JP3437164B2 - 無限軌道履帯用履板 - Google Patents

無限軌道履帯用履板

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JP3437164B2
JP3437164B2 JP2000321653A JP2000321653A JP3437164B2 JP 3437164 B2 JP3437164 B2 JP 3437164B2 JP 2000321653 A JP2000321653 A JP 2000321653A JP 2000321653 A JP2000321653 A JP 2000321653A JP 3437164 B2 JP3437164 B2 JP 3437164B2
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精一 田中
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Kobelco Construction Machinery Co Ltd
Kobe Steel Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主として油圧ショ
ベルやクレーン等の建設、土木機械等に使用される弾性
を有する無限軌道履帯用履板に関する。
【0002】
【従来の技術】無限軌道履帯により走行する建設機械・
土木機械においては、通常鉄製の剛性履板が使用される
ことが多い。無限軌道履帯は、例えば図13に示す上部
旋回式の油圧ショベル1であっては、下部走行体2の左
右に設けられたトラックフレーム3(左右とも同一の構
成であるのでここでは一方のクローラフレーム3につい
てのみ説明する)の一方端に配設されたアイドラ4と、
他方端に配設された走行モータ5と、下部に配設された
下部ローラ6と、上部に配設された上部ローラ7とにわ
たって、無端状の無限軌道履帯8が掛け回されている。
前記無限軌道履帯8は図14に示すように、複数の鉄製
のリンク9がピン10により連結されており、このリン
ク9に剛性履板11が図示しないボルトにより締結され
て構成されている。
【0003】この剛性履板を備えた無限軌道履帯によれ
ば、舗装路面を走行すると剛性履板の接地面と路面との
接触により非常に大きな打撃音が発生する。また同時に
剛性履板は路面を激しく損傷させる場合があった。近
年、都市部での工事の増加に伴い、例えば油圧ショベル
や履帯式クレーン等の建設機械では、走行時の騒音や、
路面の保護について関心が深まってきた。この為、各種
の低騒音、路面保護機能を備えた無限軌道履帯が種々勘
案されてきた。
【0004】一つにはゴムクローラと呼ばれるものがあ
り、これは履帯全体が芯金及びワイヤー等で補強された
ゴム等の弾性体で形成されており、低騒音、路面保護と
いう面では優れている。反面、上述した剛性履板を備え
た無限軌道履帯のように、鉄製のリンク同士をピンで連
結し、このリンクに剛性履板をボルトで締結して無端状
の無限軌道履帯を形成する剛性履板に対して、全体をゴ
ム等の弾性体で形成したゴムクローラは、強度的に不安
があり、この為ゴムクローラ自体の磨耗や損傷が多く、
更に部分的な修復も困難であるという問題が生じてい
た。また、著しく磨耗し或いは損傷したゴムクローラを
廃棄する場合にも、産業廃棄物の増加という社会的問題
につながり、この為ゴムクローラのゴムを再利用しよう
とする動きもあるが、ワイヤー等が複雑に埋設されたゴ
ムクローラの再生には費用が多く掛かり、現実的には困
難な場合が多かった。
【0005】もう一つには、弾性履板と呼ばれるものが
ある。これは、一般に使用される鉄製の剛性履板に対し
て、ゴム等の弾性体で接地面を形成した弾性履板を焼き
付け等により直接接着したものや、芯金を有する弾性履
板を別に製作して、ボルト等により剛性履板に一枚ずつ
締結するものである。何れの場合も、剛性履板を利用し
て接地面にゴム等の弾性体を配置した構造であるので、
トラックリンクに剛性履板をボルトで締結した構造はそ
のまま使用でき、強度的に有利であるし、部分的に損傷
した場合には一枚の履板単位で取り換えができる。しか
しながら、この内剛性履板に焼き付けするタイプの弾性
履板では、弾性体が磨耗した場合、剛性履板と共に取り
換えする必要があり、コスト面で不利であるため、例え
ば実開平5−82776のように弾性履板を別に製作し
て、剛性履板に着脱自在に取り付けるタイプのものが近
年では増加している(図15)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
弾性履板を装着した建設機械では、次のような問題が未
だ生じていた。すなわち、例えば先述の油圧ショベル1
の作業機50で掘削作業をおこなったり、図示しない専
用の吊り具を作業機先端に取り付けて重量物を吊った場
合、最前端に位置する下部ローラ6aの下方に位置する
履板に局所的に荷重が掛かる。このとき下部ローラ6a
の直下に弾性履板12の接地面がある場合には弾性履板
12全体で荷重を受けるためよいのであるが、図16の
ように隣り合う弾性履板12の間、すなわちピン10の
上方付近に下部ローラ6aがある状態では、隣り合う弾
性履板の接地面の端部に局所的に荷重が掛かり、弾性履
板が部分的に大きく変形して、結果的にこの部分の沈み
込みが大きくなるため、油圧ショベル自体が踏ん張りが
ず、静安定度が悪化し、また下部ローラ6aの落ち込み
により走行振動が大きかった。
【0007】また、図15に示す従来の弾性履板では、
弾性体14が固着されている芯金13が剛性履板11の
最前端及び最後端帯状突起11a,11bと同じ高さ位
置に至っている。この為、この弾性履板12の前後方向
へ作用する建設機械を前後方向へ移動させるための牽引
力により、芯金13に固着されている部分の弾性体と、
前記帯状突起11a,11bの頂面より弾性体12の接
地面側の弾性体との境界部分、すなわち芯金13の先端
部位置に剪断力が作用して、亀裂が発生することがあっ
た。
【0008】また、図15に示す従来技術の弾性履板で
は、帯状突起11a,11bの頂面と、弾性体の端部の
接触面とは接着されていないため、砂や小石等がこの当
接面間に入り込み、これにより弾性体を損傷させる恐れ
があった。弾性体14を形成する際にも、この端部の角
部はある程度の円弧形状部が生じてしまい、また剛性履
板11は通常鍛造にて形成されるため、同様にこの頂面
角部には円弧形状部が生じる。この両者の円弧形状部が
漏斗的な作用を及ぼし、この当接面間に砂や小石等を引
き込んでしまうという問題もあった。
【0009】本発明は、上述したような種々の課題を解
決するとともに、より安定性が高く、また耐久性の高い
無限軌道履帯用弾性履板を提供しようとするものであ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】複数のリンクと、前記リ
ンクそれぞれにボルトにより締結される剛性履板と、前
記剛性履板の接地面にそれぞれに着脱自在に取り付けさ
れる弾性履板とを有するとともに、前記複数のリンクを
ピンにより無端状に連結して構成される無限軌道履帯に
おいて、前記弾性履板は、芯金と、前記芯金に一体的に
固着された弾性体とを有し、前記弾性体は、硬質の第1
弾性層と、前記第1弾性層より軟質な第2弾性層を有
し、前記第1弾性層は、前記芯金及び/或いは剛性履板
の接地面から前記弾性履板の接地面に至る範囲で、且つ
前記無限軌道履帯の進行方向の前後端に配置され、前記
第2弾性層は、前記無限軌道履帯の進行方向で前記第1
弾性層に挟まれるように配置した。
【0011】これによれば、リンクを連結するピン上方
付近に下部ローラが来た状態で、この下部ローラに局所
的な荷重が掛かった場合でも、隣り合う弾性履板の前後
端は芯金及び/或いは剛性履板から接地面に至るまで硬
質な弾性体で形成されているので、この弾性体の弾性変
形量は小さく、これによりこの弾性履板が適用される建
設機械等の作業時の静安定度は高くなる。また前記下部
ローラの直下に弾性履板の接地面がある場合と、前述の
ピン上方付近に下部ローラがある場合とで、下部ローラ
部分の沈み込み量の差が減少し、建設機械等の作業者に
違和感や不安感を与えずに、作業に従事させることがで
きる。
【0012】或いはまた、複数のリンクと、前記リンク
それぞれにボルトにより締結される剛性履板と、前記剛
性履板の接地面にそれぞれに着脱自在に取り付けされる
弾性履板とを有するとともに、前記複数のリンクをピン
により無端状に連結して構成される無限軌道履帯におい
て、隣り合う前記リンクを連結するピンを中心として隣
り合う前記剛性履板或いは弾性履板の相対面が近接する
方向へ回動し、前記隣り合う剛性履板の相対面が接触し
たとき、前記隣り合う弾性履板の相対面が最小になる最
小間隔部分が、弾性履板の実質的な接地面に連続すると
ともに、前記最小間隔部分において前記弾性履板の相対
面は接触しないようにした。更にこの場合において、前
記隣り合う弾性履板の相対面の最小間隔部分は、前記隣
り合う剛性履板の相対面が接触したときに、互いに平行
な面であるとともに、前記最小間隔部分での相対面の間
隔が、前記弾性履板が弾性変形しない状態で1〜10m
mとなるようにした。
【0013】これによれば、隣り合う弾性履板の相対面
間への砂や小石等の噛み込みによる弾性履板の損傷を減
少できるとともに、前記弾性履板の接地面積を最大限確
保することができる。すなわち、上述もしたリンクを連
結するピン上方付近に下部ローラが来た状態で、この下
部ローラに局所的な荷重が掛かった場合の下部ローラの
沈み込みを小さくするためには、隣り合う弾性履板の相
対面間の間隔が小さいほど有利なのではあるが、この間
隔を不用意に小さくすると、隣り合う前記剛性履板或い
は弾性履板の相対面が近接する方向へ回動した状態、い
わゆる逆反り状態時に弾性履板の相対面同士が接触して
過剰に圧縮された状態となり、この接触部分での、弾性
体の圧縮変形や変形状態から戻ることによりに生じる摩
擦や、或いは、この接触部分に噛み込まれることが多い
砂,泥,小石等が弾性体に食い込むことなどにより、弾
性体が損傷を起こす。本発明では、この隣り合う弾性履
板の相対面間の間隔が実質的な問題を生じない最小限の
間隔とし、弾性体の損傷を防ぐとともに、弾性履板の接
地面積を可能な限り大きくとり、隣り合う弾性履板の接
地面間の間隔を最小にすることで、より良好な安定性を
も確保することができたのである。尚、間隔を1〜10
mm程度の範囲から必要に応じて選択するようにすれ
ば、リンクピッチ(リンクのピン間距離)や弾性体の硬
度が実用上問題ない範囲で相違しても、本発明の作用を
得ることができることが出願人の行った実験で確認され
ている。ここでの数値範囲には、弾性体の製造時に生じ
る誤差等による相違が含まれることは言うまでもない。
また、実質的な接地面とは、この弾性履板に通常の作業
状態での荷重が作用したときに接地する面であり、弾性
履板の接地面の端部付近に形成された円弧形状部や面取
りは実質的な接地面と見なすものである。
【0014】この場合に、前記弾性履板は、前記最小間
隔部分が前記相対面における前記弾性履板の接地面から
前記剛性履板の接地面に至る垂直距離の約1/2〜3/
4を占めるとともに、前記剛性履板の接地面から前記最
小間隔部分に至るまでの範囲は前記剛性履板の接地面に
対して略垂直に立ち上がる形状とすることにより、一つ
の剛性履板に取り付けられる弾性履板の弾性体を安定的
に、かつ弾性体量を可能な限り多くすることができ、こ
れにより、弾性履板の弾性変形量を少なくすることがで
きたため、更に安定度を増すことができた。
【0015】或いはまた、複数のリンクと、前記リンク
それぞれにボルトにより締結される剛性履板と、前記剛
性履板の接地面にそれぞれに着脱自在に取り付けされる
弾性履板とを有するとともに、前記複数のリンクをピン
により無端状に連結して構成される無限軌道履帯におい
て、前記剛性履板は接地面側に突出する複数の幅方向の
帯状突起を有し、前記弾性履板は、芯金と、前記芯金に
一体的に固着されるとともに前記弾性履板の接地面を形
成する弾性体を有し、前記芯金は前記帯状突起により形
成される剛性履板の接地面の凹凸形状に相対する凹凸形
状に形成され、前記複数の帯状突起のうち最前端及び最
後端の帯状突起の頂面は前記芯金によって覆われずに前
記弾性体によってのみ覆われ、前記芯金の前端部及び後
端部は、前記最前端及び最後端の帯状突起のそれぞれ頂
面の高さ位置に至らないようにした。
【0016】これによれば、本発明が適用された建設機
械等が走行したときに発生する芯金に固着された部分の
弾性体とそれより弾性履板の接地面側の弾性体との境界
部分での剪断力と、帯状突起により前後方向の変形を抑
制されている帯状突起間に位置する弾性体とそれより弾
性履板の接地面側の弾性体との境界部分での剪断力と
は、この2つの境界部分が一致しないため、それぞれの
境界部分で分散して受け止められることになり、弾性体
に発生する亀裂を防ぐことができ、耐久性を向上でき
る。
【0017】或いはまた、複数のリンクと、前記リンク
それぞれにボルトにより締結される剛性履板と、前記剛
性履板の接地面にそれぞれに着脱自在に取り付けされる
弾性履板とを有するとともに、前記複数のリンクをピン
により無端状に連結し、また前記剛性履板は接地面側に
突出する複数の幅方向の帯状突起を有した無限軌道履帯
において、前記弾性履板は、芯金と、前記芯金に一体的
に固着されるとともに前記弾性履板の接地面を形成する
弾性体と、前記芯金に対して回動不能に固着されるとと
もに、頭部が前記弾性体内に埋没され、ねじ部が前記剛
性履板への取付け方向に突出したボルトとを有し、前記
ボルトを前記剛性履板に開穿されたボルト穴に挿通させ
て前記弾性履板を前記剛性履板の接地面に組み合わせ、
更に前記ボルトのねじ部に対してナットを所定のトルク
で締付けることにより前記弾性履板を前記剛性履板に取
り付けるようにし、前記剛性履板の接地面に前記弾性履
板を組み合わせたのみの状態においては、前記弾性履板
の底面と前記剛性履板の接地面との間に隙間部を有し、
前記ナットを所定のトルクで締付けた状態において、前
記隙間部がほぼ無くなるようにした。
【0018】例えば、組み合わせたのみの状態で弾性履
板の前端部及び後端部付近(或いは更に左右端部)を剛
性履板の接地面に当接するようにして、その他の部分の
一部或いは全部を当接させないようにして隙間部を持た
せ、剛性履板に対して弾性履板を所定のトルクにて締結
することによりこの隙間部が無くなるようにする。これ
により、前記各端部付近は強固に剛性履板に対して押し
付けられることになり、剛性履板と弾性履板の当接面か
ら砂や泥或いは小石等が侵入することを防ぐことがで
き、これら当接面に侵入した砂等による弾性履板の損傷
を防ぐことができる。また本発明が適用された建設機械
等の走行中に、剛性履板と弾性履板の当接面付近の弾性
履板の弾性体に局所的に高応力が発生しこれが剪断力と
して作用する部分があるが、この部分に前記隙間部を持
たせることにより、締結後も弾性体が他の当接面部に比
べて圧縮されない状態とすることができ、剪断力を弾性
体の弾力により受け止めて損傷を防ぐことができる。
【0019】この場合、前記剛性履板の接地面に前記弾
性履板を組み合わせたのみの状態においては、前記剛性
履板の最前端及び最後端の帯状突起の頂面の外側端付近
と前記弾性体の当接面とが接触するとともに、前記頂面
の内側端付近から角部にかけて前記弾性体との間に前記
隙間部を有し、前記ナットにて締付けた状態において、
前記隙間部がほぼ無くなるようにすれば、本発明が適用
された建設機械が走行したときに、剛性履板と弾性履板
の間に砂や泥或いは小石等が侵入することを防ぐことが
でき、これら当接面に侵入した砂等による弾性履板の損
傷を防ぐことができるとともに、前記剛性履板の帯状突
起の頂面の内側の角部付近に対面する弾性履板の弾性体
に発生する剪断力を、上述の場合と同様に弾性体の弾力
により受け止めて損傷を防ぐことができる。
【0020】或いはまた、複数のリンクと、前記リンク
それぞれにボルトにより締結される剛性履板と、前記剛
性履板の接地面にそれぞれに着脱自在に取り付けされる
弾性履板とを有するとともに、前記複数のリンクをピン
により無端状に連結して構成される無限軌道履帯におい
て、前記剛性履板は接地面側に突出する複数の幅方向の
帯状突起を有し、前記弾性履板は、芯金と、前記芯金に
一体的に固着されるとともに、前記弾性履板の接地面を
形成する弾性体を有し、前記芯金は前記帯状突起により
形成される剛性履板の接地面の凹凸形状に相対する凹凸
形状に形成され、また前記複数の帯状突起のうち最前端
及び最後端の帯状突起の頂面は前記芯金によって覆われ
ずに前記弾性体によってのみ覆われ、前記頂面のそれぞ
れ前後方向の外側端部付近と、前記頂面に対面する弾性
体の端部付近は、互いが離隔する方向へそれぞれ円弧形
状部を有し、前記弾性履板の接地面側に所定の負荷が作
用した場合に、前記弾性体の弾性変形により前記弾性体
の端部の円弧形状部分が反り返って前記頂面の外側端部
付近に接するようにした。
【0021】通常、鍛造により形成される剛性履板は、
製造工程と強度的な理由から角部にある程度の円弧形状
部ができ、これは帯状突起部分についても当然いえるこ
とである。弾性履板の弾性体を形成する際も同様に角部
に円弧形状部ができるのであるが、弾性体の方がこの円
弧形状部の円弧半径の調整は容易である。本発明では、
この弾性体の円弧形状部の形状を、建設機械等の重量に
よる荷重がかかった状態で円弧形状が反り返るように変
形し、帯状突起の円弧形状部の円弧形状に沿うような形
状にしたので、従来のように帯状突起の円弧形状部と弾
性体の円弧形状部が合わさって漏斗のような形となり、
砂や泥或いは小石等を帯状突起の頂面と弾性体の間に誘
導してしまうということが無くなり、これによる弾性履
板の損傷を防ぐことができる。
【0022】更にまた、前記帯状突起の頂面の平面部と
前記頂面の外側端部付近の円弧形状部との境界位置と、
前記頂面に対面する弾性体の平面部と前記弾性体の端部
の円弧形状部との境界位置とが、一致するようにすると
ともに、前記帯状突起の頂面の外側端部付近の円弧形状
部の円弧半径より、前記弾性体の端部の円弧形状部の円
弧半径を小さくした場合には、上述の作用をより顕著に
得ることができる。すなわち両境界位置を一致させ、か
つ弾性体端部の円弧形状部の円弧半径を帯状突起の円弧
半径より小さくしたので、弾性体を帯状突起の頂面の端
部付近まで延長することができて、弾性履板の接地面を
強度上の問題の無い範囲で最大限得ることができた。仮
に弾性体の円弧形状部の円弧半径を帯状突起の円弧半径
より大きくした場合には、弾性体の端部が荷重により反
り返ったとき、帯状突起の頂面より外側へはみ出してし
まうことになり、この部分に荷重が掛かった場合、片持
ち梁状態となった弾性体は大きく変形するとともにこの
梁の支点部分に剪断力が作用し、弾性体が損傷してしま
うばかりか、建設機械自体も均一の静安定度が得られず
不安定となってしまうが、本発明によればこうした状態
は防ぐことができる。
【0023】或いはまた、複数のリンクと、前記リンク
それぞれにボルトにより締結される剛性履板と、前記剛
性履板の接地面にそれぞれに着脱自在に取り付けされる
弾性履板とを有するとともに、前記複数のリンクをピン
により無端状に連結して構成される無限軌道履帯におい
て、前記剛性履板は、幅方向の中央部付近に開穿された
泥抜き穴を有し、前記弾性履板は、前記剛性履板の前記
泥抜き穴と相対する位置に、前記泥抜き穴より小さい貫
通穴を開穿した。
【0024】従来より、剛体履板に開穿されている泥抜
き穴に対応した位置に、弾性履板にも穴を開穿して剛性
履板の背面(リンクが取り付けられた側)に堆積する泥
が弾性履板を取り付けた状態でも排出できるようにした
ものがある。しかしながら、弾性履板にこのような貫通
穴を開穿すると弾性履板の弾性体の量が減少し、また荷
重がかかったときにこの貫通穴に弾性体が逃げるように
変形し、充分な踏ん張りを得ることができない。本発明
では、この弾性履板の貫通穴を剛性履板の泥抜き穴より
小さくしたので、泥が排出できるとともに、弾性体の量
の減少を最小限とし、充分な弾性体の踏ん張りを得るこ
とができるようにした。
【0025】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態について図1
〜図12に基づいて説明する。従来技術と同一の構成要
素を示すものには同一の符号を付す。図1は本発明の無
限軌道履帯用履板を装着した下部走行体2’を示す図で
ある。図1において、8’は弾性履板を取り付けた状態
の無限軌道履帯、20は弾性履板である。
【0026】図2は無限軌道履帯用履板の第1実施形態
を構成する弾性履板20aを剛性履板11に取付けた状
態を示す概略図であり、特に説明しない部分については
図1と同様である。図において、20asは弾性体層、
20ahは20asより硬質の弾性体層、21は芯金で
ある。
【0027】図3は無限軌道履帯用履板の第2実施形態
を構成する弾性履板20bを示す図である。図におい
て、22は弾性履板20bの接地面、23は剛性履板1
1の接地面、24は一つの剛性履板11に形成された複
数の帯状突起のうち最前端(油圧ショベル等の旋回式建
設機械においては進行方向は一定しないが、ここでは2
4を最前端とする)の帯状突起、25は最後端の帯状突
起、26は中間の帯状突起、27は帯状突起24の頂
面、28は帯状突起25の頂面、29は帯状突起26の
頂面、30は隣り合う弾性履板20b,20bの相対面
の最小間隔部分、Lは相対面30−30の間隔距離、H
は帯状突起24の頂面27と接地面22の高さ方向の距
離、hは最小間隔部分30の接地面22から垂直方向の
長さ、31は頂面27から垂直に立ち上がる弾性履板2
0bの垂直部、32は弾性履板20bの弾性体、51は
隣り合う剛性履板11,11の相対面である。図4は、
図3に示す第2実施形態において、隣り合うリンク9,
9が水平な状態を示す図である。図において、L’は隣
り合う最小間隔部分30−30の弾性履板の接地面部の
間隔距離である。
【0028】図5は本発明の無限軌道履帯用履板の第3
実施形態を構成する弾性履板20cを示す図である。図
において、33は芯金、34は芯金33に対して回転不
能に取り付けられた、弾性履板を剛性履板に着脱自在に
締結するためのボルト、35はナット、36は剛性履板
11の帯状突起間の谷面、37は芯金32の前端部、3
8は芯金32の後端部、48はボルト穴、Aは谷面35
から帯状突起25(或いは24)の頂面28(或いは2
7)までの高さ、aは弾性履板20cを剛性履板11へ
締結した状態での前記谷面35から芯金33の後端部3
8(或いは前端部37)までの高さである。
【0029】図6は図5の弾性履板20cを剛性履板1
1の接地面に組み合わせたのみの、ナット35にて締結
する前の状態を示す図である。図において、S1〜S3
はそれぞれ弾性履板20cと頂面27〜29付近との間
にできた隙間部、S4は弾性履板20cと谷面36との
間にできた隙間部、39〜42は弾性履板20cと剛性
履板11との接触部、43は弾性履板32の端部と頂面
27との接触部、44は弾性履板32の端部と頂面28
との接触部である。
【0030】図7は、図5の変形例である第4実施形態
の弾性履板20dを示す図である。図において、32’
は弾性体、33’は芯金、S1’〜S4’は図6におけ
るS1〜S4にそれぞれ対応する隙間部である。図8
は、図7の弾性履板20dを剛性履板11に締結した状
態を示す図である。図において、37’は芯金33’の
前端部、38’は芯金33’の後端部、a’は弾性体3
2’を剛性履板11へ締結した状態での谷面35から芯
金33’の後端部38’(或いは前端部37’)までの
高さである。
【0031】図9は、図7の更に変形例である第5実施
形態の弾性履板20eを示す図である。図において、3
2”は弾性体、33”は芯金、S1”〜S4”は前記S
1〜S4にそれぞれ対応する隙間部である。
【0032】図10は、図1のB部の要部拡大図であ
る。図において、45は帯状突起24の頂面外側端部に
形成された円弧形状部、46は弾性体32の端部に形成
された円弧形状部、Rは円弧形状部45の半径、rは円
弧形状部46の半径、47は円弧形状部45及び46の
R止まり部である。図11は、図10の弾性履板に走行
負荷等の所定の荷重が作用した場合を示す図である。
【0033】図12は本発明の第6実施形態の弾性履板
20fを示す平面図である。側面図(図示しない)は図
1のものと同様であるが、本実施形態では、弾性履板2
0fの左右方向略中央部に貫通穴70及び71が開穿さ
れている。この貫通穴70及び71は、剛性履板11に
開穿されている泥抜き穴72及び73に対応する位置に
開穿されている。
【0034】図1〜図12に基づいて、本発明の無限軌
道履帯用履板の構成及びその機能について説明する。図
1の最前端にある下部ローラ6aの直下に隣り合うリン
ク9を連結するピン10がある。この状態で図13に示
す油圧ショベル1が作業機50で掘削作業を行ったり、
図示しない専用の吊り具を作業機50の先端に取り付け
て重量物を吊った場合、この荷重がかかる側にある下部
ローラ6aを支点として油圧ショベル1の機体は釣り合
いをとるため、下部ローラ6aには大きな荷重が掛かる
ことになる。尚、走行モータ5やスプロケット4は、障
害物等の乗り越え性を確保するため、下部ローラ6aよ
り若干高めにその下端位置がくるように設定されてい
る。
【0035】従来技術であれば図16に示したように、
このピン10の下方には弾性履板12が存在しないた
め、弾性履板12の接地面の端部付近が大きく変形して
しまい、これにより下部ローラ6aが落ち込んでしまう
が、図2に示す第1実施形態の無限軌道履帯用履板の弾
性履板20aによれば、弾性履板を比較的硬質な第1弾
性層20ahと、第1弾性層20asにより弾性体が形
成され、またこの第1弾性層20ahは第2弾性層20
asを挟んで弾性履板の前端及び後端部に配置される。
これにより硬質の第1弾性層20ahは図16と同様の
荷重条件であっても変形量が少なく、下部ローラ6aの
落ち込みが小さくなり、これにより油圧ショベルの作業
時の踏ん張りが効き、静安定度が良好となった。ここ
で、本実施形態では合成ゴムで形成される第1弾性層2
0ahの硬度はHs86〜Hs96程度、同様に合成ゴ
ムや天然ゴム等の弾性体で形成される第2弾性層の硬度
はHs80〜Hs85程度から、それぞれ条件に応じて
選択すれば良好な結果が得られることが出願人の種々の
実験の結果で確認されているが、本発明の無限軌道履帯
用履板が適用される油圧ショベル、履帯式クレーンその
他の建設土木機械等の機体重量や作業条件等によりこれ
らの硬度は適宜選択されるべきであり、これらの数値に
のみ本発明が束縛されるものではない。
【0036】図3及び図4に示す第2実施形態では、隣
り合うリンク9,9を連結するピン10を中心として、
隣り合う剛性履板11の相対面51,51或いは弾性履
板20bの相対面(30,30或いは31,31)が近
接する方向へ回動し、相対面51,51が接触したと
き、前記弾性履板20bの相対面の最小間隔部分30,
30の間隔Lが弾性履板20bが弾性変形しない状態で
1〜5mm程度となるように構成した。この状態で相対
面の最小間隔部分30,30は略平行な面であり、ここ
が隣り合う弾性履板20bの最も近接する部分となる。
また、この最小間隔部分30の剛性履板11側の端部か
ら剛性履板の帯状突起24(25)の頂面27(28)
に至るまでの端面の形状は、前記頂面27(28)に対
して垂直に立ち上がる形状とした。
【0037】これによれば、帯状突起24,25の頂面
の外側端部付近から弾性履板の端面が垂直に立ち上がる
ので、剛性履板11の接地面23の表面積に対する弾性
履板の被覆面積を大きくすることができるとともに接地
面23上の弾性体の量を多くすることができ、弾性履板
20bの接地面22の接地面積も可能な限り大きくする
ことができる。これにより、隣り合うリンク9を連結す
るピン10の上方付近に下部ローラ6が来た状態で、こ
の下部ローラ6に局所的に荷重が掛かった場合の下部ロ
ーラ6の沈み込みは、隣り合う弾性履板同士の接地面部
での間隔L’を小さくできるので、当然小さくすること
ができる。
【0038】この理論から言えば、剛性履板の接地面2
3の前端部(後端部)から弾性履板の接地面22に向け
て、単に弾性履板の前端面(後端面)を垂直に立ち上げ
れば、通常の走行状態或いは、上述したように最前端の
下部ローラ6aに大きな荷重が掛かった場合の下部ロー
ラ6aの沈み込みは押さえることが想像できる。しかし
ながら、走行中に石を乗り越えたり或いは無限軌道履帯
8’にたるみを生じた場合、図3に示すように無限軌道
履帯8’は逆反り状態となる。このとき、隣り合う弾性
履板20bの間隔が狭いと、逆反り状態になる度に弾性
履板同士が接触して圧縮変形を繰り返すことになり弾性
履板20bを構成する弾性体の疲労を促し、また摩擦を
生じ、更にこの弾性履板間に砂,泥,小石等が噛み込ま
れると、これらが弾性履板に食い込み、早期に損傷を招
くことになる。弾性履板の相対面の間隔を0或いは微少
に保つように設定した場合でも、弾性履板20bを構成
する弾性体が前述の場合に比べて圧縮量が少ないので若
干有利ではあるが、やはり逆反り状態時に砂,泥,小石
等が噛み込まれるという状態は同様に発生し、損傷を招
くことになる。
【0039】このため、更に図3に示すようにこの最大
逆反り状態(すなわち剛性履板11の相対面51,51
が接触した状態)で隣り合う弾性履板20bの相対面の
最小間隔部分30,30が平行な面となるとともに、間
隔Lが本実施形態の機能を発揮できる最小値である1〜
10mm程度となるように端面を形成した。これによ
り、砂,泥,小石等が噛み込みによる損傷を防ぐととも
に、図4におけるL’を最小にすることができたのであ
る。尚、1〜10mm程度という数値は、出願人による
度重なる実験によりリンクピッチ(リンク9のピン1
0,10間距離)や弾性履板を構成する弾性体の硬度が
実用上問題ない範囲で変更されても、略この数値の範囲
で間隔Lを調整すれば本実施形態の機能を得ることがで
きることが確認されている。すなわち、本実施形態で
は、最小間隔部分30,30を接触しない最小値とする
ことにより、耐久性を確保しつつ、リンク9が水平にな
った状態での隣り合う接地面22の間隔L’を最小にす
ることができた。
【0040】図5に示す本発明の第3実施形態によれ
ば、弾性履板20cは、剛性履板11の帯状突起24〜
26と谷面36により形成される凹凸形状の接地面に略
相対する凹凸形状に形成された芯金33を有しており、
この芯金33に弾性体32が一体的に固着されて構成さ
れているが、この芯金33の前端部37及び後端部38
は、複数の帯状突起のうち最前端の帯状突起24及び最
後端の帯状突起25の頂面27及び28の高さよりそれ
ぞれ低くした。より具体的には、剛性履板11の谷面3
5から芯金33の後端部38までの高さaと、剛性履板
11の谷面36から頂面28までの高さAとの関係をa
<Aとなるように設定した。
【0041】本実施形態によれば、帯状突起24,25
により前後方向の変形が若干規制された帯状突起24,
25の頂面27,28より芯金33側の部分の弾性体
と、頂面27,28より弾性履板20cの接地面側の前
後方向の変形を外力により規制されない部分の弾性体と
の境界付近で第1の剪断力が生じる。更に、弾性体32
は芯金33に一体的に接着により固着され、この芯金が
ボルト34及びナット35により剛性履板11に締結さ
れているため、芯金33に接着され横方向の変形が規制
された部分の弾性体と、芯金33の前端部37及び後端
部38より弾性履板11の接地面側の弾性体との境界付
近で第2の剪断力が生じる。このように弾性履板20c
の弾性体32に作用する剪断力は2箇所で分散して生じ
ることになり、弾性体32の損傷を防ぐことができる。
芯金の前端部及び後端部が帯状突起の頂面27,28よ
り高くした場合は、芯金の前端部及び後端部に過大な荷
重がかかり変形する恐れがあるし、また先に述べた剪断
力も接地面に近い側から働くために、この芯金の前端部
及び後端部付近の弾性体に剪断力が集中して働くことに
なるので、これでは不都合である。
【0042】図6は、図5に示す弾性履板20cがボル
ト34とナット35により剛性履板11に締結される前
の、単に剛性履板11の接地面に弾性履板20cを組み
合わせて、ボルト穴48にボルト34を挿通させたのみ
の状態を示す図である。このような状態では、剛性履板
11の接地面のうち、帯状突起24の頂面27の内側角
部付近、帯状突起25の頂面28の内側角部付近、帯状
突起26の頂面29の頂面付近及び谷面36付近に、そ
れぞれ隙間部S1、S2、S3及びS4が存在する。す
なわち、前後方向は接触部39〜41で帯状突起の側壁
に弾性履板20cが当接することで位置決めされ、高さ
方向は主に接触部43,44で弾性履板20cの端部と
帯状突起24,25の頂面27,28が当接することで
仮位置決めされている。この状態からナット35をボル
ト34に対して所定のトルクまで締め付けていくと、前
記隙間部S1〜S4はほぼ無くなる。つまり接触部4
3,44の弾性履板20cを構成する弾性体32は、頂
面27,28へそれぞれ押し付けられ圧接された状態と
なる。
【0043】これによれば、弾性履板20cの前端部及
び後端部がそれぞれ帯状突起24,25の頂面27、2
8に対して強固に押し付けられるので、この端部の接触
部43,44から弾性履板20cの弾性体32を押しの
けて砂や泥或いは小石等が侵入することを防ぐことがで
きる。また隙間部S1,S2付近の弾性体32は特に高
応力が発生する箇所であり、(先にも述べた剪断力が発
生する部分である)、本発明によれば、この隙間部S
1,S2により弾性履板20cを剛性履板11に締結し
たときに、隙間部S1,S2付近の弾性体32はあまり
圧縮されていない状態となる。この為、この応力(剪断
力)を弾性体32の弾力により余裕を持って受け止める
ことができ、亀裂の発生等の損傷を防ぐことができる。
尚、図6からも明かなように、芯金33は帯状突起24
〜26の側壁によっても高さ方向の位置決めがされた状
態となっているが、これはボルト34へ所定のトルクで
ナット36を締め付けたときに、芯金が弾性変形の範囲
で変形するように設定してある。
【0044】図7,図8は図6,図5の変形例である本
発明の第4実施形態の無限軌道履帯用履板を構成する弾
性履板20dを示すものであり、図6,図5とほぼ同様
の機能を有し、隙間部S1’〜S4’が、ボルト34に
ナット36を締め付けることにより無くなる。37’,
38’及びa’は、図6,図5の37,38及びaと実
質的に同一の機能を有するものであるので説明は省略す
る。本実施形態では、弾性履板20dでは芯金33’が
弾性体32’に埋設されている。芯金33’は鉄材で製
作されることが多いので、剥き出しの場合錆が生じるこ
とがあり、この錆が原因となって弾性体の接着部が剥離
することがある。本実施形態によれば、芯金は弾性体3
2’内に埋設されているので、錆を生じることがない。
【0045】図9は、図7の更に変形例である本発明の
第5実施形態の弾性履板20eを示すものであり、隙間
部S1”〜S4”が、ボルト34にナット35を締め付
けることにより無くなる。弾性履板20eによれば、芯
金33”が帯状突起24,25の頂面36,37の上部
を覆った形状となっている。本実施形態によれば、上述
の剪断力を分散して受け止めるという機能は有さない
が、芯金33”は弾性体32”の前端部及び後端部をそ
れぞれ頂面27,28により強固に押さえ付けることが
できる。この他の機能は上述の場合と同様である。
【0046】図10は、図1に示す弾性履板20(20
a〜20e含む)を剛性履板11に締結した状態の前端
部の要部拡大図であるが、図のように、頂面27の外側
端部付近は半径Rの円弧形状を有しており、これは一般
に鍛造により形成される剛性履板が、その工程上必然的
に生じる円弧形状である。一方これに対面する弾性履板
20の弾性体32の端部もやはり弾性体32の形成工程
上、若干の円弧形状が生じるが、鍛造の場合に比べ、弾
性体の形成用の型の方が加工し易いため、この円弧形状
の半径rも調整し易い。本実施形態では、この両円弧形
状部の半径をR>rとするとともに、この半径rは、弾
性履板20に油圧ショベル1の機体重量が作用した状態
で、図11に示すように、円弧形状部41が反り返って
円弧形状部40側に当接するよう設定し、更に、頂面3
6と円弧形状部40の境界と、頂面36に対面する弾性
体の平面部と円弧形状部41の境界とが、境界位置42
で一致するようにした。
【0047】弾性履板20の接地面22が接地していな
い状態では、弾性履板20の端部の円弧形状部41の円
弧半径rを小さくしたため、円弧形状部40及び41に
より形成される漏斗形状は従来技術に比べ小さいものの
存在している。しかしながら、走行時に弾性履板20の
接地面22が接地したとき、円弧形状部41が反り返っ
て円弧形状部40に当接することにより、この漏斗形状
は図11に示すようにほぼ無くなり、このため砂や泥或
いは小石等を頂面36と弾性体32の間に誘導すること
は無い。しかも、前記境界位置42が可能な限り外側端
よりに設定できるので、弾性履板20の接地面22を大
きくとることができる。尚、適用される剛性履板の大き
さ等により若干の前後はあるものの、出願人の行った実
験の結果によれば、半径Rは略3〜5mm、半径rは略
1〜2mmの範囲で必要に応じて選択設定すれば本発明
の機能を発揮されることが確認されている。
【0048】図12に示す本発明の第6実施形態によれ
ば、弾性履板20fの剛性履板11の泥抜き穴72,7
3に対応する位置に、貫通穴70,71を開穿してい
る。剛性履板11の泥抜き穴72,73は剛性履板11
の背面に前後方向に平行に取り付けられたリンク9,9
間に堆積する泥等を排出する機能を有するが、弾性履板
にこれに対応する穴が開穿されていないと、この機能は
失われることになる。逆にこの泥抜き穴72,73と同
じ大きさの穴を開穿すると、剛性履板11の接地面の表
面積に対する弾性履板を構成する弾性体の絶対量が減少
し、また不要に空間が生じるために、この穴に向かって
弾性体が逃げるという現象が起き、結果的には弾性履板
の変形量が大きくなって踏ん張りが悪くなり、これが適
用された油圧ショベル1では、安定度が低下する。本実
施形態では、この泥抜き穴72,73に対応して弾性履
板20fに開穿する貫通穴70,71を、小さい方の泥
抜き穴72と同じか、少し小さく設定したので、泥抜き
穴の機能を失わせることなく、かつ貫通穴70,71へ
の弾性体の逃げを最小限に押さえ、また弾性体の絶対量
を一定のレベルで確保することにより、機能上問題ない
レベルの踏ん張りと安定度を確保した。
【0049】
【発明の効果】本発明の無限軌道履帯用履板の効果を以
下に述べる。
【0050】請求項1の発明によれば、弾性履板の端部
付近は強固に剛性履板に対して押し付けられることにな
り、剛性履板と弾性履板の当接面から砂や泥或いは小石
等が侵入することを防ぐことができ、これら当接面に侵
入した砂等による弾性履板の損傷を防ぐことができる。
また本発明が適用された建設機械等の走行中に、剛性履
板と弾性履板の当接面付近の弾性履板の弾性体に局所的
に高応力が発生しこれが剪断力として作用する部分があ
るが、この部分に前記隙間部を持たせることにより、締
結後も弾性体が他の当接面部に比べて圧縮されない状態
とすることができ、剪断力を弾性体の弾力により受け止
めて損傷を防ぐことができ、耐久性を向上できる。
【0051】更に請求項2記載の発明によれば、隙間部
を、特に高応力が発生する箇所に設定したので、請求項
1の発明の効果を効果的に得ることができる。
【0052】更に請求項3記載の発明によれば、本発明
が提供された建設機械等が走行したときに発生する芯金
に固着された部分の弾性体とそれより弾性履板の接地面
側の弾性体との境界部分での剪断力と、帯状突起により
前後方向の変形を抑制されている帯状突起間に位置する
弾性体とそれより弾性履板の接地面側の弾性体との境界
部分での剪断力とが、それぞれの境界部分で分散して受
け止められることになり、弾性体に発生する亀裂を防ぐ
ことができ、耐久性を向上できる。
【0053】更に請求項4記載の発明によれば、弾性履
板の貫通穴を剛性履板の泥抜き穴より小さくしたので、
泥が排出できるとともに、弾性体の量の減少を最小限と
し、充分な弾性体の踏ん張りを得ることができ、建設機
械等の静安定性を高くすることができ、本発明が適用さ
れた建設機械等の作業性を高めることができる。
【0054】以上述べたように、本発明によれば、無限
軌道履帯用履板の耐久性を向上できるとともに、これを
装着した建設機械等の安定度を向上させ、また走行振動
を低減させることができ、作業効率の向上を図ることが
できるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の無限軌道履帯用履板を装着した下部走
行体を示す図である。
【図2】図1の無限軌道履帯用履板の第1実施形態を示
す図である。
【図3】図1の無限軌道履帯用履板の第2実施形態を示
す図である。
【図4】図3の無限軌道履帯用履板において、リンクが
水平となったときの状態を示す図である。
【図5】本発明の実施形態である、図1の無限軌道履帯
用履板の第3実施形態を示す図である。
【図6】図5の無限軌道履帯用履板において、弾性履板
を剛性履板に締結する前の、単に組み合わせたのみの状
態を示す図である。
【図7】図5の変形例である、無限軌道履帯用履板の第
4実施形態を示す図である。
【図8】図7の無限軌道履帯用履板において、弾性履板
を剛性履板に締結した状態を示す図である。
【図9】図7の変形例である、無限軌道履帯用履板の第
5実施形態を示す図である。
【図10】図1のB部の要部拡大図である。
【図11】図10の無限軌道履帯用履板の弾性履板に荷
重が作用した場合を示す図である。
【図12】図1の無限軌道履帯用履板の第6実施形態を
示す平面図である。
【図13】本発明或いは従来技術の無限軌道履帯用履板
が適用される油圧ショベルを示す図である。
【図14】図13の下部走行体の要部拡大図であって、
弾性履板が取り付けられていない状態を示す図である。
【図15】従来技術の無限軌道履帯用履板を示す図であ
る。
【図16】従来技術の無限軌道履帯用履板に荷重が作用
した場合を示す要部拡大図である。
【符号の説明】
1 油圧ショベル 2,2’ 下部走行体 5 走行モータ 6,6a 下部ローラ 8,8’ 無限軌道履帯 9 リンク 10 ピン 11 剛性履板 12,20,20a,20b,20c,20d,20f
弾性履板 13,21,33,33’,33” 芯金 24,25,26 帯状突起 27,28,29 頂面 30 最小間隔部分 31 垂直部 32 弾性体 34 ボルト 35 ナット 36 谷面 39,40,41,42,43,44 接触部 70,71 貫通穴 72,73 泥抜き穴 S1,S2,S3,S4,S1’,S2’,S3’,S
4’,S1”,S2”,S3”,S4” 隙間部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 精一 広島県広島市安佐南区祇園3丁目12番4 号 油谷重工株式会社内 (56)参考文献 特開 昭49−112326(JP,A) 特開 平7−291159(JP,A) 特開 平10−151901(JP,A) 実開 平5−82776(JP,U) 実開 平6−32280(JP,U) 実開 昭48−13936(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B62D 55/26 - 55/28

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数のリンクと、前記リンクそれぞれに
    ボルトにより締結される剛性履板と、前記剛性履板の接
    地面にそれぞれに着脱自在に取り付けされる弾性履板と
    を有するとともに、前記複数のリンクをピンにより無端
    状に連結し、また前記剛性履板は接地面側に突出する複
    数の幅方向の帯状突起を有した無限軌道履帯において、
    前記弾性履板は、前記弾性履板の接地面を形成する弾性
    体と、前記弾性体に埋設された芯金と、前記芯金に対し
    て回動不能に固着されるとともに、頭部が前記弾性体内
    に埋設され、ねじ部が前記剛性履板への取付け方向に前
    記弾性体から突出したボルトとを有し、前記芯金に固着
    されたボルトのねじ部を前記剛性履板に開穿されたボル
    ト穴に挿通させて前記弾性履板を前記剛性履板の接地面
    に組み合わせ、更に前記芯金に固着されたボルトのねじ
    部に対してナットを所定のトルクで締付けることにより
    前記弾性履板を前記剛性履板に取り付けるようにし、前
    記剛性履板の接地面に前記弾性履板を組み合わせたのみ
    の状態で、前記弾性履板の弾性体と前記剛性履板の接地
    面が接触する接触部と、この状態で前記弾性体と前記剛
    性履板の接地面との間に隙間が生じる隙間部が設けら
    れ、前記ナットを所定のトルクで締付けた状態では、前
    記接触部における弾性体は圧接されるとともに、前記隙
    間部は無くなるようにしたことを特徴とする無限軌道履
    帯用履板。
  2. 【請求項2】 前記隙間部は、前記剛性履板の最前端及
    び最後端の帯状突起の頂面の内側端の角部付近に設定さ
    れたことを特徴とする請求項1記載の無限軌道履帯用履
    板。
  3. 【請求項3】 前記芯金は前記帯状突起により形成され
    る剛性履板の接地面の凹凸形状に相対する凹凸形状に形
    成され、前記複数の帯状突起のうち最前端及び最後端の
    帯状突起の頂面は前記芯金によって覆われずに前記弾性
    体によってのみ覆われ、前記芯金の前端部及び後端部
    は、前記最前端及び最後端の帯状突起のそれぞれ頂面の
    高さ位置より低くされ、前記弾性履板の前端部及び後端
    部は前記最前端及び最後端の帯状突起の頂面に位置する
    ことを特徴とする請求項2記載の無限軌道履帯用履板。
  4. 【請求項4】 前記剛性履板は、幅方向の中央部付近に
    開穿された泥抜き穴を有し、前記弾性履板は、前記剛性
    履板の前記泥抜き穴と相対する位置に、前記泥抜き穴よ
    り小さい貫通穴が開穿されたことを特徴とする請求項1
    乃至3何れか一項記載の無限軌道履帯用履板。
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