JPH0949175A - 連続染色されたアクリル系合成繊維及びその製造方法 - Google Patents

連続染色されたアクリル系合成繊維及びその製造方法

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JPH0949175A
JPH0949175A JP7224651A JP22465195A JPH0949175A JP H0949175 A JPH0949175 A JP H0949175A JP 7224651 A JP7224651 A JP 7224651A JP 22465195 A JP22465195 A JP 22465195A JP H0949175 A JPH0949175 A JP H0949175A
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正志 新井
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Abstract

(57)【要約】 【課題】染色堅牢度に優れ、均一に連続染色されたアク
リル系合成繊維、ならびに同繊維を工業的に容易に、且
つ安価に製造する方法を提供する。 【解決手段】アクリル系重合体を湿式紡糸し、延伸、水
洗後のゲル膨潤状態にある繊維束に、1つの浴槽の中
で、塩基性染料(A)とカチオン界面活性剤(B)を、
その液中濃度が下記条件を満足する処理液組成で付与し
た後、水洗、油剤付与、乾燥緻密化することを特徴とす
る均一に連続染色されたアクリル系合成繊維、 0.1≦(A)/(B)≦10 及び、処理液を付与するにあたり、繊維束の数以上の供
給口から補給液を供給する事を特徴とする同繊維の製造
方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は均一に連続染色され
たアクリル系合成繊維、及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】アクリル系合成繊維は発色性、染着性に
優れた塩基性染料で染色出来る合成繊維として汎く使用
されている。その染色法については綿染め、糸染め等の
後染めが殆どであるが、染着が良好な点を利用して湿式
紡糸した凝固状態のアクリル系合成繊維を染色する方法
も従来から開発されてきている。特公昭50−1043
1号公報には凝固した膨潤状態の繊維を水洗した後、階
段状に連結した一連の容器内に向流状態に染料溶液を流
し、該容器のヒドロゲル繊維の出口に於いて染料濃度が
最も高く、一方ヒドロゲル繊維の入口付近で染料濃度が
殆ど零となる様に調整する方法が提案されている。又、
特開昭54−34421号公報には予備染色槽と本染色
槽の2槽で均一に染色する方法が提案されている。これ
らの方法によりヒドロゲル繊維を一応効率良く染色する
事は出来るが、工業的規模で目的の色相濃度にトウの幅
方向及び繊維軸方向に均一に染色するのは難しく、染色
槽が複数になるため生産銘柄の切換えの際のロスが大き
い等問題があった。又、特開昭58−115110号公
報、特開昭58−115111号公報にはヒドロゲル繊
維が染色槽を通過する際、偏芯ロ−ラ−を用いて強制的
に染色液の浸透を図った例が提案されている。しかし装
置が複雑となり、色相の再現性に問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の欠点に鑑み、染料の繊維束への浸透性、染着性を改
善する事で均一に連続染色されたアクリル系合成繊維、
及び同繊維を工業的に容易に製造する方法を提供する事
にある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明はアクリル系重合
体を湿式紡糸し、延伸、水洗後のゲル膨潤状態にある繊
維束に、1つの浴槽の中で、塩基性染料(A)と
【化3】 (R1 は炭素数15〜25のアルキル基、R2 はアルキ
レン基、R3 、R4 は炭素数1〜5のアルキル基、X-
はジエチル硫酸塩である対イオンを示す。)で示される
カチオン界面活性剤(B)を、その液中濃度が下記条件
を満足する処理液組成で付与した後、水洗、油剤付与、
乾燥緻密化して得られた均一に連続染色されたアクリル
系合成繊維 0.1≦(A)/(B)≦10 であり、又、アクリル系重合体を湿式紡糸し、延伸、水
洗後のゲル膨潤状態にある繊維束に、1つの浴槽の中
で、塩基性染料(A)と
【化4】 (R1 は炭素数15〜25のアルキル基、R2 はアルキ
レン基、R3 、R4 は炭素数1〜5のアルキル基、X-
はジエチル硫酸塩である対イオンを示す。)で示される
カチオン界面活性剤(B)を、その液中濃度が下記条件
を満足する処理液組成で付与するにあたり、繊維束の数
以上の供給口から補給液を供給する事を特徴とする均一
に連続染色されたアクリル系合成繊維の製造方法 0.1≦(A)/(B)≦10 である。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明で使用する塩基性染料
(A)は狭義の意味で耐光堅牢度の低い旧型の塩基性染
料とは異なり、俗に言うカチオン染料と呼ばれる染料を
指す。染料形状は粉体状でも良いが取扱の容易な液体染
料が好ましい。
【0006】本発明で使用するカチオン界面活性剤
(B)は
【化5】 で示され式中のアルキル基R1 の炭素数が15〜25の
範囲にあるものであり、望ましくは17〜20の範囲が
良い。式中のアルキル基R1 の炭素数が15未満の場
合、塩基性染料との交換反応が容易に起こり、緩染効果
が得られず染め斑が発生する。逆に25を越えると緩染
効果は得られるものの、長鎖アルキル基の強い疎水性に
より処理液の浸透性が悪化する。
【0007】本発明で使用する処理液の成分(A)、
(B)の組成範囲は 0.1≦(A)/(B)≦10 である。(A)/(B)が0.1未満だと緩染効果が強
過ぎて染料の染着効果が悪化し、逆に10を越えると充
分な緩染効果が得られず染め斑が発生する。
【0008】本発明に於ける染色温度は30℃以上80
℃以下が好ましい。染色温度が30℃未満だと繊維の染
料吸尽力が低下し、カチオン界面活性剤(B)を使用し
ても染色斑が発生する。一方、80℃を越えると繊維の
収縮現象が起こり結果的には染料吸尽力が低下する。
【0009】本発明に於て染色槽に処理液(A)、
(B)を補給するための供給口の数は繊維束の数以上で
ある事が必要不可欠である。各々の供給口を繊維束の近
くに設置する事で染色槽中の濃度勾配が無くなり、繊維
束毎の色相差が小さくなる。
【0010】繊維束の染色槽中での滞在時間は数秒で充
分だが、繊維束のト−タルデニ−ルが50万〜200万
デニ−ルと大きくなる場合には、処理液を繊維束の内部
迄充分浸透させるため、積極的駆動をかけて回転するバ
イブロ装置やフィン付きバ−、超音波発生機等が必要と
なる。
【0011】本染色槽を出た繊維束は、後に行われる洗
浄工程で排水される染料を一定量以下に抑制すると共
に、染色物の堅牢度を向上せしめるため、加熱水蒸気で
処理する事が好ましい。
【0012】本発明に使用するアクリル系合成繊維を構
成するアクリロニトリル共重合成分としては、少なくと
も40重量%以上のアクリロニトリルを含有するもの
で、繊維形成能を有するものが望ましい。すなわち、ア
クリロニトリルを40重量%以上と他のビニル系モノマ
ー、例えばアクリル酸、メタクリル酸、或いはこれらの
アルキルエステル類、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビ
ニリデン、アリルスルホン酸ソーダ、メタリルスルホン
酸ソーダ、ビニルスルホン酸ソーダ、スチレンスルホン
酸ソーダ、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンス
ルホン酸ソーダなどを適宜組み合わせたものを60重量
%未満の割合で共重合せしめたものが挙げられる。
【0013】紡糸及び後処理は通常のアクリル系合成繊
維と同様な条件で行えば良く、乾燥緻密化後、紡績油剤
を付与しクリンプ、カットを行う。なお、繊維断面は丸
型、偏平、その他の異型等、どの様な断面でも良い。
【0014】
【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明
する。なお、実施例中「%」とあるのは「重量%」を意
味する。本発明における染色綿の測色はクラボウ(株)
製 分光光度計COLOR−7を用いた。染め斑につい
ては以下の3段階で判定した。 ○ : 斑が全く見られない △ : 斑が部分的に見られる × : 斑が見られる 染色堅牢度については 耐洗濯性は JIS−L0844、 耐摩耗性は JIS−L0849、 耐光性は JIS−L0843 に準拠し
た。
【0015】実施例1〜3、比較例1、2 アクリロニトリル(以下ANと記す)/塩化ビニリデン
(以下VCl2と記す)/2−アクリルアミド−2−メチ
ルプロパンスルホン酸ソーダ(以下SAMと記す)=5
6/40/4(重量%)からなるアクリル系共重合体
を、重合体濃度28%になる様にジメチルホルムアミド
(以下DMFと記す)に溶解した紡糸原液を作成した。
【0016】上記紡糸原液を0.06φ×50000ホ
−ルの丸型口金4個を通して20℃、58%DMF水溶
液中に紡出し、通常の延伸、水洗工程を経た後のゲル膨
潤状態の繊維に塩基性染料(A)としてBasacry
l Blue X3GL(BASF社製)、カチオン界
面活性剤(B)としてR1 の炭素数17、R2 の炭素数
2、R3 、R4 の炭素数4である化合物を表1記載の濃
度で繊維に付与した。その際、補給液の供給は4箇所か
ら行い、バイブロを500rpm /min の速度で回転させ
た。
【0017】染色処理後、100℃の飽和水蒸気中を7
秒間通過させてから水洗、油剤付与、乾燥緻密化してク
リンプをかけ、カットして3d×32mmの染色綿を得
た。得られた結果をまとめ表1に示した。
【0018】
【表1】
【0019】比較例1はカチオン界面活性剤(B)が含
まれていないため染め斑があった。比較例2はカチオン
界面活性剤(B)が必要以上に多かったため染着効率が
悪化し実施例2に比べ淡色になった。
【0020】実施例4、5、比較例3〜5 AN/VCl2/SAM=53/44/3からなるアクリ
ル系重合体の28%DMF溶液を準備した。
【0021】上記紡糸原液を0.336mm×0.056
mm、25000ホ−ルの偏平型口金5個を通して20
℃、52%DMF水溶液中に紡出し延伸、水洗して5列
のゲル膨潤状態の繊維束を得た。これらの繊維束に塩基
性染料(A)としてBasacryl Red GLと
1 の炭素数が表2に記載のカチオン界面活性剤(B)
(R2 の炭素数2、R3 、R4 の炭素数4)を各々0.
15%、0.02%の濃度で付与した。補給液の供給口
数を表2に併記した。又、バイブロは650rpm/min
の速度で回転させた。
【0022】染色処理後、110℃の飽和水蒸気中を7
秒間通過させてから水洗、油剤付与、乾燥緻密化してク
リンプをかけ、カットして7d×51mmの染色綿を得
た。得られた結果をまとめ表2に示した。
【0023】
【表2】
【0024】比較例3、4はR1 の炭素数が適当でなく
主にトウ幅方向の均染性が劣っていた。比較例5は補給
液の供給口が1箇所しかなく繊維軸方向、トウ幅方向共
に染め斑が発生した。
【0025】
【発明の効果】本発明により得られたアクリル系合成繊
維は均一に連続染色されており、染色堅牢度の優れた物
である。又、本発明の製造方法は上記アクリル系合成繊
維を工業的に容易に、且つ安価に製造出来る方法であ
る。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アクリル系重合体を湿式紡糸し、延伸、
    水洗後のゲル膨潤状態にある繊維束に、1つの浴槽の中
    で、塩基性染料(A)と 【化1】 (R1 は炭素数15〜25のアルキル基、R2 はアルキ
    レン基、R3 、R4 は炭素数1〜5のアルキル基、X-
    はジエチル硫酸塩である対イオンを示す。)で示される
    カチオン界面活性剤(B)を、その液中濃度が下記条件
    を満足する処理液組成で付与した後、水洗、油剤付与、
    乾燥緻密して得られた均一に連続染色されたアクリル系
    合成繊維。 0.1≦(A)/(B)≦10
  2. 【請求項2】 アクリル系重合体を湿式紡糸し、延伸、
    水洗後のゲル膨潤状態にある繊維束に、1つの浴槽の中
    で、塩基性染料(A)と 【化2】 (R1 は炭素数15〜25のアルキル基、R2 はアルキ
    レン基、R3 、R4 は炭素数1〜5のアルキル基、X-
    はジエチル硫酸塩である対イオンを示す。)で示される
    カチオン界面活性剤(B)を、その液中濃度が下記条件
    を満足する処理液組成で付与するにあたり、繊維束の数
    以上の供給口から補給液を供給する事を特徴とする均一
    に連続染色されたアクリル系合成繊維の製造方法。 0.1≦(A)/(B)≦10
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CN103981743A (zh) * 2014-05-21 2014-08-13 上海瑞贝卡纤维材料科技有限公司 一种制备假发用改性聚丙烯腈纤维的凝胶染色方法
JP2018135627A (ja) * 2017-02-20 2018-08-30 東洋紡株式会社 着色ポリエチレン繊維およびその製造方法

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