JPH08170224A - 分散染料に可染性の有機溶剤系セルロース繊維及びその製法 - Google Patents

分散染料に可染性の有機溶剤系セルロース繊維及びその製法

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JPH08170224A
JPH08170224A JP31628394A JP31628394A JPH08170224A JP H08170224 A JPH08170224 A JP H08170224A JP 31628394 A JP31628394 A JP 31628394A JP 31628394 A JP31628394 A JP 31628394A JP H08170224 A JPH08170224 A JP H08170224A
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organic solvent
fiber
cellulose
spinning
dyeing
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Akio Omori
昭夫 大森
Shinji Yamaguchi
新司 山口
Tomoyuki Sano
友之 佐野
Satoru Kobayashi
悟 小林
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Kuraray Co Ltd
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Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 繊維強度の大幅な低下をきたすことなく、各
種染色堅牢度に優れ、かつ、地球や人に優しい公害のな
い製法で、分散染料で染色することのできる有機溶剤系
セルロース繊維を提供することである。 【構成】 海成分がセルロース系ポリマー、島成分が分
散染料に染色可能なポリマーよりなる有機溶剤系海島型
セルロース系繊維であって、島成分を2〜45%含有
し、かつ島成分の大きさが0.01〜3μmであって、
洗濯に対する染色堅牢度が3級以上である有機溶剤系セ
ルロース繊維。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、分散染料により染色可
能な有機溶剤系セルロース繊維に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、セルロース繊維は、直接染料、反
応染料、スレン染料で染色されてきた。しかしながら、
直接染料は色によって染色堅牢度に難があり、反応染料
による染色においては良好な染色堅牢度が得られるが、
染料が高価であること及びアルカリの存在と高いPH及
び高温下での長時間染色であるため生産性に問題があっ
た。また、スレン染料は、高価であること及び色の限定
が大きく汎用性に欠けるという欠点があった。
【0003】また、セルロース繊維の染色性改良の研
究、例えば、カチオン化やアニオン化の歴史は古いが、
かかる手段では染色堅牢度が満足できず、しかも、ビス
コースへの種々化合物の添加による繊維強度の低下が大
きいので実用性に欠け工業化されていないのが現状であ
る。
【0004】このように、従来からセルロース繊維の染
色性改良のために種々の試みがなされてきたが、染色堅
牢性や繊維物性まで踏み込んで評価したときに、十分満
足できる結果は得られていなかった。さらに、本発明の
ようにセルロース繊維を実用性のあるものとして分散染
料に可染とする発想や試みは従来全く存在していなかっ
た。
【0005】さらに、セルロース繊維の紡糸原液に各種
無機顔料を添加した原着繊維や、無機顔料の欠点を改善
するために予め着色された有機微粒子を紡糸原液に添加
して紡糸する方法も知られているが、予め着色しなけれ
ばならないという繁雑さと均一着色すること自体が容易
でなく、しかも無機顔料にしろ有機顔料にしろ色が限ら
れ汎用性にも乏しいので、例えば、ポリエステル繊維な
どの合成繊維との混用物において両繊維を同色に色合わ
せしようとしても殆ど不可能である。
【0006】また、最近、セルロースをN−メチルモル
ホリン−N−オキサイド(以後N−MMOと略記する)
などの有機溶剤に溶解し、紡糸して得られる有機溶剤系
セルロース繊維は、二硫化炭素やアンモニアなどの健康
上問題のある低沸点薬剤を使用せず、人や地球に優し
く、かつ4g/dr以上の高強度、特に湿潤強度が高
く、注目されているが、その高配向性、高結晶性のた
め、通常の再生セルロース繊維より染色され難い欠点が
あった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、セルロース
繊維に適用されてきた従来の染色方法によって染色可能
であることは勿論のこと、従来の染色方法における種々
の問題点を解消し、繊維強度の大幅な低下をきたすこと
なく、しかも各種染色堅牢度に優れた分散染料で染色可
能な有機溶剤系セルロース繊維を安価に生産性よく提供
することを目的とするものである。また、ポリエステル
繊維などの合成繊維と混用した場合に、同一染浴で分散
染料のみで両繊維を一挙に染色することができ、所望に
応じた同色性を有する繊維製品を製造するのに適した有
機溶剤系セルロース繊維を提供することである。
【0008】即ち、本発明は、海成分がセルロース系ポ
リマー、島成分が分散染料により染色可能なポリマーよ
りなる有機溶剤系海島型セルロース繊維であって、セル
ロース/分散染料可染ポリマーの重量比が98/2〜5
5/45であり、島成分の大きさが0.01〜3μmで
あって、洗濯に対する染色堅牢度が3級以上であること
を特徴とする有機溶剤系セルロース繊維であり、好まし
くは繊維重量1gに対して0.1mg以上の分散染料を
染着する能力も有する有機溶剤系セルロース繊維とその
繊維製品であり、さらに好ましくは0.6g/d以上の
湿潤強度をも有する有機溶剤系セルロース繊維とその繊
維製品である。
【0009】さらに、本発明は、セルロースと分散染料
可染ポリマーとを98/2〜55/45の割合で溶解分
散した有機溶剤溶液を、エアーギァップ長0.5〜10
cm、紡糸ドラフト3〜30倍で該有機溶剤を10〜6
0%含有する水系凝固浴に乾湿式紡糸することを特徴と
する有機溶剤系セルロース繊維の製法である。
【0010】なお、本発明において有機溶剤系セルロー
ス繊維とは、N−MMO、酸化窒素/ジメチルホルムア
ミド、硫化リチウム/ジメチルアセタミドなどの有機溶
剤系化合物にパルプなどのセルロースを溶解した溶液を
紡糸原液として使用し、得られる繊維を意味する。ま
た、繊維製品とは、当該有機溶剤系セルロース繊維10
0%から構成される綿、糸、紐、織物、編物、不織布及
びこれらを使用した衣類、リビング資材類、産業資材
類、雑貨・日用品類は勿論のこと、当該有機溶剤系セル
ロース繊維を少なくとも一部に使用したこれら繊維製品
を対象とするものである。
【0011】本発明の有機溶剤系セルロース繊維には、
島成分として分散染料により染色が可能であるポリマー
が2〜45重量%含有されていることが重要である。分
散染料により染色が可能なポリマー(以下単に原体と略
記することがある。)としては、ナイロン6、ナイロン
66等のポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ス
ルホン酸変性ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレ
ンテレフタレート等のポリエステル、ポリメチルメタク
リレート、メチルメタアクリレート(以下MMAと略
記)−メタアクリル酸共重合体、MMA−メタアクリル
酸−スチレン共重合体等のMMA系ポリマー、スチレン
−アクリル酸系共重合体等のスチレン系ポリマー、アク
リロニトリル−スチレン共重合体等のアクリル系ポリマ
ー、ポリジメチルシロキサン、メチルシリコーンゴム等
のシリコーン系ポリマー、各種のウレタン系ポリマーな
どがあげられ、これらポリマーが紡糸原液の有機溶剤に
可溶である場合はセルロースと混合溶解して用い、有機
溶剤に不溶の場合は、ポリマーを0.02〜2μmの微
粒子として取り出せるようエマルジョン重合あるいは分
散重合するが、取り出したポリマーを微粉砕して用い
る。本発明の島成分には、これらポリマー微粉末がセル
ロース中に分散している場合も包含する。これらのポリ
マーの中でポリエステル系ポリマー、MMA系ポリマ
ー、アクリル系ポリマーが原体の分散染料に対する染色
性及び染色堅牢度の点から好ましく使用される。
【0012】また、本発明の有機溶剤系セルロース繊維
をポリエステル繊維などの合成繊維と混用する場合は、
染色後における同色性を考慮して原体としてポリエステ
ル系ポリマーが好ましく使用される。本発明の如く有機
溶剤を用いる場合は、ビスコースレーヨンの如く濃アル
カリと接触しないのでポリエステルが加水分解されず特
に好ましい。
【0013】このように、原体としては、基本的に染色
性および染色堅牢性の良好なものを使用することが好ま
しいが、本発明においては、これら原体が有機溶剤系セ
ルロースに包理された状態で繊維内に分散しているため
か、原体自体の染色堅牢度がそれほど良好でなくても繊
維としては原体の持つ染色堅牢性よりも良好な染色堅牢
度を示すことが多い。
【0014】本発明において島成分として使用される原
体のサイズは、0.01〜3μmである。0.01μm
未満の場合は、製糸性の低下や繊維の物性低下は少ない
が、染料による染着性や堅牢性が低下したり、原体を構
成する重合体の種類によってはドライクリーニング等の
有機溶剤処理により流出しやすくなるという問題が生じ
やすいので、好ましい下限値は0.05μm、特に0.
1μmである。一方、3μmを越えると、毛羽の発生が
著しいなど安定した製糸ができず、しかも得られる繊維
の強伸度が低くタフネスの低下が著しい場合がある。ま
た、繊維物性を特に重視する場合は、島成分の大きさの
上限値は好ましくは2.5μm、さらに好ましくは2.
0μm、特に好ましくは1.5μmの上限値が好まし
い。
【0015】原体が紡糸原液の有機溶剤に不溶である場
合は、例えば、公知の粉砕機を用いて重合体チップや粉
末を凍結粉砕して微細粉末にする物理的細粒化方法や、
重合性モノマーから、その重合過程で粒子形成を行う方
法及び微小液滴化した重合体溶液から、粒子形成を行う
方法など重合技術によって原体を製造することができ
る。使用される粒子の平均粒径オーダーによって、細粒
化の手段を選択すればよいが、実際は、重合体の種類に
よってはミクロンからサブミクロンオーダーの粉砕が極
めて困難な場合があったり、重合手法でも製造できない
ものもある。重合手法による場合の例を挙げると、0.
05〜1μm程度の粒径の微粒子を得るためには乳化重
合法やソープフリー乳化重合法、シード乳化重合法が好
ましく採用され、1〜3μmでは、シード乳化重合法、
二段階膨潤法、分散重合法などが好適である。さらに、
これら重合体は中実微粒子であっても中空微粒子であっ
てもよく、中空微粒子を使用すると高い隠蔽性や、繊維
の軽量化を同時に実現することが可能である。
【0016】原体が紡糸原液の有機溶剤に可溶である場
合には、セルロースと混合溶解すると、分散染料に親和
性があるポリマーであるため、セルロースとは相溶性が
低く相分離し、セルロースの組成比が大きいため、セル
ロースが海成分、原体が島成分となる。原体とセルロー
スの相溶性、温度や撹拌剪断速度などを調整することに
より、島成分が0.01〜3μmとなるよう制御するこ
とが重要である。
【0017】本発明の有機溶剤系セルロース繊維には、
かかる原体が2〜45重量%含有されていることが必要
である。2重量%未満の場合は染着量が十分に確保でき
ないので淡染物さえ得られなくなる。また、45重量%
を越えると製糸時に毛羽が発生しやすく繊維物性の低下
も著しい。繊維の物性と淡染のみでなく濃染も保証でき
る染着量とのバランスから、好ましい含有率の下限は8
重量%であり、上限は40重量%である。また、かかる
含有率の範囲内であれば、原体の種類は1種類だけでな
く2種類以上の異なるポリマーを混用してもよい。
【0018】さらに、本発明の有機溶剤系セルロース繊
維は、原体の含有率が増えるにつれて原体の一部が繊維
の表面に突出したり、突出した原体が脱落してクレータ
ー状にくぼんだ部分が観察され繊維表面が粗面化された
ような構造になるため、通常のレーヨンのような艶のあ
る光沢が抑えられる点に特徴がある。したがって、通常
のレーヨンの艶を保持したまま分散染料に染色可能とす
る場合は、意識的に繊維表面に原体が存在しないような
紡糸方法を採用することが適当であり、例えば、芯鞘型
複合繊維の製造技術に基づき、芯成分に原体を含むセル
ロースを用い、鞘成分に原体を含まないセルロースを用
いて複合紡糸することで達成できる。但し、その場合
は、上記のように原体の含有率を低めにしておかないと
繊維物性の低下を来す場合がある。また、芯鞘構造とせ
ずに原体径の極めて小さいものを使用することでレーヨ
ン独特の艶を保持することができる場合もある。さら
に、本発明においては、意識的に鞘成分にのみに原体を
添加して紡糸したり、所望に応じてサイドバイサイド型
のような複合形態として繊維化することも可能である。
【0019】このような原体を配合した本発明の有機溶
剤系セルロース繊維は、分散染料に対する染色挙動が通
常のポリエステル繊維と類似し、良好な染料吸尽性を示
すものであり、濃色染めにする淡色染めにするかなど染
色条件により、染料の吸尽量を適宜設定することができ
るが、本発明の有機溶剤系セルロース繊維は繊維重量1
gに対して好ましくは0.1mg以上、さらに好ましく
は1mg以上、特に好ましくは4mg以上の分散染料を
染着する能力を有している。この染着量が0.1mg/
g未満では、淡色といえども十分な発色姓が得られない
ので採用しないほうがよい。染着量の上限は、使用する
染料による要因も大きいので臨界的な格別な意味を持た
ないが、濃色染めにおいて効率的な染料の使用量から考
えて200mg/g以下であることが望ましい。なお、
染着量の測定方法は、染色後のものと染色前のものとで
測定法が相違しており、例えば、単一染料で染色されて
いる製品については、一定重量の繊維について57%ピ
リジン水溶液によりソックスレー抽出を行い、必要に応
じてその抽出液について両繊維とも同じ希釈度で57%
ピリジン水溶液で希釈調整し、その調整液について下記
の測定装置である分光光度計[日立307型カラーアナ
ライザー((株)日立製作所製)]により最大吸収波長
に於ける吸光度を測定し、別の検量線より染着量を求め
ることができる。また、未染色のものについては、後述
するような方法で染着量を求めることができる。
【0020】原体自体が分散染料に可染であっても、本
発明の繊維において該原体は分散染料に不染性のセルロ
ース分子により包囲され、分散染料分子が原体に直接接
触できないような繊維になっているにもかかわらず、原
体に分散染料が染着する理由は定かではないが、染色処
理において有機溶剤系セルロース繊維が水分で膨潤し、
セルロースの分子運動が活発になり、その配列がルーズ
になっているところへ分散染料分子が浸透し、その結
果、染料分子が原体に染着するものと推測される。この
現象は、有機溶剤系セルロース繊維を分散染料で染色し
ようという試みさえなかったことからすると驚くべき事
実であり、また、分散染料で染色された繊維をさらに洗
濯(水洗)して繊維が再膨潤し、染料が繊維から離脱し
やすい環境下におかれても、原体に強く染着されたまま
で、洗濯堅牢度3級以上という優れた染色堅牢性を示す
こともまさに予期せぬことであった。
【0021】本発明の有機溶剤系セルロース繊維は、分
散染料によって染色可能であるが、ただ単に分散染料で
染まるというだけでなく、染色後の洗濯に対する堅牢度
が3級以上であることも含めて「分散染料に染色可能」
な有機溶剤系セルロース繊維であるという。そして、本
発明の有機溶剤系セルロース繊維は、下記の条件(以
下、単に基準染色条件と略称することがある。)で染色
処理を施したときに、好ましくは40%以上、特に好ま
しくは60%以上の染料染着率を示すような有機溶剤系
セルロース繊維であることが望まれ、さらに望ましく
は、ドライクリーニングに対する堅牢度が3級以上、昇
華堅牢度が3級以上、カーボンアーク灯に対する耐光堅
牢度が3級以上の染色堅牢度を兼ね備えているものであ
る。 <染色条件> 染料;Sumikaron Brill Red SE-2BF(住友化学製) 3%owf 助剤;ディスパーTL 1g/l ウルトラMTレベル 1g/l 浴比;1:50 染色温度・時間;120℃×40分(40℃から120℃まで30分で昇温 し、120℃で40分キープ) 還元洗浄;NaOH 1g/l、Na2 2 4 1g/l、アミラジン (第一工業製薬社製) 1g/l、80℃×20分 水洗;30分 乾燥;60℃×10分 尚、本発明における分散染料染着率とは、基準染色条件
で染色したときの下記に示す方法で求められる値であ
る。 染着率(%)=[(S0 −S1 )/S0 ]×100 S0 :染色前の染料溶液についてアセトン水溶液(アセ
トン/水=1/1容量比)により所定の希釈度で希釈調
整した染料溶液について分光光度計[日立307型カラ
ーアナライザー((株)日立製作所製)]により測定し
た最大吸収波長に於ける吸光度 S1 :染色後の染料残液について、必要に応じてアセト
ン水溶液(アセトン/水=1/1容量比)により所定の
希釈度で希釈調整した染料溶液について分光光度計によ
り測定した最大吸収波長に於ける吸光度 なお、希釈を行なう場合は、吸光度の最大値が0.6程
度になるように希釈することが望ましい。また、染色前
の染料溶液は希釈を行ない、染料残液は染料濃度が低い
ため希釈する必要がない場合があるが、この場合は、染
色前の溶液についての希釈倍率を、残液についての吸光
度に掛けた値で染着率を求める必要がある。
【0022】本発明において特徴的なことは、上記のよ
うに各種染色堅牢試験に対して極めて良好な堅牢性を示
すことである。かかる染色堅牢性は、まさに通常のポリ
エステル繊維と同レベルの優れた染色堅牢性である。さ
らに付記すれば、本発明の繊維はこれら染色堅牢度のほ
かに、湿摩擦堅牢度が2級以上、特に3級以上を示すも
のである。
【0023】なお、本発明における上記各種染色堅牢度
は、以下の方法によって求めたものである。 イ.洗濯に対する堅牢度; JIS L0844−1986(A−2法) (添付白布は綿、ナイロンを使用) ロ.ドライクリーニングに対する堅牢度; JIS L0860−1974 (添付白布は綿、ナイロンを使用) ハ.昇華堅牢度; JIS L0850−1975(B−2法) (但し、ホットプレッシング温度は160℃で時間は6
0秒とし、添付白布はポリエステルを使用) ニ.カーボンアーク灯に対する耐光堅牢度; JIS L0842−1988 (露光方法は第3露光方法を採用) ホ.湿摩擦堅牢度; JIS L0849−1971(試験機はII形を使
用)
【0024】次に本発明の有機溶剤系セルロース繊維の
製造方法について述べる。原体が原液溶媒の有機溶剤に
不溶の場合、繊維への原体微粒子の添加は、紡糸原液が
ノズルから紡出されるまでの任意の工程で行なうことが
でき、紡糸原液に対し原体を直接そのまま添加してもよ
いが、かかる方法によると微粒子が凝集とやすいので、
予め微粒子の水性分散液を調整し、これを所定濃度とな
るよう紡糸原液に添加、混合したり、又は、そのような
水性分散液を別途準備することなく、最初から所定濃度
となるように微粒子が配合された紡糸原液を調整してお
くことが好ましい。
【0025】微粒子濃度の異なる銘柄を多種製造する場
合は、水性分散液を別途調整しておき、銘柄に合わせて
紡糸原液のラインへ添加・混合する方が合理的である。
微粒子の水性分散液の調整は、分散液中で微粒子が凝集
しないように慎重に行う必要があり、そのためには、微
粒子濃度を10〜50重量%、特に15〜30重量%に
なるように水性分散液を調整することが好ましい。
【0026】また、分散液や紡糸原液中において微粒子
を安定に分散させるために、分散助剤を使用することが
好ましく、例えば、ポリオキシエチレンアルキルアミノ
エーテル等のノニオン系の分散助剤を微粒子に対して5
〜30重量%程度添加すると好ましい場合がある。
【0027】紡糸原液に対する原体微粒子の添加は、撹
拌翼などの分散手段により微粒子を十分に分散・混合さ
せ、脱泡・脱気した後に紡糸ノズルから凝固浴へ紡出
し、所定の速度で引き取ることで本発明の有機溶剤系セ
ルロース繊維を製造することができる。
【0028】特に、本発明においては、紡糸原液中に原
体微粒子を均一に分散させるために添加後に十分撹拌混
合することが重要であるが、撹拌し過ぎた原液を使用し
て紡糸すると製糸性が低下するので好ましくない。ま
た、紡糸にあたっては原液の脱泡が非常に重要であり、
脱泡が十分に行われていないと安定した紡糸ができない
ので、16〜30時間程度静置脱泡又は1〜24時間程
度真空脱泡された紡糸原液を使用することが好ましい。
また2軸押出機を用い、充分な剪断を与えながら混練溶
解することが好ましい場合もある。
【0029】次に、原体が原液溶媒の有機溶剤に可溶で
ある場合の製造方法について述べる。セルロースと原体
とを例えばN−MMOなどの有機溶剤に混合溶解する。
原体は分散染料に親和性のある化学構造を有しており、
セルロースとは完全には相溶せず、かつ原体の混合割合
が少ないため、セルロースが海成分、原体が島成分を形
成する海島型相分離溶液、すなわちセルロースをマトリ
ックスとし原体が分散した溶液とすることができる。紡
糸原液中での島成分の大きさに限定はないが最終繊維で
の島成分の大きさを0.01〜3μmとする必要がある
ので、紡糸原液中でも大略同じ程度の大きさに制御する
必要がある。原液中での島成分の大きさは、セルロース
と原体、セルロースと有機溶剤、原体と有機溶剤の親和
性のバランスにより主として決定され、各々の重合度、
温度、撹拌条件の調整によって島成分の大きさを0.0
1〜3μmに制御することができる。溶解装置としては
通常の撹拌翼を有するペラ型溶解機や2軸押出機のよう
な高剪断を与えうる溶解機を用いることができる。得ら
れた原体分散セルロース紡糸原液は高粘度であり、脱泡
放置しても安定な場合が多いが、紡糸原液の島成分のサ
イズが経時的に変化したり、原体、セルロース或いは有
機溶剤が化学変化を起こして、不安定である場合には、
セルロースと原体を各々別に溶解し、紡糸直前に混合分
散し、紡糸してもよい。
【0030】このようにして得た紡糸原液は、エアギァ
ップ長0.5〜10cm、紡糸ドラフト3〜30倍で水
系凝固浴に乾湿式紡糸する。エアギァップ長が、0.5
cm未満であると紡糸性が不安定となり、10cmを越
えると単糸間膠着がみられるようになるので好ましくな
い。エアギァップ長が0.8〜6cmであるとより好ま
しく、1〜3cmであるとさらに好ましい。紡糸ドラフ
トは繊維の分子配向に影響を与えるため、繊維の強度、
ヤング率(YM)には重要である。紡糸ドラフトが3倍
未満であると有機溶剤系セルロース繊維の特長である強
度、特に湿潤強度が不充分となり、30倍を紡糸性が不
安定となるので好ましくない。紡糸ドラフトが5〜20
倍であるとより好ましく、8〜15倍であるとさらに好
ましい。凝固浴は、均質な凝固糸篠とするためには原液
溶媒と同じ有機溶剤を10〜60%含有しなければなら
ない。有機溶剤が10%未満であると急激な凝固とな
り、均質な糸篠を得ることができず、60%を越えると
十分な凝固が起こらず、好ましくない。凝固浴中の有機
溶剤の濃度が20〜55%であるとより好ましく、30
〜50%であるとさらに好ましい。凝固糸篠は残存して
いる有機溶媒を水で十分に抽出除去し、乾燥する。
【実施例】以下に本発明を実施例を用いてより具体的に
説明するが、本発明はこれら実施例により限定されな
い。尚、本発明において、平均粒径、セルロース繊維1
gに対する分散染料の染着量、湿潤温度、微粒子含有量
は下記の方法で求めた。
【0031】(1)平均粒径;電子顕微鏡で5,000
〜20,000倍に拡大した繊維断面において観察され
る微粒子について、微粒子形状が真円又は略円の場合は
直径を、非円形の場合はその長径を計り、一断面内に存
在する微粒子径の平均値を取り、これを5か所以上の断
面において行ないその平均値をとる。また、微粒子分散
液の状態のものは、マイクロトラック粒度分布測定装置
を用い、粒度分布を測定し、その最高ピーク点粒度(M
V値)を平均粒径とする。
【0032】(2)染着量;前述の染着率の測定方法に
準拠し、染色前の染液の染料濃度をD{被染物1gに対
する染料重量(mg)}として下記式で求められる。 染着量(mg/g)=(S0 −S1 )×D/S0 また、このとき用いる染液は単一染料の染液を使用する
ことが望ましい。
【0033】(3)湿潤強度;繊維サンプルを室温の水
に2分間浸漬し、湿潤状態で、引張速度20cm/24
秒でセリメーターにて測定し、最終強力値を重量繊度で
除して求める。
【0034】(4)微粒子含有量(=対セルロース添加
率);あらかじめ秤量された有機溶剤系セルロース繊維
サンプルを銅アンモニウム液で溶解し、溶解液をテフロ
ン製メンブランフィルターまたは限外濾過膜で濾過し、
原体を分離・乾燥して重量を求め、繊維重量当たりの含
有率を求める。
【0035】実施例1 重合度650でα−セルロースが97%の木材パルプを
平均粒径1μmのポリエチレンテレフタレート微粉末を
40℃真空乾燥機で十分乾燥し、N−MMOの1水和物
とともに窒素置換下85℃で撹拌溶解し、セルロース/
ポリエチレンテレフタレート=80/20、セルロース
濃度12%のポリエチレンテレフタレート分散セルロー
ス溶液を得た。この紡糸原液を0.12mm×50ホー
ルの紡糸ノズルを通してエアギァップ長1.5cmと
し、N−MMO/水=35/65の凝固浴中に紡糸ドラ
フト10倍で乾湿式紡糸し、得られた凝固糸篠を水洗し
てN−MMOを除去し乾燥後巻取った。得られたセルロ
ース繊維は、ポリエチレンテレフタレートの微粒子が1
μmの径で分散しており、乾強度3.6g/d、湿潤強
度は2.3g/dで、基準染色条件下での染着率は73
%であった。
【0036】得られた繊維を小型筒編機にて編地とな
し、分散染料スミカロンブルーS−3RFを用い、浴比
1:50、3%owf、130℃×60分染色を行な
い、染色後、NaOH1g/l、Na2 2 4 1g/
l、アミラジン(第一工業製薬社製)1g/lにて80
℃×20分還元洗浄し、ついで30分水洗し、60℃×
10分乾燥を行った。その結果、染着量22mg/gと
かなり濃色に染まっており、洗濯堅牢度(変退色)が5
級、ドライクリーニング堅牢度(変退色)が5級、耐光
堅牢度(変退色)が4級、昇華堅牢度(変退色)が4
級、湿摩擦堅牢度も3〜4級と良好であった。また、こ
の繊維の分散染料染着率は73%であった。
【0037】実施例2 重合度850でαセルロースが98%の木材パルプとM
MA−メタアクリル酸−スチレンの共重合体(共重合重
量比80/10/10)とを40℃真空乾燥し、N−M
MOの1水和物とともに窒素置換下85℃で撹拌溶解
し、セルロース/N−MMA−メタクリル酸−スチレン
共重合体=72/28、セルロース濃度11%でのMM
A−メタクリル酸−スチレン共重合体が島成分、セルロ
ースが海成分を形成した溶液を得た。この紡糸原液を
0.10mm×100ホールの紡糸ノズルを通して、エ
アギァップ長2.0cmとし、N−MMO/水=30/
70の凝固浴中に紡糸ドラフト12倍で乾湿式紡糸し、
水洗乾燥して巻取った。得られた繊維は、MMA−メタ
アクリル酸−スチレン共重合体が0.8μmの径で分散
しており、乾強度3.1g/d、湿潤強度1.8g/d
で基準染色条件下での染着率は82%であった。
【0038】得られた繊維を、実施例1と同様に編地と
し、染色した結果、染着量は26.5mg/gと濃色に
染まっており、堅牢度も実施例1と同様であり良好であ
った。またこの繊維の分散染料染着率は88%であっ
た。
【0039】比較例1 平均粒径が6μmのポリエチレンテレフタレート微粉末
を用いる実施例1と同様に紡糸したが、ノズル調子が不
調で8時間紡糸後にノズル詰まりが発生し、正常な紡糸
はできなかった。
【0040】比較例2 セルロース/MMA−メタアクリル酸−スチレン共重合
体の混合割合を99/1とする以外は実施例2と同様に
して溶解、紡糸した。得られた繊維の基準染色条件下で
の染着量は5%と極めて低く、分散染料可染といえるも
のではなかった。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 海成分がセルロース系ポリマー、島成分
    が分散染料により染色可能なポリマーよりなる有機溶剤
    系海島型セルロース系繊維であって、セルロース/分散
    染料可染ポリマーの重量比が98/2〜55/45であ
    り、島成分の大きさが0.01〜3μmであって、洗濯
    に対する染色堅牢度が3級以上であることを特徴とする
    有機溶剤系セルロース繊維。
  2. 【請求項2】 繊維重量1gに対して0.1mg以上の
    分散染料を染着する能力を有する請求項1に記載の有機
    溶剤系セルロース繊維。
  3. 【請求項3】 湿潤強度が0.6g/d以上である請求
    項1または2に記載の有機溶剤系セルロース繊維。
  4. 【請求項4】 セルロースと分散染料可染ポリマーとを
    重量比で98/2〜55〜45の割合で溶解分散した有
    機溶剤溶液を、エアギャップ長0.5〜10cm、紡糸
    ドラフト3〜30倍、紡糸原液に用いた有機溶剤と水の
    重量割合が10/90〜60/40である水系凝固浴に
    乾湿式紡糸することを特徴とする有機溶剤系セルロース
    繊維の製法。
  5. 【請求項5】 請求項1,2または3のいずれか1項に
    記載の繊維を含む繊維製品。
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