である。あるいはまた、前述の空
気に代えて純粋な酸素および窒素の混合物を用いること
もできる。この場合には、不活性ガス(好ましくはA
r)と、混合ガス全体積を基準として0.4体積%以上
の酸素と、該不活性ガスを基準として1.6体積%以上
の窒素とを含有する混合ガスを用いることができる。こ
の場合に、酸素含有量は好ましくは0.4〜2体積%の
範囲内であり、窒素含有量は好ましくは1.6〜8体積
%の範囲内である。酸素含有量対窒素含有量の比は、約
1:4であり、好ましくは1:3.9から1:4の範囲
内である。
造方法において、シード層の最表層を、酸素と不活性ガ
スとを含有する混合ガス中での反応性スパッタにより成
膜してもよい。該混合ガスとしては、前述のものを用い
ることができる。ここで、「シード層の最表層」とは、
シード層の下地層が形成される側の面(シード層形成時
における表面)から、3nm(シード層全厚の約15
%)以下の深さまでの部分、好ましくは0.8〜3nm
(シード層全厚の約4〜15%)の深さまでの部分を意
味する。具体的には、シード層の形成を純粋な不活性ガ
ス雰囲気下でのスパッタにより開始し、所定の厚さのシ
ード層が積層された時点において、酸素、空気または
(酸素+窒素)の導入を開始して反応性スパッタにより
「シード層の最表層」を積層する。
記録媒体は、1.05以上、好ましくは1.1以上の面
内の半径方向の残留磁化に対する面内の円周方向残留磁
化の比(OR−Mrt)を有する。本明細書において、
面内の残留磁化(Mrt)は、測定される残留磁化値
(Mr)を膜の面積で除した値を意味し、および「OR
−Mrt」とは、円周方向の残留磁化(Mrt_Ci
r)と半径方向の残留磁化(Mrt_Rad)との比
(Mrt_Cir/Mrt_Rad)を意味する。
Bx」のように記載し、これは全原子数を基準としてx
原子%のBを含み、残余はAであることを示す。
ya製N5基板)表面に対してポリッシュ加工を施し、
表面粗さをRa(中心線平均粗さ)0.5nmに調整し
た。該基板をスピンドルにチャックし300rpmで回
転させ、研磨砥粒を含まないポリエステル極細繊維(繊
維直径約1.5μm)の織布を60mm/minの速度
で送りながら、ゴム硬度(JIS K6253に記載さ
れたIRHDポケット硬さ試験のスプリング式中硬さ用
による)80°の押し付け部材を介して、押し付け圧力
196kPa(2kgf/cm2)で押し付け、平均粒
子径0.1μmのダイアモンド砥粒を0.1質量%含ん
だスラリーを滴下しながら20秒間の研磨(テクスチャ
ー加工)を行った。このときの基板表面に加わる圧力は
78.5kPa(800gf/cm2)であった。テク
スチャー加工後の基板表面の1μm平方の形状をAFM
を用いて測定し、表面に形成された溝数および中心線平
均粗さを求めた。図1にテクスチャー加工後の基板表面
のAFM像を示す。
ッタ装置を用いてCrWシード層(CrW16、厚さ2
nm)およびNiPシード層(NiP20、厚さ7n
m)を積層した。引き続いて加熱を行い、Cr(厚さ
3.8nm)およびCrMo25(厚さ2.5nm)か
らなる下地層、CoCrPtを含む磁性層(厚さ12n
m)およびC保護層(厚さ4nm)を成膜した。ここで
NiPシード層成膜と下地層成膜との間において、酸素
(O2)を含むAr+O2混合ガス(酸素濃度2体積
%、1.3Pa(10mTorr)、2.5秒間)に暴
露した。
(1kgf/cm2)としたことを除いて、実施例1を
繰り返した。この場合の基板表面に加わる圧力は39.
2kPa(400g/cm2)であった。図2にテクス
チャー加工後の基板表面のAFM像を示す。
なかったことを除いて、実施例1を繰り返した。図3に
基板表面のAFM像を示す。
価結果を表1に示す。ただし、1Oeは79.6A/m
である。以上のように製造した3種の磁気記録媒体に関
して、ORM測定器(イノベイティブインスツルメント
製、ORM)と呼ばれる磁気測定器を用いて、それらの
磁気特性を評価した。評価した磁気特性は、レマネンス
コーシビティー(残留保磁力):Hcr、残留磁化値
(Mr)を膜の面積で除した値:Mrt、そのMrtに
ついて円周方向のMrt値と半径方向のMrt値の比:
OR−Mrt(=Mrt_Cir/Mrt_Rad)、
およびS’(Hcr点でのレマネンス曲線の傾き)であ
る。
ya製N5基板)表面に対してポリッシュ加工を施し、
表面粗さをRa0.5nmに調整した。該基板をスピン
ドルにチャックし300rpmで回転させ、研磨砥粒を
含まないポリエステル極細繊維(繊維直径約1.5μ
m)の織布を60mm/minの速度で送りながら、ゴ
ム硬度60°の押し付け部材を介して、押し付け圧力9
8.1kPa(1kgf/cm2)で押し付け、平均粒
子径0.4μmのダイアモンド砥粒を0.1質量%含ん
だスラリーを滴下しながら60秒間の研磨(テクスチャ
ー加工)を行った。このときの基板表面に加わる圧力は
29.4kPa(300gf/cm2)であった。テク
スチャー加工後の基板表面の1μm平方の形状をAFM
を用いて測定し、表面に形成された溝数および中心線平
均粗さを求めた。図4にテクスチャー加工後の基板表面
のAFM像を示す。
ッタ装置を用いて、CrWシード層(CrW16、厚さ
2nm)およびNiPシード層(NiP28.6、厚さ
15nm)を積層した。引き続いて加熱を行い、Cr
(厚さ3.8nm)およびCrMo25(厚さ2.5n
m)からなる下地層、CoCrPtを含む磁性層(12
nm)およびC保護層(4nm)を成膜した。ここでN
iPシード層成膜と下地層成膜との間において、酸素
(O2)を含むAr+O2混合ガス(酸素濃度2体積
%、1.3Pa(10mTorr)、2.5秒間)に暴
露した。以上のように製造した磁気記録媒体に関して、
ORM測定器を用いて、それらの磁気特性を評価した。
評価結果を表2に示す。
ya製N5基板)表面に対してポリッシュ加工を施し、
表面粗さをRa0.5nmに調整した。該基板をスピン
ドルにチャックし300rpmで回転させ、研磨砥粒を
含まない発泡ウレタンのテープを25mm/minの速
度で送りながら、SUS製の面当たり押し付け部材を介
して、押し付け圧力98.1kPa(1kgf/c
m2)で押し付け、平均粒子径1.5μmの酸化セリウ
ム砥粒を1質量%含んだスラリーを滴下しながら60秒
間の研磨(テクスチャー加工)を行った。このときの基
板表面に加わる圧力は9.81kPa(100gf/c
m2)であった。テクスチャー加工後の基板表面の1μ
m平方の形状をAFMを用いて測定し、表面に形成され
た溝数および中心線平均粗さを求めた。図5にテクスチ
ャー加工後の基板表面のAFM像を示す。
ッタ装置を用いて、CrWシード層(CrW16、厚さ
2nm)およびNiPシード層(NiP28.6、厚さ
15nm)を積層した。引き続いて加熱を行い、Cr
(厚さ5nm)およびCrMo 25(厚さ5nm)から
なる下地層、CoCrPtを含む磁性層(12nm)お
よびC保護層(4nm)を成膜した。ここでNiPシー
ド層成膜と下地層成膜との間において、酸素(O2)を
含むAr+O2混合ガス(酸素濃度2体積%、1.3P
a(10mTorr)、2.5秒間)に暴露した。以上
のように製造した磁気記録媒体に関して、ORM測定器
を用いて、それらの磁気特性を評価した。評価結果を表
3に示す。
ya製N5基板)表面に対してポリッシュ加工を施し、
表面粗さをRa0.5nmに調整した。該基板をスピン
ドルにチャックし300rpmで回転させ、研磨砥粒を
含まないポリエステル極細繊維(繊維直径約1.5μ
m)の織布を60mm/minの速度で送りながら、ゴ
ム硬度60°の押し付け部材を介して、押し付け圧力9
8.1kPa(1kgf/cm2)で押し付け、平均粒
子径0.1μmのダイアモンド砥粒を0.1質量%含ん
だスラリーを滴下しながら研磨(テクスチャー加工)を
行った。テクスチャー加工の時間を20秒〜60秒まで
変化させた。このときの基板表面に加わる圧力は39.
2kPa(400gf/cm2)であった。テクスチャ
ー加工後の基板表面の1μm平方の形状をAFMを用い
て測定し、表面に形成された溝数および中心線平均粗さ
を求めた。
ッタ装置を用いて、CrWシード層(CrW16、厚さ
2nm)およびNiPシード層(NiP28.6、厚さ
7nm)を積層した。引き続いて加熱を行い、Cr(厚
さ3.8nm)およびCrMo25(厚さ2.5nm)
からなる下地層、CoCrPtを含む磁性層(12n
m)およびC保護層(4nm)を成膜した。ここでNi
Pシード層成膜と下地層成膜との間において、酸素(O
2)を含むAr+O2混合ガス(酸素濃度2体積%、約
1.3Pa(10mTorr)、2.5秒間)に暴露し
た。以上のように製造した磁気記録媒体に関して、OR
M測定器を用いて、それらの磁気特性を評価した。評価
結果を表4に示す。
を図6に示す。図6(a)はテクスチャー加工時間と基
板表面の1μm当たりの溝数との関係を表すグラフであ
り、図6(b)はテクスチャー加工時間と基板表面の1
μm平方におけるRaとの関係を表すグラフであり、お
よび図6(c)はテクスチャー加工時間と磁気記録媒体
のOR−Mrtとの関係を表すグラフである。
チャー加工時間の増加に伴い、Ra、溝数およびOR−
Mrtの全てが低下する。したがって、テクスチャー加
工時間は短いほうが、より優れた特性(たとえば大きな
OR−Mrt)を有する磁気記録媒体が得られることが
見いだされた。
5インチ(外径6.5cm)×厚さ0.635mmのガ
ラス基板(Hoya製N5基板)に対して、以下のよう
な表面加工を施した。 実施例6:実施例1と同様の手法を用いて基板を作製し
た(研磨砥粒を含まないポリエステル極細繊維(直径約
1.5μm)で織られた加工布、ダイヤモンド砥粒(平
均粒径1.5μm、濃度1質量%)を含むスラリー、7
8.5kPaの基板表面に加わる圧力および20秒の加
工時間を用いたテクスチャー加工により単位長さ当たり
の29本の同心円状の溝を形成した); 実施例7:実施例3と同様の手法を用いて基板を作製し
た(研磨砥粒を含まないポリエステル極細繊維(直径約
1.5μm)で織られた加工布、ダイヤモンド砥粒(平
均粒径1.5μm、濃度1質量%)を含むスラリー、2
9kPaの基板表面に加わる圧力および60秒の加工時
間を用いたテクスチャー加工により単位長さ当たりの1
8本の同心円状の溝を形成した); 比較例2:実施例4と同様の手法を用いて基板を作製し
た(発泡ウレタンテープ、酸化セリウム砥粒(平均粒径
1.5μm、濃度1質量%)を含むスラリー、9.81
kPaの基板表面に加わる圧力および60秒の加工時間
を用いた表面加工により同心円状の溝を5本と少なめに
形成した);および 比較例3:表面加工をしなかった。
Cスパッタ装置を用いて、CrWシード層(Cr
W16、厚さ2nm)およびNiPシード層(NiP
28.6、厚さ15nm)を積層した。引き続いて加熱
し、Cr(厚さ5nm)およびCrMo25(厚さ5n
m)からなる下地層、CoCrPtを含む磁性層(12
nm)およびC保護層(4nm)を成膜した。ここでN
iPシード層成膜と下地層成膜との間において、酸素
(O2)を含むAr+O2混合ガス(O2の流量はAr
流量の2体積%、全圧力1.3Pa(10mTor
r)、2.5秒間)に暴露した。NiPシード層の主な
成膜条件を表5に示す。また、各実施例および比較例に
より得られた磁気記録媒体の特性を表6に示す。
円状の尖った溝を設けた場合に、OR−Mrtは1.1
より高く、S’値は0.74以上と望ましい値となっ
た。特にOR−Mrtに関しては、単位長さ当たりの溝
数が多い方が大きな値を示した。
変換特性を評価した。 TAA:再生信号出力の平均値(単位mVp−p)、低
周波(LF)領域における値LF−TAAおよび高周波
(HF)領域における値HF−TAAを測定した; D50:低周波記録での孤立波の出力が半減する記録密
度(単位kFCI); Pw50:ビットのパルス幅(単位ns); NLTS:非線形ビットシフトであり、小さいことが望
ましい; Modulation:トラック1周分の再生信号出力
の平均値を100%として、最大信号出力の平均値から
の変動量(Pos.)および最小信号出力の平均値から
の変動量(Neg.)を示し、両値共に小さいことが望
ましい; Noise:スペクトラムアナライザーで観測される信
号スペクトラムの、記録された周波数の信号部分を除い
た部分を、周波数に関して積分した値(単位μV)であ
り、磁気記録媒体に起因するノイズに対応する、小さい
ことが望ましい; SNR:シグナル・ノイズ・レシオ、Noiseに対す
る記録された信号部分の積分値の比(単位dB); 分解能:LF出力に対するMF出力の割合;および Noise/LF:NoiseをLF−TAAを用いて
規格化した値、異なる磁気媒体同士のノイズ特性を比較
する際に用いる。
に示す。同表より、OR−Mrtが1.1以上の実施例
6および実施例7は出力(LF−TAAおよびHF−T
AA)が高く、分解能(Res.)が高く、SNRおよ
びD50が高く、Pw50もシャープで良好であり、上
書き性能:O/W特性も、OR−Mrtが1.05以下
の比較例2および比較例3と比較して遜色ないことがわ
かる。
2θ法のX線回折測定を行った。X線回折プロファイル
を図7に示す。同図より、基板表面加工を施した実施例
6、実施例7および比較例2の場合は、比較例3の場合
と比較して、Cr(200)とCo(110)の回折強
度が高かった。この結果から、テクスチャー加工等によ
る表面加工を施したほうが、磁性層を構成する粒子の結
晶性または配向性が高いといえる。また、比較例2の場
合に比較して、実施例6の場合は回折強度が低かった。
この事実は、テクスチャーによるX線散乱の影響を考慮
しても、比較例2の磁性層粒子と比較して、実施例6の
磁性層粒子が同等以下の結晶粒子径を有するためと推察
される。以上の結果から、テクスチャー加工を施した実
施例6においては、良好な結晶性および配向性、ならび
に微細な粒子径を有する磁性層を作製することができ、
それが優秀な電磁変換特性を有する磁気記録媒体を作製
できた要因といえる。
加工を施し、同心円状の単位長さあたりの尖った溝数は
多くすることが、OR−Mrtを高める点、磁気特性及
び電磁変換特性を改善する点から重要であるといえる。
前述の機械的テクスチャー加工と同等の表面加工は、湿
式または乾式エッチング、あるいはFIBなどのレーザ
ー加工を用いることも可能である。
r(厚さ5nm)およびNiP20(厚さ12nm)と
し、下地層をCrMo7(厚さ30nm)とし、CoC
rPtを含む磁性層の厚さを16nmとし、およびC保
護層の厚さを7nmとしたことを除いて、実施例7およ
び比較例3の手順を繰り返して、それぞれ実施例8およ
び比較例4の磁気記録媒体を作製した。さらに、得られ
た磁気記録媒体を透過型電子顕微鏡(TEM)により観
察し、結晶の平均粒径(Mean)およびその標準偏差
σを測定した。表9に、実施例8および比較例4の磁気
特性(Hcr,Mrt_Cir,S’およびOR−Mr
t)とTEM測定結果を示す。実施例8および比較例4
に関する代表的なTEM観察像を、それぞれ図8および
図9に示す。実施例8は、より大きいOR−Mrt値と
より小さな結晶粒子径とを有した。実施例6で述べた、
テクスチャーを施した基板を用いた場合に、電磁変換の
特性におけるSNR値が良好であったことと対応する。
露工程において、混合ガス中の酸素濃度を変化させたこ
とを除いて、実施例7を繰り返してその磁気特性の変化
を調べた。具体的には、酸素流量比を変化させて、酸素
濃度を変化させた。酸素流量比の変化に対する磁気特性
の変化を図10に示す。図10(a)はMrt_Cir
の、図10(b)はHcrの、図10(c)はS’の、
そして図10(d)はOR−Mrtの酸素流量比依存性
をそれぞれ示す。酸素流量比が0%から0.7%に増加
するにしたがって、Mrt_Cir,S’およびOR−
Mrtは増加し、そして0.7%を超える高酸素流量比
では飽和傾向を示した。Hcrの場合は、酸素流量比が
0%から0.7%へ変化してもほぼ同様の値をとった
が、より大きな酸素流量比が7%の場合においては20
0Oe(16kA/m)程度低い値をとった。上記の結
果から、酸素流量比が0.7%以上のAr+O2混合ガ
スの場合において、OR−Mrtは増加することがわか
った。
暴露工程において、純粋な酸素に代えて空気を用いたこ
とを除いて、実施例7を繰り返してその磁気特性の変化
を調べた。空気流量比の変化に対する磁気特性の変化を
図11に示す。図11(a)はMrt_Cirの、図1
1(b)はHcrの、図11(c)はS’の、そして図
11(d)はOR−Mrtの酸素流量比依存性をそれぞ
れ示す。空気流量比が0%から2%に増加するにしたが
って、Mrt_Cir,Hcr,S’およびOR−Mr
tは増加し、それより高い空気流量比では飽和傾向を示
した。空気流量比が2%以上の領域においてOR−Mr
t値は約1.1の望ましい値を有したが、純粋な酸素を
用いた実施例9に比較して低めの値をとった。
rとの混合ガスを用いた場合において、OR−Mrtは
1.1以上とすることができた。また同領域において、
Hcrは空気を用いなかった場合に比較して増大してい
る。空気のかわりに、同等の組成を有する0.4%以上
の酸素、かつ1.6%以上の窒素を含むArとの混合ガ
スを用いてもよい。
nmまで変化させたことを除いて、実施例7を繰り返し
てその磁気特性の変化を調べた。シード層膜厚の変化に
対する磁気特性の変化を図15に示す。図12(a)は
Mrt_Cirの、図12(b)はHcrの、図12
(c)はS’の、そして図12(d)はOR−Mrtの
シード層膜厚依存性をそれぞれ示す。シード層膜厚が、
0nmから5nmに増加するにしたがって、Mrt_C
ir,Hcr,S’およびOR−Mrtは増加し、5n
mから約20nmまでの量域において、各特性値は飽和
傾向を示した。20nmを越えて27nmまでの領域に
おいては、Mrt,HcrおよびOR−Mrtはわずか
に減少する傾向を示した。
用い、その膜厚を5〜20nmとする場合に、1.1以
上のOR−Mrtとある程度高いHcrとを両立させら
れることがわかった。
とを除いて、実施例7を繰り返してその磁気特性の変化
を調べた。具体的には、シード層側の第1下地層として
Crを用い、磁性層側の第2下地層としてCrMo25
を用いた。そして第2下地層の膜厚は5nmに固定し、
第1下地層の膜厚を1〜8nmまで変化させて、その際
の磁気特性の変化を測定した。第1下地層膜厚変化に対
する磁気特性の変化を図13に示す。図13(a)はM
rt_Cirの、図13(b)はHcrの、図13
(c)はS’の、そして図13(d)はOR−Mrtの
第1下地層膜厚依存性をそれぞれ示す。第1下地層膜厚
が0nmから2nmに増加するにしたがって、一旦Mr
t_Cir,Hcr及びS’は減少し、膜厚が2nm以
上の領域では、いずれの値も増加傾向を示した。OR−
Mrtは第1下地層の膜厚が0nmから2.5nmに増
加するに伴って増加し、それより厚い膜厚においては飽
和傾向を示した。
8nmの場合に、OR−Mrtは1.1以上の高い値を
とることがわかった。
は5nmに固定し、第2下地層(CrMo25)の膜厚
を1〜8nmまで変化させたことを除いて、実施例12
を繰り返した。第2下地層膜厚変化に対する磁気特性の
変化を図14に示す。図14(a)はMrt_Cir
の、図14(b)はHcrの、図14(c)はS’の、
そして図14(d)はOR−Mrtの第2下地層膜厚依
存性をそれぞれ示す。第2下地層が、0nmから2.5
nmに増加するにしたがって、OR−Mrtも増加傾向
を示し、それより厚い領域では減少傾向を示した。Mr
t,Hcr及びS’は第2下地層の膜厚の増加に伴い単
調に増加した。
nmの場合に、1.1以上のOR−Mrtを示すことが
わかった。
さ7nm)およびNiP28.6(厚さ21.5nm)
とし、下地層をCr(厚さ7.5nm)およびCrW
16(厚さ7.5nm)とし、シード層の最表層1.5
nmをAr+酸素の混合ガス雰囲気下の反応性スパッタ
により積層したことを除いて、実施例7を繰り返した。
本実施例においては、反応性スパッタ中の酸素濃度を変
化させた(酸素流量比の変化による)際の、磁気特性の
変化を調べた。反応スパッタ中の酸素濃度変化に対する
磁気特性の変化を図15に示す。図15(a)はMrt
_Cirの、図15(b)はHcrの、図15(c)は
S’の、そして図15(d)はOR−Mrtの反応スパ
ッタ中の酸素濃度依存性をそれぞれ示す。酸素流量比が
15%以上の場合に、OR−Mrtは1.05以上の値
を得ることができた。しかし、実施例7などにおけるよ
うなシード層形成後に酸素暴露を行った場合と比較し
て、各特性値は低めの値をとることがわかった。
oya製N10基板)を用い、押し付け圧力を83.4
kPa(0.85kgf/cm2)としたことを除い
て、実施例2と同様な基板加工をおこなった。成膜構成
をCrW16(厚さ2nm)およびNiP20(厚さ2
〜28nm)のシード層、ならびにCr(厚さ3.8n
m)およびCrMo25(厚さ2.5nm)の下地層を
用いたことを除いて、実施例1と同様な成膜を行った。
NiP20層の厚さに対する磁気特性の変化、すなわち
Mrt_Cir、Hcr、S’およびOR−Mrtをそ
れぞれ図16(a)、(b)、(c)および(d)に示
す。NiP20を用いた場合は2〜28nmの膜厚領域
で高いOR−Mrt(>1.4)、高いHcr(>27
1kA/m(3400Oe))および高いS’(>0.
8)が得られた。特に、NiP20層が17〜28nm
の膜厚を有する領域で極めて高いOR−Mrt(>1.
5)が得られた。
oya製N5基板)に対して、以下のような表面加工を
施した。 実施例16:押し付け圧力を83.4kPa(0.85
kgf/cm2)とした以外は、実施例1と同様の加工
を行った;および 実施例17:押し付け圧力を245kPa(2.5kg
f/cm2)とした以外は、実施例1と同様の加工を行
った。
ード層をNiP20(厚さ20nm)としたことを除い
て、実施例1の成膜手順を繰り返して、それぞれ実施例
16および実施例17の磁気記録媒体を作製した。さら
に、得られた磁気記録媒体を透過型電子顕微鏡(TE
M)により観察し、結晶の平均粒径(Mean)および
その標準偏差σを測定した。表10に、実施例16およ
び実施例17の磁気特性(Hcr,Mrt_Cir,
S’およびOR−Mrt)とTEM測定結果を示す。ま
た、実施例16および実施例17のTEM像を、それぞ
れ図17および図18に示す。実施例16および実施例
17は、Hcrについて約20kA/m(250Oe)
の差があるものの高いHcrを示した。また、いずれの
場合にも高いOR−Mrt(>1.4)および高いS’
(>0.8)が得られた。さらに、1μm当たりの溝数
に起因するOr−Mrt値が1.37から1.54へと
変化しても、結晶の平均粒径(Mean)およびその標
準偏差σには大きな違いは見られなかった。
記録媒体の製造方法において、ダイアモンド、酸化アル
ミニウム、酸化セリウム、シリコンカーバイト、コロイ
ダルシリカ等の砥粒を含むスラリーと極細繊維を織って
作った織布もしくはそれを起毛させた起毛布を加工布と
して、ガラス表面に直接テクスチャー加工を行うことに
より、ガラス表面に微細な凹凸の溝を形成でき、その基
板を用いて磁気記録媒体を作製することで、ガラス系材
料を用いた異方性磁気記録媒体が提供可能である。
行った基板に対して、シード層形成と下地層形成との間
に酸素含有混合ガスに対する暴露工程をさらに行うこと
によって、さらに望ましい磁気特性および電磁変換特性
を有する磁気記録媒体を提供することが可能となる。
を伴わないので、低コストで高記録密度対応の磁気記録
媒体を提供することが可能となる。
像(観察範囲1μm×1μm)を示す図である。
像(観察範囲1μm×1μm)を示す図である。
1μm)を示す図である。
像(観察範囲1μm×1μm)を示す図である。
像(観察範囲1μm×1μm)を示す図である。
磁気記録媒体の特性との関係を表すグラフであり、
(a)はテクスチャー加工時間と基板表面の1μm当た
りの溝数との関係を表すグラフであり、(b)はテクス
チャー加工時間と基板表面の1μm平方におけるRaと
の関係を表すグラフであり、および(c)はテクスチャ
ー加工時間と磁気記録媒体のOR−Mrtとの関係を表
すグラフである。
の磁気記録媒体の磁性層に関するX線回折プロファイル
を示す図である。
的なTEM観察像を示す図である。
的なTEM観察像を示す図である。
磁気特性の変化を示すグラフであり、(a)はMrt_
Cirの酸素流量比依存性、(b)はHcrの酸素流量
比依存性、(c)はS’の酸素流量比依存性、および
(d)はOR−Mrtの酸素流量比依存性を示すグラフ
である。
る磁気特性の変化を示すグラフであり、(a)はMrt
_Cirの酸素流量比依存性、(b)はHcrの酸素流
量比依存性、(c)はS’の酸素流量比依存性、および
(d)はOR−Mrtの酸素流量比依存性を示すグラフ
である。
する磁気特性の変化を示すグラフであり、(a)はMr
t_Cirのシード層膜厚依存性、(b)はHcrのシ
ード層膜厚依存性、(c)はS’のシード層膜厚依存
性、および(d)はOR−Mrtのシード層膜厚依存性
を示すグラフである。
対する磁気特性の変化を示すグラフであり、(a)はM
rt_Cirの第1下地層膜厚依存性、(b)はHcr
の第1下地層膜厚依存性、(c)はS’の第1下地層膜
厚依存性、および(d)はOR−Mrtの第1下地層膜
厚依存性を示すグラフである。
対する磁気特性の変化を示すグラフであり、(a)はM
rt_Cirの第2下地層膜厚依存性、(b)はHcr
の第2下地層膜厚依存性、(c)はS’の第2下地層膜
厚依存性、および(d)はOR−Mrtの第2下地層膜
厚依存性を示すグラフである。
濃度変化に対する磁気特性の変化を示すグラフであり、
(a)はMrt_Cirの反応性スパッタ時の酸素濃度
依存性、(b)はHcrの反応性スパッタ時の酸素濃度
依存性、(c)はS’の反応性スパッタ時の酸素濃度依
存性、および(d)はOR−Mrtの反応性スパッタ時
の酸素濃度依存性を示すグラフである。
に対する磁気特性の変化を示すグラフであり、(a)は
Mrt_Cirの変化、(b)はHcrの変化、(c)
はS’の変化、および(d)はOR−Mrtの変化を示
すグラフである。
EM像を示す図である。
EM像を示す図である。
Claims (22)
- 【請求項1】 ガラス系材料により形成される非磁性基
板の表面に直接テクスチャー加工を施して1μm平方当
たり5本以上の円周状の溝を形成し、その表面の中心線
平均粗さを0.2から1nmとするテクスチャー加工工
程と、 該テクスチャー加工を施した非磁性基板上に、NiPを
主とする材料からなるシード層をスパッタ法により成膜
するシード層成膜工程と、 該成膜されたシード層を酸素と不活性ガスとを含む混合
ガスに暴露する酸素含有混合ガス暴露工程と、 該酸素含有混合ガスに暴露されたシード層上に、Crま
たはCrに10原子%以下の第2元素を含むCrW合金
もしくはCrMo合金からなる膜厚3〜8nmの第1下
地層と、その上のCrに15原子%以上の第2元素を含
むCrW合金もしくはCrMo合金からなる膜厚1〜8
nmの第2下地層とからなる下地層をスパッタ法により
成膜する下地層成膜工程と、 該下地層上に、Coを主とする磁性材料からなる磁性層
をスパッタ法により成膜する磁性層成膜工程と、 該磁性層上に、保護層を成膜する保護層成膜工程とを具
えた磁気記録媒体の製造方法であって、該磁気記録媒体
の面内の半径方向残留磁化に対する該磁気記録媒体の面
内の円周方向残留磁化比を1.05以上とすることを特
徴とする磁気記録媒体の製造方法。 - 【請求項2】 ガラス系材料により形成される非磁性基
板の表面に直接テクスチャー加工を施して1μm平方当
たり5本以上の円周状の溝を形成し、その表面の中心線
平均粗さを0.2から1nmとするテクスチャー加工工
程と、 該テクスチャー加工を施した非磁性基板上に、Crまた
はCrWからなる第1のシード層と、その上のNiPを
主とする材料からなる第2のシード層とからなるシード
層をスパッタ法により成膜するシード層成膜工程と、 該成膜されたシード層を酸素と不活性ガスとを含む混合
ガスに暴露する酸素含有混合ガス暴露工程と、 該酸素含有混合ガスに暴露されたシード層上に、Crま
たはCrに10原子%以下の第2元素を含むCrW合金
もしくはCrMo合金からなる膜厚3〜8nmの第1下
地層と、その上のCrに15原子%以上の第2元素を含
むCrW合金もしくはCrMo合金からなる膜厚1〜8
nmの第2下地層とからなる下地層をスパッタ法により
成膜する下地層成膜工程と、 該下地層上に、Coを主とする磁性材料からなる磁性層
をスパッタ法により成膜する磁性層成膜工程と、 該磁性層上に、保護層を成膜する保護層成膜工程とを具
えた磁気記録媒体の製造方法であって、該磁気記録媒体
の面内の半径方向残留磁化に対する該磁気記録媒体の面
内の円周方向残留磁化比を1.05以上とすることを特
徴とする磁気記録媒体の製造方法。 - 【請求項3】 ガラス系材料により形成される非磁性基
板の表面に直接テクスチャー加工を施して1μm平方当
たり5本以上の円周状の溝を形成し、その表面の中心線
平均粗さを0.2から1nmとするテクスチャー加工工
程と、 該テクスチャー加工を施した非磁性基板上に、Crまた
はCrWからなる第1のシード層と、その上のNiPを
主とする材料からなる第2のシード層とからなるシード
層をスパッタ法により成膜するシード層成膜工程と、 該成膜されたシード層を酸素と不活性ガスとを含む混合
ガスに暴露する酸素含有混合ガス暴露工程と、 該酸素含有混合ガスに暴露されたシード層上に、Cr、
CrW合金またはCrMo合金からなる膜厚3〜10n
mの下地層をスパッタ法により成膜する下地層成膜工程
と、 該下地層上に、Coを主とする磁性材料からなる磁性層
をスパッタ法により成膜する磁性層成膜工程と、 該磁性層上に、保護層を成膜する保護層成膜工程とを具
えた磁気記録媒体の製造方法であって、該磁気記録媒体
の面内の半径方向残留磁化に対する該磁気記録媒体の面
内の円周方向残留磁化比を1.05以上とすることを特
徴とする磁気記録媒体の製造方法。 - 【請求項4】 ガラス系材料により形成される非磁性基
板の表面に直接テクスチャー加工を施して1μm平方当
たり5本以上の円周状の溝を形成し、その表面の中心線
平均粗さを0.2から1nmとするテクスチャー加工工
程と、 該テクスチャー加工を施した非磁性基板上に、NiPを
主とする材料からなるシード層をスパッタ法により成膜
するシード層成膜工程と、 該シード層成膜工程において、当該シード層の最表層を
不活性ガス中に酸素を含む混合ガス中での反応性スパッ
タにより成膜するシード層最表層成膜工程と、 該混合ガス中での反応性スパッタにより成膜されたシー
ド層最表層上に、CrまたはCrに10原子%以下の第
2元素を含むCrW合金もしくはCrMo合金からなる
膜厚3〜8nmの第1下地層と、その上のCrに15原
子%以上の第2元素を含むCrW合金もしくはCrMo
合金からなる膜厚1〜8nmの第2下地層とからなる下
地層をスパッタ法により成膜する下地層成膜工程と、 該下地層上に、Coを主とする磁性材料からなる磁性層
をスパッタ法により成膜する磁性層成膜工程と、 該磁性層上に、保護層を成膜する保護層成膜工程とを具
えた磁気記録媒体の製造方法であって、該磁気記録媒体
の面内の半径方向残留磁化に対する該磁気記録媒体の面
内の円周方向残留磁化比を1.05以上とすることを特
徴とする磁気記録媒体の製造方法。 - 【請求項5】 ガラス系材料により形成される非磁性基
板の表面に直接テクスチャー加工を施して1μm平方当
たり5本以上の円周状の溝を形成し、その表面の中心線
平均粗さを0.2から1nmとするテクスチャー加工工
程と、 該テクスチャー加工を施した非磁性基板上に、Crまた
はCrWからなる第1のシード層と、その上のNiPを
主とする材料からなる第2のシード層とからなるシード
層をスパッタ法により成膜するシード層成膜工程と、 該シード層成膜工程において、当該シード層の最表層を
不活性ガス中に酸素を含む混合ガス中での反応性スパッ
タにより成膜するシード層最表層成膜工程と、 該混合ガス中での反応性スパッタにより成膜されたシー
ド層最表層上に、CrまたはCrに10原子%以下の第
2元素を含むCrW合金もしくはCrMo合金からなる
膜厚3〜8nmの第1下地層と、その上のCrに15原
子%以上の第2元素を含むCrW合金もしくはCrMo
合金からなる膜厚1〜8nmの第2下地層とからなる下
地層をスパッタ法により成膜する下地層成膜工程と、 該下地層上に、Coを主とする磁性材料からなる磁性層
をスパッタ法により成膜する磁性層成膜工程と、 該磁性層上に、保護層を成膜する保護層成膜工程とを具
えた磁気記録媒体の製造方法であって、該磁気記録媒体
の面内の半径方向残留磁化に対する該磁気記録媒体の面
内の円周方向残留磁化比を1.05以上とすることを特
徴とする磁気記録媒体の製造方法。 - 【請求項6】 前記テクスチャー加工は、ウレタン、ポ
リエステルおよびナイロンからなる群から選択される材
料で構成されかつ研磨砥粒を含まない加工布を、9.8
kPa以上196kPa以下の圧力で前記非磁性基板に
押圧し、ダイアモンド、酸化アルミニウム、酸化セリウ
ム、シリコンカーバイトおよびコロイダルシリカからな
る群から選択される平均粒子径0.01μm以上2μm
以下の研磨砥粒を0.01質量%以上5質量%以下の濃
度で含んだスラリーを滴下しながら、当該非磁性基板を
当該加工布で摩擦することにより行うことを特徴とする
請求項1から5のいずれかに記載の磁気記録媒体の製造
方法。 - 【請求項7】 前記加工布として、直径10μm以下の
極細繊維を織って作製した織布、および該織布を起毛さ
せた起毛布からなる群から選択されるものを用いること
を特徴とする請求項6に記載の磁気記録媒体の製造方
法。 - 【請求項8】 前記混合ガスは、0.7体積%以上の酸
素を含むことを特徴とする請求項1から3のいずれかに
記載の磁気記録媒体の製造方法。 - 【請求項9】 前記混合ガスは、2体積%以上の空気を
含むことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載
の磁気記録媒体の製造方法。 - 【請求項10】 前記混合ガスは、1.6体積%以上の
窒素と0.4体積%以上の酸素を含むことを特徴とする
請求項1から3のいずれかに記載の磁気記録媒体の製造
方法。 - 【請求項11】 前記シード層最表層成膜工程は、前記
シード層の表面から深さ0.8〜3nmまでの部分を、
不活性ガス中に1%以上の酸素を含む混合ガス中での反
応性スパッタにより成膜する工程からなることを特徴と
する請求項4または5に記載の磁気記録媒体の製造方
法。 - 【請求項12】 前記シード層最表層成膜工程は、前記
シード層の表面から深さ0.8〜3nmまでの部分を、
不活性ガス中に3%以上の空気を含む混合ガス中での反
応性スパッタにより成膜する工程からなることを特徴と
する請求項4または5に記載の磁気記録媒体の製造方
法。 - 【請求項13】 前記シード層最表層成膜工程は、前記
シード層の表面から深さ0.8〜3nmまでの部分を、
不活性ガス中に2.4%以上の窒素と0.6%以上の酸
素とを含む混合ガス中での反応性スパッタにより成膜す
る工程からなることを特徴とする請求項4または5に記
載の磁気記録媒体の製造方法。 - 【請求項14】 前記NiPは、19から33原子%の
Pを含むことを特徴とする請求項1から5のいずれかに
記載の磁気記録媒体の製造方法。 - 【請求項15】 前記テクスチャー加工を施した非磁性
基板は、その表面に1μm平方当たり5本以上100本
以下の前記円周状の溝を有することを特徴とする請求項
1から5のいずれかに記載の磁気記録媒体の製造方法。 - 【請求項16】 前記テクスチャー加工を施した非磁性
基板は、その表面に1μm平方当たり25〜60本の前
記円周状の溝を有することを特徴とする請求項1から5
のいずれかに記載の磁気記録媒体の製造方法。 - 【請求項17】 ガラス系材料からなり、その表面に直
接テクスチャー加工を施されて1μm平方当たり5本以
上の円周状の溝が形成され、その表面の中心線平均粗さ
が0.2から1nmである非磁性基板と、 該非磁性基板上にスパッタ法により成膜され、かつ表面
が酸素と不活性ガスとを含む混合ガスに暴露されてなる
NiPを主とする材料からなるシード層と、 CrまたはCrに10原子%以下の第2元素を含むCr
W合金もしくはCrMo合金からなる膜厚3〜8nmの
第1下地層と、その上のCrに15原子%以上の第2元
素を含むCrW合金もしくはCrMo合金からなる膜厚
1〜8nmの第2下地層とが前記シード層上にスパッタ
法により成膜されてなる下地層と、 該下地層上にスパッタ法により成膜されたCoを主とす
る磁性材料からなる磁性層と、 該磁性層上に成膜されてなる保護層とを具えた磁気記録
媒体であって、該磁気記録媒体の面内の半径方向残留磁
化に対する該磁気記録媒体の面内の円周方向残留磁化比
が1.05以上であることを特徴とする磁気記録媒体。 - 【請求項18】 ガラス系材料からなり、その表面に直
接テクスチャー加工を施されて1μm平方当たり5本以
上の円周状の溝が形成され、その表面の中心線平均粗さ
が0.2から1nmである非磁性基板と、 CrまたはCrWからなる第1のシード層とその上のN
iPを主とする材料からなる第2のシード層とが前記非
磁性基板上にスパッタ法により成膜され、かつ表面が酸
素と不活性ガスとを含む混合ガスに暴露されてなるシー
ド層と、 CrまたはCrに10原子%以下の第2元素を含むCr
W合金もしくはCrMo合金からなる膜厚3〜8nmの
第1下地層と、その上のCrに15原子%以上の第2元
素を含むCrW合金もしくはCrMo合金からなる膜厚
1〜8nmの第2下地層とが前記シード層上にスパッタ
法により成膜されてなる下地層と、 該下地層上にスパッタ法により成膜されたCoを主とす
る磁性材料からなる磁性層と、 該磁性層上に成膜されてなる保護層とを具えた磁気記録
媒体であって、該磁気記録媒体の面内の半径方向残留磁
化に対する該磁気記録媒体の面内の円周方向残留磁化比
が1.05以上であることを特徴とする磁気記録媒体。 - 【請求項19】 ガラス系材料からなり、その表面に直
接テクスチャー加工を施されて1μm平方当たり5本以
上の円周状の溝が形成され、その表面の中心線平均粗さ
が0.2から1nmである非磁性基板と、 CrまたはCrWからなる第1のシード層とその上のN
iPを主とする材料からなる第2のシード層とが前記非
磁性基板上にスパッタ法により成膜され、かつ表面が酸
素と不活性ガスとを含む混合ガスに暴露されてなるシー
ド層と、 該シード層上にスパッタ法により成膜されたCr、Cr
W合金またはCrMo合金からなる膜厚3〜10nmの
下地層と、 該下地層上にスパッタ法により成膜されたCoを主とす
る磁性材料からなる磁性層と、 該磁性層上に成膜されてなる保護層とを具えた磁気記録
媒体であって、該磁気記録媒体の面内の半径方向残留磁
化に対する該磁気記録媒体の面内の円周方向残留磁化比
が1.05以上であることを特徴とする磁気記録媒体。 - 【請求項20】 前記NiPは、19から33原子%の
Pを含むことを特徴とする請求項17から19のいずれ
かに記載の磁気記録媒体。 - 【請求項21】 前記テクスチャー加工を施した非磁性
基板は、その表面に1μm平方当たり5本以上100本
以下の前記円周状の溝を有することを特徴とする請求項
17から19のいずれかに記載の磁気記録媒体。 - 【請求項22】 前記テクスチャー加工を施した非磁性
基板は、その表面に1μm平方当たり25〜60本の前
記円周状の溝を有することを特徴とする請求項16から
18のいずれかに記載の磁気記録媒体。
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