JP3446305B2 - 電子写真用感光体 - Google Patents

電子写真用感光体

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JP3446305B2
JP3446305B2 JP12265194A JP12265194A JP3446305B2 JP 3446305 B2 JP3446305 B2 JP 3446305B2 JP 12265194 A JP12265194 A JP 12265194A JP 12265194 A JP12265194 A JP 12265194A JP 3446305 B2 JP3446305 B2 JP 3446305B2
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耕三 石尾
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  • Photoreceptors In Electrophotography (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は電子写真用感光体に関す
るものである。さらに詳しくは有機系の光導電性物質を
含有する感光層を有する高感度の電子写真用感光体に関
するものである。 【0002】 【従来の技術】従来、電子写真感光体の感光層にはセレ
ン、硫化カドミウム、酸化亜鉛等の無機系の光導電性物
質が広く用いられていた。しかしながら、セレン、硫化
カドミウムは毒物として回収が必要であり、セレンは熱
により結晶化するための耐熱性に劣り、硫化カドミウ
ム、酸化亜鉛は耐湿性に劣り、また酸化亜鉛は耐刷性が
ないなどの欠点を有しており、新規な感光体の開発の努
力が続けられている。最近は、有機系の光導電性物質を
電子写真用感光体の感光層に用いる研究が進み、そのい
くつかが実用化された。有機系の光導電性物質は無機系
のものに比し、軽量である、成膜が容易である、感光体
の製造が容易である、種類によっては透明な感光体を製
造できる等の利点を有する。 【0003】最近は、電荷キャリヤーの発生と移動の機
能を別々の化合物に分担させる、いわゆる機能分離型の
感光体が高感度化に有効であることから、開発の主流と
なっており、このタイプによる有機系感光体の実用化も
行なわれている。電荷キャリヤー移動媒体(以下「CT
M」と略す。)としては、ポリビニルカルバゾールなど
の高分子光導電性化合物を用いる場合と低分子光導電性
化合物をバインダーポリマー中に分散溶解する場合とが
ある。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】特に、有機系の低分子
光導電性化合物は、バインダーとして皮膜性、可とう
性、接着性などのすぐれたポリマーを選択することがで
きるので容易に機械的特性の優れた感光体を得ることが
できる(例えば、特開昭63−172161号公報、特
開昭63−174053号公報、特開平4−26726
1号公報、特公平5−15259号公報参照)。 【0005】ここで、電子写真用感光体として要求され
る性能を挙げると、(1)暗所におけるコロナ放電によ
る帯電性が高いこと、(2)コロナ帯電による表面電位
の暗所における減衰が小さいこと、(3)光照射による
表面電位の減衰が大きいこと、(4)光照射後の残留電
位が小さいこと、(5)繰り返し使用した時の表面電位
の変動や感度の低下、残留電位の蓄積等が少なく耐久性
にすぐれていること、(6)強い光に暴露された時の表
面電位や感度の低下、残留電位の上昇が少なく、かつそ
れらの回復が早いことなどがある。 【0006】特に残留電位が大きい場合、露光部にも電
荷が残り、トナー現像を行なうと、非画線部にもトナー
が現像され、いわゆるカブリ画像となる。また、プリン
ターなどで多く用いられる反転現像においては、画像濃
度あるいはコントラストが低下し、極端な場合には画線
部にトナーが付着しない欠陥が生じ、いわゆる白ぬけ画
像となる。これはいずれも画像の再現性を著るしく低下
させ、実用に供し得ない。 【0007】また、感光体が強い光に暴露された時の表
面電位や感度の低下、残留電位の上昇が大きいと画像の
再現性が著るしく低下するので、表面電位や感度の低
下、残留電位の上昇が小さく、かつそれらの回復が早い
ことが望ましい。感光体が強い光に暴露された時の挙動
を強露光特性と称し、特に表面電位の低下の度合いを強
露光保存率、また表面電位の低下の回復の度合いを強露
光復帰率で表わし、いずれも値が大きいほど好ましい。 【0008】近年、反転現像方式のレーザープリンター
等の普及により、フタロシアニン系顔料などの長波長光
用電荷発生材料との組合せに適した高感度で残留電位が
低く、かつ耐久性にすぐれたCTMの開発が強く望まれ
ている。また、レーザープリンター等においてはメンテ
ナンス時などに強い光に暴露される可能性が高いため、
CTMには良好な強露光特性が要求される。 【0009】 【課題を解決するための手段】本発明者らは強露光特性
が良好で高感度、低残留電位かつ高耐久性の電子写真用
感光体を提供する有機系の低分子光導電性化合物につい
て鋭意研究したところ特定のアリールアミンヒドラゾン
系化合物が好適であることを見出し本発明に至った。即
ち、本発明の要旨は、導電性支持体上に下記一般式
〔I〕で表わされるアリールアミンヒドラゾン系化合物
を含有する感光層を有することを特徴とする電子写真用
感光体に存する。 【0010】 【化2】 【0011】nは、Aが一般式〔II〕または〔III 〕で
示される基のときは1以上の整数であり、Aが一般式
〔IV〕で示される基のときは0又は1以上の整数であ
り;Xは置換基を有してもよいアルキレン基を表わし;
Arは置換基を有してもよいアリール基または置換基を
有してもよい複素環基を表わし;B,D,Eは、それぞ
れ、置換基を有してもよいベンゼン環を表わし、これら
は互いに同一でも異なっていてもよく;R1 ,R2 ,R
3 ,R5 ,R6 ,R7 ,R8 およびR9 はそれぞれ、水
素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有
してもよいアリール基または置換基を有してもよい複素
環基を表わし、nが2以上のときは、各構成単位におけ
るR1 はそれぞれ異なっていてもよく、R2 も同様であ
り;R4 は置換基を有してもよいアルキル基、置換基を
有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環
基または置換基を有してもよいアラルキル基を表わし;
10およびR11は、それぞれ、置換基を有してもよいア
リール基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有
してもよいアルキル、置換基を有してもよいアラルキル
基もしくはアリル基を表わし、またR10とR11とは直
接、もしくは結合基を介して連結していてもよい。) 【0012】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
電子写真感光体は、感光層中に前記一般式〔I〕で表わ
されるアリールアミンヒドラゾン系化合物を含有する。
前記一般式〔I〕において、Aは一般式〔II〕 【0013】 【化3】 【0014】で示される基を表わし、特に一般式〔II〕
または〔IV〕で示される基が好ましく、一般式〔IV〕で
示される基がより好ましい。Qは下記一般式〔V〕で示
される基を表わす。 【0015】 【化4】 【0016】nは、Aが一般式〔II〕または〔III 〕で
示される基のときは1以上の整数、好ましくは1〜3の
いずれかの整数であり、1が好ましい。Aが一般式〔I
V〕で示される基のときは、nは0又は1以上の整数、
好ましくは0〜3のいずれかの整数であり、0または1
が好ましい。Xはメチレン基、エチレン基、プロピレン
基等のアルキレン基を表わし、特にメチレン基が好まし
い。これらのアルキレン基は置換基を有してもよく、置
換基としては、メチル基、エチル基等の低級アルキル
基;メトキシ基、エトキシ基等の低級アルコキシ基;塩
素原子、臭素原子等のハロゲン原子;フェニル基、ナフ
チル基等のアリール基等があげられる。 【0017】Arは、フェニル基、ナフチル基、アント
ラセニル基等のアリール基;ピロリル基、チエニル基、
フリル基、カルバゾリル基等の複素環基を表わし、特に
フェニル基が好ましい。これらのアリール基および複素
環基は置換基を有していてもよく、置換基としては、塩
素原子、臭素原子、よう素原子等のハロゲン原子;メチ
ル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基等
のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等
のアルコキシ基;アリル基;ベンジル基、ナフチルメチ
ル基、フェネチル基等のアラルキル基;フェノキシ基、
トリロキシ基等のアリールオキシ基;ベンジルオキシ
基、フェネチルオキシ基等のアリールアルコキシ基;フ
ェニル基、ナフチル基等のアリール基;スチリル基、ナ
フチルビニル基等のアリールビニル基、ジメチルアミノ
基、ジエチルアミノ基等のジアルキルアミノ基;ジフェ
ニルアミノ基;ジナフチルアミノ基等のジアリールアミ
ノ基;ジベンジルアミノ基、ジフェネチルアミノ基等の
ジアラルキルアミノ基;ジピリジルアミノ基、ジチエニ
ルアミノ基等のジ複素環アミノ基;ジアリルアミノ基
又、上記のアミノ基の置換基を組み合せたジ置換アミノ
基等があげられる。 【0018】B,D,Eは置換基を1以上有していても
よいベンゼン環を表わし、その置換基としては、塩素原
子、臭素原子、沃素原子等のハロゲン原子;メチル基、
エチル基、プロピル基等のアルキル基;メトキシ基、エ
トキシ基、プロピルオキシ基等のアルコキシ基;フェニ
ル基、ナフチル基等のアリール基;ジメチルアミノ基等
のジアルキルアミノ基、ジフェニルアミノ基等のジアリ
ールアミノ基、ジベンジルアミノ基等のジアラルキルア
ミノ基;ジピリジルアミノ基等のジ複素環アミノ基、ジ
アリルアミノ基、又、上記のアミノ基の置換基を組み合
せたジ置換アミノ基等の置換アミノ基を表し、これらは
互いに同一でも異なっていてもよく、特に、水素原子、
メチル基、メトキシ基が好ましい。これらのアルキル
基、アルコキシ基、アリール基は、置換基を有していて
もよく、置換基としては、水酸基;塩素原子、臭素原
子、よう素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル
基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基等のアルキル
基;メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等のアルコキ
シ基;アリール基;ベンジル基、ナフチルメチル基、フ
ェネチル基等のアラルキル基;フェノキシ基、トリロキ
シ基等のアリールオキシ基;ベンジルオキシ基、フェネ
チルオキシ基等のアリールアルコキシ基;フェニル基、
ナフチル基等のアリール基;スチリル基、ナフチルビニ
ル基等のアリールビニル基、ジメチルアミノ基、ジエチ
ルアミノ基等のジアルキルアミノ基;ジフェニルアミノ
基、ジナフチルアミノ基等のジアリールアミノ基;ジベ
ンジルアミノ基、ジフェネチルアミノ基等のジアラルキ
ルアミノ基;ジピリジルアミノ基、ジチエニルアミノ基
等のジ複素環アミノ基;ジアリルアミノ基又、上記のア
ミノ基の置換基を組み合せたジ置換アミノ基等があげら
れる。 【0019】R1 ,R2 ,R3 ,R5 ,R6 ,R7 ,R
8 およびR9 は、それぞれ水素原子;メチル基、エチル
基、プロピル基等のアルキル基;フェニル基、ナフチル
基、アントラセニル基等のアリール基;ピロリル基、チ
エニル基、フリル基、カルバゾリル基等の複素環基を表
わす。これらのアルキル基、アリール基、複素環基は置
換基を有していてもよく、置換基としては、塩素原子、
臭素原子、よう素原子等のハロゲン原子;メチル基、エ
チル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基等のアルキ
ル基;メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等のアルコ
キシ基;アリル基;ベンジル基、ナフチルメチル基、フ
ェネチル基等のアラルキル基;フェノキシ基、トリロキ
シ基等のアリールオキシ基;ベンジルオキシ基、フェネ
チルオキシ基等のアリールアルコキシ基;フェニル基、
ナフチル基等のアリール基、スチリル基、ナフチルビニ
ル基等のアリールビニル基、ジメチルアミノ基、ジエチ
ルアミノ基等のジアルキルアミノ基;ジフェニルアミノ
基、ジナフチルアミノ基等のジアリールアミノ基;ジベ
ンジルアミノ基、ジフェネチルアミノ基等のジアラルキ
ルアミノ基;ジピリジルアミノ基、ジチエニルアミノ基
等のジ複素環アミノ基;ジアリルアミノ基又、上記のア
ミノ基の置換基を組み合せたジ置換アミノ基等があげら
れる。 【0020】nが2以上のときは各々のR1 およびR2
はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。R4 は、メチ
ル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基;フェニル
基、ナフチル基、アントラセニル基等のアリール基;ピ
ロリル基、チエニル基、フリル基、カルバゾリル基等の
複素環基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基
を表わし、アルキル基が好ましい。これらのアルキル
基、アリール基、複素環基およびアラルキル基は置換基
を有していてもよく、置換基としては、塩素原子、臭素
原子、よう素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル
基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基等のアルキル
基;メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等のアルコキ
シ基;アリル基;ベンジル基、ナフチルメチル基、フェ
ネチル基等のアラルキル基;フェノキシ基、トリロキシ
基等のアリールオキシ基;ベンジルオキシ基、フェネチ
ルオキシ基等のアリールアルコキシ基;フェニル基、ナ
フチル基等のアリール基、スチリル基、アフチルビニル
基等のアリールビニル基、ジメチルアミノ基、ジエチル
アミノ基等のジアルキルアミノ基;ジフェニルアミノ
基、ジフェネチルアミノ基等のジアラルキルアミノ基;
ジピリジルアミノ基、ジチエニルアミノ基等のジ複素環
アミノ基;ジアリルアミノ基又、上記のアミノ基の置換
基を組み合せたジ置換アミノ基等があげられる。 【0021】R10又はR11は、それぞれフェニル基、ナ
フチル基、アントラセニル基等のアリール基;ピロリル
基、チエニル基、フリル基、カルバゾリル基等の複素環
基;メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基;
ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;アリル基
を表わす。これらのアリール基、複素環基、アルキル
基、アラルキル基は置換基を有していてもよく、置換基
としては、塩素原子、臭素原子、よう素原子等のハロゲ
ン原子;メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、
ヘキシル基等のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、
ブトキシ基等のアルコキシ基;アリル基;ベンジル基、
ナフチルメチル基、フェネチル基等のアラルキル基;フ
ェノキシ基、トリロキシ基等のアリールオキシ基;ベン
ジルオキシ基、フェネチルオキシ基等のアリールアルコ
キシ基;フェニル基、ナフチル基等のアリール基、スチ
リル基、ナフチルビニル基等のアリールビニル基、ジメ
チルアミノ基、ジエチルアミノ基等のジアルキルアミノ
基;ジフェチルアミノ基、ジナフチルアミノ基等のジア
リールアミノ基;ジベンジルアミノ基、ジフェネチルア
ミノ基等のジアラルキルアミノ基;ジピリジルアミノ
基、ジチエニルアミノ基等のジ複素環アミノ基;ジアリ
ルアミノ基又、上記のアミノ基の置換基を組み合せたジ
置換アミノ基等があげられる。特にR10とR11のうち、
少なくとも1つが置換基を有してもよいアリール基であ
ることが好ましい。 【0022】また、R10とR11とは直接もしくは結合基
を介して連結していても良い。結合基としては、メチレ
ン基、エチレン基、トリメチレン基等のアルキレン基;
−S−,−O−,−N−等のヘテロ原子;が挙げられ、
特に−S−,−O−,−CH2 −が好ましく、更には−
S−が好ましい。R10とR11が結合基を介して連結した
場合の好ましいQの例としては、下記一般式〔V〕,
〔VI〕,〔VII 〕,〔VIII〕が挙げられる。 【0023】 【化5】 【0024】(FおよびGは、それぞれ、置換基とし
て、ハロゲン原子、置換基を有してもよいアルキル基、
置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有しても
よいアリール基または置換アミノ基を有してもよいベン
ゼン環を表わし、これらは互いに同一でも異なっていて
もよい。) 以下に一般式〔I〕で表わされるアリールアミンヒドラ
ゾン系化合物について代表例を挙げるが、これらの代表
例は例示の為に示されるのであって、本発明に用いるア
リールアミン系化合物は、これら代表例に限定されるも
のではない。 【0025】 【化6】 【0026】 【化7】【0027】 【化8】【0028】 【化9】【0029】 【化10】 【0030】 【化11】 【0031】 【化12】【0032】 【化13】【0033】 【化14】【0034】 【化15】 【0035】 【化16】 【0036】 【化17】 【0037】 【化18】 【0038】 【化19】【0039】 【化20】 【0040】前記一般式〔I〕で表わされるアリールア
ミンヒドラゾン系化合物は、公知の方法を用いて製造で
きる。好ましい製造方法として、(1)Aが一般式〔I
I〕で示される基の場合と、(2)Aが一般式〔III 〕
で示される基の場合と(3)Aが一般式〔IV〕で示され
る基の場合についてそれぞれ述べる。 (1)Aが一般式〔II〕で示される基の場合 例えば、公知なアリールアミン化合物を用いて、公知な
カルボニル導入反応を行ない、次いで公知なエーテル化
反応を行なった後、所望の回数公知なwittig反応
および公知なカルボニル導入反応を順次行ない、所望の
ヒドラジン類との脱水反応を行なうことにより、目的の
化合物を得る方法である。この方法を詳しく説明する
と、まず下記の様に 【0041】 【化21】 【0042】 R1 =Hの場合 一般式〔X〕(一般式〔X〕および〔XI〕中、B,D,
EおよびR1 は一般式〔I〕におけると同一の定義を有
する。)で表わされるアリールアミン化合物をオキシ塩
化リンの存在下に、N,N−ジメチルホルムアミド、N
−メチルホルムアニリド等のホルミル化剤と反応させる
と一般式〔XI〕で示されるアルデヒド体が得られる。ホ
ルミル化剤を大過剰に用いて反応溶媒を兼ねることもで
きるが、O−ジクロロベンゼン、ベンゼン等の反応に不
活性な溶媒を用いることもできる。 【0043】 R1 ≠Hの場合 一般式〔X〕で表わされるアリールアミン化合物を、塩
化アルミニウム、塩化鉄、塩化亜鉛等のルイス酸存在
下、ニトロベンゼン、ジクロロメタン、四塩化炭素等の
溶媒中、一般式Cl−CO−R1 で表わされる酸塩化物
と反応させることにより一般式〔XI〕で表わされるケト
ン体が得られる。(カルボニル導入反応)次いで一般式
〔XI〕で表わされるアリールアミン化合物と一般式W−
X−Ar(Wは塩素原子、臭素原子、よう素原子等のハ
ロゲン原子を表わし、Ar及びXは、一般式〔I〕にお
ける定義と同一。)で表わされるハロゲン化物を水酸化
カリウム、水酸化ナトリウム、ピリジン、トリエチルア
ミン等の塩基存在下、トルエン、ベンゼン、テトラヒド
ロフラン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド
等の反応に不活性な溶媒中、反応させることにより一般
式〔XII 〕(一般式〔XII 〕中、B,D,EおよびR1
は一般式〔I〕におけると同一の定義を有する。)で表
わされるアリールアミン化合物が得られる。(エーテル
化反応) 【0044】 【化22】 【0045】次いで一般式〔XII 〕で表わされるアリー
ルアミン化合物と一般式〔R2 −CH2 PPh3 +
- (wは塩素原子、臭素原子、よう素原子等のハロゲン
原子を表わし、Phはフェニル基を表わす。)で表わさ
れるホスホニウム塩をナトリウムメトキシド、水素化ナ
トリウム等の塩基存在下、N,N−ジメチルホルムアミ
ド、ジオキサン、トルエン、ベンゼン、テトラヒドロフ
ラン等の反応に不活性な溶媒中、反応させることにより
一般式〔XIII〕(一般式〔XIII〕中、B,D,Eおよび
1 は一般式〔I〕におけると同一の定義を有する。)
で表わされるアリールアミン化合物が得られる。(wi
ttig反応) 【0046】 【化23】 【0047】n≧2の場合には、一般式〔XIII〕で表わ
されるアリールアミン化合物について前述したカルボニ
ル導入反応の後に前述したwittig反応を行なう操
作を(n−1)回行なうことにより一般式〔XIV 〕(一
般式〔XIV 〕中、B,D,E,R1 ,R2 およびnは一
般式〔I〕におけると同一の定義を有する。)で表わさ
れるアリールアミン化合物が得られる。 【0048】 【化24】【0049】次いで、一般式〔XIV 〕で表わされるアリ
ールアミン化合物について前述したカルボニル導入反応
を行なうことにより、一般式〔XV〕(一般式〔XV〕中、
B,D,E,R1 ,R2 ,R3 およびnは一般式〔I〕
におけると同一の定義を有する。)で表わされるアリー
ルアミン化合物が得られる。 【0050】 【化25】 【0051】次いで、一般式〔XV〕で表わされるアリー
ルアミン化合物を一般式H2 N−Qで表わされるヒドラ
ジン類と脱水縮合反応する事により、一般式〔I〕で表
わされるアリールアミンヒドラゾン系化合物が得られ
る。 【0052】 【化26】 【0053】脱水縮合反応は必要によっては50℃〜1
50℃の加熱下、メタノール、エタノール、テトラヒド
ロフラン、セロソルブ、N,N−ジメチルホルムアミ
ド、ベンゼン、トルエン等の反応に不活性な溶剤の中、
所望により反応促進剤としてパラトルエンスルホン酸、
塩酸、酢酸ナトリウム等の助剤を用いてもよい。(ヒド
ラゾン化反応) 【0054】(2)Aが一般式〔III 〕で示される基の
場合 例えば、公知なアリールアミン化合物を用いて、公知な
カルボニル導入反応を行ない、所望の回数公知なwit
tig反応および公知なカルボニル導入反応を順次行な
った後、公知なエステル化反応を行ない、次いで所望の
ヒドラジン類との脱水反応を行なうことにより、目的の
化合物を得る方法である。 【0055】この方法を詳しく説明すると、前述したカ
ルボニル導入反応によって得られた一般式〔XI〕で表わ
されるアリールアミン化合物を用いて、所望の回数前述
したwittig反応および前述したカルボニル導入反
応を順次行ない一般式〔XVI〕(一般式〔XVI 〕中、
B,D,E,R1 ,R2 ,R3 およびnは一般式〔I〕
におけると同一の定義を有する。)で表わされるアリー
ルアミン化合物を得る。 【0056】 【化27】 【0057】次いで、得られた一般式〔XVI 〕で表わさ
れるアリールアミン化合物を、ピリジン、トリエチルア
ミン等の塩基存在下、トルエン、ベンゼン、テトラヒド
ロフラン、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド
等の反応に不活性な溶媒中、一般式Cl−CO−R4
表わされる酸塩化物と反応させることにより一般式〔XV
II〕(一般式〔XVII〕中、B,D,E,R1 ,R2 ,R
3 およびnは一般式〔I〕におけると同一の定義を有す
る。)で表わされるアリールアミン化合物が得られる。 【0058】 【化28】 【0059】次いで、一般式〔XVII〕で表わされるアリ
ールアミン化合物を用いて前述したヒドラゾン化反応を
行なうことにより、一般式〔I〕で表わされるアリール
アミンヒドラゾン系化合物が得られる。 (3)Aが一般式〔IV〕で示される場合 n=0の場合 例えば、公知なアリールアミン化合物を用いて、公知な
カルボニル導入反応を行ない、次いで公知なエーテル化
反応を行なった後、所望のヒドラジン類との脱水反応を
行なうことにより、目的の化合物を得る方法である。 【0060】この方法を詳しく説明すると、前述したカ
ルボニル導入反応によって得られた下記一般式〔XVIII
〕(一般式〔XVIII 〕中、B,D,EおよびR3 は一
般式〔I〕におけると同一の意義を有する。〕で表わさ
れるアリールアミン化合物と一般式W−CR5 6 −C
7 =CR8 9 (Wは塩素原子、臭素原子、よう素原
子等のハロゲン原子を表わし、R5 ,R6 ,R7 ,R8
およびR9 は一般式〔I〕におけると同一の定義を有す
る。)で表わされるハロゲン化物を用いて前述したエー
テル化反応を行なうことにより、一般式〔XIV 〕(一般
式〔XIV 〕中、B,D,E,R3 ,R5 ,R6 ,R7
8 およびR9 は一般式〔I〕におけると同一の定義を
有する。で表わされるアリールアミン化合物を得る。 【0061】 【化29】【0062】次いで一般式〔XIV 〕で表わされるアリー
ルアミン化合物を用いて、前述したヒドラゾン化反応を
行なうことにより、一般式〔I〕で表わされるアリール
アミンヒドラゾン系化合物が得られる。 n≧1の場合 例えば、公知なアリールアミン化合物を用いて、公知な
カルボニル導入反応を行ない、所望の回数公知なwit
tig反応およびカルボニル導入反応を順次行なった
後、所望のヒドラジン類との脱水反応を行なうことによ
り、目的の化合物を得る方法である。 【0063】この方法を詳しく説明すると、前述した一
般式〔XVI 〕で表わされるアリールアミン化合物と、前
述した一般式W−CR5 6 −CR7 =CR8 9 で表
わされるハロゲン化物を用いて前述したエーテル化反応
を行なうことにより、一般式〔XX〕(一般式〔XX〕中、
B,D,E,R1 ,R2 ,R3 ,R5 ,R6 ,R7 ,R
8 およびR9 は一般式〔I〕におけると同一の定義を有
する。)で表わされるアリールアミン化合物を得る。 【0064】 【化30】 【0065】次いで、得られた一般式〔XX〕で表わされ
るアリールアミン化合物を用いて前述したヒドラゾン化
反応を行なうことにより、一般式〔I〕で表わされるア
リールアミンヒドラゾン系化合物が得られる。これらの
反応において、場合によっては、各工程終了後、あるい
は、全工程終了後、再結晶精製、昇華精製、カラム精製
等の公知な精製手段により、高純度体を得る事も可能で
ある。 【0066】本発明の電子写真用感光体は、上記一般式
〔I〕で表わされるアリールアミンヒドラゾン系化合物
を1種または2種以上含有する感光層を有する。一般式
〔I〕で表わされるアリールアミンヒドラゾン系化合物
は有機光導電体としてきわめてすぐれた性能を示す。特
に電荷輸送媒体として用いた場合には高感度で耐久性に
すぐれた感光体を与える。 【0067】電子写真用感光体の感光層の形態としては
種々のものが知られているが、本発明の電子写真用感光
体の感光層としてはそのいずれであってもよい。例えば
バインダー中にアリールアミンヒドラゾン系化合物と必
要に応じ増感剤となる色素や電子吸引性化合物を添加し
た感光層、光を吸収すると極めて高い効率で電荷キャリ
ヤーを発生する光導電性粒子とアリールアミンヒドラゾ
ン系化合物をバインダー中に添加した感光層、アリール
アミンヒドラゾン系化合物とバインダーからなる電荷輸
送層と光を吸収すると極めて高い効率で電荷キャリヤー
を発生する光導電性粒子からなるあるいはこれとバイン
ダーからなる電荷発生層とを積層した感光層等が挙げら
れる。 【0068】これらの感光層中には、一般式〔I〕で表
わされるアリールアミンヒドラゾン系化合物と共に、有
機光導電体としてすぐれた性能を有する公知の他のアリ
ールアミン化合物、ヒドラゾン化合物、スチルベン系化
合物等を混合してもよい。本発明においては上記一般式
〔I〕で表わされるアリールアミンヒドラゾン系化合物
を電荷発生層と電荷輸送層の二層からなる感光層の電荷
輸送層中に用いる場合に、特に感度が高く残留電位が小
さく、かつ、繰返し使用した場合や強い光に暴露した場
合に、表面電位の変動や感度の低下、残留電位の蓄積等
が少なく耐久性にすぐれた感光体を得ることができる。 【0069】本発明の電子写真用感光体は常法に従って
上記一般式〔I〕で表わされるアリールアミンヒドラゾ
ン系化合物をバインダーと共に適当な溶剤中に溶解し、
必要に応じ光を吸収すると極めて高い効率で電荷キャリ
ヤーを発生する光導電性粒子、増感染料、電子吸引性化
合物、あるいは、可塑剤、顔料その他の添加剤を添加し
て得られる塗布液を導電性支持体上に塗布、乾燥し、通
常、数μ〜数十μ、好ましくは10μ〜40μの膜厚の
感光層を形成させることにより製造することができる。
電荷発生層と電荷輸送層の二層からなる感光層の場合
は、電荷発生層の上に上記塗布液を塗布するか、上記塗
布液を塗布して得られる電荷輸送層の上に電荷発生層を
形成させることにより、製造することができる。 【0070】塗布液調整用の溶剤としてはテトラヒドロ
フラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類;メチルエ
チルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;トルエ
ン、キシレン等の芳香族炭化水素;N,N−ジメチルホ
ルムアミド、アセトニトリル、N−メチルピロリドン、
ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒;酢酸
エチル、蟻酸メチル、メチルセロソルブアセテート等の
エステル類;ジクロロエタン、クロロホルム等の塩素化
炭化水素などのアリールアミンヒドラゾン系化合物を溶
解させる溶剤が挙げられる。勿論これらの中からバイン
ダーを溶解するものを選択する必要がある。また、バイ
ンダーとしては、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、
アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ブタイエ
ン等のビニル化合物の重合体及び共重合体、ポリビニル
アセタール、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリス
ルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリウレタン、セ
ルロースエステル、セルロースエーテル、フェノキシ樹
脂、けい素樹脂、エポキシ樹脂等スチレン系化合物と相
溶性のある各種ポリマーが挙げられる。バインダーの使
用量は通常アリールアミンヒドラゾン系化合物に対し、
0.5〜30重量倍、好ましくは0.7〜10重量倍の
範囲である。 【0071】上記感光層に添加される光導電性粒子、染
料色素、電子吸引性化合物としてはいずれも周知のもの
が使用できる。光を吸収すると極めて高い効率で電荷キ
ャリヤーを発生する光導電性粒子としてはセレン、セレ
ン−テルル合金、セレン−ヒ素合金、硫化カドミウム、
アモルファスシリコン等の無機光導電性粒子;金属含有
フタロシアニン、ペリノン系顔料、チオインジゴ、キナ
クリドン、ペリレン系顔料、アントラキノン系顔料、ア
ゾ系顔料、ビスアゾ系顔料、トリスアゾ系顔料、テトラ
キス系アゾ顔料、シアニン系顔料等の有機光導電性粒子
が挙げられる。特に、金属含有フタロシアニンと組み合
わせるとレーザー光に対する感度が向上し、かつ残留電
位の小さいすぐれた感光体が得られる。 【0072】染料としては、例えばメチルバイオレッ
ト、ブリリアントグリーン、クリスタルバイオレット等
のトリフェニルメタン染料、メチレンブルーなどのチア
ジン染料、キニザリン等のキノン染料及びシアニン染料
やビリリウム塩、チアビリリウム塩、ベンゾビリリウム
塩等が挙げられる。また、アリールアミンヒドラゾン系
化合物と電荷移動錯体を形成する電子吸引性化合物とし
ては、例えばクロラニル、2,3−ジクロロ−1,4−
ナフトキノン、1−ニトロアントラキノン、1−クロロ
−5−ニトロアントラキノン、2−クロロアントラキノ
ン、フェナントレンキノン等のキノン類;4−ニトロベ
ンズアルデヒド等のアルデヒド類;9−ベンゾイルアン
トラセン、インダンジオン、3,5−ジニトロベンゾフ
ェノン、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,
4,5,7−テトラニトロフルオレノン、3,3′,
5,5′−テトラニトロベンゾフェノン等のケトン類;
無水フタル酸、4−クロロナフタル酸無水物等の酸無水
物;テトラシアノエチレン、テレフタラルマロノニトリ
ル、9−アントリルメチリデンマロノニトリル、4−ニ
トロベンザルマロノニトリル、4−(p−ニトロベンゾ
イルオキシ)ベンザルマロノニトリル等のシアノ化合
物;3−ベンザルフタリド、3−(α−シアノ−p−ニ
トロベンザル)フタリド、3−(α−シアノ−p−ニト
ロベンザル)−4,5,6,7−テトラクロロフタリド
等のフタリド類等の電子吸引性化合物が挙げられる。 【0073】更に、本発明の電子写真用感光体の感光層
は成膜性、可撓性、機械的強度を向上させるために周知
の可塑剤を含有していてもよい。そのために上記塗布液
中に添加する可塑剤としては、フタル酸エステル、りん
酸エステル、エポキシ化合物、塩素化パラフィン、塩素
化脂肪酸エステル、メチルナフタレンなどの芳香族化合
物などが挙げられる。アリールアミンヒドラゾン系化合
物を電荷輸送層中の電荷輸送媒体として用いる場合の塗
布液は、前記組成のものでもよいが、光導電性粒子、染
料色素、電子吸引性化合物等は除くか、少量の添加でよ
い。この場合の電荷発生層としては上記光導電性粒子と
必要に応じバインダーポリマーや有機光導電性物質、染
料色素、電子吸引性化合物等の溶媒に溶解乃至分散させ
て得られる塗布液を塗布乾燥した薄層、あるいは前記光
導電性粒子を蒸着等の手段により成膜とした層が挙げら
れる。 【0074】また、本発明の電子写真感光体の感光層
は、電気特性あるいは繰り返し使用における耐久性を向
上させるために周知の添加剤を含有していてもよい。そ
のために上記塗布液中に添加する塗布剤としては、フェ
ノール系化合物、有機リン系化合物、有機イオウ系化合
物等が挙げられる。このようにして形成される感光体に
はまた、必要に応じ、接着層、中間層、透明絶縁層等を
有していてもよいことはいうまでもない。感光層が形成
される導電性支持体としては周知の電子写真感光体に採
用されているものがいずれも使用できる。具体的には例
えばアルミニウム、ステンレス、銅等の金属ドラム、シ
ートあるいはこれらの金属箔のラミネート物、蒸着物が
挙げられる。更に、金属粉末、カーボンブラック、ヨウ
化銅、高分子電解質等の導電性物質を適当なバインダー
とともに塗布して導電処理したプラスチックフィルム、
プラスチックドラム、紙、紙管等が挙げられる。また、
金属粉末、カーボンブラック、炭素繊維等の導電性物質
を含有し、導電性となったプラスチックのシートやドラ
ムが挙げられる。 【0075】 【発明の効果】本発明の電子写真感光体は感度が非常に
高く、かつ、かぶりの原因となる残留電位が小さく、と
くに光疲労が少ないために繰返し使用や強露光による残
留電位の蓄積や、表面電位および感度の変動が小さく耐
久性に優れるという特徴を有する。 【0076】 【実施例】つぎに、本発明を実施例により更に具体的に
説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の製
造例、実施例に限定されるものではない。なお、実施例
中「部」とあるのは「重量部」を示す。 (製造例1) (p−ヒドロキシ)ジフェニルアミン 【0077】 【化31】 【0078】5.2gをN,N−ジメチルホルムアミド
20mlに溶解させ、その後、オキシ塩化リン5.5m
lを加え、その後65℃で5時間反応させた。放冷後、
反応液を氷水100mlに排出し、水酸化ナトリウムに
より加水分解し、更に、常法により、抽出、濃縮、精製
処理を行なうことにより、下記構造式で表わされるホル
ミル化合物5.4gを得た。 【0079】 【化32】 【0080】得られたホルミル化合物2.0gとα−ブ
ロモ−p−キシレン1.3gおよびテトラ−n−ブチル
アンモニウムブロマイド0.2gをテトラヒドロフラン
20mlに溶解し、水酸化カリウム0.6gを加え、6
0℃で2時間反応させた。放冷後、反応液を氷水100
ml中に排出し、常法により抽出、濃縮、精製を行な
い、下記構造式で表わされるアリールアミン化合物2.
5gを得た。 【0081】 【化33】 【0082】次いで、トリフェニルホスフィン2.3g
をN,N−ジメチルホルムアミド10mlに溶解し、ヨ
ウ化メチル1.9gを徐々に滴下して、ホスホニウム塩
を生じせしめた中へ、得られたアリールアミン化合物
2.5gを加え、ナトリウムメチラート0.9gを少量
ずつ添加した後、50℃で2時間反応させた。放冷後、
反応液を氷水50ml中へ排出し、常法により抽出、濃
縮、精製を行なうことにより、下記構造式で表わされる
アリールアミン化合物2.1gを得た。 【0083】 【化34】 【0084】得られたアリールアミン化合物2.1gを
N,N−ジメチルホルムアミド23mlに溶解させ、オ
キシ塩化リン0.6mlを加え、その後60℃で3時間
反応させた。放冷後、反応液を氷水50ml中に排出
し、水酸化ナトリウムにより加水分解し、更に、常法に
より、抽出、濃縮、精製処理を行なうことにより、下記
構造式で表わされるアリールアミン化合物2.1gを得
た。 【0085】 【化35】 【0086】次いで、得られたアリールアミン化合物
2.1gと1,1−ジフェニルヒドラジン1.4gを酢
酸触媒下、テトラヒドロフラン30mlとメタノール2
5mlの混合溶液中、60℃で5時間反応させた。放冷
後、反応液を氷水150ml中に排出し、常法により抽
出、濃縮、精製を行なうことにより、黄色結晶(m.
p.159〜161℃)2.8gを得た。この化合物は
下記元素分析値および赤外吸収スペクトル図(図1)に
より前記例示化合物No.4の構造式で表わされるアリ
ールアミンヒドラゾン化合物であることが判明した。 【0087】 【表1】 (元素分析値) C41353 Oとして C% H% N% 計算値 84.07 6.02 4.78 実測値 83.98 6.00 4.73 (質量分析測定結果) C41353 Oとして Mw=585 M+ =585 【0088】(製造例2)トリフェニルホスフィン2.
7gをN,N−ジメチルホルムアミド7mlに溶解し、
次いでヨウ化メチル2.1gを徐々に滴下した。次いで
製造例1の途中で得られたホルミル化合物2.0gを加
え、ナトリウムメチラートの28%メタノール溶液3.
7gを徐々に滴下した。その後、50℃で2時間反応さ
せた。放冷後、反応液を氷水100ml中へ排出し、更
に常法により抽出、濃縮、精製処理を行なうことによ
り、下記構造式で表わされるアリールアミン化合物1.
8gを得た。 【0089】 【化36】 【0090】次いで、得られたアリールアミン化合物
1.8gをN,N−ジメチルホルムアミド20mlに溶
解させ、その後、オキシ塩化リン2.8gを加え60℃
で3時間反応させた。放冷後、反応液を氷水50ml中
に排出し、水酸化ナトリウムにより加水分解し、更に常
法により、抽出、濃縮、精製処理を行なうことにより、
下記構造式で表わされるアリールアミン化合物1.9g
を得た。 【0091】 【化37】 【0092】次いで、得られたアリールアミン化合物
1.9gとピリジン1.0mlをトルエン30mlに溶
解し、エナンチルクロライド0.5mlを徐々に滴下し
た。その後、80℃で2時間反応させた。放冷後、氷水
100ml中に排出し、常法により抽出、濃縮、精製を
行ない、下記構造式で表わされるアリールアミン化合物
2.0gを得た。 【0093】 【化38】 【0094】次いで、得られたアリールアミン化合物
2.0gと、1,1−ジフェニルヒドラジン1.3gを
酢酸触媒下、テトラヒドロフラン30mlとメタノール
25mlの混合溶液中、60℃で5時間反応させた。放
冷後、反応液を氷水150ml中に排出し、常法により
抽出、濃縮、精製を行なうことにより、黄色油状物2.
3gを得た。この化合物は、下記元素分析値および赤外
吸収スペクトル図により前記例示化合物No.19の構
造式で表わされるアリールアミンヒドラジン化合物であ
ることが判明した。 【0095】 【表2】 (元素分析値) C40393 2 として C% H% N% 計算値 80.91 6.62 7.08 実測値 80.86 6.59 7.06 (質量分析測定結果) C40393 2 として Mw=593 M+ =593 【0096】(製造例3)製造例1の途中で得られたホ
ルミル化合物2.0gとアリルブロマイド0.9gおよ
びテトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド0.2g
をテトラヒドロフラン20mlに溶解し、水酸化カリウ
ム0.6gを加え、60℃で2時間反応させた。放冷
後、反応液を氷水100ml中に排出し、常法により抽
出、濃縮、精製を行ない、下記構造式で表わされるアリ
ールアミン化合物2.2gを得た。 【0097】 【化39】 【0098】次いで、得られたアリールアミン化合物
2.2gと1,1−ジフェニルヒドラジン1.9gを酢
酸触媒下、テトラヒドロフラン40mlとメタノール3
0mlの混合溶媒中、60℃で5時間反応させた。放冷
後、反応液を氷水200ml中に排出し、常法により抽
出、濃縮、精製を行なうことにより、黄色結晶(m.
p.123〜124.5℃)3.1gを得た。この化合
物は下記元素分析値および赤外吸収スペクトル図(図
2)により前記例示化合物No.29の構造式で表わさ
れるアリールアミンヒドラゾン化合物であることが判明
した。 【0099】 【表3】 (元素分析値) C34293 Oとして C% H% N% 計算値 82.40 5.90 8.48 実測値 82.29 5.88 8.45 (質量分析測定結果) C34293 Oとして Mw=495 M+ =495 【0100】(製造例4)製造例2の途中で得られたア
リールアミン化合物1.9とアリルブロマイド0.8g
およびテトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド0.
2gをテトラヒドロフラン20mlに溶解し、水酸化カ
リウム0.7gを加え、60℃で2時間反応させた。放
冷後、反応液を氷水100ml中に排出し、常法により
抽出、濃縮、精製を行ない、下記構造式で表わされるア
リールアミン2.1gを得た。 【0101】 【化40】 【0102】次いで、得られたアリールアミン化合物
2.1gと1,1−ジフェニルヒドラジン1.9gを酢
酸触媒下、テトラヒドロフラン40mlとメタノール3
0mlの混合溶媒中、60℃で5時間反応させた。放冷
後、反応液を氷水200ml中に排出し、常法により抽
出、濃縮、精製を行なうことにより、黄色結晶(m.
p.78〜80℃)2.2gを得た。この化合物は下記
元素分析値および赤外吸収スペクトル図(図3)により
前記例示化合物No.43の構造式で表わされるアリー
ルアミンヒドラゾン化合物であることが判明した。 【0103】 【表4】 (元素分析値) C36313 Oとして C% H% N% 計算値 82.90 5.99 8.06 実測値 82.20 5.97 8.05 (質量分析測定結果) C36313 Oとして Mw=521 M+ =521 【0104】(実施例1)X線回折スペクトルにおい
て、ブラッグ角(2θ±0.2°)9.3°,10.6
°,13.2°,15.1°,15.7°,16.1
°,20.8°,23.3°,27.1°に強い回折ピ
ークを示すチタニウムオキシフタロシアニン顔料1.0
部をジメトキシエタン14部に加え、サンドグラインダ
ーで分散処理をした後、ジメトキシエタン14部と4−
メトキシ−4−メチルペンタノン−2(三菱化成(株)
社製)14部を加え希釈し、さらに、ポリビニルブチラ
ール(電気化学工業(株)社製、商品名デンカブチラー
ル#6000−C)0.5部と、フェノキシ樹脂(ユニ
オンカーバイド(株)社製、商品名UCAR(商標登
録)PKHH)0.5部をジメトキシエタン6部、4−
メトキシ−4−メチルペンタノン−2 6部の混合溶媒
に溶解した液と混合し、分散液を得た。この分散液を7
5μmに膜厚のポリエステルフィルムに蒸着されたアミ
ノ蒸着層の上に乾燥後の重量が0.4g/m2 になる様
にワイヤーバーで塗布した後、乾燥して電荷発生層を形
成させた。この上に製造例1で製造したアリールアミン
ヒドラゾン系化合物70部と下記に示すポリカーボネー
ト樹脂 【0105】 【化41】 【0106】100部をテトラヒドロフラン585部と
ジオキサン315部の混合溶媒に溶解した塗布液を塗
布、乾燥し、膜厚17μmの電荷輸送層を形成させた。
このようにして得た2層からなる感光層を有する電子写
真感光体によって感度すなわち半減露光量を測定したと
ころ0.49μJ/cm2 であった。 【0107】半減露光量はまず、感光体を暗所で50μ
Aのコロナ電流により負帯電させ、次いで20ルックス
の白色光を干渉フィルターに通して得られた780nm
の光(露光エネルギー10μW/cm2 )で露光し、表
面電位が−450Vから−225Vまで減衰するのに要
する露光量を測定することにより求めた。さらに露光時
間を9.9秒とした時の表面電位を残留電位として測定
したところ、−4Vであった。この操作を2000回繰
り返したが、残留電位の上昇はみられなかった。 【0108】また、感光体を暗所で50μAのコロナ電
流により負帯電させた時の表面電位をV0 とし、感光体
に3000ルックスの白色光を5分間照射した後に、同
様に負帯電させた時の表面電位をVとし、(V/V0
×100(%)を強露光保持率として求めたところ、9
2.1%であった。さらに負帯電−露光のプロセスを1
00回繰り返した後に負帯電させた時の表面電位をV′
とし、(V′/V0 )×100(%)を強露光復帰率と
して求めたところ93.5%であった。 【0109】(実施例2)実施例1で用いたチタニウム
オキシフタロシアニン顔料の代りに、X線回折スペクト
ルにおいて、ブラッグ角(2θ±0.2°)9.5°,
27.1°,27.3°に強い回折ピークを示すチタニ
ウムオキシフタロシアニン顔料を用いる以外は実施例1
と同様にして作成した感光体を780nmの光で露光し
半減露光量を測定したところ、0.12μJ/cm2
あった。残留電位は−5Vであり、強露光保持率は9
1.3%、強露光復帰率は92.8%であった。 【0110】(実施例3)実施例1で用いたフタロシア
ニン系顔料の代りに、下記構造式で表わされるナフタル
酸系ビスアゾ顔料を用いる以外は実施例1と同様にして
作成した感光体を白色光で露光し半減露光量を測定した
ところ、0.78lux・secであった。残留電位は
−5Vであり、強露光保持率は90.5%、強露光復帰
率は91.6%であった。 【0111】 【化42】 【0112】(実施例4)実施例1で用いたフタロシア
ニン系顔料の代りに、下記構造式で表わされるナフタル
酸系ビスアゾ顔料を用いる以外は実施例1と同様にして
作成した感光体を白色光で露光し半減露光量を測定した
ところ、0.99lux・secであった。残留電位は
−8Vであり、強露光保持率は90.3%、強露光復帰
率は92.0%であった。 【0113】 【化43】 【0114】(実施例5〜12)実施例1で用いたアリ
ールアミンヒドラゾン系化合物の代わりに、製造例1〜
4と同様にして合成した下記第1表に示すアリールアミ
ンヒドラゾン系化合物を用いる以外は実施例1と同様に
して作成した電子写真感光体の感度、残留電位および強
露光保持率を第1表に示す。 【0115】 【表5】 第 1 表 例 例示化合物No. 感度(μJ/cm2) 残留電位(V) 強露光保持率(%) 5 12 0.50 −5 91.8 6 14 0.49 −4 90.3 7 18 0.56 −10 92.1 8 22 0.58 −9 91.5 9 29 0.47 −3 91.1 10 30 0.48 −5 92.0 11 39 0.51 −7 91.7 12 43 0.45 −2 92.2 【0116】(実施例13〜20)実施例3で用いたア
リールアミンヒドラゾン系化合物の代わりに、製造例1
〜4と同様にして合成した下記第2表に示すアリールア
ミンヒドラゾン系化合物を用いる以外は実施例3と同様
にして作成した電子写真感光体の感度、残留電位および
強露光保持率を第2表に示す。 【0117】 【表6】 第 2 表 例 例示化合物No. 感度(lux・sec) 残留電位(V) 強露光保持率(%) 13 12 0.81 −6 91.0 14 14 0.79 −5 90.8 15 18 0.90 −11 93.0 16 22 0.95 −10 92.4 17 29 0.83 −4 90.7 18 30 0.82 −5 91.9 19 39 0.85 −12 90.5 20 43 0.76 −4 91.4 【0118】(比較例1)実施例1で用いたアリールア
ミンヒドラゾン系化合物の代りに、下記に示す比較化合
物1を用いる以外は実施例1と同様にして電子写真感光
体を得た。 比較化合物1 【0119】 【化44】 【0120】次いで実施例1と同様にして感度、残留電
位、強露光保持率を測定した。この結果を実施例1の感
光体についての測定結果と共に第3表に示す。 (比較例2)比較例1で用いた比較化合物1の代りに下
記に示す比較化合物2を用いる以外は比較例1と同様に
して感光体を作成し、感度、残留電位および強露光保持
率を測定した。この結果を第3表に示す。 比較化合物2 【0121】 【化45】 【0122】(比較例3)比較例1で用いた比較化合物
1の代わりに下記に示す比較化合物3を用いる以外は比
較例1と同様にして感光体を作成し、感度、残留電位お
よび強露光保持率を測定した。この結果を第3表に示
す。 比較化合物3 【0123】 【化46】 【0124】 【表7】 第 3 表 例 感度(μJ/cm2) 残留電位(V) 強露光保持率(%) 比較例1 0.60 −27 85.9 比較例2 0.59 −12 90.0 比較例3 0.59 −11 81.3 実施例1 0.49 −4 92.1 【0125】第3表より、明らかに実施例1の化合物は
比較例1、比較例2および比較例3の化合物に比べ、感
度、残留電位、強露光保持率いずれも優れた数値を示す
ことがわかる。
【図面の簡単な説明】 【図1】製造例1で得られたアリールアミンヒドラゾン
系化合物の赤外吸収スペクトル図。 【図2】製造例3で得られたアリールアミンヒドラゾン
系化合物の赤外吸収スペクトル図。 【図3】製造例4で得られたアリールアミンヒドラゾン
系化合物の赤外吸収スペクトル図。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G03G 5/06 321 G03G 5/06 312 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 導電性支持体上に下記一般式〔I〕で表
    わされるアリールアミンヒドラゾン系化合物を含有する
    感光層を有することを特徴とする電子写真用感光体。 【化1】nはAが一般式〔II〕または〔III 〕で示される基のと
    きは1以上の整数であり、Aが一般式〔IV〕で示される
    基のときは0又は1以上の整数であり、 Xは置換基を有してもよいアルキレン基を表わし;Ar
    は置換基を有してもよいアリール基または置換基を有し
    てもよい複素環基を表わし;B,D,Eは、それぞれ、
    置換基を1以上有してもよいベンゼン環を表わし、これ
    らは互いに同一でも異なっていてもよく;R1 ,R2
    3 ,R5 ,R6 ,R7 ,R8 およびR9 はそれぞれ、
    水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を
    有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環
    基を表わし、nが2以上のときは、各構成単位における
    1 はそれぞれ異なっていてもよく、R2 も同様であ
    り;R4 は置換基を有してもよいアルキル基、置換基を
    有してもよいアリール基、置換基を有してもよい複素環
    基または置換基を有してもよいアラルキル基を表わし;
    10およびR11は、それぞれ、置換基を有してもよいア
    リール基、置換基を有してもよい複素環基、置換基を有
    してもよいアラルキル基もしくはアリル基を表わし、ま
    たR10とR11とは直接、もしくは結合基を介して連結し
    てもよい。)
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