JP3465216B2 - 鋼管柱の無溶接柱・柱接合構造 - Google Patents

鋼管柱の無溶接柱・柱接合構造

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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、上下の鋼管柱を
相互に無溶接で接合する鋼管柱の無溶接柱・柱接合構造
に関する。 【0002】 【従来の技術】上下の鋼管柱を無溶接で相互に接合する
構造として、例えば次の〜に示す構造が提案されて
いる。上下の鋼管柱の間にボックス状の接合金物を介
在させ、前記接合金物の壁面にタップ孔を形成しておい
て、上下の鋼管柱を添え板と共に前記タップ孔にボルト
接合するもの。前記タップ孔の代わりに、接合金物の裏
面にナットを溶接をしておくものもある。上下の鋼管
柱に渡って添え板を重ね、添え板と上下の鋼管柱の管壁
とを、ワンサイドボルトあるいは片側締め込みリベット
等と呼ばれる軸状締め付け金具で接合するもの。ワンサ
イドボルトは、先端を孔内に貫通させ、基端側で操作を
行うことで、先端に頭部を塑性変形で拡径状態に形成
し、ナット無しで締結できるようにした金物であり、閉
鎖断面での使用に開発されたものである。上下の鋼管
柱の管径が異なる場合は、中間にテーパ状の拡径部を有
する接合金物を介在させる。この接合金物の上下部に、
上下の鋼管柱を各々添え板と共に前記ワンサイドボルト
で接合する。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のタッ
プ孔を形成したジョイントボックスでは、タップ孔の加
工に手間がかかるうえ、タップ孔では堅固なボルト接合
を行うことが難しい。タップ孔に代えて裏ナット溶接を
行うものでは、締め付け性は向上するが、通常のトルシ
ア型等の高力ボルトを使用することができず、締め付け
力の管理が難しい。そのため、接合品質の安定化が図り
難い。上記のワンサイドボルトを用いるものは、外面
からだけの操作で接合が可能であり、また堅固な接合が
可能であるが、ワンサイドボルトの締め付け時に塑性変
形で形成される頭部の径は小さく、そのためボルト挿通
孔の孔径に余裕を得ることができない。そのため、建方
に高精度が必要とされ、仮ボルトを挿通しておいて、
柱,梁を仮組しておき、仮ボルトを抜いてワンサイドボ
ルトによる本締めを行う等の作業が必要となる。そのた
め、建方に手間と時間がかかる。しかも、ワンサイドボ
ルトは構成が複雑な部品であるため、高価であり、これ
を用いると架構のコストが高くなる。前記の接合金物
とワンサイドボルトとを組み合わせて用いる場合も、前
記と同様に建方の手間,時間の課題、およびコスト高の
課題がある。 【0004】このような課題を解消するため、鋼管柱に
ハンドホールを設け、通常の高力ボルトを用いることを
考えたが、ハンドホールの形成による鋼管柱の断面欠損
により、鋼管柱の強度が不足する。この断面欠損を補う
ために、鋼管柱に厚肉のものや管径の大きいものを使用
すると、強度が十分な箇所まで無駄に鋼材が使用される
ことになり、不経済である。 【0005】この発明は、作業性良く、また材料の無駄
な増加を伴うことなく、堅固な接合が行え、かつ通常の
高力ボルト等のボルト・ナットを用いて接合することの
できる鋼管柱の無溶接柱・柱接合構造を提供することを
目的とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】この発明の鋼管柱の無溶
接柱・柱接合構造は、短管状の接合金物を介して上下の
鋼管柱を接合する構造であって、前記接合金物の周壁
に、作業者の手が入るハンドホールを設けたものであ
る。前記接合金物の上部と上側の鋼管柱とは、添え板と
共に、これら鋼管柱または接合金物と添え板とを貫通す
るボルト,ナットにより接合する。前記接合金物の下部
と下側の鋼管柱とも、添え板と共に、これら鋼管柱また
は接合金物と添え板とを貫通するボルト,ナットにより
接合する。前記接合金物の管壁を上下の鋼管柱の管壁よ
りも厚肉とし、かつ上下の鋼管柱は、互いの接合端部と
なる部分が、一般部よりも厚肉の増肉部に加工されたも
のとする。この構成によると、ハンドホールから作業者
の手を入れ、鋼管柱の内部からボルトを挿通することな
どにより、通常の高力ボルト等を用いて接合が行える。
ハンドホールは接合金物に設けるようにしたため、接合
金物の断面積を増やすことにより、ハンドホールの形成
に伴う断面欠損を補い、構造的に満足する強度を得るこ
とができる。鋼管柱の断面積を大きくする場合と異な
り、局部的な接合金物の断面積の増加で済むため、鋼材
の使用量の増加も最小限で済む。このように、コストの
易い普通の高力ボルトで堅固な接合が行える。また、高
力ボルトによる組立では、孔径にワンサイドボルトほど
の厳しい精度は要求されず、仮ボルト等による仮組み等
を必要とせずに、簡単に建方が行える。上記のように接
合金物のハンドホールの形成に伴う断面欠損を補うため
に、接合金物の管壁は上下の鋼管柱の管壁よりも厚肉と
することが好ましい。また、鋼管柱に増肉部が形成して
あると、ボルト挿通孔の形成による断面欠損も補うこと
ができ、接合部をより一層堅固な構造とすることができ
る。 【0007】た、上記各構成において、鋼管柱内にコ
ンクリートを充填しても良い。このようにコンクリート
を充填することにより、鋼管柱の耐力、主に圧縮耐力が
向上する。また、ハンドホールの形成に伴う断面欠損を
補う効果も得られる。 【0008】 【発明の実施の形態】この発明の基礎となる提案例を図
1に基づいて説明する。この鋼管柱の無溶接柱・柱接合
構造は、上側の鋼管柱1と下側の鋼管柱2とを、短管状
の接合金物3を介して、添え板4と共に、高力ボルト等
のボルト12およびナット13で接合する構造であり、
接合金物3にハンドホール7を設けたことを特徴とす
る。上下の鋼管柱1,2は角形鋼管からなる。接合金物
3は、角形鋼管を所定長さに切断したものであり、鋼管
柱1,2と外径が同じで管壁が鋼管柱1,2よりも厚肉
のものとしてある。ハンドホール7は、作業者の手を差
し込む孔であり、この例では接合金物3の対向する2面
に各々円形に形成してある。接合金物3は、上下端を上
下の鋼管柱1,2と突き合わせても良く、また誤差吸収
のための若干の隙間が上下の鋼管柱1,2との間に生じ
るように配置しても良い。 【0009】添え板4は、鋼板等の所定の大きさ,形状
の矩形に切断したものであり、鋼管柱1,2の外周の4
側面において、上側鋼管柱1と接合金物3との間、およ
び下側鋼管柱2と接合金物3との間に渡って各々重ねて
ある。上側鋼管柱1と接合する添え板4と、下側鋼管柱
2と接合する添え板4とは、上下に若干離れており、こ
の上下の添え板4,4の間にハンドホール7が位置して
いる。添え板4には、上側鋼管柱1の下端の4側面およ
び下側鋼管柱2の下端の4側面に各々形成したボルト挿
通孔8,8、並びに接合金物3の4側面の上下部分に形
成したボルト挿通孔9と整合するボルト挿通孔10が形
成してある。これら鋼管柱1,2と添え板4、および接
合金物3と添え板4とは、これらに形成した対応するボ
ルト挿通孔8〜10に挿通したボルト12およびナット
13により、摩擦ボルト接合で接合してある。ボルト1
2には、トルシア型等の高力ボルトが用いられ、そのボ
ルト頭が鋼管柱1,2および接合金物3の内側に配置す
るように差し込まれる。 【0010】この構成によると、ハンドホール7から作
業者の手を入れ、接合金物3および鋼管柱1,2の内部
からボルト12を外へ向けて差し込むことにより、通常
の高力ボルト12を用いて接合が行える。ハンドホール
7は接合金物3に設けるようにしたため、接合金物3を
このように厚肉として断面積を増やすことにより、ハン
ドホール7の形成に伴う断面欠損を補い、構造的に満足
する強度を得ることができる。鋼管柱1,2の断面積を
大きくする場合と異なり、局部的に設けられる接合金物
3の断面積の増加で済むため、鋼材の使用量の増加も最
小限で済む。このように、コストの易い普通の高力ボル
ト12で堅固な接合が行える。また、高力ボルト12に
よる組立では、孔径にワンサイドボルトほどの厳しい精
度は要求されず、仮ボルト等による仮組み等を必要とせ
ずに、簡単に建方が行える。 【0011】なお、図1の提案例は、鋼管柱1,2の表
面のみに添え板4を重ねる1面剪断の摩擦ボルト接合と
したが、図2(A)に示すように、鋼管柱1,2および
接合金物3の表裏両面に添え板4,4を重ね、2面剪断
の摩擦ボルト接合構造としても良い。両面に添え板4,
4を重ねる場合、内側の添え板4と鋼管柱1,2との間
にライナ16を介在させることで、鋼管柱1,2と接合
金物3との肉厚差を埋める。このように、2面剪断の接
合構造とすることで、一層堅固な接合が行える。 【0012】図2(B)はこの発明の一実施形態を示
す。この実施形態は鋼管柱1,2に、互いの接合端部と
なる部分が、一般部よりも厚肉の増肉部1a,2aに加
工されたものを用いている。同図の例では、増肉部1
a,2aは、接合金物3と同じ肉厚とされ、図2(A)
におけるライナ等を用いることなく、内外の添え板4,
4で鋼管柱1,2および接合金物3を挟み込んで、2面
剪断の摩擦ボルト接合構造とされている。このように、
鋼管柱1,2に増肉部1a,2aを形成した場合、ボル
ト挿通孔8の形成による断面欠損も補うことができ、接
合部をより一層堅固な構造とすることができる。増肉部
1a,2aの形成方法については、通常の鋼管を素材と
し、局部的に高周波加熱等で加熱しながら軸方向の圧縮
力を加えることで、任意長さ部分を厚肉とする技術が実
用化されている。 【0013】なお、前記実施形態において、上下の鋼管
柱1,2および接合金物3にわたり、内部にコンクリー
トを充填しても良い。また、その充填コンクリートに
筋を埋め込むようにしても良い。 【0014】 【発明の効果】この発明の鋼管柱の無溶接柱・柱接合構
造は、短管の接合金物を介して上下の鋼管柱を接合する
構造であって、前記接合金物の周壁に、作業者の手が入
るハンドホールを設け、添え板と共に、ボルト,ナット
により接合したものであるため、作業性が良く、また使
用材料の無駄を生じることなく、ハンドホールの形成に
伴う断面欠損を補って堅固な接合が行え、しかもコスト
の安い通常の高力ボルト等のボルト・ナットを用いて接
合することができる。特に、接合金物の管壁を上下の鋼
管柱の管壁よりも厚肉としたため、ハンドホールの形成
に伴う断面欠損を、鋼材の使用量の無駄な増加を伴うこ
となく、効率的に補うことができる。また、上下の鋼管
柱を、互いの接合端部となる部分が、一般部よりも厚肉
の増肉部に加工されたものとしたため、ボルト挿通孔の
形成による断面欠損も補うことができ、接合部をより一
層堅固な構造とすることができる。
【図面の簡単な説明】 【図1】(A)はこの発明の基礎となる提案例にかかる
鋼管柱の無溶接柱・柱接合構造の斜視図、(B)はその
縦断面図である。 【図2】(A)は他の提案例の断面図、(B)はこの発
明の一実施形態の断面図である。 【符号の説明】 1…上側の鋼管柱 2…下側の鋼管柱 3…接合金物 3a…上側直管部 3b…拡径部 3c…下側直管部 4…添え板 7…ハンドホール 12…ボルト
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平8−277574(JP,A) 特開 平4−371626(JP,A) 特開 平8−60747(JP,A)

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 短管状の接合金物を介して上下の鋼管柱
    を接合する構造であって、前記接合金物の周壁に、作業
    者の手が入るハンドホールを設け、前記接合金物の上部
    と上側の鋼管柱とを、添え板と共に、これら鋼管柱また
    は接合金物と添え板とを貫通するボルト,ナットにより
    接合し、前記接合金物の下部と下側の鋼管柱とを、添え
    板と共に、これら鋼管柱または接合金物と添え板とを貫
    通するボルト,ナットにより接合し、前記接合金物の管
    壁を上下の鋼管柱の管壁よりも厚肉とし、かつ上下の鋼
    管柱は、互いの接合端部となる部分が、一般部よりも厚
    肉の増肉部に加工されたものとし、上記増肉部を接合金
    物と同じ厚さとし、添え板を、鋼管柱の内外に設け、こ
    れら内外の添え板で鋼管柱および接合金物を挟み込ん
    で、2面剪断の摩擦ボルト接合構造とした鋼管柱の無溶
    接柱・柱接合構造。
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