JP3418581B2 - 誘電体バリア放電ランプ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、放電ガスを封入し
た円筒状の放電管の内側および外側に夫々配置された内
側電極および外側電極に高周波の励起電圧を印加して発
光させる誘電体バリア放電ランプに関する。

【０００２】

【従来の技術】半導体集積回路（ＩＣ）、液晶表示デバ
イスおよびプリント基板等の各種電子デバイスの製造工
程で使用される露光装置等には、強力な紫外線を発光す
る放電ランプを必要とする。このような放電ランプの一
例として、誘電体バリア放電エキシマランプがある。従
来の誘電体バリア放電エキシマランプは、例えば、特開
平７−１４５５３号公報、特開平７−１４５５４号公報
および特開平６−３１０１０４号公報等の「誘電体バリ
ア放電ランプ」に開示されている。このような従来の誘
電体バリア放電ランプは、図２に示すように、内側管２
および外側管３よりなる放電容器１と、内部電極４およ
び外部電極５と、ゲッター６と、放電空間７および突起
物９により構成される。

【０００３】放電容器１は、略円筒状であり、その中心
軸の周りに同軸状に配置された内側管２および外側管３
により構成され、その円筒状の放電空間７内には誘電体
バリア放電によってエキシマ分子を形成する放電ガスが
充満されている。この放電容器１の少なくとも一部は、
誘電体バリア放電の誘電体を兼ねている。また、放電用
ガスの少なくとも一部は、エキシマ分子から放射される
光に対して透過性であり、この放射光を光透過性のガラ
ス等で製造された放電容器１の外部に取り出し可能に構
成されている。この放電容器１を構成する内側管２の内
面および外側管３の外表面には、例えば、網状等の電極
４、５が設けられている。なお、図示せずも、これら電
極４、５間には、導線を介して外部から高周波、かつ高
電圧の励起電源８により励起されることにより放電用ガ
スが放電発光する。

【０００４】また、このような誘電体バリア放電ランプ
は、放電により発熱するので、例えば、内側管２の内部
に冷却水等を流して、放電容器１が過度に加熱されるの
を防止するよう構成されている。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】このような誘電体バリ
ア放電ランプは、長時間にわたって発光効率が安定して
おり、かつ長寿命であることが望ましい。例えば、この
ような誘電体バリア放電ランプの発光効率の低下は、露
光時間が長くなり、上述したような電子デバイスの製造
効率が低下し、製造コストを上昇させることとなる。ま
た、寿命が短い場合にも製造設備費が上昇し、同様の結
果を招来する。

【０００６】また、このような誘電体バリア放電ランプ
にあっては、放電容器の表面に埃その他の不純物が付着
して、光の透過率が低下したり、放電容器内に封入した
放電用ガス中の不純物による劣化も生じ得る。従って、
放電容器のクリーニングまたは交換の必要性が生じる
が、従来の誘電体バリア放電ランプにおいては、このよ
うな作業が容易ではなかった。さらに、この誘電体バリ
ア放電ランプは、堅牢性が不十分である等の種々の課題
を有していた。

【０００７】そこで、本発明は、構成が簡単であり、か
つ装置の分解や放電管の交換作業が容易である誘電体バ
リア放電ランプを提供することを目的としている。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明の誘電体バリア放
電ランプは、内部に放電用不活性ガスが封入された円筒
状の放電空間を有する二重構造の放電管の内側および外
側に夫々配置された内側電極および外側電極に励起電圧
が印加されて発光する誘電体バリア放電ランプにおい
て、前記放電管の中心穴に挿入された前記放電管より長
い内側電極となる導電性棒状体と、該導電性棒状体の両
端に取り付けられた前記放電管の内径とほぼ同じ内径を
有する１対の筒状ホルダとを備え、前記放電管の両端を
前記１対の筒状ホルダにより挟み付けて一体的、かつ強
固に固定したものである。

【０００９】本発明の誘電体バリア放電ランプの好適な
実施形態によると、１対のホルダは内側電極の両端に固
定ビス等により取り外し自在に取り付けられることを特
徴とする。また、放電管およびホルダの外側に、光透過
性の保護管を加圧リングにより固定することを特徴とす
る。さらに、保護管は、ホルダに対してシールされ、内
部空間に不活性ガス等の冷媒を充填することを特徴とす
る。また、ホルダの内径および外径は、放電管の内径お
よび外径と実質的に等しく選定されることを特徴とす
る。さらに、内側電極の外面とホルダおよび放電管の内
面との間には冷却水等を流す導通空間が形成されること
を特徴とする。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下、本発明による誘電体バリア
放電ランプの好適な実施形態の構成および動作を、図面
を参照して詳細に説明する。

【００１１】図１は、本発明による誘電体バリア放電ラ
ンプの好適な実施形態の構成を示す一部省略した管軸に
沿う長手方向の断面図である。この誘電体バリア放電ラ
ンプは、二重構造の放電管（発光管）20を備えている。
この放電管20の内部空間21には、キセノン（Ｘｅ）、ヘ
リウム（Ｈｅ）またはこれらの混合ガス（Ｘｅ−Ｈｅ）
等の不活性ガスが封入されている。この放電管20の中心
穴には、導電性金属製の棒状体であるを可とする内側電
極22が挿通されている。また、この放電管20の外周に
は、外側電極23が配置されている。

【００１２】外側電極23の外周には光（紫外線を含む）
透過性材料で作った保護管30が、放電管20と同軸状に配
置されている。この保護管30は、シール部材31ａ、31ｂ
および加圧ブロック32ａ、32ｂを介して加圧リング33
ａ、33ｂによりホルダ40ａ、40ｂの外側に固定される。
加圧リング33ａ、33ｂは、螺子穴を有し、ホルダ40ａ、
40ｂの外周には螺子が形成されているので、加圧リング
33ａ、33ｂをホルダ40ａ、40ｂにねじ込むことにより保
護管30を挟み付けて保持することができる。放電管20と
内側電極22との固定は、１対のホルダ40ａおよび40ｂに
より行なわれる。即ち、筒状のホルダ40ａ、40ｂを固定
ビス41ａ、41ｂにより内側電極22の両端に形成されたね
じ孔に螺入させて、放電管の20の両端から挟み付けて固
定する。なお、このホルダ40の内径および外径は、夫々
放電管20の内径および外径と実質的に等しくするのが好
ましい。

【００１３】図示した特定の実施形態においては、内側
電極22と固定ビス41ａの間にはカラー43が介在され、ホ
ルダ40ａと内側電極22との間にはＯリング42が設けら
れ、シール（気密）構造とする。保護管30は、ホルダ40
ａおよび40ｂに、１対のシール部材31ａ、31ｂ、１対の
加圧ブロック32ａ、32ｂおよび１対の加圧リング33ａ、
33ｂにより固定される。また、加圧ブロック32ａ、32ｂ
とホルダ40ａ、40ｂ間には、Ｏリング34ａ、34ｂが配置
されてシールされている。

【００１４】上述の構成により、内側電極22とホルダ40
の内面との間には導通空間45が形成され、内部に冷却水
が流れるように構成されている。また、内側電極22と外
側電極23との間には、カラー43を介して高周波、かつ高
電圧の励起電源８からの励起電圧が印加される。また、
上述のように、保護管30の内部空間35は、シール部材3
1、加圧ブロック32およびＯリング34によりシール（気
密）され、窒素等の不活性ガスの冷媒が充填されてい
る。

【００１５】以上のように構成された本発明の誘電体バ
リア放電ランプによると、内側電極22に放電管20および
ホルダ40のみならず全体構成が一体化される。この組み
立てた状態において、内側電極22および外側電極23の間
に励起電圧が電源８から印加されると、放電管20の内部
の放電空間21に封入されたＸｅ、Ｘｅ−Ｈｅガス等が励
起されて放電発光する。この放電管20からの放電光は、
光透過性の保護管30を介して外部に取り出され、例えば
ＩＣ等の露光装置の露光光源として使用される。

【００１６】この誘電体バリア放電ランプは、放電によ
り発熱するが、導通空間45内の冷却水および保護管30内
の不活性ガス冷媒等により効果的に冷却される。ここ
で、上述のようにホルダ40の内径および外径は、それぞ
れ放電管20の内径および外径と実質的に等しく選定する
ことにより導通空間45内の冷却水は円滑に流れる。ま
た、保護管30の内部空間のシールも確実に行うことが可
能である。

【００１７】この誘電体バリア放電ランプは、所定時間
点灯すると放電管20の変色または埃の付着などによる発
光効率の低下または劣化を生じる。そこで、放電管20の
クリーニングまたは放電管20の交換を行い、発光効率を
一定範囲に維持することが好ましいことは上述のとおり
である。その場合には、固定ビス41（41ａおよび41ｂを
含む）を緩めて両ホルダ40ａおよび40ｂを内側電極22か
ら相互に外側に取り外す。これにより、誘電体バリア放
電ランプを簡単、かつ迅速に分解して放電管20を取り外
すことが可能である。そして、放電管20の表面の埃や変
色をクリーニングにより除去して、低下した発光効率を
回復させ、誘電体バリア放電ランプの寿命を延長させ、
そのランニングコストを低下させることが可能である。
また、放電管20に何らかの原因で不具合が生じた場合に
は、これを簡単に別の（新しい）放電管と交換する。こ
の場合にも、新たに誘電体バリア放電ランプの構成素子
の大部分（放電管20を除く）を活用することが可能であ
るので、省資源化に寄与する。

【００１８】以上で、本発明による誘電体バリア放電ラ
ンプの好適な実施形態の構成および動作を詳述した。し
かし、このような実施形態は、本発明の単なる例示に過
ぎず、何ら本発明を限定するものではないことに留意す
るべきである。本発明の要旨を逸脱することなく、種々
の変形変更が可能であること当業者には容易に理解でき
よう。例えば、両端のホルダ同一形状であってもまた異
なる形状であっても良い。また、内側電極の両端に雄ね
じを形成し、ホルダの閉端に形成された雌ねじに螺入す
るよう構成しても良い。比較的簡単に着脱自在である限
り、ホルダと内側電極との固定は種々の周知の固定手段
を採用しても良い。さらに、保護管の内部には、必ずし
も冷媒を充填する必要はない。

【００１９】

【発明の効果】以上の実施の形態に基づく説明から明ら
かなように、本発明の誘電体バリア放電ランプは、内側
電極として例えば導電性金属棒を使用し、この内側電極
に一体的に組み立てることによりランプ全体が堅牢であ
り、かつ組み立てが容易である。また、必要に応じてラ
ンプを分解して、放電管のクリーニングまたは交換を迅
速に行うことが可能である。これにより、この誘電体バ
リア放電ランプを使用する、例えば露光装置のランニン
グコストを低減することが可能である。さらに、ホルダ
は内側電極に着脱自在に取り付けているので、この誘電
体バリア放電ランプの分解および組み立ては簡単、かつ
迅速に行うことができる。さらに、放電管のみを交換す
ることにより誘電体バリア放電ランプの寿命を延長する
ことが可能である等の実用上顕著な効果が奏することが
できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による誘電体バリア放電ランプの好適な
実施形態の構成を示す一部省略した長手方向の断面図、

【図２】従来の誘電体バリア放電ランプの構成を示す断
面図である。

【符号の説明】

８ 励起電源 20 放電管 21 放電空間 22 内側電極 23 外側電極 30 保護管 31 シール部材 32 加圧ブロック 33 加圧リング 34、42 Ｏリング 35 不活性ガスの冷媒 40 ホルダ 41 固定ビス 45 導通空間

Claims (6)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 内部に放電用不活性ガスが封入された円
   筒状の放電空間を有する二重構造の放電管の内側および
   外側に夫々配置された内側電極および外側電極に励起電
   圧が印加されて発光する誘電体バリア放電ランプにおい
   て、前記放電管の中心穴に挿入された前記放電管より長い内
   側電極となる導電性棒状体と、 該導電性棒状体の両端に取り付けられた前記放電管の内
   径とほぼ同じ内径を有する１対の筒状ホルダとを備え、 前記放電管の両端を前記１対の筒状ホルダにより挟み付
   けて 一体的に固定したことを特徴とする誘電体バリア放
   電ランプ。
2. 【請求項２】 前記１対のホルダは、それぞれ前記内側
   電極の両端に固定ビス等により取り外し自在に取り付け
   たことを特徴とする請求項１に記載の誘電体バリア放電
   ランプ。
3. 【請求項３】 前記放電管および前記１対のホルダの外
   側に光透過性の保護管を１対の加圧ブロックにより挟ん
   で固定したことを特徴とする請求項１の誘電体バリア放
   電ランプ。
4. 【請求項４】 前記保護管は、前記ホルダに対してシー
   ルされ、内部空間に不活性ガス等の冷媒を充填したこと
   を特徴とする請求項３に記載の誘電体バリア放電ラン
   プ。
5. 【請求項５】 前記１対のホルダの外径は、前記放電管
   の外径と実質的に等しく設定されることを特徴とする請
   求項１乃至４のいずれかに記載の誘電体バリア放電ラン
   プ。
6. 【請求項６】 前記内側電極の外面と前記ホルダおよび
   前記放電管の内面との間には冷却水等を流す導通空間が
   形成されることを特徴とする請求項１乃至５のいずれか
   に記載の誘電体バリア放電ランプ。