JP3420363B2 - 多孔性フィルムおよびその製造方法 - Google Patents

多孔性フィルムおよびその製造方法

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JP3420363B2
JP3420363B2 JP31015794A JP31015794A JP3420363B2 JP 3420363 B2 JP3420363 B2 JP 3420363B2 JP 31015794 A JP31015794 A JP 31015794A JP 31015794 A JP31015794 A JP 31015794A JP 3420363 B2 JP3420363 B2 JP 3420363B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、極めて柔軟で透湿性お
よび伸縮性に優れた多孔性フィルムおよびその製造方法
に関する。詳しくは、特定のエチレン−α−オレフィン
共重合体、特定の熱可塑性エラストマー及び無機充填材
を含有する組成物よりなり、柔軟で透湿性および伸縮性
に優れた多孔性フィルムおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】多孔性フィルムの用途の一つに紙おむつ
のバックシートを挙げることができる。このような用途
に使用される多孔性フィルムには次のような性質が求め
られる。まず、紙おむつ着用時の蒸れを防止するために
良好な透湿性を有していなければならない。次に、肌触
り感が良く、また運動の妨げにならないように柔軟であ
ることが必要である。さらに、多孔性フィルムは、体の
動きに応じて様々に伸長されるが、このとき、伸長後の
残留歪みが大きいときは、伸長後に元の大きさに戻らな
い。このため、フィット感がなくなり、さらには、体か
らずり落ちるという問題が生じる。したがって、多孔性
フィルムには、伸長後の残留歪みが小さい、即ち、伸縮
性が良好であることが求められている。
【0003】ところで、ポリオレフィン系多孔性フィル
ムの柔軟化に関しては従来より種々試みられている。大
別すれば〔A〕ポリオレフィン樹脂にゴム状成分、ワッ
クス乃至液状物を添加する方法、〔B〕マトリックス樹
脂自身に低弾性率樹脂を採用する方法の2種に分類され
る。
【0004】〔A〕の代表例として次のものが挙げられ
る。(1)特公昭62−15090号公報には、線状低
密度ポリエチレンに充填剤とワックス状もしくは液状の
炭化水素重合体を添加した組成物由来の柔軟性を有する
透湿性フィルムを得る方法が開示されている。しかし、
本発明の目的とする柔軟性と伸縮性を共に満足する透湿
性フィルムを得るまでには至っていない。
【0005】(2)特開昭63−295649号公報で
は、線状低密度ポリエチレンにエチレン−プロピレン−
ジエン共重合体のようなオレフィン系ターポリマーを添
加する方法が提案され、強度が大で延伸ムラの少ないフ
ィルムが開示されている。この方法では、オレフィン系
ターポリマーの添加により柔軟性を有し且つ透湿性を有
するフィルムが得られるが、伸縮性にすぐれたフィルム
とは言いがたい。伸縮性の向上を目的としてオレフィン
系ターポリマーの添加量を増加させると、透湿度の低い
フィルムしか得られなくなる。
【0006】〔B〕の方法に関するものとしては次のも
のが挙げられる。(1)特公平4−58824号公報で
は、母材ポリマーとして低弾性率で疎水性表面を有する
配向可能な熱可塑性ポリマーが採用されている。かかる
母材ポリマーの例示としてエチレン/プロピレン/1,
4−ヘキサジエン三元共重合体が示されている。しか
し、この方法では常温延伸が行われているように母材ポ
リマーの融点が低い。したがって、得られたフィルムは
熱収縮が大きく、少しの熱で透湿性が変化し、実用に供
し得ないフィルムである。
【0007】(2)特公平4−82010号公報では、
密度0.86〜0.91g/cm2沸騰n−ヘキサン不
溶分が10重量%以上でDSCピーク温度が100℃以
上のエチレン−α−オレフィン共重合体を使用すること
が示されているが、これらの性状を有する樹脂を使った
通気性フィルムは低分子量成分が存在するためか、柔軟
性はあるものの伸縮性まで付与されたフィルムとはいい
がたいものである。
【0008】(3)特開平5−50522号公報では、
エチレン−プロピレン−ジエン共重合体/エチレン−酢
酸ビニル共重合体の採用が示されているが、実施例に開
示されたフィルムでは柔軟性と伸縮性は備えているもの
の、透湿性の点で十分満足できるものとは言えない。ま
た、他に臭気やブロッキングが発生し易い等の問題が残
っている。
【0009】(4)特公平5−18856号公報では、
ポリオレフィンエラストマー又は該ポリオレフィンエラ
ストマーとポリオレフィンとの樹脂組成物に無機充填材
を配合した組成物を延伸することにより柔軟伸縮性を有
する多孔性シートが提案されている。ここではポリオレ
フィンエラストマーとして、エチレン−プロピレン共重
合体、エチレン−ブテン共重合体等軟質樹脂を主成分と
した樹脂組成物が使用されている。しかしながら、これ
ら軟質樹脂をマトリックスとした多孔性シートは、十分
な伸縮性が得られない等の問題を有するものであった。
【0010】(5)特開平1−204936号公報に
は、密度が0.910未満の線状超低密度ポリエチレ
ン、ブタジエンゴムおよび充填材を含有する透湿性フィ
ルムが開示されている。しかし、ここで得られた透湿性
フィルムは、その実施例に記載されているように降伏点
を有するものである。降伏点を有する透湿性フィルム
は、降伏点よりも大きい張力で引き延ばしたとき、張力
を緩和しても元に戻らない、即ち、伸長後の残留歪が大
きいという問題を有している。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記した従
来技術の問題に鑑み、柔軟性を有し、透湿性にも優れて
おり、さらに伸縮性が良好である多孔性フィルムを得る
ことを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、例えば、
紙おむつのバックシートや衣料素材等に使用される通気
性防漏シートとして、透湿性が大きく柔軟性のみならず
伸縮性にもすぐれた多孔性フィルムが必要なこと、ま
た、このような性状をすべて満足する多孔性フィルムが
まだ存在しないことに鑑み、多孔性フィルムを構成する
素材に着目して鋭意研究を行った。その結果、特定のエ
チレン−α−オレフィン共重合体、特定の熱可塑性エラ
ストマー及び無機充填材を含有する組成物を用いたとき
に、上記目的を達成できることを見い出し、本発明を完
成するに到った。
【0013】即ち、本発明は、 (a)密度が0.86〜0.90g/cm3 、Mw/M
nで示される分子量分布が3以下、且つ融点が60〜1
00℃であるエチレン−α−オレフィン共重合体65〜
90重量% (b)スチレン系エラストマー、ポリエステル系エラス
トマー、ポリウレタン系エラストマーよりなる群から選
ばれた少なくとも一種の熱可塑性エラストマー35〜1
0重量%および (c)上記(a)および(b)の合計量100重量部に
対して50〜300重量部の無機充填材を含む樹脂組成
物よりなり、延伸により配向しており、一方の面から他
方の面に貫通する孔を多数有しており、且つ透湿度が2
000g/m2・24時間以上である多孔性フィルムで
ある。
【0014】本発明における(a)のエチレン−α−オ
レフィン共重合体は、ASTMD−1505による密度
が0.86〜0.90g/cm3、ゲルパーミェーショ
ンクロマトグラフ法分子量測定による重量平均分子量
(Mw)と数平均分子量(Mn)の比で示される分子量
分布(Mw/Mn)が3以下で、かつ示差走査型熱量計
(DSC)による融点が60〜100℃である。密度が
0.86g/cm3未満ではフィルムの耐熱性や強度に
劣り、延伸が困難である。一方、0.90g/cm3
越えると、後述する熱可塑性エラストマーを添加しても
十分な柔軟性と伸縮性が得られなくなり好ましくない。
また、分子量分布(Mw/Mn)が3を越えるエチレン
−α−オレフィン共重合体は、例え密度が上記の数値範
囲であったとしても、十分な透湿性が得られず、低分子
量成分の影響でベトツキ感があり、伸縮性に劣る等の問
題が発生し、好ましくない。更にDSCによる融点が6
0℃未満であると延伸によって多孔化する場合、実質的
に常温付近の延伸となり、熱収縮性が大きく好ましくな
い。また100℃を越える場合は柔軟性に劣るために好
ましくない。
【0015】本発明において、より柔軟性および伸縮性
に優れた多孔性フィルムとする場合には、(a)のエチ
レン−α−オレフィン共重合体の密度は0.87〜0.
89g/cm3であることが好ましい。分子量分布は
1.5〜3、さらには1.5〜2.5の範囲であること
が好ましい。また、融点は65〜90℃、さらには70
〜85℃の範囲であることが好ましい。
【0016】本発明で使用される(a)のエチレン−α
−オレフィン共重合体の190℃、荷重2160gにお
けるメルトフローインデックスは、得られる多孔性フィ
ルムの引裂強度および延伸性を勘案すると0.5〜20
g/10分の範囲が好ましく、1〜10g/10分であ
ることがより好ましい。
【0017】本発明で用いられる(a)のエチレン−α
−オレフィン共重合体のα−オレフィンとしては、上記
した密度、分子量分布、融点とするためには炭素数4〜
10のα−オレフィンが好ましい。炭素数4〜10のα
−オレフィンとしては、例えば、ブテン−1、4−メチ
ルペンテン−1等を例示することができる。また、該α
−オレフィンの含有量は、本発明の多孔性フィルムを柔
軟性および伸縮性の良好なものにするためには2〜40
モル%、さらには5〜20モル%であることが好まし
い。また、X線回折による結晶化度は多孔化を良好に行
うためには5〜25%の範囲であることが好ましい。
【0018】次に、本発明では、(b)の特定の熱可塑
性エラストマーを上述した(a)のエチレン−α−オレ
フィン共重合体に配合することが、伸縮性に優れた多孔
性フィルムとするために必要である。使用し得る熱可塑
性エラストマーは、スチレン系エラストマー、ポリエス
テル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマーより
選ばれる。
【0019】スチレン系エラストマーは、ポリスチレン
ブロックをハードセグメントとし、ポリブタジエン、ポ
リイソプレン、ポリエチレン−ポリブテン、ポリエチレ
ン−ポリプロピレン等の各ブロックをソフトセグメント
とするものである。具体的には、スチレン−ブタジエン
ブロック共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重
合体、スチレン−エチレン−ブテンブロック共重合体、
スチレン−エチレン−プロピレンブロック共重合体等を
挙げることができる。
【0020】これらの内、スチレン−エチレン−ブテン
ブロック共重合体、およびスチレン−エチレン−プロピ
レンブロック共重合体は、それぞれスチレン−ブタジエ
ンブロック共重合体、およびスチレン−イソプレンブロ
ック共重合体中に残存するブタジエンユニットまたはイ
ソプレンユニットに由来する不飽和結合に水素を付加反
応させたものである。本発明においては、耐候性、耐熱
性等を向上させるために、これらの水素付加されたスチ
レン系エラストマーを好適に使用できる。水素付加の程
度は、共重合体中に残存する不飽和結合の量が少ないほ
ど好ましく、通常は、共重合体中に残存する不飽和結合
の数の99%以上が水素添加されていることが好まし
い。
【0021】また、スチレン系エラストマーは、ソフト
セグメントの含有割合が多いほうが、得られる多孔性フ
ィルムが柔軟性となるために好ましく、通常は、スチレ
ン含有量が10〜20重量%の範囲であることが好まし
い。
【0022】さらに、スチレン系エラストマーは、流動
性のよいものが成形性が良好であるために好ましく、例
えば、190℃(荷重2160g)でのメルトフローイ
ンデックスが0.1〜20g/10分の範囲のものが好
適である。
【0023】ポリエステル系エラストマーは、ハードセ
グメントに結晶性ポリエステル、ソフトセグメントにポ
リエーテルまたは脂肪族ポリエステルを有するブロック
共重合体を挙げることができる。これらもソフトセグメ
ント成分の多い柔軟性を有するものから選ぶことが好ま
しい。
【0024】更にポリウレタン系エラストマーは、ポリ
エーテルまたはポリエステルからなるソフトセグメン
ト、および、グリコールとジイソシアネートから成るハ
ードセグメントより構成される熱可塑性エラストマーで
ある。
【0025】次に、本発明に用いる(c)無機充填材と
しては、一般に樹脂またはゴム類に使用されている公知
のものを何等制限なく使用することができる。一般には
平均粒径が0.1〜50μm、好ましくは0.5〜10
μmのものが好ましく使用できる。本発明において好適
に使用しうる無機充填材を具体的に例示すると、例え
ば、Al、Si、Pb、Zn、Fe、Cu、Ni、P
d、Co、Mn、Cr、Mo、W、Ti、Zrなどの金
属;アルミナ、シリカ、三酸化アンチモン、酸化亜鉛、
酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化鉄、酸化銅、
酸化銀、酸化チタンなどの金属酸化物;水酸化マグネシ
ウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウムなどの金
属水酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸
バリウム、炭酸ナトリウムなどの金属炭酸塩;硫酸ナト
リウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、硫酸アルミニ
ウム、硫酸鉄などの金属硫酸塩;炭化ケイ素などの金属
炭化物;窒化ケイ素、窒化硼素などの金属窒化物;硫化
亜鉛、硫化水銀、硫化銅、硫化銀、硫化鉄、硫化セレン
などの金属硫化物などである。
【0026】上記した各成分の配合割合は、(a)エチ
レン−α−オレフィン共重合体が65〜90重量%、
(b)熱可塑性エラストマーが35〜10重量%でなけ
ればならず、(a)が70〜85重量%、(b)が30
〜15重量%であることが好ましい。但し、この場合、
(a)と(b)の合計量は100重量%である。(a)
が90重量%を越え、(b)が10重量%未満である
と、単独のエチレン−α−オレフィン共重合体の柔軟
性、伸縮挙動と大差なく、混合効果がない。一方、
(a)が65重量%未満であり、(b)が35重量%を
越えると、延伸成形が困難となり延伸時に破断や延伸後
の寸法収縮性が大きくなるため好ましくない。
【0027】また、(c)無機充填材の配合割合は、極
めて柔軟で伸縮性があり透湿度が大きく、かつ引裂強度
の優れた多孔性フィルムとするためには、(a)エチレ
ン−α−オレフィン共重合体と(b)熱可塑性エラスト
マーとの合計量100重量部に対して50〜300重量
部の範囲であることが必要であり、80〜250重量部
の範囲であることが好ましい。50重量部より少ない場
合、延伸倍率を大きくしても孔が少なく、透湿性のある
フィルムとすることができない。逆に300重量部を越
えると、溶融混練成形が困難となり、延伸成形ができな
くなる等、目的とする多孔性フィルムが得られなくな
る。
【0028】また、(c)無機充填材の他に顔料、安定
剤、界面活性剤、可塑剤、その他の添加剤を少量加える
ことは必要に応じて行うことができる。
【0029】本発明の多孔性フィルムは延伸により配向
している。この延伸により、(a)と(b)よりなる樹
脂成分と(c)の無機充填材の界面において剥離が生
じ、多数の孔が形成される。配向は一軸方向であっても
二軸方向であってもよい。配向の程度は、後述する延伸
の程度によって左右され、通常は、一軸方向に1.1〜
3.0倍、二軸延伸の場合は縦横方向にそれぞれ1.1
〜3.0倍の範囲であることが、無機充填材の界面剥離
により形成される孔を適度の大きさにして十分な透湿性
を付与できるために好ましい。
【0030】この孔は、本発明の多孔性フィルムの一方
の表面から他方の表面に貫通している。したがって、本
発明の多孔性フィルムは透湿性を有する。透湿性の程度
を示す透湿度は、良好な透湿性を発揮させるためには2
000g/m2・24時間以上でなければならない。透
湿度が2000g/m2・24時間未満のフィルムは透
湿性が不足し、これを、例えば、おむつのバックシート
として使用したときは、汗や尿による蒸れを解消するこ
とができない。本発明の多孔性フィルムの透湿度は、よ
り十分な透湿性を発揮させるためには2500〜600
0g/m2・24時間であることが好ましく、さらに
は、3000〜5000g/m2・24時間であること
がより好ましい。
【0031】本発明の多孔性フィルムは、上記のように
樹脂成分と無機充填材との界面剥離による孔を多数有し
ている。その多孔度は十分な透湿性を発揮させるために
は一般に5〜40%となっていることが好ましく、さら
に、10〜30%となっていることがより好ましい。
【0032】本発明の多孔性フィルムは、上記のように
良好な透湿性を有するものであるが、水は透過させな
い。したがって、本発明の多孔性フィルムをおむつのバ
ックシートとして使用した場合は、透湿性によりおむつ
内部が蒸れることはなく、且つ、耐水性により尿が漏れ
ることはない。本発明の多孔性フィルムの耐水性は、通
常、5000mmH2O以上であり、さらに10000
mmH2O以上とすることもできる。
【0033】また、本発明の多孔性フィルムは柔軟性に
優れている。柔軟性は50%伸長強度で表すことができ
る。即ち、50%伸長強度が大きくなりすぎると、多孔
性フィルムを伸ばした時に抵抗感が強くなり、柔軟性に
乏しくなる。本発明の多孔性フィルムは50%伸長強度
が、通常、100〜500g/25mmであり、さらに
120〜450g/25mmであることが好ましい。
【0034】さらに、本発明の多孔性フィルムは降伏点
を有さない。したがって、降伏点を有する樹脂のように
降伏点を越える張力で伸長した場合に張力を緩和した後
も元の大きさにまで戻らない、即ち、残留歪が大きいと
いう問題を、本発明の多孔性フィルムは有さない。本発
明の多孔性フィルムの50%伸長後の残留歪は、一般に
10%以下であり、9.5%以下とすることもできる。
【0035】さらにまた、本発明の多孔性フィルムは多
孔性であるにも拘わらず引裂強度が大きく、下記式 Tr≧15+t (但し、Trは引張強度(g)であり、tは多孔性フィ
ルムの厚み(μm)である。)を満足する。
【0036】本発明の多孔性フィルムの厚みは、前述の
おむつのバックシートとして使用する場合には、柔軟性
や肌触り感から、通常、10〜100μmであることが
好ましく、さらに20〜50μmであることがより好ま
しい。
【0037】本発明の多孔性フィルムは、どのような方
法で製造されてもよいが、通常は、次の方法で好適に製
造できる。
【0038】(a)密度が0.86〜0.90g/cm
3 、Mw/Mnで示される分子量分布が3以下、且つ融
点が60〜100℃であるエチレン−α−オレフィン共
重合体65〜90重量% (b)スチレン系エラストマー、ポリエステル系エラス
トマー、ポリウレタン系エラストマーよりなる群から選
ばれた少なくとも一種の熱可塑性エラストマー35〜1
0重量%および (c)上記(a)および(b)の合計量100重量部に
対して50〜300重量部の無機充填材を含む樹脂組成
物をシート状に成形し、次いで、(a)の軟化点以下の
温度で少なくとも一軸方向に延伸する方法である。
【0039】本発明における(a)と(b)の樹脂成分
と(c)の無機充填材との混合は、通常の手段が採用さ
れ、一般にブレンダーなどによる混合の後、押出機やバ
ンバリーミキサーなどの溶融混練機により混合した後、
必要に応じてペレット化し、フィルム成形に供する。
【0040】フィルム成形する方法は特に制限されない
が、一般にインフレーション成形法やT−ダイを用いる
押出成形法が好ましい。次に延伸は一般にロール延伸法
による一軸延伸、または一軸延伸後テンター延伸機、エ
ヤーインフレーション延伸機、マンドレル延伸機などに
より横方向に遂次二軸延伸するか、あるいは同時に縦お
よび横方向に二軸延伸する方法により多孔性フィルムと
することができるが、二軸延伸法を採用するのが好まし
い。
【0041】延伸温度は(a)のエチレン−α−オレフ
ィン共重合体の融点以下、とりわけ融点より10℃低い
温度で延伸するのが好ましい。延伸倍率は少なくとも一
軸方向、好ましくは縦方向に1.1〜3.0倍、また、
二軸延伸の場合は縦横方向にそれぞれ1.1〜3.0倍
とすることが、強伸度バランスと同時に優れた透湿性を
発現させるために好ましい。さらに延伸工程に次いで熱
処理工程やコロナ放電処理等の表面処理も行なうことが
できる。
【0042】
【発明の効果】本発明により得られた多孔性フィルム
は、極めて柔軟で伸縮性に富み、さらに、透湿度が25
00g/m2・24hr以上であり、透湿性にも優れ
る。
【0043】このような性質は、例えば、使い捨ておむ
つのバックシートに使用した場合、身体へのフィット感
がすぐれ、かつムレのない防漏シートとして優れた特性
となる。また、このような特性を有する多孔性フィルム
は、生理用ナプキンを含む衛生品用途、雨カッパ、手
袋、簡易ジャンバー等の衣料用途、手術着やガウン、シ
ーツ等の医療品用途、建築材料、包装材料等広範な用途
に適用できる。
【0044】
【実施例】以下、実施例および比較例を示すが、本発明
はこれらの実施例に制限されるものではない。尚、実施
例および比較例に掲載した物性測定値は以下に示す方法
によって行ったものである。
【0045】1)多孔度;フィルムの密度より次式に基
づいて算出した。
【0046】
【数1】
【0047】2)50%伸長時強度;引張り試験機(テ
ンシロン東洋ボールドウィン製)にて200mm/mi
nの速度にて測定。
【0048】3)50%伸長後の残留歪;同上試験条件
にて、標点間を50%伸長させ、10分間保持後試験片
をとりはずし、10分後の回復長さを測定することによ
り求めた。
【0049】4)透湿度;40℃、相対温度90%でJ
IS Z0208に準拠して測定。
【0050】5)引裂強度;JIS L1085A−1
法に準拠して測定。
【0051】6)耐水圧;JIS L1092B法に準
拠して測定。
【0052】7)メルトフローレイト;JIS K67
60に準拠して測定。
【0053】8)分子量及び分子量分布;GPC測定に
より算出した。(センシュー科学SSC−7100)。
【0054】9)融点;示差走査熱量測定器にて試料を
170℃に昇温し15分間保持後0℃まで2.5℃/分
で冷却し、次いで10℃/分で170℃まで昇温し、こ
の間に現れた最大ピークの頂点位置より求めた。
【0055】また、以下の実施例および比較例において
用いた成分を表1および表2に示した。
【0056】
【表1】
【0057】
【表2】
【0058】実施例1〜6、比較例1〜6 表1及び表2に示す樹脂及びエラストマーを表3に示す
組成割合でスーパーミキサーで混合し、次いで二軸押出
機でペレットとした。このペレットをスクリュー径50
mmφ、ダイ径150mmφのインフレーション押出機
を用い、下記の条件で厚さ35μm、折径450mmの
未延伸フィルムを成形した。
【0059】(押出条件) ・シリンダー温度・・・130℃(C1)、140℃
(C2)、140℃(C3) ・アダプター温度・・・145℃ ・ダイ温度・・・・・・150℃ ・スクリュー回転数・・ 30rpm ・引取速度・・・・・・ 10m/min 次いで、これらのフィルムをロール延伸機にて45℃で
1.8倍に一軸延伸した。更に、この一軸延伸シートを
次の構造から成る二軸延伸機で二軸延伸した。すなわ
ち、二軸延伸装置として繰入れロールによって予熱部及
び拡巾延伸部が1体となったマンドレルが懸垂され該マ
ンドレルがエヤリングにより外部加熱され、更に延伸さ
れたシートを引取る引取ロールより成るものである。こ
の二軸延伸装置により一軸延伸後の折径400mmのシ
ートを横方向に50℃〜55℃の間で1.7倍に延伸
し、冷却して巻き取った。得られたシートは厚さ25μ
mであり、シートの実質延伸倍率は1.6×1.3倍で
あった。
【0060】得られた多孔性フィルムの性状は、熱可塑
性エラストマーを所定の割合で添加されたフィルムは低
い応力で伸長し、降伏点を有さず、残留歪も小さく、伸
縮性を有するものでかつ引裂強度に優れ透湿度の大きい
防水性を有するフィルムであった。一方、熱可塑性エラ
ストマーの添加のないものは実施例に比べ、残留歪の点
で劣り、反対に添加量が多くなると延伸破断が生じた。
更に低密度で分子量分布の広いエチレン−α−オレフィ
ン共重合体を主成分とするもの及び液状ポリブタジエン
を添加したものはいずれも歪が大きく、透湿度の低いフ
ィルムであった。更にまた、低密度で分子量分布の狭い
非晶性のエチレン−プロピレン共重合体は一軸延伸時破
断した。結果を表3に示した。
【0061】
【表3】
【0062】実施例7〜11、比較例7〜8 表3に示す組成割合で、実施例1と同じ方法でペレット
を作り、これら原料組成ペレットにて実施例1と同様に
してインフレーション押出機にて未延伸フィルムを作成
した。次いで延伸倍率、無機充填剤の充填量、種類及び
厚さの異なるフィルムを同じ二軸延伸装置にて作成し
た。無機充填材の充填量は50重量部未満で多孔度が低
く透湿度の低いものであり、逆に300重量部を越える
と延伸破断が生じ、フィルム成形時に破断した。結果を
表3に示した。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08J 9/00 C08L 23/04

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)密度が0.86〜0.90g/cm
    3 、Mw/Mnで示される分子量分布が3以下、且つ融
    点が60〜100℃であるエチレン−α−オレフィン共
    重合体 65〜90重量% (b)スチレン系エラストマー、ポリエステル系エラス
    トマー、ポリウレタン系エラストマーよりなる群から選
    ばれた少なくとも一種の熱可塑性エラストマー35〜1
    0重量%および (c)上記(a)および(b)の合計量100重量部に
    対して50〜300重量部の無機充填材を含む樹脂組成
    物よりなり、延伸により配向しており、一方の面から他
    方の面に貫通する孔を多数有しており、且つ透湿度が2
    000g/m2・24時間以上である多孔性フィルム。
  2. 【請求項2】(a)密度が0.86〜0.90g/cm
    3 、Mw/Mnで示される分子量分布が3以下、且つ融
    点が60〜100℃であるエチレン−α−オレフィン共
    重合体 65〜90重量% (b)スチレン系エラストマー、ポリエステル系エラス
    トマー、ポリウレタン系エラストマーよりなる群から選
    ばれた少なくとも一種の熱可塑性エラストマー35〜1
    0重量%および (c)上記(a)および(b)の合計量100重量部に
    対して50〜300重量部の無機充填材を含む樹脂組成
    物をシート状に成形し、次いで、(a)の軟化点以下の
    温度で少なくとも一軸方向に延伸することを特徴とする
    請求項1記載の多孔性フィルムの製造方法。
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