JPH074272U - 鉄・ゴム一体式履帯 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 不整地作業が主である中型・大型ショベルに
適するように構造を簡素化して部品点数を大幅に減少さ
せ、しかも材質の低級化・熱処理の簡略化、その上車体
振動および騒音も低減できるようにしたもの。 【構成】 周方向に並列間隔の駆動輪Ａの噛合係合部
４、その両外側にロ−ラガイド５、および転動レ−ル面
６をそれぞれ有する金属芯金３と、芯金３の左右の翼３
ａの下部で周方向に配置したスチ−ルコ−ド７とを埋設
したゴム履帯２において、ゴム履帯２の接地側のラグを
含む外周面に、芯金３と同数の鉄履板８を加硫により接
着しもの。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は装軌車両に使用される芯金を有する履帯に係り、特に不整地稼働が主体 の中型および大型の油圧ショベル（以下ショベルと言う）に適する鉄・ゴム一体 式履帯に関する。

【０００２】

【従来の技術】

従来から装軌車両においては、誘導輪と起動輪との間に設けたトラックフレ− ムの上下にそれぞれ複数個の上転輪および下転輪とを設け、これら各転動輪に履 帯を巻装して起動輪に伝達された動力により車両が走行するようになっているが 、この場合の履帯は中型や大型のショベル等不整地稼働が主の車両ではシュ−、 リンク、ピン、ブッシュ、シ−ル、ボルト、ナット等の部品を規則的に組み合わ せて連続させ、圧入や締結により結合した組立式の鉄履帯となっている。一方舗 装路での稼働が主体のミニ・小型ショベルでは路面を傷付けないためにゴム一体 式履帯が多く使用され、先行技術としても多数の発明や考案がなされている。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかして鉄履帯では上述のように組立式のため、構成部品の結合部や摺動部は 寸法精度が要求されるので機械加工が必要であり、また、鉄の剛体のため作業や 走行等の稼働中の衝撃負荷を直接受けるので、耐久性の関係からどの部品にも熱 処理を施した特殊鋼を使用しており、しかも走行時の騒音が大きいため、車体に 与える振動も大きくなる欠点があった。さらに組立式の鉄履帯の公知技術として 実公昭５２−５０５１４号公報にはのリンクとシュ−との間に緩衝材としての発 泡体を挟み、シュ−プレ−トが外部より受ける衝撃を吸収するようにしたものが ある。しかしながらこれは衝撃は吸収できるものの、組立式であるから構成され る部品点数としては従来と変わりなく、本考案が解決しようとする課題の解消は できなかった。そして上述したようなゴム履帯を不整地において使用すれば、ゴ ムの摩耗が激しく長時間の使用は不可能であった。

【０００４】 本考案はこれに鑑み、不整地作業が主である中型・大型ショベルに適するよう に構造を簡素化して部品点数を大幅に減少させ、しかも材質の低級化・熱処理の 簡略化、その上車体振動および騒音も低減できるようにした鉄・ゴム一体式履帯 を提供して従来技術の持つ欠点の解消を図ることを目的としてなされたものであ る。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するため本考案は周方向に並列間隔の駆動輪の噛合係合部、その 両外側にロ−ラガイド、および転動レ−ル面をそれぞれ有する金属芯金と、該芯 金の左右の翼の下部で周方向に配置したスチ−ルコ−ドとを埋設したゴム履帯に おいて、該ゴム履帯の接地側のラグを含む外周面に、該芯金と同数の鉄履板を加 硫により接着したことを特徴とする。

【０００６】

【作用】

上記構成によれば、不整地においては接地面が鉄履板で接触することになり、 したがってゴムの場合と異なって摩耗が少なくなるので、耐久性が向上できる。

【０００７】

【実施例】

図１は本考案にかかる鉄・ゴム一体型履帯の一実施例を示す平面図、図２は図 １の側面図、図３は図１のＡ−Ａ断面図である。

【０００８】 以下、本考案を図１図乃至図３に示す一実施例を参照して説明する。本考案に かかる鉄・ゴム一体型式履帯１は周方向に並列間隔の駆動輪Ａの噛合係合部４、 その両外側にロ−ラガイド５、その外側に転動レ−ル面６をそれぞれ有する金属 芯金３（以下芯金と云う）と、該芯金３の左右の翼３ａの下部で周方向に配置し たスチ−ルコ−ド７とを埋設したゴム履帯２において、該ゴム履帯２の接地側の ラグを含む外周面に、該芯金３と同数の鉄履板８を加硫により接着したもので構 成されている。

【０００９】 図１は図の上下方向が前後方向となる履帯１を内側が見えるように展開したも のを示し、前後方向、すなわち周方向に並列した金属性の芯金３の両側にある翼 ３ａ，３ａが履帯１のゴム内に埋め込まれている。そして芯金３の中心部には図 ３に一部を示した駆動輪Ａの噛み合い係合部４とその左右には上部に所定高さ突 出したロ−ラガイド５が設けられ、ロ−ラガイド５の外側には前記噛み合い係合 部４とほぼ同じ高さに転動レ−ル面６か設けられて、共にゴム履帯２からは上部 に露出した状態となっている。図中、９は回転する駆動輪（スプロケット）Ａの 歯先用の穴である。また、前記芯金３の翼３ａの下側のゴム履帯２内には周方向 にスチ−ルコ−ド７が図２および図３に示すように埋め込まれてゴム履帯２の前 後方向を補強するようになっている。本考案は図２および図３に示すようにゴム 履帯２の外側の接地面となる全部分に鉄履板８を加硫により接着したもので、ラ グ１０部分も同じ厚さで接着されており、隣合う鉄履板８との間には走行中に石 等に乗り上げた時に互いに干渉することを防止するようにある程度の隙間１１が 設けられている。図２中、１２は転輪である。

【００１０】 つぎに作用を説明する。本考案の履帯を採用した車体を不整地で使用した場合 には、従来の一体式鉄履帯と同様に鉄により被覆されたラグ１０の部分で地面へ の食い込みがなされるため、ゴム履帯２の部分は地面に接することはなくなり、 一体式鉄履帯と全く変わることなく走行や作業ができるので、摩耗程度は同じで ある。しかも走行の際に発生する騒音および外部より受ける衝撃はゴム履帯２に より吸収でき、したがって走行騒音および車体振動が低減される。また、一般に ゴム履帯の場合にはゴムの摩耗を考慮して履帯全体の高さを高くしているが、本 考案の場合は接地面の部分は鉄履板８であるから、ゴム履帯の場合に比較して高 さを低いものとすることができる。

【００１１】

【考案の効果】

以上説明したように本考案は周方向に並列間隔の駆動輪の噛合係合部、その両 外側にロ−ラガイド、および転動レ−ル面をそれぞれ有する金属芯金と、該芯金 の左右の翼の下部で周方向に配置したスチ−ルコ−ドとを埋設したゴム履帯にお いて、該ゴム履帯の接地側のラグを含む外周面に、該芯金と同数の鉄履板を加硫 により接着したから、従来の組立式履帯と比較して構造が簡素化され、部品点数 が大幅に少なくなり、また、嵌合い部分がないので機械加工が不要となり、さら に鉄履板および芯金に対してゴムを介在させることになるので外部負荷の吸収で きることから重量軽減、または材質の低級化や熱処理の簡素化につながって原価 の低減ができる。さらにゴム履帯の部分により車体の振動、走行騒音も低減され 、かつ履帯全体の高さが低くできるので車高が低くなり、車体の安定性も向上す る。したがって不整地における中型・大型のショベルに対して有効に機能できる 。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案にかかる鉄・ゴム一体型履帯の一実施例
を示す平面の説明図である。

【図２】図１の側面を示す説明図である。

【図３】図１のＡ−Ａ断面を示す説明図である。

【符号の説明】

１ 鉄・ゴム一体式履帯 ２ ゴム履帯 ３ 金属芯金 ３ａ 翼 ４ 噛合係合部 ５ ロ−ラガイド ６ 転動レ−ル面 ７ スチ−ルコ−ド ８ 鉄履板

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 周方向に並列間隔の駆動輪の噛合係合
   部、その両外側にロ−ラガイド、および転動レ−ル面を
   それぞれ有する金属芯金と、該芯金の左右の翼の下部で
   周方向に配置したスチ−ルコ−ドとを埋設したゴム履帯
   において、該ゴム履帯の接地側のラグを含む外周面に、
   該芯金と同数の鉄履板を加硫により接着したことを特徴
   とする鉄・ゴム一体式履帯。