JP3446194B2 - カメラの防振用補正レンズの支持構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 【０００１】 【産業上の利用分野】本発明はカメラの防振用補正レン
ズの支持構造に係り、特にカメラに加わった振動によっ
て生じる像ぶれを補正する補正レンズの支持構造に関す
る。 【０００２】 【従来の技術】従来から、手ぶれや風等の振動に起因す
る像ぶれを防止するカメラに関して提案がなされてい
る。このようなカメラの防振装置は、像ぶれを補正する
補正レンズ、カメラに加わった振動の大きさ及びその方
向を検知する加速度センサ、加速度センサからの情報に
基づいて前記補正レンズに与えるべき補正移動量を演算
する演算部、演算部からの情報に基づいて像ぶれを補正
する方向に補正レンズを移動させる駆動部を主な構成と
している。 【０００３】ところで、前記補正レンズは、撮影レンズ
鏡胴等に撮影光軸に対して直交方向に移動自在に支持さ
れており、例えば、その支持構造として特開平３−３０
４５３５号公報、特開平６−３５０２２号公報に開示さ
れたものがある。これらの支持構造は図５に示すよう
に、補正レンズ１を枠体２に保持し、この枠体２に突出
形成された舌状部３にピン４を植設し、このピン４を図
示しない固定部に回動自在に支持している。即ち、前記
支持構造によれば、補正レンズ１はピン４を中心に光軸
５に対して直交方向に回動して移動する。 【０００４】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図５に
示した従来の補正レンズの支持構造では、補正レンズ１
がピン４を中心に回動して移動するため、補正レンズ１
の移動量がピン４に近い側から離れるに従って大きくな
るという現象が生じる（図５中Ａ部の移動量ａ＜Ｂ部の
移動量ｂ）。これにより、前記支持構造では、補正レン
ズ１の光軸５を中心とした左右の移動量が不均一となる
ので、補正レンズ１が像ぶれを補正する方向に移動した
としても、補正レンズ１による防振効果を十分に得るこ
とができないという欠点がある。 【０００５】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
もので、補正レンズを移動した際に防振効果を十分に得
ることができるカメラの防振用補正レンズの支持構造を
提供することを目的とする。 【０００６】 【課題を解決するための手段】本発明は前記目的を達成
するために、像ぶれを補正する補正レンズと、カメラの
ぶれを検知する像ぶれ検知手段と、この像ぶれ検知手段
からの情報に基づいて前記補正レンズに与えるべき補正
移動量を演算する演算部と、この演算部からの情報に基
づいて像ぶれを補正する方向に前記補正レンズを移動さ
せる駆動部とを備えたカメラに於いて、前記補正レンズ
を保持した枠体は、カメラの撮影光軸と直交する方向に
配置された２本のリンクを有する平行運動機構によって
支持されるとともに、該平行運動機構によってカメラの
撮影光軸に対して直交方向に移動自在に支持されたこと
を特徴としている。 【０００７】 【作用】本発明によれば、補正レンズを保持した枠体を
像ぶれを補正する方向に移動させると、補正レンズは平
行運動機構によって、補正レンズの全てのポイントにお
いて移動量が等しく移動されるので、防振効果が十分に
得られる。 【０００８】 【実施例】以下添付図面に従って本発明に係るカメラの
防振用補正レンズの支持構造の好ましい実施例を詳述す
る。図１は、本発明の第１実施例に係るカメラの防振用
補正レンズの支持構造が適用されたエクステンダ装置を
示す正面図である。 【０００９】同図に示すエクステンダ装置１０は、テレ
ビカメラ用撮影レンズの鏡胴本体１２の後部に取り付け
られるもので、像ぶれを補正する補正レンズを撮影倍率
切換用の変倍レンズ１４、１６、１８と兼用したもので
ある。これらの変倍レンズ１４、１６、１８はターレッ
ト板２０の回転動作によって、選択された１つの変倍レ
ンズが撮影光軸２２上に位置し、この位置に位置した変
倍レンズは、撮影レンズ系の図示しないリレーレンズ部
のアフォーカル部に位置されるようになっている。 【００１０】前記変倍レンズ１４は撮影倍率を等倍にす
るレンズで、変倍レンズ１６は撮影倍率を１．５倍、ま
た変倍レンズ１８は撮影倍率を２倍にするレンズであ
る。これらのレンズ１４、１６、１８は各々レンズ枠体
２４、２６、２８に保持されて、前記ターレット板２０
上に後述する支持構造３０によって一定の間隔で支持さ
れている。 【００１１】前記ターレット板２０は円板状に形成され
ると共に、その中心部が鏡胴本体１２に設けられた軸３
２に枢支されている。また、ターレット板２０の外周部
全周には溝３４が形成され、該溝３４には無端状のベル
ト３６が掛けられている。前記ベルト３６は、前記ター
レット板２０とターレット板２０の図中左下部に設けら
れたモータ３８のプーリ４０とによって張設され、モー
タ３８の駆動力をターレット板２０に伝達してターレッ
ト板２０を軸３２を中心に回転させることができる。 【００１２】また、ターレット板２０の外周部にはＶ溝
４２、４４、４６が等間隔で３箇所形成される。更に、
鏡胴本体１２の図中左上隅部には、前記Ｖ溝４２、４
４、４６のうち１つのＶ溝に係合するローラ４８が設け
られる。このローラ４８は板バネ５０の一端部に取り付
けられ、また板バネ５０の他端部は鏡胴本体１２に固着
された係止片５２に固定されている。これにより、ロー
ラ４８は板バネ５０の付勢力によって時計回り方向に付
勢され、ターレット板２０の回転で移動してきたＶ溝に
係合する。 【００１３】前記Ｖ溝４２、４４、４６とローラ４８
は、変倍レンズ１４、１６、１８を撮影光軸２２上に位
置決めするもので、例えば、ローラ４８が図１で示すよ
うに溝４６に係合した際には変倍レンズ１８が撮影光軸
２２上に、また、ローラ４８が溝４４に係合した際には
変倍レンズ１６が撮影光軸２２上に、更に、ローラ４８
が溝４２に係合した際には変倍レンズ１４が撮影光軸２
２上にそれぞれ位置決めされる。 【００１４】次に、補正レンズの支持構造３０について
図１、図２を参照しながら説明する。この場合、前記３
箇所の支持構造３０は同一の構成を有しているので、本
実施例では変倍レンズ１８の支持構造３０のみを説明
し、変倍レンズ１４、１６の支持構造３０についてはそ
の説明を省略する。前記支持構造３０は、２本のリンク
６０、６２によって構成される。前記リンク６０、６２
は等しい長さに形成されると共に、その図２中左端部が
鏡胴本体１２に形成されたピン６４、６６に枢支され
る。また、リンク６０、６２の図２中右端部は、レンズ
枠体２８に植設されたピン６８、７０にリンク６０とリ
ンク６２とが平行となるように枢支されている。また、
ピン６４とピン６８との距離Ｌと、ピン６６とピン７０
との距離Ｌとは等しく設定される。これにより、本実施
例の支持構造３０は４節回転連鎖の平行クランク機構
（平行運動機構）となっている。 【００１５】従って、本実施例の支持構造３０では、前
記リンク６０がピン６４を支点として、そしてリンク６
２がピン６６を支点として揺動されると、変倍レンズ
（補正レンズ）１８を撮影光軸２２に対して直交する方
向で、且つ、図２中鉛直方向に上下移動させることがで
きる。ところで、レンズ枠体２４、２６、２８には図１
に示すように軸３２の近傍にスプリング７２、７２、７
２が取り付けられる。このスプリング７２の付勢力によ
ってレンズ枠体２４、２６、２８は、ターレット板２０
の放射方向に付勢される。また、レンズ枠体２４、２
６、２８の外周部には受部７４、７４、７４が突出形成
される。この受部７４は、レンズ枠体の前記スプリング
７２の取付部に対して対称位置に形成されている。 【００１６】ターレット板２０の下方の鏡胴本体１２に
は、変倍レンズ１４、１６、１８を、像ぶれを補正する
方向に移動させる駆動部８０が設けられる。前記駆動部
８０は、撮影光軸２２上に位置したレンズ枠体の受部７
４に当接されるアーム８２、２本のリンク８４、８６か
ら成る平行運動機構、及び平行運動機構を用いてアーム
８２を鉛直方向に上下移動させるモータ８８から構成さ
れる。 【００１７】前記アーム８２は図１中鉛直方向に配設さ
れると共に、その中間部及び下端部がピン９０、９２を
介して前記リンク８４、８６に枢支される。また、前記
リンク８４、８６はピン９４、９６を介して鏡胴本体１
２に枢支されている。リンク８６の図中右側は扇状に形
成され、その円弧状部にはギヤ９８が刻設されている。
前記ギヤ９８には、モータ８８のギヤ１００が噛合され
る。従って、モータ８８からの駆動力をギヤ１００、及
びギヤ９８を介してリンク８６に伝達すると、アーム８
２はリンク８４、８６の平行運動動作によって上下移動
する。これにより、アーム８２が上昇すると、レンズ枠
体はアーム８２の上端部８２Ａに押され、そして、前記
スプリング７２の付勢力に抗して図中上方向に移動され
る。また、アーム８２が下降すると、レンズ枠体はスプ
リング７２の付勢力によって図中下方向に移動される。 【００１８】リンク８４、８６のピン間距離Ｌは、前記
支持機構３０のピン間距離Ｌ（図２参照）と等しく設定
されている。これにより、双方の平行運動機構の移動軌
跡が一致するので、アーム８２の上端部８２Ａと受部７
４との間の滑りを防止でき、受部７４とアーム８２の摩
耗を防止できる。一方、鏡胴本体１２の側面部には加速
度センサ１０２が固着され、この加速度センサ１０２に
よって、鏡胴本体１２に加わった振動の大きさ及びその
方向が検知される。また、テレビカメラには制御部１０
４が内蔵される。制御部１０４は、加速度センサ１０２
からの情報に基づいて変倍レンズに与えるべき補正移動
量を演算する演算部１０６を有しており、この演算部１
０６で演算された補正移動量を示す信号をモータ８８に
出力する。モータ８８は制御部１０４からの前記信号に
基づいて、像ぶれを補正する方向に像ぶれを補正する量
だけ変倍レンズを移動させる。 【００１９】次に、前記の如く構成されたカメラの防振
用補正レンズの支持構造の作用について説明する。加速
度センサ１０２でカメラぶれが検出されると、その情報
に基づいて前記制御部１０４がモータ８８を作動し、駆
動部８０を駆動して変倍レンズ（例えば変倍レンズ１
８）を、像ぶれを補正する量だけ移動させる。 【００２０】例えば、変倍レンズ１８を図１中上方向に
移動して像ぶれを補正する場合には、モータ８８を時計
回り方向に回転させて駆動部８０のアーム８２をリンク
８４、８６の作用により上昇させる。これにより、変倍
レンズ１８のレンズ枠２８はアーム８２に押され、そし
て、スプリング７２の付勢力に抗して上昇移動するの
で、像ぶれを補正することができる。 【００２１】また、変倍レンズ１８を図１中下方向に移
動して像ぶれを補正する場合には、モータ８８を反時計
回り方向に回転させて駆動部８０のアーム８２をリンク
８４、８６の作用により下降させる。これにより、変倍
レンズ１８のレンズ枠２８はスプリング７２の付勢力に
よって下降移動するので、像ぶれを補正することができ
る。 【００２２】このような変倍レンズ１８の移動時に於い
て、変倍レンズ１８は図２に示したリンク６０、６２に
よる平行運動機構によって移動される。即ち、本実施例
の補正レンズの支持機構３０では、変倍レンズ１８の全
てのポイントにおいて移動量が等しくなるので、図５に
示した従来の支持機構と比較して防振効果を十分に得る
ことができる。 【００２３】図３は、本発明に係るカメラの防振用補正
レンズの支持構造の第２実施例を示す構造図である。同
図に示す支持構造１１０は、補正レンズ１１２を保持し
たレンズ枠体１１４を上下方向から挟むように２本のリ
ンク１１６、１１８を配置したものである。前記リンク
１１６は、図中左端部が図示しない鏡胴本体にピン１２
０を介して枢支され、図中右端部がレンズ枠体１１４の
頂部に形成された舌状部１１４Ａにピン１２２を介して
枢支される。また、リンク１１８は、図中左端部が前記
鏡胴本体にピン１２４を介して枢支され、図中右端部が
レンズ枠体１１４の下部に形成された舌状部１１４Ｂに
ピン１２６を介して枢支される。前記リンク１１６とリ
ンク１１８とは平行で、また各々のピン間距離Ｌが等し
く設定されていることにより、リンク１１６とリンク１
１８とで平行運動機構を成している。 【００２４】従って、前記の如く構成された支持構造１
１０も、第１実施例の支持構造３０（図２参照）と同様
に、補正レンズ１１２の全てのポイントにおいて移動量
が等しくなるので、防振効果を十分に得ることができ
る。図４は、本発明に係るカメラの防振用補正レンズの
支持構造の第３実施例を示す構造図である。 【００２５】同図に示す支持構造１３０は、補正レンズ
１３２を保持したレンズ枠体１３４の左側部にリンク１
３６を連結すると共に、下部にリンク１３８を連結した
ものである。前記リンク１３６は、図中左端部が図示し
ない鏡胴本体にピン１４０を介して枢支され、図中右端
部がレンズ枠体１３４の左側部に形成された舌状部１３
４Ａにピン１４２を介して枢支される。 【００２６】また、リンク１３８は扇状に形成されると
共に、図中左端部が前記鏡胴本体にピン１４４を介して
枢支され、図中中央部がレンズ枠体１３４の下部に形成
された舌状部１３４Ｂにピン１４６を介して枢支され
る。前記リンク１３６とリンク１３８とのピン間距離Ｌ
は等しく設定され、リンク１３６とリンク１３８とで平
行運動機構を成している。 【００２７】また、前記リンク１３８の図中右端部の円
弧状部にはギヤ１４８が形成される。このギヤ１４８は
モータ１５０のギヤ１５２に噛合されている。従って、
モータ１５０の駆動力をギヤ１５２、ギヤ１４８を介し
てリンク１３８に伝達すると、補正レンズ１３２は図４
中鉛直方向に上下移動する。前記の如く構成された支持
構造１３０も、第１、第２実施例の支持構造３０（図２
参照）、１１０（図３参照）と同様に、補正レンズ１３
２の全てのポイントにおいて移動量が等しくなるので、
防振効果を十分に得ることができる。 【００２８】本実施例では、テレビカメラ用撮影レンズ
のエクステンダ装置に適用された補正レンズの支持機構
について説明したが、これに限られるものではなく、カ
メラ一体型ＶＴＲ等のビデオカメラにも適用することが
できる。 【００２９】 【発明の効果】以上説明したように本発明に係るカメラ
の防振用補正レンズの支持構造によれば、補正レンズを
保持した枠体を平行運動機構によってカメラの撮影光軸
に対して直交方向に移動自在に支持したので、防振効果
を十分に得ることができる。

【図面の簡単な説明】 【図１】本発明の第１実施例に係るカメラの防振用補正
レンズの支持構造がエクステンダ装置に適用された正面
図 【図２】図１に示したカメラの防振用補正レンズの支持
構造の拡大図 【図３】本発明に係るカメラの防振用補正レンズの支持
構造の第２実施例を示す構造図 【図４】本発明に係るカメラの防振用補正レンズの支持
構造の第３実施例を示す構造図 【図５】従来のカメラの防振用補正レンズの支持構造の
実施例を示す説明図 【符号の説明】 １０…エクステンダ装置 １２…鏡胴本体 １４、１６、１８、１１２、１３２…変倍レンズ（補正
レンズ） ２４、２６、２８、１１４、１３４…レンズ枠体 ３０、１１０、１３０…支持機構 ６０、６２、１１６、１１８、１３６、１３８…リンク ６４、６６、６８、７０…ピン

Claims (1)

1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項１】像ぶれを補正する補正レンズと、カメラの
   ぶれを検知する像ぶれ検知手段と、この像ぶれ検知手段
   からの情報に基づいて前記補正レンズに与えるべき補正
   移動量を演算する演算部と、この演算部からの情報に基
   づいて像ぶれを補正する方向に前記補正レンズを移動さ
   せる駆動部とを備えたカメラに於いて、 前記補正レンズを保持した枠体は、カメラの撮影光軸と
   直交する方向に配置された２本のリンクを有する平行運
   動機構によって支持されるとともに、該平行運動機構に
   よってカメラの撮影光軸に対して直交方向に移動自在に
   支持されたことを特徴とするカメラの防振用補正レンズ
   の支持構造。