JP2000096447A - 染色堅牢性が改良されたセルロース繊維および繊維製品 - Google Patents

染色堅牢性が改良されたセルロース繊維および繊維製品

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JP2000096447A
JP2000096447A JP10258448A JP25844898A JP2000096447A JP 2000096447 A JP2000096447 A JP 2000096447A JP 10258448 A JP10258448 A JP 10258448A JP 25844898 A JP25844898 A JP 25844898A JP 2000096447 A JP2000096447 A JP 2000096447A
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fiber
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particles
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Toru Morita
徹 森田
Kiyoshi Fujieda
清 藤枝
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Asahi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】分散染料にて染色可能であり、きわめて優れた
湿摩擦堅牢性を示し、かつ従来のセルロース繊維と同等
の力学物性を有するとともに、高い発色性、鮮明深色
性、優れた光沢性を有するセルロース繊維およびその繊
維製品を提供する。 【解決手段】(1) 分散染料により染色可能な重合体微粒
子を1〜40重量%含有するセルロース繊維であって、
少なくとも繊維の表面がセルロースの水酸基と反応する
官能基を2つ以上有する化合物により実質的に架橋され
ているセルロース繊維。(2) 前記セルロース繊維を用い
た繊維製品。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、分散染料にて染色
可能で、充分な力学物性を持つとともにきわめて優れた
湿摩擦堅牢性を示し、さらに高い発色性、鮮明深色性、
優れた光沢性を有するセルロース繊維およびその繊維製
品に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、セルロース繊維製品は水膨潤時の
染色堅牢性が悪く、洗濯時の摩擦による退色や他の繊維
製品への汚染などが問題となることが多いため、フォー
マルブラックなどの極濃色使いの製品の用途が限定され
てしまうことが多い。セルロース繊維の一般的な染料で
ある直接染料は、湿摩擦堅牢性を向上させるためにフィ
ックス剤等による後処理が行われるが、充分な堅牢性は
得られていない。また、反応染料の堅牢性は直接染料よ
り優れた性能を示すが、濃色に染めたときでは湿潤時の
摩擦によって他の繊維製品への汚染が目立ち問題であ
る。一方、水に不溶性の染料であるバット染料は、上記
2種の染料に比較して高い水準の湿摩擦堅牢性が得られ
るが、色相が鮮明度に欠けて中間色系しか得られない
上、高価である欠点があった。またこれらの染色品にお
いて、湿摩擦堅牢度を向上せしめるために染色後に樹脂
加工を行う技術が知られている。しかし、これらの後加
工法を採用しても、極濃色では充分な湿摩擦堅牢性が得
られなかった。
【0003】一方、ポリエステルの染料として汎用性の
高い分散染料は水に難溶性であり、セルロース繊維が分
散染料に染色可能となれば湿摩擦堅牢性が向上すること
が期待され、またポリエステルやアセテート繊維との複
合繊維製品における染色工程の手間や時間が削減される
利点が生じる。分散染料で染色可能なセルロース繊維を
得る方法としては、ポリエステル微粒子やアクリル・ス
チレン系重合体微粒子、アクリル系重合体微粒子などの
分散染料にて染色可能な微粒子を、紡糸原液に添加して
紡糸し、セルロース繊維を分散染料可染化することによ
り、湿摩擦堅牢度が3級以上の繊維が得られることが開
示されている(例えば特開平8−74118号公報、特
開平9−78336号公報など)。
【0004】しかしながら、分散染料にて染色可能な微
粒子を添加した繊維においても、極濃色の黒色などの濃
染色における湿摩擦堅牢度は充分ではなかった。特に銅
アンモニアレーヨン繊維やポリノジックレーヨン繊維な
どの繊維表面構造が弱く、揉みや摩擦によってフィブリ
ル化し易いセルロース繊維の場合には、分散染料可染化
した場合でも湿摩擦堅牢度は1級と全く不充分であっ
た。さらに、上記技術では、微粒子の凝集により繊維に
欠陥ができて強伸度物性の低下をもたらす問題、繊維の
光沢や発色性が低下し、優れた色彩が得られないという
問題があった。以上のように、さまざまな染色技術の向
上や繊維の改質により湿摩擦堅牢性の向上は見られる
が、濃色に染めた繊維製品において充分な湿摩擦堅牢性
を有するセルロース繊維製品は得られていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上記
従来技術の問題点をなくし、分散染料にて染色可能であ
り、きわめて優れた湿摩擦堅牢性を示し、かつ従来のセ
ルロース繊維と同等の力学物性を有するとともに、高い
発色性、鮮明深色性、優れた光沢性を有するセルロース
繊維およびその繊維製品を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、セルロー
ス繊維を分散染料可染化し、さらに特定の樹脂加工を施
すことにより、極濃色においても4級以上の湿摩擦堅牢
度を達成することができることを見出した。すなわち、
本願で特許請求される発明は以下のとおりである。
【0007】(1)分散染料により染色可能な重合体微
粒子を1〜40重量%含有するセルロース繊維であっ
て、少なくとも繊維の表面がセルロースの水酸基と反応
する官能基を2つ以上有する化合物により実質的に架橋
されていることを特徴とするセルロース繊維。 (2)前記重合体微粒子を構成する繰返し単位として、
(A)−COOR、−SO3 R、−PO3 R(但し、R
は水素原子、アルカリ金属またはNH4 を示す)から選
ばれる電離官能基の少なくとも1種を有するモノマと、
(B)−OH基、−NHR1 基、−CONHR1 基(R
1 は水素原子、または炭素数1〜6の有機基を示す)か
ら選ばれる親水性官能基の少なくとも1種を有するモノ
マがそれぞれ1〜25重量%の範囲で共重合されてお
り、かつ(A)と(B)の総量が2〜30重量%である
ことを特徴とする(1)記載のセルロース繊維。 (3)前記重合体微粒子の平均粒径が0.01〜0.0
5μmであり、セルロース繊維の横断面における該重合
体微粒子の数が10〜1000個/μm2 であることを
特徴とする(1)または(2)記載のセルロース繊維。 (4)前記セルロース繊維が銅アンモニアレーヨンであ
ることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の
セルロース繊維。 (5)(1)〜(4)のいずれかに記載されたセルロー
ス繊維を用いた繊維製品。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明においてセルロース繊維と
は、綿などの天然セルロース繊維以外の化学セルロース
繊維を意味し、短繊維、長繊維の両方の繊維を含む。具
体的には、銅アンモニアレーヨン繊維およびビスコース
レーヨン繊維、セルロースカルバメート繊維などの再生
セルロース繊維や、冷水酸化ナトリウム水溶液などのア
ルカリ水溶液にセルロースを直接溶解後紡糸して得られ
るセルロース繊維等をいう。特に、繊維表面構造が弱
く、湿潤状態で揉みや摩擦によってフィブリル化し易い
セルロース繊維、例えばポリノジック、ハイウェットモ
ジュラスレーヨンや銅アンモニアレーヨン繊維等が好適
である。また、本発明における繊維製品には、当該セル
ロース繊維のみから構成される糸、中空糸、多孔糸、
綿、紐、編物、織物、不織布およびこれらを使用した衣
類、医療用器具、生活資材、産業用資材等はもちろんの
こと、当該セルロース繊維を少なくとも一部に使用した
繊維製品が含まれる。
【0009】本発明に用いられる重合体微粒子は、分散
染料で染色可能であればどのような構造のものを用いて
もよく、分散染料にて染色可能な重合体としては、重縮
合系重合体とビニル系重合体が挙げられる。重縮合系重
合体としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポ
リトリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタ
レート等のポリエステルおよびそれらを主成分とする共
重合体、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミドおよ
びそれらを主成分とする共重合体などが挙げられ、ビニ
ル系重合体としては、ポリメチルメタアクリレート、ポ
リフェニルメタアクリレート、スチレン・メチルメタア
クリレート系重合体、スチレン・アクリルアミド系重合
体、スチレン・アクリロニトリル系重合体、エチルヘキ
シルアクリレート・メチルメタアクリレート共重合体、
エチルヘキシルアクリレート・アクリルアミド共重合
体、エチルヘキシルアクリレート・アクリロニトリル共
重合体、メチルメタアクリレート・ブチルアクリレート
共重合体、メチルメタアクリレート・アクリルアミド共
重合体、メチルメタアクリレート・アクリロニトリル共
重合体、メチルメタアクリレート・フェニルメタアクリ
レート共重合体、メチルメタアクリレート・安息香酸ビ
ニル共重合体、メチルメタアクリレート・ベンジルメタ
アクリレート共重合体、スチレン・メチルメタアクリレ
ート・アクリロニトリル共重合体、スチレン・メチルメ
タアクリレート・アクリルアミド共重合体、スチレン・
メチルメタアクリレート・ブチルアクリレート共重合
体、スチレン・メチルメタアクリレートヒドロキシエチ
ルアクリレート共重合体、スチレン・メチルメタアクリ
レート・安息香酸ビニル共重合体、スチレン・メチルメ
タアクリレート・ベンジルメタアクリレート共重合体、
エチルヘキシルアクリレート・メチルメタアクリレート
・ブチルアクリレート共重合体、エチルヘキシルアクリ
レート・メチルメタアクリレート・アクリルアミド共重
合体、メチルメタアクリレート・アクリロニトリル・ア
クリルアミド共重合体、メチルメタアクリレート・アク
リロニトリル・ブチルアクリレート共重合体、メチルメ
タアクリレート・フェニルメタアクリレート・ブチルア
クリレート共重合体等の単元または多元のビニル系重合
体およびこれらの架橋物などが挙げられる。
【0010】これらの分散染料可染重合体のうち、微粒
子の製造コストおよび平均粒径の均質度の点から、乳化
重合法で製造されるビニル系重合体が好ましく、さらに
染色性および堅牢性の観点からはメチルメタアクリレー
ト、フェニルメタアクリレート、ベンジルメタアクリレ
ート、安息香酸ビニルなどを主成分とする重合体がより
好ましい。特に安息香酸ビニル、フェニルメタアクリレ
ート、ベンジルメタアクリレートのように芳香環を有
し、芳香環および隣接する炭素原子にエステル基やエー
テル基を有する平面性の高い化合物を20重量%以上共
重合している場合に、ポリエステルとの同浴染色におい
て優れた同色性を示す。これら重合体微粒子は1種また
は2種以上混合して使用してもよく、同種の重合体であ
っても平均粒径や粒度分布または分子量の異なる微粒子
を混合してもよい。
【0011】本発明において、セルロース繊維に含有す
る重合体微粒子の量は、染色性、発色性、繊維物性、工
程通過性などの点から1〜40重量%である。重合体微
粒子の含有量が1重量%未満では単位繊維重量当たりの
分散染料の染着量が少なくなり、明瞭な色合いの繊維が
得られなくなる。また、40重量%を超えると粒子同士
の衝突によって凝集し易くなり、製造工程で単糸切れや
羽毛の発生が起こり易く、得られた繊維の引張り強度な
どの物性が低下し、またセルロース特有の吸湿性や吸水
性などの機能が低下する。得られる繊維の分散染料染色
後の色合いや工程通過性や繊維物性のバランスから、重
合体微粒子の含有量は5〜30重量%が好ましい。より
好ましくは10〜20重量%であり、この範囲であれば
力学物性の良好なセルロース繊維を得ることができる。
【0012】特に、セルロース繊維に含有される該重合
体微粒子を構成する繰返し単位として、(A)−COO
R、−SO3 Rおよび−PO3 R(ただし、Rは水素原
子、アルカリ金属またはNH4 を示す)から選ばれる電
離官能基の少なくとも1種を有するモノマと、(B)−
OH基、−NHR1 基および−CONHR1 基(R1
水素原子または炭素数1〜6の有機基を示す)から選ば
れる親水性官能基の少なくとも1種を有するモノマがそ
れぞれ1〜25重量%の範囲で共重合されており、かつ
(A)と(B)の総量が2〜30重量%である場合に
は、セルロース原液中で微粒子の凝集が起こらず、また
平均粒径が0.05μm以下の微細な微粒子を添加した
場合には、物性、工程通過性、発色性、光沢性の優れた
繊維を得ることができる。
【0013】セルロース繊維の原液は、水酸化ナトリウ
ム液や銅アンモニア溶液などのアルカリ溶液であり、ナ
トリウムイオン、銅イオン、アンモニウムイオン等の正
に荷電したイオンが過剰に存在する溶液である。これら
の過剰イオン下では非イオン状態に較べて凝集が起こり
易い。さらに、重合体微粒子が分散染料可染であるため
には重合体が疎水性であることが必要があるが、このよ
うな疎水性の微粒子を水系溶液に添加する場合には疎水
−疎水結合による強い凝集が起こる。
【0014】凝集基礎理論では粒子の表面電位が高くな
るほど、また粒子濃度が低いほど凝集は起こりにくく、
一方、対イオン(粒子表面とは反対符号の荷電をしてい
るイオン、本発明ではナトリウムイオン、銅イオン、ア
ンモニウムイオンなどが該当する)の濃度が高くなるほ
ど凝集が起こり易い(例えば最新コロイド化学、講談
社:北原文雄、古澤邦夫)。また、所定組成のセルロー
ス原液に所定量の疎水性粒子を添加する場合には、凝集
を抑制する手段としては粒子の表面電位を高くするこ
と、粒子表面の親水性を高くすること、混合、分散温度
を低くすることが効果的であり、特に粒子の表面電位を
高くすること、および粒子表面の親水性を高くすること
が効果的である。
【0015】本発明の場合には、粒子表面の負の荷電が
大きいほど効果的であり、重合体微粒子の表面に水中で
電離して負に荷電する電離性官能基を有する化合物を含
有させことにより、粒子表面電位(負の荷電)を高くす
ることができる。本発明において、電離性官能基として
はCOOR基、SO3 R基、PO3 R基(ただし、Rは
水素原子、アルカリ金属またはNH4 を示す)が用いら
れる。重合体中に電離性官能基を含有させる方法として
は、ポリマーを重合後、加水分解によって電離性官能基
を末端に形成する方法、電離性官能基を含有するモノマ
を共重合する方法、電離性官能基を含有するモノマを共
重合した後加水分解する方法、ハロゲン原子含有モノマ
等を共重合後、官能基を置換する方法などが挙げられ
る。
【0016】加水分解により電離性官能基が形成される
ポリマーとしては、主鎖または側鎖にカルボン酸エステ
ル、スルホン酸エステル、リン酸エステル、アミド等の
結合を有するポリマーが挙げられる。主鎖が加水分解さ
れて電離性末端を形成するポリマーとしては、例えばポ
リエチルテレフタレートやポリトリエチレンテレフタレ
ート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル
類、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド類が挙げ
られる。
【0017】また、側鎖が加水分解されて電離性官能基
を形成するポリマーとしては、メチル(メタ)アクリレ
ート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)
アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、is
o−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メ
タ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレ
ート、フェニル(メタ)アクリレート、オクチル(メ
タ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、4
−カルボキシフェニル(メタ)アクリレート、ヒドロキ
シエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシ(メ
タ)プロピルアクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)
アクリレート、1,1−ジメチルエチル(メタ)アクリ
レート、ヘプチル(メタ)アクリレート、1−メトキシ
エチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メ
タ)アクリレート、1−メチルヘキシル(メタ)アクリ
レート、1−メチルヘプチル(メタ)アクリレート、2
−メチルペンチル(メタ)アクリレート、2−メチルブ
チル(メタ)アクリレート、3−メチルブチル(メタ)
アクリレート、3−メチルフェニル(メタ)アクリレー
ト、4−メチルフェニル(メタ)アクリレート等の(メ
タ)アクリル酸誘導体類、ビニルホスホン酸ジメチル、
2−(ジエトキシホスフィノル)エチルアクリレート等
のリン含有誘導体類、(メタ)アクリルアミド、N−メ
チル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アク
リルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミ
ド、N−n−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−se
c−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−iso−ブチ
ル(メタ)アクリルアミド、N−tert−ブチル(メ
タ)アクリルアミド、N−n−オクチル(メタ)アクリ
ルアミド、N−n−ドデシル(メタ)アクリルアミド、
N−シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−アリ
ル(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アク
リルアミド、N−ベンジル(メタ)アクリルアミド等の
(メタ)アクリルアミド誘導体類、無水マレイン酸、マ
レイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジ
アミド、ムコン酸ジエチル、メサコン酸ジメチル、無水
イタコン酸等の2価酸誘導体類、p−ビニルベンゼンス
ルホン酸メチル、p−ビニルベンゼンスルホン酸エチル
等のスチレン誘導体類などを含むビニル系重合体が挙げ
られる。
【0018】加水分解はどのような方法を用いてもよい
が、コストおよび処理効率の面からエステル結合を有す
る重合体の場合にはアルカリ加水分解、アミド結合を有
する重合体の場合には酸加水分解が一般的である。あら
かじめ重合体に電離性官能基を付与する方法としては、
電離性官能基を有するモノマを共重合する方法が挙げら
れる。ポリエステルやポリアミドなどの重縮合ポリマー
の共重合モノマとしては、例えば5−ナトリウムスルホ
イソフタル酸、2−ナトリウムスルホイソフタル酸、
1,8−ジカルボキシナフタレン−3−スルホン酸ナト
リウムまたはこれら化合物のカリウム塩、リチウム塩等
のスルホン酸塩含有ジカルボン酸等が挙げられる。
【0019】ビニル系重合体の共重合モノマとしては、
例えば(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン
酸、cis−2−ペンテン酸、trans−2−ペンテ
ン酸、2−エチル(メタ)アクリル酸、アンジェリカ
酸、チグリン酸、3,3−ジメチルアクリル酸、2,3
−ジエチル(メタ)アクリル酸、3,3−ジエチル(メ
タ)アクリル酸、3−プロピル(メタ)アクリル酸、2
−イソプロピル(メタ)アクリル酸、3−イソプロピル
(メタ)アクリル酸、トリメチル(メタ)アクリル酸、
2−ブチル(メタ)アクリル酸、3−ブチル(メタ)ア
クリル酸、3−tert−ブチル(メタ)アクリル酸、
cis−3−メチル−3−エチル(メタ)アクリル酸、
trans−3−メチル−3−エチル(メタ)アクリル
酸、cis−2−オクテン酸、trans−2−オクテ
ン酸、2−ペンチル(メタ)アクリル酸、2−ブチルク
ロトン酸、4−エチル−2−ヘキセン酸、2−エチル−
3−プロピル(メタ)アクリル酸、2−ヘキシル(メ
タ)アクリル酸、α−アセトキシ(メタ)アクリル酸、
カルボキシエチル(メタ)アクリレート、4−カルボキ
シフェニル(メタ)アクリレート、フマル酸、マレイン
酸、メチルマレイン酸、ジメチルマレイン酸、フェニル
マレイン酸、マレアミド酸、イタコン酸、ムコン酸、c
is−グルタコン酸、trans−グルタコン酸、N−
アクリロイルアラニン等のカルボン酸含有モノマ、ビニ
ルスルホン酸、p−ビニルベンゼンスルホン酸、2−ス
ルホエチルメタアクリレート、2−アクリルアミドプロ
パンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−ブタンスル
ホン酸、2−アクリルアミド−n−ヘキサンスルホン
酸、2−アクリルアミド−n−オクタンスルホン酸、2
−アクリルアミド−n−ドデカンスルホン酸、4−メタ
アクリルアミドベンゼンスルホン酸等のスルホン酸含有
モノマおよびこれら化合物のナトリウム塩、カリウム
塩、リチウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
【0020】また、共重合後に官能基を置換する方法と
しては、ビニルベンジルクロライド、2−クロロフェニ
ルアクリレート、2−クロロエチルアクリレート等の含
ハロゲンビニル誘導体を共重合した後に亜硫酸ソーダを
反応させ、ハロゲンをスルホン酸ソーダに置換する方法
などが挙げられる。重合コストおよび操作性の面から、
ポリエステルやポリアミドの場合には電離性官能基を共
重合後加水分解する方法が好ましく、ビニル重合体の場
合には反応性、重合コスト、粒子荷電の均一性、小粒径
化等の観点から、直接電離性官能基含有モノマを共重合
する方法が好ましい。これら電離性官能基(誘導体)含
有モノマの重合は、ブロック共重合、グラフト共重合、
ランダム共重合のいずれの方法で行ってもよい。特に乳
化重合法により製造されるビニル系重合体の場合には、
乳化重合終了時近くにこれら電離性官能基(誘導体)含
有モノマを添加すると、これらモノマが粒子表面に選択
的に共重合され、粒子表面の電離性官能基密度が増加
し、分散性がより良好になるので好ましい。
【0021】なお、アニオン性界面活性剤を使用しても
粒子表面を負に荷重させることができるが、セルロース
原液内での重合体の分散性を向上させるためには、多量
の活性剤を使用する必要がある。この場合、紡糸原液や
凝固浴に多量の泡が発生したり、得られる繊維の物性が
低下したりするので、アルカリ水溶液に溶出しないよう
に界面活性剤と粒子を化学的に結合させることが好まし
い。ビニル系重合体微粒子の場合、粒子と化学的に結合
する反応性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンア
ルキルプロペニルフェニルエーテル、メタクリル酸アル
キルエステルのスルホン酸塩、メタクリル酸ポリアルキ
ルオキシエステルのスルホン酸エステル塩、アルキルア
リルコハク酸ジエステルのスルホン酸塩、コハク酸ジエ
ステルのスルホン酸塩などが挙げられる。
【0022】さらにビニル系重合体の場合には、過硫酸
ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなど
の過硫酸塩を触媒として使用すると、重合体の末端が硫
酸基になり粒子の表面荷電が高くなるので好ましい。本
発明において、重合体中の電離性官能基を有する繰返し
単位の比率は1〜25重量%、好ましくは2〜20重量
%、より好ましくは3〜10重量%である。該繰返し単
位が1重量%未満では、粒子の表面電位が高くならず充
分に凝集を抑制できない。また、25重量%を超えると
凝集は抑制できるようになるが、アルカリ膨潤性、親水
性が強くなりすぎて、アルカリ可溶性になったり水に対
する膨潤度が著しく高くなって、分散染料との親和性が
弱くなり、染料染着率や堅牢性が低下する。
【0023】上記電離性官能基を有するモノマ(A)と
ともに、さらに−OH基、−NHR 1 基および−CON
HR1 基(R1 は水素原子または炭素数1〜6の有機基
を示す)から選ばれる親水性官能基の少なくとも1種を
有するモノマ(B)を併用することで、より一層の微分
散化と凝集の抑制が可能となり、これによって粒子無添
加の場合と全く同等の力学物性を有する分散染料可染セ
ルロース繊維を得ることができる。すなわち、本発明に
おけるセルロース繊維は、主にポリエステルやポリアミ
ド等の合成繊維やセルロースアセテテートなどとの複合
製品として用いられるが、これらの複合製品は市場が要
求する従来公知のビスコース繊維や銅アンモニアレーヨ
ン繊維と同等の繊維物性を備えることができる。繊維中
に1〜40重量%の範囲で異物である重合体微粒子を含
有しているにもかかわらず、物性が全く低下しない理由
としては、凝集の抑制によって粗大粒子が減少するた
め、および繊維構造中でセルロースと微粒子との界面間
に水素結合が形成され、重合体微粒子が繊維中で異物と
してではなくセルロースとの連続体として存在している
ためと推定される。
【0024】重合体微粒子の表面を親水性、親セルロー
ス性に改質する方法としては、水、セルロースと親和性
の高い官能基を有するモノマを共重合する方法、重合後
に加水分解や置換によって官能基を付与する方法等が挙
げられる。水、セルロースと親和性の高い官能基として
は、上記した−OH基、−NHR1 基、−CONHR 1
基(R1 は水素原子または炭素数1〜6の有機基を示
す)等の水素結合形成能力を有する親水性官能基が挙げ
られる。微粒子表面への官能基の付与方法としては、ポ
リエステルやポリアミドの場合にはアルカリや酸による
主鎖の加水分解、ビニル系重合体の場合には共重合およ
び共重合後の加水分解などの方法が挙げられる。
【0025】ビニル系重合体で直接共重合に用いられる
モノマとしては、2−ヒドロキシエチルビニルエーテ
ル、2−アミノエチルビニルエーテル、ビニルエチルア
ミン、ビニルブチルアミン、2−n−ブチルアミノエチ
ルビニルエーテル等のビニル誘導体類、2−ヒドロキシ
エチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸誘
導体類、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)
アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド誘導体類等
が挙げられ、重合後の加水分解によって親セルロース性
となるモノマとしては、酢酸ビニル、酪酸ビニル、ラウ
リル酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニ
ル等のビニルエステル類等が挙げられる。
【0026】これらのモノマの重合は、ランダム共重
合、ブロック共重合、グラフト共重合のいずれの形態で
もよい。特に、乳化重合法にて粒子を製造する場合には
重合性、コスト、取扱い性の点から、電離性官能基を有
するモノマを直接共重合する方法が最も好ましく、重合
終了時近くに親水性官能基含有モノマを集中的に添加す
ると、粒子表面に選択的に共重合されるので、より効率
的に凝集抑制と強度低下の抑制ができる。−NHR1
または−CONHR1 基が粒子表面にある場合、効果的
にセルロースと水素結合をするためには、R1 は水素原
子または炭素数1〜6の有機基であることが必要であ
る。立体障害の点からはR1 は水素原子または炭素数1
〜3の有機基であることが好ましく、水素結合強度、凝
集抑制の点からは水素原子が特に好ましい。
【0027】重合体中の親水性官能基を有する繰返し単
位の比率は1〜25重量%、好ましくは2〜20重量
%、より好ましくは3〜10重量%である。この比率が
1重量%未満では凝集抑制、物性低下抑制高価が充分に
得られず、セルロースとの相互作用が強くなり、繊維強
度の低下が抑制できなくる。一方、25重量%を超える
と親水性官能基が比較的高い水膨潤性を有することか
ら、分散染料の吸着性や堅牢性が低下する。
【0028】重合体の繰返し単位には親水性官能基が2
個以上含有されていても、また2種類以上の官能基が含
有されていてもよい。さらに、マレアミド酸、N−メチ
ルマレアミド酸、β−ジアミノアクリル酸等の電離性官
能基と親水性官能基の両方を有するモノマを使用しても
よい。これら両性モノマは、1分子で両官能基の効果を
発現することができるため、本発明においてこれら両性
モノマを使用した場合には半分量を電離性官能基含有モ
ノマ、もう半分量を親水性官能基含有モノマとして扱
う。電離性官能基を有するモノマと親水性官能基を有す
るモノマは、いずれか一方のみを使用してもある程度の
凝集抑制効果と物性低下抑制効果は得られるが、重合体
微粒子の完全微分散化を図り、粒子無添加繊維と全く同
等の物性を達成するためには重合体が両方の官能基を有
していることが必要である。
【0029】電離性官能基含有モノマと親水性官能基含
有モノマの使用量はそれぞれ1〜25重量%の範囲であ
るが、各モノマの総量が多すぎると親水性が強くなりす
ぎて分散染料染色性、染色堅牢性が低下し、一方、総量
は少なすぎると分散性、物性が低下するため、本発明で
は共重合に用いる電離性官能基含有モノマと親水性基含
有モノマとの総量は2〜30重量%、好ましくは4〜2
0重量%、さらに好ましくは6〜10重量%の範囲とさ
れる。
【0030】本発明のセルロース繊維に含有される重合
体は微粒子状であることが重要である。重合体が繊維中
で分子分散(アロイ化)している場合には、分散染料の
染着性や堅牢性が低下するばかりでなく、アルカリや熱
水処理等の後加工工程で重合体が溶出するという問題が
生じる。このため電離性官能基含有モノマおよび親水性
官能基含有モノマの共重合量が多い場合には、架橋性モ
ノマを共重合して形態保持と膨潤抑制を行うことが後加
工性、染色性、堅牢性の点で好ましい。乳化重合やマイ
クロエマルジョン重合法等の直接共重合法で架橋性モノ
マを共重合する場合には、電離性官能基や親水性官能基
が粒子表面に出にくくなり、凝集抑制効果、物性低下抑
制効果が小さくなるため、重合終了時近くにこれら官能
基含有モノマを添加することが好ましい。
【0031】本発明に用いられる重合体微粒子の平均粒
径には特に制限はないが、粒径が大きすぎると良好に分
散していても粒子は異物として作用してしまうため、1
μm以下が好ましい。電離性官能基および親水性官能基
を含有する重合体を使用する場合には、粒子径がきわめ
て微小な粒子をセルロース原液に添加しても凝集が起こ
らず、粗大な二次粒子が生成しない。これによってセル
ロースに含有されている微粒子の平均粒径が0.01〜
0.05μmと従来の技術では到底達成することのでき
なかった超微粒子の微分散化が可能となる。また、重合
体微粒子の形状にも特に制約はないが、フラットな平面
を持たない楕円状や球状が好ましく、長径の小さい真球
状がより好ましい。
【0032】本発明において、重合体微粒子とはセルロ
ース繊維に含有する重合体粒子の一次粒子と、該一次粒
子が凝集して生成した凝集粒子(二次粒子)の両方を意
味し、セルロース繊維内に二次粒子が存在する場合には
二次粒子を1つの重合体微粒子として定義する。ただ
し、二次粒子とは5個以上の一次粒子が凝集したもので
あって、接合することによって個々の一次粒子の形態が
変形しているものをいう。
【0033】分散染料可染性の重合体微粒子を含有した
セルロース繊維において、鮮明で深く濃厚な色彩を得る
ためには、添加微粒子の粒子径を小さくすることが重要
であり、特に平均粒径が0.05μm以下の重合体微粒
子を含有したセルロース繊維では、粒子無添加の繊維に
近い透明性と光沢性が得られ、分散染料で染色した際に
鮮明で深色な高発色の色彩の発現が可能となる。この理
由は平均粒径が0.05μmよりも大きくなると、可視
光の波長(0.38〜0.75μm)と同等またはそれ
以上の大きさの二次粒子や粒度分布の大粒径側の一次粒
子の量がふえて可視光を散乱し易くなり、失透、白濁
し、いわゆるダル調の繊維となり、染色した際には粒子
内の染料に照射する光量が減り、薄い色の褪せた色合い
になってしまうが、平均粒径が0.05μm以下の場合
には微粒子の白色光の全反射がほとんどなくなり、粒子
内の染料の発色基に照射する光量が多くなるためと考え
られる。
【0034】また、重合体微粒子の平均粒径が小さい
と、セルロース原液内で微粒子とセルロース原液との密
度差に起因する沈降や分離、濃度勾配の発生が起こりに
くく、繊維内部においても微粒子の分布状態の均一な斑
の少ないセルロース繊維が得られる。さらに、後述する
ように繊維内部に存在する微粒子の数が多いと、繊維内
での微粒子の分布状態が密となり、染色後の染料も局在
化せず密に分布するためより均一な染色が可能となる。
これら添加微粒子の小粒子径化によって透明性向上、白
色密の反射率の減少、微粒子の繊維断面内均一分散化が
達成され、より鮮やかで深みのある高発色の色彩の発現
が可能となり、従来技術の繊維では展開できなかった極
濃色の用途での使用が可能となる。特にフォーマルウェ
アの用途では、極濃色の黒色に染色可能であることが要
求されるが、分散染料可染セルロース繊維として微分散
・微小粒子含有繊維を用いることにより、フォーマルブ
ラック分野にも適用可能な高発色の繊維が得られる。
【0035】さらに微粒子の平均粒径が小さい場合に
は、平均粒径の大きい微粒子を含有させる場合に較べて
染料染着能力は同等であるにもかかわらず、より鮮明で
深色に発色するので、同レベルの発色度の繊維を得る場
合には添加する微粒子の量を半分近く減らすことがで
き、微粒子添加量をふやした際の弊害(物性低下、工程
通過性悪化)を少なくすることができる。さらに、繊維
内部の重合体微粒子の平均粒径が0.01〜0.05μ
mの場合には、既存のセルロース繊維と同等の力学物性
(強度・伸度)の繊維が得られる。この理由は、前述の
親水性官能基による粒子とセルロースとの水素結合形成
に加えて、平均粒径が大きい場合には応力集中点が減る
ことで1点にかかる力が大きく、大きな欠陥ができ易い
が、粒径の小さい粒子が微分散している場合には応力集
中が起こりにくくなるためと考えられる。
【0036】このように繊維内に存在する微粒子の平均
粒径は小さいほど良好な光沢性、鮮明性、深色性を有
し、強度低下が小さく、工程通過性の良好な繊維が得ら
れる。したがって、微粒子の平均粒径は1μm以下、特
に0.05μm以下であることが好ましい。また、粒径
の下限としては分散染料(分散染料粒子の大きさは約
0.002μm)の粒子内部への染着を効率すると0.
01μmとするのが好ましい。より好ましい重合体微粒
子の平均粒子径は0.01〜0.045μm、さらに好
ましくは0.02〜0.04μmである。なお、本発明
において、重合体微粒子の平均粒径とはセルロース繊維
の横断面における重合体微粒子の平均粒径をいう。該平
均粒径は、例えばセルロース繊維の横断面を電子顕微鏡
を用いて5000〜50000倍の倍率で観察した画像
を市販の画像解析装置を用いて前処理した後、該装置の
微粒子解析モードを用いて円相当の平均粒子径を算出し
て得ることができる。
【0037】本発明において、セルロース繊維に含有す
る重合体微粒子の数は、該セルロース繊維の横断面にお
いて10〜1000個/μm2 であるのが好ましく、よ
り好ましくは50〜500個/μm2 、さらに好ましく
は100〜300個/μm2である。繊維内の粒子の数
が多いほど断面方向や糸長方向での粒子の局在化が緩和
され、染色斑の少ない繊維が得られるようになり、また
応力集中点の分散による繊維強度低下を抑制できるよう
になるが、逆に多すぎると凝集が起こり易くなり、セル
ロース原液中での微粒子濃度を下げる必要が生じる。
【0038】さらに、一次粒子の凝集により形成される
粗大な凝集粒子(二次粒子)の数は10個/μm2 以下
が好ましく、より好ましくは5個/μm2 以下、さらに
好ましくは3個/μm2 、さらに好ましくは1個/μm
2 以下である。二次粒子の数が少ないほど高い光沢性、
鮮明性、深色性を有する繊維が得られる。この理由は、
平均粒径が小さい粒子群であってもその中に可視光の波
長と同等以上の粒子径を有する粗大な二次粒子が存在す
ると白色光の散乱量、反射量がふえるためと考えられ
る。また、二次粒子の数が多くなると二酸化チタン等の
艶消し剤を添加した場合と同じように、繊維は白濁、失
透し、光沢がなくなり、より鮮明で濃厚な高発色の色彩
が発現しにくくなる。
【0039】さらに、本発明に用いられる重合体粒子の
表面には、セルロース繊維との親和性を高める官能基が
導入されていることが好ましい。重合体微粒子はセルロ
ース繊維原液に分散されるが、分散染料可染性の微粒子
は一般的にセルロースとの相互作用が小さく、繊維の強
度低下が生じ易くなるためである。本発明では、重合体
微粒子の凝集を抑制し、繊維内部の微粒子の平均粒径を
小さくすることで繊維の強度低下を抑制することができ
るが、上記表面改質を行うことによりさらに繊維の強度
低下を抑制することができる。
【0040】次に本発明の分散染料可染性セルロース繊
維の製造方法について説明する。セルロースに添加され
る重合体微粒子は、粉砕−加水分解法や直接重合法によ
って得ることができる。粉砕−加水分解法は、ポリエス
テルやポリアミドの微粒子を製造する際に用いられる。
膨潤処理や結晶化処理や劣化処理等の前処理をしたポリ
マーを、公知の湿式粉砕機や乾式粉砕機によって物理的
に粉砕後、分級し、アルカリや酸によってて加水分解す
ることで微粒子を得ることができるが、前処理や後処
理、複数回の粉砕処理が必要であったり、微粒子の収率
が低くなるので重合過程で粒子を形成していく方法が製
造コストの面から好ましい。
【0041】重合によって直接微粒子を製造する方法と
しては、分散重合、懸濁重合、乳化重合、マイクロエマ
ルジョン重合などがあり、いずれの方法でもビニル系重
合体微粒子を製造することができるが、平均粒径がサブ
ミクロンオーダー以下の微細な粒子を得る場合には乳化
重合法が好適である。乳化重合法によりセルロース原液
に添加しても凝集しない粒子(特に、平均粒径0.01
〜0.05μmの微細な粒子)を安定して得るために
は、重合時の最終固形分濃度を40%以下に下げること
が重要である。これら微粒子は中空であってもよく、中
空の数は1つであってもまた多孔であってもよい。ま
た、重合した微粒子をノニオン性界面活性剤の存在下で
アルカリ処理し、部分溶解することによって微粒子の平
均粒径を制御してもよい(例えばColloid &
Polymer Science、272:1521−
1525(1994))。
【0042】重合体微粒子は、最終的には固形分濃度1
〜40重量%の水性エマルジョンとして得られ、必要に
応じて水や化合物を添加した後に、適量セルロース原液
に添加される。エマルジョンは調整後速やかにセルロー
ス原液に添加することが望ましいが、添加までに時間が
あく場合には劣化、分散安定性の点から、熱、冷却、光
を避けて貯蔵すること、具体的には10〜40℃の恒温
の暗室に貯蔵しておくことが望ましい。
【0043】本発明に用いるセルロースの原料として
は、木材パルプ、綿リンター、綿リントなどが好適に用
いられ、紡糸原液中のセルロースの重合度は200〜1
100の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは
250〜1000であり、特に好ましくは300〜90
0である。重合度が小さすぎると得られる繊維の物性、
特に引張り強度等の力学物性の低下が大きくなる場合が
ある。また、重合度が大きすぎると原液粘度の上昇や溶
解性の低下を引き起こして曳糸性が悪くなり、生産性が
低下する場合がある。紡糸に用いられる原液のセルロー
ス濃度は、紡糸原液の種類によって若干差はあるが、3
〜15重量%が好ましく、5〜12重量%がさらに好ま
しい。セルロース濃度が低すぎると、製造コストが高く
なるばかりか紡糸時の凝固が遅くなり、曳糸性の低下や
繊維の強度も低下が起こる場合がある。一方、セルロー
ス濃度が高すぎると、原液粘度の上昇や溶解性の低下を
引き起こして曳糸性が悪くなり、さらには単糸切れや羽
毛が発生し易くなって、生産性が低下する場合がある。
【0044】重合体微粒子の添加は、セルロース原料を
仕込む工程から紡糸原液が紡出される紡糸工程までの任
意の工程で行うことができ、セルロースの溶解の前に添
加しても後で添加してもよく、必要であれば複数の工程
で段階的に添加してもよい。微粒子の添加において重要
なことは、微粒子を凝集させることなく原液内に均一に
分散せしめることである。凝集が起こった場合にはフィ
ルタ詰まりやノズル詰まり、単糸切れや羽毛等の工程通
過性のトラブルが生じるばかりか、得られる糸の透明性
や光沢性、発色性、繊維物性も低下してしまう。微粒子
粉末を直接紡糸原液に添加する方法は凝集が起こり易い
ため、あらかじめ任意の濃度の微粒子の水性分散液を調
製してから原液に添加する方法が好ましい。分散液中の
微粒子の濃度は、高すぎると分散液自体の凝集が起こり
易くなり、また低すぎると紡糸原液のセルロース濃度が
低くなってしまうので、好ましくは5〜35重量%、特
に10〜30重量%の微粒子濃度に調製することが好ま
しい。また、微粒子分散液の添加によって紡糸原液の組
成比は変わるので、最終の紡糸原液のセルロース濃度や
溶媒の濃度が所望の濃度になるように、あらかじめ微粒
子分散液に紡糸原液の溶媒や添加物質を添加しておいて
もよい。特に、水酸化ナトリウム溶液や銅アンモニア溶
液等の陽イオン性化合物を添加する場合は、微粒子の分
散安定性の点から分散液を攪拌しながら均一に添加して
いくことが望ましい。
【0045】微粒子を分散液内で安定に微分散させる方
法には特に限定されず、慣用の微分散法、例えば攪拌
機、超音波、粉砕媒体などを利用する微分散法を使用で
きる。微粒子分散液は、分散液を調製後紡糸原液に添加
するまでの間、粉砕媒体と粉砕媒体を攪拌するための回
転手段を兼ね備えた装置や、通常の攪拌機に入れて攪拌
しておくことが分散性の面から好ましいが、攪拌しすぎ
ると気泡が混入して紡糸性に悪影響を与えるおそれがあ
るため、分散液調製後の攪拌は低速で行うことが好まし
く、特に高速攪拌機にて分散液の調製を行った後、低速
で攪拌しておくことが好ましい。
【0046】微粒子分散液の紡糸原液への混合は、微粒
子分散液を必要に応じて濾過した後に、セルロースを含
むドープに添加すればよいが、微粒子をドープ内に均一
に含有せしめるために、添加後さらに攪拌、混練処理を
施すことが好ましい。微粒子の混合、攪拌は公知の混合
装置が使用可能で、ホモミキサー、インラインミキサー
などの混合装置では微粒子分散液を添加直後に高速で攪
拌、混合されるため、微粒子の凝集が起こらず、均一な
ドープを調製することができる。特に、密閉性の高いイ
ンラインミキサーの使用が好ましく、これら密閉型の混
合装置では気泡が混入せず、微粒子添加後に脱泡処理を
省略できるようになるので、微粒子添加直後でも紡糸が
行え、微粒子含有量の異なる繊維や微粒子無添加繊維等
の銘柄変更が容易にできるようになり、さらに銘柄変更
時のロスも減らせ、より低コストでの製造が可能とな
る。
【0047】また、微粒子とセルロース原液との混合温
度は、低温ほど微粒子の分散性がよくなる。高速攪拌混
合装置を使用する場合には、発熱によって混合温度が高
くなるので、装置を冷水もしくは冷媒によって冷却して
使用することが望ましい。しかし、混合時に冷却しすぎ
るとセルロース原液や微粒子分散液が凍結するので、混
合温度としては−5〜10℃の範囲が好ましい。
【0048】微粒子の分散安定性の点からは、微粒子分
散液を紡糸原液に添加後は速やかに紡糸を行うことが好
ましい。一方、製糸性、繊維物性の点から、必要に応じ
ては微粒子添加後に紡糸原液の脱泡を行ってもよく、ビ
スコース溶液等の低粘度原液の場合には1〜10時間の
真空脱泡、銅アンモニアセルロース溶液等の高粘度原液
の場合には10〜40時間の静置脱泡を行うことが好ま
しい。さらに、製糸性の点から紡糸原液の濾過を行い、
混合異物や粗大粒子を除去することが好ましく、紡糸口
金から吐出されるまでに、孔径1〜20μmの微細なフ
ィルタで1段以上濾過することが特に好ましい。
【0049】また、分散液や紡糸原液中での微粒子の分
散状態を安定化するために、界面活性剤を使用してしも
よい。界面活性剤を添加する場合、少量だと分散効果が
充分発現せず、また多量に添加すると消泡性の低下や繊
維物性の低下をきすので、微粒子に対して1〜10重量
%の範囲で添加することが好ましい。最終的な紡糸原液
組成は、重合体微粒子が対セルロース1〜40重量%入
っている以外は、従来公知の組成とほとんど同じ原液で
繊維化が可能である。具体的には、例えばビスコースレ
ーヨンの場合、セルロース4〜10重量%、二硫化炭素
1〜6重量%、水酸化ナトリウム2〜9重量%、微粒子
1〜40重量%対セルロース、温度20〜50℃であ
る。また、銅アンモニアレーヨンの原液組成としてはセ
ルロース5〜12重量%、銅2〜5重量%、アンモニア
5〜9重量%、微粒子1〜40重量%対セルロース、温
度10〜40℃である。
【0050】このようにして調製された紡糸原液の繊維
化は、凝固性、凝固速度が従来の紡糸原液と大きく変わ
らないので、従来公知の紡糸方法をそのまま用いること
ができる。具体的には、例えばビスコースレーヨンの場
合、硫酸1〜12重量%、硫酸ソーダ2〜30重量%、
硫酸亜鉛0〜10重量%、温度5〜65℃の凝固浴に、
0.01〜0.2mmφの紡糸口金より吐出線速度10〜
1200m/分で紡糸原液を吐出し、曳糸速度10〜1
200m/分で紡糸される。また、銅アンモニアレーヨ
ンの場合、硫酸0〜20重量%、温度10〜60℃の凝
固浴に、0.1〜2mmφの紡糸口金より吐出線速度0.
1〜200m/分で紡糸原液を吐出し、硫酸0.1〜2
0重量%、温度0〜60℃の再生浴を経て曳糸速度50
〜1500m/分で紡糸される。
【0051】紡糸装置についても、従来公知の装置を使
用することができ、例えば遠心式紡糸機、ハンク式紡糸
機、ボビン式紡糸機、ホフマン式連続紡糸機、デュレッ
タ式連続紡糸機、ネルソン式連続紡糸機、ドラム式連続
紡糸機、ネットプロセス式連続紡糸機、インダストリア
ル式連続紡糸機、オスカーコーホン式連続紡糸機、クル
ジャン式連続紡糸機等を使用することができる。特に、
衣料分野で使用する場合には、収縮率や染色性等の糸長
方向の糸特性の均一性の点から、特性斑が少ない連続紡
糸機類の使用が好ましい。紡糸後の精練、水洗、乾燥に
ついても従来公知の装置、条件をそのまま適用すること
ができる。
【0052】また、本発明の繊維は、公知の鞘芯型紡糸
やサイドバイサイド型紡糸によって製造される複合繊維
や、異形紡口を使用して製造される三角断面、扁平断
面、星形断面、十字形断面、C形断面、T字形断面、Y
形断面等の異形断面繊維、ガスインジェクション型紡糸
によって製造される中空繊維等の特殊繊維にも適用でき
る。
【0053】以上のようにして得られたセルロース繊維
は分散染料にて染色可能であり、高い発色性、鮮明深色
性、優れた光沢性、充分な力学物性を持つが、加えて、
当該分散染料可染セルロース繊維がセルロースの水酸基
と反応する官能基を2つ以上有する化合物により実質的
に化学架橋されることによって、湿摩擦堅牢性が優れた
セルロース繊維およびその繊維製品を得ることができ
る。
【0054】使用する架橋剤は、セルロースの水酸基と
反応する官能基を2つ以上有するものであり、一般的に
綿織物の樹脂加工に使用される薬剤から選択される。例
えば尿素ホルムアルデヒド、ジメチロール尿素、トリメ
チロールメラミン、ジメチロールエチレン尿素、ジメチ
ロールトリアゾン、メチル化ジメチロールウロン、ジメ
チロールヒドロキシエチレン尿素、ジメチレンプロピレ
ン尿素等のアルデヒド基により架橋反応を起こす化合
物、エピクロルヒドリン、ジグリシジルエーテル、エチ
レングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレング
リコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコール
ジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグ
リシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、
ブタンジオールジグリシジルエーテル、ビニルシクロヘ
キセンジオキシド等のエポキシ基により架橋反応を起こ
す化合物、トリス−β−スルファトリエチルスルホニュ
ウム塩、ジビニルスルホン、N−メチロールアクリルア
ミド等が挙げられる。特に、エポキシ化合物による架橋
が湿摩擦堅牢性を向上させる効果が大きく好ましい。
【0055】また、実質的に化学架橋されているとは、
上記架橋剤がセルロース分子間の水酸基と反応し、セル
ロースの溶媒に不溶化した部分が存在することを意味す
る。当該発明品をセルロースの溶解能力が高い溶媒、例
えば銅・エチレンジアミン錯体を使って溶解したとき、
膨潤した不溶部(ゲル)の存在が目視で確認されれば、
実質的に化学架橋されていると判定できる。また、当該
発明品をセルラーゼ酵素やその他の薬品を用いてセルロ
ースのβ型1,4結合を加水分解し、液体クロマトグラ
フィーやマススペクトロメトリーなどを用いて分析した
ときに、1つの架橋剤を介してグルコースが2つ結合し
た部分が検出されることによっても判定可能である。
【0056】架橋剤の反応処理方法は公知の方法で行わ
れるが、一例としてエポキシ基により架橋反応を起こす
化合物について記述する。反応触媒としては、塩酸、硫
酸、酢酸、乳酸、酒石酸、クエン酸、塩化アルミニウ
ム、硫酸アルミニウム、塩化亜鉛、硝酸亜鉛、ホウフッ
化亜鉛、塩化マグネシウム、ホウフッ化マグネシウムな
どの酸性触媒が挙げられるが、それぞれのエポキシ化合
物に適したものを単独あるいは2種以上を組合わせて使
用する。
【0057】エポキシ化合物および反応触媒は水に溶解
して使用するが、エポキシ化合物の溶解度が低い場合に
は少量の有機溶剤、例えばジオキサン、イソプロピルア
ルコールを加えた水溶液に溶解して使用する。水溶液中
のエポキシ化合物および反応触媒の量は、繊維や布帛へ
の付与方法、湿摩擦堅牢度の効果の程度および布帛の風
合いなどを考慮して適宜決められるが、エポキシ化合物
濃度は2〜10重量%で、反応触媒量はエポキシ化合物
量の6〜20%が好ましい。また、上記混合液中にエポ
キシ化合物調合時から溶液pHが5〜7になるように、
酢酸マグネシウム、酢酸亜鉛、アンモニア水などの安定
剤を適当量加えておくのがエポキシ化合物の分解抑制の
点で好ましい。
【0058】前記の架橋反応液を用いて当該分散染料可
染セルロース繊維の水酸基と実質的に化学架橋させる加
工工程として、以下のような方法が用いられる。例えば
布帛状態で目的の繊維を得るためには、まずエポキシ化
合物混合液に布帛を浸し、充分なじませる。架橋反応液
の布帛への付着率を調整するためにマングル等で絞る。
付着率は、当該分散染料可染セルロース繊維の混用率や
布帛の生地形態によっても異なるが、通常40〜120
%owfとなるように調節する。その後、乾燥および架
橋剤の反応を促進するために、通常80〜150℃で2
0秒から2分間の条件で事前に予備乾燥を行い、さらに
130〜200℃で30秒〜5分間の加熱処理を行う。
加熱処理後、付着した状態で存在する樹脂や未反応樹脂
を布帛から落とすためにソーピングを行う。ソーピング
剤としては水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム等のアル
カリ剤、非イオン系のポリオキシエチレンアルキルエー
テル、アルキルチオエーテルといった界面活性剤が挙げ
られる。
【0059】また、チーズやパーン等の状態で目的の繊
維を得るためには、当該再生セルロース繊維を紡糸後、
乾燥前の繊維に対してタッチロールや吹上げノズルなど
を用いて架橋反応液を付与し、それを乾燥機に通して乾
燥、加熱処理を行うことによって得ることができる。本
発明の繊維製品は、上記のセルロース繊維を公知の方
法、例えば編成、織成等の公知の手段により加工、製品
化したものであり、その形態はどのようなものでもよ
い。
【0060】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに詳しく説
明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではな
い。なお、本発明において、エマルジョン平均粒径、繊
度、乾強度、湿潤強度、光沢度、染料吸尽率、鮮明度、
深色度、湿摩擦堅牢度、繊維内の微粒子の平均粒径、二
次粒子個数、粒子個数は以下の方法で測定した。 (1)エマルジョン平均粒径:セルロース原液添加前の
重合体微粒子エマルジョンについて、マイクロトラック
粒度分布測定装置を用い粒度分布を測定し、その最高ピ
ーク点粒度(MV値)を平均粒径とした。 (2)エマルジョン固形分濃度:重合体微粒子エマルジ
ョン10.00gを精秤し、105℃で18時間乾燥
し、乾燥後の不揮発分の重量を精秤する。不揮発分重量
(Ag)から、次式により固形分濃度を算出した。 固形分濃度=A/10.00×100(%)
【0061】(3)繊度:JIS−L1013−7.3 (4)乾強度・乾伸度:JIS−L1013−7.5.
1 (5)湿潤強度:JIS−L1013−7.5.2 (6)光沢度:JIS−L1013−7.21(B法)
準じて測定を行った。この値が高いほど光沢性が高いこ
とを示す。
【0062】(7)染料吸尽率:試料はセルロース繊維
の一口編み地を用い、スコアロール400を2g/lの
濃度で含有している温水を用いて、70℃、20分間精
練処理し、染液を添加して40℃から120℃まで昇温
速度2℃/分で昇温後、さらにそのまま120℃で40
分間保持して染色を行った。染色終了後の編み地をNa
OHを1g/リットル、ハイドロサルファイトを1g/
リットル、アミラジン(第一工業製薬社製)を1g/リ
ットルの濃度で含有している温水を用いて、40℃、2
0分間還元洗浄を行い、さらに水洗を30分間行った後
に、60℃、10分間タンブラー乾燥機で乾燥を行っ
た。染料はカヤロンポリエステルブルー3RSF(日本
化薬社製)を使用し、6%owf、浴比1:50で染色
した。分散剤はニッカサンソルト7000(日華化学社
製)を0.5g/リットル使用し、酢酸0.25ml/リ
ットルと酢酸ナトリウム1g/リットルを加え、pHを
5に調製した。
【0063】染料吸尽率は、染料原液をアセトン水溶液
(アセトン/水=1/1容量比)により所定の希釈度で
希釈調製した溶液の吸光度をA、染色後の染液をアセト
ン水溶液(アセトン/水=1/1容量比)により所定の
希釈度で希釈調製した溶液の吸光度aを分光光度計(日
本分光社製、V−530型)から求め、以下の式に代入
して求めた。吸光度は当該染料の最大吸収波長である5
80nmでの値を採用した。 染料吸尽率=(A−a)/A×100(%)
【0064】(8)鮮明度(鮮明性を表わす尺度):染
料にミケロンポリエステルレッドFL(三井東圧社製)
を用いて、染料濃度を2、4、8、16%owfの4水
準とする以外は(7)と同じ処方で染色、還元洗浄、乾
燥を行い、乾燥後、測色を行った。測色はスガ試験機社
製カラーコンピュータ(SM−4)を用い、染料濃度を
変えて得られた4種の染色物の色濃度C* と鮮明度B*
を測定した。測定結果を縦軸にB* 、横軸にC* を取
り、縦軸、横軸の目盛りをそれぞれ2〜6、9〜15と
するグラフを作成した。この際に縦軸と横軸の長さをそ
れぞれ12cm、20cmとした。得られた4点のデータを
プロットして得られる曲線は、右上に凸となる形状を示
すが、この曲線(縦軸の目盛り、横軸の目盛り)から
(2、9)の点までが最も長くなる距離(単位:cm)を
鮮明度と定義する。この値が大きいほど鮮明に染色され
ていることを示す。こうして得られる鮮明度は、人が見
て感じる鮮明性ときわめてよい相関がある。
【0065】(9)深色度(深色性を表わす尺度):深
色度については、有彩色および無彩色の2種類の色につ
いて評価した。 (9−A)有彩色の深色度:owfを8%とする以外は
(7)と同じの処方の染色条件で染色、還元洗浄、乾燥
を行った後に測色を行った。測色は、分光光度計(DC
I社製スペクトラフラッシュ500)を用いて、K/S
を評価した。この値は、染色後のサンプル布の分光反射
率Rを測定し、以下に示すクベルカームンク(Kube
lka−Munk)の式から求め、本発明ではK/Sを
有彩色の深色度と定義した。Rは当該染料の最大吸収波
長である580nmでの値を採用した。 K/S=(1−R)2 /2R この値が大きいほど深色効果が大きいこと、すなわちよ
く発色されていることを示す。こうして得られた深色度
は、人が見て感じる深色度ときわめてよい相関がある。
【0066】(9ーB)無彩色の深色度:染料にスミカ
ロンブラックS−BF(住友化学社製)を用い、染料濃
度を16%owfとする以外は(7)と同じ処方で染
色、還元洗浄、乾燥を行った後に測色を行った。測色は
スガ試験機社製カラーコンピュータ(SM−4)を用
い、L値を測定した。本発明においては、このL値を無
彩色の深色度と定義した。この深色度は数字が小さいほ
ど深色性が高いことを示す。こうして得られる深色度
は、人が見て感じる深色性ときわめてよい相関がある。
【0067】(10)湿摩擦堅牢度:染料にスミカロン
ブラックS−BF(住友化学社製)を用い、染料濃度を
12%owfとする以外は(7)と同じ処方で染色、還
元洗浄、乾燥を行った布帛を試験サンプルとし、JIS
−L0849に準じて測定を行った。
【0068】(11)繊維内の粒子の平均粒径:セルロ
ース繊維の断面を以下の方法によって撮影し、画像処理
方法の異なる2種類の平均粒径を求めた。セルロース繊
維をエポキシモノマ(ケトール812(日新EM社
製))と硬化剤(ドデシルサクソニックアンハイドライ
ド、メチルナディックアンハイドライド)の混合溶液に
浸漬した後、開始剤(DMP−30(日新EM社製))
を加え、60℃の加熱条件下で24時間処理して重合を
行い、繊維を樹脂によって包埋する。繊維を包埋した樹
脂をミクロトームで繊維長方向に70nmの厚みの繊維
横断綿切片を調製する。透過電子顕微鏡を用いて得られ
た切片の倍率5000〜50000倍の写真(画像)を
撮影した。電子顕微鏡でのコントラストが不充分な場合
には、四酸化ルテニウムにて粒子を染色して観察を行っ
た。撮影したネガ画像を画像解析装置(IP1000−
PC(旭化成工業社製)を用いて、以下の方法で計測し
た。
【0069】(11−A)非前処理法:スキャナー(J
X−330)を使用して、ネガ画像を白黒256階調
(ガンマ補正値は2.2)で取り込んだ。取り込み領域
は1×1〜10×10μmの範囲で、撮影倍率によって
選択した。取り込んだ256階調の画像に対し、2値化
処理を行った。この際に設定したパラメーターは、
(1)しきい値(=自動)、(2)シェーディング補正
処理(=あり)、(3)穴埋め処理(=あり)、(4)
ガンマ補正処理(=補正値γ=2.2)、(5)小図形
面積(300nm以下除去)である。得られた2値化画
像より、計測エリアラインに接触して、一部が計測範囲
から外れた粒子を除去した後に粒子解析を行い、対象粒
子の円相当径を求めた。5視野計測した後に、計測した
全粒子の円相当径について算術平均値を計算し、当該粒
子の平均粒径とした。この方法で得られる平均粒径は、
処理者による差がほとんどない。
【0070】(11−B)前処理法:撮影写真上の個々
の粒子の輪郭をハンドでトレースし、粒子の境界を明確
にする。この画像から(11−A)と同様の装置、手法
で平均粒径を算出した。 (12)繊維内の二次粒子の個数:(11)で得られた
電子顕微鏡写真から、目視で二次粒子数を計測し、5回
の観察の平均値を二次粒子個数とした。ただし、二次粒
子は5個以上の一次粒子が凝集したものであって、接合
することによって個々の一次粒子の形態が変形している
ものと定義した。 (13)繊維内の粒子の個数:(11)と同じ画像、画
像解析装置を用いて粒子数を計測し、5回の観察の平均
値を粒子個数とした。
【0071】実施例1 メチルメタアクリレート212.5部、スチレン25
部、イタコン酸2.5部、アクリルアミド10部、アデ
カリアソープSE10(旭電化社製)の25%水溶液1
0部、エマルゲン920(花王社製)の25%水溶液1
0部、エマルゲン950(花王社製)の25%水溶液3
0部、過硫酸カリウム3.73部および蒸留水400部
を添加し、ホモミキサーで攪拌を行いプレ乳化物を作製
した。別に、攪拌機付きフラスコに蒸留水300部、ニ
ューコール707SF(日本乳化剤社製)の25%水溶
液20部を仕込み、83℃に昇温し、過硫酸カリウム
0.60部を水12部に溶解したものを添加する。5分
放置後、これに前記プレ乳化物を4時間かけて連続滴下
する。その後2時間は同温度にて攪拌を続けた後に、3
0℃以下まで冷却し、80メッシュの金網を用いて濾過
を行った。濾過後、25%濃度のアンモニア水でpHを
8に調整し、固形分濃度21.7%、平均粒径0.03
9μmの重合体微粒子エマルジョンを得た。
【0072】このエマルジョンを、常法により調製され
た銅アンモニアセルロース溶液(セルロース:10重量
%、銅:3.5重量%、アンモニア:7重量%、水酸化
ナトリウム:0.5重量%、セルロース重合度:60
0)に、インラインミキサーを用いて、混合温度10
℃、ミキサー回転数1000rpmで添加、混合し、微
粒子の対セルロース添加率11.1重量%の微粒子/セ
ルロース混合液を得た。混合後、そのまま連続して20
μm焼結フィルタ、5μm焼結フィルタを通して0.7
mm×45ホールの紡糸口金より、凝固浴(一次紡水:温
度36℃、紡水量450ml/分、二次紡水:温度55
℃、紡水量400ml/分)へ吐出量11.2ml/分で吐
出し、従来公知の連続紡糸機を用いて再生、水洗、乾燥
を行って、巻取速度150m/分にて巻取り、銅アンモ
ニアレーヨン糸状を得た。紡糸性は良好で、5時間の紡
糸時間中に0.1kg/cm2 のギヤポンプ圧力の上昇があ
ったが、フィルタ詰まり、紡口詰まり、糸切れ等のトラ
ブルは一度も発生しなかった。得られた糸は繊度76.
5d、乾強度2.62g/d、乾伸度12.1%、湿潤
強度1.57g/dと実用上何ら問題のないレベルであ
り、光沢度は40.3であった。繊維断面内の微粒子の
平均粒径は、非前処理法で0.045μm、前処理法で
0.040μmであり、二次粒子数は0.2個/μ
2 、粒子数は84.3個/μm2 と凝集もなく微分散
化されていた。また、染料吸尽率は92.2%と充分な
染色性を示し、得られた染色物の鮮明度、有彩色深色
度、無彩色深色度は18.1、32.5、17.1と優
れた鮮明深色性を示した。
【0073】次に、この糸の一口編み地を精練乾燥し、
エチレングリコールジグリシジルエーテル:5.0重量
%、ホウフッ化マグネシウム触媒:1.0重量%、安定
剤である酢酸マグネシウム:1.0重量%、水:93.
0重量%の架橋反応液に浸漬後、マングル(5kg/c
m2 )でウェットピックアップ100%に絞り、100
℃で1分間予備乾燥し、160℃で3分間加熱処理し
た。この布帛の湿摩擦堅牢度は4−5級ときわめて良好
であった。
【0074】実施例2 実施例1の架橋反応液の代わりに、ポリエチレングリコ
ールジグリシジルエーテル(ユニレンジZ−135(ユ
ニカ技研):5重量%、ホウフッ化マグネシウム触媒:
3.0重量%、安定剤である酢酸マグネシウム:1.5
重量%、水:90.5重量%の架橋反応液を用いた。一
口編み地を浸漬後、マングル(5kg/cm 2 )でウェット
ピックアップ90%に絞り、100℃で1分間予備乾燥
し、160℃で3分間加熱処理した。この布帛の湿摩擦
堅牢度は4−5級ときわめて良好であった。
【0075】実施例3 実施例1の架橋反応液の代わりに、1,3−ジメチルグ
リオキザール尿素:3.6重量%、塩化マグネシウムと
ホウフッ化マグネシウムの混合触媒:2.4重量%、
水:94.0重量%の架橋反応液を用いた。一口編み地
を浸漬後、マングル(5kg/cm2 )でウェットピックア
ップ80%に絞り、100℃で1分間予備乾燥し、16
0℃で3分間加熱処理した。この布帛の湿摩擦堅牢度は
4級ときわめて良好であった。
【0076】実施例4 実施例1の架橋反応液の代わりに、1,3−ジメチロー
ルグリオキザール尿素:3.6重量%、塩化マグネシウ
ムとホウフッ化マグネシウムの混合触媒:2.4重量
%、水:94.0重量%の架橋反応液を用いた。一口編
み地を浸漬後、マングル(5kg/cm2 )でウェットピッ
クアップ80%に絞り、100℃で1分間予備乾燥し、
160℃で3分間加熱処理した。この布帛の湿摩擦堅牢
度は3−4級ときわめて良好であった。った。
【0077】実施例5 メチルメタアクリレート210部、スチレン25部、イ
タコン酸7.5部、アクリルアミド7.5部、アデカリ
アソープSE10の25%水溶液5部、エマルゲン92
0の25%水溶液5部、過硫酸アンモニウム0.63部
および蒸留水400部を添加し、ホモミキサーで攪拌を
行い、プレ乳化物を作製した。別に、攪拌付きフラスコ
に蒸留水300部、レベノールWZ(花王社製)の25
%水溶液0.3部およびエマルゲン920の25%水溶
液0.3部を仕込み、78℃に昇温し、過硫酸アンモニ
ウム0.10部を水12部に溶解したものを添加する。
5分放置後、実施例1と同様の処方で重合を行い、固形
分濃度20.8%、平均粒径0.20μmの重合体微粒
子エマルジョンを得た。
【0078】このエマルジョンを実施例1と同様の処方
で紡糸を行ったところ、紡糸性は良好で5時間の紡糸中
にギヤポンプの圧力上昇はなく、フィルタ詰まり、紡口
詰まり、糸切れなどのトラブルは一度も発生しなかっ
た。得られた糸は繊度76.2d、乾強度2.40g/
d、乾伸度11.8%、湿潤強度1.52g/dと実用
上問題のないレベルであった。光沢度は18.3と艶が
小さく、繊維断面内の微粒子の平均粒径は非前処理法で
0.20μm、前処理法で0.19μmであり、二次粒
子は存在せず、粒子数は4.2個/μm2 と疎であるも
のの良好に分散していた。また、染料吸尽率は91.1
%と充分な染色性を示し、得られた染色物の鮮明度、有
彩色深色度、無彩色深色度は15.2、26.9、1
8.7と実用上問題のない発色性であった。
【0079】次に、この糸の一口網み地を洗練乾燥し、
エチレングリコールジグリシジルエーテル:5.0重量
%、テトラフルオロホウ酸マグネシウムとホウフッ化マ
グネシウムの混合触媒:1.0重量%、安定剤である酢
酸マグネシウム:1.0重量%、水:93.0重量%の
架橋反応液に浸漬後、マングル(5kg/cm2 )でウェッ
トピックアップ100%に絞り、100℃で1分間予備
乾燥し、160℃で3分間加熱処理した。この布帛の湿
摩擦堅牢度は4−5級ときわめて良好であった。
【0080】実施例6 実施例1で得られた重合体エマルジョンを、常法により
調製されたポリノジックビスコース溶液(セルロース:
5.0重量%、水酸化ナトリウム重量6.1%、二硫化
炭素重量1.65%、重合度:600)に、インライン
ミキサーを用いて、混合温度−5℃、ミキサー回転数1
000rpmで添加、混合し、微粒子の対セルロース添
加率11.1重量%の微粒子/セルロース混合液を得
た。これを0.06mm×150ホールの紡糸口金より、
凝固浴(硫酸:20g/リットル、硫酸ナトリウム:3
0g/リットル、硫酸亜鉛:1g/リットル、浴温度2
5℃)へ吐出量10.5ml/分で吐出し、第1ロールで
25m/分で巻き上げた。次に、延伸浴(硫酸:3g/
リットル、浴温度98℃)に導入し、第2ロールで50
m/分の速度で巻き取った。水洗乾燥を行って、ポリノ
ジック糸状を得た。紡糸性は良好で、5時間の紡糸で羽
毛や糸切れ等のトラブルやフィルタの詰まりは発生しな
かった。
【0081】得られた糸は繊度107.8d、乾強度
3.79g/d、乾伸度9.1%、湿潤強度3.32g
/dと充分な高い性能を示した。光沢度は34.8と高
く、繊維断面内の微粒子の平均粒径は、非前処理法で
0.049μm、前処理法で0.044μm、二次粒子
数は1.8個/μm2 、粒子数は63.8個/μm2
良好な分散状態であった。また、染料吸尽率は91.4
%、得られた染色物は鮮明度、有彩色深色度、無彩色深
色度がそれぞれ18.8、34.6、18.3と優れた
鮮明深色性を示した。次に、この糸の一口網み地を洗練
乾燥し、エチレングリコールジグリシジルエーテル:
5.0重量%、ホウフッ化マグネシウム触媒:1.0重
量%、安定剤である酢酸マグネシウム:1.0重量%、
水:93.0重量%の架橋反応液に浸漬後、マングル
(5kg/cm2 )でウェットピックアップ100%に絞
り、100℃で1分間予備乾燥し、160℃で3分間加
熱処理した。この布帛の湿摩擦堅牢度は4級ときわめて
良好であった。
【0082】実施例7 実施例6の架橋反応液の代わりに、グリセリンジグリシ
ジルエーテル:10重量%、ホウフッ化マグネシウムの
混合触媒:5.0重量%、安定剤である酢酸マグネシウ
ム:2.5重量%、水:82.5重量%の架橋反応液を
用いた。一口編み地を浸漬後、マングル(5kg/cm2
でウェットピックアップ90%に絞り、100℃で1分
間予備乾燥し、160℃で3分間加熱処理した。この布
帛の湿摩擦堅牢度は4−5級ときわめて良好であった。
【0083】比較例1 実施例1において、架橋反応液を付与する工程を省いた
一口編み地の湿摩擦堅牢度は1−2級であった。 比較例2 実施例5において、架橋反応液を付与する工程を省いた
一口編み地の湿摩擦堅牢度は2級であった。 比較例3 実施例6において、架橋反応液を付与する工程を省いた
一口編み地の湿摩擦堅牢度は1−2級であった。
【0084】比較例4 常法により調製された銅アンモニアセルロース溶液(セ
ルロース:10重量%、銅:3.5重量%、アンモニ
ア:7重量%、水酸化ナトリウム:0.5重量%、セル
ロース重合度:600)にエマルジョンを混合すること
なしに、そのまま連続して20μm焼結フィルタ、5μ
m焼結フィルタを通して0.7mm×45ホールの紡糸口
金より、凝固浴(一次紡水:温度36℃、紡水量450
ml/分、二次紡水:温度55℃、紡水量400ml/分)
へ吐出量11.2ml/分で吐出し、従来公知の連続紡糸
機を用いて再生、水洗、乾燥を行って、巻取速度150
m/分にて巻取り、銅アンモニアレーヨン糸状を得た。
【0085】得られた糸は繊度75.5d、乾強度2.
62g/d、乾伸度11.1%、湿潤強度1.67g/
dで光沢度は42.7であった。次に、この糸の一口編
み地を精練乾燥し、エチレングリコールジグリシジルエ
ーテル:5.0重量%、ホウフッ化マグネシウム触媒:
1.0重量%、安定剤である酢酸マグネシウム:1.0
重量%、水:93.0重量%の架橋反応液に浸漬後、マ
ングル(5kg/cm2 )でウェットピックアップ100%
に絞り、100℃で1分間予備乾燥し、160℃で3分
間加熱処理した。次いで、反応染料(Sumifix
Black B(住友化学工業):5owf、浴比1:
50で、助剤に硫酸ナトリウム:50g/l、炭酸ナト
リウム:15g/lを使用し、染色を行った。染色後、
充分なソーピングを行い、脱水、乾燥した。この布帛を
JIS−L0849に準じて湿摩擦堅牢度を測定したと
ころ、2−3級と充分ではなかった。
【0086】比較例5 比較例4において、架橋反応液を付与する工程を省き、
同様に反応染料で染色した一口編み地の湿摩擦堅牢度は
1−2級であった。
【0087】
【発明の効果】本発明により、分散染料にて染色可能で
充分な力学物性、優れた湿摩擦堅牢性を有するセルロー
ス繊維を提供することが可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4H057 AA01 BA08 CA03 CA37 CB08 CC01 CC02 DA01 DA02 DA24 DA29 DA30 DA32 DA33 HA15 4L033 AA02 AC15 BA08 BA14 CA18 CA50 4L035 BB03 BB22 DD01 EE20 FF10 KK01

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 分散染料により染色可能な重合体微粒子
    を1〜40重量%含有するセルロース繊維であって、少
    なくとも繊維の表面がセルロースの水酸基と反応する官
    能基を2つ以上有する化合物により実質的に架橋されて
    いることを特徴とするセルロース繊維。
  2. 【請求項2】 前記重合体微粒子を構成する繰返し単位
    として、(A)−COOR、−SO3 R、−PO3
    (但し、Rは水素原子、アルカリ金属またはNH4 を示
    す)から選ばれる電離官能基の少なくとも1種を有する
    モノマと、(B)−OH基、−NHR1 基、−CONH
    1 基(R1 は水素原子、または炭素数1〜6の有機基
    を示す)から選ばれる親水性官能基の少なくとも1種を
    有するモノマがそれぞれ1〜25重量%の範囲で共重合
    されており、かつ(A)と(B)の総量が2〜30重量
    %であることを特徴とする請求項1記載のセルロース繊
    維。
  3. 【請求項3】 前記重合体微粒子の平均粒径が0.01
    〜0.05μmであり、セルロース繊維の横断面におけ
    る該重合体微粒子の数が10〜1000個/μm2 であ
    ることを特徴とする請求項1または2記載のセルロース
    繊維。
  4. 【請求項4】 前記セルロース繊維が銅アンモニアレー
    ヨンであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれ
    かに記載のセルロース繊維。
  5. 【請求項5】 請求項1ないし4のいずれかに記載され
    たセルロース繊維を用いた繊維製品。
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