JP3440694B2 - 口腔用組成物 - Google Patents

口腔用組成物

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ムタナーゼを含有
する口腔用組成物に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】口腔中
に存在する細菌であるストレプトコッカス・ミュータン
ス(Streptococcus mutans)やス
トレプトコッカス・ソブリナス(Streptococ
cus sobrinus)等とこれらの菌から産生さ
れる不溶性グルカンからなる歯垢とが、う触形成の要因
の一つと推定されている。う触は、歯垢部位において細
菌に由来する酸が産生し、さらにはそれが歯牙を脱灰す
ることにより生じる。
【0003】その歯垢を除去する手法の一つとして、歯
垢を形成する多糖である不溶性グルカンを酵素を用いて
分解することが有効である。不溶性グルカンは、グルコ
ースが主にα−1,6−グルコシド結合とα−1,3−
グルコシド結合を有するグルカンが複雑にからみあって
形成されているが、従来より、α−1,6−グルコシド
結合を切断するデキストラナーゼ、及び、α−1,3結
合を切断するムタナーゼが、それぞれ歯垢形成抑制効果
を持つことが知られており、これらを単独で配合した口
腔用組成物が提案されている(特許第782154号明
細書、同第1055365号明細書等)。
【0004】また、歯垢に対する作用点の異なるデキス
トラナーゼとムタナーゼとを併用することによって、各
々を単独で用いるよりも高い歯垢形成抑制効果が得られ
ることも知られている(特開昭57−165312号公
報)。
【0005】しかしながら、実際には、これまで上市さ
れているムタナーゼは、ごく一部に限定されており、ま
たムタナーゼを配合した歯磨等の口腔用組成物の製品と
して上市されているムタナーゼ配合組成物もない。何故
ならば、現在上市されているムタナーゼは、歯磨、ある
いは洗口剤などの口腔用組成物中に配合するのに必要な
安定性、例えば耐熱性や組成中での安定性が不十分であ
り、未だかかる製品の安定供給には至っていないからで
ある。
【0006】本発明は上記事情に鑑みなされたもので、
歯垢形成の予防や歯垢の除去に有効で、しかもムタナー
ゼを安定的に配合した歯磨等の口腔用組成物を提供する
ことを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】本
発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を行った
結果、本発明に到達したものである。
【0008】即ち、本発明は、バチルス属に属すると共
に、プロテアーゼ産生が陰性であるムタナーゼ産生微生
物を培養した培養物から採取されるムタナーゼであっ
て、下記の理化学的性質(I−a)〜(V−a)を有す
るムタナーゼ(ムタナーゼAと記す。)を配合してなる
ことを特徴とする口腔用組成物、下記の理化学的性質
(I−b)〜(V−b)を有するムタナーゼ(ムタナー
ゼBと記す。)を配合してなることを特徴とする口腔用
組成物、下記の理化学的性質(I−c)〜(V−c)を
有するムタナーゼC(ムタナーゼCと記す。)を配合し
てなることを特徴とする口腔用組成物を提供する。
【0009】ムタナーゼA: (I−a)基質特異性:ムタンをよく分解する。 (II−a)至適作用pH:ムタンを基質として35℃
で10分間作用させる場合、pH4において作用が至適
であり、pH4〜6の範囲で高い活性を示す。 (III−a)安定pH範囲:25℃で24時間保温す
る場合、pH4〜10の範囲で安定である。 (IV−a)至適温度:ムタンを基質としてpH5で反
応させる場合、温度60℃において作用が至適である。 (V−a)分子量:SDS−ポリアクリルアミドゲル電
気泳動による分子量は約15万である。 さらに、下記理化学的性質も有する。 (VI−a)作用:ムタンのα−1,3−グルコシド結
合を分解する性質を有する。 (VII−a)温度安定性:pH5で10分間熱処理し
た場合、60℃以下で活性は安定であり、75℃で失活
する。 (VIII−a)金属イオンの影響:ムタンを基質とす
る場合、水銀、銀又は3価の鉄により作用が阻害され
る。 (IX−a)阻害剤の影響:ムタンを基質とする場合、
p−クロロマーキュリー安息香酸(PCMB)によって
阻害される。 ムタナーゼB: (I−b)基質特異性:ムタンをよく分解する。 (II−b)至適作用pH:ムタンを基質として35℃
で10分間作用させる場合、pH4.5において作用が
至適であり、pH4〜7の範囲で高い活性を示す。 (III−b)安定pH範囲:25℃で24時間保温す
る場合、pH4〜11の範囲で安定である。 (IV−b)至適温度:ムタンを基質としてpH5で反
応させる場合、温度65℃において作用が至適である。 (V−b)分子量:SDS−ポリアクリルアミドゲル電
気泳動による分子量は約14万である。 さらに、下記理化学的性質も有する。 (VI−b)作用:ムタンのα−1,3−グルコシド結
合を分解する性質を有する。 (VII−b)温度安定性:pH5で10分間熱処理し
た場合、60℃以下で活性は安定であり、75℃で失活
する。 (VIII−b)金属イオンの影響:ムタンを基質とす
る場合、水銀又は銀により作用が阻害される。 (IX−b)阻害剤の影響:ムタンを基質とする場合、
p−クロロマーキュリー安息香酸(PCMB)によって
阻害される。 ムタナーゼC: (I−c)基質特異性:ムタンをよく分解する。 (II−c)至適作用pH:ムタンを基質として35℃
で10分間作用させる場合、pH4.5において作用が
至適であり、pH4〜5の範囲で高い活性を示す。 (III−c)安定pH範囲:25℃で24時間保温す
る場合、pH4〜10の範囲で安定である。 (IV−c)至適温度:ムタンを基質としてpH5で反
応させる場合、温度50℃において作用が至適である。 (V−c)分子量:SDS−ポリアクリルアミドゲル電
気泳動による分子量は約16万である。 さらに、下記理化学的性質も有する。 (VI−c)作用:ムタンのα−1,3−グルコシド結
合を分解する性質を有する。 (VII−c)温度安定性:pH5で10分間熱処理し
た場合、50℃以下で活性は安定である。 (VIII−c)金属イオンの影響:ムタンを基質とす
る場合、水銀又は銀により作用が阻害される。 (IX−c)阻害剤の影響:ムタンを基質とする場合、
p−クロロマーキュリー安息香酸(PCMB)によって
阻害される。
【0010】本発明の口腔用組成物によれば、上記ムタ
ナーゼの優れた歯垢形成阻止作用、歯垢除去作用によ
り、高いう蝕予防効果を発揮する。
【0011】この場合、上記ムタナーゼにデキストラナ
ーゼを併用することにより、更に優れた歯垢形成阻止効
果を与える。
【0012】以下、本発明につき更に詳しく説明する
と、本発明の口腔用組成物は、特定のムタナーゼを含有
してなるものである。
【0013】ここで、口腔用組成物としては、練歯磨、
粉歯磨、液状歯磨等の歯磨剤、洗口剤、マウスウォッシ
ュ、歯肉マッサージクリーム、口腔用パスタ、うがい用
錠剤、義歯洗浄剤、チューインガム、トローチ等として
調製され、ペースト状、固体状、液状等のいずれの形態
であってもよい。
【0014】本発明において、ムタナーゼとしては、バ
チルス属に属すると共に、プロテアーゼ産生が陰性であ
るムタナーゼ産生微生物を培養した培養物から採取され
るムタナーゼを使用する。この種のムタナーゼを使用す
ることにより、効果的に歯垢を分解し、う蝕予防効果に
優れた口腔用組成物を得ることができると共に、この種
のムタナーゼは口腔用組成物に安定に配合される。
【0015】上記ムタナーゼ産生微生物は、グラム染色
性が陰性のもの又は陽性であるが脱色され易いものが好
ましい。
【0016】このようなムタナーゼ産生微生物として
は、下記第1〜第3のムタナーゼ産生微生物を挙げるこ
とができるが、これらに限定されるものではなく、上記
性状を有するものであればいずれのものであってもよ
い。
【0017】これら第1〜第3のムタナーゼ産生微生物
は、いずれも自然界より分離採取したものであり、バチ
ルス属に属すると共に、プロテアーゼ産生が陰性である
ことで共通している。
【0018】この場合、第1及び第2のムタナーゼ産生
微生物は、更にグラム染色性が陰性であることを特徴と
し、第1のムタナーゼ産生微生物は生育pHが5〜8.
5であり、第2のムタナーゼ産生微生物は生育pHが5
〜7.5であり、特に上記(1)〜(9)の特性を有す
るムタナーゼを産生するという特性により、他のムタナ
ーゼ産生微生物と差別化される。その菌株の菌学的性質
は以下の通りである。ここで、下記説明において、第1
のムタナーゼ産生微生物と第2のムタナーゼ産生微生物
とで相違がある点は注記し、注記がない性質は両者で共
通する。
【0019】なお、菌学的性質及び分類方法は ヴァー
ジズ マニュアル オブ システマチック バクテリオ
ロジー(Bergey’s Manual of Sy
stematic Bacteriology)(19
84)、ザ ジーナス バチルス(The Genus
Bacillus)(1973)に準じて行った。
【0020】A.形態的性質 肉汁寒天培地上で40℃にて2日間培養したとき、以下
の形態的特徴が観察される。 (1)細胞の形及び大きさ:桿菌であり、大きさは0.
6〜1μm×3〜4μmである。 (2)多形性:なし。 (3)運動性:周鞭毛、運動性あり。 (4)胞子:胞子を形成し、胞子の形は楕円形で、その
部位は中立〜亜端立で胞子嚢の膨潤が認められる。胞子
の大きさは1μm×1.2〜1.7μmである。 (5)グラム染色性:陰性である。 (6)抗酸性:陰性である。
【0021】B.培養的性質 (1)肉汁寒天平板培養:円形、扁平状、全縁のコロニ
ーを形成する。該コロニーは、第1のムタナーゼ産生微
生物は中心部が乳白色〜クリーム色、周辺部が半透明の
乳白色〜クリーム色であり、第2のムタナーゼ産生微生
物は中心部が乳白色、周辺部外側が半透明の乳白色であ
り、両者はいずれも光沢があり、粘質である。 (2)肉汁寒天斜面培養:拡帯状に生育し、白色〜クリ
ーム色のコロニーを形成する。 (3)肉汁液体培養:生育するが、菌膜は形成しない。 (4)肉汁ゼラチン穿刺培養:生育しているが、液化し
ない。 (5)リトマス・ミルク:変色しない。液化しない。
【0022】C.生理学的性質 (1)硝酸塩の還元:陰性 (2)脱窒反応:陰性 (3)MRテスト:陰性 (4)VPテスト:陰性 (5)VPブロスのpH:第1のムタナーゼ産生微生物
は6.37、第2のムタナーゼ産生微生物は6.98 (6)インドールの生成:検出せず。 (7)硫化水素の生成:検出せず。 (8)デンプンの加水分解:陽性 (9)クエン酸の利用:シモンズ(Simmons)培
地では利用しない。クリステンセン(Christen
sen)培地では利用しない。 (10)無機窒素源の利用:硝酸塩は利用する。アンモ
ニウム塩は利用する。 (11)色素の生成:陰性 (12)ウレアーゼ:陰性 (13)オキシダーゼ:第1のムタナーゼ産生微生物は
陽性、第2のムタナーゼ産生微生物は微弱 (14)カタラーゼ:陽性 (15)生育の範囲:第1のムタナーゼ産生微生物はp
H5〜8.5、25〜60℃で生育する。第2のムタナ
ーゼ産生微生物はpH5〜7.5、25〜53℃で生育
する。 (16)酸素に対する態度:好気性 (17)O−Fテスト:好気的に分解 (18)糖類から酸及びガスの生成:下記表1に示す通
りである。なお、表1において、「+」は酸又はガスを
生成することを示し、「−」は酸又はガスを生成しない
ことを示す。
【0023】
【表1】
【0024】D.その他の性質 (1)塩化ナトリウムの耐性:寒天培地において、2%
塩化ナトリウム存在下で生育し、5%塩化ナトリウム存
在下では生育しない。 (2)嫌気下での生育:陰性 (3)カゼイン分解:陰性 (4)プロピオン酸塩の利用:陰性 (5)pH6.8での生育:陽性 (6)pH5.7での生育:陽性 (7)クリスタル形成:陰性 (8)プロテアーゼ産生:陰性
【0025】一方、第3のムタナーゼ産生微生物は、グ
ラム染色性が陽性であるが、脱色されやすい性質を示す
ことを特徴とし、特に上記(1)〜(9)の特性を有す
るムタナーゼを産生するという特性により他のムタナー
ゼ産生微生物と差別化される。その菌株の菌学的性質は
以下の通りである。
【0026】A.形態的性質 肉汁寒天培地上で30℃にて2日間培養したとき、以下
の形態的特徴が観察される。 (1)細胞の形及び大きさ:桿菌であり、大きさは1〜
2μm×4〜6μmである。 (2)多形性:なし。 (3)運動性:周鞭毛、運動性あり。 (4)胞子:胞子を形成し、胞子の形は楕円形で、その
部位は中立〜亜端立で胞子嚢の膨潤が認められる。胞子
の大きさは1〜1.5μm×2〜3μmである。 (5)グラム染色性:陽性、但し脱色されやすい。 (6)抗酸性:陰性である。
【0027】B.培養的性質 (1)肉汁寒天平板培養:円形、扁平状、全縁のコロニ
ーを形成する。該コロニーは、白色で光沢はない。 (2)肉汁寒天斜面培養:拡帯状に生育し、白色〜クリ
ーム色のコロニーを形成する。 (3)肉汁液体培養:生育するが、菌膜は形成しない。 (4)肉汁ゼラチン穿刺培養:生育するが、液化しな
い。 (5)リトマス・ミルク:変色しない。液化も凝固もし
ない。
【0028】C.生理学的性質 (1)硝酸塩の還元:陽性 (2)脱窒反応:陰性 (3)MRテスト:陰性 (4)VPテスト:陰性 (5)VPブロスのpH:5.8 (6)インドールの生成:検出せず。 (7)硫化水素の生成:検出せず。 (8)デンプンの加水分解:微弱 (9)クエン酸の利用:シモンズ(Simmons)培
地では利用しない。クリステンセン(Christen
sen)培地では利用しない。 (10)無機窒素源の利用:硝酸塩はわずかに利用す
る。アンモニウム塩は利用する。 (11)色素の生成:陰性 (12)ウレアーゼ:陰性 (13)オキシダーゼ:陽性 (14)カタラーゼ:陰性 (15)生育の範囲:pH6〜8で生育する。20〜3
3℃で至適に生育する。 (16)酸素に対する態度:好気性 (17)O−Fテスト:好気的に分解 (18)糖類から酸及びガスの生成:下記表2に示す通
りである。なお、表2において、「+」は酸又はガスを
生成することを示し、「−」は酸又はガスを生成しない
ことを示し、「±」は微弱に生成することを示す。
【0029】
【表2】
【0030】D.その他の性質 (1)塩化ナトリウムの耐性:寒天培地において、2%
塩化ナトリウム存在下では生育しない。 (2)嫌気下での生育:陰性 (3)カゼイン分解:陰性 (4)プロピオン酸塩の利用:陰性 (5)pH6.8での生育:陽性 (6)pH5.7での生育:陽性 (7)クリスタル形成:陰性 (8)プロテアーゼ産生:陰性 (9)GC含量:56% 次に、上記ムタナーゼ産生微生物の菌株と公知の菌株と
の相違を述べる。公知のムタナーゼ産生微生物として、
細菌のシュードモナス属、フラボバクテリウム属、バチ
ルス属、放線菌のストレプトミセス属、かびのトリコデ
ルマ属、アスペルギルス属などが知られている。
【0031】まず、上記ムタナーゼ産生微生物と同じバ
チルス属の菌株バチルス・サーキュランス(Bacil
lus circulans) BC−8(以下、BC
−8菌という)(特開昭63−301788号公報)に
ついて述べると、第1及び第2のムタナーゼ産生微生物
はグラム染色性が陰性であるのに対し、BC−8菌は陽
性である。また、第1及び第2のムタナーゼ産生微生物
は胞子の部位が中立〜亜端立であるのに対し、BC−8
菌では亜端立である。更に、第1及び第2のムタナーゼ
産生微生物は5%NaClの生育性が陰性であるのに対
し、BC−8菌は陽性である。第1及び第2のムタナー
ゼ産生微生物はL−アラビノースからの酸産生が陽性で
あるのに対し、BC−8菌は陰性であり、第1及び第2
のムタナーゼ産生微生物はD−キシロースからの酸産生
が陽性であるのに対し、BC−8菌は陰性である。第1
及び第2のムタナーゼ産生微生物は45℃の生育性が陽
性であるのに対し、BC−8菌は陰性である。
【0032】第3のムタナーゼ産生微生物はグラム染色
性が一応は陽性を示すものの、脱色されやすい性質を示
すのに対し、BC−8菌は陽性である。そして、第3の
ムタナーゼ産生微生物は運動性があり、胞子の部位が中
立〜亜端立であるのに対し、BC−8菌は運動性がな
く、胞子の部位が亜端立である。また、第3のムタナー
ゼ産生微生物はカタラーゼが陰性で、硝酸塩還元が陽性
であるのに対し、BC−8菌はカタラーゼが陽性で、硝
酸塩還元が陰性である。更に、第3のムタナーゼ産生微
生物は5%NaClの生育性が陰性であるのに対し、B
C−8菌は陽性である。第3のムタナーゼ産生微生物は
D−キシロースからの酸産生が微弱であるのに対し、B
C−8菌は陰性である。第3のムタナーゼ産生微生物は
GC含量が56%であるのに対し、BC−8菌では4
9.5%である。
【0033】一方、第1〜第3のムタナーゼ産生微生物
と同じバチルス属に属するバチルス・サーキュランス
(Bacillus circulans) FERM
−P4765株(以下、FERM−P4765株とい
う)(特開昭55−88693号公報)は、菌株の菌学
的性質が不明であるが、第1のムタナーゼ産生微生物の
菌株が産生するムタナーゼは、分子量が約15万であ
り、至適温度が60℃、至適pHが4であり、第2のム
タナーゼ産生微生物の菌株が産生するムタナーゼは、分
子量が約14万であり、至適温度が65℃、至適pHが
4.5であるのに対し、FERM−P4765株が産生
するムタナーゼは、分子量7万以上で至適温度が30〜
40℃、至適pHが6.2〜6.7であることから、第
1及び第2のムタナーゼ産生微生物はFERM−P47
65株とは差別化される。
【0034】また、第3のムタナーゼ産生微生物の菌株
が産生するムタナーゼは、分子量が約16万であり、至
適温度が50℃、至適pHが4.5付近であるのに対
し、FERM−P4765株が産生するムタナーゼは、
分子量7万以上であり、至適温度が30〜40℃、至適
pHが6.2〜6.7であることから、第3のムタナー
ゼ産生微生物はFERM−P4765株とは差別化され
る。
【0035】更に、特開昭52−34980号公報に記
載されたムタナーゼ産生微生物はストレプトミセス属に
属し、特開昭50−145583号公報に記載されたム
タナーゼ産生微生物はフラボバクテリウム属に属するも
のであり、特開昭47−9743号公報に記載されたム
タナーゼ産生微生物はトリコデルマ・ハルジアヌム、ペ
ニシリウム・リラシヌム、ペニシリウム・フニクロサ
ム、ペニシリウム・メリニイ及びペニシリウム・ヤンシ
ネルムであることから、第1〜第3のムタナーゼ産生微
生物はこれらの公知のムタナーゼ産生微生物と差別化さ
れる。
【0036】以上の点から、第1〜第3のムタナーゼ産
生微生物の菌株は公知の菌株とは相違するものである。
【0037】本発明者らは新規な第1のムタナーゼ産生
微生物であるバチルス・エスピー(Bacillus
sp.)RM1株(以下、RM1株という)を工業技術
院生命工学工業技術研究所へ生命研菌寄第14836号
(FERM P−14836)として寄託した。このR
M1株は上記菌学的性質を有するものである。なお、こ
の菌株を分離した土壌の採取場所は神奈川県中郡二宮町
であり、土壌の採取は1994年に行った。
【0038】また、本発明者らは新規な第2のムタナー
ゼ産生微生物であるバチルス・エスピー(Bacill
us sp.)RM4株(以下、RM4株という)を工
業技術院生命工学工業技術研究所へ生命研菌寄第148
37号(FERM P−14837)として寄託した。
このRM4株は上記菌学的性質を有するものである。な
お、この菌株を分離した土壌の採取場所は群馬県草津温
泉であり、土壌の採取は1994年に行った。
【0039】更に、本発明者らは新規な第3のムタナー
ゼ産生微生物であるバチルス・エスピー(Bacill
us sp.)M7株(以下、M7株という)を工業技
術院生命工学工業技術研究所へ生命研菌寄第14835
号(FERM P−14835)として寄託した。この
M7株は上記菌学的性質を有するものである。なお、こ
の菌株を分離した土壌の採取場所は新潟県見王不動であ
り、土壌の採取は1993年に行った。
【0040】そして、上記RM1株及びRM4株は、次
に述べるスクリーニング法により自然界より分離採取さ
れるものである。
【0041】スパテル1杯の土壌を5mlの滅菌した生
理食塩水に懸濁し、その懸濁液100μlをムタンを加
えた寒天培地に塗布する。45℃で3〜5日培養し、コ
ロニー周辺に透明な分解帯を生じたものをムタナーゼ産
生微生物として分離し、培養して得られる酵素の特性を
検討することによって優れた歯垢除去能と安定性とを有
するRM1株、RM4株を選抜した。
【0042】このRM1株、RM4株を天然又は合成培
地に接種して、通常の培養条件により培養することによ
りムタナーゼが産生されるが、培地としては、通常、炭
素源、窒素源、無機塩等の微生物の生育に必要な成分を
含んだものが好適であり、培地の栄養源としては微生物
一般に用いられるものを使用することができ、このよう
な栄養源は、例えば炭素源としてグルコース,イノシト
ール,フルクトース,ムタン,デンプン等が、窒素源と
してペプトン,大豆粉,酵母エキス等が、無機塩として
リン酸,ナトリウム,カリウム,マグネシウム等の塩類
を挙げることができ、これらを一種単独で又は二種以上
を適宜組み合わせて使用するが、これらの中でも、特に
イノシトール、ムタン、ペプトン、リン酸塩等が好適に
使用される。培養液のpHは第1のムタナーゼ産生微生
物の場合は5〜8.5が好ましく、第2のムタナーゼ産
生微生物の場合は5〜7.5が好ましく、いずれも特に
pH7とすると好適である。また、培養温度は35〜4
8℃が好ましく、特に40℃が好適である。培養時間
は、培養条件によって異なるが、通常1〜3日が好まし
い。
【0043】一方、上記M7株は、次に述べるスクリー
ニング法により自然界より分離採取されるものである。
【0044】スパテル1杯の土壌を5mlの滅菌した生
理食塩水に懸濁し、その懸濁液100μlをムタンを加
えた寒天培地に塗布する。まず、30℃で3〜5日培養
し、その後、コロニー周辺に透明な分解帯を生じたもの
をムタナーゼ産生微生物として分離し、培養して得られ
る酵素の特性を検討することによって優れた歯垢除去能
と安定性とを有するM7株を選抜した。
【0045】このM7株を天然又は合成培地に接種し
て、通常の培養条件により培養することによりムタナー
ゼが産生されるが、培地としては、通常、炭素源、窒素
源、無機塩等の微生物一般に用いられるものを使用する
ことができ、このような栄養源は、例えば炭素源として
イノシトール,ガラクトース,ムタン等が、窒素源とし
てペプトン,ポリペプトン,大豆粉,酵母エキス等が、
無機塩としてリン酸,ナトリウム,カリウム,マグネシ
ウム等の塩類を挙げることができ、これらを一種単独で
又は二種以上を適宜組み合わせて使用するが、これらの
中でも特にイノシトール、ムタン、ポリペプトン、リン
酸塩等が好適に使用される。培養基のpHは6〜8が好
ましく、特にpH7とすると好適である。また、培養温
度は20〜33℃が好ましく、特に30℃が好適であ
る。培養時間は、培養条件によって異なるが、通常1〜
3日が好ましい。
【0046】次いで、以上のように十分にムタナーゼが
産生された上記各菌株の培養液から遠心分離等により菌
体等を取り除いた上清を本発明のムタナーゼの粗酵素液
として得る。この粗酵素液は、このままでも使用するこ
とはできるが、更に、公知の分離精製方法、例えば限外
濾過膜濃縮法、減圧濃縮法、硫安等による塩析法、エタ
ノール等による分画法、等電点沈殿法、カラムクロマト
分画法などを、単独で又は適宜組み合わせることによっ
て精製酵素液とすると好適である。なお、この精製処理
は、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動によって
単一バンドにまで精製されていることが確認できるまで
行うことが望ましい。
【0047】なお、本発明のムタナーゼの産生には、上
記菌株以外にも、上記各菌株の変異株や該ムタナーゼ遺
伝子を持つ組換え微生物を用いることができる。
【0048】以上の通り、本発明で配合するムタナーゼ
としては、上記ムタナーゼ産生微生物を培養して得られ
るものであるが、別の観点からいえば、ムタナーゼとし
て具体的には、下記の理化学的性質を有するものを使用
することができる。 (1)作用:ムタンのα−1,3−グルコシド結合を分
解する性質を有する。 (2)基質特異性:ムタンをよく分解する。 (3)至適作用pH:ムタンを基質として35℃で10
分間作用させる場合、pH4〜4.5の範囲において至
適作用pHをもつ。 (4)安定pH範囲:25℃で24時間保温する場合、
少なくともpH4〜10の範囲で安定である。 (5)至適温度:ムタンを基質としてpH5で反応させ
る場合、温度50〜65℃の範囲において至適温度をも
つ。 (6)温度安定性:pH5で10分間熱処理した場合、
少なくとも50℃以下で活性は安定である。 (7)金属イオンの影響:ムタンを基質とする場合、水
銀又は銀により作用が阻害される。 (8)阻害剤の影響:ムタンを基質とする場合、p−ク
ロロマーキュリー安息香酸(PCMB)によって阻害さ
れる。 (9)分子量:SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳
動による分子量は約14万〜約16万の範囲である。
【0049】なお、上記性質において基質として用いら
れているムタンは、公知の方法により得られるものであ
り、例えば、ストレプトコッカス・ミュータンス又はス
トレプトコッカス・ソブリナスの培養により産生された
不溶性グルカンのα−1,6−グルコシド結合をデキス
トラナーゼで切断して得られるものである。
【0050】好適なムタナーゼとしては、上記第1のム
タナーゼ産生微生物が産生するムタナーゼ(下記の性状
を有するムタナーゼA)、第2のムタナーゼ産生微生物
が産生するムタナーゼ(下記の性状を有するムタナーゼ
B)、第3のムタナーゼ産生微生物が産生するムタナー
ゼ(下記の性状を有するムタナーゼC)を挙げることが
できる。
【0051】ムタナーゼA (1)作用:ムタンのα−1,3−グルコシド結合を分
解する性質を有する。 (2)基質特異性:ムタンをよく分解する。 (3)至適作用pH:ムタンを基質として35℃で10
分間作用させる場合、pH4において作用が至適であ
り、pH4〜6の範囲で高い活性を示す。 (4)安定pH範囲:25℃で24時間保温する場合、
pH4〜10の範囲で安定である。 (5)至適温度:ムタンを基質としてpH5で反応させ
る場合、温度60℃において作用が至適である。 (6)温度安定性:pH5で10分間熱処理した場合、
60℃以下で活性は安定であり、75℃で失活する。 (7)金属イオンの影響:ムタンを基質とする場合、水
銀、銀又は3価の鉄により作用が阻害される。 (8)阻害剤の影響:ムタンを基質とする場合、p−ク
ロロマーキュリー安息香酸(PCMB)によって阻害さ
れる。 (9)分子量:SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳
動による分子量は約15万である。
【0052】ムタナーゼB (1)作用:ムタンのα−1,3−グルコシド結合を分
解する性質を有する。 (2)基質特異性:ムタンをよく分解する。 (3)至適作用pH:ムタンを基質として35℃で10
分間作用させる場合、pH4.5において作用が至適で
あり、pH4〜7の範囲で高い活性を示す。 (4)安定pH範囲:25℃で24時間保温する場合、
pH4〜11の範囲で安定である。 (5)至適温度:ムタンを基質としてpH5で反応させ
る場合、温度65℃において作用が至適である。 (6)温度安定性:pH5で10分間熱処理した場合、
60℃以下で活性は安定であり、75℃で失活する。 (7)金属イオンの影響:ムタンを基質とする場合、水
銀又は銀により作用が阻害される。 (8)阻害剤の影響:ムタンを基質とする場合、p−ク
ロロマーキュリー安息香酸(PCMB)によって阻害さ
れる。 (9)分子量:SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳
動による分子量は約14万である。
【0053】ムタナーゼC (1)作用:ムタンのα−1,3−グルコシド結合を分
解する性質を有する。 (2)基質特異性:ムタンをよく分解する。 (3)至適作用pH:ムタンを基質として35℃で10
分間作用させる場合、pH4.5において作用が至適で
あり、pH4〜5の範囲で高い活性を示す。 (4)安定pH範囲:25℃で24時間保温する場合、
pH4〜10の範囲で安定である。 (5)至適温度:ムタンを基質としてpH5で反応させ
る場合、温度50℃において作用が至適である。 (6)温度安定性:pH5で10分間熱処理した場合、
50℃以下で活性は安定である。 (7)金属イオンの影響:ムタンを基質とする場合、水
銀又は銀により作用が阻害される。 (8)阻害剤の影響:ムタンを基質とする場合、p−ク
ロロマーキュリー安息香酸(PCMB)によって阻害さ
れる。 (9)分子量:SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳
動による分子量は約16万である。
【0054】以下、これらムタナーゼA〜Cの性状を更
に具体的に説明する。 (1)酵素作用 ムタナーゼ(α−1,3−グルカナーゼ)にはそのグル
コシド結合の切断パターンから、末端より切断するエキ
ソ型とランダムに切断するエンド型が存在するが、本発
明のムタナーゼA〜Cは、ムタンのα−1,3−グルコ
シド結合をエンド型に分解する性質を有するものと推定
される。
【0055】即ち、100μlの3%ムタンに50μl
の本発明のムタナーゼ又はムタンのα−1,3−グルコ
シド結合をエキソ型に分解するノボザイム234(商品
名:ノボ社製、トリコデルマ・ハルジアヌム菌由来)を
加えて、37℃において20時間保温して反応させ、そ
の後、反応生成物を遠心分離して得られる上清を薄層板
にスポットして展開(1−ブタノール:イソプロパノー
ル:水=4:7:1)し、その薄層板に濃硫酸を噴霧
し、100℃で5分間加熱することにより、上記反応に
より産生する糖類をTLCによって分析する。この場
合、本発明のムタナーゼのムタン分解物は、ランダムに
分解され、グルコースより低い移動度の位置に帯状の長
いスポットが検出されるのに対し、ノボザイム234の
ムタン分解物は、グルコースのスポットを示すことか
ら、本発明のムタナーゼA〜Cは基質をランダムに分解
するエンド型の酵素と推定される。
【0056】(2)基質特異性 本発明のムタナーゼA〜Cはムタンをよく分解する。即
ち、本発明のムタナーゼA〜Cの溶液(500単位/m
l)100μlに対し、表3に示す各基質溶液100μ
l(1%溶液)を30分間反応させ、還元糖量を以下に
示す酵素活性の測定法に準じて検出すると表3に併記す
る結果を示す。なお、表3における相対水解度は、ムタ
ナーゼのムタン分解に対する遊離の還元量を100とし
た場合の各基質の還元糖量の相対値を意味する。
【0057】酵素活性の測定法 100μlのムタナーゼ溶液を100μlの3%ムタン
(0.1M酢酸緩衝液、pH5)に加えて、35℃で1
0分間反応させる。この間、100回/分で振とうす
る。0.4mlのDNS溶液(4,6−ジニトロサリチ
ル酸)で反応を停止し、遠心分離を行い、上清を0.5
ml試験管に移して、ガラス玉を載せて100℃で10
分間加熱する。流水中で5分間冷却し、4mlの蒸留水
で希釈してOD530の吸光度を測定する。0〜90μg
のグルコース標準液の検量線から力価を求める。1分間
に1μgの還元糖を生じさせる酵素量を1単位と定義す
る。なお、以下の理化学的諸性質における酵素活性はこ
の方法により測定するものである。
【0058】
【表3】
【0059】(3)至適作用pH 本発明のムタナーゼは、下記の各緩衝液で各pHに調整
した3%ムタンに本発明のムタナーゼを50単位/ml
となるように加え、35℃で10分間反応させ、活性を
測定し、至適pHでの活性を100%とするときの各p
Hでの相対活性を求める場合、ムタナーゼAは、図1に
示すように、pH4において作用が至適であり、pH4
〜7、特にpH4〜6の範囲で高い活性を示す。また、
ムタナーゼBは、図2に示すように、pH4.5におい
て作用が至適であり、特にpH4〜7の範囲で高い活性
を示す。ムタナーゼCは、図3に示すように、pH4.
5において作用が至適であり、pH4〜6、特にpH4
〜5の範囲で高い活性を示す。緩衝液 pH3〜7 :クエン酸−Na2HPO4緩衝液 pH6〜8 :NaH2PO4−Na2HPO4緩衝液 pH9〜10 :グリシン−NaOH緩衝液 pH10〜11:Na2HPO4−NaOH緩衝液
【0060】(4)安定pH範囲 本発明のムタナーゼは、20mMの上記各緩衝液中に本
発明のムタナーゼを300単位/mlとなるように加
え、25℃で24時間インキュベートした後、活性を測
定し、インキュベート前の活性を100%として各pH
での相対的活性を求めると、ムタナーゼAは、図4に示
すように、pH4〜10の範囲でほぼ100%の残存活
性率を示し、pH3、pH11の場合であっても90%
以上の残存活性率を示す。また、ムタナーゼBは、図5
に示すように、pH3〜11の範囲でほぼ100%の残
存活性率を示す。ムタナーゼCは、図6に示すように、
pH4〜10の範囲でほぼ100%の残存活性率を示
し、pH11の場合は70%以上、pH3の場合には4
0%以上の残存活性率を示す。
【0061】(5)至適温度 本発明のムタナーゼは、基質となるムタンを溶液全体に
対して3%含有するpH5の20mM酢酸緩衝液に本発
明のムタナーゼ酵素を50単位/mlとなるように加
え、10分間各温度で反応させ、35℃での活性を10
0%として各温度での相対活性を求める場合、ムタナー
ゼAは、図7に示すように、温度60℃において作用が
至適であり、ムタナーゼBは、図8に示すように、温度
65℃において作用が至適であり、ムタナーゼCは、図
9に示すように、温度50℃において作用が至適であ
る。
【0062】(6)温度安定性 本発明のムタナーゼは、20mM酢酸緩衝液(pH5)
に透析した300単位/mlの本発明のムタナーゼを加
え、各温度で10分間熱処理し、氷冷した後、熱処理前
の酵素活性を100%として残存活性率を求める場合、
ムタナーゼAは、図10に示すように、65℃で残存活
性率は30%となり、75℃で失活するが、30〜60
℃の残存活性率は100%である。また、ムタナーゼB
は、図11に示すように、65℃で残存活性率は約85
%となり、75℃で失活するが、30〜60℃の残存活
性率は100%である。更に、ムタナーゼCは、図12
に示すように、55℃で残存活性率は22%となるが、
30〜50℃の範囲で100%の残存活性率を示す。
【0063】(7)金属イオンの影響 本発明のムタナーゼは、50mM酢酸緩衝液(pH5)
を使用して本発明のムタナーゼが50単位/mlとなる
ように調製し、これに各種金属塩を最終濃度が1mM濃
度になるように添加し、35℃で30分間保温処理し、
処理後の各溶液の活性を測定し、金属塩無添加の活性を
100%として各種金属塩を添加した溶液における相対
活性を求めると、表4に示すように、ムタナーゼAは水
銀、銀又は3価の鉄を添加することにより、ムタナーゼ
B,Cは水銀又は銀を添加することにより、ムタナーゼ
の酵素活性が阻害されることが認められる。
【0064】
【表4】
【0065】(8)阻害剤の影響 本発明のムタナーゼは、50mM酢酸緩衝液(pH5)
を使用して本発明のムタナーゼが50単位/mlとなる
ように調製し、これに各種阻害剤を最終濃度が1mM濃
度になるように添加し、35℃で30分間保温処理した
後に、各溶液の残存活性を測定し、阻害剤無添加の活性
を100%として各溶液の相対活性を求めると、表5に
示すように、p−クロロマーキュリー安息香酸(PCM
B)の添加により、酵素活性が特に強く阻害されること
が認められる。
【0066】
【表5】
【0067】(9)分子量 本発明のムタナーゼは、5〜20%ポリアクリルアミド
グラジエントゲル(バイオラッド(株)製のレディーメ
イドゲル)を用いて40mAで1時間泳動し、標準タン
パクとしてシグマ・マーカー・ハイレンジ(シグマ社
製)を用いるSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動
により精製した酵素タンパクの分子量を求める場合、ム
タナーゼAの分子量は約15万、ムタナーゼBの分子量
は約14万、ムタナーゼCの分子量は約16万であると
算定される。
【0068】なお、本発明のムタナーゼは、上記理化学
的性質を有する限りその産生方法は制限されず、上述し
たようにRM1株、RM4株、M7株等から産生された
ものに限られることなく、例えばRM1株、RM4株、
M7株から産生されたムタナーゼに化学的修飾又は遺伝
子組換え等により、より安定且つ有効な酵素に改質した
ものも含まれる。
【0069】本発明のムタナーゼは、上記のような理化
学的性質を備えるものであり、公知のムタナーゼと比較
すると、本発明のムタナーゼA〜Cと上記ノボザイム2
34とはムタンのα−1,3−グルコシド結合の切断パ
ターンが相違する。そして、本発明のムタナーゼAは至
適pHがpH4、至適温度が60℃、ムタナーゼBは至
適温度が65℃、ムタナーゼCの安定pH領域はpH4
〜10(25℃,24時間)で、分子量が約16万であ
るのに対し、上記BC−8菌由来のムタナーゼは至適p
H4.5、至適温度が45〜50℃、安定pH領域はp
H7.0〜9.0、分子量が約18万である。また、上
述したように、本発明のムタナーゼAは分子量が約15
万、至適温度が60℃、至適pHが4であり、ムタナー
ゼBは分子量が約14万、至適温度が65℃、至適pH
が4.5であり、ムタナーゼCは分子量が約16万、至
適温度が50℃、至適pHが4.5であるのに対し、上
記FERM−P4765株由来のムタナーゼは分子量7
万以上で至適温度が30〜40℃、至適pHが6.2〜
6.7である。更に、特開昭52−34980号、同5
0−145583号又は同47−9743号公報に記載
されたムタナーゼは、それぞれストレプトミセス属又は
フラボバクテリウム属に属する微生物又はトリコデルマ
・ハルジアヌム、ペニシリウム・リラシヌム、ペニシリ
ウム・フニクロサム、ペニシリウム・メリニイ及びペニ
シリウム・ヤンシネルムにより産生されたものであり、
例えば特開昭52−34980号公報のムタナーゼは至
適pHが5.5、安定pH領域が5〜7、特開昭50−
145583号公報のムタナーゼは至適pHが6.0、
安定pH領域が5.0〜7.0であり、その理化学的性
質は多くの点で相違する。なお、特開昭47−9743
号公報に記載されたムタナーゼの理化学的性質は不明で
ある。
【0070】本発明の口腔用組成物における上記ムタナ
ーゼの配合量は、通常、口腔用組成物1g当たり1〜5
0000単位であり、より好ましくは10〜10000
単位である。1単位より少ないと、ムタナーゼのう蝕予
防効果が十分発揮されない場合があり、50000単位
を超えると口腔用組成物の使用感に悪影響を与える場合
がある。
【0071】ここで、ムタナーゼ1単位とは、ムタンを
基質として反応を行った場合に、1分間当たりにグルコ
ース1μgに相当する遊離還元糖を生じる酵素量をい
う。また、ここでいうムタンとは、ストレプトコッカス
・ミュータンス(Streptococcus mut
ans)6715株が産生する不溶性グルカン(α−
1,3及びα−1,6結合)にデキストラナーゼを作用
させて得られる水不溶性の白色粉末である(Carbo
hydrate Research,38巻,1974
年)。
【0072】本発明において、上記ムタナーゼは、それ
単独でも、また必要に応じ他の酵素類、例えばデキスト
ラナーゼ、アミラーゼ、リゾチーム、プロテアーゼ、溶
菌酵素などと併用して用いてもよいが、特にデキストラ
ナーゼと併用した場合、本発明のムタナーゼとデキスト
ラナーゼとの作用で優れた歯垢形成抑制作用を発揮す
る。
【0073】この場合、デキストラナーゼとしては公知
のものを使用することができ、例えばケトミウム属(C
haetomiun sp.)由来のものなどを使用す
ることができる。デキストラナーゼを配合する場合、そ
の配合量は、通常、口腔用組成物1g当たり10〜50
000単位であり、より好ましくは200〜20000
単位であることが望ましい。100単位より少ないと、
デキストラナーゼの歯垢形成抑制効果が十分得られない
場合があり、50000単位を超えると口腔用組成物の
使用感に悪影響を与える場合がある。
【0074】ここで、デキストラナーゼ1単位とは、デ
キストランを基質として反応を行った場合に、1分間当
たりグルコース1μgに相当する遊離還元糖を生じる酵
素量をいう。
【0075】本発明の口腔用組成物には、その組成物の
適用態様、剤型などに応じた公知の成分を配合すること
ができる。
【0076】例えば歯磨剤の場合は、以下のような研磨
剤、粘結剤、粘稠剤、界面活性剤、甘味剤、香料、防腐
剤、着色剤等を配合することができる。
【0077】研磨剤としては、酸化アルミニウム、水酸
化アルミニウム、第2リン酸カルシウム・2水和物及び
無水物、シリカ系研磨剤、炭酸カルシウム、ピロリン酸
カルシウム、ケイ酸アルミニウム、不溶性メタリン酸ナ
トリウム、第3リン酸マグネシウム、硫酸カルシウム、
合成樹脂等の1種又は2種以上を、通常、組成物全体の
10〜90%(重量%、以下同じ)、特に練歯磨の場合
は10〜60%の配合量で配合し得る。なお、本発明で
は、シリカ系研磨剤を上記研磨剤として使用することが
好ましく、これによりムタナーゼの有効性を更に確実に
向上させることができる。シリカ系研磨剤としては、例
えば沈降性シリカ、シリカゲル、アルミノシリケート、
ジルコノシリケート等を挙げることができ、また、これ
らの粒径は1〜30μmであることが、歯磨剤の使用感
の点から好ましい。
【0078】粘結剤としては、カラゲナン、カルボキシ
メチルセルロースナトリウム、アルギン酸ナトリウム等
のアルギン酸アルカリ金属塩、ガム類、ポリビニルアル
コール、ビーガムなどを配合し得る(配合量、通常0.
3〜5%)。粘稠剤としては、ソルビット、グリセリ
ン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコー
ル、ポリエチレングリコール、キシリット、マルチッ
ト、ラクチット等を配合し得る(配合量、通常10〜7
0%)。
【0079】また、界面活性剤としては、ソジウムラウ
リルサルフェート、ラウロイルザルコシネート、α−オ
レフィンスルフォネート、タウレート、ラウリルモノグ
リセライドサルフェート、ラウリルモノグリセライドス
ルフォネート、石鹸等のアニオン界面活性剤、ラウリン
酸ジエタノールアミド、ステアリルモノグリセライド、
ショ糖脂肪酸エステル、ラクトース脂肪酸エステル、ラ
クチトール脂肪酸エステル、マルチトール脂肪酸エステ
ル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート等
のノニオン界面活性剤、ベタイン型、アミノ酸型等の両
性界面活性剤などを配合し得る(配合量、通常0.5〜
7%)。
【0080】更に、甘味剤としては、サッカリンナトリ
ウム、ステビオサイド、ネオヘスペリジルジヒドロカル
コン、タウマチン、グリチルリチン、ペリラルチン等を
配合し得る。香料としては、アネトール、カルボン、シ
ネオール、メチルサリシレート、オイゲノール、エチル
ブチレート、シンナミックアルデヒドなどやこれらの香
料成分を含む精油、例えばスペアミント油、ペパーミン
ト油、ウインターグリーン油などを配合し得る。防腐剤
としては、パラオキシ安息香酸エステル、安息香酸ナト
リウム等を配合し得る。
【0081】上記成分を配合した本発明に係る歯磨剤と
して、例えば練歯磨を製造する場合は、上記成分を適量
の水と練合することにより製造し得る。このようにして
得られた練歯磨は、アルミニウムチューブ、アルミニウ
ム箔の両面をプラスチック等でラミネートしたラミネー
トチューブ、プラスチックチューブ等のチューブ状容
器、ボトル状容器、エアゾール容器などの所定の容器に
収容して使用することができる。
【0082】また、本発明の口腔用組成物が例えば洗口
剤である場合には、上記粘稠剤、甘味剤、香料、pH調
整剤、防腐剤、溶剤等を配合して製造することができ
る。なお、pH調整剤としては、クエン酸、リン酸、リ
ンゴ酸、酢酸等の有機酸及びこれらの塩類などを配合し
得、溶剤としてはエタノール、水等を配合し得、更に必
要に応じて適宜他の成分を配合することができる。
【0083】更に、チューインガム、トローチ等におい
ても、従来よりこれらに使用されている成分を常用量で
用い、常法に従って製造することができる。
【0084】なお、本発明の口腔用組成物には、上記ム
タナーゼやデキストラナーゼ等の他の酵素類に加え、必
要に応じてフッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナト
リウム等のフッ素化合物、抗体、第1錫化合物、クロル
ヘキシジン塩類、イプシロンアミノカプロン酸、トラネ
キサム酸、アルミニウムクロルヘキシジルアラントイ
ン、ジヒドロコレステロール、グリチルリチン塩、塩化
ナトリウム、水溶性無機リン酸化合物等を配合し得る。
なお、本発明の口腔用組成物に配合し得る水溶性無機リ
ン酸化合物としては、正リン酸、ピロリン酸、ポリリン
酸のカリウム塩やナトリウム塩が例示される。
【0085】
【実施例】以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具
体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限される
ものではない。
【0086】〔製造例〕 (1)ムタンの調製 まず、本実施例において使用するムタンの調製を以下に
ように行った。ストレプトコッカス・ソブリナス(St
reptococcus sobrinus)6715
株を200mlのBHI培地(ブレインハートインヒュ
ージョン(Brain Heart Infusio
n)オキソイド社製)に植菌し、37℃で1日間の培養
を行った。得られた培養物を仕込み量4リットルの5%
シュークロースを含むBHI培地に接種し、37℃で5
日間の培養を行った。この沈殿物を収穫し、500ml
の1N水酸化ナトリウム水溶液に溶解し、室温で1時間
放置した。この遠心分離上清を塩酸で中和し、析出した
沈殿をろ過処理により回収した。更に、この回収物にデ
キストラナーゼを作用させ、α−1,6−グルコシド結
合を切断した。
【0087】(2)ムタナーゼの調製 次に、本実施例のムタナーゼを以下のようにして調製し
た。まず、培地を以下の培養組成で調製した。培養組成 イノシトール 10g/リットル ムタン 1g/リットル ペプトン 5g/リットル 酵母エキス 3g/リットル KH2PO4 2g/リットル NH4NO3 2g/リットル MgSO4・7H2O 0.3g/リットル(pH7.
0)
【0088】ムタナーゼA 上述したスクリーニング法により得られたRM1株を上
記培地に接種し、40℃で2日間培養した後、培養液を
8000rpmで15分間遠心分離して上清を得、これ
を限外濾過で濃縮した。次に、この上清に硫酸アンモニ
ウムを90%飽和になるように加え、これをよく撹拌し
た後、1時間以上氷中に静置し、その後、遠心分離して
沈殿を回収することにより塩析を行った。次いで、10
mMトリス塩酸緩衝液(pH8)に懸濁し、同緩衝液で
透析した。透析後のサンプルを8000rpm、10分
間の遠心分離にかけ、得られた上清を本実施例のムタナ
ーゼ(以下、RM1酵素という)とし、その精製を以下
のようにして行った。まず、陰イオン交換クロマトグラ
フィーDE52(商品名:ワットマン社製)に対し、p
H8で素通り画分を得た後、pH8.5で吸着すること
により、2回のカラム操作を行った。陰イオン交換クロ
マトグラフィーDE52の素通り画分を10mMトリス
塩酸緩衝液(pH8.5)に透析し、同緩衝液で平衡化
した陰イオン交換クロマトグラフィーDE52にかけ
た。吸着した酵素を0〜0.2Mの塩化ナトリウム溶液
により溶出させて、精製酵素を得た。
【0089】ムタナーゼB 上述したスクリーニング法により得られたRM4株を上
記培地に接種し、40℃で2日間培養した後、培養液を
8000rpmで15分間遠心分離して上清を得、これ
を限外濾過で濃縮した。次に、この上清に硫酸アンモニ
ウムを90%飽和になるように加え、これをよく撹拌し
た後、1時間以上氷中に静置し、その後、遠心分離して
沈殿を回収することにより塩析を行った。次いで、10
mMトリス塩酸緩衝液(pH7)に懸濁し、同緩衝液で
透析した。透析後のサンプルを8000rpm、10分
間の遠心分離にかけ、得られた上清を本実施例のムタナ
ーゼ(以下、RM4酵素という)とし、その精製を以下
のようにして行った。まず、陰イオン交換クロマトグラ
フィーDEAE−Toyopearl 650M(商品
名:東ソー社製)に対し、pH7で素通り画分を得た
後、pH8.5でも素通り画分を取る2回のカラム操作
を行った。更に、ゲル濾過クロマトグラフィーSeph
acryl S−300HR(商品名:ファルマシア社
製)でムタナーゼ活性画分を集め、精製酵素を得た。
【0090】ムタナーゼC 上述したスクリーニング法により得られたM7株を上記
培地に接種し、30℃で2日間培養した後、培養液を8
000rpmで15分間遠心分離して上清を得、これを
限外濾過装置(アミコン社製)を用いて濃縮し、更に、
硫酸アンモニウムを90%飽和になるように加え、塩析
を行った。次いで、10mMのトリス塩酸緩衝液(pH
8)に溶解し、一晩透析した。10mMのトリス塩酸緩
衝液(pH8)で平衡化した陰イオン交換クロマトグラ
フィーDE52(商品名:ワットマン社製)に透析後の
上記溶液を注ぎ込み、上記緩衝液で非吸着画分として得
られる本実施例のムタナーゼ(以下、M7酵素という)
を含む溶出液を得た。次いで、上記溶出液を10mMの
酢酸緩衝液(pH4.8)で透析し、10mMの酢酸緩
衝液(pH4.8)で平衡化した陽イオン交換クロマト
グラフィーCM−Toyopearl 650M(商品
名:東ソー社製)に透析後の上記溶出液を注ぎ込み、M
7酵素を吸着させた後、0〜0.2Mの塩化ナトリウム
を含む10mMの酢酸緩衝液(pH4.8)で吸着した
M7酵素をリニアグラジエントにより溶出した。
【0091】更に、0.5M硫酸アンモニウム溶液を含
む50mMリン酸緩衝液(pH7.0)により平衡化し
た疎水クロマトグラフィーに、M7酵素溶液とこれと同
体積の1M硫酸アンモニウム溶液とを0.1Mリン酸緩
衝液(pH7.0)に混合したものを注ぎ込み、0.5
Mから0Mに硫酸アンモニウム濃度を下げることにより
M7酵素を溶出した。得られた活性画分を10mMリン
酸緩衝液(pH7.0)で透析することにより、M7酵
素を精製した。
【0092】このようにして精製されたRM1、RM
4、M7酵素を用いて上記の理化学的性質をそれぞれ確
認したところ、本発明のムタナーゼの上記理化学的性質
を有することが確認された。この精製されたRM1、R
M4、M7酵素の特性を評価した結果は、先に説明し、
また図1〜12、表1〜5に示す通りの結果である。
【0093】〔実験例1〕歯垢除去能の有効性評価 ストレプトコッカス・ミュータンス(Streptoc
occus mutans)10449株をBHI(B
rain Heart Infusion)培地にて3
7℃で一晩静置し、前培養液を調製した。この前培養液
100μlを1%シュークロースを含むBHI培地3m
l(M2試験管)に添加し、試験管を傾け、37℃で一
晩静置培養して、試験管壁に歯垢を形成させた。その
後、培地を捨て、試験管内を蒸留水で2回洗浄し、3m
lの人工唾液(0.85mM CaCl2/6.22m
M KH2PO4/50mM NaCl/0.15mM
MgCl2(pH5.94))を添加した後、表6に示
す酵素を各1ml加え、37℃で3分間保温した。その
後、酵素液を捨て、試験官内を蒸留水で2回洗浄した
後、更に4mlの蒸留水を添加し、超音波処理を行った
後の各溶液の濁度測定を行い、酵素無添加のものを対照
とし、各酵素溶液の歯垢除去能を計算した。なお、デキ
ストラナーゼとの併用系の検討では、人工唾液を添加し
た後、デキストラナーゼ2000単位に対してRM1、
RM4、M7酵素又はノボザイム234が10単位にな
るように調整した酵素溶液を用いた。結果を表6に示
す。
【0094】
【表6】
【0095】表6の結果によれば、ムタナーゼはデキス
トラナーゼと併用することで相乗的な歯垢除去能を示
し、その効果は本発明酵素のほうがノボザイム234よ
りも優れていることが認められ、エンド型のムタナーゼ
が歯垢除去酵素として好適であると考えられる。また、
M7酵素は、ストレプトコッカス・ミュータンス104
49株の作る歯垢に対し、非常に優れた歯垢除去能を示
すことが認められる。
【0096】〔実験例2〕う蝕予防動物実験 3種のムタナーゼ、RM1、RM4、M7酵素のう蝕抑
制効果を調べるために以下のような動物実験を行った。
【0097】〈実験方法〉う蝕のモデル系である3週齢
(雄)ゴールデンハムスターを1群10匹とし、各ハム
スターにストレプトマイシン耐性のう蝕原因菌ストレプ
トコッカス・ミュータンス(Streptococcu
s mutans)10449株を感染させた。感染
は、該菌株を4mlのBHI培地(BBL社製)に1白
金耳植菌し、嫌気条件下、36℃、20時間培養した
後、この菌液0.1mlを各ハムスターの口中に滴下す
ることを3日間行った。各ハムスターの菌の定着は0.
1%ストレプトマイシンを含むMS寒天培地(Difc
o社製)を用いて確認した。菌の定着を上記のように確
認した後、表7に示す各薬剤の投与を5週間行った。投
与方法は、ハムスターの口中及び左右チークポーチに
0.1mlずつ計0.3mlを滴下投与し、この滴下投
与を1日2回繰り返した。対照群は同様の方法で濾過イ
オン交換水を滴下投与した。
【0098】実験期間中の飼料としては、う蝕誘発粉末
飼料Diet2000(日本クレア社製)を用いた。飲
料水は孔径0.2μmのメンブランフィルターで濾過し
たイオン交換水を使用した。各ハムスターのう蝕状態の
評価はKYESEの方法(J.Dent.Res.23
巻,1944年)に従って行った。また、う蝕抑制率は
下記式により算出した。 う蝕抑制率(%)=[1−(薬剤群のう蝕スコア/コン
トロール群のう蝕スコア)]×100 表7の各薬剤のう蝕抑制率を併記する。
【0099】
【表7】
【0100】〔実験例3〕製剤中での安定性 市販の練歯磨10gにRM1、RM4酵素又はノボザイ
ム234をそれぞれ200単位添加し、各練歯磨の練り
混みを10分間行い、37℃で約1カ月間にわたり経日
的に各練歯磨をそれぞれ0.8gづつサンプリングして
pH8のリン酸緩衝液2.4mlに投入し、これを遠心
分離した後、その上清をサンプルとし、各サンプルの酵
素活性測定を上記測定方法と同様にして行い、残存活性
を求めた。結果を表8に示す。
【0101】
【表8】
【0102】なお、RM1、RM4酵素は、一般的な組
成の粉歯磨、液状歯磨、洗口剤、義歯洗浄剤、うがい用
錠剤、歯肉マッサージクリーム、トローチ、口腔用パス
タに各組成物10gに対して200単位となるように単
独で又はデキストラナーゼと併用して配合した製剤中に
おいても優れた安定性を示した。
【0103】また、M7酵素も、一般的な組成の練歯
磨、粉歯磨、液状歯磨、洗口剤、義歯洗浄剤、うがい用
錠剤、歯肉マッサージクリーム、トローチ、口腔用パス
タに各組成物1gに対して500単位となるようにM7
酵素単独で又はデキストラナーゼと併用して配合した製
剤中において、優れた有効性を示した。
【0104】以下、実施例を示す。 〔実施例1〕練歯磨 シリカ 20重量% ソルビット 60 ラウリル硫酸ナトリウム 0.9 サッカリンナトリウム 0.15 ゼラチン 0.3 パルミチン酸ジエタノールアミド 1.5 プロピレングリコール 5 香料 0.3 アネトール 0.2 l−メントール 0.7 ラウロイルザルコシンナトリウム 0.5 フッ化ナトリウム 0.2 キサンタンガム 0.5 ポリエチレングリコール#4000 0.5 グルコン酸クロルヘキシジン 0.03 デキストラナーゼ 3000U/g歯磨 RM1酵素 300U/g歯磨水 残量 合 計 100.0重量%
【0105】 〔実施例2〕練歯磨 水酸化アルミニウム 45重量% ソルビット 30 ラウリル硫酸ナトリウム 0.8 アルギン酸ナトリウム 0.6 サッカリンナトリウム 0.1 ゼラチン 0.2 ラウリン酸ジエタノールアミド 1.6 プロピレングリコール 5 香料 0.3 アネトール 0.3 l−メントール 1.0 ラウロイルザルコシンナトリウム 0.4 フッ化ナトリウム 0.75 M7酵素 500U/g歯磨水 残量 合 計 100.0重量%
【0106】 〔実施例3〕練歯磨 水酸化アルミニウム 45重量% ソルビット 30 ラウリル硫酸ナトリウム 0.8 アルギン酸ナトリウム 0.6 サッカリンナトリウム 0.1 ゼラチン 0.2 パルミチン酸ジエタノールアミド 1.6 プロピレングリコール 5 香料 0.3 カルボン 0.2 l−メントール 0.7 ラウロイルザルコシンナトリウム 0.4 フッ化ナトリウム 0.75 RM1酵素 2000U/g歯磨水 残量 合 計 100.0重量%
【0107】 〔実施例4〕練歯磨 炭酸カルシウム 45重量% ソルビット 24 ラウリル硫酸ナトリウム 1.3 カラゲナン 0.7 アルギン酸ナトリウム 0.3 サッカリンナトリウム 0.1 ゼラチン 0.2 パルミチン酸ジエタノールアミド 0.8 プロピレングリコール 4 香料 0.7 オイゲノール 0.1 l−メントール 0.4 ラウロイルザルコシンナトリウム 0.4 フッ化ナトリウム 0.75 デキストラナーゼ 2000U/g歯磨 RM1酵素 300U/g歯磨水 残量 合 計 100.0重量%
【0108】 〔実施例5〕練歯磨 第2リン酸カルシウム・2水和物 50重量% ラウリル硫酸ナトリウム 1 カラゲナン 0.6 キサンタンガム 0.3 サッカリンナトリウム 0.1 ゼラチン 0.2 パルミチン酸ジエタノールアミド 1 プロピレングリコール 4 香料 0.8 アネトール 0.1 l−メントール 0.3 ラウロイルザルコシンナトリウム 0.4 モノフルオロリン酸ナトリウム 0.5 グリセリン 20 トラネキサム酸 0.05 デキストラナーゼ 3000U/g歯磨 RM1酵素 200U/g歯磨水 残量 合 計 100.0重量%
【0109】 〔実施例6〕練歯磨 改質水酸化アルミニウム 50重量% ラウリル硫酸ナトリウム 1.5 カラゲナン 0.5 キサンタンガム 0.5 サッカリンナトリウム 0.14 プロピレングリコール 5 香料 1.0 アネトール 0.1 l−メントール 0.3 ミリストイルザルコシンナトリウム 0.3 フッ化ナトリウム 0.5 グリセリン 20 無水ケイ酸 5 酸化チタン 0.5 カルボキシメチルセルロースナトリウム 0.1 トリクロサン 0.04 デキストラナーゼ 5000U/g歯磨 RM4酵素 300U/g歯磨水 残量 合 計 100.0重量%
【0110】 〔実施例7〕液状歯磨 シリカ 18重量% ソルビット 50 ラウリル硫酸ナトリウム 1 サッカリンナトリウム 0.1 ゼラチン 0.2 ラウリン酸ジエタノールアミド 1.2 プロピレングリコール 2 香料 1.0 カルボン 0.1 l−メントール 0.4 パルミトイルザルコシンナトリウム 0.4 フッ化ナトリウム 0.2 グリセリン 18 キサンタンガム 0.1 ラウリン酸デカグリセリル 0.5 硫酸ナトリウム(無水) 0.3 デキストラナーゼ 3000U/g歯磨 RM1酵素 300U/g歯磨水 残量 合 計 100.0重量%
【0111】 〔実施例8〕洗口剤 変性エタノール 1.6重量% ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 2 クエン酸 0.01 クエン酸3ナトリウム 0.3 香料 0.15 アネトール 0.05 l−メントール 0.2 ラウロイルザルコシンナトリウム 0.1 フッ化ナトリウム 0.08 グリセリン 10 DL−アラニン 1 デキストラナーゼ 4600U/g洗口剤 RM1酵素 500U/g洗口剤水 残量 合 計 100.0重量%
【0112】 〔実施例9〕マウスウォッシュ 90%エタノール 20重量% ポリオキシエチレン(80モル) 0.5 ソルビタンモノタウレート 香料 1.5 アネトール 0.3 l−メントール 0.8 モノフルオロリン酸ナトリウム 0.15 ラウロイルザルコシンナトリウム 0.1 デキストラナーゼ 2000U/ml マウスウォッシュ RM1酵素 500U/ml マウスウォッシュ水 残量 合 計 100.0重量%
【0113】 〔実施例10〕マウスウォッシュ 90%エタノール 20重量% ポリオキシエチレン(80モル) 0.5 ソルビタンモノタウレート 香料 1.5 アネトール 0.3 l−メントール 0.8 モノフルオロリン酸ナトリウム 0.15 ラウロイルザルコシンナトリウム 0.1 デキストラナーゼ 3000U/ml マウスウォッシュ RM4酵素 200U/ml マウスウォッシュ水 残量 合 計 100.0重量%
【0114】 〔実施例11〕トローチ アラビアガム 6重量% 香料 0.7 アネトール 0.5 l−メントール 0.3 フッ化ナトリウム 0.05 ラウロイルザルコシンナトリウム 0.01 ブドウ糖 36 パラチノース 36 デキストラナーゼ 4600U/gトローチ RM1酵素 500U/gトローチ水 残量 合 計 100.0重量%
【0115】 〔実施例12〕チューインガム ガムベース 20重量% 香料 0.7 アネトール 0.3 l−メントール 0.3 フッ化ナトリウム 0.1 ラウロイルザルコシンナトリウム 0.01 炭酸カルシウム 2 水飴 15 粉糖 58 デキストラナーゼ 2000U/gガム RM1酵素 200U/gガム水 残量 合 計 100.0重量%
【0116】 〔実施例13〕義歯洗浄剤 モノ過硫酸水素カリウム 35重量% 過硼酸ナトリウム 15 炭酸ナトリウム バランス 炭酸水素ナトリウム 25 無水クエン酸 10 ポリエチレングリコール 1 ポリビニルピロリドン 1 トリポリリン酸ナトリウム 5 ラウリル硫酸ナトリウム 1 デキストラナーゼ 6000U/g義歯洗浄剤 RM1酵素 500U/g義歯洗浄剤 粉末香料 0.5青色1号 微量 合 計 100.0重量%
【0117】 〔実施例14〕義歯洗浄剤 モノ過硫酸水素カリウム 25重量% 過硼酸ナトリウム 15 炭酸ナトリウム バランス 炭酸水素ナトリウム 20 無水クエン酸 10 結晶性セルロース 3 乳糖 2 ポリビニルピロリドン 2 トリポリリン酸ナトリウム 3 ラウリル硫酸ナトリウム 1 デキストラナーゼ 5000U/g義歯洗浄剤 RM4酵素 1000U/g義歯洗浄剤 粉末香料 2青色1号 微量 合 計 100.0重量%
【0118】
【発明の効果】本発明の口腔用組成物によれば、優れた
歯垢形成抑制効果を有するのみならず、歯磨等の口腔用
組成物の製品として十分に安定的に配合することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るムタナーゼAの至適pHを示すグ
ラフである。
【図2】本発明に係るムタナーゼBの至適pHを示すグ
ラフである。
【図3】本発明に係るムタナーゼCの至適pHを示すグ
ラフである。
【図4】本発明に係るムタナーゼAのpH安定性を示す
グラフである。
【図5】本発明に係るムタナーゼBのpH安定性を示す
グラフである。
【図6】本発明に係るムタナーゼCのpH安定性を示す
グラフである。
【図7】本発明に係るムタナーゼAの至適温度を示すグ
ラフである。
【図8】本発明に係るムタナーゼBの至適温度を示すグ
ラフである。
【図9】本発明に係るムタナーゼCの至適温度を示すグ
ラフである。
【図10】本発明に係るムタナーゼAの温度安定性を示
すグラフである。
【図11】本発明に係るムタナーゼBの温度安定性を示
すグラフである。
【図12】本発明に係るムタナーゼCの温度安定性を示
すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI (C12N 1/20 A61K 37/54 C12R 1:07) (72)発明者 下津浦 勇雄 東京都墨田区本所1丁目3番7号 ライ オン株式会社内 (72)発明者 横堀 佳子 東京都墨田区本所1丁目3番7号 ライ オン株式会社内 (72)発明者 平野 正徳 東京都墨田区本所1丁目3番7号 ライ オン株式会社内 (72)発明者 渋谷 耕司 東京都墨田区本所1丁目3番7号 ライ オン株式会社内 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 7/00 - 7/50

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 バチルス属に属すると共に、プロテアー
    ゼ産生が陰性であるムタナーゼ産生微生物を培養した培
    養物から採取されるムタナーゼであって、下記の理化学
    的性質(I−a)〜(V−a)を有するムタナーゼを配
    合してなることを特徴とする口腔用組成物。 (I−a)基質特異性:ムタンをよく分解する。 (II−a)至適作用pH:ムタンを基質として35℃
    で10分間作用させる場合、pH4において作用が至適
    であり、pH4〜6の範囲で高い活性を示す。 (III−a)安定pH範囲:25℃で24時間保温す
    る場合、pH4〜10の範囲で安定である。 (IV−a)至適温度:ムタンを基質としてpH5で反
    応させる場合、温度60℃において作用が至適である。 (V−a)分子量:SDS−ポリアクリルアミドゲル電
    気泳動による分子量は約15万である。
  2. 【請求項2】 さらに、下記の理化学的性質(VI−
    a)〜(IX−a)を有するムタナーゼを配合してなる
    ことを特徴とする請求項1記載の口腔用組成物。 (VI−a)作用:ムタンのα−1,3−グルコシド結
    合を分解する性質を有する。 (VII−a)温度安定性:pH5で10分間熱処理し
    た場合、60℃以下で活性は安定であり、75℃で失活
    する。 (VIII−a)金属イオンの影響:ムタンを基質とす
    る場合、水銀、銀又は3価の鉄により作用が阻害され
    る。 (IX−a)阻害剤の影響:ムタンを基質とする場合、
    p−クロロマーキュリー安息香酸(PCMB)によって
    阻害される。
  3. 【請求項3】 バチルス属に属すると共に、プロテアー
    ゼ産生が陰性であるムタナーゼ産生微生物を培養した培
    養物から採取されるムタナーゼであって、下記の理化学
    的性質(I−b)〜(V−b)を有するムタナーゼを配
    合してなることを特徴とする口腔用組成物。 (I−b)基質特異性:ムタンをよく分解する。 (II−b)至適作用pH:ムタンを基質として35℃
    で10分間作用させる場合、pH4.5において作用が
    至適であり、pH4〜7の範囲で高い活性を示す。 (III−b)安定pH範囲:25℃で24時間保温す
    る場合、pH4〜11の範囲で安定である。 (IV−b)至適温度:ムタンを基質としてpH5で反
    応させる場合、温度65℃において作用が至適である。 (V−b)分子量:SDS−ポリアクリルアミドゲル電
    気泳動による分子量は約14万である。
  4. 【請求項4】 さらに、下記の理化学的性質(VI−
    b)〜(IX−b)を有するムタナーゼを配合してなる
    ことを特徴とする請求項3記載の口腔用組成物。 (VI−b)作用:ムタンのα−1,3−グルコシド結
    合を分解する性質を有する。 (VII−b)温度安定性:pH5で10分間熱処理し
    た場合、60℃以下で活性は安定であり、75℃で失活
    する。 (VIII−b)金属イオンの影響:ムタンを基質とす
    る場合、水銀又は銀により作用が阻害される。 (IX−b)阻害剤の影響:ムタンを基質とする場合、
    p−クロロマーキュリー安息香酸(PCMB)によって
    阻害される。
  5. 【請求項5】 バチルス属に属すると共に、プロテアー
    ゼ産生が陰性であるムタナーゼ産生微生物を培養した培
    養物から採取されるムタナーゼであって、下記の理化学
    的性質(I−c)〜(V−c)を有するムタナーゼを配
    合してなることを特徴とする口腔用組成物。 (I−c)基質特異性:ムタンをよく分解する。 (II−c)至適作用pH:ムタンを基質として35℃
    で10分間作用させる場合、pH4.5において作用が
    至適であり、pH4〜5の範囲で高い活性を示す。 (III−c)安定pH範囲:25℃で24時間保温す
    る場合、pH4〜10の範囲で安定である。 (IV−c)至適温度:ムタンを基質としてpH5で反
    応させる場合、温度50℃において作用が至適である。 (V−c)分子量:SDS−ポリアクリルアミドゲル電
    気泳動による分子量は約16万である。
  6. 【請求項6】 さらに、下記の理化学的性質(VI−
    c)〜(IX−c)を有するムタナーゼを配合してなる
    ことを特徴とする請求項5記載の口腔用組成物。 (VI−c)作用:ムタンのα−1,3−グルコシド結
    合を分解する性質を有する。 (VII−c)温度安定性:pH5で10分間熱処理し
    た場合、50℃以下で活性は安定である。 (VIII−c)金属イオンの影響:ムタンを基質とす
    る場合、水銀又は銀により作用が阻害される。 (IX−c)阻害剤の影響:ムタンを基質とする場合、
    p−クロロマーキュリー安息香酸(PCMB)によって
    阻害される。
  7. 【請求項7】 さらに、デキストラナーゼを含有する請
    求項1〜6のいずれか1項記載の口腔用組成物。
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