JP3466339B2 - 分散染料に可染性の再生又は溶剤紡糸セルロース繊維および該繊維を含む繊維製品 - Google Patents

分散染料に可染性の再生又は溶剤紡糸セルロース繊維および該繊維を含む繊維製品

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JP3466339B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、分散染料により染
色可能な再生又は溶剤紡糸セルロース繊維に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、再生セルロース繊維は、直接染
料、反応染料、スレン染料で染色されてきた。しかしな
がら、直接染料は色によって染色堅牢度に難があり、反
応染料による染色においては良好な染色堅牢度が得られ
るが、染料が高価であること及びアルカリの存在と高い
PH及び高温下での長時間染色であるため生産性に問題
があった。また、スレン染料は、高価であること及び色
の限定が大きく汎用性に欠けるという欠点があった。
【0003】また、再生セルロース繊維の染色性改良の
研究、例えば、カチオン化やアニオン化の歴史は古い
が、かかる手段では染色堅牢度が満足できず、しかも、
ビスコースへの種々化合物の添加による繊維強度の低下
が大きいので実用性に欠け工業化されていないのが現状
である。
【0004】このように、従来から再生セルロース繊維
の染色性改良のために種々の試みがなされてきたが、染
色堅牢性や繊維物性まで踏み込んで評価したときに、十
分満足できる結果は得られていなかった。
【0005】一方、近年、再生セルロ−ス繊維の優れた
吸湿性や独特の風合をアウタ−衣料用に活かすためにポ
リエステル繊維などの合成繊維と共用されることが多く
なってきている。しかしながら、上記のごとく再生セル
ロ−ス繊維は直接染料あるいは反応染料で染色され、ポ
リエステル繊維は分散染料で染色される。従って、再生
セルロ−ス繊維とポリエステル繊維とからなる織編物を
染色するには、ポリエステル繊維を分散染料で、再生セ
ルロ−ス繊維を反応染料あるいは直接染料で染色しなけ
ればならないという繁雑さがあった。
【0006】この染法は現在、実際に行われている方法
であるが、かかる方法では再生セルロ−ス繊維の染色に
長時間を要するため1台の染色機で3バッチ/1日程度
の染色処理しかできないのが現状である。一方、ポリエ
ステル繊維のみを分散染料で染色する場合は、1台の染
色機で9バッチ/1日程度の染色処理が可能である。
【0007】このようにポリエステル繊維のみからなる
織編物の染色処理能力に比し、再生セルロ−ス繊維とポ
リエステル繊維からなる織編物の染色処理能力は極端に
低く、染色コストも高くなる。この染色コスト高が再生
セルロ−ス繊維とポリエステル繊維からなる織編物のポ
リエステル単独織編物に対する競争力低下の一因となっ
ている。
【0008】このような点から、ポリエステル繊維と同
様に分散染料で染色できる再生セルロース繊維が得られ
れば、上記のような染色時の繁雑さが一気に解決できる
が、本発明のように再生セルロース繊維を実用性のある
ものとして分散染料に可染とする発想や試みは従来全く
存在していなかった。
【0009】さらに、再生セルロース繊維の紡糸原液に
各種無機顔料を添加した原着繊維や、無機顔料の欠点を
改善するために予め着色された有機微粒子を紡糸原液に
添加して紡糸する方法も知られているが、予め着色しな
ければならないという繁雑さと均一着色すること自体が
容易でなく、しかも無機顔料にしろ有機顔料にしろ色が
限られ汎用性にも乏しいので、例えば、ポリエステル繊
維などの合成繊維との混用物において両繊維を同色に色
合わせしようとしても殆ど不可能である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の第1の目的
は、従来の直接染料や反応染料などを使用する染色方法
によって染色可能であることは勿論のこと、従来の染色
方法における上記の問題点を解消し、繊維強度の大幅な
低下をきたすことなく、しかも染色堅牢度に優れた分散
染料で染色可能な再生または溶剤紡糸セルロース繊維を
安価に生産性よく提供することである。また、本発明の
第2の目的は、ポリエステル繊維と混用した場合に、同
一染浴で分散染料のみで両繊維を同時に染色することが
でき、所望に応じた同色性を有する繊維製品を製造する
のに適した再生又は溶剤紡糸セルロース繊維を提供する
ことである。さらに本発明の第3の目的は、ポリエステ
ル繊維と同一浴において分散染料で染色する際に、再生
又は溶剤紡糸セルロース繊維とポリエステル繊維との間
に高度な同色性を確保するための染色方法を提供するこ
とである。
【0011】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、分散染
料により染色可能である重合体微粒子を1〜40重量%
含有する再生又は溶剤紡糸セルロース繊維であって、該
重合体微粒子の平均粒径が0.05〜5μmであり、か
つ該重合体微粒子のガラス転移温度(Tg)が10℃/
分の昇温速度で測定したときに110℃以上である再生
又は溶剤紡糸セルロース繊維である。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明において、再生セルロース
繊維とは、ビスコースを主体紡糸原液とするレーヨン繊
維(以下、単にビスコースレーヨンと略す)及び銅アン
モニアレーヨン繊維を意味し、長繊維及び短繊維の双方
を意味する。また、溶剤紡糸セルロース繊維とは、例え
ば、メチルモルフォリンオキサイド等の有機溶剤に溶解
したセルロースを紡糸して得られるセルロース系繊維を
意味する。そして、元来、分散染料に可染性であるジア
セテートやトリアセテートなどのセルロース系繊維は対
象としていない。以下、再生又は溶剤紡糸セルロース繊
維を総称してセルロース繊維と略称することがある。
【0013】また、本発明において繊維製品とは、当該
再生又は溶剤紡糸セルロース繊維を含む綿、紡績糸、フ
ィラメント糸、紐、織物、編物、不織布及びこれらを使
用した衣類、リビング資材類、産業資材類、雑貨・日用
品類は勿論のこと、当該再生セルロース繊維を少なくと
も一部に使用したこれら繊維製品を対象とするものであ
る。
【0014】本発明のセルロース繊維には、分散染料に
より染色が可能である重合体微粒子が1〜40重量%含
有されていることが重要である。分散染料により染色が
可能な重合体(以下、単に原体と略称することもある)
とは、後述の基準染色条件における染着率が20%以
上、好ましくは40%以上、特に好ましくは60%以上
を示すものであり、例えば、ポリアミド系重合体、エチ
レンテレフタレート系重合体、ブチレンテレフタレート
系重合体等のポリエステル系重合体、ポリメチル(メ
タ)アクリレート系重合体、メチル(メタ)アクリレー
ト・メタクリル酸共重合体、メチル(メタ)アクリレー
ト・メタクリル酸・スチレン共重合体、アクリル酸・ス
チレン系重合体、アクリロニトリル・スチレン系重合
体、ウレタン系重合体などがあげられ、ガラス転移温度
(Tg)が110℃以上であれば、特に組成は限定され
ない。しかしながら、原体の分散染料に対する染色性及
び染色堅牢度の点からポリエステル系重合体、アクリル
系重合体などの熱可塑性重合体が好ましく、特にアクリ
ル系重合体が好ましい。
【0015】アクリル系重合体を構成するモノマーとし
ては、例えばメチルメタクリレート、エチルメタクリレ
ート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタ
クリレート、n−ブチルメタクリレート、sec−ブチ
ルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレー
ト、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレー
ト、イソボルニルメタクリレート、トリシクロデシルメ
タクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレー
ト、n−ブチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレ
ート、フェニルアクリレート、メタクリル酸、アクリル
酸などが挙げられ、これらはホモポリマーとして使用し
ても、他コモノマーとの共重合体(コポリマー)として
使用してもよいが、ポリエステル繊維などとの同浴染色
時の同色性および各種染色堅牢度の観点からは、メチル
メタクリレート成分を20〜100重量%使用すること
が特に好ましい。
【0016】このように、重合体微粒子としては、基本
的に染色性および染色堅牢性の良好なものを使用するこ
とが好ましいが、本発明においては、これら重合体微粒
子がセルロースに包埋された状態で繊維内に分散してい
るためか、微粒子自体の染色堅牢度がそれほど良好でな
くても繊維としては原体の持つ染色堅牢性よりも良好な
染色堅牢度を示すことが多い。
【0017】次に、本発明において使用される重合体微
粒子の平均粒径は、0.05〜5μmである。0.05
μm未満の場合は、重合体微粒子間の凝集により巨大粒
子が生成しやすく、製糸性の低下や強度をはじめとする
繊維物性の低下が起こるおそれがあり、さらには染料に
よる染着性や堅牢性が低下したり、微粒子を構成する重
合体の種類によってはドライクリーニング等の有機溶剤
処理により溶出しやすくなるという問題が生じやすいの
で、好ましい下限値は0.1μm、特に0.2μmであ
る。一方、5μmを越えると紡糸ノズル詰まりや、毛羽
の発生が著しいなど安定した製糸ができず、しかも得ら
れる繊維の強伸度が低くタフネスの低下が著しい場合が
ある。また、繊維物性を特に重視する場合は、微粒子の
平均粒径の上限値は好ましくは3.5μm、さらに好ま
しくは2.5μm、特に好ましくは1.5μmの上限値
が好ましい。また、得られる繊維の白色度や黄色度を考
慮すると、1μm以下の平均粒径を有する微粒子を使用
することが好ましい。
【0018】さらに本発明において使用される重合体微
粒子は、10℃/分の昇温速度で測定したときのガラス
転移温度(Tg)が110℃以上であることが重要であ
る。
【0019】重合体微粒子のTgを110℃以上とする
には、例えばα−メチルスチレンやフェニルメタクリレ
ートなど高Tgのポリマーを与えるモノマーを用いる方
法や、架橋性モノマーの使用によりポリマー中に架橋構
造を導入する方法が挙げられる。例えば、メチルメタク
リレート85重量%とスチレン15重量%からなる共重
合体のTgは111℃であるが、さらに架橋剤としてネ
オペンチルグリコールジメタクリレート10PHRを加
えることにより、Tgを123℃まで高めることが可能
である。
【0020】本発明で使用できる架橋性モノマーとして
は、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレン
グリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコール
ジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタク
リレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレー
ト、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、1,3
−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジ
オールジメタクリレート、1,6ーヘキサンジオールジ
メタクリレート、アリルメタクリレートなどのメタクリ
レート類及び、これらに対応するアクリレート類、ジビ
ニルベンゼン、ジビニルアジペート等公知の架橋性モノ
マーが挙げられる。
【0021】ポリエステル繊維と同浴染色する際に、T
gが110℃未満の重合体微粒子を使用すると、良好な
同色性や各種染色堅牢度を達成するための染料の選択幅
が狭く、また染色温度や浴比等の染色条件の自由度も小
さい。従って、Tgは120〜130℃の範囲内である
ことが望ましい。
【0022】このような重合体微粒子は、例えば、公知
の粉砕機を用いて重合体チップや粉末を凍結粉砕して微
細粉末にする物理的細粒化方法や、重合性モノマーか
ら、その重合過程で粒子形成を行う方法及び微小液滴化
した重合体溶液から、粒子形成を行う方法など重合技術
によって微粒子を製造することができる。使用される粒
子の平均粒径オーダーによって、細粒化の手段を選択す
ればよいが、実際は、重合体の種類によってはミクロン
からサブミクロンオーダーの粉砕が極めて困難な場合が
あったり、重合手法でも製造できないものある。重合手
法による場合の例を挙げると、0.05〜1μm程度の
粒径の微粒子を得るためには乳化重合法やソープフリー
乳化重合法、シード乳化重合法が好ましく採用され、1
〜5μmでは、シード乳化重合法、二段階膨潤法、分散
重合法などが好適である。
【0023】例えば乳化重合法を採用する場合、従来公
知の方法で所望の重合体微粒子を得ることができる。使
用可能な触媒としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモ
ニウムなどの過硫酸塩類、キュメンハイドロパーオキシ
ド/ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、ジ
イソプロピルベンゼンハイドロパーオキシド/ナトリウ
ムホルムアルデヒドスルホキシレートなどのレドックス
開始剤が挙げられる。また必要に応じて、n−オクチル
メルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシ
ルメルカプタンなどのアルキルメルカプタン類、チオグ
リコール酸エステル、メルカプトプロピオン酸エステ
ル、チオグリコール酸などの連鎖移動剤を使用すること
ができる。
【0024】また乳化剤としては、アニオン界面活性
剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、反応性
界面活性剤(重合性界面活性剤)など公知の乳化剤を単
独または併用して使用することができるが、重合安定性
及び得られるセルロース繊維の染色性、耐光堅牢度の点
から、ステアリン酸ナトリウム、ラウロイルザルコシン
酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、
ラウリルジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウムなど
のアニオン界面活性剤の使用が特に好ましい。
【0025】重合体微粒子は中実微粒子であっても中
空、コアシェルなどの構造を有する微粒子であってもよ
く、例えば中空微粒子を使用すると、繊維の軽量化をも
同時に実現することが可能である。
【0026】本発明のセルロース繊維には、上記のよう
な重合体微粒子が1〜40重量%含有されていることが
必要である。1重量%未満の場合は染着量が十分に確保
できないので淡染物さえ得られなくなる。また、40重
量%を越えると製糸時に毛羽が発生しやすく繊維物性の
低下も著しい。繊維の物性と淡染のみでなく濃染も保証
できる染着量とのバランスから、好ましい含有率の下限
は5重量%、特に10重量%であり、上限は30重量%
である。また、かかる含有率の範囲内であれば、重合体
微粒子の種類は1種類だけでなく2種類以上の異なる重
合体からなる微粒子を混用してもよいし、同種の重合体
微粒子であって重合度分布や粒度分布の異なるものを併
用しても何ら差支えない。
【0027】このような重合体微粒子を配合した本発明
のセルロース繊維は、分散染料に対する染色挙動が通常
のポリエステル繊維と類似しており、良好な染料吸尽性
を示すものである。そして、濃色染めにするか淡色染め
にするかなど染色条件により、染料の吸尽量を適宜設定
することができるが、本発明のセルロース繊維は繊維重
量1gに対して好ましくは0.1mg以上、さらに好まし
くは1mg以上、特に好ましくは4mg以上の分散染料を染
着する能力を有している。この染着量が0.1mg/g未満
では、淡色といえども十分な発色性が得られないので採
用しないほうがよい。染着量の上限は、使用する染料に
よる要因も大きいので臨界的な格別な意味を持たない
が、濃色染めにおいて効率的な染料の使用量から考えて
200mg/g以下であることが望ましい。
【0028】なお、染着量の測定方法は、染色後のもの
と染色前のものとで測定法が相違しており、例えば、単
一染料で染色されている製品については、一定重量の繊
維について57%ピリジン水溶液によりソックスレー抽
出を行い、必要に応じてその抽出液について57%ピリ
ジン水溶液で希釈調整し、その調整液について下記の測
定装置である分光光度計[日立307型カラーアナライ
ザー((株)日立製作所製)]により最大吸収波長に於
ける吸光度を測定し、別の検量線より染着量を求めるこ
とができる。また、未染色のものについては、後述する
ような方法で染着量を求めることができる。
【0029】重合体微粒子自体が分散染料に可染であっ
ても、本発明の繊維において該微粒子は分散染料に不染
性のセルロース分子によって包囲され、分散染料分子が
微粒子に直接接触できないような繊維構造になってい
る。それにもかかわらず、微粒子に分散染料が染着する
理由は定かではないが、染色処理においてセルロース繊
維が水分で膨潤し、セルロースの分子運動が活発にな
り、その配列がルーズになっているところへ分散染料分
子が浸透し、その結果、染料分子が微粒子に染着するも
のと推測される。この現象は、従来、セルロース繊維を
分散染料で染色しようという試みさえなかったことから
すると驚くべき事実であり、また、分散染料で染色され
た繊維をさらに洗濯(水洗)して繊維が再膨潤し、染料
が繊維から離脱しやすい環境下におかれても、微粒子に
強く染着されたままで、洗濯堅牢度3級以上という優れ
た染色堅牢性を示すこともまさに予期せぬことである。
【0030】本発明のセルロース繊維は、分散染料によ
って染色可能であるが、ただ単に分散染料で染まるとい
うことだけでなく、染色堅牢度が良好であることも含め
て「分散染料に染色可能」なセルロース繊維であると言
う。そして、具体的には、本発明のセルロース繊維は、
下記の条件(以下、単に基準染色条件と略称することが
ある。)で染色処理を施したときに、20%以上、好ま
しくは40%以上、特に好ましくは60%以上の染料染
着率を示すと共に洗濯に対する堅牢度が3級以上であ
る。さらに望ましくは、ドライクリーニングに対する堅
牢度が3級以上、昇華堅牢度が3級以上、カーボンアー
ク灯に対する耐光堅牢度が3級以上の染色堅牢度を兼ね
備えているものである。
【0031】 〈染色条件〉 染料; Sumikaron Brill Red SE-2BF(住友化学製) 3%owf 助剤;ディスパーTL 1g/l ウルトラMTレベル 1g/l 浴比;1:50 染色温度・時間;120℃×40分(40℃から120℃まで30分で昇温し、 120℃で40分間保持) 還元洗浄;NaOH 1g/l、Na2 2 4 1g/l、 アミラジン(第一工業製薬社製) 1g/l、80℃×20分 水洗;30分 乾燥;60℃×10分
【0032】尚、本発明における分散染料染着率とは、
基準染色条件で染色したときの下記に示す方法で求めら
れる値である 染着率(%)=[(S0 −S1 )/S0 ]×100 S0 :染色前の染料溶液についてアセトン水溶液(アセ
トン/水=1/1容量比)により所定の希釈度で希釈調
整した染料溶液について分光光度計[日立307型カラ
ーアナライザー((株)日立製作所製)]により測定し
た最大吸収波長に於ける吸光度 S1 :染色後の染料残液について、必要に応じてアセト
ン水溶液(アセトン/水=1/1容量比)により所定の
希釈度で希釈調整した染料容液について分光光度計によ
り測定した最大吸収波長に於ける吸光度
【0033】なお、希釈を行なう場合は、吸光度の最大
値が0.6程度になるように希釈することが望ましい。
また、染色前の染料溶液は希釈を行ない、染料残液は染
料濃度が低いため希釈する必要がない場合があるが、こ
の場合は、染色前の溶液についての希釈倍率を、残液に
ついての吸光度に掛けた値で染着率を求める必要があ
る。
【0034】本発明において特徴的なことは、上記のよ
うに各種染色堅牢試験に対して極めて良好な堅牢性を示
すことである。かかる染色堅牢性は、まさに通常のポリ
エステル繊維と同レベルの優れた染色堅牢性である。さ
らに付記すれば、本発明の繊維はこれら染色堅牢度のほ
かに、湿摩擦堅牢度が2級以上、特に3級以上を示すも
のである。
【0035】なお、本発明における上記各種染色堅牢度
は、以下の方法によって求めたものである。 洗濯に対する堅牢度; JIS L0844−1986(A−2法) (添付白布は綿、ナイロンを使用) ドライクリーニングに対する堅牢度; JIS L0860−1974(添付白布は綿、ナイロ
ンを使用) 昇華堅牢度; JIS L0850−1975(B−2法) (但し、ホットプレッシング温度は160℃で時間は6
0秒とし、添付白布はポリエステルを使用) カーボンアーク灯に対する耐光堅牢度; JIS L0842−1988(露光方法は第3露光方
法を採用) 湿摩擦堅牢度; JIS L0849−1971(試験機はII形を使
用)
【0036】次に本発明のセルロース繊維の製造方法に
ついて述べる。繊維への重合体微粒子の添加は、紡糸原
液がノズルから紡出されるまでの任意の工程で行なうこ
とができ、紡糸原液に対し重合体微粒子を直接そのまま
添加してもよいが、かかる方法によると微粒子が凝集し
やすいので、予め微粒子の水性分散液を調整し、これを
所定濃度となるよう紡糸原液に添加、混合したり、又
は、そのような水性分散液を別途準備することなく、最
初から所定濃度となるように微粒子が配合された紡糸原
液を調整しておくことが好ましい。
【0037】微粒子濃度の異なる銘柄を多種製造する場
合は、水性分散液を別途調整しておき、銘柄に合わせて
紡糸原液のラインへ添加・混合する方が合理的である。
微粒子の水性分散液の調整は、分散液中で微粒子が凝集
しないように慎重に行う必要があり、そのためには、微
粒子濃度を10〜50重量%、特に15〜30重量%に
なるように水性分散液を調整することが好ましい。
【0038】また、分散液や紡糸原液中において微粒子
を安定に分散させるために、分散助剤を使用することが
好ましい場合がある。例えば、再生セルロース繊維とし
てビスコースレーヨンの紡糸を対象とする場合には、ビ
スコースへの分散性及び得られる再生セルロース繊維の
染色性、耐光堅牢度などが良好となることから、ステア
リン酸ナトリウム、ラウロイルザルコシン酸ナトリウ
ム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルジ
フェニルエーテルスルホン酸ナトリウムなどのアニオン
界面活性剤を添加することが好ましく、中でもラウリル
ジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウムを添加する
と、分散染料により染色した際にブライトライクな再生
セルロース繊維製品が得られるため、特に好ましい。重
合体微粒子の粒径が小さくなるにともない凝集も起こり
やすくなるため、小粒径の微粒子を使用する場合には分
散助剤を多量に添加する必要があるが、一般的な添加量
は微粒子に対して0.1〜10重量%であり、0.5〜
3重量%が特に好ましい。
【0039】紡糸原液に対する微粒子の添加は、攪拌翼
などの分散手段により微粒子を十分に分散・混合させ、
脱泡・脱気した後に紡糸ノズルから再生浴へ紡出、延伸
し、所定の速度で引き取ることで本発明の再生セルロー
ス繊維を製造することができる。
【0040】特に、本発明においては、紡糸原液中に微
粒子を均一に分散させるために添加後に十分攪拌混合す
ることが重要であるが、攪拌し過ぎた原液を使用して紡
糸すると製糸性が低下するので好ましくない。また、紡
糸にあたっては原液の脱泡が非常に重要であり、脱泡が
十分に行われていないと安定した紡糸ができないので、
16〜30時間程度静置脱泡又は1〜24時間程度真空
脱泡された紡糸原液を使用することが好ましい。
【0041】再生セルロース繊維の一例としてビスコー
スレーヨンを対象とする製造方法を説明すると、通常の
方法で製造されるビスコースレーヨンは、湿潤時の強度
が1g/dに満たず強度が低いが、ビスコースに第3成
分を添加して紡糸する場合、さらなる強度低下を招くの
が通常であるため多くの場合実用的な繊維が得られてい
ない。
【0042】しかし、本発明においては、得られる繊維
の強度低下を抑えるため、ビスコースのアルカリ濃度を
6.5〜8重量%、特に好ましくは、7〜7.5重量%
とし、延伸倍率を15〜25%程度とすることにより繊
維の湿潤強度を0.4g/d以上、好ましくは0.45
g/d以上にコントロールすることが好ましい。
【0043】アルカリ濃度が8%を越えると、凝固・再
生の遅延により紡糸速度の低下や精練性不十分などの問
題が生じやすい。一方、6.5%未満の場合は湿潤強度
を本発明の範囲に収めることが困難である。その他、ビ
スコースの熟成度や粘度は公知の条件を採用することが
でき、例えば、熟成度8〜15cc、粘度20〜60ポ
イズの条件を採用することができる。
【0044】また、凝固・再生浴の浴組成は、例えば、
硫酸8〜12%、硫酸ソーダ13〜30%、硫酸亜鉛0
〜2%であり、浴温度は、45〜65℃が一般的であ
る。
【0045】本発明の繊維を製造するにあたり、微粒子
をビスコースに添加分散させる上で以下の点に留意する
ことが重要である。 (1)ビスコース、アルカリ、微粒子水性分散液のいず
れの混合の場合も泡を可及的噛み込まないように撹拌す
る。 (2)微粒子水性分散液を混合する場合、約400rp
m以上の高速でかつエアーを噛み込まない最大の回転数
で撹拌することが好ましい。 (3)微粒子水性分散液は、可及的低濃度のアルカリ液
に加えた方がよく、紡糸直前混合法による濃厚液作成の
場合、アルカリ濃度が20%以下、特に15%以下のと
ころに分散液を可及的ゆっくりと徐々に加えて行くこと
が好ましい。したがって、最初アルカリ濃度補正用アル
カリ液とビスコースを混合し、次いで微粒子水性分散液
を徐々に加えて行くとよい。また、ビスコースに加える
微粒子水性分散液の濃度も可及的薄い方が好ましく、微
粒子濃度30%以下、特に25%以下に調整するのが好
ましい。さらに、ビスコースへの添加後の微粒子濃度と
して15%以下、特に10%以下となるように混合する
ほうが分散安定性の点から好ましい。 (4)微粒子の分散性を向上させるための分散助剤が多
く含まれていると、消泡性が低下するので、真空脱泡時
に液全体が動き泡が液上層部へ移動しやすいように低速
で撹拌することが好ましい。
【0046】紡糸装置自体は、従来公知のビスコースレ
ーヨン製造装置を使用することができ、具体的には、遠
心式紡糸機、ボビン式紡糸機、ネルソン式連続紡糸機、
ドラム式連続紡糸機、クルージャン式連続紡糸機、イン
ダストリアル式連続紡糸機、オスカーコーホン式連続紡
糸機、ネットプロセス式連続紡糸機等を使用することが
でき、紡糸速度は50〜400m/分が一般的であり、
精練、水洗、乾燥条件は従来公知の条件をそのまま採用
することができる。特に、衣料用の分野では、連続式紡
糸機で製造するほうが、糸長方向における特性斑が少な
いので好ましい。また、200m/分以上の高速紡糸に
対応する場合、流管式の紡糸装置を使用することが好ま
しい。
【0047】なお、繊維の湿潤時の強度は、繊維の使用
目的にもよるがレーヨン単独で使用する場合には、0.
5g/d以上であることが好ましい。しかし、ポリエス
テル繊維など強度良好な合成繊維と混用する場合は、上
記のように0.4g/dあれば実用に耐える。
【0048】上記では、ビスコースのアルカリ濃度や延
伸倍率を通常の条件から変更した例を説明したが、本発
明のセルロース繊維は、かかる方法によって得られる繊
維のみに限定されることなく、ビスコースレーヨン以外
の再生セルロース繊維の製造においては、紡糸速度や延
伸倍率を変更することによって目的を達成することがで
きる。また、本発明の技術は、使用する重合体微粒子と
して有機溶剤に不溶のものを選択すれば、有機溶剤にセ
ルロースを溶解して紡糸する溶剤紡糸法により得られる
セルロース繊維にも適用できる。
【0049】ところで、連続式紡糸機で製造して得られ
るレーヨン糸は、ケーク糸に比べ、糸長方向における特
性斑が殆どないので衣料用に好ましいが、本発明による
ビスコースレーヨンの製造においては、遠心式紡糸機で
製造するケーク糸において、外中内層の分散染料による
染め濃度斑が極めて改善されるという特徴を有してい
る。
【0050】ここでいうケーク糸の外中内層とは、ケー
ク糸(約600g)を糸の長さ方向に11重量等分し、
最外の層を「0層」と呼び、最内の層を「10層」と呼
ぶとき、0層を外層、5層を中層、10層を内層とし
て、外層・中層・内層を定義する。そして、そのケーク
全体の11分の1重量に相当する層内範囲で、同一層内
として取り扱い、各層での染め濃度の差(R)について
は、カラー.コンピューター(スガ.S&M.C.
C.)を用い、標準白色板(X;78.73,Y;8
1.56,Z;98.38)に対するハンター法(L.
a.b測定)による色差(△E)をそれぞれの染色編み
地で測定し、ケーク糸の外中内層における最大値と最小
値の差を(R)とする。
【0051】本発明によるレーヨンケーク糸において
は、このR値が2以下、特に1.5以下となるが、但
し、得られるケーク糸の内外層間で分散染料による染め
濃度差(R)を本発明のように小さくするためには、ケ
ーク糸に含まれる微粒子の含有量の平均値をnとしたと
き、ケーク糸の長さ方向にn±0.1nの範囲で分散配
合されていることが望ましく、そのためには紡糸原液
(ビスコースドープ)中に微粒子を均一に分散させるこ
とが重要であり、具体的には、前述のとおり、微粒子添
加後に十分攪拌混合することがポイントである。しかし
ながら、攪拌し過ぎてエアーを含んだ原液を使用して紡
糸すると逆に製糸性が低下するので注意しなければなら
ない。
【0052】また、均一な分散を達成するにあたって
は、微粒子の大きさの影響を無視することはできない。
すなわち、原液ビスコースと微粒子との比重差によっ
て、微粒子の濃度勾配が生じ、この点についても前述の
如く、粒子径の小さい方が安定で分離し難い傾向があ
る。いづれにしても、微粒子の凝集を少なくし、添加後
の撹拌、脱泡中も分散状態を均一に保つ必要があり、そ
の為には、適度な撹拌条件と脱泡中も低速度の撹拌が必
要である。適度な撹拌とは、過度の高速撹拌によって過
剰の泡をビスコース中に加えるのではなく、可及的泡を
入れないような最大の速度にて撹拌をする必要がある。
【0053】また、真空脱泡中や静置脱泡中も40〜5
0rpm.程度の低速で撹拌しておく必要があり、これ
により脱泡がスムースに行われると同時に、微粒子の分
散安定性も良好となる。特に、ビスコース原液と微粒子
との比重差が大きい場合や粒子径が大きい場合、この低
速撹拌を怠ると、濃厚分散液タンク中での微粒子の分離
が起こり易く、製糸した糸の長さ方向での微粒子の含有
量が一定したものでなく染色差となる。
【0054】以上、重合体微粒子の選定、微粒子の大き
さ、微粒子添加量、添加による物性低下対策及び微粒子
含有量の管理により、内外層染色差の無いレーヨン・ケ
ーク糸の生産が可能となるが、従来から行われているレ
ーヨン・ケーク糸生産時のデニール・コンペンセーター
及び均染ガイド・コンペンセーターは、より強化した方
が良いにこしたことはない。このコンペンセーターと
は、レーヨン・ケーク糸遠心巻き取り時の遠心力の経時
変化に起因するケーク糸内外層間での繊度差、物性差及
び染色差の発生を可及的緩和しようとするものである。
普通、繊度差の緩和には、漸次増速により、また物性及
び染色差の緩和には、ガイド角度の漸次強化により実施
する。
【0055】しかしながら、内層になるほど、紡糸速度
及び張力が増す方向となる為、毛羽や断糸も増加の方向
となり、むやみにコンペンセーターを付与することも好
ましくはない。本発明によれば、全くコンペンセーター
を付与しなくとも、内外層の染色差とは殆ど関係なく良
好な結果が得られる。本発明のセルロース繊維は、上述
のように分散染料に可染性であるが、この特徴は、ポリ
エステル繊維などの合成繊維と共存する繊維製品として
最大の効果を発現する。
【0056】ここで、繊維製品における両繊維の共存の
仕方は特に限定されず、例えば、撚糸、インターレー
ス、タスラン処理等によるエアー交絡、先撚仮撚、精紡
交撚、混紡等などの手法で複合された形態であってもよ
いし、それぞれの糸を独立して使い分けた交編・交織な
どの手法で組み合わせられたものでもよい。また、所望
のファブリケーションに応じて、製編織に先立ち糸条に
通常実施される撚を施してもよいことは言うまでもない
が、交織の場合、再生セルロ−ス繊維に強撚(1500
回/m以上)を施し、織物の全ての経糸あるいは全ての
緯糸として使用することは、収縮安定性が得られないの
で避けることが好ましい。但し、複合糸に関してはこの
限りではない。
【0057】繊維製品おけるポリエステル繊維とセルロ
ース繊維の比率は、両者の複合形態や用途に応じて種々
変更することができる。セルロ−ス繊維を主体とする
と、該繊維の持つ独自の風合や機能性(吸湿性、制電性
他)を十分に活用できるので好ましい。一方、ポリエス
テル繊維は、例えば、再生セルロ−ス繊維と複合して糸
とした場合に、再生セルロース繊維の欠点である強度の
補強や形態安定性を得るために重要な役割を果たすもの
であり、繊維製品を設計するときはポリエステル繊維の
比率を30重量%〜50重量%とすることが好ましい。
30重量%未満では強度がアウタ−衣料用としては低す
ぎたり、洗濯収縮が高く形態安定性が得られない場合が
ある。一方、50重量%を越えるとポリエステル繊維単
独の織編物との風合差が明確で無くなる場合がある。本
発明においては、繊維製品中のセルロース繊維とポリエ
ステル繊維とを異色に染めても差支えないないが、同一
の分散染料によって両繊維の染色が可能であるという特
長を活かして、同色性に優れる繊維製品とすることがで
きる。
【0058】本発明にいう同色性△E* は、染色された
繊維製品からセルロース繊維とポリエステル繊維を取り
だし、下記の測定システムを用いて測定して得られた△
*、△a* 及び△b* から下式に基づいて求めた値で
あり、本発明においては、かかる値が10以下である場
合を同色性に優れると定義する。△E* が10を越える
と視覚的に異色感が目立つので、好ましくは7以下、特
に4以下であることが同色性という観点からは望まし
い。 <測定システム> SICOMUC 20((株)住化分析センター製) マクベス分光光度計(光源 D65) 極微小・裏透モード使用 幅2mm×長さ20mmのスリット使用 この測定システムはヤーン一本の測色も可能であるが、
必要に応じてヤーンを複数本用いて測色してもよい。
(n=5,荷重:0.1g/dで試料採取) ΔE* =√{(△L* 2 +(△a* 2 +(△b* 2 } (但し、△L* 、△a* 及び△b* はCIE 1976
* * * 表色系表示によるL* 差、a* 差及びb
* 差を示す。)
【0059】次に、本発明の繊維製品に使用されるポリ
エステル繊維は、例えば、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリブチレンテレフタレート等のポリアルキレンテ
レフタレートからなる繊維を挙げることができ、これら
にイソフタル酸、5−金属スルホイソフタル酸、ナフタ
レンジカルボン酸、アジピン酸、セバチン酸等のジカル
ボン酸成分やエチレングリコール、プロピレングリコー
ル、ブチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、
ノナンジオール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフ
ェノール類などのグリコール成分、ジエチレングリコー
ル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコー
ル、ポリブチレングリコールなどのポリオキシアルキレ
ングリコール成分、ペンタエリスリトール等の多価アル
コール成分の少なくとも一種を第3成分として20重量
%以下共重合されたものであってもよい。これらのポリ
エステルは単独使用であっても2種類以上のポリエステ
ルを混合した組成物として使用してもよく、また、これ
らポリエステルに目的に応じて酸化チタン、シリカ、ア
ルミナ、硫酸バリウムなどの無機微粒子や各種機能性を
付与するための添加剤が含有されていてもよい。
【0060】ポリエステル繊維の断面は、丸断面に限ら
ず、三角断面、偏平断面、十字形断面、Y字形断面、T
字形断面、C字形断面など目的に応じて自由に選択する
ことができる。また、本発明の効果を損なわなければ、
サイドバイサイド型や芯鞘型の複合繊維であってもよい
し、繊維の長さ方向に太さ斑を有するシックアンドシン
繊維でもよい。また、ポリエステル繊維の繊度は使用目
的に応じて適宜設定することができるので特に限定され
ないが、例えばセルロース繊維との複合糸を考慮すると
単繊維繊度0.5〜6デニール程度の繊維を用い、ヤー
ン繊度として20〜150デニールとなるように使用す
ることが好ましい。
【0061】次に本発明の繊維製品の染色方法について
述べる。ポリエステル繊維とセルロ−ス繊維の分散染料
による染着性(染着開始温度、吸着性等)は必ずしも同
じではない。ポリエステル繊維とセルロース繊維との同
色性を問わない場合は、それぞれの繊維の染着性がある
程度相違していても差支えないが、同色性を追及する場
合は、使用する染料によって各々の繊維の染着性を予め
把握することが肝要であり、具体的には、60%以上、
特に70%以上の分散染料染着率を示すセルロ−ス繊維
とポリエステル繊維において中濃色、特に濃色が得られ
やすく、ΔE* 値を小さくするためには、100〜13
5℃の範囲であって、かつ双方の分散染料染着率の差が
15%以内、さらに好ましくは10%以内、特に5%以
内となるような染色温度を選んで染色することが望まし
い。
【0062】また、染料移行を抑え同色性を確保するた
めには、低浴比化、染色時間の短縮化、染料選択が有効
である。上記セルロース繊維とポリエステル繊維とから
なる繊維製品の同色性を得る具体的条件は、使用する染
料の種類によってもその条件は様々に変化するので、一
義的に設定することは困難であるが、染色温度は120
℃〜135℃、染色時間は15〜60分、浴比は1:3
0〜1:3である。分散染料としては、分子量の小さい
Eタイプのものから比較的分子量の大きいSEタイプや
Sタイプを使用することができるが、好ましくは、比較
的分子量の大きい染料を使用することが望まれる。ま
た、染料を複数種類配合する場合は、1種類を主体染料
として用い、その他の染料は差し色程度に使用して色合
わせを行うことが望ましい。
【0063】使用する原体によっては100℃未満でも
同色性が達成できる場合もあるが、かかる温度で染色さ
れたものは、前述の染色堅牢度を満足できないので好ま
しくない。また上記分散染料染着率を有する繊維を使用
する本発明では135℃を越える温度は、多大の熱エネ
ルギ−を消費するだけで特に必要ではない。
【0064】染色にあたり使用される染色機は、繊維製
品の形態によって異なるが、分散染料でポリエステル繊
維を染色するときに使用される染色機であれば特に問題
なく使用できる。
【0065】上記の染色条件は、主に従来の浸染法によ
って両繊維の同色性を実現するための比較的低浴比での
条件を説明したが、低浴比といっても通常の浸染法で
は、被染物である繊維製品に対する水分量が必然的に多
くなり、一旦セルロース繊維側に染着した染料分子が、
染色処理中にポリエステル繊維側に移行しやすい。従っ
て、さらに同色性を向上させるためには、上述のセルロ
ース繊維とポリエステル繊維とを含む繊維製品を分散染
料で染色するに際して、分散染料の付与された該繊維製
品に含まれる水分量を繊維重量に対して100%以下と
なるようにした状態で100℃〜140℃の飽和水蒸気
で加熱処理することが好ましく、このような手法によっ
て染料を染着せしめると、セルロース繊維からポリエス
テル繊維への染料の移行が少なくなり、極めて同色性に
優れた繊維製品が得られる。
【0066】繊維製品の重量に対して100%を越える
水分が存在すると、飽和水蒸気による加熱時に過剰の水
分によりセルロース繊維の膨潤が過度に起こりやすく、
セルロース繊維中の重合体微粒子に一旦吸着した分散染
料が微粒子から離脱し、ポリエステル繊維側へ移動して
染着する傾向となる。繊維製品に対する水分量のコント
ロール方法は、具体的には染色方法によって異なり、浸
染法による場合と捺染法による場合に大別される。浸染
法による場合は、例えば、被染物である繊維製品を染浴
に導入した後、マングルなどの絞りローラーで過剰の染
液(水分)を絞りだして水分量を100%以下に調整す
ることができる。但し、水分量を少なくする場合、絞り
ローラーなどの装置的な限界があることと過剰の染液
(水)を繊維製品から絞り出す際に絞り斑ができること
があり、その斑が染色斑の原因となるので、実質的には
30%以上の水分量とすることが必要である。
【0067】一方、捺染(プリント)の場合、分散染料
を含む色糊組成物を繊維製品に印捺し、100℃以上の
温度で乾燥処理が行なわれるので、スチーマーなどに投
入される以前の段階では、水分量は繊維製品に対して1
00%以下となり、前述のような過剰の水分による両繊
維間での染料の取り合いの問題が少ない。浸染、捺染の
いずれにおいても、かかる所定量の水分量に調整され、
分散染料が繊維表面に付着した繊維製品を次いで100
〜140℃の飽和水蒸気の雰囲気で加熱処理することが
重要である。この加熱処理において、高温の飽和水蒸気
の存在によりセルロース繊維が適度に膨潤し、分子配列
のルーズになった状態の繊維内へ分散染料分子が浸透拡
散し、重合体微粒子へ染着しやすくなるのである。
【0068】100℃に満たない常圧スチーミング、1
00%飽和度に満たない過熱蒸気を使用する高温スチー
ミング、また、サーモゾル染色などでは本発明の目的を
達成することは困難である。飽和水蒸気温度が100℃
未満の場合、再生セルロース繊維及びポリエステル繊維
と共に分散染料に対する染着性が低下し濃色が得られ難
くなるので好ましくない。一方、飽和水蒸気温度が14
0℃を越えると、セルロース繊維に劣化を引き起こし繊
維の強度が低下するので好ましくない。セルロース繊維
の染色物に良好な耐光堅牢度を与えるために飽和水蒸気
の下限は120℃、上限は135℃が好ましい。また、
飽和水蒸気による加熱処理の時間は、10〜50分が好
ましく、特に好ましくは20〜40分である。
【0069】かかる方法で染色される繊維製品において
は、セルロース繊維中の分散染料の染着量Aとポリエス
テル繊維中の分散染料の染着量Bとの関係A/Bが0.
70以上となり、優れた同色性が達成できるという特徴
を有している。それぞれの染着量A,Bは、繊維製品か
らセルロース繊維とポリエステル繊維を取りだし、それ
らについて前記した方法で求めることができる。両繊維
間の染着比であるA/B値が小さいと濃淡差が目立って
くるので、好ましくは、該比が0.75以上が好まし
い。また、かかる比が大きくなり過ぎても同色性が達成
できないので1.3以下であることが好ましい。
【0070】この飽和水蒸気による加熱処理は、例え
ば、従来公知の高圧スチーミング(HP)の手法を採用
することができ、スチーマーとしては、バッチ型や連続
型の装置を使用することができる。具体的には、例え
ば、捺染に用いられるコッテージ型スチーマー、デデコ
型スチーマ、ビーム型スチーマ等を使用することがで
き、また気流染色仕上機として日阪製作所製のCUT−
AJ型を使用することができる。特に、繊維製品に対し
てよりソフトな風合やピーチスキン調のフイブリル化を
行いたい場合や、さらに上記のA/B値を0.90以上
としたい場合は、飽和水蒸気中の加熱方法として気流染
色仕上機で行うとより効果的である。
【0071】
【実施例】以下に本発明を実施例を用いてより具体的に
説明するが、本発明はそれにより限定されない。尚、本
発明において、平均粒径、重合体微粒子のガラス転移温
度、微粒子含有量、繊度、乾強度、湿潤強度は下記の方
法で求めた。
【0072】(1)平均粒径;電子顕微鏡で5,000
〜20,000倍に拡大した繊維断面において観察され
る微粒子について、微粒子形状が真円又は略円の場合は
直径を、非円形の場合はその長径を計り、一断面内に存
在する微粒子径の平均値を取り、これを5か所以上の断
面において行ないその平均値をとった。また、微粒子分
散液の状態のものは、マイクロトラック粒度分布測定装
置を用い、粒度分布を測定し、その最高ピーク点粒度
(MV値)を平均粒径とした。
【0073】(2)重合体微粒子のガラス転移温度(T
g);島津製作所製DSC−50型DSCを使用し、窒
素気流中、10℃/分の昇温速度で測定した。
【0074】(3)微粒子含有量;あらかじめ秤量され
た再生セルロース繊維サンプルをアルカリ水溶液又は銅
アンモニウム液で溶解し、溶解液をテフロン製メンブラ
ンフィルターまたは限外濾過膜で濾過し、重合体微粒子
を分離・乾燥して重量を求め、繊維重量当たりの含有率
を求めた。
【0075】 (4)繊度;JIS L 1013 7.3
【0076】 (5)乾強度;JIS L 1013 7.5.1
【0077】 (6)湿潤強度;JIS L 1013 7.5.2
【0078】参考例 本発明で使用した重合体微粒子A〜Iは、以下に示す微
粒子Aの製造方法と同様にして製造し、それらの組成、
粒径、Tgを表1に示した。尚、下記参考例中、『部』
は重量部を表す。
【0079】
【表1】
【0080】重合体微粒子Aの製造 還流冷却管付き反応容器にイオン交換水351部、ステ
アリン酸ナトリウム0.66部、ラウロイルザルコシン
酸ナトリウム0.11部を仕込み、窒素雰囲気下で撹拌
しながら70℃に昇温後過硫酸カリウム0.07部、メ
チルメタクリレート51.10部、スチレン9.03
部、ネオペンチルグリコールジメタクリレート6.02
部を一括添加して60分間反応させた。続いて、ラウリ
ルジフェニルエーテルスルホン酸ナトリウム1.89
部、過硫酸カリウム0.12部を添加した後、メチルメ
タクリレート94.9部、スチレン16.77部、ネオ
ペンチルグリシジルメタクリレート11.18部の混合
物を2時間かけて滴下し、滴下終了後さらに60分間反
応を継続した後、ラウリルジフェニルジスルホン酸ナト
リウムの50%水溶液{花王(株)製 ペレックスSS
−H}16.2部を添加した。以上の反応により、重合
体微粒子Aは平均粒径0.25μm 、固形分濃度35%
の水性分散液として得られた。
【0081】実施例1 常法により調整されたビスコース(セルロース濃度8.
0%、アルカリ濃度6.0%)に、350g/lの濃厚
アルカリ液を添加混合した後に、参考例で製造した重合
体微粒子Aの35%水性分散液を徐々に添加し、毎分1
000回転の高速撹拌機を用いて撹拌・混合し、微粒子
の対セルロース添加率20%、アルカリ濃度7.0%と
なるように調整し、1昼夜静置脱泡を行ない紡糸原液と
した。
【0082】ついで、この原液を、0.07mm×40
ホールの紡糸口金から凝固再生浴(H2 SO4 ;155
g/l、ZnSO4 ;22g/l、Na2 SO4 ;25
0g/l、バス温度60℃)へ吐出量11.9cc/分に
て紡出し、紡糸速度90m/分で従来公知の遠心式紡糸
装置により、延伸倍率20%で延伸し、ポットに巻き取
った後、精練、乾燥した。得られた糸条の繊度、乾強度
および湿潤強度を表2に示す。
【0083】
【表2】
【0084】得られた糸条を小型筒編機にて編地とな
し、分散染料スミカロン ブリリアント レッド SE
−2BF(住友化学製)を3%owf、ディスパーTL
を1g/l、ウルトラMTレベルを1g/lで用い、浴
比1:50、120℃×40分(40℃から120℃ま
で30分で昇温し、120℃で40分間保持)染色を行
い、染色後、NaOH 1g/l、Na2 SO4 1g
/l、アミラジン(第一工業製薬社製)1g/lにて8
0℃×20分還元洗浄し、次いで水洗(30分)、乾燥
(60℃×10分)を行った。得られた編地の分散染料
染着率および耐光堅牢度(変退色)を表2に示す。
【0085】次に、上記分散染料に可染性のレ−ヨン糸
とTiO2 を0.2%含有するポリエチレンテレフタレ
ートを用い、常法により紡糸・延伸した(紡速1000
m/分、延伸倍率3.5倍、延伸温度65℃、セット温
度140℃)75d/24fのポリエステルフィラメン
トとをインタ−レ−ス混繊し(糸速300m/分、エア
−圧2kg/cm2 )複合混繊糸を得た。
【0086】続いて得られた複合混繊糸を400回/m
(S撚)で撚糸した糸を経糸及び緯糸とし平組織で製織
した。この生機を精練・リラックスした後上記条件で浴
比のみを1:15に変更し染色した。染色後織物から糸
を解除し、さらに解撚後ポリエステルフィラメントとレ
−ヨンを分離した後、0.1g/d荷重で試料を採取し
各々のL* 、a* 、b* を測定しΔE* を求めた。染色
した織物の染色堅牢度とともに結果を表2に示す。
【0087】実施例2 実施例1において、重合体微粒子Aの対セルロース添加
率を2%とした以外は同様にして、対応するビスコース
レーヨン糸条を得た。得られたビスコースレーヨン糸条
に対して、実施例1と同様の評価を行った結果を表2に
示す。
【0088】実施例3 実施例1において、重合体微粒子Aの対セルロース添加
率を38%とした以外は同様にして、対応するビスコー
スレーヨンを得た。得られたビスコースレーヨン糸条に
対して、実施例1と同様の評価を行った結果を表2に示
す。
【0089】実施例4 実施例1において、重合体微粒子Aの代わりに重合体微
粒子Bを使用した以外は同様にして、対応するビスコー
スレーヨンを得た。得られたビスコースレーヨン糸条に
対して、実施例1と同様の評価を行った結果を表2に示
す。
【0090】実施例5 実施例1において、重合体微粒子Aの代わりに重合体微
粒子Cを使用した以外は同様にして、対応するビスコー
スレーヨンを得た。得られたビスコースレーヨン糸条に
対して、実施例1と同様の評価を行った結果を表2に示
す。
【0091】実施例6 実施例1において、重合体微粒子Aの代わりに重合体微
粒子Fを使用した以外は同様にして、対応するビスコー
スレーヨンを得た。得られたビスコースレーヨン糸条に
対して、実施例1と同様の評価を行った結果を表2に示
す。
【0092】実施例7 実施例1において、重合体微粒子Aの代わりに重合体微
粒子Gを使用した以外は同様にして、対応するビスコー
スレーヨンを得た。得られたビスコースレーヨン糸条に
対して、実施例1と同様の評価を行った結果を表2に示
す。
【0093】実施例8 実施例1において、重合体微粒子Aの代わりに重合体微
粒子Iを使用した以外は同様にして、対応するビスコー
スレーヨンを得た。得られたビスコースレーヨン糸条に
対して、実施例1と同様の評価を行った結果を表2に示
す。
【0094】実施例9 常法により調整されたビスコース(セルロース濃度8.
0%、アルカリ濃度6.0%)に、350g/lの濃厚
アルカリ液を添加混合した後、スチレン・アクリル系重
合体(粒子A)の27.5%水性分散液を徐々に添加
し、毎分1000回転の高速撹拌機を用いて撹拌・混合
し、微粉末の対セルロース添加率20%、アルカリ濃度
7.0%となるように調整し、1昼夜真空脱泡を行ない
紡糸原液とした。ついで、この原液を、0.07mm×
40ホールの紡糸口金から凝固再生浴(H2 SO4 ;1
55g/l、ZnSO4 ;22g/l、Na2 SO4
250g/l、バス温度60℃)へ吐出量9.35cc/
分にて紡出し、紡糸速度100m/分で従来公知の連続
紡糸装置により、延伸倍率18%で延伸した後、精練、
乾燥し巻き取った。得られた糸条は重量繊度102.1
デニール、乾強度1.52g/d、湿潤強度0.72g
/dであった。この糸条の基準染色条件下での染料染着
率は91.3%であった。
【0095】次ぎに、得られた糸条を小型筒編機にて編
地となし、分散染料スミカロン ブルー S−3RFを
用い、浴比1:50、3%owf、130℃×60分染
色を行い、染色後、NaOH 1g/l、Na2 2
4 1g/l、アミラジン(第一工業製薬社製)1g/
lにて80℃×20分還元洗浄し、ついで水洗(30
分)、乾燥(60℃×10分)を行った。その結果、染
着量26.9mg/gと濃色に染まっており、洗濯堅牢
度(変退色)が5級、ドライクリーニング堅牢度(変退
色)が5級、耐光堅牢度(変退色)が4〜5級、昇華堅
牢度(変退色)が4級、湿摩擦堅牢度も3〜4級と良好
で従来のレーヨン糸条の染色堅牢性とは全く異なる優れ
たものであった。また、この糸条の分散染料染着率は8
9.7%であった。
【0096】実施例10 常法により調製された銅アンモニアセルロース液に重合
体微粒子Aの35%水性分散液を徐々に添加し、毎分1
000回転の高速撹拌機を用いて撹拌・混合し、セルロ
ース濃度10%、アンモニア濃度7.2%、銅濃度3.
6%、微粒子の対セルロース添加率20%である銅アン
モニア液を紡糸液とし、0.8mm×75ホールの紡糸
口金より紡出し、紡糸速度400m/分で銅アンモニア
レーヨン繊維を製造した。得られた銅アンモニアレーヨ
ン糸条に対して、実施例1と同様の評価を行った結果を
表2に示す。
【0097】実施例11 重合度850でαセルロースが98%の木材パルプと重
合体微粒子Aとを40℃で真空乾燥し、N−メチルモル
フォリンオキサイド(N−MMO)の1水和物とともに
窒素置換下85℃で撹拌し、セルロース/重合体微粒子
A=70/30、セルロース濃度11%である紡糸原液
を調整した。この紡糸原液を0.10mm×100ホー
ルの紡糸ノズルを通して、エアギャップ長2.0cmと
し、N−MMO/水=30/70の凝固浴中に紡糸ドラ
フト12倍で乾式紡糸し、水洗乾燥して巻き取った。該
繊維の分散染料染着率は93.9%であった。得られた
繊維を実施例1と同様にして複合混繊糸とし、製織を行
って同色性と耐光堅牢度について評価したところΔE*
は1.6、耐光堅牢度は4〜5級であった。
【0098】比較例1 実施例1において、重合体微粒子Aの対セルロース添加
率を0.5%とした以外は同様にして、対応するビスコ
ースレーヨンを得た。得られたビスコースレーヨン糸条
に対して、実施例1と同様の評価を行った結果を表2に
示すが、ΔE* が非常に大きいことからわかるように、
染色ムラが大きく実用に耐えない織物しか得られなかっ
た。
【0099】比較例2 実施例1において、重合体微粒子Aの対セルロース添加
率を45%とした以外は同様にして、対応するビスコー
スレーヨンを得た。得られたビスコースレーヨン糸条に
対して、実施例1と同様の評価を行った結果を表2に示
すが、湿潤強度が低く、実用的な繊維強度が得られなか
った。さらに毛羽の巻き付きや断糸が多発し、工程通過
性も不十分であった。
【0100】比較例3 実施例1において、重合体微粒子Aの代わりに重合体微
粒子Dを使用した以外は同様にして、対応するビスコー
スレーヨンを得た。得られたビスコースレーヨン糸条に
対して、実施例1と同様の評価を行った結果を表2に示
すが、湿潤強度が比較的低く、また耐光堅牢度も不十分
であった。
【0101】比較例4 実施例1において、重合体微粒子Aの代わりに重合体微
粒子Eを使用した以外は同様にして、対応するビスコー
スレーヨンを得た。得られたビスコースレーヨン糸条に
対して、実施例1と同様の評価を行った結果を表2に示
すが、湿潤強度が低く、実用的な繊維強度が得られなか
った。さらに毛羽の巻き付きや断糸が多発し、工程通過
性も不十分であった。
【0102】比較例5 重合体微粒子Aの代わりに重合体微粒子Hを使用し、重
合体微粒子の対セルロース添加率を10重量%とするこ
と以外は実施例1と同様にして、対応するビスコースレ
ーヨンを得た。得られたビスコースレーヨン糸条に対し
て、実施例1と同様の評価を行った結果を表2に示す
が、ΔE* が大きく、耐光堅牢度も実施例に比較して低
いレベルにとどまった。
フロントページの続き (72)発明者 谷本 直樹 岡山県倉敷市玉島乙島7471番地 株式会 社クラレ内 (72)発明者 岩佐 英治 岡山県倉敷市玉島乙島7471番地 株式会 社クラレ内 (72)発明者 井上 一郎 岡山県倉敷市玉島乙島7471番地 株式会 社クラレ内 (72)発明者 平川 清司 岡山県倉敷市酒津1621番地 株式会社ク ラレ内 (72)発明者 大北 順二 岡山県倉敷市玉島乙島7471番地 株式会 社クラレ内 (56)参考文献 特開 平1−20313(JP,A) 特開 昭61−160411(JP,A) 特開 平8−74118(JP,A) 特開 平8−170224(JP,A) 特開 平8−170219(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) D01F 2/00 - 2/30 D02G 3/04 D06P 3/82

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分散染料により染色可能である重合体微
    粒子を1〜40重量%含有する再生又は溶剤紡糸セルロ
    ース繊維であって、該重合体微粒子の平均粒径が0.0
    5〜5μmであり、かつ該重合体微粒子のガラス転移温
    度(Tg)が10℃/分の昇温速度で測定したときに1
    10℃以上であることを特徴とする再生又は溶剤紡糸セ
    ルロース繊維。
  2. 【請求項2】 重合体微粒子がアクリル系重合体である
    ことを特徴とする請求項1に記載のセルロース繊維。
  3. 【請求項3】 重合体微粒子を構成する繰り返し単位の
    20〜100重量%がメチルメタクリレート単位である
    ことを特徴とする請求項1または2に記載のセルロース
    繊維。
  4. 【請求項4】 重合体微粒子が架橋構造を有することを
    特徴とする請求項2又は3に記載のセルロース繊維。
  5. 【請求項5】 分散染料により染色されており、耐光堅
    牢度が3級以上であることを特徴とする請求項1乃至4
    のいづれか1項に記載のセルロース繊維。
  6. 【請求項6】 セルロース繊維がビスコースレーヨン繊
    維であることを特徴とする請求項1乃至5のいづれか1
    項に記載のセルロース繊維。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至6のいづれか1項に記載の
    セルロース繊維とポリエステル繊維とを含む繊維製品。
  8. 【請求項8】 セルロース繊維とポリエステル繊維の双
    方が分散染料で染色され、両繊維の同色性△E* が10
    以下であることを特徴とする請求項7に記載の繊維製
    品。
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