JP3641286B2 - プロピレン系樹脂組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、塗装性に優れたプロピレン系樹脂組成物に関する。さらに詳しくは1,1,1−トリクロロエタンによる前洗浄工程を省略することの可能な塗装性の改良されたプロピレン系樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、ポリプロピレンにポリオレフィン系軟質樹脂を配合した樹脂組成物が自動車用バンパー、マッドガード、インパネ用表皮材等に利用されている。ポリオレフィン系軟質樹脂としては種々のものが提案されており、例えば、特開平4−85487号公報には、ポリブテン成分、ポリプロピレン成分およびプロピレン−エチレン共重合体成分を含んでなるプロピレン系ブロック共重合体が、重合により一挙に製造でき、また、重合により得られた粒子の流動性に優れていることが示されている。また、特開平4−141334号公報には、上記のプロピレン系ブロック共重合体を有機過酸化物と溶融混練した分解生成物をプロピレンに配合したプロピレン系樹脂組成物が、優れた剛性と耐衝撃性を兼ね備え、加工性および品質安定性に優れていることが示されている。
【0003】
このようなプロピレン系樹脂組成物をバンパー、マッドガード等に適用する際、表面の保護、彩色といった目的のため、塗装が施されることが多い。しかし、一般にポリオレフィン系樹脂は非極性の材料であり塗料との親和性が低いため、通常は1,1,1−トリクロロエタン(以下、TCEと略称する。)蒸気により洗浄し、次いで塩素化ポリオレフィンのようなプライマーで処理した後、塗装されている。TCEによる前洗浄を行うことなくプライマー処理後塗装を行っても、塗装性の指標の一つである塗膜剥離強度は充分な値を示さない。このため、TCEによる前洗浄は必要不可欠とされていた。しかしながら、このTCEによる前洗浄は工程上大きな負担であるとともに、TCE自体が1995年中に全廃されることが決定されているため、早急にTCE前洗浄を必要としない技術の開発が求められてる。
【0004】
TCEによる前洗浄を必要としないポリオレフィン系樹脂組成物としては、これまでに、ポリオレフィン系樹脂と、ポリオレフィン系樹脂を不飽和カルボン酸等の極性基を持つ単量体で変性した変性ポリオレフィン系樹脂との混合物が数多く提案されている。しかし、このような混合物としてもその成形品の塗装性は充分なものではなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
以上の背景にあって本発明は、TCEによる前洗浄工程を省略しても充分な塗装性を有する成形体を得ることのできるプロピレン系樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、前記プロピレン系ブロック共重合体に、不飽和カルボン酸若しくはその無水物で変性した変性ポリオレフィン系樹脂、および特定の金属化合物の両者を配合することにより、TCEによる前洗浄工程を行わずとも高い塗装性を有するプロピレン系樹脂組成物が得られることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明は、(A)ポリプロピレン成分、及びプロピレン−エチレンランダム共重合体成分を含むブロック共重合体であって、ポリプロピレン成分が1〜70重量%、プロピレン−エチレンランダム共重合体成分が99〜30重量%であり、該プロピレン−エチレンランダム共重合体成分はエチレンに基づく単量体単位を10〜80モル%、プロピレンに基づく単量体単位を90〜20モル%含むランダム共重合体で構成されてなり、分子量1万以下の成分が1.0重量%以下であるプロピレン系ブロック共重合体20〜99.5重量%、
(B)プロピレン単独重合体またはエチレンに基づく単量体単位の含有量が10モル%以下であるエチレン−プロピレン共重合体が不飽和カルボン酸若しくはその無水物により変性されたポリオレフィン系樹脂80〜0.5重量%、
および
(C)周期律表第IIa族金属の化合物が(B)の不飽和カルボン酸若しくはその無水物に基づくカルボニル基1モルに対し0.05〜30モルよりなることを特徴とするプロピレン系樹脂組成物である。
以 上
【0008】
本発明のプロピレン系樹脂組成物の(A)成分は、特定のプロピレン系ブロック共重合体である。ここで、プロピレン系ブロック共重合体(以下、単に「ブロック共重合体」と略称する。)は、ポリプロピレン成分及びプロピレン−エチレン共重合体成分よりなる。
【0009】
本発明で使用するブロック共重合体におけるポリプロピレン成分およびプロピレン−エチレンランダム共重合体成分それぞれの成分割合は、ポリプロピレン成分が1〜70重量%、プロピレン−エチレンランダム共重合体成分が99〜30重量%である。
【0010】
プロピレン成分が1重量%よりも少ないとブロック共重合体からなる成形品の強度及び耐熱性が低下する。ポリプロピレン成分の割合が70重量%を越えると、成形品の耐衝撃性が低下し好ましくない。ポリプロピレン成分は、機械的強度、耐熱性および耐衝撃性等を勘案すると、3〜60重量%の範囲であることが好ましい。
【0011】
さらに、エチレン−プロピレンランダム共重合体成分は30〜99重量%である。上記成分が30重量%未満のときは耐衝撃性に劣り、99重量%を超えると、成形品の強度及び耐熱性などの機械的物性に劣り好ましくない。エチレン−プロピレンランダム共重合体成分は耐衝撃性や強度、耐熱性を勘案すると、40〜97重量%の範囲であることが好ましい。
【0012】
プロピレン−エチレンランダム共重合体成分中におけるエチレンに基づく単量体単位及びプロピレンに基づく単量体単位のそれぞれの含有割合は、エチレンに基づく単量体単位10〜80モル%、好ましくは15〜60モル%である。プロピレンに基づく単量体単位は90〜20モル%、好ましくは85〜40モル%である。エチレンに基づく単量体単位の含有割合が10モル%未満であり、プロピレンに基づく単量体単位の含有割合が90モル%を越える場合、成形品の柔軟性及び耐衝撃性が十分でなくなり好ましくない。一方、エチレンに基づく単量体単位の含有割合が80モル%を越え、プロピレンに基づく単量体単位の含有割合が20モル%未満である場合、成形品の強度及び耐熱性が十分でなくなり好ましくない。
【0013】
本発明におけるブロック共重合体中には、ブロック共重合体粒子の粒子性状を良好とするためにブロック成分としてポリブテン成分が含まれていることが好ましい。特に、ポリプロピレン成分の含量が少ないとき、例えば、30重量%以下のときには得られる共重合体粒子が粘着しやすくなるが、そのようなときにもポリブテン成分の存在により、良好な流動性の共重合体粒子とすることができる。ポリブテン成分は0.01〜5重量%の範囲で含まれていることが好ましく、さらに良好な流動性を勘案すると0.04〜3重量%の範囲が好ましい。
【0014】
本発明で使用するブロック共重合体中にポリブテン成分が含まれているときは、ポリブテン成分は、ブロック共重合体の粒子の固結防止、高温時の流動性を良好にするためには、アイソタクティシティが0.90以上であることが好ましい。ポリ1−ブテンのアイソタクティシティは13C−NMRにより測定を行い、ポリマー・ジャーナル(Polymer J.)第16巻(1984年)716〜726頁に基づいて帰属を行ったときのmmの値である。
【0015】
本発明で使用するブロック共重合体には、ポリプロピレン成分、プロピレン−エチレンランダム共重合体成分のいづれかひとつ以上に、プロピレン系樹脂組成物の物性を阻害しない限り、他のα−オレフィンが少量、例えば5モル%以下の範囲で共重合されて含まれていてもよい。
【0016】
本発明で使用するブロック共重合体は、ポリプロピレン成分及びプロピレン−エチレンランダム共重合体成分が一分子鎖中に配列したいわゆるブロック共重合体の分子鎖と、ポリプロピレン成分及びプロピレン−エチレンランダム共重合体成分のそれぞれ単独よりなる分子鎖とが機械的な混合では達成できない程度にミクロに混合しているものと考えられる。
【0017】
本発明で使用するブロック共重合体は、重合により流動性に優れた粉状体で得られる。これは、本発明で使用するブロック共重合体と同様のエチレン含量である従来のプロピレン−エチレンランダム共重合体が粒子同士の粘着により、塊状で得られることを考えると驚異的なことである。
【0018】
ブロック共重合体を粉状で得るためには、低分子量の成分量を少なくすることが好ましい。本発明におけるブロック共重合体は、ゲルパーミェーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」と略称する。)で測定した溶出曲線において、分子量1万以下の成分の割合を通常1.0重量%以下、好ましくは0.6重量%以下とすることで粉状を保持しうる。そして、ブロック共重合体の低分子量の成分を少なくする方法の一つは、相対的に重量平均分子量を高めることによって達成しうる。重合により得られたブロック共重合体の重量平均分子量は、通常、60万以上、さらに80万以上、好ましくは100万以上、より好ましくは130〜700万、最も好ましくは150〜300万である。尚、本発明における重量平均分子量は、GPCにより測定され、ポリスチレンで求められた検量線を基に換算された値である。
【0019】
本発明で使用するブロック共重合体はいかなる方法によって得てもよいが、特開平5−287035号公報等に詳述されてた方法に準じて製造するのが好ましい。
【0020】
本発明で使用されるブロック共重合体は、一般には重合で上記したような比較的高い分子量のものを製造し、その後有機過酸化物により分解して所定のメルトインデックス(以下、MIと略称する。)に調整する方法を好適に採用できる。この分解処理は、上記ブロック共重合体と有機過酸化物とを溶融混練することにより容易に達成される。有機過酸化物としては公知の化合物を何等制限なく用いうるが、代表的なものを例示すると、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド、メチルイソブチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド;イソブチリルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド;ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド;ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,3−ビス−(t−ブチルパーオキシ−イソプロピル)−ベンゼン、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)−ヘキサン−3等のジアルキルパーオキサイド;1,1−ジ−t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ジ−(t−ブチルパーオキシ)−ブタン等のパーオキシケタール;t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート等のアルキルパーエステル;t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート等のパーカーボネート類等を挙げることができる。
【0021】
上記した有機過酸化物の配合量は特に制限されないが、一般には、ブロック共重合体100重量部に対して、0.001〜5重量部、さらに0.002〜3重量部の範囲であることが好ましい。
【0022】
上記したブロック共重合体と有機過酸化物の混練は、一般には、ブロック共重合体の融点且つ有機過酸化物の分解温度以上の温度で公知の混練装置を使用して行われる。例えば、スクリュー押出機、バンバリーミキサー、ミキシングロールなどを用いて、160〜330℃、好ましくは、170〜300℃で混練する方法を採用することができる。また、溶融混練は、窒素ガスなどの不活性ガス気流下で行うこともできる。なお、溶融混練前に公知の混合装置、例えば、タンブラー、ヘンシェルミキサー等を使用して予備混合を行うこともできる。
【0023】
本発明で使用されるブロック共重合体のMIは特に制限されず、広い範囲から採用できる。一般には、成形加工可能な範囲である0.01〜100g/10分の範囲から採用すればよい。
【0024】
次に、本発明のプロピレン系樹脂組成物の(B)成分は、プロピレン単独重合体またはエチレンに基づく単量体単位の含有量が10モル%以下であるエチレン−プロピレン共重合体が不飽和カルボン酸若しくはその無水物により変性された変性ポリオレフィン系樹脂である。ここで、不飽和カルボン酸またはその無水物(以下、変性剤と略称する。)とは、分子中にラジカル重合可能な不飽和結合を1個以上と、カルボキシル基または酸無水物基の少なくとも一方を1個以上有する化合物である。具体的には、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水イタコン酸などを挙げることができ、これらを単独であるいは組み合わせて用いることができる。これらの中では、特に無水マレイン酸、無水イタコン酸が好適に使用される。
【0025】
これらの不飽和カルボン酸若しくはその無水物で変性される樹脂としては、プロピレン単独重合体またはエチレンに基づく単量体単位の含有量が10モル%以下であるエチレン−プロピレン共重合体である。これらのなかでも変性剤の導入量を多くすることができるという理由で、エチレン−プロピレンブロック共重合体、エチレン−プロピレンランダム共重合体等のエチレン−プロピレン共重合体であることが好ましい。
【0026】
変性ポリオレフィン系樹脂の不飽和カルボン酸若しくはその無水物での変性量は特に制限されないが、得られるプロピレン系樹脂組成物の塗装性および実用的に変性可能な範囲を考慮すると、0.01〜1.2mmol/gの範囲であることが好適である。
【0027】
また、変性ポリオレフィン系樹脂の数平均分子量は特に制限されないが、1000〜60万、さらには1500〜30万の範囲であることが、得られるプロピレン系樹脂組成物の塗装性をより向上させることができるために好適である。
【0028】
変性ポリオレフィン系樹脂の調製方法は特に制限されず、公知の方法であればよいが、例えば、上記したポリオレフィン系樹脂、有機過酸化物および変性剤をヘンシェルミキサー等で予め混合した後、通常の2軸押し出し機や単軸押し出し機、バンバリーミキサー等の混練機で加熱混練する方法を挙げることができる。混練時の温度は、用いる樹脂や有機過酸化物の種類によって異なるが、一般的には160〜280℃の間である。
【0029】
この時の変性剤の配合量は、上記した変性量とするためには、変性すべき樹脂100重量部に対し0.2〜12重量部、好ましくは0.5〜5.0重量部とすることが好ましい。また、有機過酸化物としては公知の化合物を何等制限なく用いうるが、具体的には前記ブロック共重合体の分解処理に用いられるものが挙げられる。有機過酸化物の配合量は、変性剤の導入量を上記範囲とし、また、変性すべき樹脂自体の分解の進みすぎを防止するために、変性すべき樹脂100重量部に対し0.01〜3.0重量部、好ましくは0.1〜2.0重量部である。
【0030】
本発明のプロピレン系樹脂組成物の前記した(A)成分および(B)成分の配合量は、両成分の合計量を100重量%としたとき(A)成分が20〜99.5重量%、(B)成分が80〜0.5重量%でなければならない。(A)成分および(B)成分の配合量が上記範囲を外れた場合は、得られるプロピレン系樹脂組成物よりなる成形品の塗装性が十分でないために好ましくない。これら両成分の配合量は、得られるプロピレン系樹脂組成物全体に占める変性剤の量に応じて決定することが好ましく、一般には、上記変性剤の量が5×10-5〜1.0mmol/g、好ましくは5×10-4〜0.7mmol/g、さらには4.5×10-3〜0.7mmol/gとなるように配合することが好ましい。
【0031】
次に、本発明のプロピレン系樹脂組成物の(C)成分は周期律表第IIa族金属の化合物である。このような金属の化合物としては、特に酸化物および水酸化物であることが好ましい。具体的には、例えば、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、酸化バリウム、水酸化バリウム等のマグネシウム、カルシウムおよびバリウムの酸化物または水酸化物が挙げられ、これらを単独で、あるいは混合して用いることができる。これらの中で、特に酸化カルシウム、水酸化カルシウムが好適に用いられる。
【0032】
上記金属化合物は、前記(B)の変性ポリオレフィン系樹脂に含まれるカルボニル基1モルに対し0.05〜30モルの範囲で、好ましくは0.2〜20モルの範囲で配合される。0.05モル未満では十分な塗装性が得られず、また、30モルを超えて添加してはかえって塗装性が低下し好ましくない。
【0033】
上記の(A)、(B)および(C)の成分の混合は、前記したブロック共重合体と有機過酸化物との溶融混練方法をそのまま採用することができる。
【0034】
本発明のプロピレン系樹脂組成物には、必要に応じて他の樹脂が混合されても良い。他の樹脂としては、例えば、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、およびそのケン化物、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、塩素化ポリエチレン、スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、水添スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、エチレン−プロピレン共重合体ゴム等が挙げられる。
【0035】
これら他の樹脂は、(A)および(B)の両成分の合計100重量部に対し250重量部以下、さらに200重量部以下であることが塗装性を良好に保持するために好適である。
【0036】
さらに、本発明で得られたプロピレン系樹脂組成物には、適宜公知の添加剤、例えば、酸化防止剤、光安定剤、帯電防止剤等を混合しても良い。
【0037】
【発明の効果】
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、TCEによる前洗浄を行うことなく塗装したときに、優れた塗装性を有する成形品とすることができ、このため、従来、プロピレン系樹脂の使用されて来た分野で塗装の必要がある分野に適用された場合、TCE前洗浄工程の省略によるコスト削減、環境汚染の防止等に大きく寄与する。したがって、本発明のプロピレン系樹脂組成物は、バンパー、マッドガード、インパネ用表皮材等の自動車部品、あるいは各種家電部品等の分野において好適に用いることができる。
【0038】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例を掲げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0039】
以下の実施例において用いた測定方法について説明する。
【0040】
1)重量平均分子量、数平均分子量、分子量1万以下の割合は、GPC(ゲルパーミェーションクロマトグラフィー)法により測定した。ウォーターズ社製GPC−150CによりO−ジクロルベンゼンを溶媒とし、135℃で行った。用いたカラムは、東ソー製TSK gel GMH6−HT、ゲルサイズ10〜15μmである。較正曲線は標準試料として重量平均分子量が950、2900、1万、5万、49.8万、270万、675万のポリスチレンを用いて作成した。
【0041】
2)プロピレン−エチレンランダム共重合体成分におけるエチレンに基づく単量体単位及びプロピレンに基づく単量体単位のそれぞれの割合の測定方法及びポリブテン成分の割合の測定方法
13C−NMRスペクトルのチャートを用いて算出した。即ち、プロピレン−エチレンランダム共重合体成分におけるエチレンに基づく単量体単位及びプロピレンに基づく単量体単位のそれぞれの割合は、まず、ポリマー(Polymer)第29巻(1988年)1848頁に記載された方法により、ピークの帰属を決定し、次にマクロモレキュールズ(Macromolecules)第10巻(1977年)773頁に記載された方法により、エチレンに基づく単量体単位及びプロピレンに基づく単量体単位のそれぞれの割合を算出した。
【0042】
次いで、プロピレンに基づいて単量体単位中のメチル炭素に起因するピークと、ポリブテン成分中のメチル炭素に起因するピークとの積分強度比からポリブテン成分の重量と割合を算出した。
【0043】
3)ポリ1−ブテンのアイソタクティシティーの測定
13C−NMRにより測定を行い、ポリマー・ジャーナル(Polymer J.)第16巻(1984年)716〜726頁に基づいて行った。
【0044】
4)MI
JIS K7210に準じて測定した。
【0045】
5)変性ポリオレフィン系樹脂中に含まれるカルボニル基の定量
変性ポリオレフィン系樹脂をp−キシレンに溶解させた後、アセトンで再沈澱・精製した。沈澱をろ過後、減圧乾燥し、所定の方法でIR測定をした。得られた吸収特性からカルボニル基についての検量線を用いて求めた。
【0046】
6)塗膜剥離強度
射出成形により、60mm×60mm×2mm(厚み)の成形品を作成し、温度23℃、相対湿度50%で48時間以上放置した。この成形品にスプレーガンを用い、日本ビーケミカル製プライマーRB−157を厚み10〜15μmで塗布し、室温で5分間放置した。次いで、日本ビーケミカル製上塗り塗料R−271を厚み30〜35μmで塗布し、室温で10分間放置した後、温度90℃に調整されたオーブン内で30分間焼き付け処理を行った。
【0047】
塗装した成形品を温度23℃、相対湿度50%で48時間放置した後、塗膜に幅10mmの切れ込みをいれ、オートグラフで剥離速度50mm/min、180度剥離で塗膜剥離強度を測定した。
【0048】
尚、実施例では以下に示す変性ポリオレフィン系樹脂を用いた。
【0049】
◎ 変性ポリオレフィン系樹脂(1):無水マレイン酸変性エチレン−プロピレンブロック共重合体(後述の製造例4により製造したもの、無水マレイン酸含有量0.061mmol/g、エチレン含有量7.3モル%、数平均分子量41000)
◎ 変性ポリオレフィン系樹脂(2):無水イタコン酸変性エチレン−プロピレンブロック共重合体(後述の製造例5により製造したもの、無水イタコン酸含有量0.056mmol/g、エチレン含有量7.3モル%、数平均分子量40000)
◎ 変性ポリオレフィン系樹脂(3):無水マレイン酸変性プロピレンオリゴマー(三洋化成製ユーメックス1010、無水マレイン酸含有量0.47mmol/g、数平均分子量4000)
また、ブロック共重合体は以下の製造例1〜3で製造したものを用いた。
【0050】
製造例1
(予備重合)
攪拌機を備えた内容積1リットルのガラス製オートクレーブ反応器を窒素ガスで十分に置換した後、ヘプタン400mlを装入した。反応器内温度を20℃に保ち、ジエチレングリコールジメチルエーテル0.18mmol、ヨウ化エチル22.7mmol、ジエチルアルミニウムクロライド18.5mmol、及び三塩化チタン(丸紅ソルベイ化学社製「TOS−17」)22.7mmolを加えた後、プロピレンを三塩化チタン1g当たり3gとなるように30分間連続的に反応器に導入した。なお、この間の温度は20℃に保持した。プロピレンの供給を停止した後、反応器内を窒素ガスで十分に置換し、得られたチタン含有ポリプロピレンを精製ヘプタンで4回洗浄した。分析の結果、三塩化チタン1g当たり2.9gのプロピレンが重合されていた。
【0051】
(本重合)
工程1:1−ブテンの重合
攪拌機を備えた内容量1リットルのステンレス製オートクレーブ反応器を窒素ガスで十分に置換した後、ヘプタン400mlを装入した。反応器内温度を20℃に保ち、ジエチルアルミニウムクロライド18.15mmol、ジエチレングリコールジメチルエーテル0.18mmol、ヨウ化エチル22.7mmol、予備重合で得られたチタン含有ポリプロピレンを三塩化チタンとして22.7mmolを加えた後、1−ブテンを三塩化チタン1g当たり15gとなるように2時間連続的に反応器に導入した。なお、この間の温度は20℃に保持した。1−ブテンの供給を停止した後、反応器内を窒素ガスで置換し、チタン含有ポリ1−ブテン重合体を得た。分析の結果、三塩化チタン1g当たり14gの1−ブテンが重合されていた。
【0052】
工程2:プロピレンの重合及びプロピレンエチレンの共重合
2置換を施した2リットルのオートクレーブに、液体プロピレンを1リットル、ジエチルアルミニウムクロライド0.70mmolを加え、オートクレーブの内温を70℃に昇温した。チタン含有ポリ1−ブテン重合体を三塩化チタンとして0.087mmol加え、70℃で60分間のプロピレンの重合を行った。この間水素は用いなかった。次いでオートクレーブの内温を急激に55℃に降温すると同時にエチルアルミニウムセスキエトキシド(EtAl(OEt)2)0.50mmol及びメタクリル酸メチル0.014mmolの混合溶液を加え、エチレンを供給し、気相中のエチレンガス濃度が15mol%となるようにし、55℃で120分間のプロピレンとエチレンの共重合を行った。この間のエチレンガス濃度はガスクロマトグラフで確認しながら15mol%を保持した。この間水素は用いなかった。重合終了後、未反応モノマーをパージし、粒子性の重合体を得た。重合槽内及び攪拌羽根への付着は全く認められなかった。収量は140gであり、全重合体の重合倍率は7370g−ポリマー/g−三塩化チタンであった。
【0053】
また別に上記のプロピレンだけの重合を行った結果、上記70℃、60分間で、三塩化チタン1g当たり1030gのプロピレンが重合されていた。この結果、ブロック共重合体中のポリブテン成分は0.19重量%、及びポリプロピレン成分は14重量%であることがわかる。結果を表1に示した。
【0054】
次に、得られた重合体30kgに、有機過酸化物として1,3−ビス−(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼンを表2に示す割合で添加し、また、酸化防止剤を0.1phr添加し、ヘンシェルミキサーで3分間混合した後、φ65mm単軸押出機で230℃の条件で溶融混練し、表2に示したペレットを得た。
【0055】
製造例2
製造例1のプロピレンの重合に於いて、気相中のエチレンガス濃度が5モル%となるように行った以外は製造例1と同様の操作を行った。結果を表1に示した。さらに、製造例1と同様にして表2に示した量の有機過酸化物と溶融混練した。
【0056】
製造例3
製造例1のプロピレンの重合に於いて、プロピレンの重合を70℃で5時間とし、プロピレンとエチレンの共重合を55℃で60分間行った以外は製造例1と同様の操作を行った。別途の重合実験でこの時のプロピレンの重合倍率は5100g−PP/g−三塩化チタンであった。結果を表1に示した。さらに、製造例1と同様にして表2に示した量の有機過酸化物と溶融混練した。
【0057】
【表1】
Figure 0003641286
【0058】
【表2】
Figure 0003641286
【0059】
製造例4
エチレン含有量7.3モル%のエチレン−プロピレンブロック共重合体100重量部、無水マレイン酸1.5重量部、および1,3−ビス−(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン0.5重量部をヘンシェルミキサーで30秒混合し、φ30mmベント付き2軸押出機で220℃の条件で溶融混練を行った。次にこれを100℃で7時間乾燥させた。得られた変性エチレン−プロピレンブロック共重合体の無水マレイン酸含有量は0.061mmol/g、数平均分子量は41000であった。
【0060】
製造例5
製造例4において、無水マレイン酸を無水イタコン酸に変えた点を除き同様にして変性エチレン−プロピレンブロック共重合体を得た。無水イタコン酸含有量は0.056mmol/g、数平均分子量は40000であった。
【0061】
実施例1〜11
製造例1〜3で得られたブロック共重合体と、変性ポリオレフィン系樹脂、および無機金属化合物を表3に示す割合で3分間ヘンシェルミキサーで混合し、φ30mmベント付き2軸押出機で220℃の条件で溶融混練した。得られたプロピレン系樹脂組成物を50トン射出成形機を用いて塗装用試験片に成形し、塗装し、塗膜剥離強度を測定した。結果を表3に示した。
【0062】
比較例1〜4
製造例1で得られたブロック共重合体に、変性ポリオレフィン系樹脂または無機金属化合物のいずれか一方のみを添加し、あるいは変性ポリオレフィン系樹脂のみに無機金属化合物を添加し実施例と同様にして得られた樹脂組成物の塗装性を評価した。配合割合、および塗膜剥離強度を表3に示した。
【0063】
【表3】
Figure 0003641286

Claims (1)

  1. (A)ポリプロピレン成分、及びプロピレン−エチレンランダム共重合体成分を含むブロック共重合体であって、ポリプロピレン成分が1〜70重量%、プロピレン−エチレンランダム共重合体成分が99〜30重量%であり、該プロピレン−エチレンランダム共重合体成分はエチレンに基づく単量体単位を10〜80モル%、プロピレンに基づく単量体単位を90〜20モル%含むランダム共重合体で構成されてなり、分子量1万以下の成分が1.0重量%以下であるプロピレン系ブロック共重合体 20〜99.5重量%、
    (B)プロピレン単独重合体またはエチレンに基づく単量体単位の含有量が10モル%以下であるエチレン−プロピレン共重合体が不飽和カルボン酸若しくはその無水物により変性されたポリオレフィン系樹脂 80〜0.5重量%、
    および
    (C)周期律表第IIa族金属の化合物が(B)の不飽和カルボン酸若しくはその無水物に基づくカルボニル基1モルに対し0.05〜30モルよりなることを特徴とするプロピレン系樹脂組成物。
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