JP2019210585A - 再生セルロース繊維への機能付与剤 - Google Patents

再生セルロース繊維への機能付与剤 Download PDF

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Abstract

【課題】 多価金属イオンとセルロースとを含む溶液から再生させて得られる繊維に対して機能を充分に付与することができる機能付与剤を提供する。【解決手段】 再生セルロース繊維への機能付与剤であって、該機能付与剤は、カルボキシル基を1.0〜11.2mmol/gの割合で有する重合体であり、該再生セルロース繊維は、多価金属イオンとセルロースとを含む紡糸液から再生させて得られる繊維であることを特徴とする機能付与剤。【選択図】なし

Description

本発明は、再生セルロース繊維への機能付与剤に関する。より詳しくは、キュプラ等の再生セルロース繊維に好適に用いられる、pH緩衝性等を付与する機能付与剤に関する。
近年、消費者の衛生・快適性志向から、繊維に吸湿性、抗菌・防臭性、保温性、発熱性、柔軟性、pH緩衝性等の機能を付与することが求められ、種々の技術が開発されている。例えば、繊維化工程後の糸や織物の段階で機能性を付与する方法や、合成繊維、半合成繊維、再生繊維等に対して機能性を付与する方法としては、繊維化の工程の段階で機能性成分を練り込む技術等が開発されている。
また、上記再生繊維の一種である再生セルロース繊維は、パルプ等の原料中のセルロースを取り出し、化学処理を行うことにより繊維に再生したものであり、原料や処理工程の違いにより、レーヨン、キュプラ、ポリノジック、リヨセル等の種々の繊維が知られている。例えば、上記レーヨンは、セルロースを水酸化ナトリウム等の塩基と二硫化炭素に溶かしてビスコースにし、得られたビスコース溶液を紡糸して製造する。また、キュプラは、水酸化ナトリウム等の塩基とアンモニアと銅化合物を用いて調製した銅アンモニア溶液にセルロースを溶かし、得られた銅アンモニアセルロース溶液を紡糸して製造する。
再生セルロース繊維への機能付与に関して、例えば、特許文献1には、(メタ)アクリル酸(塩)系共重合体とセルロースを含む消臭繊維であって、該(メタ)アクリル酸(塩)系共重合体が、モノエチレン性不飽和モノカルボン酸(塩)単量体(a)由来の構造単位(A)と、モノエチレン性不飽和ジカルボン酸(塩)またはその無水物である単量体(b)由来の構造単位(B)およびエーテル結合含有疎水性単量体(c)由来の構造単位(C)から選ばれる少なくとも1種と、を有する共重合体である、消臭繊維が開示されている。
特許文献2には、消臭性再生セルロース繊維であって、カルボキシル基を含む再生セルロース繊維に金属アンミン錯体が担持されており、前記カルボキシル基を含む再生セルロース繊維は、カルボキシル基を含むポリマーをセルロース繊維中に含有させた繊維であることを特徴とする消臭性再生セルロース繊維が開示されている。
特許文献3には、カルボキシル基を含有する化合物を含む再生セルロース繊維であり、前記カルボキシル基を含有する化合物は、アクリル酸−マレイン酸共重合体であることを特徴とする再生セルロース繊維が開示されている。
特開2016−180197号公報 特開2013−204207号公報 特開2018−9276号公報
上述のとおり、消臭繊維等、種々の機能性繊維、具体的にはレーヨン等の特定の繊維に対して機能を付与した繊維が開示されている。しかしながらキュプラ等の多価金属イオンとセルロースとを含む溶液から再生させて得られる繊維に対する機能付与に関しては充分に検討されているとはいえなかった。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、多価金属イオンとセルロースとを含む溶液から再生させて得られる繊維に対して機能を充分に付与することができる機能付与剤を提供することを目的とする。
本発明者は、機能付与剤について種々検討したところ、カルボキシル基量が特定の範囲である重合体が、多価金属イオンとセルロースとを含む溶液から再生させて得られる繊維に対して、pH緩衝能を充分に付与することができることを見いだし、上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。
すなわち本発明は、再生セルロース繊維への機能付与剤であって、該機能付与剤は、カルボキシル基を1.0〜11.2mmol/gの割合で有する重合体であり、上記再生セルロース繊維は、多価金属イオンとセルロースとを含む紡糸液から再生させて得られる繊維である機能付与剤である。
上記重合体は、重量平均分子量が1,000〜500,000であることが好ましい。
上記多価金属イオンは、遷移金属のイオンであることが好ましい。
上記多価金属イオンは、銅イオンであることが好ましい。
上記多価金属イオンとセルロースとを含む紡糸液は、アンモニアを含むことが好ましい。
上記重合体は、下記式(1):
Figure 2019210585
(式中、R、R、Rは、同一又は異なって、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、−(CHp1COOM(−(CHp1COOMは、−COOM又はその他の−(CHp1COOMと無水物を形成していてもよい)、−(CHp2(CO)q1−O−R、又は、−(CHp3CONRを表す。p1、p2、p3は、同一又は異なって、0〜2の整数を表し、q1は、0又は1を表す。M及びMは、同一又は異なって、水素原子、一価金属原子、二価金属原子、三価金属原子、第4級アンモニウム基、又は、有機アミン基を表す。R、R、Rは、同一又は異なって、水素原子、又は、炭素数1〜30の炭化水素基を表す。)で表される化合物由来の構造単位を有する重合体であることが好ましい。
上記機能付与剤は、再生セルロース繊維にpH緩衝機能を付与するものであることが好ましい。
上記再生セルロース繊維はキュプラであることが好ましい。
本発明はまた、カルボキシル基を1.0〜11.2mmol/gの割合で有する重合体と、キュプラとを含み、上記キュプラは、銅イオンとセルロースとアンモニアとを含む紡糸液から再生させて得られる繊維である機能性キュプラ繊維でもある。
上記機能性キュプラ繊維は、銅イオンとセルロースとアンモニアとを含む溶液に上記重合体を混合した紡糸液から再生させて得られるものであることが好ましい。
本発明は更に、機能性キュプラ繊維を製造する方法であって、上記製造方法は、銅イオンと、セルロースと、カルボキシル基を1.0〜11.2mmol/gの割合で有する重合体とアンモニアとを含む紡糸液から繊維を再生する工程を含む機能性キュプラ繊維の製造方法でもある。
上記紡糸液は、銅イオン濃度が0.5〜10質量%であることが好ましい。
上記製造方法は、紡糸液中の上記重合体の濃度が0.05〜3.5質量%であることが好ましい。
本発明は更に、カルボキシル基を1.0〜11.2mmol/gの割合で有する重合体を、銅イオンとセルロースとアンモニアとを含む紡糸液に混合して使用するキュプラへの機能付与方法でもある。
本発明の機能付与剤は、上述の構成よりなり、キュプラ等の再生セルロース繊維に対してpH緩衝能を付与することができるため、キュプラ等の再生セルロース繊維に好適に用いることができる。
本発明の機能性繊維は、上述の構成よりなり、pH緩衝能を充分に発揮することができるため、衣料品等に好適に用いることができる。
本発明の機能付与剤の製造方法は、上述の構成よりなり、前記紡糸液から沈殿を生じさせず、安定的に効率良く機能性繊維を製造することができる。
本発明の機能付与剤の使用方法は、上述の構成よりなり、キュプラ等の再生セルロース繊維に対して、効率良くpH緩衝能を付与することができる。
以下に本発明の好ましい形態について具体的に説明するが、本発明は以下の記載のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。なお、以下に記載される本発明の個々の好ましい形態を2又は3以上組み合わせた形態も、本発明の好ましい形態に該当する。
≪機能付与剤≫
本発明の機能付与剤は、特定の方法により得られる再生セルロース繊維への機能付与剤であって、カルボキシル基を1.0〜11.2mmol/gの割合で有する重合体である。これにより、本発明の機能付与剤は、重合体が有するカルボキシル基等の官能基に由来する機能を上記繊維に対して付与することができる。カルボキシル基に由来する機能としては、pH緩衝性、吸湿性、消臭性等が挙げられる。
また、本発明の機能付与剤がこのような重合体であることにより、多価金属イオンを含む溶液に機能付与剤を混合した場合にも、多価金属イオンとの架橋反応等が生じることを充分に抑制することができるため、沈殿等が生じず、特定の再生セルロース繊維に対する機能付与剤として好適に用いることができる。このような機能付与剤を用いて機能を付与された繊維は、pH緩衝能に優れるため、衣料等に用いた場合に、汗等に含まれる成分等により繊維のpHが変動することを充分に抑制することができるため、肌荒れ等を充分に抑制することができる。また、カルボキシル基は親水性であって吸湿性に優れ、かつ、アンモニア等の塩基性の臭気原因物質と反応することができるため、本発明の機能付与剤はカルボキシル基を有することに起因して、上記繊維に対して吸湿性、消臭性等を付与することもできる。
上記機能付与剤におけるカルボキシル基量として好ましくは3.0〜11.0mmol/gであり、より好ましくは4.0〜10.8mmol/gであり、更に好ましくは5.5〜10.6mmol/gであり、特に好ましくは6.5〜10.5mmol/gである。
上記カルボキシル基量の好ましい範囲は、重合体が有するカルボキシル基等の官能基に由来する機能を上記繊維に対してより充分に付与することができる点、上記紡糸液中で沈殿等が生じることをより充分に抑制し、より均一な紡糸液が得られ、上記機能が付与された繊維をより安定して得ることができる点、で好ましい。
上記重合体のカルボキシル基量は、実施例に記載の方法により測定することができる。
上記重合体は、重量平均分子量が1,000〜500,000であることが好ましい。これにより機能付与剤が繊維から脱落することを充分に抑制することができる。より好ましくは1,500〜300,000であり、更に好ましくは2,000〜100,000であり、特に好ましくは2,500〜80,000であり、最も好ましくは3,000〜60,000である。
上記重合体は、カルボキシル基量が上記範囲であれば特に制限されないが、カルボキシル基含有単量体(A)由来の構造単位(a)を有するものであることが好ましい。
上記カルボキシル基含有単量体(A)は、カルボキシル基とエチレン性不飽和炭化水素基(不飽和基)を有するものであれば、特に制限されないが、下記式(1);
Figure 2019210585
(式中、R、R、Rは、同一又は異なって、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、−(CHp1COOM(−(CHp1COOMは、−COOM又はその他の−(CHp1COOMと無水物を形成していてもよい)、−(CHp2(CO)q1−O−R、又は、−(CHp3CONRを表す。p1、p2、p3は、同一又は異なって、0〜2の整数を表し、q1は、0又は1を表す。M及びMは、同一又は異なって、水素原子、一価金属原子、二価金属原子、三価金属原子、第4級アンモニウム基、又は、有機アミン基を表す。R、R、Rは、同一又は異なって、水素原子、又は、炭素数1〜30の炭化水素基を表す。)で表される化合物であることが好ましい。
上記R、R、Rにおける炭素数1〜10のアルキル基の炭素数として、好ましくは1〜8であり、より好ましくは1〜4である。炭素数1〜10のアルキル基として好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基であり、より好ましくはメチル基、エチル基であり、特に好ましくはメチル基である。
上記R、R、Rのうち少なくとも1つが水素原子であることが好ましく、より好ましくは少なくとも2つが水素原子である。更に好ましくはR、Rが水素原子であり、Rが水素原子又はメチル基であり、特に好ましくはR、R、Rのすべてが水素原子である。
上記R、R、Rにおける炭素数1〜30の炭化水素基としては、炭素数1〜30の脂肪族アルキル基、炭素数3〜20の脂環式アルキル基、炭素数2〜30のアルケニル基、炭素数2〜30のアルキニル基、炭素数6〜30のアリール基等が挙げられる。
上記M及びMにおける一価金属原子としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属原子等が挙げられる。二価金属原子としては、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属原子等が挙げられる。三価金属原子としては、アルミニウム、鉄等が挙げられる。また、有機アミン基としては、例えば、エタノールアミン基、ジエタノールアミン基、トリエタノールアミン基等のアルカノールアミン基や、トリエチルアミン基等が挙げられる。
上記M及びMとしては、水素原子又はアルカリ金属原子が好ましい。
上記カルボキシル基含有単量体(A)として具体的には、下記の不飽和モノカルボン酸系単量体(A1)や不飽和ジカルボン酸系単量体(A2)が挙げられる。
不飽和モノカルボン酸系単量体(A1)としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、チグリン酸、3−メチルクロトン酸、2−メチル−2−ペンテン酸、α−ヒドロキシアクリル酸等;これらの1価金属塩、2価金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩;下記不飽和ジカルボン酸系単量体と炭素数1〜22のアルコール又は炭素数2〜4のグリコールとのハーフエステル;不飽和ジカルボン酸系単量体と炭素数1〜22のアミンとのハーフアミド等が挙げられる。
不飽和ジカルボン酸系単量体(A2)としては、分子内に不飽和基を1つとカルボアニオンを形成しうる基を2つとを有する単量体であればよく、マレイン酸、イタコン酸、メサコン酸、シトラコン酸、フマル酸等や、それらの1価金属塩、2価金属塩、アンモニウム塩及び有機アミン塩等、それらの無水物が挙げられる。
上記カルボキシル基含有単量体(A)としては、上記カルボキシル基量をより好適な範囲とする観点から、不飽和モノカルボン酸系単量体(A1)が好ましい。重合性向上の観点から、より好ましくは(メタ)アクリル酸(塩)である。すなわち、上記重合体が(メタ)アクリル酸(塩)由来の構造単位を有する機能付与剤は、本発明の好ましい形態の1つである。カルボキシル基含有単量体(A)として最も好ましくはアクリル酸(塩)である。
上記重合体が構造単位(a)を有するものである場合、構造単位(a)の含有割合は、全構造単位100質量%に対して45〜100質量%であることが好ましい。より好ましくは57〜100質量%であり、更に好ましくは65〜100質量%であり、特に好ましくは75〜100質量%である。
また、上記不飽和モノカルボン酸系単量体(A1)由来の構造単位(a1)の含有割合は、全構造単位100質量%に対して57〜100質量%であることが好ましい。より好ましくは65〜100質量%であり、更に好ましくは75〜100質量%である。
上記不飽和ジカルボン酸系単量体(A2)由来の構造単位(a2)の含有割合は、全構造単位100質量%に対して0〜43質量%であることが好ましい。より好ましくは0〜35質量%であり、更に好ましくは0〜25質量%であり、特に好ましくは0〜15質量%であり、最も好ましくは0質量%である。
上記重合体は、カルボキシル基含有単量体(A)以外のその他の単量体(E)由来の構造単位(e)を有していてもよい。
その他の単量体(E)としては、特に制限されないが、例えば、3−(メタ)アリルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、2−(メタ)アリルオキシエチレンスルホン酸等の(ポリ)アルキレングリコール含有不飽和スルホン酸、2−(メタ)アリルオキシエチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、p−スチレンスルホン酸、α−メチル−p−スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、ビニルスルファミン酸、(メタ)アリルスルホン酸、イソプレンスルホン酸、4−(アリルオキシ)ベンゼンスルホン酸、1−メチル−2−プロペン−1−スルホン酸、1,1−ジメチル−2−プロペン−1−スルホン酸、3−ブテン−1−スルホン酸、1−ブテン−3−スルホン酸、2−アクリルアミド−1−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミドプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−ブタンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−フェニルプロパンスルホン酸、2−((メタ)アクリロイルオキシ)エタンスルホン酸等の不飽和スルホン酸及びこれらの塩等;N−ビニルピロリドン等のN−ビニルラクタム系単量体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸iso−ノニル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル等の(メタ)アクリル酸エステル類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのエステル基の炭素数が1〜18の水酸基含有(メタ)アクリレート類;(メタ)アクリルアミド、N−モノメチル(メタ)アクリルアミド、N−モノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等のN置換若しくは無置換の(メタ)アクリルアミド;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、インデン、ビニルナフタレン、フェニルマレイミド、ビニルアニリン等のビニルアリール単量体;エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソブチレン、オクテン等のアルケン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のカルボン酸ビニル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルエチレンカーボネート及びその誘導体;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ビニルピリジン、ビニルイミダゾール及びこれらの塩またはこれらの4級化物等の不飽和アミン;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシアン化ビニル系単量体;エチレングリコール(メタ)アクリレート、ジエチレングリコール(メタ)アクリレート等の(ポリ)アルキレングリコール(メタ)アクリレート;ビニルアルコール、アリルアルコール、メタリルアルコール、3−メチル−3−ブテン−1−オール、3−メチル−2−ブテン−1−オール、2−メチル−3−ブテン−1−オール、2−メチル−2−ブテン−1−オール、3−アリルオキシ−1,2−プロパンジオール等の炭素数2〜8の不飽和アルコールにアルキレンオキサイドを1〜300モル付加させた(ポリ)アルキレングリコール系単量体等が挙げられる。
上記その他の単量体(E)として好ましくは上記不飽和スルホン酸及びこれらの塩であり、より好ましくは3−(メタ)アリルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸(塩)、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸(塩)、2−((メタ)アクリロイルオキシ)エタンスルホン酸(塩)であり、更に好ましくは3−(メタ)アリルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸(塩)である。
上記重合体における構造単位(e)の割合は、全構造単位100質量%に対して0〜55質量%であることが好ましい。より好ましくは0〜43質量%であり、更に好ましくは0〜35質量%であり、特に好ましくは0〜25質量%であり、更に一層好ましくは0〜20質量%であり、最も好ましくは0〜15質量%である。
上記重合体がその他の単量体(E)として上記不飽和スルホン酸及びこれらの塩由来の構造単位(e1)を有する場合、構造単位(e1)の割合は、全構造単位100質量%に対して0〜43質量%であることが好ましい。より好ましくは0〜35質量%であり、更に好ましくは0〜25質量%であり、特に好ましくは0〜20質量%であり、最も好ましくは0〜15質量%である。
上記重合体の製造方法は特に制限されないが、カルボキシル基含有単量体(A)を含む単量体成分を重合することにより製造することができ、単量体成分の具体例及び好ましい例、並びに、各単量体の好ましい割合は、上述のとおりである。
上記重合工程における、単量体成分の重合を開始する方法としては、特に制限されないが、例えば、重合開始剤を添加する方法、UVを照射する方法、熱を加える方法、光開始剤存在下に光を照射する方法等が挙げられる。
上記重合工程において、重合開始剤を用いることが好ましい。
上記重合開始剤としては、例えば、過酸化水素;過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]水和物、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’−アゾビス(1−イミノ−1−ピロリジノ−2−メチルプロパン)二塩酸塩等のアゾ系化合物;過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酢酸、ジ−t−ブチルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド等の有機過酸化物;アスコルビン酸と過酸化水素、過硫酸塩と金属塩等の、酸化剤と還元剤とを組み合わせてラジカルを発生させる酸化還元型開始剤等が好適である。これらの重合開始剤のうち、残存単量体が減少する傾向にあることから、過酸化水素、過硫酸塩、アゾ系化合物が好ましく、過硫酸塩が最も好ましい。これらの重合開始剤は、単独で使用されてもよく、2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
上記重合開始剤の使用量としては、全単量体の使用量1モルに対して、好ましくは0.1g以上、15g以下であり、より好ましくは0.2g〜12gである。
上記重合工程においては、必要に応じて連鎖移動剤を用いても良い。連鎖移動剤として、具体的には、メルカプトエタノール、メルカプトプロピオン酸等のチオール系連鎖移動剤;四塩化炭素、塩化メチレン等のハロゲン化物;イソプロピルアルコール、グリセリン等の、第2級アルコール;次亜リン酸、次亜リン酸ナトリウム等の次亜リン酸(塩)(これらの水和物を含む);亜リン酸、亜リン酸ナトリウム等の亜リン酸(塩);亜硫酸ナトリウム等の亜硫酸(塩);亜硫酸水素ナトリウム等の重亜硫酸(塩);亜ジチオン酸ナトリウム等の亜ジチオン酸(塩);ピロ亜硫酸カリウム等のピロ亜硫酸(塩)、過酸化水素などが挙げられる。上記連鎖移動剤として好ましくは、次亜リン酸(塩)、重亜硫酸(塩)、過酸化水素、メルカプトプロピオン酸であり、更に好ましくは、次亜リン酸(塩)、重亜硫酸(塩)、過酸化水素である。上記連鎖移動剤は、単独で使用されてもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
連鎖移動剤の使用量としては、単量体(全単量体)の使用量1モルに対して、0g以上、20g以下であることが好ましく、0g以上、15g以下であることがより好ましい。
上記重合工程において、溶媒を使用する場合、溶媒としては水性溶媒が好ましい。水性溶媒としては、例えば、水、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール(2−プロパノール)、n−ブチルアルコール、ジエチレングリコール等のアルコール類、グリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール等が挙げられ、好ましくは水である。
単量体の溶媒への溶解性向上のため、必要に応じて、重合に悪影響を及ぼさない範囲で、任意の適切な有機溶媒を適宜加えてもよい。このような有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン等の低級ケトン類;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類;ジメチルホルムアルデヒド等のアミド類等が挙げられる。これらの溶媒は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
溶媒の使用量としては、単量体100質量%に対して40〜400質量%が好ましい。
上記重合工程において、重合温度は、特に限定されるものではないが、20℃〜110℃であることが好ましく、より好ましくは40〜105℃であり、更に好ましくは50〜105℃である。
また、反応時間は、上記重合反応が完結するように、反応温度や、単量体成分、重合開始剤、及び、溶媒等の種類(性質)や組み合わせ、使用量等に応じて、適宜設定すればよい。
上記重合体の製造方法は、重合反応後に、重合体を熟成する工程を含むことが好ましい。熟成工程を行うことにより、残存モノマー量を低減することができる。上記熟成工程における温度は特に制限されないが、50〜105℃であることが好ましい。上記熟成工程における熟成時間は特に制限されないが、10分〜5時間であることが好ましい。より好ましくは20分〜3時間である。
<再生セルロース繊維>
本発明の機能付与剤が用いられる再生セルロース繊維は、多価金属イオンとセルロースとを含む紡糸液から再生させて得られる繊維である。
上記多価金属イオンは、セルロースを溶解させる錯体を形成しうるものであれば特に制限されないが、カルシウムイオン、マグネシウムイオン、バリウムイオン等のアルカリ土類金属のイオン、銅イオン、鉄イオン、コバルトイオン、ニッケルイオン、チタンイオン、マンガンイオン、クロムイオン等の遷移金属のイオンが挙げられる。好ましくは遷移金属イオンであり、最も好ましくは銅イオンである。
上記紡糸液は、多価金属イオン濃度が0.5〜10質量%であることが好ましい。より好ましくは1.0〜7質量%であり、更に好ましくは1.2〜5質量%である。
多価金属イオンは、例えば後述する多価金属イオンを発生させる化合物由来のアニオンとイオン結合していても、電離していてもよく、また、アンモニア等が配位して錯体を形成していてもよい。
多価金属イオンを発生させる化合物としては、例えば、多価金属イオンの水酸化物、硫酸化物、塩化物、硝酸化物、酸化物等の化合物を用いることができる。上記多価金属イオンが、銅イオンである場合、原料としては水酸化銅、硫酸銅、塩化銅、硝酸銅、酸化銅が好ましく、より好ましくは水酸化銅、硫酸銅である。
上記紡糸液は、アンモニアを含むことが好ましい。これにより、上記多価金属イオンがアンモニアと錯体を形成し、該錯体によりセルロースをより充分に溶解することができる。
上記紡糸液中のアンモニア濃度は特に制限されないが、3〜15質量%であることが好ましい。より好ましくは4〜14質量%であり、更に好ましくは5〜13質量%である。
上記再生セルロース繊維は、多価金属イオンとセルロースとを含む紡糸液から繊維素(セルロース)を凝固再生して得られるものであることが好ましい。より好ましくはキュプラである。すなわち、上記機能付与剤が、キュプラへの機能付与剤である形態は本発明の好ましい実施形態の1つである。
上記再生セルロース繊維の原料としては、セルロースを含むものであれば特に制限されないが、コットンリンター、パルプ等が好ましい。より好ましくはコットンリンターである。
≪機能性キュプラ繊維≫
本発明はまた、カルボキシル基を1.0〜11.2mmol/gの割合で有する重合体とキュプラとを含み、上記キュプラは、銅イオンとセルロースとアンモニアとを含む紡糸液から再生させて得られる繊維である機能性キュプラ繊維でもある。上記機能性キュプラ繊維は、本発明の機能付与剤を含むため、pH緩衝能を充分に発揮することができ、該繊維を衣料等に用いた場合に、汗等に含まれる成分によるpHの変動を充分に抑制することができる。
上記機能付与剤の好ましい形態は、上述のとおりである。
上記機能性キュプラ繊維は、銅イオンとセルロースとアンモニアとを含む溶液に上記重合体を混合した紡糸液から再生させて得られるものであることが好ましい。
上記紡糸液から再生させて機能性キュプラ繊維を得る方法としては、後述する機能性キュプラ繊維の製造方法のとおりである。
≪機能性キュプラ繊維の製造方法≫
本発明はまた、機能性キュプラ繊維を製造する方法であって、上記製造方法は、銅イオンと、セルロースと、カルボキシル基を1.0〜11.2mmol/gの割合で有する重合体とアンモニアとを含む紡糸液から繊維を再生する工程を含む製造方法でもある。上記重合体、セルロースの原料の好ましい形態は、上述のとおりである。
上記製造方法の再生工程における紡糸液中の銅イオン濃度は特に制限されないが、0.5〜10質量%であることが好ましい。より好ましくは1.0〜8質量%であり、更に好ましくは1.1〜7質量%であり、特に好ましくは1.2〜5質量%である。
上記紡糸液はアンモニアを含むものである。これにより、上記銅イオンがアンモニアと錯体を形成し、該錯体によりセルロースをより充分に溶解することができる。紡糸液中のアンモニア濃度は、特に制限されないが、3〜15質量%であることが好ましい。より好ましくは4〜14質量%であり、更に好ましくは5〜13質量%である。
上記紡糸液は更に水酸化ナトリウム等のアルカリ金属、アルカリ土類金属の水酸化物等の、アンモニア以外の塩基を含んでいてもよい。該塩基の濃度としては特に制限されないが、0〜5質量%であることが好ましい。より好ましくは0〜2質量%である。
上記銅イオンとセルロースとを含む溶液に混合する重合体の量は、セルロース100質量%に対して1〜30質量%であることが好ましい。より好ましくは2〜25質量%であり、更に好ましくは3〜20質量%である。
また、上記紡糸液中の重合体の濃度は0.05〜3.5質量%であることが好ましい。より好ましくは0.10〜3.0質量%であり、更に好ましくは0.15〜2.5質量%である。
上記紡糸液において銅イオンは、例えば後述する銅イオンを発生させる化合物由来のアニオンとイオン結合していても、電離していてもよく、また、アンモニア等が配位して錯体を形成していてもよい。
銅イオンを発生させる化合物としては、例えば、銅イオンの水酸化物、硫酸化物、塩化物、硝酸化物、酸化物等の化合物を用いることができ、水酸化銅、硫酸銅、塩化銅、硝酸銅、酸化銅が好ましく、より好ましくは水酸化銅、硫酸銅である。
上記紡糸液のpHは特に制限されないが、pH8.0〜14.0であることが好ましい。より好ましくは8.5〜13.5であり、更に好ましくは9.0〜13.0である。
上記再生工程において、上記紡糸液から繊維を再生する方法としては特に制限されず、通常用いられる方法を用いることができ、例えば、紡糸口金(ノズル)等を用いて紡糸液を押し出して繊維を凝固させる方法が挙げられる。好ましくは紡糸液を凝固液に押し出して繊維を凝固させる方法である。
上記凝固液は、紡糸液から繊維素(セルロース)を凝固させることができる限り特に制限されないが、酸性溶液であることが好ましい。より好ましくは、硫酸、塩酸、硝酸等の酸の水溶液である。
上記凝固液が上記酸の水溶液である場合、その濃度は0.1〜10mol/Lであることが好ましい。より好ましくは0.5〜5mol/Lである。
上記凝固液のpHとしては0.1〜6であることが好ましい。より好ましくは0.2〜5であり、更に好ましくは0.3〜4である。
上記再生工程は、凝固した繊維を洗浄する工程を含むことが好ましい。これにより、多価金属イオン及び必要に応じてアンモニア等を除去することができる。
上記洗浄工程は、通常用いられる方法により行うことができる。
≪キュプラへの機能付与方法≫
本発明はまた、カルボキシル基を1.0〜11.2mmol/gの割合で有する重合体を銅イオンとセルロースとアンモニアとを含む紡糸液に混合して使用するキュプラへの機能付与方法でもある。上記重合体は、銅イオンとセルロースとアンモニアとを含む紡糸液から再生される繊維に対して、優れたpH緩衝能を付与することができるため、上記重合体をこのように使用することもまた、優れた技術的意義を発揮する。
上記キュプラへの機能付与方法における重合体、銅イオンとセルロースとアンモニアとを含む紡糸液の好ましい形態、及び、紡糸液中の銅イオン、セルロース、アンモニアの好ましい濃度等は、上述のとおりである。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
<重量平均分子量の測定条件(GPC)>
装置:東ソー株式会社製 HLC−8320GPC
検出器:RI
カラム:昭和電工株式会社製 SHODEX Asahipak GF−310−HQ、
GF−710−HQ、GF−1G 7B
カラム温度:40℃
流速:0.5mL/min.
試料液注入量:10μL(試料濃度は0.5質量%)
検量線:創和科学株式会社製 ポリアクリル酸標準(Mp=94、900、2925、7500、28000、115000、143800、589700)を使用し、Mpと溶出時間を基礎に3次式で作成。
溶離液:0.1N酢酸ナトリウム水溶液
<重合体水溶液の固形分測定方法>
重合体の溶液1gを1gの脱イオン水で希釈して130℃で60分間乾燥させ、その蒸発残分を測定して、下記式より求めた。
固形分(%)=〔乾燥後の蒸発残分(g)/乾燥前の重合体溶液の質量(g)〕×100
<重合体中のカルボキシル基量の測定>
測定は平沼産業社製自動滴定装置COM−1700を用いて実施した。
まず、重合体の溶液10gを脱イオン水100gで希釈し、1mol/L水酸化ナトリウム水溶液を用いて重合体中のカルボキシル基を完全に中和した後、1N塩酸水溶液にて滴定曲線を作成し、その滴定曲線の変曲点の差(1N塩酸水溶液の液量)から以下のように算出した。
重合体溶液中のカルボキシル基量(mmol/g)
=(1N塩酸溶液の変曲点間の液量(mL))/重合体の溶液量(10g)
重合体中のカルボキシル基量(mmol/g)
=重合体溶液中のカルボキシル基量(mmol/g)/(重合体の固形分/100)
<繊維のpH>
繊維0.3gを30gの脱イオン水に30分間浸漬し、その水溶液のpHをJIS−Z−8802に準じて測定した。
<pH緩衝能の評価>
105℃で十分乾燥した繊維0.3gを30gの脱イオン水に30分間浸漬し、0.01mol/L水酸化ナトリウム水溶液、もしくは0.01mol/L塩酸水溶液を使用し、pHを5.5に調整した。この液に0.05mol/L水酸化ナトリウム水溶液:0.013g、もしくは0.05mol/L塩酸水溶液:0.012gを添加した後の繊維のpHを測定し、pHが5.5からの変動幅を確認することでpH緩衝性能を評価した。
<製造例1>
還流冷却器、攪拌機を備えた容量2.5LのSUS製反応容器に、脱イオン水:473.9gを仕込み、攪拌下で沸点まで昇温した。次いで攪拌下、沸点の重合反応系中に、80重量%アクリル酸水溶液(以下、「80%AA」と称する):224.5g(すなわち2.49モル)を120分間、15重量%過硫酸ナトリウム水溶液(以下「15%NaPS」と称する):23.9gを130分間、脱イオン水:79.7gを130分間、それぞれ別々の供給経路を通じて先端ノズルより滴下した。それぞれの成分の滴下は一定の滴下速度で連続的に行った。AAの滴下終了後、さらに40分間、上記反応液を沸点に保持(熟成)し、重合を完結させた。40℃まで冷却した後、48重量%水酸化ナトリウム水溶液(以下「48%NaOH」と称する):197.9g(すなわち2.37モル)を添加し10分間撹拌することで重合体Aの水溶液を得た。該水溶液の固形分は24.8%、重量平均分子量(Mw)は60,000、重合体Aのカルボキシル基量は10.1mmol/gであった。
<製造例2>
還流冷却器、攪拌機を備えた容量2.5LのSUS製反応容器に、脱イオン水:167.2gとモール塩:0.02gを仕込み、攪拌下で87℃まで昇温した。次いで攪拌下、87℃の重合反応系中に、80%AA:298.6g(すなわち3.32モル)を180分間、40質量%3−アリルオキシ−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホン酸ナトリウム水溶液(以下、「40%HAPS」と称する):99.3g(すなわち0.18モル)を40分間と更に続いて297.7g(すなわち0.55モル)を100分間と2段階の供給速度で、15%NaPS:51.3gを130分間と更に続いて56.6gを70分間と2段階の供給速度で、35%亜硫酸水素ナトリウム(以下、「35%SBS」と称する):29.9gを170分間、それぞれ別々の供給経路を通じて先端ノズルより滴下した。それぞれの成分の滴下は、40%HAPS、15%NaPS以外は一定の滴下速度で連続的に行った。80%AAの滴下終了後、さらに80分間、上記反応液を87℃に保持(熟成)し、重合を完結させた。また、この間、80%AAの滴下終了5分後から5分間かけて、35重量%過酸化水素水溶液(以下、「35%H」と称する):2.9gを滴下することで重合体Bの水溶液を得た。該水溶液の固形分は43.5%、重量平均分子量(Mw)は20,000、重合体Bのカルボキシル基量は7.6mmol/gであった。
<製造例3>
還流冷却器、攪拌機を備えた容量2.5LのSUS製反応容器に、脱イオン水:64.5g、48%NaOH:207.7g(すなわち2.49モル)、無水マレイン酸:122.2g(すなわち1.25モル)を仕込み、攪拌下で沸点まで昇温した。次いで攪拌下、沸点の重合反応系中に、80%AA:183.4g(すなわち2.04モル)を120分間、15%NaPS:26.1gを144分間、35%H:4.3gを144分間、イオン交換水:177.1gを144分間、それぞれ別々の供給経路を通じて先端ノズルより滴下した。それぞれの成分の滴下は、一定の滴下速度で連続的に行った。上記の滴下が全て終了した後、イオン交換水:113.1gと48%NaOH:101.7g(すなわち1.22モル)を添加し10分間撹拌することで重合体Cの水溶液を得た。該水溶液の固形分は39.7%、重量平均分子量(Mw)は50,000、重合体Cのカルボキシル基量は11.4mmol/gであった。
<実施例1>
硫酸銅5水和物:1.06g、25重量%アンモニア水溶液:10.60g、1mol/L水酸化ナトリウム水溶液:8.82gをよく混合し、完全に溶解させた。ここに日本規格協会より購入した染色堅ろう度試験用添付白布(キュプラ):0.53gを添加し、完全に溶解させた後、製造例1で得られた重合体Aの水溶液:0.21gを添加、よく混合することで銅イオン濃度:1.3%、機能付与剤である重合体A:0.25%、セルロース:2.5%を含有する紡糸液Aを得た。
得られた紡糸液Aを2.5mol/L硫酸水溶液中に押し出し、再生し、水洗、乾燥することで重合体Aを含む繊維Aを得た。繊維Aに対してpH緩衝試験を実施したところ、0.05mol/L水酸化ナトリウム水溶液添加後のpHは6.2、0.05mol/L塩酸水溶液添加後のpHは5.0であった。
<実施例2>
硫酸銅5水和物:1.06g、25重量%アンモニア水溶液:10.60g、1mol/L水酸化ナトリウム水溶液:8.82gをよく混合し、完全に溶解させた。ここに日本規格協会より購入した染色堅ろう度試験用添付白布(キュプラ):0.53gを添加し、完全に溶解させた後、製造例2で得られた重合体Bの水溶液:0.12gを添加、よく混合することで銅イオン濃度:1.3%、機能付与剤である重合体B:0.25%、セルロース:2.5%を含有する紡糸液Bを得た。
得られた紡糸液Bを2.5mol/L硫酸水溶液中に押し出し、再生し、水洗、乾燥することで重合体Bを含む繊維Bを得た。繊維Bに対してpH緩衝試験を実施したところ、0.05mol/L水酸化ナトリウム水溶液添加後のpHは6.1、0.05mol/L塩酸水溶液添加後のpHは5.2であった。
<比較例1>
硫酸銅5水和物:1.06g、25重量%アンモニア水溶液:10.60g、1mol/L水酸化ナトリウム水溶液:8.82gをよく混合し、完全に溶解させた。ここに日本規格協会より購入した染色堅ろう度試験用添付白布(キュプラ):0.53gを添加し、完全に溶解させた後、製造例3で得られた重合体Cの水溶液:0.13gを添加、よく混合したところ、沈殿が生じ、均一な液を取得することができなかった。
<比較例2>
硫酸銅5水和物:1.06g、25重量%アンモニア水溶液:10.60g、1mol/L水酸化ナトリウム水溶液:8.82gをよく混合し、完全に溶解させた。ここに日本規格協会より購入した染色堅ろう度試験用添付白布(キュプラ):0.53gを添加し、完全に溶解させることで銅イオン濃度:1.3%、セルロース:2.5%を含有する紡糸液Dを得た。
得られた紡糸液Dを2.5mol/L硫酸水溶液中に押し出し、再生し、水洗、乾燥することで繊維Dを得た。繊維Dに対してpH緩衝試験を実施したところ、0.05mol/L水酸化ナトリウム水溶液添加後のpHは7.1、0.05mol/L塩酸水溶液添加後のpHは4.7であった。

Claims (14)

  1. 再生セルロース繊維への機能付与剤であって、
    該機能付与剤は、カルボキシル基を1.0〜11.2mmol/gの割合で有する重合体であり、
    該再生セルロース繊維は、多価金属イオンとセルロースとを含む紡糸液から再生させて得られる繊維であることを特徴とする、機能付与剤。
  2. 前記重合体は、重量平均分子量が1,000〜500,000であることを特徴とする請求項1に記載の機能付与剤。
  3. 前記多価金属イオンは、遷移金属のイオンであることを特徴とする請求項1又は2に記載の機能付与剤。
  4. 前記多価金属イオンは、銅イオンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の機能付与剤。
  5. 前記多価金属イオンとセルロースとを含む紡糸液は、アンモニアを含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の機能付与剤。
  6. 前記重合体は、下記式(1):
    Figure 2019210585
    (式中、R、R、Rは、同一又は異なって、水素原子、炭素数1〜10のアルキル基、−(CHp1COOM(−(CHp1COOMは、−COOM又はその他の−(CHp1COOMと無水物を形成していてもよい)、−(CHp2(CO)q1−O−R、又は、−(CHp3CONRを表す。p1、p2、p3は、同一又は異なって、0〜2の整数を表し、q1は、0又は1を表す。M及びMは、同一又は異なって、水素原子、一価金属原子、二価金属原子、三価金属原子、第4級アンモニウム基、又は、有機アミン基を表す。R、R、Rは、同一又は異なって、水素原子、又は、炭素数1〜30の炭化水素基を表す。)で表される化合物由来の構造単位を有する重合体であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の機能付与剤。
  7. 前記機能付与剤は、再生セルロース繊維にpH緩衝機能を付与するものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の機能付与剤。
  8. 前記再生セルロース繊維はキュプラであることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の機能付与剤。
  9. カルボキシル基を1.0〜11.2mmol/gの割合で有する重合体と、キュプラとを含み、
    該キュプラは、銅イオンとセルロースとアンモニアとを含む紡糸液から再生させて得られる繊維であることを特徴とする機能性キュプラ繊維。
  10. 前記機能性キュプラ繊維は、銅イオンとセルロースとアンモニアとを含む溶液に前記重合体を混合した紡糸液から再生させて得られるものであることを特徴とする請求項9に記載の機能性キュプラ繊維。
  11. 機能性キュプラ繊維を製造する方法であって、
    該製造方法は、銅イオンと、セルロースと、カルボキシル基を1.0〜11.2mmol/gの割合で有する重合体とアンモニアとを含む紡糸液から繊維を再生する工程を含むことを特徴とする機能性キュプラ繊維の製造方法。
  12. 前記紡糸液は、銅イオン濃度が0.5〜10質量%であることを特徴とする請求項11に記載の機能性キュプラ繊維の製造方法。
  13. 前記製造方法は、紡糸液中の前記重合体の濃度が0.05〜3.5質量%であることを特徴とする請求項11又は12に記載の機能性キュプラ繊維の製造方法。
  14. カルボキシル基を1.0〜11.2mmol/gの割合で有する重合体を、銅イオンとセルロースとアンモニアとを含む紡糸液に混合して使用することを特徴とするキュプラへの機能付与方法。
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