JP3434047B2 - 溶融シリカ粉末の製造方法 - Google Patents

溶融シリカ粉末の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、天然珪石から得られた
ウラン含有率0.1ppb以下の溶融シリカ粉末の製造
方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】半導体ICの急激な高集積化・高密度化
に伴ってMOS DRAMやCCDのようにデータを電
荷として蓄積するメモリにおいては、蓄積データが半導
体封止材から放出されるα線によって反転するソフトエ
ラーを無視することができない状況になっている。 【0003】そのためには、α線放出量の小さい半導体
封止材を使用する必要があり、とりわけ半導体封止材の
80〜90重量%を占めているシリカ粉末をウラン含有
率0.1ppb以下のものを使用する必要がある。 【0004】従来、ウラン含有率0.1ppb以下のシ
リカ粉末は、合成法によってのみ製造することができ天
然法では不可能であった。天然法は合成法に比較して生
産性が良好である利点がある。 【0005】すなわち、合成法には珪酸アルカリを中和
・ゲル乾燥・粉砕後火炎溶融する方法(特開平2−14
5415号公報等)、アルコキシシランを火炎分解する
方法(特開昭61−295209号公報等)などが知ら
れているが、製造工程が複雑なために高価である。これ
に対して、天然法は天然珪石を粉砕しそれを溶融して製
造されるものであるため合成法よりも安価となるが、ウ
ラン含有率0.1ppb以下を達成することはできな
い。その理由は、産地を厳選することによってウラン含
有率0.1ppb以下の高純度珪石を入手することがで
きるが、溶融シリカの製造工程、例えば粉砕工程、粒度
調整工程等でウランが混入してしまうからである。 【0006】 【発明が解決しようとする課題】本発明者らは、天然法
によってウラン含有率0.1ppb以下の溶融シリカ粉
末を得る方法について鋭意検討した結果、ウラン含有率
0.1ppb以下の天然珪石を先ず加熱してから粉砕し
それを溶融すればすればよいことを見いだし、本発明を
完成するに至ったものである。 【0007】 【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、天
然珪石から得られたウラン含有率0.1ppb以下の溶
融シリカ粉末の製造方法である。 【0008】以下、更に詳しく本発明について説明す
る。 【0009】ウランの混入を防止しつつ天然珪石を粉砕
する方法としては、目的の粒度が得られるようにサイズ
調整された珪石自身を粉砕媒体とすることが知られてい
る。この方法によれば、粉砕物と同等又はそれ以上に不
純物の少ない粉砕媒体を用いて粉砕が行われるので比較
的高純度の粉砕物を得ることが可能であるが、粉砕効率
が悪いので長時間の粉砕が必要となり、そのため粉砕機
のライニング材等からのコンタミを避けることができ
ず、ウラン含有率が増大してしまう。 【0010】一方、短時間で粉砕を行うのに高純度アル
ミナ製粉砕媒体を用いることが行われているが、アルミ
ナには数10ppbのウランが含まれているのでこれま
た粉砕物のウラン含有率が増大してしまう。 【0011】そこで、本発明者らは珪石の結晶転移によ
る熱膨張収縮に着目した。すなわち、天然珪石の結晶相
であるα−石英は加熱されると573℃でαからβ転移
による急激な変態膨張を起こし、β−石英に転移し終え
るとその膨張は急に停止し収縮に移るが、このような結
晶転移による熱膨張収縮は1100℃までは加熱と冷却
とにおいて可逆的であるということである。 【0012】本発明は、天然珪石を加熱冷却すると結晶
転移による熱膨張収縮によって無数のクラックが発生し
て粉砕が容易となり、粉砕機のライニング材や粉砕媒体
によって粉砕物が汚染される恐れが極めて少なくなると
いうことに基づいている。 【0013】本発明においては、天然珪石の加熱温度は
できるだけ低いほうが製造コストの面から好ましいが、
500℃未満であるとα−石英からβ−石英への結晶転
移が不十分となるので500℃以上好ましくは600℃
以上の加熱が好ましい。加熱温度の上限については特に
限定はないが1100℃以下が好ましい。天然珪石のウ
ラン含有率としては0.1ppb以下である。 【0014】本発明においては、石英の結晶転移による
熱膨張収縮は昇温速度と冷却速度の影響を受けないの
で、天然珪石の加熱方法としては、抵抗加熱炉、誘導加
熱炉等の電気加熱、LPG、水素、一酸化炭素等のガス
燃焼加熱、重油等の液体燃料加熱、石炭等の固形燃料加
熱、高温排ガスによる加熱等を全ての加熱手段を採用す
ることができる。また、加熱後の冷却手段についても、
自然冷却、軸流ファン等による強制冷却、不純物除去し
た水冷却等を採用することができる。 【0015】加熱処理された天然石英の粉砕は、振動ミ
ル、ボールミル等の一般の粉砕機を用いて行われ、その
際に使用される粉砕媒体としては目的粒度が得られるよ
うにサイズ調整された天然珪石、高純度アルミナ、窒化
珪素等のように加熱処理の行われた天然珪石よりも硬度
と耐摩耗性の高いものが望ましい。目的粒度の一例をあ
げれば140μm下である。 【0016】粉砕物の溶融法としては、従来の火炎溶射
法を好ましく採用することができ、その一例は特公平5
−87292号公報に詳しく記載されている。 【0017】本発明のような天然珪石から得られたウラ
ン含有率が0.1ppb以下の溶融シリカ粉末の用途と
しては、半導体封止材等の樹脂用充填材、化粧品、塗料
等、従来の用途をあげることができる。 【0018】 【実施例】以下、本発明を実施例、比較例をあげて更に
具体的に説明する。なお、ウラン含有率は、分光蛍光光
度計(日立計測器社製 測定限界0.01ppb)を用
いて測定した。 【0019】実施例1〜4 ウラン含有率0.03ppb、粒子径9mm以下の天然
珪石を抵抗加熱炉に入れ、5℃/分の昇温速度で温度6
00℃又は800℃まで加熱しその温度で10分間保持
した後抵抗加熱炉の電源を切り自然冷却した。得られた
珪石には全てクラックが発生しており白色化していた。 【0020】加熱処理された珪石を連続式ボールミル
(ライニング材:アルミナ)を用い、粉砕媒体として高
純度アルミナボール(直径20mm)又は加熱処理の行
われていない高純度珪石ボール(直径50〜100m
m)を用いて粉砕した。この場合、目的粒度(140μ
m下とした)を得るために、珪石フィード量を高純度ア
ルミナボールを使用したときには90kg/時とし、高
純度珪石ボールを使用したときには10kg/時とし
た。 【0021】粉砕物の粒子径140μm下の粉末を振動
篩により篩分けし、その回収率を測定するとともに粒子
径140μm下の粉末中のウラン含有率を測定した。そ
の結果を表1に示す。 【0022】以上のようにして得られた珪石粉末をLP
G−酸素で形成させた温度1800℃以上の火焔中に供
給して溶融した後冷却し、粒子径140μm以上の粗大
粒子を除去して溶融シリカ粉末を製造し、そのウラン含
有率を測定した。その結果を表1に示す。 【0023】比較例1〜2 天然珪石の加熱を行わないか、又は温度450℃で加熱
を行ってから粉砕しそれを溶融したこと以外は実施例と
同様にして溶融シリカ粉末を製造した。その結果を表1
に示す。 【0024】 【表1】 【0025】本発明によれば、天然珪石からウラン含有
率0.1ppb以下の溶融シリカ粉末を製造することが
できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−72615(JP,A) 特開 平1−230422(JP,A) 特開 平4−132610(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C01B 33/12

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】【請求項1】 ウラン含有率0.1ppb以下の天然
    珪石を温度500℃以上に加熱してから粉砕し、それを
    溶融することを特徴とする溶融シリカ粉末の製造方法。
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