JP3470772B2 - プロピレン系樹脂組成物 - Google Patents

プロピレン系樹脂組成物

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JP3470772B2 JP31302694A JP31302694A JP3470772B2 JP 3470772 B2 JP3470772 B2 JP 3470772B2 JP 31302694 A JP31302694 A JP 31302694A JP 31302694 A JP31302694 A JP 31302694A JP 3470772 B2 JP3470772 B2 JP 3470772B2
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、塗装性に優れたプロピ
レン系樹脂組成物に関する。さらに詳しくは1,1,1
−トリクロロエタンによる前洗浄工程を省略することの
可能な塗装性の改良されたプロピレン系樹脂組成物に関
する。 【0002】 【従来の技術】近年、ポリプロピレンにポリオレフィン
系軟質樹脂を配合した樹脂組成物が自動車用バンパー、
マッドガード、インパネ用表皮材等に利用されている。
ポリオレフィン系軟質樹脂としては種々のものが提案さ
れており、例えば、特開平4−85487号公報には、
ポリブテン成分、ポリプロピレン成分およびプロピレン
−エチレン共重合体成分を含んでなるプロピレン系ブロ
ック共重合体が、重合により一挙に製造でき、また、重
合により得られた粒子の流動性に優れていることが示さ
れている。また、特開平4−141334号公報には、
上記のプロピレン系ブロック共重合体を有機過酸化物と
溶融混練した分解生成物をプロピレンに配合したプロピ
レン系樹脂組成物が、優れた剛性と耐衝撃性を兼ね備
え、加工性および品質安定性に優れていることが示され
ている。 【0003】このようなプロピレン系樹脂組成物をバン
パー、マッドガード等に適用する際、表面の保護、彩色
といった目的のため、塗装が施されることが多い。しか
し、一般にポリオレフィン系樹脂は非極性の材料であり
塗料との親和性が低いため、通常は1,1,1−トリク
ロロエタン(以下、TCEと略称する。)蒸気により洗
浄し、次いで塩素化ポリオレフィンのようなプライマー
で処理した後、塗装されている。TCEによる前洗浄を
行うことなくプライマー処理後塗装を行っても、塗装性
の指標の一つである塗膜剥離強度は充分な値を示さな
い。このため、TCEによる前洗浄は必要不可欠とされ
ていた。しかしながら、このTCEによる前洗浄は工程
上大きな負担であるとともに、TCE自体が1995年
中に全廃されることが決定されているため、早急にTC
E前洗浄を必要としない技術の開発が求められてる。 【0004】TCEによる前洗浄を必要としないポリオ
レフィン系樹脂組成物としては、これまでに、ポリオレ
フィン系樹脂と、ポリオレフィン系樹脂を不飽和カルボ
ン酸等の極性基を持つ単量体で変性した変性ポリオレフ
ィン系樹脂との混合物が数多く提案されている。しか
し、このような混合物としてもその成形品の塗装性は充
分なものではなかった。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】以上の背景にあって本
発明は、TCEによる前洗浄工程を省略しても充分な塗
装性を有する成形体を得ることのできるプロピレン系樹
脂組成物を提供することを目的とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために鋭意研究を重ねた結果、メルトインデ
ックスの小さいプロピレン系ブロック共重合体に、不飽
和カルボン酸若しくはその無水物またはそれらの誘導体
で変性した変性ポリオレフィン系樹脂であって特定の分
子量を有するものを配合することにより、TCEによる
前洗浄工程を行わずとも高い塗装性を有するプロピレン
系樹脂組成物が得られることを見いだし、本発明を完成
するに至った。 【0007】即ち、本発明は、(A)ポリプロピレン成
分、及びプロピレン−エチレンランダム共重合体成分を
含むブロック共重合体であって、ポリプロピレン成分が
1〜70重量%、プロピレン−エチレンランダム共重合
体成分が99〜30重量%であり、該プロピレン−エチ
レンランダム共重合体成分はエチレンに基づく単量体単
位を10〜80モル%、プロピレンに基づく単量体単位
を90〜20モル%含むランダム共重合体で構成されて
なり、メルトインデックスが0.2〜4.0g/10m
inのプロピレン系ブロック共重合体 70〜99.5
重量%、(B)不飽和カルボン酸若しくはその無水物ま
たはそれらの誘導体により変性され、且つ数平均分子量
が1000〜20000である変性ポリオレフィン系樹
脂30〜0.5重量%よりなるプロピレン系樹脂組成物
である。 【0008】本発明のプロピレン系樹脂組成物の(A)
成分は、特定のプロピレン系ブロック共重合体である。
ここで、プロピレン系ブロック共重合体(以下、単に
「ブロック共重合体」と略称する。)は、ポリプロピレ
ン成分及びプロピレン−エチレン共重合体成分よりな
る。 【0009】本発明で使用するブロック共重合体におけ
るポリプロピレン成分およびプロピレン−エチレンラン
ダム共重合体成分それぞれの成分割合は、ポリプロピレ
ン成分が1〜70重量%、プロピレン−エチレンランダ
ム共重合体成分が99〜30重量%である。 【0010】プロピレン成分が1重量%よりも少ないと
ブロック共重合体からなる成形品の強度及び耐熱性が低
下する。ポリプロピレン成分の割合が70重量%を越え
ると、成形品の耐衝撃性が低下し好ましくない。ポリプ
ロピレン成分は、機械的強度、耐熱性および耐衝撃性等
を勘案すると、3〜60重量%の範囲であることが好ま
しい。 【0011】さらに、エチレン−プロピレンランダム共
重合体成分は30〜99重量%である。上記成分が30
重量%未満のときは耐衝撃性に劣り、99重量%を超え
ると、成形品の強度及び耐熱性などの機械的物性に劣り
好ましくない。エチレン−プロピレンランダム共重合体
成分は耐衝撃性や強度、耐熱性を勘案すると、40〜9
7重量%の範囲であることが好ましい。 【0012】プロピレン−エチレンランダム共重合体成
分中におけるエチレンに基づく単量体単位及びプロピレ
ンに基づく単量体単位のそれぞれの含有割合は、エチレ
ンに基づく単量体単位10〜80モル%、好ましくは1
5〜60モル%である。プロピレンに基づく単量体単位
は90〜20モル%、好ましくは85〜40モル%であ
る。エチレンに基づく単量体単位の含有割合が10モル
%未満であり、プロピレンに基づく単量体単位の含有割
合が90モル%を越える場合、成形品の柔軟性及び耐衝
撃性が十分でなくなり好ましくない。一方、エチレンに
基づく単量体単位の含有割合が80モル%を越え、プロ
ピレンに基づく単量体単位の含有割合が20モル%未満
である場合、成形品の強度及び耐熱性が十分でなくなり
好ましくない。 【0013】本発明におけるブロック共重合体中には、
ブロック共重合体粒子の粒子性状を良好とするためにブ
ロック成分としてポリブテン成分が含まれていることが
好ましい。特に、ポリプロピレン成分の含量が少ないと
き、例えば、30重量%以下のときには得られる共重合
体粒子が粘着しやすくなるが、そのようなときにもポリ
ブテン成分の存在により、良好な流動性の共重合体粒子
とすることができる。ポリブテン成分は0.01〜5重
量%の範囲で含まれていることが好ましく、さらに良好
な流動性を勘案すると0.04〜3重量%の範囲が好ま
しい。 【0014】本発明で使用するブロック共重合体中にポ
リブテン成分が含まれているときは、ポリブテン成分
は、ブロック共重合体の粒子の固結防止、高温時の流動
性を良好にするためには、アイソタクティシティが0.
90以上であることが好ましい。ポリ1−ブテンのアイ
ソタクティシティは13C−NMRにより測定を行い、ポ
リマー・ジャーナル(Polymer J.)第16巻
(1984年)716〜726頁に基づいて帰属を行っ
たときのmmの値である。 【0015】本発明で使用するブロック共重合体には、
ポリプロピレン成分、プロピレン−エチレンランダム共
重合体成分のいづれかひとつ以上に、プロピレン系樹脂
組成物の物性を阻害しない限り、他のα−オレフィンが
少量、例えば5モル%以下の範囲で共重合されて含まれ
ていてもよい。 【0016】本発明で使用するブロック共重合体は、ポ
リプロピレン成分及びプロピレン−エチレンランダム共
重合体成分が一分子鎖中に配列したいわゆるブロック共
重合体の分子鎖と、ポリプロピレン成分及びプロピレン
−エチレンランダム共重合体成分のそれぞれ単独よりな
る分子鎖とが機械的な混合では達成できない程度にミク
ロに混合しているものと考えられる。 【0017】本発明で使用するブロック共重合体は、重
合により流動性に優れた粉状体で得られる。これは、本
発明で使用するブロック共重合体と同様のエチレン含量
である従来のプロピレン−エチレンランダム共重合体が
粒子同士の粘着により、塊状で得られることを考えると
驚異的なことである。 【0018】ブロック共重合体を粉状で得るためには、
低分子量の成分量を少なくすることが好ましい。本発明
におけるブロック共重合体は、ゲルパーミェーションク
ロマトグラフィー(以下、「GPC」と略称する。)で
測定した溶出曲線において、分子量1万以下の成分の割
合を通常1.0重量%以下、好ましくは0.6重量%以
下とすることで粉状を保持しうる。そして、ブロック共
重合体の低分子量の成分を少なくする方法の一つは、相
対的に重量平均分子量を高めることによって達成しう
る。重合により得られたブロック共重合体の重量平均分
子量は、通常、60万以上、さらに80万以上、好まし
くは100万以上、より好ましくは130〜700万、
最も好ましくは150〜300万である。尚、本発明に
おける重量平均分子量は、GPCにより測定され、ポリ
スチレンで求められた検量線を基に換算された値であ
る。 【0019】本発明で使用するブロック共重合体はいか
なる方法によって得てもよいが、特開平5−28703
5号公報等に詳述されてた方法に準じて製造するのが好
ましい。 【0020】本発明で使用されるブロック共重合体は、
一般には重合で上記したような比較的高い分子量のもの
を製造し、その後有機過酸化物により分解して所定のメ
ルトインデックス(以下、MIと略称する。)に調整す
る方法を好適に採用できる。この分解処理は、上記ブロ
ック共重合体と有機過酸化物とを溶融混練することによ
り容易に達成される。有機過酸化物としては公知の化合
物を何等制限なく用いうるが、代表的なものを例示する
と、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド、メチ
ルイソブチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノン
パーオキサイド等のケトンパーオキサイド;イソブチリ
ルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾ
イルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド;ジイ
ソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド等のハイド
ロパーオキサイド;ジクミルパーオキサイド、2,5−
ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキ
サン、1,3−ビス−(t−ブチルパーオキシ−イソプ
ロピル)−ベンゼン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、
2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキ
シ)−ヘキサン−3等のジアルキルパーオキサイド;
1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリ
メチルシクロヘキサン、2,2−ジ−(t−ブチルパー
オキシ)−ブタン等のパーオキシケタール;t−ブチル
パーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシベンゾエ
ート等のアルキルパーエステル;t−ブチルパーオキシ
イソプロピルカーボネート等のパーカーボネート類等を
挙げることができる。 【0021】上記した有機過酸化物の配合量は特に制限
されないが、一般には、ブロック共重合体100重量部
に対して、0.001〜3重量部、さらに0.002〜
1重量部の範囲であることが好ましい。 【0022】上記したブロック共重合体と有機過酸化物
の混練は、一般には、ブロック共重合体の融点且つ有機
過酸化物の分解温度以上の温度で公知の混練装置を使用
して行われる。例えば、スクリュー押出機、バンバリー
ミキサー、ミキシングロールなどを用いて、160〜3
30℃、好ましくは、170〜300℃で混練する方法
を採用することができる。また、溶融混練は、窒素ガス
などの不活性ガス気流下で行うこともできる。なお、溶
融混練前に公知の混合装置、例えば、タンブラー、ヘン
シェルミキサー等を使用して予備混合を行うこともでき
る。 【0023】本発明における(A)成分は、上記のブロ
ック共重合体であって、MIが0.2〜4.0g/10
minに調整されたものでなければならず、より塗装性
の優れたプロピレン系樹脂組成物とするためには0.4
〜2.5g/10minとなるように調整されたもので
あることが好ましい。MIが0.2g/10min未満
の場合には得られるプロピレン系樹脂組成物の流動性が
乏しく、成形性が悪くなる。また、MIが4.0g/1
0minを超える場合は、十分な塗装性が得られず好ま
しくない。 【0024】次に、本発明のプロピレン系樹脂組成物の
(B)成分は、不飽和カルボン酸若しくはその無水物ま
たはそれらの誘導体により変性された数平均分子量10
00〜20000である変性ポリオレフィン系樹脂であ
る。ここで、不飽和カルボン酸またはその無水物(以
下、変性剤と略称する。)とは、分子中にラジカル重合
可能な不飽和結合を1個以上と、カルボキシル基または
酸無水物基の少なくとも一方を1個以上有する化合物で
ある。具体的には、例えば、アクリル酸、メタクリル
酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン
酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水イタコン
酸などを挙げることができ、これらを単独であるいは組
み合わせて用いることができる。これらの中では、特に
無水マレイン酸、無水イタコン酸が好適に使用される。 【0025】また、不飽和カルボン酸またはその無水物
の誘導体とは、上記不飽和カルボン酸またはその無水物
が有するカルボキシル基または酸無水物基に、これらの
官能基と反応可能な化合物(以下、誘導剤と略称す
る。)が反応した化合物である。誘導剤としては、具体
的には例えば、1−デカノール、1−ドデカノール等の
アルコール類、1,6−ヘキサンジオール、1,10−
デカンジオール等のジオール類、1−アミノヘキサン、
1−アミノデカン等のアミン類、1,6−ヘキサメチレ
ンジアミン、1,10−デカメチレンジアミン等のジア
ミン類、6−アミノカプロン酸、12−アミノドデカン
酸等のアミノ酸類、5−アミノ−1−ペンタノール、6
−アミノ−1−ヘキサノール等のアミノアルコール類、
12−ヒドロキシステアリン酸、16−ヒドロキシヘキ
サデカン酸等が挙げられる。これらの内、特に、アミノ
アルコール類が好適に使用される。これらの誘導剤は、
あらかじめ不飽和カルボン酸またはその無水物と反応さ
せ、得られた誘導体を用いて後述のような方法で樹脂を
変性しても良く、または、まず不飽和カルボン酸または
その無水物で樹脂を変性した後、誘導剤を反応させ誘導
体としても良い。 【0026】これらの不飽和カルボン酸若しくはその無
水物またはそれらの誘導体で変性されるポリオレフィン
系樹脂は特に制限されないが、通常はプロピレン単独重
合体またはエチレンに基づく単量体単位の含有量が10
モル%以下であるエチレン−プロピレン共重合体が好適
に使用できる。また、これらの樹脂は、熱分解法により
低分子量物に分解した後変性しても良い。 【0027】変性ポリオレフィン系樹脂の不飽和カルボ
ン酸若しくはその無水物またはそれらの誘導体での変性
量は特に制限されないが、得られるプロピレン系樹脂組
成物の塗装性および実用的に変性可能な範囲を考慮する
と、0.01〜1.2mmol/gの範囲であることが
好適である。 【0028】また、変性ポリオレフィン系樹脂の数平均
分子量は1000〜20000でなければならず、さら
には1500〜17000であることが、得られるプロ
ピレン系樹脂組成物の塗装性をより向上させることがで
きるために好適である。数平均分子量が1000未満の
場合、または20000を超える場合はいずれも十分な
塗装性が得られず好ましくない。 【0029】変性ポリオレフィン系樹脂の調製方法は特
に制限されず、種々の公知の方法が挙げられる。例え
ば、上記したポリオレフィン系樹脂を有機溶媒に溶解
し、有機過酸化物および上記変性剤を添加し、加熱攪拌
して変性する方法、あるいは、ポリオレフィン系樹脂、
有機過酸化物、変性剤をヘンシェルミキサー等で予め混
合した後、通常の2軸押し出し機や単軸押し出し機、バ
ンバリーミキサー等の混練機で加熱混練する方法などを
挙げることができる。変性時の温度は、用いる樹脂や有
機過酸化物の種類によって異なるが、一般的には100
〜280℃の間である。 【0030】この時の変性剤の配合量は、上記した変性
量とするためには、変性すべき樹脂100重量部に対し
0.2〜12重量部、好ましくは0.5〜5.0重量部
とすることが好ましい。また、有機過酸化物としては公
知の化合物を何等制限なく用いうるが、具体的には前記
ブロック共重合体の分解処理に用いられるものが挙げら
れる。有機過酸化物の配合量は、変性剤の導入量を上記
範囲とし、また、変性すべき樹脂自体の分解の進みすぎ
を防止するために、変性すべき樹脂100重量部に対し
0.01〜3.0重量部、好ましくは0.1〜2.0重
量部である。 【0031】本発明のプロピレン系樹脂組成物の前記し
た(A)成分および(B)成分の配合量は、両成分の合
計量を100重量%としたとき(A)成分が70〜9
9.5重量%、(B)成分が30〜0.5重量%でなけ
ればならない。(A)成分が99.5重量%を超え、
(B)成分が0.5重量%未満では十分な塗装性が得ら
れず、(A)成分が70重量%未満で(B)成分が30
重量%を超える場合には塗装性が十分でなく、また耐衝
撃性等の物性が低下し好ましくない。これら両成分の配
合量は、得られるプロピレン系樹脂組成物全体に占める
変性剤の量に応じて決定することが好ましく、一般に
は、上記変性剤の含有量が5×10-5〜0.3mmol
/g、好ましくは1×10-3〜0.2mmol/g、さ
らには3×10-2〜0.2mmol/gとなるように配
合することが好ましい。 【0032】上記の(A)、(B)両成分の混合は、前
記したブロック共重合体と有機過酸化物との溶融混練方
法をそのまま採用することができる。 【0033】さらに、本発明で得られたプロピレン系樹
脂組成物には、エチレン−プロピレンランダム共重合体
やポリエチレンなどの熱可塑性樹脂や、適宜公知の添加
剤、例えば、酸化防止剤、光安定剤、帯電防止剤等を混
合しても良い。 【0034】 【発明の効果】本発明のプロピレン系樹脂組成物は、T
CEによる前洗浄を行うことなく塗装したときに、優れ
た塗装性を有する成形品とすることができ、このため、
従来、プロピレン系樹脂の使用されて来た分野で塗装の
必要がある分野に適用された場合、TCE前洗浄工程の
省略によるコスト削減、環境汚染の防止等に大きく寄与
する。したがって、本発明のプロピレン系樹脂組成物
は、バンパー、マッドガード、インパネ用表皮材等の自
動車部品、あるいは各種家電部品等の分野において好適
に用いることができる。 【0035】 【実施例】以下、本発明を実施例及び比較例を掲げて説
明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるもので
はない。 【0036】以下の実施例において用いた測定方法につ
いて説明する。 【0037】1)重量平均分子量、数平均分子量、分子
量1万以下の割合は、GPC(ゲルパーミェーションク
ロマトグラフィー)法により測定した。ウォーターズ社
製GPC−150CによりO−ジクロルベンゼンを溶媒
とし、135℃で行った。用いたカラムは、東ソー製T
SK gel GMH6−HT、ゲルサイズ10〜15
μmである。較正曲線は標準試料として重量平均分子量
が950、2900、1万、5万、49.8万、270
万、675万のポリスチレンを用いて作成した。 【0038】2)プロピレン−エチレンランダム共重合
体成分におけるエチレンに基づく単量体単位及びプロピ
レンに基づく単量体単位のそれぞれの割合の測定方法及
びポリブテン成分の割合の測定方法13 C−NMRスペクトルのチャートを用いて算出した。
即ち、プロピレン−エチレンランダム共重合体成分にお
けるエチレンに基づく単量体単位及びプロピレンに基づ
く単量体単位のそれぞれの割合は、まず、ポリマー(P
olymer)第29巻(1988年)1848頁に記
載された方法により、ピークの帰属を決定し、次にマク
ロモレキュールズ(Macromolecules)第
10巻(1977年)773頁に記載された方法によ
り、エチレンに基づく単量体単位及びプロピレンに基づ
く単量体単位のそれぞれの割合を算出した。 【0039】次いで、プロピレンに基づいて単量体単位
中のメチル炭素に起因するピークと、ポリブテン成分中
のメチル炭素に起因するピークとの積分強度比からポリ
ブテン成分の重量と割合を算出した。 【0040】3)ポリ1−ブテンのアイソタクティシィ
ティーの測定13 C−NMRにより測定を行い、ポリマー・ジャーナル
(Polymer J.)第16巻(1984年)71
6〜726頁に基づいて行った。 【0041】4)MI JIS K7210に準じて測定した。 【0042】5)変性ポリオレフィン系樹脂中に含まれ
るカルボニル基の定量 変性ポリオレフィン系樹脂をp−キシレンに溶解させた
後、アセトンで再沈澱・精製した。沈澱をろ過後、減圧
乾燥し、所定の方法でIR測定をした。得られた吸収特
性からカルボニル基について求めた検量線を用いて求め
た。 【0043】6)塗膜剥離強度 射出成形により、60mm×60mm×2mm(厚み)
の成形品を作成し、温度23℃、相対湿度50%で48
時間以上放置した。この成形品にスプレーガンを用い、
日本ビーケミカル製プライマーRB−157を厚み10
〜15μmで塗布し、室温で5分間放置した。次いで、
日本ビーケミカル製上塗り塗料R−271を厚み30〜
35μmで塗布し、室温で10分間放置した後、温度9
0℃に調整されたオーブン内で30分間焼き付け処理を
行った。 【0044】塗装した成形品を温度23℃、相対湿度5
0%で48時間放置した後、塗膜に幅10mmの切れ込
みをいれ、オートグラフで剥離速度50mm/min、
180度剥離で塗膜剥離強度を測定した。 【0045】尚、実施例では以下に示す変性ポリオレフ
ィン系樹脂を用いた。 【0046】◎ 変性ポリオレフィン系樹脂(1):無
水マレイン酸のアミノアルコール誘導体変性プロピレン
オリゴマー(三洋化成製ユーメックス1210、無水マ
レイン酸誘導体含有量0.49mmol/g、数平均分
子量4000) ◎ 変性ポリオレフィン系樹脂(2):無水マレイン酸
変性プロピレンオリゴマー(三洋化成製ユーメックス1
001、無水マレイン酸含有量0.24mmol/g、
数平均分子量15000) ◎ 変性ポリオレフィン系樹脂(3):無水マレイン酸
変性プロピレンオリゴマー(三洋化成製ユーメックス1
010、無水マレイン酸含有量0.47mmol/g、
数平均分子量4000) また、ブロック共重合体は以下の製造例1〜4で製造し
たものを用いた。 【0047】製造例1 (予備重合)攪拌機を備えた内容積1リットルのガラス
製オートクレーブ反応器を窒素ガスで十分に置換した
後、ヘプタン400mlを装入した。反応器内温度を2
0℃に保ち、ジエチレングリコールジメチルエーテル
0.18mmol、ヨウ化エチル22.7mmol、ジ
エチルアルミニウムクロライド18.5mmol、及び
三塩化チタン(丸紅ソルベイ化学社製「TOS−1
7」)22.7mmolを加えた後、プロピレンを三塩
化チタン1g当たり3gとなるように30分間連続的に
反応器に導入した。なお、この間の温度は20℃に保持
した。プロピレンの供給を停止した後、反応器内を窒素
ガスで十分に置換し、得られたチタン含有ポリプロピレ
ンを精製ヘプタンで4回洗浄した。分析の結果、三塩化
チタン1g当たり2.9gのプロピレンが重合されてい
た。 【0048】(本重合) 工程1:1−ブテンの重合 攪拌機を備えた内容量1リットルのステンレス製オート
クレーブ反応器を窒素ガスで十分に置換した後、ヘプタ
ン400mlを装入した。反応器内温度を20℃に保
ち、ジエチルアルミニウムクロライド18.15mmo
l、ジエチレングリコールジメチルエーテル0.18m
mol、ヨウ化エチル22.7mmol、予備重合で得
られたチタン含有ポリプロピレンを三塩化チタンとして
22.7mmolを加えた後、1−ブテンを三塩化チタ
ン1g当たり15gとなるように2時間連続的に反応器
に導入した。なお、この間の温度は20℃に保持した。
1−ブテンの供給を停止した後、反応器内を窒素ガスで
置換し、チタン含有ポリ1−ブテン重合体を得た。分析
の結果、三塩化チタン1g当たり14gの1−ブテンが
重合されていた。 【0049】工程2:プロピレンの重合及びプロピレン
エチレンの共重合 N2置換を施した2リットルのオートクレーブに、液体
プロピレンを1リットル、ジエチルアルミニウムクロラ
イド0.70mmolを加え、オートクレーブの内温を
70℃に昇温した。チタン含有ポリ1−ブテン重合体を
三塩化チタンとして0.087mmol加え、60℃で
30分間のプロピレンの重合を行った。この間水素は用
いなかった。次いでオートクレーブの内温を急激に55
℃に降温すると同時にエチルアルミニウムセスキエトキ
シド(EtAl(OEt)2)0.50mmol及びメ
タクリル酸メチル0.014mmolの混合溶液を加
え、エチレンを供給し、気相中のエチレンガス濃度が1
5mol%となるようにし、55℃で120分間のプロ
ピレンとエチレンの共重合を行った。この間のエチレン
ガス濃度はガスクロマトグラフで確認しながら15mo
l%を保持した。この間水素は用いなかった。重合終了
後、未反応モノマーをパージし、粒子性の重合体を得
た。重合槽内及び攪拌羽根への付着は全く認められなか
った。全重合体の重合倍率は6900g−ポリマー/g
−三塩化チタンであった。 【0050】また別に上記のプロピレンだけの重合を行
った結果、上記60℃、30分間で、三塩化チタン1g
当たり540gのプロピレンが重合されていた。この結
果、ブロック共重合体中のポリブテン成分は0.20重
量%、及びポリプロピレン成分は7.8重量%であるこ
とがわかる。結果を表1に示した。 【0051】次に、得られた重合体30kgに、有機過
酸化物として1,3−ビス−(t−ブチルパーオキシイ
ソプロピル)ベンゼンを表2に示す割合で添加し、ま
た、酸化防止剤を0.1phr添加し、ヘンシェルミキ
サーで3分間混合した後、φ65mm単軸押出機で23
0℃の条件で溶融混練し、表2に示したペレットを得
た。 【0052】製造例2 製造例1のプロピレンの重合に於いて、プロピレンの重
合を70℃で60分間とした以外は製造例1と同様の操
作を行った。別途の重合実験でこの時のプロピレンの重
合倍率は1030g−PP/g−三塩化チタンであっ
た。結果を表1に示した。さらに、製造例1と同様にし
て表2に示した量の有機過酸化物と溶融混練した。 【0053】製造例3 製造例1の1−ブテンの重合において1−ブテンの導入
量を三塩化チタン1g当り50gとし、さらにプロピレ
ンの重合に於いてプロピレンの重合を70℃で60分間
とし、プロピレンとエチレンの共重合を気相中のエチレ
ンガス濃度が7.0mol%となるように行った以外は
製造例1と同様の操作を行った。結果を表1に示した。
さらに、製造例1と同様にして表2に示した量の有機過
酸化物と溶融混練した。 【0054】製造例4 製造例1のプロピレンの重合に於いて、プロピレンの重
合を70℃で3時間とし、プロピレンとエチレンの共重
合を55℃で90分間行った以外は製造例1と同様の操
作を行った。別途の重合実験でこの時のプロピレンの重
合倍率は3000g−PP/g−三塩化チタンであっ
た。結果を表1に示した。さらに、製造例1と同様にし
て表2に示した量の有機過酸化物と溶融混練した。 【0055】比較製造例1 製造例1と同様にしてブロック共重合体を得た後、有機
過酸化物の添加量を変え、製造例1と同様にして表2に
示した分解生成物のペレットを得た。 【0056】比較製造例2 製造例1のプロピレンの重合に於いて、プロピレンの重
合を70℃で5時間とし、プロピレンとエチレンの共重
合を55℃で60分間行った以外は製造例1と同様の操
作を行った。別途の重合実験でこの時のプロピレンの重
合倍率は5100g−PP/g−三塩化チタンであっ
た。結果を表1に示した。さらに、製造例1と同様にし
て表2に示した量の有機過酸化物と溶融混練した。 【0057】 【表1】 【0058】 【表2】 【0059】実施例1〜7 製造例1〜4で得られたブロック共重合体と、変性ポリ
オレフィン系樹脂を表3に示す割合で3分間ヘンシェル
ミキサーで混合し、φ30mmベント付き2軸押出機で
220℃の条件で溶融混練した。得られたプロピレン系
樹脂組成物を50トン射出成形機を用いて塗装用試験片
に成形し、塗装し、塗膜剥離強度を測定した。結果を表
3に示した。 【0060】比較例1〜6 製造例1〜4で得られたブロック共重合体に前記変性ポ
リオレフィン系樹脂を添加することなく、または、比較
製造例1、2で得られたブロック共重合体に前記変性プ
ロピレン系樹脂を配合し実施例と同様にして得られた樹
脂組成物の塗装性を評価した。配合割合、および塗膜剥
離強度を表3に示した。 【0061】 【表3】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−320438(JP,A) 特開 平6−155503(JP,A) 特開 平6−128432(JP,A) 特開 平7−126455(JP,A) 特開 平8−165403(JP,A) 特開 平8−165402(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 53/00 C08L 51/06

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】(A)ポリプロピレン成分、及びプロピレ
    ン−エチレンランダム共重合体成分を含むブロック共重
    合体であって、ポリプロピレン成分が1〜70重量%、
    プロピレン−エチレンランダム共重合体成分が99〜3
    0重量%であり、該プロピレン−エチレンランダム共重
    合体成分はエチレンに基づく単量体単位を10〜80モ
    ル%、プロピレンに基づく単量体単位を90〜20モル
    %含むランダム共重合体で構成されてなり、メルトイン
    デックスが0.2〜4.0g/10minのプロピレン
    系ブロック共重合体 70〜99.5重量%、(B)不
    飽和カルボン酸若しくはその無水物またはそれらの誘導
    体により変性され、且つ数平均分子量が1000〜20
    000である変性ポリオレフィン系樹脂30〜0.5重
    量%よりなるプロピレン系樹脂組成物。
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