JP2859875B2 - ポリエステルと絹の混繊糸 - Google Patents

ポリエステルと絹の混繊糸

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、ポリエステルフィラメント糸と絹長繊維糸
からなる新規な混繊糸に関する。 本発明のかかるポリエステルと絹の混繊糸は、織物、
編物、粗物などにされて、その特徴を生かして高級衣料
用途あるいは高級装飾用途などに最適に用いられるもの
である。 [従来技術] 従来、ポリエステルフィラメント糸と絹長繊維糸とが
混繊された糸としては、たとえば、特公昭44−16826号
公報、特公昭45−8733号公報、特開昭57−183409号公
報、特開昭60−194106号公報などに記載されたものが知
られている。 しかしながら、これらに記載されている混繊糸は、単
に絹の繰糸工程でポリエステルフィラメント糸を混繊す
るという、単なる所謂混繰糸製造技術で得られるもので
あり、このようにして得られる糸あるいはこの糸を用い
た布帛は一般に染色加工時には分散染料を用いて高圧下
で、つまり染浴温度で言えば120〜130℃で染色をする必
要があり、そのために、混繊されている絹糸の強度低下
や、スレと呼ばれるフィブリル化、風合の粗硬化、絹光
沢の低下、色の黄化などを招くものであり、結局は、せ
っかく混繊して用いた絹の特長が大きく損われてしまう
という不都合があるものであった。 また、特開昭60−94638号公報や、特開昭61−152843
号公報にも、ポリエステルフィラメント糸と絹とからな
る混繊糸が提案されているが、これらの混繊糸は、ポリ
エステルフィラメント糸が常圧可染型のポリエステル、
つまり染浴温度が100℃以下で染色可能なテレフタル酸
とエチレングリコールとの共重合体に第3成分としてア
ニオン性基を含むアルカリ金属塩、アルカリ土類金属
塩、またはアンモニウム塩等を有するカチオン染料に可
染のポリエステル繊維からなるものであって、この種の
ポリエステル繊維で常圧可染性を得んとする場合、一般
に該ポリエステルフィラメント糸の強度は極めて低いも
のにならざるを得なく、また、この混繊糸あるいはこの
糸を用いた布帛を絹糸の精練処理工程に供した際には、
精練処理前に比してポリエステルフィラメント糸の強度
低下と伸度低下が著しく大きく、結局、製編織時に糸切
れがし易く高次加工性が極めて低いこと、加えてまた精
練布帛も低強度である等の理由から用途範囲がかなり限
定されてしまい汎用性が全く乏しいものであった。また
さらに、カチオン染料で無地染めまたはプリント染めす
る場合は、染色釜の汚れ、プリント台の汚れ等を生じた
り、あるいは、生産上時々生ずる染めむらや色相違いが
発生した場合には脱色が困難で、また脱色・再染色によ
る修正も強度低下が著しいことから難しい等という不都
合があるものであった。 [発明が解決しようとする問題点] 上記した従来のいずれの技術においても、ポリエステ
ル繊維の高温染色によってせっかくの絹が持っている特
徴や特性を損ったり低下させてしまったり、あるいは、
絹の精練によってポリエステル繊維が持つ特徴や特性を
著しく損ねてしまうこと、さらには染色が困難であるな
どの問題があり、所望したせっかくの混繊効果をうまく
製品において発揮せしめることが難しかったのが実状で
ある。 本発明者らは上記したような点に鑑み、従来のポリエ
ステルと絹の混繊糸の有する数々の不都合を解消し得
て、ポリエステルと絹の双方の特長を十二分に発揮し得
る新規な混繊糸について鋭意検討を重ねた結果、本発明
に到達したものである。 すなわち、本発明の目的は、特に、ポリエステル繊維
の高温染色に基づく絹の特性・特長の低下と、絹精練に
基づくポリエステル繊維の特性・特長の低下などの、ポ
リエステル繊維と絹繊維の混繊糸に固有の問題を見事に
改善せしめ得るポリエステルと絹の新規な混繊糸を提供
せんとするものである。 [問題点を解決するための手段] 上記した目的を達成する本発明のポリエステルと絹の
混繊糸は、以下の構成からなるものである。 すなわち、ポリエステルフィラメント糸と絹長繊維の
繭糸からなる混繊糸であって、該ポリエステルフィラメ
ント糸が分子量300〜4000のポリアルキレングリコール
をポリエステルフィラメント糸全重量に対して5重量%
以上20重量%未満共重合してなる常圧分散染料可染型ポ
リエステルからなり、強度が3.5g/d以上、かつ本文中で
定義する絹の精練条件での精練処理前後の強度低下率ま
たは伸度低下率が30%以下であり、個々の絹長繊維の繭
糸がポリエステルフィラメント糸の周りに実質的に開繊
状態を呈して纏絡してなることを特徴とするポリエステ
ルと絹の混繊糸である。 [作用] 以下、図面等にしたがって、本発明のポリエステルと
絹の混繊糸について更に詳細に説明する。 第1図は、本発明のポリエステルと絹の混繊糸の1例
をモデル的に示す糸側面概略図であり、1はポリエステ
ルフィラメント糸、2は絹長繊維の繭糸である。 本発明のポリエステルと絹の混繊糸に用いられるポリ
エステルフィラメント糸としては、一種以上の第3成分
を、5重量%以上20重量%未満程度共重合したアルキレ
ンテレフタレートを主たる繰返し単位としてなってい
て、常圧下で分散染料に可染のポリエステルのフィラメ
ント糸を好ましく用いることができる。ここで、上記ア
ルキレンテレフタレートを主たる繰返し単位とするポリ
エステルとは、テレフタル酸およびそのエステル形成誘
導体をジカルボン酸成分とし、炭素数2〜6のアルキレ
ングリコール、すなわち例えばエチレングリコール、ト
リメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペ
ンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコールな
どをグリコール成分として用いているポリエステル繊維
であり、中でも特に好ましく本発明に用いられるのは、
エチレングリコールやテトラメチレングリコールをグリ
コール成分として用いているポリエステル繊維である。
上記の共重合成分たる第3成分としては、アジピン酸、
セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタリ
ンジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の
多官能カルボン酸、p−オキシ安息香酸等のオキシカル
ボン酸、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコー
ル、p−キシレングリコール、1,4−シクロヘキサンジ
メタノール、2,2−ビス(4′−オキシフェニル)プロ
パンや、分子量300〜4000のポリアルキレングリコール
等のジオール成分や、これらのエステル形成性誘導体等
が挙げられる。これら共重合成分は、1種で用いるか又
は2種以上で併用して用いるものであり、特にイソフタ
ル酸−ポリアルキレングリコールや、アジピン酸−ポリ
アルキレングリコールの系を用いるのが好ましいもので
ある。なお、常圧分散染料可染型ポリエステルポリマに
は、つや消剤、着色防止剤、抗酸化剤、耐光剤、蛍光
剤、顔料などの添加剤を適宜含有させて用いても差支え
ない。なお、第3成分の共重合量は、ポリエステルフィ
ラメント糸全重量に対し5重量%以上20重量%未満程度
とするのがよく、より好ましくは8重量%以上15重量%
未満のものである。共重合量が5重量%未満では染色性
が劣り本発明における所期の効果が概して不十分であ
り、また20重量%以上では染色性は満足し得ても、原糸
物性特に原糸の強度が低下するので好ましくない。 本発明の混繊糸において、常圧分散染料可染型ポリエ
ステルフィラメント糸は、90℃の染色温度で、公知の分
散染料Resoline Blue FBL(BAYER社製)2%owf、浴比
1:100の染色条件で1時間染色したときの染料吸尽率
(%)が、80%以上であるものを用いることが望まし
く、より好ましくは90%以上のものを用いるのがよい。 本発明の混繊糸を得るに際して用いられる常圧分散染
料可染型ポリエステルフィラメント糸の強度は、3.5g/d
以上であることが必要である。すなわち、混繊糸の製編
織準備工程や製編織工程においては絹のセリシンが付着
しているため、通常のポリエステルフィラメント100%
からなる糸を用いて編織物を製編織するときに比べて高
い張力を必要とし、また高い摩擦力を受けることも多い
ため、該強度が3.5g/d未満のものを用いるときには製編
織工程で糸切れや毛羽立ちの問題が生じて高次加工性が
劣り好ましくなく、特に強度4g/d以上のものを用いるの
がよい。 さらに、本発明の常圧分散染料可染型ポリエステルフ
ィラメント糸は、絹の精練条件での強度低下率が30%以
下のもの、または伸度低下率が30%以下のものを用いる
ことが肝要であり、好ましくは強度低下率が20%以下の
ものまたは伸度低下率が20%以下のものを用いるのがよ
い。また、好ましくは強度低下率と伸度低下率の双方の
値が、30%以下のものを用いること、より好ましくは20
%以下のものを用いるのがよい。これらの値の一方もし
くは双方が30%を越えると、加工編織物の引裂き強力や
耐摩耗性が低下して商品の耐久性の点で劣り薄地編織物
用途での商品展開が難しくなる。すなわち、一般に、本
発明のような絹を含んでなる混繊糸は編織物等にされて
後、更に絹長繊維に付着しているセリシンの精練除去工
程に供されることが多いが、従来の混繊糸では、一般に
絹の精練工程を経ることによりポリエステル繊維糸の強
度や伸度が著しく低下してしまい、これが実用上大きな
問題となり、逆に、ポリエステル繊維の強度低下や伸度
低下を少なくしようとすると、編織物中にセリシンが残
存し黄変や染色堅牢度の点で劣るという問題があったの
であるが、本発明によれば、そのような問題は生じな
い。 なおここで、ポリエステルフィラメント糸の強度は、
混繊糸については、該混繊糸中から分解針等を用いて絹
フィラメント糸と丁寧に分繊して取出したポリエステル
フィラメント糸をあるいは混繊前であればその単独のポ
リエステルフィラメント糸を、20℃×65%RHのデシケー
タ中で24時間以上調湿した後、フィラメント糸の繊度の
0.1倍の重さの荷重をかけて(0.1g/d)見掛繊度を求め
る。次にインストロン型の引張り試験機を用いて、20℃
×65%RHのデシケータ中で24時間以上調湿したフィラメ
ント糸の一方をクランプし、他方に初荷重0.1g/dをか
け、さらに該荷重を回転させて、フィラメント糸に250
〜300T/mのヨリをかけ、試長20cm、引張速度20cm/分の
条件で強力と伸度を求めた後、強度を該強力値と前記見
掛繊度値とから求めるものである。 また、絹の精練条件での精練処理前後のポリエステル
フィラメント糸の強度低下率と、絹の精練条件での精練
処理前後のポリエステルフィラメント糸の伸度低下率と
は、該混繊糸または混繊前であればポリエステルフィラ
メント糸を、絹の代表的精練法である石鹸ソーダ法に従
い、マルセル石鹸5g/、ソーダ灰0.5g/、精練液の浴
比1:300、温度98℃で3時間処理し、これを十分に温湯
で洗浄し、乾燥した後、上記の強度の測定法により、精
練処理後のポリエステルフィラメント糸の見掛繊度、強
力、伸度、強度を求め、さらに精練処理前のポリエステ
ルフィラメント糸の強度、伸度から次式で求められる値
である。 本発明の混繊糸の混繊形態は、個々の絹長繊維の繭糸
がポリエステルフィラメント糸の周りに纏絡しているも
のであり、このような混繊構造であることから、外観や
タッチは絹の良さが十分に生かされていて、かつポリエ
ステル糸による良好な強伸度などの物理特性を有するも
のとなり、良好な風合、外観、物理特性を兼ね備えたも
のとなる。纏絡構造としては、個々の繭糸が実質的に開
繊された状態を呈しつつ纏絡しているのが、大きな混繊
効果を得ることができるので好ましい。本発明における
実質的に開繊されて状態を呈しつつ纏絡するとは、絹長
繊維の繭糸の単糸同士がセリシン等で連続的に接合する
ことなく単糸が分散され、空間を保持しつつ、繊維が開
かれている状態のことをいう。具体的には、第1図に示
したような、個々の繭糸が実質的にランダムでかつ相互
に異なる位相の螺旋状を呈してポリエステルフィラメン
ト糸の周りに捲回しつつ十分に開繊された状態を呈しつ
つ纏絡している構造や、個々の繭糸が比較的偏平な状態
を呈しつつ開繊して捲回されている第2図に示したよう
な構造や、各々の繭糸が開繊されているが、生糸のよう
にある程度の本数が収束された状態で捲回している構造
などが挙げられる。そして、特に第1図に示したよう
な、十分に開繊された個々の繭糸が実質的にランダムで
かつ相互に異なる位相の螺旋状を呈してポリエステルフ
ィラメント糸の周りに捲回しつつ纏絡している構造のも
のが、本発明者らの知見によれば絹を用いた混繊糸とし
ての効果、商品価値などの点から最も好ましいものであ
る。第2図に示したような構造のものは、いわば合撚糸
のような構造であり、織物にされた場合、ポリエステル
フィラメント糸と絹長繊維糸の光沢等の特性差で特殊な
表面効果を得ることができるがミックス効果としては小
さい。 またさらに、本発明の混繊糸ではポリエステルフィラ
メント糸と各々の繭糸、または各々の繭糸と繭糸の接触
部の一部がセリシンによって部分的に接着されている構
造になっていることが好ましいものであり、かかる構造
であると該混繊糸が製編織される際に、接着構造による
収束効果があるので分繊や素抜けが生じ難くなり好まし
いものであり、特に望ましくは、少なくとも、生糸繰糸
機を用いた混繰工程で接着を容易に生ぜしめやすい繭糸
と繭糸の接触部の一部については、該接着部にて接着を
させておくことが、製編織工程などでの好都合をもたら
すものである。 本発明の混繊糸は、例えば第3図に示したような生糸
繰糸機を用いた混繊糸の製造法により製造することがで
きる。 すなわち、第3図に概略を示したような、混繊ができ
るようにされた生糸繰糸機を用いて、常圧分散染料可染
型ポリエステルフィラメント糸3を、ガイド4、パイプ
5を通して繰糸槽6中の繰糸浴7の中に浮繰している繰
糸繭8から引き出された緒糸9の中央を通過させなが
ら、回転接緒器10の中に導いて、該ポリエステルフィラ
メント糸3の周りに緒糸9即ち各々の繭糸が開繊状態で
捲回しつつ纏絡した混繊糸となして、さらに、該混繊糸
を固定ローラ11、12の間でケンネル13を形成させ、ポリ
エステルフィラメント糸3と各々の繭糸を抱合させて繊
度感知器14、固定ローラ15、移動ローラ16、綾振りガイ
ド17を経て小枠18に巻取り、本発明の混繊糸を得ること
ができる。上記したポリエステルフィラメント糸と各々
の繭糸や、各々の繭糸と繭糸の接触部の一部がセリシン
によって部分的に接着されている混繊糸は、生糸繰糸機
上で混繊すると、繭糸のセリシンが濡れていて糊のよう
な状態になっているので、混繊後、これを適宜乾燥する
ことにより得ることができる。 本発明ではさらにポリエステルフィラメント糸とし
て、断面が三葉形で、単繊維繊度が3.5デニール以下の
ものを用いれば、絹フィラメント糸の光沢との差が少な
くなり、編物や織物の中で光沢差によるイラツキが少な
く、布帛の外観を損うことが少なくて好ましい。 またポリエステルフィラメント糸の沸騰水収縮率が5
〜15%であれば、絹長繊維糸の沸騰水収縮率が一般に2
%以下であり両糸の収縮差により、2層構造が極めて明
確な混繊糸が得られ、芯側にポリエステル、鞘側に絹が
配列された嵩高でかつ表面変化のある糸又は布帛が得ら
れる。 なお一方、布帛表面が均斉で、外観のきれいな布帛を
得るためには、ポリエステルフィラメント糸の沸騰水収
縮率を5%未満のものを用いるのがよい。特に好ましく
は2%未満である。 [実施例] 以下、実施例に基づき本発明のポリエステルと絹の混
繊糸の具体的構成、効果についてさらに詳細に説明す
る。 実施例1 ジメチルテレフタレート150kg、エチレングリコール1
02kg、酢酸カルシウム1水塩45g、酢酸コバルト4水塩3
3.8g、三酸化アンチモン60gの混合物にジメチルアジペ
ート8.6kg(5.1重量%対ポリマ)を添加し、大気圧下14
0℃から235℃まで撹拌しながら4時間かけて昇温し、エ
ステル交換反応を終了した。次いで分子量1000のポリエ
チレングリコール10kg(6重量%対ポリマ)とトリメチ
ルフォスフェイト64.5g、二酸化チタンを16重量%含有
したエチレングリコールスラリーを520g、および酸化防
止剤であるイルガノック100(チバガイギ社製)150gを
添加した後、2時間で240℃から280℃に昇温し、かつ1
時間かけて760mHgから1mmHgまで減圧し、1mmHg以下の減
圧を維持して280℃でさらに2.5時間反応させて極限粘度
0.70のポリエステルチップを得た。 次いで得られたチップを真空乾燥し、12ホールのY孔
口金を使用し、紡糸温度290℃、紡糸速度1100m/分で溶
融紡糸後、延伸温度90℃、熱処理温度150℃、延伸速度2
50m/分で残留伸度が30〜40%になるように延伸し、30デ
ニール、12フィラメントの延伸糸を得た。該延伸糸の強
度は4.8g/d、伸度34%、染料吸尽率96%、沸騰水収縮率
7%であった。なお、ポリマの極限粒度はo−クロロフ
ェノールを溶媒としてオスワルド粘度計により、25℃で
測定した値である。 こうして得られた常圧分散染料可染ポリエステルフィ
ラメント糸を、第3図に示す混繊生糸繰糸機に供給し
て、第1図に示すような糸構造を有していて、上記30デ
ニール、12フィラメントのポリエステルフィラメント糸
におおよそ7本の繭糸が纏絡していて、かつ繭糸とポリ
エステルフィラメント糸の接触部の一部と繭糸と繭糸の
接触部の一部でセリシンによって部分的に接着された構
造を有している平均値51デニールの本発明の混繊糸を得
た。 この本発明の混繊糸を、通常のネン糸機で200T/mのヨ
リをかけ、綛繰り機で綛にした後、マルセル石鹸5g/
、ソーダ灰0.5g/の精練液の浴比1:300、温度98℃で
3時間処理し、十分に湯温で洗浄して乾燥し、強度およ
び伸度を測定したところ、精練処理前の強度は4.7g/d、
伸度は33%で、絹精練条件での強度低下率は6.7%、伸
度低下率は1.5%であった。 さらに比較として、市販の通常のポリエステルフィラ
メント糸30デニール、12フィラメント、強度5.0g/d、伸
度34%、沸騰水収縮率8%の延伸糸と、市販のカチオン
染料可染ポリエステルフィラメント糸30デニール、12フ
ィラメント、強度3.0g/d、伸度33%、沸騰水収縮率7%
の延伸糸を用いて、それぞれ上記実施例1と同様にして
絹との混繊糸を得た。見掛繊度はいずれも平均値51デニ
ールであった。 これら実施例と比較例の糸の計3水準の混繊糸に300T
/mのヨリをかけて、それぞれ密度130×108本/インチの
平織羽二重を製織し、マルセル石鹸5g/、ソーダ灰0.5
g/の精練液中(温度98℃)で3時間吊り精練した後、
十分に温湯で洗浄し、自然乾燥して羽二重精練布を得
た。得られた精練布は、いずれも織物表面に絹が比較的
多く浮き、絹の触感をもったふくらみのある良好な織物
であった。さらにこれら3水準の精練布を、それぞれ、
本発明の常圧分散染料可染ポリエステルと絹の混繊糸使
いは分散染料98℃の条件で、カチオン染料可染ポリエス
テルと絹の混繊糸使いはカチオン染料98℃でステンレス
製の染色槽内で吊り染色し、通常のポリエステルと絹の
混繊糸使いは分散染料130℃で高圧染色して、いずれも
ポリエステル糸のみを染色した。 これら織物の加工性、織物および織物(生機、精練
布)から分解した糸の特性について評価した結果を第1
表に示す。 ここで、引き裂き強力はJIS L 1096一般織物試験方法
に準じ、ペンジュラム法で測定したタテ糸が切断される
方向の値であり、折目摩耗強力は、JIS L 1096一般織物
試験方法のユニバーサル形摩耗試験機を用いて測定した
タテ糸方向摩擦の値である。 第1表からもわかるように、本発明の混繊糸は、強度
も高く製織および精練、染色加工でのトラブルが少な
く、また織物の品位、強度的な機能特性が良好な織物が
得られるものである。 また、比較例1の通常のポリエステルと絹の織繊糸使
い生機をキャリアを併用してポリエステル糸のみを染色
した場合、絹の黄化を防ぐために140〜150℃の乾熱セッ
トをした場合ではキャリアが残存し織物に悪臭が残るも
のであった。これに対して180℃以上の乾熱セットをし
た場合では悪臭は少なくなるものの絹繊維の黄化と強力
低下が著しく好ましくなかった。 [発明の効果] 以上述べた通りの本発明の混繊糸によれば、常圧分散
染料可染ポリエステルフィラメント糸が、常圧で100℃
以下の温度で分散染料染色可能なため混繊された絹の強
度低下、スレ、風合の粗硬化、絹光沢の低下、黄化など
絹の特徴を失うか、低下させることが少なく、染色釜の
汚れ、プリント台の汚れが少なくて、生産上時々生ずる
染めむら、色相違いの場合の脱色再染色修正が比較的容
易である。常圧可染性がありながら強度が高く、製編織
時に糸切れや毛羽立ちも少なく、絹の精練条件でのポリ
エステルフィラメント糸の強度低下率または伸度低下率
が30%以下であるため編織物の引き裂き強力や耐摩耗性
が低下することが少なくて、薄地用途の編織物設計も容
易である。
【図面の簡単な説明】 第1図および第2図は、本発明のポリエステルと絹の混
繊糸の1例構造をモデル的に示した糸側面概略図であ
る。 第3図は、本発明の混繊糸を製造する工程の一実施態様
例を説明する工程概略図である。 1、3:常圧分散染料可染型ポリエステルフィラメント糸 2:絹長繊維の繭糸 6:繰糸槽 7:繰糸浴 8:繰糸繭 9:緒糸 10:回転接緒器 13:ケンネル
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−94638(JP,A) 特開 昭61−152843(JP,A) 特開 昭61−152841(JP,A) 特開 昭60−194106(JP,A)

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 1.ポリエステルフィラメント糸と絹長繊維の繭糸から
    なる混繊糸であって、該ポリエステルフィラメント糸が
    分子量300〜4000のポリアルキレングリコールをポリエ
    ステルフィラメント糸全重量に対して5重量%以上20重
    量%未満共重合してなる常圧分散染料可染型ポリエステ
    ルからなり、強度が3.5g/d以上、かつ本文中で定義する
    絹の精練条件での精練処理前後の強度低下率または伸度
    低下率が30%以下であり、個々の絹長繊維の繭糸がポリ
    エステルフィラメント糸の周りに実質的に開繊状態を呈
    して纏絡してなることを特徴とするポリエステルと絹の
    混繊糸。 2.絹長繊維の個々の繭糸が、実質的に開繊状態を呈し
    ていて、かつ実質的にランダムでかつ相互に異なる位相
    の螺旋状を呈してポリエステルフィラメント糸の周りに
    捲回し纏絡してなることを特徴とする特許請求の範囲第
    (1)項記載のポリエステルと絹の混繊糸。 3.ポリエステルフィラメント糸と絹長繊維の繭糸との
    接触部の一部または繭糸どうしの接触部の一部が、セリ
    シンによって部分的に接着されていることを特徴とする
    特許請求の範囲第(1)項または第(2)項記載のポリ
    エステルと絹の混繊糸。
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