JP3453970B2 - 内燃機関の燃料供給装置 - Google Patents

内燃機関の燃料供給装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、燃料ポンプの駆動
電圧を制御することで、インジェクタに供給する燃料の
圧力(以下「燃圧」という)を調整するようにした内燃
機関の燃料供給装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、例えば特開昭62−3222
8号公報に示すように、燃費改善・低消費電力化を狙っ
て、インジェクタの燃料噴射をカットする燃料カット条
件が成立したとき(例えば減速時)に、燃料カット信号
を発生して燃料噴射を停止すると同時に、燃料ポンプの
駆動電圧を遮断(オフ)して燃料ポンプを停止させるよ
うにしたものがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記従来構成では、燃
料カット実行中に燃料ポンプを一旦停止させた後、燃料
カット終了直後に再び燃料ポンプを起動して燃料噴射を
開始することになる。しかし、燃料ポンプを起動して燃
料ポンプの回転数が必要な燃料吐出量を確保できるよう
になるまでには時間遅れがあるため、燃料カット終了直
後の燃料ポンプの燃料吐出に遅れが生じ、燃圧が乱れて
燃料噴射量がずれ、ドライバビリティやエミッションに
影響を与える。
【0004】また、燃料カット移行時に燃料ポンプの駆
動電圧を遮断(オフ)しても、燃料ポンプは慣性によっ
て暫く回り続けて燃料が吐出されてしまう。このため、
燃料配管構成簡素化のためにインジェクタへ送る燃料の
余剰分を燃料タンクに戻すリターン配管を廃止したリタ
ーンレス配管構成を採用したものでは、燃料カット開始
当初に燃料ポンプが慣性によって暫く回り続けること
で、燃圧が上昇してしまい、燃料カット終了直後の燃料
噴射量がオーバーリッチになって、ドライバビリティや
エミッションが悪くなってしまう。
【0005】本発明はこのような事情を考慮してなされ
たものであり、従ってその目的は、燃料カット終了直後
の燃圧制御特性・燃料噴射特性を改善することができ
て、ドライバビリティやエミッションを向上させること
ができる内燃機関の燃料供給装置を提供することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の請求項1の内燃機関の燃料供給装置は、イ
ンジェクタの燃料噴射をカットする燃料カット条件が成
立したときには、まず制御手段によって燃料ポンプの燃
料供給能力を低下させる。その後、燃料カット条件が成
立してから所定時間経過後に燃料カット手段により燃料
カットを実行する。この場合、燃料カット開始前に燃料
ポンプの燃料供給能力を低下させるため、燃料カット開
始時の燃料ポンプの慣性を低下させることができて、燃
料カット開始直後の燃圧上昇を抑えることができる。こ
れにより、燃料カット中の燃圧を良好に維持でき、燃料
カット終了直後の燃圧制御特性・燃料噴射特性を改善す
ることができて、ドライバビリティやエミッションを向
上させることができる。
【0007】ここで、燃料カット条件が成立したときに
燃料ポンプの燃料供給能力を低下させるためには、燃料
ポンプの駆動力を低下させれば良く(請求項2)、燃料
ポンプの駆動力を低下させるためには、燃料ポンプの回
転数を低下させれば良い(請求項3)。また、燃料ポン
プの駆動電圧を制御して燃圧を調整するシステムでは、
燃料カット条件が成立したときに燃料ポンプの駆動電圧
を低下させることで燃料ポンプの燃料供給能力を低下さ
せれば良い。
【0008】更に、請求項5では、燃圧が高いほど又は
直前の燃料吐出量が多いほど、燃料カット条件成立から
燃料カット開始までの“所定時間”を長く設定する。こ
れは、燃圧が高いほど又は直前の燃料吐出量が多いほ
ど、燃料ポンプの回転数が高くなっていて燃料ポンプの
慣性が大きくなっており、燃料ポンプの慣性(回転数)
を燃料カット開始時の適正レベルに低下させるのに時間
がかかるためである。このように、燃圧又は直前の燃料
吐出量に応じて前記所定時間を可変設定することで、燃
圧や直前の燃料吐出量の影響を受けない安定した制御が
可能となる。
【0009】また、請求項6では、燃料カット実行中に
燃料ポンプの駆動電圧を燃圧を維持する最低限の電圧に
設定する。これにより、燃料カット実行中に燃料ポンプ
を低速度で回転させて、燃料カット実行中の燃圧変動を
抑えながら、燃料カット終了直後の燃料ポンプの回転上
昇の立上がりを速くすることができ、燃料カット終了直
後の燃料噴射による燃圧低下を防ぐことができる。
【0010】また、請求項7では、燃料カット条件成立
後に燃料カットを開始するまでの間、燃料ポンプの駆動
電圧を徐々に低下させる。これにより、燃料カット条件
成立後の燃料ポンプ回転数の急変を防いで、燃圧変動を
抑える。
【0011】また、請求項8では、燃料カット条件成立
から燃料カットが終了するまでの間は、燃料ポンプの駆
動電圧をフィードバック制御するフィードバック補正量
の更新を禁止し、燃料カット条件成立直前のフィードバ
ック補正量を維持する。つまり、燃料カット実行中は、
燃料噴射が無く、燃料ポンプのフィードバック制御は不
要であるため、燃料カットが終了するまでフィードバッ
ク補正量の更新を禁止して、燃料カット終了直後のフィ
ードバック補正量を燃料カット条件成立直前の補正量と
同じにすることで、燃料カット終了直後から燃料カット
の影響を受けない安定した燃料ポンプのフィードバック
制御を実現する。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図面
に基づいて説明する。まず、図1に基づいてシステム全
体の概略構成を説明する。燃料タンク11内には燃料ポ
ンプ14が設けられ、この燃料ポンプ14の吸込み口に
フィルタ15が装着されている。この燃料ポンプ14の
吐出口に接続された燃料配管16の途中には、燃料中の
ダストを捕獲する燃料フィルタ17が設けられ、該燃料
配管16の先端に接続されたデリバリパイプ18に、各
気筒に燃料を噴射するインジェクタ19が取り付けられ
ている。燃料供給経路は、燃料タンク11に始まり、デ
リバリパイプ18で終わるリターンレス配管構成となっ
ており、従って、デリバリパイプ18から余剰燃料を燃
料タンク11内へ戻すリターン配管は廃止されている。
【0013】前述した燃料ポンプ14は、駆動源として
直流モータ20を内蔵し、この直流モータ21への印加
電圧をPWM(Pulse Width Modulation)制御又はDC
−DCコンバータ等で調整することにより、燃料ポンプ
14の回転数を制御して吐出圧(燃料供給能力)を制御
するようになっている。この燃料ポンプ14から吐出さ
れる燃料の圧力(燃圧)は、デリバリパイプ18に設け
られた燃圧センサ21によって検出される。尚、燃圧セ
ンサ21を設ける位置は燃料ポンプ14の吐出側の燃料
配管16の途中であっても良い。
【0014】上記燃料ポンプ14とインジェクタ19を
制御する電子制御装置(以下「ECU」という)22
は、マイクロコンピュータを主体として構成され、その
入力ポートには、エンジン回転数NEに応じたパルス信
号を出力するクランク角センサ23と、吸気管内圧力P
m に応じた信号を出力する吸気管内圧力センサ24と、
前述した燃圧センサ21等からの信号が入力される。こ
のECU22は、内蔵のROM(図示せず)に記憶され
ている図2の燃料ポンプ制御ルーチンを実行することに
より、燃料ポンプ14の駆動電圧を制御する制御手段と
して機能する。
【0015】図2の燃料ポンプ制御ルーチンは、短周期
で繰り返し処理され、処理が開始されると、まずステッ
プ101で、燃料カット条件が成立したか否か(図4の
燃料カットフラグがONか否か)を判定する。ここで、
燃料カット条件としては、スロットルが全閉で且つエン
ジン回転数が設定回転数以上のとき(減速時燃料カッ
ト)と、エンジン回転数がレッドゾーン以上のとき(高
回転時燃料カット)とがある。この燃料カット条件が成
立していないときには、ステップ102以降の通常制御
を行う。この通常制御では、まずステップ102で、燃
料ポンプ14の基本駆動電圧Vfpを、予め設定された必
要吐出圧Pfpと必要吐出量Qfpとの二次元マップから検
索し、補間計算して求める。ここで使用する二次元マッ
プは、燃料ポンプ14の性能特性に基づいてQfp,Pfp
とVfpとの関係を予め設定したテーブルデータであり、
ECU22のROM(図示せず)に記憶されている。
【0016】この場合、必要吐出量Qfpは、インジェク
タ19に印加する噴射パルス幅(噴射時間)Ti とクラ
ンク角センサ23の出力信号から求められるエンジン回
転数NEとを用いて次式により算出する。 Qfp=α×NE×Ti ここで、αはインジェクタ19の流量サイズ、インジェ
クタ19の本数、噴射方式等によって決まる係数であ
る。この実施形態のように、デリバリパイプ18から余
剰燃料を燃料タンク11内へ戻すリターン配管を省略し
たリターンレス配管構成では、必要吐出量Qfpは要求燃
料噴射量と同じ値となる。
【0017】また、必要吐出圧Pfpは、システム燃圧P
foと吸気管内圧力センサ24により検出された吸気管内
圧力Pm とを用いて次式により算出する。 Pfp=Pfo+Pm ここで、システム燃圧Pfoは、吸気管内圧力Pm に対す
る差圧が一定となるシステム要求燃圧であり、一般には
200kPa〜350kPa程度の範囲で一定値に設定
され、通常は低めの燃圧に設定され、エンジン温度が高
いとき等、燃料配管16内にベーパ(燃料蒸発ガス)が
発生しやすい運転状態では、ベーパが発生しないように
高めの燃圧に設定される。一方、燃料ポンプ14に要求
される必要吐出圧Pfpはゲージ圧(大気圧との差圧)で
求めるため、必要吐出圧Pfpはシステム燃圧Pfoに吸気
管内圧力Pm を加算した値となる。
【0018】この実施形態では、吸気管内圧力Pm は、
吸気管内圧力センサ24の出力信号により求められる
が、エアフローメータ等により直接吸入空気量を計量す
るシステムでは、吸気管内圧力センサを備えていないも
のが大半である。このようなシステムでは、エンジン運
転条件(つまりエンジン回転数と吸入空気量)に基づい
て吸気管内圧力Pm を推定するようにしても良い。
【0019】上記ステップ102で、燃料ポンプ14の
基本駆動電圧Vfpを必要吐出圧Pfpと必要吐出量Qfpに
応じて算出した後、ステップ103に進んで、基本駆動
電圧Vfpに対するフィードバック補正量Vfbを、必要吐
出圧Pfpと燃圧センサ21で検出された燃圧Pf との偏
差ΔPf (=Pfp−Pf )に基づいて次式により算出す
る。 Vfb(i) =Vfb(i-1) +KI×ΔPf ここで、Vfb(i) は今回のVfbの値、Vfb(i-1) は前回
のVfbの値、KIは積分定数である。このフィードバッ
ク補正量Vfbは、燃料ポンプ14の性能ばらつきや経年
劣化等によって発生する吐出量・吐出圧の過不足分(基
本駆動電圧Vfpからのずれ)を補償するために用いられ
る。
【0020】次のステップ104で、燃料ポンプ14の
駆動電圧Vo を基本駆動電圧Vfpにフィードバック補正
量Vfbを加算して求め、続くステップ105で、この駆
動電圧Vo を燃料ポンプ14に印加して燃料ポンプ14
を駆動する。
【0021】一方、燃料カット条件が成立しているとき
には、ステップ101からステップ106へ進み、前回
の本ルーチン実行時も燃料カット条件が成立していたか
否かを判定し、燃料カット条件が前回不成立で今回成立
の場合にはステップ107に進み、ディレイカウンタC
NTに初期値をセットし、前回も今回も燃料カット条件
が成立していれば、ステップ108に進み、ディレイカ
ウンタCNTをデクリメントする。ここで、ディレイカ
ウンタCNTは、燃料カット条件成立から燃料カットを
開始するまでのディレイ時間をカウントするカウンタで
あり、このディレイ時間CNTは燃料カット時の燃料ポ
ンプ14の応答遅れを見込んで設定される。一般に、設
定燃圧が高いほど燃料ポンプ14が高トルクで回り、ま
た直前の燃料吐出量が多いほど燃料ポンプ14が高回転
で回り、燃料ポンプ14の回転数を燃料カット開始時の
適正レベルに低下させるのに時間がかかるため、ディレ
イ時間CNTは設定燃圧が高いほど又は直前の燃料吐出
量が多いほど長く設定される。
【0022】次のステップ109では、燃料カット中の
駆動電圧Vcut を、予めROMに記憶されている目標燃
圧Po とエンジン燃料消費量Qeng とのマップを用いて
Po,Qeng に応じて算出する。ここで、燃料カット中
の駆動電圧Vcut は、燃料カット中に燃圧を目標燃圧P
o に維持する最低限の電圧であり、目標燃圧Po は燃料
カット終了後に制御しようとする目標となる燃圧であ
り、例えば300kPaに設定される。
【0023】この後、ステップ110で、ディレイカウ
ンタCNTをチェックして、燃料カット条件成立から所
定のディレイ時間が経過したか否かを判定し、CNT>
0であれば、燃料カットを開始せずにステップ111へ
進み、基本駆動電圧Vfpから電圧低下量Vdec を差し引
いた値を新たな基本駆動電圧Vfpとして求める。燃料カ
ット条件成立から所定のディレイ時間が経過するまで、
上記ステップ111の処理を繰り返すことによって、燃
料カット条件成立後の時間の経過に伴って基本駆動電圧
Vfpを徐々に低下させる。この際、基本駆動電圧Vfp
は、燃料カット中の駆動電圧Vcut を下回らないように
下限値がVcut でガードされる。そして、燃料カット条
件成立から所定のディレイ時間が経過すると、ディレイ
カウンタCNTが0となり、燃料カットを開始すべく、
ステップ110からステップ112に進み、基本駆動電
圧Vfpを上記ステップ109で求めた燃料カット中の駆
動電圧Vcut に設定する。この燃料カット中の駆動電圧
Vcut は燃料カット中に燃圧を目標燃圧Po に維持する
最低限の電圧である。
【0024】上記ステップ111又は112で基本駆動
電圧Vfpを設定した後、ステップ113に進み、前回の
フィードバック補正量Vfb(i-1) を今回のフィードバッ
ク補正量Vfb(i) に代入する。これにより、燃料カット
条件成立中は、フィードバック補正量Vfbの更新を禁止
し、燃料カット条件成立直前のフィードバック補正量V
fbを燃料カット終了まで維持する。この後、ステップ1
04で、燃料ポンプ14の駆動電圧Vo を基本駆動電圧
Vfpにフィードバック補正量Vfbを加算して求め、続く
ステップ105で、この駆動電圧Vo を燃料ポンプ14
に印加して燃料ポンプ14を駆動する。
【0025】次に、ECU22にて実行される燃料噴射
制御を、燃料カット時の処理を中心に図3に従って説明
する。本処理が実行されると、まずステップ201にて
燃料カット条件が成立したか否かを判断する。この燃料
カット条件は図2のステップ101と同じ条件である。
燃料カット条件が成立していないときは、ステップ20
2に進む。ここでは一般に知られる手法、例えばエンジ
ン回転数NEと吸気管圧力Pmとから基本噴射時間を予
めROMに記憶されているマップから求め、この基本噴
射時間に各種の係数(空燃比補正係数,温度補正係数
等)を乗算し、さらに無効噴射時間を加算することによ
り燃料噴射時間を演算する。ステップ203ではステッ
プ202にて演算された燃料噴射時間に基づいてインジ
ェクタ19が駆動され、燃料噴射が実行される。
【0026】ステップ201にて、燃料カット条件が成
立しているときにはステップ204に進む。ここで、ス
テップ204からステップ207までの処理は図2のス
テップ106からステップ108及びステップ110の
処理と同様のため説明を省略する。ステップ207にて
ディレイカウンタの値が0よりも大きいとき、燃料の圧
力がまだ十分に降下していないと判断し、ステップ20
2に進み、通常の燃料噴射制御を実行する。ステップ2
07にてカウンタの値が0以下の場合は燃料の圧力が適
切な圧力まで降下したと判断し、ステップ208に進
む。そして、ステップ208にて燃料カットを実行した
後、本処理を終了する。
【0027】次に、上記燃料ポンプ制御ルーチン及び燃
料噴射制御ルーチンを実行した場合の挙動を図4のタイ
ムチャートに従って説明する。燃料カット条件が成立
(燃料カットフラグがON)しても、所定のディレイ時
間CNTが経過するまでは燃料カットを開始しない。燃
料カット条件成立後に所定のディレイ時間CNTが経過
するまでは、基本駆動電圧Vfpを徐々に低下させ、それ
によって駆動電圧Vo (=基本駆動電圧Vfp+フィード
バック補正量Vfb)を徐々に低下させて、燃料ポンプ1
4の回転数を徐々に低下させる。そして、所定のディレ
イ時間CNTが経過した時点で、燃料カットを開始する
が、それまでに駆動電圧Vo が徐々に低下されて燃料ポ
ンプ14の回転数が低下しているため、燃料カットを開
始しても、燃料ポンプ14の吐出圧は小さく、燃料カッ
ト開始直後の燃圧Pf の上昇が抑えられる。
【0028】通常制御時には、燃圧が高いほど燃料ポン
プ14が高トルクで回り、また直前の燃料吐出量が多い
ほど燃料ポンプ14が高回転で回っていて燃料ポンプ1
4の慣性が大きくなっており、燃料ポンプ14の慣性
(回転数)を燃料カット開始時の適正レベルに低下させ
るのに時間がかかるため、ディレイ時間CNTは燃圧が
高いほど又は直前の燃料吐出量が多いほど長く設定され
る。これにより、ディレイ時間CNTを燃料カット条件
成立直前の燃料ポンプ14の回転状態に応じた必要最小
限の時間に設定することができ、燃料カット開始の遅れ
を最小限にとどめることができる。そして、燃料カット
中は、燃料ポンプ14の駆動電圧Vo を、燃圧を目標燃
圧Po に維持するのに必要な最低限の電圧Vcut に固定
し、燃料カット中の燃圧を目標燃圧Po に維持する。
【0029】これに対し、従来は、燃料カット条件成立
後(燃料カットフラグON後)に直ちに燃料ポンプを停
止させて燃料カットを開始するため、燃料カット開始直
後に燃料ポンプが慣性によって暫く回り続けることで、
図4に点線で示すように燃圧が上昇してしまう。
【0030】また、上記実施形態では、燃料カット条件
成立後は、燃料カットが終了するまで、フィードバック
補正量Vfbの更新が禁止され、燃料カット条件成立直前
のフィードバック補正量Vfbが維持される。従って、燃
料カット終了直後のフィードバック制御は、燃料カット
条件成立直前のフィードバック補正量Vfbを用いて行わ
れる。
【0031】これに対し、従来は、図4に点線で示すよ
うに燃料カット開始後に上昇した燃圧Pf を低下させよ
うとして燃料カット中もフィードバック補正量Vfbが更
新されるため、燃料カット終了時にはフィードバック補
正量Vfbが負の大きな値となる。このため、従来は、燃
料カット終了後に燃料ポンプの駆動電圧Vo をフィード
バック制御するときに、燃料ポンプの駆動電圧Vo (=
基本駆動電圧Vfp+フィードバック補正量Vfb)が小さ
くなり過ぎて燃料ポンプの吐出圧が不足し、燃料カット
終了直後の燃圧Pf が急低下して燃料噴射量がリーン側
にずれ、ドライバビリティやエミッションの悪化を招く
問題が発生する。
【0032】この点、上記実施形態では、燃料カット条
件成立後は、燃料カットが終了するまで、フィードバッ
ク補正量Vfbの更新が禁止されるため、燃料カット終了
直後のフィードバック制御は、燃料カット条件成立直前
のフィードバック補正量Vfbを用いて行われる。この結
果、燃料カット終了直後のフィードバック補正量Vfbが
燃料カットの影響を受けない適正な値となり、燃料カッ
ト終了直後の燃圧Pfの低下が抑えられて、燃料カット
終了直後の燃圧Pf が目標燃圧に維持される。これによ
り、燃料カット終了直後の燃圧フィードバック制御特性
・燃料噴射特性を向上させることができて、ドライバビ
リティやエミッションを改善することができる。
【0033】上記実施形態では、燃料カット条件成立後
のディレイ時間CNT中に、燃料ポンプ14の駆動電圧
Vo を徐々に低下させるようにしたが、燃料カット条件
成立直後に駆動電圧Vo を燃料カット中の電圧Vcut ま
で一度に低下させても良い。この場合でも、燃料ポンプ
14の慣性により燃料ポンプ14の回転数の低下が緩や
かとなり、燃圧変動を抑えることができる。
【0034】また、上記実施形態では、燃料ポンプ14
の駆動電圧Vo を燃圧センサ21の検出燃圧に基づいて
フィードバック制御するようにしたが、PID制御する
ようにしても良い。
【0035】また上記実施形態は、本発明を燃圧センサ
により検出された圧力が目標圧力となるように燃料ポン
プの駆動電圧を制御するシステムに適用した例である
が、他にも、特願平7一195520号のような燃料ポ
ンプの駆動電流を一定に制御するシステムにも適用する
ことができる。
【0036】このとき、図2のフローチャートにおい
て、ステップ102〜ステップ105の処理が除かれる
(基本的に燃料ポンプは定電流で制御されているた
め)。そして、ステップ109にてVcutを算出する
代わりに、燃料カット時の駆動電流を算出する(固定値
でも良い)。その後、ステップ111〜ステップ113
にて駆動電圧を下げる代わりに駆動電流を下げるように
すればよい。尚、定電流駆動の場合は燃料カット実行中
に駆動電流を変更前の駆動電流に戻す制御を行うと、燃
料カット復帰後すぐに目標燃圧に制御することができ
る。
【0037】更に、上記実施形態では、燃料カット条件
成立時にポンプの駆動電圧や駆動電流を制御することに
より燃料供給能力を低下させているが、本発明の適用範
囲はこの限りでなく、他の手段により燃料供給能力を低
下させるようにしても良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示すシステム全体の概略
構成図
【図2】燃料ポンプ制御ルーチンの処理の流れを示すフ
ローチャート
【図3】燃料噴射制御ルーチンの処理の流れを示すフロ
ーチャート
【図4】燃料カット条件成立時の挙動を示すタイムチャ
ート
【符号の説明】
11…燃料タンク、14…燃料ポンプ、16…燃料配
管、18…デリバリパイプ、19…インジェクタ、23
…クランク角センサ、24…吸気管内圧センサ、22…
ECU(制御手段)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−157012(JP,A) 特開 昭62−32228(JP,A) 実開 平1−51763(JP,U) 実開 昭57−129959(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F02M 37/08

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 燃料タンク内の燃料をインジェクタに供
    給する燃料ポンプと、 前記燃料ポンプを制御してインジェクタに供給する燃料
    の圧力(以下「燃圧」という)を調整する制御手段と、 前記インジェクタの燃料噴射を中止する燃料カット手段
    とを備えた内燃機関の燃料供給装置において、 前記制御手段は、前記インジェクタの燃料噴射をカット
    する燃料カット条件が成立したときに前記燃料ポンプの
    燃料供給能力を低下させ、 前記燃料カット手段は、前記燃料カット条件が成立した
    後、所定時間経過してから燃料カットを実行することを
    特徴とする内燃機関の燃料供給装置。
  2. 【請求項2】 前記制御手段は、前記インジェクタの燃
    料噴射をカットする燃料カット条件が成立したときに前
    記燃料ポンプの駆動力を低下させることにより燃料供給
    能力を低下させることを特徴とする請求項1に記載の内
    燃機関の燃料供給装置。
  3. 【請求項3】 前記制御手段は、前記インジェクタの燃
    料噴射をカットする燃料カット条件が成立したときに前
    記燃料ポンプの回転数を低下させることにより駆動力を
    低下させることを特徴とする請求項2に記載の内燃機関
    の燃料供給装置。
  4. 【請求項4】 前記制御手段は、前記燃料ポンプの駆動
    電圧を制御して前記インジェクタに供給する燃圧を調整
    し、前記燃料カット条件が成立したときに前記燃料ポン
    プの駆動電圧を低下させることを特徴とする請求項3に
    記載の内燃機関の燃料供給装置。
  5. 【請求項5】 前記燃料カット条件が成立してから燃料
    カットが実行されるまでの前記所定時間は、燃圧が高い
    ほど又は直前の燃料吐出量が多いほど長く設定されてい
    ることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の
    内燃機関の燃料供給装置。
  6. 【請求項6】 前記制御手段は、燃料カット実行中に前
    記燃料ポンプの駆動電圧を燃料カット終了後の目標燃圧
    を維持する最低限の電圧に設定することを特徴とする請
    求項4又は5に記載の内燃機関の燃料供給装置。
  7. 【請求項7】 前記制御手段は、燃料カット条件成立後
    に燃料カットを開始するまでの間、前記燃料ポンプの駆
    動電圧を徐々に低下させることを特徴とする請求項4乃
    至6のいずれかに記載の内燃機関の燃料供給装置。
  8. 【請求項8】 前記制御手段は、燃料カット条件成立か
    ら燃料カットが終了するまでの間は前記燃料ポンプの駆
    動電圧をフィードバック制御するフィードバック補正量
    の更新を禁止し、燃料カット条件成立直前のフィードバ
    ック補正量を維持することを特徴とする請求項4乃至7
    のいずれかに記載の内燃機関の燃料供給装置。
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