JP3409721B2 - 液圧ブレーキ装置 - Google Patents
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Description
キ装置に関するものであり、特に、ブレーキシリンダに
作動液を供給するポンプとブレーキシリンダの液圧を制
御する液圧制御弁装置とを含む液圧ブレーキ装置の改善
に関するものである。
た液圧ブレーキ装置は、車両用として広く使用されてい
る。この種の液圧ブレーキ装置においては、例えば、特
開平5−139279号公報に記載されているように、
ポンプから吐出された作動液がアキュムレータに加圧下
に蓄えられ、必要に応じてブレーキシリンダに供給され
る。しかし、アキュムレータには、封入高圧ガスの漏れ
等の問題で信頼性に欠け、また、大形で高価である等の
問題があり、近年、アキュムレータを使用しない所謂ア
キュムレータレス液圧ブレーキ装置の開発が行われてい
る。このアキュムレータレス液圧ブレーキ装置において
も、従来は、ポンプの吐出液圧がリリーフ弁により上限
液圧に保たれており、ブレーキシリンダがそれほど大き
な液圧を必要としない場合でも、ポンプを駆動するため
に大きなエネルギが消費されていた。
よび効果】本発明は、この無駄なエネルギの消費を回避
することができるアキュムレータレス液圧ブレーキ装置
を得ることを課題としてなされたものであり、下記各態
様の液圧ブレーキ装置によって、その課題が解決され
る。各態様は請求項と同様に、項に区分し、各項に番号
を付し、必要に応じて他の項の番号を引用する形式で記
載する。これは、本明細書に記載の技術的特徴およびそ
れらの組合わせを例示するためであり、本明細書に記載
の技術的特徴やそれらの組合わせが以下のものに限定さ
れると解釈されるべきではない。なお、請求項1は
(7)項に対応し、請求項2は請求項1に(11)項の
限定を加えたもに、請求項3は請求項1または請求項2
に(12)項の限定を加えたものに、請求項4は(1
3)項に、請求項5は(15)項に、請求項6は(2
1)項に、請求項7は(22)項に、請求項8は(2
3)項に、請求項9は(24)項に、請求項10は(2
5)項に、請求項11は請求項1ないし請求項10のい
ずれかに(2)項の限定を加えたものに、請求項12は
(27)項に(28)項の限定を加えたものに、請求項
13は請求項12に(34)項および(35)項の限定
を加えたものに、それぞれ対応する。まず、(1)項から
(26)項に共通の構成要件を列挙した項を、便宜的に(0)
項として設定する。(0)作動液の液圧によりそれぞれ
作動し、各車輪を制動するブレーキを駆動する複数のブ
レーキシリンダと、それら複数のブレーキシリンダに作
動液を供給するポンプ装置と、そのポンプ装置と前記複
数のブレーキシリンダの少なくとも一部のものとの間に
設けられ、その少なくとも一部のブレーキシリンダの液
圧を制御する液圧制御弁装置と、前記ポンプ装置の作動
を制御することによりそのポンプ装置の吐出液圧を制御
するポンプ制御装置を備えた吐出液圧制御装置とを含む
液圧ブレーキ装置。例えば、ポンプ装置の吐出側に可変
リリーフ弁を設け、そのリリーフ弁のリリーフ圧を複数
のブレーキシリンダの最大液圧に応じて制御することに
よっても、ポンプ装置の吐出液圧を制御することがで
き、ポンプ駆動トルクが小さくて済む分だけエネルギ消
費を減らすことができる。ところが、リリーフ弁から流
出する作動液を汲み上げるために消費されるエネルギが
無駄になることは避け得ない。それに対し、本態様にお
けるように、ポンプ制御装置によりポンプ装置の作動を
制御すれば、この無駄なエネルギの消費も回避すること
ができる。なお、本(0)項の態様は、以下の各項の前提
項としての意義を有する。明細書の記載を簡略化するた
めに、以下の項は、適宜、上記(0)項を引用する形式で
記載するものとする。 (1)前記液圧制御弁装置を、前記吐出液圧をそのまま
前記複数のブレーキシリンダに伝達する状態に保つとと
もに、前記ポンプ制御装置に、前記吐出液圧を前記複数
のブレーキシリンダの液圧のうちの最大のものである最
大液圧に等しい大きさとさせる制御手段を含む(0)項に
記載の液圧ブレーキ装置。本態様の液圧ブレーキ装置に
おいては、ポンプ装置から吐出される作動液が複数のブ
レーキシリンダに供給されることにより、それらブレー
キシリンダの液圧が高められ、ブレーキが作用させられ
る。また、少なくとも一部のブレーキシリンダに対応し
て液圧制御弁装置が設けられているため、液圧制御弁装
置の異なる制御により、あるいは同じ制御が行われても
液圧制御弁装置個々の制御特性差により、複数のブレー
キシリンダの液圧が互いに異ならされることがあるが、
それらブレーキシリンダの液圧のうちの最大のものに応
じてポンプ装置の吐出液圧が吐出液圧制御装置により制
御される。ただし、吐出液圧制御装置は、必ずしも液圧
制御弁装置により複数のブレーキシリンダの液圧が異な
らされている状態で吐出液圧を制御するとは限らず、複
数のブレーキシリンダの液圧がすべて実質的に等しい状
態でも吐出液圧を制御する。この場合には、すべてのブ
レーキシリンダの液圧が最大液圧であることとなる。吐
出液圧制御装置は、吐出液圧を複数のブレーキシリンダ
の液圧のうちの最大液圧に等しい大きさに制御しても、
最大液圧より所定値大きい大きさに制御してもよい。前
者の一例は、吐出液圧がそのままブレーキシリンダに伝
達される状態で、吐出液圧が、ブレーキシリンダに要求
される液圧(目標液圧と称する)に制御される場合であ
る。この場合が、本項に記載の態様である。この場合の
目標液圧は、例えば、運転者によるブレーキ操作部材の
操作力,操作ストローク,操作速度等ブレーキ操作状態
量に基づいて決定される。なお、後者の一例は、車両の
走行状態に基づいてブレーキシリンダの液圧が制御され
る場合である。車両の走行状態に基づくブレーキシリン
ダ液圧制御は、例えば、車両の減速時における車輪のス
リップを適正状態に制御するアンチロック制御、車両の
加速時における車輪のスリップを適正状態に制御するト
ラクション制御、車両の操縦安定性を改善するビークル
スタビリティ制御等である。これらの制御においては、
ブレーキシリンダ液圧が液圧制御弁装置により制御さ
れ、複数のブレーキシリンダの液圧が互いに異ならされ
るのが普通であり、それらブレーキシリンダの液圧のう
ちの最大液圧より所定値だけ大きく吐出液圧が制御され
る。所定値は、予め定められた一定値でも、その時の状
況に応じて変更される値であってもよい。いずれにして
も、吐出液圧が最大液圧より大きく制御されていれば、
液圧制御弁装置の制御により、すべてのブレーキシリン
ダの液圧を吐出液圧に基づいて増加させることができ
る。以上説明したように、ポンプ装置の吐出液圧が複数
のブレーキシリンダの液圧のうちの最大液圧に応じた大
きさに制御されるようにすれば、ポンプ装置の吐出液圧
が上限液圧に保たれていた従来に比較して、ポンプ装置
を駆動するためのエネルギが少なくて済む。しかも、必
要なブレーキシリンダの液圧は確保できる。 (2)前記ポンプ装置が電動モータにより駆動されるも
のであり、前記ポンプ制御装置が、前記吐出液圧を制御
すべく前記電動モータへの供給電気エネルギを制御する
モータ制御装置を含む (0)項または(1)項に記載の液圧
ブレーキ装置。 (3)前記モータ制御装置が、前記吐出液圧が前記複数
のブレーキシリンダの液圧のうちの最大のものである最
大液圧に応じた大きさになるように前記電動モータへの
供給電気エネルギを制御するものである(2)項に記載の
液圧ブレーキ装置。駆動源とポンプ装置との間に可変の
運動伝達装置を設け、それを制御することによっても、
ポンプ装置の作動を制御することができる。しかし、ポ
ンプ装置を駆動する電動モータへの供給電気エネルギを
制御する方が、装置の構成を簡単にでき、かつ、消費エ
ネルギ低減効果も大きい。 (4)前記モータ制御装置が、前記供給電気エネルギ
を、前記最大液圧に余裕値を加えた液圧に対応する大き
さに決定する電気エネルギ決定手段を含む (3)項に記載
の液圧ブレーキ装置。本態様によれば、ポンプ装置の吐
出液圧が、複数のブレーキシリンダの液圧の最大のもの
より余裕値だけ大きくなる。そのため、例えば、液圧制
御弁が減圧状態または保持状態から増圧状態にされたと
き、ブレーキシリンダの液圧が迅速に増加し始め、増圧
遅れの発生が抑制される。 (5)前記モータ制御装置が、前記複数のブレーキシリ
ンダの少なくとも一部のものの液圧を検出するブレーキ
シリンダ液圧センサと、前記吐出液圧を検出する吐出液
圧センサと、その吐出液圧センサにより検出される吐出
液圧が、前記ブレーキシリンダ液圧センサにより検出さ
れるブレーキシリンダ液圧に基づいて決まる目標吐出液
圧に近づくように、前記電動モータへの供給電気エネル
ギを制御する電気エネルギ制御手段とを含む (2)項ない
し(4)項のいずれかに記載の液圧ブレーキ装置。このよ
うに、吐出液圧とブレーキシリンダ液圧とを実際に検出
し、検出吐出液圧が、検出ブレーキシリンダ液圧に基づ
いて決まる目標吐出液圧に近づくように、電動モータへ
の供給電気エネルギを制御すれば、確実に吐出液圧を適
正な大きさに制御できる。 (6)前記液圧制御弁装置が、前記複数のブレーキシリ
ンダのすべてに対して、それら複数のブレーキシリンダ
の液圧を個別に制御可能な状態で設けられており、か
つ、前記吐出液圧制御装置が、それら複数の液圧制御弁
装置のすべてが対応するブレーキシリンダの液圧を保持
または減圧する状態にある場合に、前記吐出液圧を、前
記複数のブレーキシリンダの液圧のうちの最大のもので
ある最大液圧に余裕値を加えた液圧に制御する保持・減
圧時待機制御手段を含む (0)項ないし(5)項のいずれか
1つに記載の液圧ブレーキ装置。保持・減圧時待機制御
手段を設ければ、液圧制御弁装置が減圧状態または保持
状態から増圧状態にされたとき、ブレーキシリンダの液
圧が迅速に増加し始め、増圧遅れの発生が抑制される。 (7)前記液圧制御弁装置を前記吐出液圧をそのまま前
記複数のブレーキシリンダに伝達する状態に保つととも
に、前記ポンプ装置の作動を制御することにより前記複
数のブレーキシリンダの液圧を制御する第1制御手段
と、前記液圧制御弁装置を制御することによりその液圧
制御弁装置に対応するブレーキシリンダの液圧を制御す
るとともに、前記ポンプ装置を少なくともそのブレーキ
シリンダの液圧の制御が可能な状態に制御する第2制御
手段と、それら第1制御手段と第2制御手段とを当該液
圧ブレーキ装置の作動状態に基づいて択一的に選択する
選択手段とを含む (0)項ないし (6)項のいずれか1つに
記載の液圧ブレーキ装置。本態様においては、選択手段
が、液圧ブレーキ装置の作動状態に基づいて第1制御手
段と第2制御手段とを択一的に選択する。例えば、車両
制動時に、車輪のスリップが適正状態にある間は第1制
御手段を選択し、スリップが過大となってアンチロック
制御が必要になれば第2制御手段を選択するのである。
また、通常は第1制御手段を選択するが、ブレーキシリ
ンダ液圧の大きさとそれの変化速度との少なくとも一方
の要求がポンプ装置の制御では不可能になった場合に、
第2制御手段を選択するようにすることもできる。いず
れにしても、第1制御手段が選択されれば、ポンプ装置
の制御によりブレーキシリンダの液圧が制御され、第2
制御手段が選択されれば、液圧制御弁装置の制御により
ブレーキシリンダの液圧が制御される。第2制御手段の
選択状態においても、ポンプ装置の吐出液圧がブレーキ
シリンダの液圧に応じて制御されることが望ましいが、
状況によっては、上限吐出液圧に保たれるようにしても
よい。このように、ポンプ装置の制御によるブレーキシ
リンダ液圧の制御と、液圧制御弁装置の制御によるブレ
ーキシリンダ液圧の制御とを、適宜使い分け得るように
すれば、ポンプの駆動に要するエネルギの低減とブレー
キシリンダ液圧の制御精度確保との両方の目的を良好に
達成することができる。 (8)前記選択手段が、前記複数のブレーキシリンダの
液圧を実質的に等しい大きさに共通に制御する共通制御
を行えばよい場合に前記第1制御手段を選択し、前記複
数のブレーキシリンダの少なくとも一部のものの液圧を
それ以外のものの液圧とは異なる大きさに制御する別異
制御の必要がある場合に前記第2制御手段を選択する共
通・別異制御対応選択手段を含む (7)項に記載の液圧ブ
レーキ装置。前記アンチロック制御の要否に基づく選択
が、本態様における選択の一例である。 (9)前記選択手段が、前記ポンプ装置の能力がそのポ
ンプ装置の作動の制御のみで前記複数のブレーキシリン
ダの液圧を制御するに足る領域では前記第1制御手段を
選択し、制御するに足りない領域では前記第2制御手段
を選択するポンプ能力対応選択手段を含む (7)項または
(8)項に記載の液圧ブレーキ装置。 (10)前記第2制御手段が、前記吐出液圧が前記複数
のブレーキシリンダの液圧のうちの最大液圧に余裕値を
加えた大きさとなるように、前記ポンプ装置を制御する
ブレーキシリンダ液圧対応制御手段と、前記ポンプ装置
を能力一杯の状態に制御するフル作動制御手段との少な
くとも一方を備える (7)項ないし (9)項のいずれか1つ
に記載の液圧ブレーキ装置。第2制御手段選択時、すな
わち、液圧制御弁装置によるブレーキシリンダ液圧の制
御時に、ブレーキシリンダ液圧対応制御手段により、ブ
レーキシリンダ液圧と吐出液圧との差を一定に制御すれ
ば、液圧制御弁装置によるブレーキシリンダ液圧の制御
精度を向上させることができる。 (11)前記ポンプ装置が、限界吐出液圧が大小に異な
る低圧ポンプと高圧ポンプとの2つが互いに並列に接続
されたものであり、かつ、前記吐出液圧制御装置が、前
記複数のブレーキシリンダの液圧の制御に必要な吐出液
圧および吐出流量に応じてそれら低圧ポンプと高圧ポン
プとの作動を制御する低圧・高圧ポンプ制御装置を含む
(0)項ないし(10)項のいずれか1つに記載の液圧ブレー
キ装置。低圧ポンプと高圧ポンプとを2つ設け、低圧・
高圧ポンプ制御装置により両者の作動を適宜制御すれ
ば、吐出流量と吐出液圧との両方の要求を満たしつつ、
エネルギ消費を低減させることが容易となる。一般に、
高圧ポンプの吐出流量を大きくすれば、ポンプがきわめ
て大形かつ高価になるため、望ましくない。一方、液圧
ブレーキ装置においては、低圧時に大きな吐出流量を必
要とし、高圧時にはそれほど大きな吐出流量を必要とし
ない。そこで、低圧時には低圧ポンプを作動させ、高圧
時には高圧ポンプを作動させることが望ましい。特に大
きな吐出流量を必要とする状態では低圧ポンプと高圧ポ
ンプとの両方を作動させることも可能である。低圧ポン
プおよび高圧ポンプは共にギヤポンプとすることが望ま
しい。ギヤポンプには、従来から一般的に使用されてい
るプランジャポンプに比較して吐出脈動が少ない利点が
あるからである。また、ギヤポンプは可逆ポンプであ
り、逆回転させることによってブレーキシリンダを減圧
することも可能になる。しかし、低圧ポンプと高圧ポン
プとの少なくとも一方をプランジャポンプとしてもよ
く、一方のみをプランジャポンプとする場合には高圧ポ
ンプをプランジャポンプとすることが望ましい。 (12)前記ポンプ装置が、正方向に回転することによ
り前記複数のブレーキシリンダに向かって作動液を吐出
し、逆方向に回転することにより複数のブレーキシリン
ダからの作動液の流出を許容する可逆ポンプを含み、か
つ、当該液圧ブレーキ装置が、前記複数のブレーキシリ
ンダの液圧を減少させる必要がある場合に前記可逆ポン
プを逆方向に回転させるポンプ逆回転制御手段を含む
(0)項ないし(11)項のいずれか1つに記載の液圧ブレー
キ装置。本態様によれば、ポンプ装置の制御のみでブレ
ーキシリンダの増圧,保持および減圧を実現することが
でき、液圧制御弁装置による場合に比較して、複数のブ
レーキシリンダの液圧を均等に制御することが容易であ
る。車両の左右の制動力のアンバランスを良好に回避す
ることができるのである。 (13)前記複数のブレーキシリンダの少なくとも1つ
の液圧を増加させる必要があり、その少なくとも1つよ
り液圧が高い少なくとも1つのブレーキシリンダにおい
て液圧を減少させる必要がある場合に、前記液圧制御弁
装置を、液圧を減少させる必要があるブレーキシリンダ
から排出される作動液の少なくとも一部が液圧を増加さ
せる必要があるブレーキシリンダに流入することを許容
する状態に制御する排出作動液利用増圧制御手段を含む
(0)項ないし(12)項のいずれか1つに記載の液圧ブレー
キ装置。本態様においては、一方のブレーキシリンダの
減圧のために排出される作動液が、他方のブレーキシリ
ンダの増圧のために利用されるのであり、その分ポンプ
装置からの作動液の供給が少なくて済み、消費エネルギ
を低減させ得る。 (14)前記液圧を減少させる必要があるブレーキシリ
ンダと、前記液圧を増加させる必要があるブレーキシリ
ンダとの各々に対応して前記液圧制御弁装置が設けら
れ、それら液圧制御弁装置の各々が増圧制御弁と減圧制
御弁とを含み、かつ、前記排出作動液利用増圧制御手段
が、前記液圧を増加させる必要があるブレーキシリンダ
に対応する増圧制御弁と前記液圧を減少させる必要があ
るブレーキシリンダに対応する増圧制御弁とを共に作動
液の通過を許容する状態にするものである(13)項に記載
の液圧ブレーキ装置。増圧すべきブレーキシリンダの増
圧制御弁と減圧すべきブレーキシリンダの増圧制御弁と
を共に作動液の通過を許容する状態とすれば、高圧側の
ブレーキシリンダから低圧側のブレーキシリンダへの作
動液の流れが許容され、両ブレーキシリンダにおける減
圧と増圧との両方の要求が満たされる。 (15)前記ポンプ装置が少なくともギヤポンプを含
み、前記ポンプ制御装置が、そのギヤポンプの温度とそ
のギヤポンプを通過する作動液の温度との少なくとも一
方を検出する温度検出装置と、その温度検出装置により
検出された温度に基づいて前記ギヤポンプの作動を制御
する温度対応ポンプ制御手段を含む (0)項ないし(14)項
のいずれか1つに記載の液圧ブレーキ装置。ギヤポンプ
には、作動液の漏れを完全に防止することができず、ま
た、温度の変化に伴う回転抵抗の変動が大きいという問
題がある。作動液の温度が高くなれば粘度が低くなり、
漏れ易くなって容積効率が低下する。また、作動液およ
びギヤポンプの温度が低くなれば、粘度が高くなるとと
もにギヤとケーシングとのクリアランスが小さくなり、
ギヤの回転抵抗が増して機械効率が低下する。それに対
して、ギヤポンプの温度とそのギヤポンプを通過する作
動液の温度との少なくとも一方を検出し、その検出温度
に基づいてポンプ駆動モータへの供給電流を制御するな
どにより、ポンプの作動を制御すれば、影響を排除ない
し軽減することができる。温度変化に伴う性能変化が大
きいギヤポンプを使用しても高精度の液圧制御が可能に
なるのである。なお、ギヤポンプとそれを通過する作動
液の温度は互いに近い高さになるため、いずれか一方を
検出するのみでもよい。しかし、温度変化勾配が大きい
時期等、両者の差が大きくなることもあるため、両者を
別個に検出することが望ましい。 (16)前記温度対応ポンプ制御手段が、前記温度検出
装置により検出された温度に基づいて前記ギヤポンプを
駆動する電動モータへの供給電気エネルギを決定する温
度対応フィードフォワード手段を含む(15)項に記載の液
圧ブレーキ装置。 (17)前記温度対応フィードフォワード手段が、少な
くとも、前記温度検出装置により検出された温度に対応
する前記ギヤポンプの漏れに基づいて、前記電動モータ
への供給電気エネルギを決定する漏れ対応フィードフォ
ワード手段を含む(16)項に記載の液圧ブレーキ装置。 (18)前記温度対応フィードフォワード手段が、少な
くとも、前記温度検出装置により検出された温度に対応
する前記ギヤポンプの回転抵抗に基づいて、前記電動モ
ータへの供給電気エネルギを決定する駆動抵抗対応フィ
ードワード手段を含む(16)項または(17)項に記載の液圧
ブレーキ装置。(17)項または(18)項に記載の液圧ブレー
キ装置においては、電動モータを制御する電動モータ制
御装置を、各温度におけるギヤポンプの吐出液圧と電動
モータに供給されるべき電気エネルギ(例えば電流)と
の関係を表すマップが格納された記憶手段を備えたもの
とし、このマップに基づいて目標とする吐出液圧を得る
ために必要な供給電気エネルギが決定されるようにする
ことができる。あるいは、ギヤポンプの吐出液圧Pと電
動モータに供給されるべき電流Iと、温度Tとの関係を
表す近似式I=f(P,T)により、目標とする吐出液
圧を得るために必要な電流が演算されるようにすること
もできる。さらに、作動液の粘度ρと温度Tとの関係ρ
=ρ(T)やギヤポンプの各部品の熱膨張を考慮したポ
ンプモデル等により、目標とする吐出液圧を得るために
必要な電流が決定されるようにすることもできる。な
お、これらマップ,近似式およびポンプモデル等は、目
標とするブレーキシリンダ液圧を得るために必要な供給
電気エネルギが決定されるものとしてもよい。 (19)前記ポンプ装置と前記液圧制御弁装置とを、
前記複数のブレーキシリンダの少なくとも1つの液圧の
応答性、前記複数のブレーキシリンダの少なくとも1
つの目標液圧と実際液圧との偏差、および、ポンプ装
置と液圧制御弁装置との制御に要する所要エネルギの少
なくとも1つの予測に基づいてフィードフォワード制御
するフィードフォワード制御手段を含む (0)項ないし(1
8)項のいずれか1つに記載の液圧ブレーキ装置。本態様
のフィードフォワード制御手段は、ブレーキシリンダ液
圧の応答性の要求を満たすこと、目標液圧と実際液圧と
の偏差を設定偏差以下にすること、あるいはポンプ装置
と液圧制御弁装置との制御に要する所要エネルギを最小
にすること等の目的に合わせて構成される。 (20)前記フィードフォワード制御手段が、前記応答
性,偏差および所要エネルギの少なくとも1つを考慮し
た制御モデルに基づいて前記ポンプ装置と前記液圧制御
弁装置とを制御するモデル制御手段を含む(19)項に記載
の液圧ブレーキ装置。 (21)前記液圧制御弁装置の少なくとも一部が常開の
減圧制御弁と常閉の増圧制御弁とを備え、当該液圧ブレ
ーキ装置が、前記液圧制御弁装置による液圧制御の終了
後の少なくとも一時期に、前記増圧制御弁を開弁するこ
とによってその増圧制御弁より前記ポンプ装置側の残圧
を抜くポンプ装置側残圧抜き手段を含む (0)項ないし(2
0)項のいずれか1つに記載の液圧ブレーキ装置。本態様
によれば、ポンプ装置側の残圧を0とすることができ、
液圧ホースやシール部材の耐久性を向上させることがで
きる。また、液圧ブレーキ装置において、ブレーキシリ
ンダ液圧の制御が開始される際、増圧制御弁よりポンプ
装置側の部分の液圧が常に同じ(0)であるため、制御
の再現性が向上する効果が得られる。 (22)前記液圧制御弁装置の少なくとも一部が常開の
減圧制御弁と常閉の増圧制御弁とを備え、当該液圧ブレ
ーキ装置が、前記減圧制御弁による減圧中に前記増圧制
御弁を開弁し、前記吐出液圧を前記ブレーキシリンダの
液圧と実質的に等しくする等圧化手段を含む (0)項ない
し(20)項のいずれか1つに記載の液圧ブレーキ装置。減
圧制御中から吐出液圧をブレーキシリンダ液圧と実質的
に等しくすることができ、例えば、減圧が終了したとき
には同時に残圧も0になっているため、上記(21)項に記
載の液圧ブレーキ装置におけるように、液圧制御の終了
後に残圧抜きを実行する必要がなくなる。 (23)前記等圧化手段が、前記増圧制御弁を、その増
圧制御弁に対応するブレーキシリンダの液圧に実質的な
影響を及ぼさない開度で開弁させる(22)項に記載の液圧
ブレーキ装置。増圧制御弁を僅かな開度で開弁させ、ポ
ンプ装置側の作動液を微小量ずつ漏らせる場合には、そ
の漏れの影響がブレーキシリンダの液圧に実質的な影響
を及ぼさないため、例えば、次項に記載の増圧制御弁の
制御を行う必要がなく、制御が簡易になる特有の効果が
得られる。(21)項に記載の液圧ブレーキ装置において
も、ポンプ装置側の残圧を抜く際に、増圧制御弁を、そ
の増圧制御弁に対応するブレーキシリンダの液圧に実質
的な影響を及ぼさない開度で開弁させれば、ブレーキの
ひきずりを防止することができる。 (24)前記等圧化手段が、前記吐出液圧を前記ブレー
キシリンダの液圧と実質的に等しくするとともに、前記
減圧制御弁に対応する対応ブレーキシリンダの液圧が目
標液圧となるように前記増圧制御弁の開度を制御するも
のである(22)項に記載の液圧ブレーキ装置。ブレーキシ
リンダの液圧を目標液圧に制御しつつ吐出液圧とブレー
キシリンダの液圧とを等しくできるため、ブレーキシリ
ンダの液圧が比較的高い時期から等圧化手段を作動させ
ることができる。そのため、吐出液圧とブレーキシリン
ダ液圧とを確実に等しくでき、ポンプ装置側の残圧を確
実に0にできる。 (25)前記液圧制御弁装置の少なくとも一部が常開の
減圧制御弁と常閉の増圧制御弁とを備え、当該液圧ブレ
ーキ装置が、前記減圧制御弁による減圧中にその減圧制
御弁に対応するブレーキシリンダの液圧が設定液圧まで
減少した場合に、減圧制御弁を全開とする一方、ブレー
キシリンダの液圧が目標液圧となるようにする増圧制御
弁制御を開始し、そのブレーキシリンダの液圧と前記吐
出液圧とが等しくなった場合に、増圧制御弁を全開とす
る一方、ブレーキシリンダの液圧が目標液圧となるよう
にする減圧制御弁の制御を開始する等圧化手段を含む
(0)項ないし(20)項のいずれか1つに記載の液圧ブレー
キ装置。ブレーキシリンダの液圧が設定液圧より低くな
った時点から増圧制御弁制御によりポンプ装置側の液圧
(吐出液圧)が制御下に低下させられ、ポンプ装置側液
圧とブレーキシリンダ液圧とが等しくなった後は、減圧
制御弁制御により両液圧が等しく保たれつつ低下させら
れる。比較的高いポンプ装置側の液圧をブレーキシリン
ダ液圧に影響を及ぼすことなく低下させることができ、
かつ、ブレーキシリンダ液圧が0まで低下させられると
同時にポンプ装置側の残圧抜きも終了する。増圧制御弁
制御が開始される上記設定液圧は、例えば、減圧中に再
び増圧が要求された場合の応答遅れを小さく抑え得るよ
うにすることを考慮して設定される。具体的には、少な
くともブレーキシリンダ液圧が設定液圧に低下するまで
は、ポンプ装置側の液圧が前述の余裕値以上に保たれる
ようにすべく、設定液圧が余裕値以上の値に設定される
のである。また、設定液圧は、ブレーキシリンダのファ
ーストフィル終了時におけるブレーキシリンダ液圧(ブ
レーキシリンダへの作動液の単位流入量当たりのブレー
キシリンダ液圧の増分が増大し始める時点のブレーキシ
リンダ液圧)以上の値に設定されることが望ましい。設
定液圧がファーストフィル終了時におけるブレーキシリ
ンダ液圧より小さく設定される場合には、吐出液圧をブ
レーキシリンダ液圧と実質的に等しくする等圧化手段の
制御ないし吐出液圧を0にする残圧抜き制御のための時
間が不足する可能性があるからである。 (26)前記モータ制御装置が、前記供給電気エネルギ
を、前記液圧制御弁装置の状態にも基づいて制御するも
のである (2)項ないし(25)項のいずれか1つに記載の液
圧ブレーキ装置。「液圧制御弁装置の状態」とは、例え
ば、液圧制御弁装置を構成する液圧制御弁が開,閉いず
れの状態にあるか、複数の液圧制御弁のうち開状態にあ
るものの数、液圧制御弁の開度、複数の液圧制御弁の開
度の和、液圧制御弁装置の前後における液圧差等であ
る。(27)項においても同じである。本態様によれば、電
動モータへの供給電気エネルギの制御がより精度良く行
われ、ポンプ装置の吐出液圧あるいはブレーキシリンダ
の液圧の制御精度が向上したり、電動モータを駆動する
ためのエネルギが少なくて済んだりする効果が得られ
る。液圧制御弁装置の状態に基づいて、ブレーキシリン
ダ側が受入れ可能な作動液の流量の大小等の情報を取得
することが可能であり、それにより供給電気エネルギ
を、目標とするブレーキシリンダ液圧を得るのに適した
大きさに決めることができるからである。 (27)作動液の液圧によりそれぞれ作動し、各車輪を
制動するブレーキを駆動する複数のブレーキシリンダ
と、電動モータを駆動源とし、複数のブレーキシリンダ
に作動液を供給するポンプ装置と、そのポンプ装置と前
記複数のブレーキシリンダの少なくとも一部のものとの
間に設けられ、その少なくとも一部のブレーキシリンダ
の液圧を制御する液圧制御弁装置と、前記ポンプ装置の
吐出液圧を制御するために、前記電動モータへの供給電
気エネルギを、前記複数のブレーキシリンダの液圧と前
記液圧制御弁装置の状態とに基づいて制御するモータ制
御装置とを含む液圧ブレーキ装置。モータ制御装置は、
複数のブレーキシリンダの液圧については、例えば、ポ
ンプ装置の吐出液圧を複数のブレーキシリンダの液圧の
うちの最大のものである最大液圧に応じた大きさに制御
するものとされる。本態様によれば、 (3)項に記載の液
圧ブレーキ装置と同様に、装置の構成を簡単にでき、か
つ、大きい消費エネルギ低減効果が得られる上、ポンプ
装置の吐出液圧を、液圧制御弁装置の状態にも基づいて
制御することにより、電動モータへの供給電気エネルギ
の制御をより精度良く行うことができ、ポンプ装置の吐
出液圧あるいはブレーキシリンダの液圧の制御精度が向
上したり、電動モータを駆動するためのエネルギが少な
くて済んだりする効果が得られる。 (28)前記モータ制御装置が、前記ポンプ装置から前
記複数のブレーキシリンダへの前記液圧制御弁装置によ
る作動液の流入許容流量が大きい場合に小さい場合より
前記供給電気エネルギを大きくする流入許容流量対応制
御部を備えた(26)項または(27)項に記載の液圧ブレーキ
装置。液圧制御弁装置による作動液の流入許容流量は、
液圧制御弁装置によりポンプ装置に連通させられるブレ
ーキシリンダの数が多いほど、また、数が同じであれば
連通させられる流路の断面積が大きいほど大きくなる。
そして、液圧制御弁装置によりポンプ装置に連通させら
れるブレーキシリンダの数や流路の断面積は、複数のブ
レーキシリンダの側における作動液の要求量が多い場合
に、少ない場合より大きくされる。したがって、液圧制
御弁装置による作動液の流入許容流量は、ブレーキシリ
ンダ側において必要とされる作動液の流入流量が大きい
場合に小さい場合より大きくなり、本態様によれば、ブ
レーキシリンダにおいて必要とされる作動液の流入流量
に応じて電動モータが駆動され、供給電気エネルギの無
駄を小さく抑えつつ、ブレーキシリンダの液圧を遅れな
く増大させ得るとともに、過剰な作動液の供給による吐
出液圧の急激な変動,それによる振動,騒音等の発生等
を回避し得る。流入許容流量の大きさに応じて、供給電
気エネルギの大きさを無段階に変化させてもよく、ある
いは多段階に変化させてもよい。 (29)前記液圧制御弁装置が、前記複数のブレーキシ
リンダの2個以上のものの各々に対応して設けられ、各
ブレーキシリンダと前記ポンプ装置とを連通させる連通
状態と遮断する遮断状態とを取り得る複数の増圧制御弁
を含み、前記流入許容流量対応制御部が、複数の増圧制
御弁の状態に基づいて前記供給電気エネルギを制御する
制御弁状態対応制御部である(28)項に記載の液圧ブレー
キ装置。(27)項以降の発明は、複数のブレーキシリンダ
のすべてに対応して増圧制御弁が設けられており、それ
ら増圧制御弁の状態によって、ポンプ装置の必要な吐出
流量が大きく変化する場合に特に効果的であるが、複数
のブレーキシリンダの一部のものについては増圧制御弁
が設けられておらず、常時ポンプ装置に連通させられて
いる場合に適用してもある程度の効果は得られる。増圧
制御弁は、複数のブレーキシリンダのうちの1個のみに
ついて設けられていてもよいのである。「増圧制御弁の
状態」とは、例えば、増圧制御弁が開,閉いずれの状態
にあるか、複数の増圧制御弁のうち開状態にあるものの
数、増圧制御弁の開度、複数の増圧制御弁の開度の和、
増圧制御弁前後の液圧差等である。増圧制御弁の状態か
ら流入許容流量がわかり、増圧制御弁の状態に基づいて
供給電気エネルギを制御することにより、エネルギの無
駄なく電動モータを制御し、あるいはポンプ装置の吐出
液圧を良好に制御することができる。 (30)前記制御弁状態対応制御部が、前記複数の増圧
制御弁の各々よりそれらに対応するブレーキシリンダの
側の容積と、複数の増圧制御弁の各々の状態とに基づい
て前記供給電気エネルギを制御するものである(29)項に
記載の液圧ブレーキ装置。ブレーキシリンダの側の容積
は、増圧制御弁よりブレーキシリンダ側の部材のすべて
が形成する作動液収容空間の容積の和である。作動液を
収容する空間を形成する部材は、例えば、ブレーキシリ
ンダを構成するシリンダとピストン、ブレーキシリンダ
と増圧制御弁とを接続する配管等である。ブレーキシリ
ンダの側の容積は設計上決まっているが、複数の増圧制
御弁の各々の状態に加えてブレーキシリンダの側の容積
を考慮して供給電気エネルギを制御すれば、より精度良
く、電動モータを制御することができる。例えば、増圧
制御弁の状態が同じであっても、ブレーキシリンダ側の
容積の大きさが異なれば、作動液の単位流入量当たりの
ブレーキシリンダ液圧の増分が異なる。増圧制御弁側か
ら見た作動液収容空間を形成する部材や作動液収容空間
内の作動液の見かけ上の弾性係数が、ブレーキシリンダ
側の容積が大きいほど小さくなるからである。 (31)前記複数の増圧制御弁の各々が、前記連通状態
における開度が制御可能なものであり、前記複数の増圧
制御弁の各々の状態が、複数の増圧制御弁の開度を含む
(30)項に記載の液圧ブレーキ装置。本態様における増圧
制御弁の開度は0%および100%を含む。増圧制御弁
の開度が大きいほど流入許容流量が大きく、電動モータ
への供給電気エネルギが大きくされ、ブレーキシリンダ
への作動液の供給流量が大きくされる。 (32)前記複数の増圧制御弁の各々が、前記連通状態
における開度が制御不能な開閉弁であり、前記複数の増
圧制御弁の各々の状態が、複数の増圧制御弁の開閉状態
を含む(30)項に記載の液圧ブレーキ装置。開状態にある
増圧制御弁の数によって流入許容流量が段階的に変わ
り、それに応じて供給電気エネルギが決められる。 (33)前記流入許容流量対応制御部がフィードフォワ
ード制御部である(28)項ないし(32)項のいずれか1つに
記載の液圧ブレーキ装置。 (34)前記吐出液圧制御装置または前記モータ制御装
置が、前記ポンプ装置の実際の吐出液圧である実吐出液
圧が目標吐出液圧に近づくようにポンプ装置または前記
電動モータを制御するフィードバック制御部を備えた
(0)項ないし(33)項のいずれか1つに記載の液圧ブレー
キ装置。 (35)前記フィードバック制御部が、フィードバック
ゲインを、前記ポンプ装置から前記複数のブレーキシリ
ンダへの前記液圧制御弁装置による作動液の流入許容流
量が大きい場合に小さい場合より大きくする流入許容流
量対応ゲイン変更手段を含む(34)項に記載の液圧ブレー
キ装置。フィードバックゲインを大きくすれば、目標吐
出液圧の同じ変化に対する供給電気エネルギの増減勾配
が大きくなって作動液の吐出液圧の増減勾配が大きくな
る。流入許容流量の大きさに応じたフィードバックゲイ
ンの変更により、流入許容流量が大きい場合における吐
出液圧の制御遅れを回避しつつ、流入許容流量が小さい
場合における吐出液圧の脈動を小さく抑え、振動,騒音
等の発生等を回避することができる。フィードバックゲ
インは、流入許容流量の大きさに応じて無段階に変更し
てもよく、段階的に変更してもよい。 (36)前記液圧制御弁装置が、前記複数のブレーキシ
リンダの2個以上の各々に対応して設けられ、各ブレー
キシリンダと前記ポンプ装置とを連通させる連通状態と
遮断する遮断状態とを取り得る複数の増圧制御弁を含
み、前記流入許容流量対応ゲイン変更手段が、複数の増
圧制御弁の状態に基づいて前記フィードバックゲインを
変更する制御弁状態対応ゲイン変更手段である(35)項に
記載の液圧ブレーキ装置。制御弁状態対応ゲイン変更手
段は、複数の増圧制御弁のうち開状態にあるものが多い
場合、あるいは開度が大きい場合にフィードバックゲイ
ンを大きくする。開状態にある増圧制御弁の数が多いほ
ど、また開度が大きいほど流入許容流量が大きくなるか
らである。 (37)前記制御弁状態対応ゲイン変更手段が、前記複
数の増圧制御弁の各々よりそれらに対応するブレーキシ
リンダの側の容積と、複数の増圧制御弁の各々の状態と
に基づいて前記フィードバックゲインを変更するもので
ある(36)項に記載の液圧ブレーキ装置。複数の増圧制御
弁の各々よりブレーキシリンダ側の空間のうち、増圧制
御弁によってポンプ装置に連通させられているものの容
積和が大きい場合に、小さい場合よりフィードバックゲ
インが大きくされ、その結果、同じ目標吐出液圧の変化
に対する電動モータへの供給電気エネルギの増減勾配が
大きくされる。なお、増圧制御弁によりポンプ装置に連
通させられているブレーキシリンダ側の容積が大きくて
も、増圧制御弁の開度が小さい場合には、容積が小さい
と見なされてフィードバックゲインを変更されるように
することが望ましい。 (38)前記複数の増圧制御弁の各々が、前記連通状態
における開度が制御可能なものであり、前記複数の増圧
制御弁の各々の状態が、複数の増圧制御弁の開度を含む
(37)項に記載の液圧ブレーキ装置。本態様における増圧
制御弁の開度は0%および100%を含む。フィードバ
ックゲインは、増圧制御弁の開度に対して無段階に変化
させてもよく、多段階に変化させてもよい。いずれにし
ても、開度が大きいほど、フィードバックゲインが大き
くされる。 (39)前記複数の増圧制御弁の各々が、前記連通状態
における開度が制御不能な開閉弁であり、前記複数の増
圧制御弁の各々の状態が、複数の増圧制御弁の開閉状態
を含む(37)項に記載の液圧ブレーキ装置。開状態にある
増圧制御弁の数によって流入許容流量が段階的に変わる
ため、それに応じてフィードバックゲインが変更され
る。
レーキ装置を図1ないし図10に基づいて説明する。図
1において、符号10および12はそれぞれ左前輪およ
び右前輪を示し、符号14および16はそれぞれ左後輪
および右後輪を示す。前輪10,12にはブレーキシリ
ンダとしてのフロントホイールシリンダ(ホイールシリ
ンダを必要に応じてW/Cと略記する)20,22を備
えたブレーキが設けられており、フロントW/C20,
22に液圧が供給されることにより作動して、前輪1
0,12に制動トルクを加える。後輪14,16にも同
様にブレーキシリンダとしてのリヤW/C24,26を
備えたブレーキが設けられている。フロントW/C2
0,22には、マニュアル液圧源30の液圧と動力液圧
源32の液圧とが択一的に供給され、リヤW/C24,
26には必ず動力液圧源32の液圧が供給される。
材としてのブレーキペダル36の操作力に対応した液圧
を発生させるマスタシリンダ(必要に応じてM/Cと略
記する)38を備えている。M/C38はタンデム式で
あり、2つの独立した加圧室に同じ大きさの液圧を発生
させる。M/C38にはマスタリザーバ39が設けられ
ている。ブレーキペダル36がブレーキ非作用位置にあ
り、M/C38内の加圧ピストンが後退端位置にある状
態では、M/C38の2つの加圧室はマスタリザーバ3
9と連通しており、加圧ピストンが後退端位置から僅か
に前進させられると、加圧室がマスタリザーバ39から
遮断される。一方の加圧室は液通路40によりフロント
W/C20、他方の加圧室は液通路42によりフロント
W/C22に接続されている。液通路40,42にはそ
れぞれ常開の電磁開閉弁から成るM/Cカット弁(マス
タシリンダカット弁)44,46が設けられており、そ
れらM/Cカット弁44,46よりフロントW/C2
0,22側の液圧はW/C液圧センサ50,52により
検出され、M/C38側の液圧はM/C液圧センサ54
により検出される。
はストロークシミュレータ55が配設されるとともに、
液通路42のM/Cカット弁46よりM/C38側の部
分にもストロークシミュレータ56が接続されており、
かつ、ブレーキペダル36の踏込ストロークがストロー
クセンサ58によって検出される。上記ストロークシミ
ュレータ55は、スプリング等の弾性部材を備え、弾性
部材の弾性変形によりブレーキペダル36のM/C38
に対する所定量の相対移動を許容する純機械的なもので
あり、ストロークシミュレータ56は、M/Cカット弁
44,46が閉じられた状態で液圧を増大させつつ作動
液を収容することによりM/C38からの作動液の排出
を許容するものであって、2つのストロークシミュレー
タ55,56が共同して、動力液圧源32を有しない通
常の液圧ブレーキ装置におけるブレーキ操作に似た感触
を運転者に与えるものである。
0,62により駆動される低圧ポンプ64および高圧ポ
ンプ66を備えている。低圧ポンプ64はギヤポンプと
されており、電動モータ60および低圧ポンプ64は、
図2および図3に示す構造のものである。詳細は後に説
明する。高圧ポンプ66も、詳細な図示は省略するが、
低圧ポンプ64と同様にギヤポンプとされている。ま
た、高圧ポンプ66は、低圧ポンプ64よりも、限界吐
出液圧が高く、かつ、吐出流量が小さいものとされてい
る。
吐出側であって、低圧ポンプ64から吐出された作動液
をW/C20〜26に供給する液通路と、高圧ポンプ6
6から吐出された作動液をW/C20〜26に供給する
液通路とが合流する部分よりも、低圧ポンプ64側およ
び高圧ポンプ66側にそれぞれ、逆止弁68,70が設
けられている。逆止弁68は、高圧ポンプ66の作動時
に、低圧ポンプ64について設けられたリリーフ弁(後
述する)から作動液が漏れることを防止し、低圧ポンプ
64に高圧ポンプ66の高い吐出液圧が作用することを
防止し、ギヤポンプである低圧ポンプ64から作動液が
漏れることを防止し、高圧ポンプ66から吐出された高
圧の作動液によって低圧ポンプ64が逆転させられるこ
とを防止する役割を果たす。高圧ポンプ66から吐出さ
れる高圧の作動液によって低圧ポンプ64が逆転させら
れ、作動液がマスタリザーバ39へ戻ることを防止する
ために、電動モータ60に保持トルクを加えておかなく
てもよいのである。また、逆止弁70は、ギヤポンプで
ある高圧ポンプ66から作動液が漏れることを防止する
とともに、低圧ポンプ64のみが作動する際に、低圧ポ
ンプ64の吐出液圧に基づいて高圧ポンプ66が逆方向
に回転させられ、作動液がマスタリザーバ39へ戻るこ
とが回避される。低圧ポンプ64の作動時であって高圧
ポンプ66の非作動時に、高圧ポンプ66を駆動する電
動モータ62に保持トルクを加えておかなくても、高圧
ポンプ66の逆回転を防止することができるのである。
W/C20〜26に供給され、ポンプ液圧センサ74に
より検出される。なお、動力液圧源32には、図示を省
略するが、低圧ポンプ64および高圧ポンプ66のそれ
ぞれに対して、それらに予定されている最高吐出液圧を
リリーフ圧とするリリーフ弁が設けられている。以上の
説明から明らかなように、本実施形態においては、動力
液圧源32は、電動モータ60,62,低圧ポンプ6
4,高圧ポンプ66および逆止弁68,70と、図示し
ないリリーフ弁とから成るポンプ装置によって構成され
ているのである。ポンプ装置の吐出液圧が動力液圧源3
2の液圧であり、ポンプ装置の吐出液圧を検出するポン
プ液圧センサ74が動力液圧源液圧検出装置を構成して
いる。ポンプ装置の吐出液圧をPP で表すが、この吐出
液圧PP は、動力液圧源32の液圧でもあるのである。
なお、低圧ポンプ64,高圧ポンプ66の少なくとも一
方がプランジャポンプ等、吐出弁を備えたものである場
合には、逆止弁68,70の少なくとも一方を省略して
もよい。
して、増圧用電磁制御弁76と減圧用電磁制御弁78、
増圧用電磁制御弁80と減圧用電磁制御弁82が設けら
れている。これらは図4に概略的に示す構造を有し、共
に常閉のシート弁である。リヤW/C24,26に対応
して増圧用電磁制御弁84と減圧用電磁制御弁86、増
圧用電磁制御弁88と減圧用電磁制御弁90が設けられ
ている。図5に示すように、増圧用電磁制御弁84,8
8は常閉のシート弁であるが、減圧用電磁制御弁86,
90は常開のシート弁である。これらの構造は後に詳述
する。リヤW/C24,26の液圧はそれぞれW/C液
圧センサ92,94により検出される。
は図2および図3に示す構造を有している。電動モータ
60は直流モータであり、それの出力軸100にカップ
リング102によって低圧ポンプ64が接続されてい
る。低圧ポンプ64は、ハウジング104,ギヤケース
106およびカバー108から成る本体内に、2個のギ
ヤ110,112が互いに噛み合わされ、回転可能に配
設されたものである。ギヤ110,112のギヤ軸11
4,116の一方が電動モータ60により回転駆動され
ることによってギヤ110,112が回転し、図3の吸
入ポート118から作動液を吸入し、吐出ポート120
から吐出する。
76および減圧用電磁制御弁78は図4に概略的に示す
構造を有している。増圧用電磁制御弁76は、弁座13
0とそれに対して着座,離間可能な弁子132とから成
るシート弁134を備え、弁子132は、付勢装置とし
てのばね136により着座方向に付勢されている。弁子
132と一体的に可動コア138が設けられており、こ
れに対向して固定コア140が設けられている。これら
両コア138,140は上記ばね136により互いに離
間させられているが、コイル142に電流が供給される
ことにより磁化され、可動コア138が固定コア140
側に吸引される。それにより、弁子132が弁座130
から離間させられ、シート弁134が開かれる。増圧用
電磁制御弁76は、それ自身の前後の液圧差が弁子13
2を弁座130から離間させる向きに作用する向きで動
力液圧源32とフロントW/C20とに接続されてい
る。したがって、弁子132は、シート弁134前後の
液圧差に基づく差圧作用力と、可動コア138,固定コ
ア140およびコイル142から成るソレノイド144
の電磁駆動力との和が、ばね136の付勢力と釣り合う
位置で停止することとなり、コイル142への供給電流
の制御による電磁駆動力の制御によって、シート弁13
4の開度を制御することができる。増圧用電磁制御弁7
6の開度を制御することができるのであり、それによっ
て作動液の流量、すなわちフロントW/C20の増圧速
度を制御することができる。また、動力液圧源32の液
圧とフロントW/C20の液圧との差が小さくなり、差
圧作用力と電磁駆動力との和がばね136の付勢力より
僅かに小さくなれば、弁子132が弁座に130に着座
してシート弁134が閉じるため、コイル142への供
給電流の制御により動力液圧源32の液圧とフロントW
/C20の液圧との差を制御することができる。
制御弁76と同じであるため、互いに対応する構成要素
を同一の符号で示し、説明を省略する。ただし、減圧用
電磁制御弁78は、フロントW/C20の液圧とマスタ
リザーバ39の液圧との差に基づく差圧作用力が、弁子
132を弁座130から離間させる向きに作用する向き
で、フロントW/C20とマスタリザーバ39とに液通
路40と液通路146とにより接続されている。したが
って、コイル142への供給電流の制御により、フロン
トW/C20の減圧速度およびフロントW/C20とマ
スタリザーバ39との差圧を制御することができる。マ
スタリザーバ39の液圧は実質的に大気圧と見なし得る
ため、フロントW/C20とマスタリザーバ39との差
圧の制御は、そのままフロントW/C20の液圧制御と
なる。
弁84,88は上記フロントW/C20,22側の増圧
用電磁制御弁76,80と同じであるため、図5におい
て、互いに対応する構成要素を同一の符号で示し、説明
を省略する。それに対し、減圧用電磁制御弁86,90
は常開のシート弁であり、構造がやや異なる。弁座13
0,弁子132から成るシート弁134を備えることは
同じであるが、弁子130はばね150により弁座13
0から離間する向きに付勢されている。シート弁134
は、リヤW/C24とマスタリザーバ39との差圧に基
づく差圧作用力が弁子132を弁座130から離間させ
る向きに作用する向きで配設されている。弁子132の
後端部は固定コア152の中央に形成された貫通穴を貫
通して延びており、固定コア152から突出させられる
とともに、可動コア154と一体的に設けられている。
コイル156に電流が供給されれば、固定コア152お
よび可動コア154が磁化され、可動コア154が固定
コア152側に吸引されることにより、弁子132に電
磁駆動力が付与される。固定コア152,可動コア15
4およびコイル156から成るソレノイド158の電磁
駆動力が、上記差圧作用力に抗して弁子132を弁座1
30に着座させる向きに作用するのである。なお、ばね
150の付勢力は、差圧作用力も電磁駆動力も作用しな
い状態で弁子132を弁座130から離間した状態に保
ち得る大きさであればよく、弁子132に作用する力の
釣合を考える際には無視して差し支えない。
装置170に接続されている。制御装置170は液圧制
御コンピュータ172を備え、この液圧制御コンピュー
タ172は、PU(プロセッシングユニット)174,
ROM176,RAM178,I/Oポート180を備
えている。I/Oポート180には、前記ストロークセ
ンサ58を始めとする各種検出器が接続されるととも
に、前記電動モータ60を始めとする各種アクチュエー
タが、後述の異常報知器182と共にそれぞれ駆動回路
184を介して接続されている。これら駆動回路184
と液圧制御コンピュータ172とにより制御装置170
が構成されているのである。I/Oポート180には、
車輪スリップ状態監視コンピュータ186が接続されて
おり、ROM176には、図示および説明を省略するメ
インルーチンを始めとする他の制御プログラムと共に、
図7および図8のフローチャートで表される液圧制御プ
ログラムや、図9のフローチャートで表される異常監視
プログラムが格納されている。PU174は、ストロー
クセンサ58を始めとする各種検出器からの情報と、車
輪スリップ状態監視コンピュータ186からの情報とに
基づき、RAM178を利用して液圧制御プログラムを
実行し、W/C20〜26の液圧を制御する。また、異
常監視プログラムを実行し、W/C液圧センサ50等の
異常を監視する。なお付言すれば、液圧制御コンピュー
タ172と車輪スリップ状態監視コンピュータ186と
を1つのコンピュータで構成することも可能である。例
えば、上記メインルーチン,液圧制御プログラム,異常
監視プログラム等の制御プログラムを実行するコンピュ
ータのROMに、車輪スリップ状態監視プログラムをも
格納し、時分割で実行させるのである。
には、図7のフローチャートで表される通常制動用液圧
制御プログラムが実行される。通常制動時においては、
W/C20〜26の液圧が互いに等しい大きさに制御さ
れる。その際、まず低圧ポンプ64の制御によるW/C
20等の液圧制御が行われ、不足の場合には高圧ポンプ
66の制御が付加され、それでも不足の場合には電磁制
御弁76〜90の制御が行われる。これは、動力液圧源
32(ポンプ装置)に図10に示す性質があるからであ
る。必要な吐出液圧PP が比較的小さい場合には低圧ポ
ンプ64のみで要求を満たし得るが、必要な吐出液圧P
P が大きくなれば高圧ポンプ66でしか要求を満たし得
ない。また、必要な増圧速度dPP /dtが比較的小さ
い場合には低圧ポンプ64のみの吐出流量で実現し得る
が、必要な増圧速度dPP /dtが大きくなれば、低圧
ポンプ64と高圧ポンプ66との両方を作動させること
が必要になる。さらに、低圧ポンプ64においても高圧
ポンプ66においても、吐出液圧PP がそれぞれの限界
近くなれば、回転速度が低下することを避け得ず、吐出
液圧PP が大きい領域では、吐出液圧PP が大きいほど
実現し得る増圧速度dPP /dtが小さくなる。また、
液圧ブレーキ装置には、作動初期にはブレーキクリアラ
ンスを消滅させ、シール部材を弾性変形させる等のため
に、大流量の作動液が必要であり、ブレーキが効き始め
た後は、比較的小流量の作動液で済む性質がある。その
ため、吐出液圧PP が特に小さい領域では、低圧ポンプ
64や高圧ポンプ66によって実現し得る増圧速度dP
P /dtが小さくなることを避け得ない。以上の結果、
図10の領域1においては低圧ポンプ64のみで吐出液
圧PP および増圧速度dPP /dtの制御を行い得、領
域2においては低圧ポンプ64と高圧ポンプ66との共
同で制御を行い得、領域3においては両ポンプの共同に
よっても制御を行い得ないことになる。したがって、領
域3に関しては、低圧ポンプ64および高圧ポンプ66
を最大電流によりフル作動させ、W/C20等の液圧制
御は電磁制御弁76〜90により行うことが必要とな
る。領域4は、低圧ポンプ64および高圧ポンプ66の
両方を使用しても実現できない領域である。図10の吐
出液圧PP と増圧速度dPP /dtとの関係を表すポン
プ性能テーブルが前記ROM176に格納されている。
32,電磁制御弁76〜90および制御装置170のい
ずれかに異常が発生した場合には、M/Cカット弁4
4,46が開いたままに保たれ、M/C38の液圧がフ
ロントW/C20,22に供給される。動力液圧源32
等の故障時には、前輪10,12のブレーキがマニュア
ルブレーキと同様に作動させられるのである。それに対
し、動力液圧源32,電磁制御弁76〜90および制御
装置170が正常な状態で、ブレーキペダル36の踏込
みが開始されれば、M/Cカット弁44,46が閉じら
れ、M/C38とW/C20,22との連通が遮断され
る。したがって、動力液圧源32等が正常である限り、
W/C20〜26には動力液圧源32からの作動液が増
圧用電磁制御弁76,80,84,88を経て供給され
る。なお、ブレーキペダル36の踏込開始は、従来から
使用されていたストップランプスイッチにより検出され
るようにすることも可能であるが、本実施形態において
は、ストロークセンサ58またはM/C液圧センサ54
の検出値が増大を開始した事実から検出されるようにな
っている。両センサ58,54が共に正常である場合に
は、ストロークセンサ58の検出値増大開始の方がM/
C液圧センサ54の検出値増大開始より先であるため、
通常はストロークセンサ58の検出値増大開始に基づい
てブレーキペダル36の踏込開始が検出されるが、スト
ロークセンサ58の故障時にはM/C液圧センサ54の
検出値増大開始に基づいてブレーキペダル36の踏込開
始が検出されるようになっているのである。これはフェ
イルセーフのためであり、ストロークセンサ58とM/
C液圧センサ54とのいずれか一方の検出値増大開始に
基づいてブレーキペダル36の踏込開始が検出されるよ
うにすることも可能である。
の液圧は図7のフローチャートに従って制御される。図
7のステップ1(以下S1と記載する。他のステップに
ついても同様)において、W/C液圧の目標値が演算さ
れる。この演算は、原則的にはW/C液圧の目標値がM
/C液圧センサ54により検出されるM/C液圧に比例
するように行われるが、ブレーキペダル36の踏込操作
に対してM/C液圧の上昇が遅れるため、ストロークセ
ンサ58により検出されるブレーキペダル36の踏込ス
トロークも考慮して行われる。本実施形態においては、
W/C液圧の目標値である目標W/C液圧PWCNMがM/
C液圧PMCと踏込ストロークSとの間にPWCNM=γ
(t)・PMC+δ(t)・Sの関係が成り立つように決
定される。ここにおいて、係数γ(t)はブレーキペダ
ル36の踏込開始からの経過時間tが増大するほど大き
くなり、係数δ(t)は経過時間tが増大するほど小さ
くなるものである。ただし、上記式に限らず、一般的に
PWCNM=f(t,S,PMC)の関数に基づいて決定され
るようにすることができる。
W/C液圧PWCACの上記目標W/C液圧PWCNMに対する
偏差が演算される。通常制動時においては、前述のよう
にW/C20〜26の実W/C液圧PWCACは本来互いに
等しいはずであるが、実際には増圧用電磁制御弁76等
の個体差によって、W/C20〜26の実W/C液圧P
WCACには微小なばらつきが生じる。そのため、S2にお
いては、すべてのW/C20〜26の実W/C液圧P
WCACの目標W/C液圧PWCNMに対する偏差が求められ
る。そして、S3において、上記偏差のいずれかがW/
C液圧の増大を必要とするものであるか否か、すなわ
ち、いずれかのW/Cの実W/C液圧PWCACが目標W/
C液圧PWCNMより小さいか否かが判定される。判定の結
果がYES、すなわち1輪以上のW/Cにおいて増圧の
必要があると判定された場合には、S4において、必要
な増圧速度がポンプ増圧制御限界より小さいか否か、す
なわち動力液圧源32が増圧速度の要求を満たし得るか
否かが、前記ポンプ性能テーブルに基づいて判定され
る。なお、ここで使用される「必要な増圧速度」は、前
回の目標W/C液圧PWCNMと今回の目標W/C液圧P
WCNMとの差ΔPWCNMとして求められる。また、このポン
プ性能テーブルに基づく判定においては、目標W/C液
圧PWCNMおよび必要な増圧速度dPWCNM/dtを達成す
るために、低圧ポンプ64のみを作動させればよいか、
高圧ポンプ66も作動させる必要があるかも同時に判定
する。図10に示すポンプ性能テーブルは、ポンプ装置
の吐出液圧PP と増圧速度dPP /dtとの関係を表す
が、増圧用電磁制御弁が開かれ、動力液圧源32から供
給された作動液によってW/C液圧が増大させられる状
態では、動力液圧源32の液圧,増圧速度は、W/Cの
液圧,増圧速度と見なしてよく、動力液圧源32がW/
Cにおいて必要な増圧速度の要求を満たし得るか否かの
判定および低圧,高圧いずれのポンプを作動させるかの
判定は、図10に示すポンプ性能テーブルに基づいて行
われる。
いてポンプ制御が行われるとともに、S6において増圧
用電磁制御弁76,80,84,88が全開にされ、減
圧用電磁制御弁78,82,86,90が閉じられる。
S5におけるポンプ制御は、実W/C液圧PWCACが目標
W/C液圧PWCNMより低い車輪が1つでもあれば、その
車輪の実W/C液圧PWCACが目標W/C液圧PWCNMと等
しくなるように、電動モータ60への供給電流を増大さ
せるか、電動モータ60への供給電流を最大に保って電
動モータ62への供給電流を増大させることにより行わ
れる。前者は低圧ポンプ64の制御のみでW/C液圧の
制御が行われる場合であり、後者は低圧ポンプ64と高
圧ポンプ66とによりW/C液圧の制御が行われる場合
である。この際、電動モータ60または電動モータ62
への電流の増分ΔIは、式ΔI=C1 ・(PWCNM−P
WCAC)+C2 ・ΔPWCNMにより決定される。電流の増分
ΔIは、実W/C液圧PWCACの目標W/C液圧PWCNMか
らの偏差(PWCNM−PWCAC)が大きいほど、また、必要
な増圧速度ΔPWCNMが大きいほど大きい値に決定される
のである。なお、C1 ,C2 はポンプの吐出特性等に基
づいて決まる定数であり、低圧ポンプ64と高圧ポンプ
66とでは大きさが互いに異なるのが普通である。
W/C20〜26の液圧に微小なばらつきがある場合に
は、最も小さい実W/C液圧PWCACが目標W/C液圧P
WCNMに等しくなるように電動モータ60,62への供給
電流が制御されるため、他の実W/C液圧PWCACは目標
W/C液圧PWCNMより大きくなる。しかし、最も大きい
実W/C液圧PWCACと最も小さい実W/C液圧PWCACと
の差は、増圧用電磁制御弁76,80,84,88の個
体差に基づいて生じるものであるから大きくはなく、す
べてのW/C20〜26の液圧が実質的に等しい大きさ
に増圧されることとなる。また、電動モータ60,62
には、実W/C液圧PWCACを目標W/C液圧PWCNMに等
しくするに必要なだけの電流が供給されるのであるた
め、動力液圧源32の液圧が常に上限液圧に保持される
場合に比較して消費エネルギが節減される。
必要な増圧速度がポンプ増圧制御限界より小さくないと
判定された場合には、S7において、低圧ポンプ64お
よび高圧ポンプ66にそれぞれ最大電流が供給されて、
両ポンプがフル作動させられ、S8において、増圧用電
磁制御弁76,80,84,88によるW/C液圧の制
御が行われる。増圧が必要なW/Cに対応する増圧用電
磁制御弁76,80,84,88に所定の電流が供給さ
れるのである。この電流の大きさは、ポンプ液圧センサ
74により検出される吐出液圧PP と、目標W/C液圧
PWCNMとに基づいて決定される。吐出液圧PP と目標W
/C液圧PWCNMとから、W/C液圧が目標W/C液圧P
WCNMになった場合における差圧作用力が演算され、その
差圧作用力を前記ばね136の付勢力から差し引いた大
きさの電磁駆動力を発生させるのに必要な大きさに決定
されるのである。なお、ここにおいては、理解を容易に
するために、増圧用電磁制御弁76,80,84,88
の制御は比例成分のみを考慮した単純な比例制御で行わ
れるものとしたが、さらに微分成分と積分成分との少な
くとも1つを考慮した制御を行うことも可能である。ま
た、フィードバック制御のみならず、フィードフォワー
ド制御を行うことも可能である。例えば、式I=C3 +
C4 ・(PWCNM−PP )+C5 ・dPWCNM/dtをフィ
ードフォワード項とするのである。ただし、C3 ,C
4 ,C5 は定数である。
W/Cにおいて増圧の必要がないと判定された場合に
は、S9において、ポンプ待機制御が行われ、S10に
おいて電磁制御弁76〜90の制御が行われる。ポンプ
待機制御は、ポンプ64,66の制御により動力液圧源
32の液圧を、W/C20〜26の液圧のうち最大のも
のより予め定められた余裕値だけ大きい液圧に保つ制御
である。具体的には、ポンプ液圧センサ74により検出
される吐出液圧PP が、W/C液圧センサ50,52,
92,94により検出されるW/C液圧の最大値に余裕
値を加えた大きさになるように、電動モータ60,62
への供給電流が制御されるのである。S10における電
磁制御弁76〜90の制御は、すべての増圧用電磁制御
弁76,80,84,88を閉じ、減圧が必要なW/C
については減圧用電磁制御弁を開き、保持が必要なW/
Cについては減圧用電磁制御弁を閉じる制御である。減
圧用電磁制御弁78,82を開く際の供給電流は、目標
W/C液圧PWCNMに基づいて決定される。減圧用電磁制
御弁78,82においては、シート弁134の前後の差
圧は前述のようにW/C液圧に等しい。したがって、目
標W/C液圧PWCNMから弁子132に作用する差圧作用
力を演算し、この差圧作用力とソレノイド144の電磁
駆動力との和がばね136の付勢力と等しくなるように
コイル142への供給電流が決定されるのである。この
ように決定された供給電流をコイル142に供給してお
けば、W/C液圧が目標W/C液圧PWCNMに等しくなっ
たとき減圧用電磁制御弁が閉じ、W/C液圧が目標W/
C液圧PWCNMに制御されることとなる。
保持または減圧が行われている間、動力液圧源32の液
圧は、W/C20〜26の液圧のうち最大のものより予
め定められた余裕値だけ大きい液圧に保たれているた
め、いずれかのW/Cにおいて増圧が必要になった場合
には、そのW/Cに対応する増圧用電磁制御弁を開けば
直ちに作動液が流入し、遅れ少なく増圧が行われる。し
かも、動力液圧源32の液圧が上限液圧に保持されてい
た従来に比較して、ポンプ64,66を駆動する電動モ
ータ60,62への供給電流が少なくてよく、消費エネ
ルギを節減することができる。
かの制御に続いて、S11において、液圧制御を終了す
べきか否かの判定が行われる。この判定は、ブレーキペ
ダル36の踏込みが解除されたか否かを、従来から使用
されていたストップランプスイッチにより検出すること
によって行ってもよいが、本実施形態においては、スト
ロークセンサ58によりブレーキペダル36の踏込みが
解除されたことが検出され、かつ、M/C液圧センサ5
4によりM/C液圧が0(大気圧)まで低下したことが
検出されることにより、液圧制御を終了すべきであると
の判定が行われる。なお、これらの一方に基づいて判定
が行われるようにすることも可能であり、これらに加え
てストップランプスイッチを使用することも可能であ
る。
12において動力液圧の減圧が行われる。電動モータ6
0,62への供給電流が0にされるとともに、増圧用電
磁制御弁84,88が予め定められた一定時間開かれる
のである。本実施形態においては、後輪14,16側の
減圧用電磁制御弁86,90が常開弁とされているた
め、動力液圧源32側の作動液が増圧用電磁制御弁8
4,88および減圧用電磁制御弁86,90を経てマス
タリザーバ39へ還流させられ、動力液圧源32の残圧
が完全に抜かれる。また、リヤW/C24,26は開状
態に復帰させられた減圧用電磁制御弁86,90を経
て、フロントW/C20,22は開状態に復帰させられ
たM/Cカット弁44,46を経て、それぞれマスタリ
ザーバ39に連通させられるため、いずれのW/C20
〜26にも液圧が残存することはない。
態における通常制動制御の実行時には、W/C20〜2
6の液圧が実質的に等しくなるように制御される。した
がって、各W/C液圧センサ50,52,92,94に
より検出される実W/C液圧PWCAC同士を比較し、それ
らの差が設定差を越えた場合は、W/C液圧センサ5
0,52,92,94または電磁制御弁76〜90に異
常が発生したことになる。そのため、本実施形態におい
ては、図9のフローチャートで表される異常監視プログ
ラムが実行される。本異常監視プログラムは前記ブレー
キペダル36が踏み込まれている間、タイマ割込みによ
り一定時間毎に実行される。S41において、アンチロ
ック制御等が行われていない通常制動中であるか否かが
判定され、通常制動制御中であれば、S42においてW
/C液圧センサ50,52,92,94の検出値(実W
/C液圧PWCAC)が読み込まれる。そして、S43にお
いて、読み込まれた4つの検出値の最大値と最小値との
差が予め定められている設定差より小さいか否かの判定
が行われ、判定の結果がNOであれば、S44において
異常報知が行われる。異常報知器182により運転者が
認識可能な報知が行われるのである。異常報知器182
としては、ブザー等音で報知するものが望ましいが、表
示器,報知ランプ等、異常が発生したことを視覚可能な
形態で知らせるものを使用することも可能である。
C液圧が運転者のブレーキペダル36の踏込力に比例す
る大きさに制御されるのであるが、そのように制御され
たW/C液圧が路面の摩擦係数との関係において過大で
ある場合には、アンチロック制御が行われる。この場合
のW/C液圧の制御は図8のフローチャートで表される
アンチロック制御用液圧制御プログラムの実行により行
われる。このアンチロック制御用液圧制御プログラムの
実行は、前記通常制動用液圧制御プログラムの実行中
に、前記車輪スリップ状態監視コンピュータ186から
供給される割込信号に応じて開始される。車輪スリップ
状態監視コンピュータ186は、車両のイグニッション
キースイッチがONとなっている間、以下に説明するよ
うに、車輪10,12,14,16のスリップ状態を監
視しているが、スリップ状態がアンチロック制御を必要
とする状態となったとき、本液圧制御コンピュータ17
2に割込信号を供給するのである。まず、S21におい
て、各車輪10,12,14,16に対応するW/C2
0,22,24,26のW/C液圧の目標値が演算され
る。このW/C液圧の目標値は、車輪スリップ状態監視
コンピュータ186から供給される車輪10,12,1
4,16のスリップ状態の情報、すなわち、スリップ率
SRおよびそれの変化率dSR/dtと、W/C液圧セ
ンサ50,52,92,94により検出される実W/C
液圧PWCACとから演算される。スリップ率SRは車体の
移動速度と各車輪10,12,14,16の周速度とか
ら周知の式で演算される。車体の移動速度は、ドップラ
効果を利用して路面と車体との相対移動速度を検出する
ドップラ式対地車速センサ等により検出されてもよく、
車輪10,12,14,16の周速度の最大のものに基
づいて周知の方法で推定されてもよい。各W/Cの目標
W/C液圧PWCNMは、例えば、各W/Cの実W/C液圧
PWCACに液圧変更量ΔPWCを加算することにより求めら
れ、液圧変更量ΔP WCは、スリップ率の予め定められた
基準値である基準スリップ率SRNM,スリップ率SRお
よびスリップ率の変化率dSR/dtから、ΔPWC=C
6 ・(SR−SRNM)+C7 ・dSR/dtなる式で演
算される。C6 ,C7 はいずれも負の定数であり、スリ
ップ率SRが基準スリップ率SRNMより大きいほど、ま
た、スリップ率の変化率dSR/dtが大きいほど、液
圧変更量ΔPWCは絶対値の大きい負の値となる。したが
って、目標W/C液圧PWCNMは現在の実W/C液圧PWC
ACより小さい値に決定される。逆に、スリップ率SRが
基準スリップ率SRNMより小さく、スリップ率の変化率
dSR/dtが負の場合には、液圧変更量ΔPWCが正の
値となり、目標W/C液圧PWCNMは現在の実W/C液圧
PWCACより大きい値に決定される。なお、液圧変更量Δ
PWCの演算は上記の式以外の式で行われるようにするこ
とも可能であり、また、スリップ率SRおよびスリップ
率の変化率dSR/dtと液圧変更量ΔPWCとの関係を
予めテーブル化しておき、そのテーブルに基づいて液圧
変更量ΔPWCが決定されるようにすることも可能であ
る。さらに、スリップ率の代わりにスリップ量を用いる
ことも可能である。
液圧制御プログラムのS2以降と同様であるが、S25
からS28までの制御は前記S5からS6までの制御と
異なっている。S5のポンプ制御ステップにおいては、
実W/C液圧PWCACが目標W/C液圧PWCNMより低い車
輪が1つでもあれば、その車輪の実W/C液圧PWCACが
目標W/C液圧PWCNMと等しくなるように、電動モータ
60への供給電流を増大させるか、電動モータ60への
供給電流を最大に保って電動モータ62への供給電流を
増大させることによりポンプ制御が行われるのである
が、S25においては、動力液圧源32の液圧が目標W
/C液圧PWCNMの最大のものと等しくなるように、電動
モータ60への供給電流を増大させるか、電動モータ6
0への供給電流を最大に保って電動モータ62への供給
電流を増大させることによりポンプ制御が行われるので
ある。
の実行後に行われる制御とは異なっている。通常制動用
液圧制御プログラムのS6においては、増圧用電磁制御
弁76,80,84,88が全開とされ、減圧用電磁制
御弁78,82,86,90が閉じられて、すべてのW
/C20〜26の液圧が動力液圧源32のポンプ吐出液
圧制御により制御されるのであるが、本アンチロック制
御用液圧制御プログラムにおいては、要求最大輪、すな
わち目標W/C液圧PWCNMが最も大きいW/Cの液圧の
みが上記のようにポンプ吐出液圧制御により制御され、
他のW/Cの液圧は電磁制御弁の制御により制御される
のである。そのために、S26において、各W/C毎に
それの目標W/C液圧PWCNMが最大であるかが判定さ
れ、最大であるW/CについてはS27において増圧用
電磁制御弁が全開とされ、減圧用電磁制御弁が全閉とさ
れ、最大ではないW/CについてはS28において増圧
用および減圧用の電磁液圧制御弁の制御による液圧制御
が行われる。
プ待機制御が行われ、いずれかのW/Cにおいて増圧が
必要になった場合には、そのW/Cに対応する増圧用電
磁制御弁が開かれれば直ちに作動液が流入し、遅れ少な
く増圧が行われるのであるが、アンチロック制御時には
通常制動時に比較して各W/Cの液圧の増減が頻繁に行
われ、かつ、迅速に行われる必要があるため、ポンプ待
機制御が特に有効である。
態においては、動力液圧源32と、4個のW/C20,
22,24,26の各々との間に設けられた増圧用,減
圧用の各電磁制御弁76,78,電磁制御弁80,8
2,電磁制御弁84,86,電磁制御弁88,90がそ
れぞれ、液圧制御弁装置を構成し、制御装置170のS
5,S7,S9,S25,S29,S31を実行する部
分が吐出液圧制御装置たるポンプ制御装置を構成し、制
御装置170のS12,S34を実行する部分がポンプ
装置側残圧抜き手段を構成している。
装置を図11および図12に基づいて説明する。本実施
形態の液圧ブレーキ装置においては、アンチロック制御
が前記実施形態において説明した通常のアンチロック制
御に加えて、4つのW/Cのうちの1つについて減圧の
ために排出される作動液を、別のW/Cの増圧のために
利用する特定制御を含む制御とされている。作動液の授
受は、減圧のために作動液を排出するW/Cと増圧のた
めに作動液を受け入れるW/Cとに対応する増圧用電磁
制御弁を開くことにより行われる。ブレーキ液圧回路
は、図示は省略するが、上記実施形態と同様に構成され
ている。通常制動制御は前記実施形態と同様に行われ
る。
プログラムは、図11にフローチャートで表すように、
前記実施形態のアンチロック制御用液圧制御プログラム
に特定制御ステップ(S53)が加えられるとともに、
すべての車輪のW/Cにおいて増圧の必要がないときに
は、低圧ポンプおよび高圧ポンプを停止させる(S6
2)構成とされており、制御装置を構成する制御コンピ
ュータのROMに格納されている。その他のステップは
図8に示すアンチロック制御用液圧制御プログラムと同
様に実行されるため、説明を省略する。
S51において目標値の演算が行われ、S52において
偏差が計算された後、S53において特定制御が実行さ
れる。特定制御は、図12に示す特定制御用プログラム
に従って行われる。特定制御用プログラムは、特定制御
を行う複数(本実施形態においては6個)の条件が成立
しているか否かを判定し、それら条件がすべて成立して
いる場合に特定制御を行うように構成されている。特定
制御の実行条件は、W/Cの減圧が必要な車輪(減圧
要求輪)があること(S71)、ポンプ液圧、すなわ
ち動力液圧源の液圧が、4個の車輪の各W/Cの液圧の
うち、最大のW/C液圧以下であること(S72)、
減圧要求輪のW/C液圧が、4個の車輪の各W/Cの液
圧のうちの最低ではないこと(S73)、W/Cの増
圧が必要な車輪(増圧要求輪)があること(S74)、
減圧要求輪が1個、増圧要求輪が少なくとも1個あっ
て、その1個の減圧要求輪のW/C液圧がすべての増圧
要求輪のW/C液圧より大きいこと(S75)、減圧
要求輪のW/C液圧が動力液圧源の液圧以上であること
(S76)である。なお、〜において、W/C液圧
はいずれも、W/C液圧センサにより検出される実際の
W/C液圧であり、動力液圧源の液圧は、ポンプ液圧セ
ンサにより検出される動力液圧源の実際の液圧である。
液をW/C液圧の増大のために利用するためには、作動
液を排出するW/Cおよび作動液を受けるW/Cが必要
であり、,が条件とされる。また、動力液圧源の液
圧の方が最大W/C液圧より大きければ、減圧要求輪の
W/Cに対応する増圧用電磁制御弁が開かれた際、動力
液圧源の液圧によって減圧要求輪のW/Cの液圧が増大
させられてしまうため、およびが条件とされる。な
お、動力液圧源の液圧と最大W/C液圧あるいは減圧要
求輪のW/C液圧とは、全く等しい場合は勿論、若干異
なっても許容範囲内であれば等しいとされる。すべての
車輪のW/Cにおいて増圧の必要がないときには低圧ポ
ンプおよび高圧ポンプが作動を停止させられるため、動
力液圧源の液圧が最大W/C液圧や減圧要求輪のW/C
液圧以下となる事態が生ずることがあるのである。さら
に、減圧要求輪のW/C液圧が最低であれば、そのW/
Cから排出された作動液により他の車輪のW/C液圧を
増加させることはできないため、特定制御を行うことは
できず、が条件とされる。また、減圧要求輪が複数個
あれば、減圧要求輪同士で作動液が授受されて減圧要求
輪のW/C液圧が増大させられる恐れがあるため、減圧
要求輪は1個であることが条件とされるとともに、その
減圧要求輪のW/C液圧がすべての増圧要求輪のW/C
液圧より高くなければ、増圧要求輪のW/Cの作動液が
減圧要求輪のW/Cに供給されてしまい、特定制御を行
うことができないため、が条件とされる。これらの条
件はアンチロック制御の開始から終了までのいつでも成
立し得、条件成立時に特定制御が実行される。
〜S76においてそれぞれ、上記6個の条件が成立する
か否かの判定が行われる。これらの判定は、S51にお
いて演算された目標W/C液圧,W/C液圧センサによ
って検出される実W/C液圧,ポンプ液圧センサによっ
て検出される動力液圧源の液圧およびS52において計
算された偏差に基づいて行われる。6個の条件が1つで
も成立していなければ、特定制御の判定は終了し、S5
4が実行される。この場合、アンチロック制御は、すべ
ての車輪のW/Cにおいて増圧の必要がないときに低圧
ポンプおよび高圧ポンプが停止させられることを除い
て、前記実施形態におけると同様に行われる。
行ってよく、S77が実行される。S77においては、
S75の判定がYESになった減圧要求輪および増圧要
求輪の組み合わせについて、特定制御が行われるのが初
めてであるか否かの判定が行われる。特定制御実行条件
が初めて成立し、S77が1回目に実行されるとき、そ
の判定結果はYESになってS78が実行され、第1特
定制御が行われる。第1特定制御は、増圧要求輪につい
ては、増圧要求輪のスリップ率,それの変化率,基準ス
リップ率および実際のW/C液圧に基づいて目標W/C
液圧を演算し、この目標W/C液圧および減圧要求輪の
W/C液圧に基づいて、目標W/C液圧が得られるよう
に増圧制御弁を制御し、減圧要求輪については増圧用電
磁制御弁を全開にする制御である。なお、減圧要求輪お
よび増圧要求輪のいずれについても、減圧用電磁制御弁
は閉じられている。
および増圧要求輪の各W/Cにそれぞれ対応して設けら
れた増圧用電磁制御弁が上記のように開かれて、共に作
動液の通過を許容する状態とされ、減圧要求輪のW/C
から増圧要求輪のW/Cへの作動液の流れが許容され
る。減圧要求輪のW/C液圧は、W/Cから作動液が排
出されて減少させられ、増圧要求輪のW/C液圧は、W
/Cへの作動液の流入および増圧用電磁制御弁の制御に
より、目標W/C液圧を得るべく増大させられる。特定
制御実行条件の〜の全部が成立するときには、実際
上、殆どの場合、低圧ポンプおよび高圧ポンプは停止し
ており、増圧要求輪のW/C液圧は、減圧要求輪のW/
Cから排出された作動液によって増大させられる。S7
8の実行後、S64が実行される。
繰り返し実行されるが、特定制御実行条件が連続して成
立するとき、2回目以降のS77の判定は、今回、特定
制御実行条件を満たした減圧要求輪および増圧要求輪の
組合わせが、先回、特定制御実行条件を満たした減圧要
求輪および増圧要求輪の組合わせと同じであるか否かに
より行われる。同じであれば、その組合わせについては
特定制御は初めて行われるのではなく、S77の判定結
果がNOになってS79が実行される。S79において
は、すべての増圧要求輪の実際の増圧速度が要求増圧速
度より小さいか否かの判定が行われる。増圧速度が不十
分であるか否かの判定が行われるのである。増圧速度
は、前回の実W/C液圧と今回の実W/C液圧との差と
して求められ、要求増圧速度は、前回の目標W/C液圧
と今回の目標W/C液圧との差として求められる。増圧
要求輪が1個であって、その増圧速度が不足している場
合は勿論、増圧要求輪が複数個あり、そのうちの1個で
も増圧速度が不足していれば、S79の判定結果がYE
Sになって特定制御は終了し、特定制御は行われず、通
常のアンチロック制御が行われる。
輪の増圧速度がいずれも要求増圧速度以上であればS7
9の判定結果はNOになってS80が実行され、減圧要
求輪の減圧速度が要求減圧速度より小さいか、すなわち
減圧速度が不十分であるか否かの判定が行われる。減圧
要求輪は1個であり、その1個の減圧要求輪について減
圧速度が不十分であるか否かの判定が行われる。減圧要
求輪の減圧速度が十分であって、減圧速度が要求減圧速
度以上であれば、先回と同じ特定制御を行えばよく、S
80の判定結果がNOになってS78が実行される。減
圧速度が不十分であれば、S80の判定結果がYESに
なってS81が実行され、第2特定制御が実行される。
第2特定制御は、増圧要求輪については第1特定制御と
同様であるが、減圧要求輪については、そのW/Cに対
応して設けられた増圧用電磁制御弁を全開させるととも
に、減圧用電磁制御弁を制御する制御である。
W/Cに対応して設けられた減圧用電磁制御弁が制御さ
れることにより、W/C内の作動液は、増圧用電磁制御
弁を経て増圧要求輪のW/Cに供給されるとともに、減
圧用電磁制御弁を経てマスタリザーバへ排出され、W/
Cからの作動液の排出量が増大し、減圧速度が増大させ
られてW/C液圧が十分な速度で減少させられる。この
ように、増圧要求輪のW/C液圧を、減圧要求輪のホイ
ールシリンダから排出される作動液により増大させれ
ば、その分、動力液圧源からの作動液の供給が少なくて
済み、低圧ポンプ,高圧ポンプを駆動する各電動モータ
への供給電流が少なくてよく、消費エネルギを低減させ
得る。
減圧要求輪と増圧要求輪との組合わせが先回と変わって
いれば、その組合わせについてはS77の判定が行われ
るのは初めてであり、判定結果がYESになって78が
実行される。先回の組合わせの減圧要求輪および増圧要
求輪については特定制御は終了する。また、特定制御の
開始後、特定制御実行条件が成立しなくなれば、特定制
御は終了してS54が実行され、次に特定制御実行条件
が成立したとき、新たに特定制御が開始される。以上の
説明から明らかなように、本実施形態においては、制御
装置のS71〜S81を実行する部分が、排出作動液利
用増圧制御手段を構成している。
〜の全部が成立したときには、殆どの場合、低圧ポン
プおよび高圧ポンプは停止しており、特定制御実行時に
ポンプの作動を停止させることは不可欠ではない。
輪のW/Cにおいて増圧の必要がないとき、S62にお
いて低圧ポンプおよび高圧ポンプの作動は停止させられ
るようになっていたが、前記実施形態におけると同様の
ポンプ待機制御を行ってもよい。この制御が行われれ
ば、W/C液圧が減少させられ、あるいは保持されると
き、動力液圧源の液圧が、4個のW/Cの液圧のうち最
大のものより予め定められた余裕値だけ大きい液圧に保
たれるため、最大W/C液圧が動力液圧源の液圧以上に
なることはなく、特定制御実行条件,は成立しな
い。しかし、通常制動時に増圧制御が行われている状態
では、最大W/C液圧と動力液圧源の液圧とがほぼ等し
いため、この状態でアンチロック制御が開始されれば、
特定制御実行条件のが成立し、条件も成立し得るた
め、特定制御実行条件のすべてが成立して特定制御が実
行され得る。特定制御が実行されるのであれば、ポンプ
を停止させる。ポンプ待機制御が実行されるまでは、条
件が成立し得るとともに条件が成立し得、特定制御
が繰り返し実行され得る。ポンプ待機制御が実行されれ
ば条件,が成立しなくなり、特定制御は行われな
い。
ない。例えば、減圧要求輪があること、ポンプが停
止中であること、増圧要求輪があること、すべて
(または1つ)の減圧要求輪のW/C液圧がすべて(ま
たは1つ)の増圧要求輪のW/C液圧より大きいことの
4つとしてもよい。減圧要求輪および増圧要求輪が1つ
ずつの場合には作動液の授受の形態は単純であり、減圧
要求輪と増圧要求輪との少なくとも一方が複数である場
合にはやや複雑とはなるが、すべての減圧要求輪のW/
C液圧がすべての増圧要求輪のW/C液圧より大きい場
合には、概して減圧要求輪の各W/Cから増圧要求輪の
W/Cに作動液が供給される。
いて説明する。本実施形態の液圧ブレーキ装置において
は、図13に示すように、ギヤポンプである低圧ポンプ
200に温度センサ202が設けられ、温度検出装置を
構成している。低圧ポンプ200を通過する作動液の温
度を検出し、その温度センサ202により検出された作
動液の温度に基づいて、低圧ポンプ200の作動が制御
される。低圧ポンプ200は、温度センサ202が設け
られていることを除いて、前記低圧ポンプ64と同様に
構成されており、同じ作用を為す構成要素には同じ符号
を付し、説明を省略する。本実施形態においては、低圧
ポンプ200と共にポンプ装置を構成する高圧ポンプが
プランジャポンプとされているが、ギヤポンプとするこ
とも可能であり、その場合には、高圧ポンプについても
温度センサを設けて同様の制御を行うことが望ましい。
に、吐出ポート120に臨んで設けられている。この温
度センサ202により検出される作動液の温度に基づい
て、低圧ポンプ200を駆動する電動モータ(図示省
略)に供給されるべき電流の大きさを決定する。例え
ば、予め実験を行い、複数種類の温度毎に、低圧ポンプ
200の目標とする吐出液圧PP と供給電流Iとの関係
を規定するマップを作成する。マップは、作動液の温度
に対する低圧ポンプ200の漏れおよび回転抵抗に基づ
いて供給電流Iを決定するように作成し、図示しない制
御装置を構成する液圧制御コンピュータ(図示省略)の
ROMに格納しておく。制御時には、温度センサ202
により検出された作動液の温度に基づいてマップを選択
し、そのマップから、目標とする吐出液圧PP を得るた
めに必要な供給電流Iを取得する。
に供給されるべき電流Iと、低圧ポンプ200の目標と
する吐出液圧PP および温度Tとの関係を表す近似式I
=f(PP ,T)を準備し、液圧制御コンピュータのR
OMに格納しておき、制御時には、この近似式,目標と
する吐出液圧PP および温度センサ202によって検出
された作動液の温度Tに基づいて、目標とする吐出液圧
PP を得るために必要な供給電流Iが演算されるように
することもできる。
係ρ=ρ(T)や、低圧ポンプ200の各部品の熱膨張
を考慮したポンプモデルを作って液圧制御コンピュータ
のROMに格納しておき、制御時には、ポンプモデルに
基づいて目標とする吐出液圧PP を得るために必要な供
給電流Iを求めることもできる。このように、制御装置
の、低圧ポンプ200を通過する作動液の温度に基づい
てマップ,近似式あるいはポンプモデルを用いて電動モ
ータへの供給電流を決定する部分が、温度対応ポンプ制
御手段を構成している。温度センサ202に代えて、あ
るいは温度センサ202と共に、低圧ポンプ200の温
度を検出する装置を設け、その温度検出装置が検出する
温度に基づいて供給電流Iを決定してもよい。
よる供給電流Iの制御であるが、低圧ポンプ200の吐
出液圧を検出し、その検出値が目標とする吐出液圧に近
づくように供給電流Iを制御するフィードバック制御も
行われるようにすることが望ましい。なお、低圧ポンプ
200の駆動電流の制御が行われる際には、高圧ポンプ
は作動させられておらず、ポンプ液圧センサ74によっ
て検出されるのは低圧ポンプ200の吐出液圧である。
作動液および/または低圧ポンプの温度に基づいて、比
例項,微分項および積分項の少なくとも1つのフィード
バックゲインがリアルタイムで変更されるようにするこ
とも可能である。前述のように、作動液の温度が低く、
粘度が高いほど、また低圧ポンプの温度が低くポンプ内
の隙間が小さいほど、漏れは少なくなるが機械効率が低
下するため、漏れの影響が大きい場合には、温度が高い
ほどフィードバックゲインが大きくされ、機械効率の影
響が大きい場合には、温度が高いほどフィードバックゲ
インが小さくされるようにするのである。
出液圧が増圧用電磁制御弁の上流側液圧となり、ポンプ
装置の制御と増圧用電磁制御弁の制御とは互いに影響し
合うため、ポンプ装置と増圧用電磁制御弁との制御モデ
ルを設定し、その制御モデルに基づいてポンプ装置と増
圧用電磁制御弁とを制御することが望ましい。例えば、
4個のW/Cの各液圧の応答性(増圧速度)の要求を
可及的に満たすこと、4個のW/Cの各目標液圧と実
際液圧との偏差を可及的に小さくすること、およびポ
ンプ装置と増圧用電磁制御弁との制御に要する所要エネ
ルギを可及的に小さくすることの少なくとも1つが満た
されるようにポンプ装置と増圧用電磁制御弁とを制御す
るのである。制御モデルの例を、図14に示す。本図に
おけるバルブの制御モデル式の液圧Pは、ポンプ装置の
吐出液圧(動力液圧源の液圧)P P からその増圧用電磁
制御弁に対応するW/Cの液圧を引いた差圧である。ρ
は作動液の粘度、μはポンプの機械効率であり、共に作
動液の温度Te の関数である。
増圧用電磁制御弁84,88を全開にして動力液圧源3
2側の残圧を抜くようにされていたが、増圧用電磁制御
弁84,88を全開とせず、僅かな開度で開弁させて残
圧を抜くようにしてもよい。例えば、図15のグラフに
示すように、ポンプ液圧、すなわち動力液圧源32側の
液圧の減少勾配を設定し、その減少勾配が得られるよう
に増圧用電磁制御弁84,88を開くのである。この減
少勾配は、動力液圧源32側から増圧用電磁制御弁8
4,88を経てW/C側に流入する作動液によってブレ
ーキのひきずりが生じない大きさに設定する。増圧用電
磁制御弁84,88を開いた後、ポンプ液圧センサ74
の検出値に基づいて動力液圧源32側の液圧が0になっ
たか否かの判定を行い、0になれば、増圧用電磁制御弁
84,88を閉じる。
ようにしてもよい。例えば、図16のグラフに示すよう
に、制御が終了する際に減圧用電磁制御弁によって4個
のW/Cの液圧が共通に減少させられている際に、4個
の増圧用電磁制御弁のうち、少なくとも1個の増圧用電
磁制御弁を開いて作動液をマスタリザーバへ排出させ、
動力液圧源側の液圧を減少させるのである。W/C液圧
は、減圧用電磁制御弁の制御により、運転者のブレーキ
ペダルの踏込み解除動作に合わせて減少させられ、動力
液圧源側の液圧は、W/C液圧の減少勾配に合わせて減
少させられる。
から流入した作動液がW/Cの減圧に影響を及ぼすこと
がない大きさに設定し、開弁する増圧用電磁制御弁の数
はW/C液圧の減少勾配に合わせて、二点鎖線で示す減
少勾配を目指して設定する。増圧用電磁制御弁の開度が
同じである限り、増圧用電磁制御弁の前後の液圧差が小
さくなるにつれて動力液圧源からの作動液の流出流量が
減少するため、開弁する増圧用電磁制御弁の数を多くす
ることが望ましいのであり、図16には、4個の増圧用
電磁制御弁が1個ずつ順次開かれ、制御が終了してW/
C液圧が0になるのと同時に、動力液圧源の液圧が0に
なる例が図示されている。本実施形態によれば、減圧用
電磁制御弁による減圧中に増圧用電磁制御弁が開弁さ
れ、動力液圧源側の液圧が制御終了時にW/C液圧と実
質的に等しく、残圧0になるのである。制御装置の、減
圧用電磁制御弁による減圧中に増圧用電磁制御弁を、W
/Cの減圧に影響を及ぼすことがない開度で開いて、動
力液圧源の液圧とホイールシリンダ液圧とを実質的に等
しくする部分が等圧化手段を構成している。なお、開弁
する増圧用電磁制御弁の数は、最終的に4個に限らず、
1個,2個あるいは3個でもよい。
の実施形態を図17のグラフに基づいて説明する。本実
施形態においては、制御が終了する際に減圧用電磁制御
弁によってW/C液圧が減少させられているとき、W/
C液圧が予め設定された液圧まで減少した場合に、動力
液圧源側の液圧を減少させる制御が開始される。この設
定液圧は、本実施形態においては、前記ポンプ待機制御
時に、W/C液圧の最大値に加えられる余裕値以上の値
であって、W/Cのファーストフィル終了時におけるW
/C液圧(W/Cへの作動液の単位流入量当たりのW/
C液圧の増分が増大し始める時点のW/C液圧)以上の
値に設定されている。減圧中に再び増圧が要求された場
合の応答遅れを小さく抑え得るとともに、動力液圧源側
の液圧をW/C液圧と実質的に等しくし、動力液圧源の
液圧を0にする残圧抜き制御のための時間が不足しない
ように、設定液圧が設定されているのである。W/C液
圧が設定液圧まで減少したならば、減圧用電磁制御弁を
全開とする一方、W/C液圧が目標液圧となるようにす
る増圧用電磁制御弁の制御を開始し、W/C液圧と動力
液圧源の液圧とが等しくなったならば、増圧用電磁制御
弁を全開とする一方、W/C液圧が目標液圧となるよう
にする減圧用電磁制御弁の制御を開始する。それによ
り、W/C液圧が設定液圧より低くなった時点から、動
力液圧源の液圧が増圧用電磁制御弁の制御下に低下させ
られ、動力液圧源の液圧とW/C液圧とが等しくなった
後は、減圧用電磁制御弁により、両液圧が等しく保たれ
つつ低下させられ、W/C液圧が0になったとき、動力
液圧源の残圧も0になり、残圧抜きが終了する。本実施
形態は、前記〔発明が解決しようとする課題,課題解決
手段,作用および効果〕の項の前記(25)項に記載の液圧
ブレーキ装置の実施形態であり、制御装置の、上記のよ
うに減圧用電磁制御弁および増圧用電磁制御弁を制御す
る部分が等圧化手段を構成し、また、W/C液圧と動力
液圧源の液圧とが等しくなるまで、増圧用電磁制御弁の
開度を制御する部分が請求項7の実施形態であり、制御
装置の、増圧用電磁制御弁の開度を制御する部分が等圧
化手段を構成している。
ーキ装置を図18ないし図21に基づいて説明する。本
実施形態の液圧ブレーキ装置においては、W/C液圧が
減圧用電磁制御弁の制御によって減少させられるととも
に、ギヤポンプである低圧ポンプが逆回転させられるこ
とによっても減少させられる。そのため、動力液圧源
は、図示は省略するが、ギヤポンプである低圧ポンプ,
プランジャポンプである高圧ポンプ,各ポンプを駆動す
る電動モータ,リリーフ弁を含んで構成されるが、逆止
弁68に代えて図18に示すパイロット式シート開閉弁
210(以下、開閉弁210と略称する)が設けられ、
逆止弁70が省略されている。液圧ブレーキ装置のブレ
ーキ液圧回路のその他の構成は、図1ないし図10に示
す実施形態と同じであり、図示および説明を省略する。
個の液室214,216が直列に設けられるとともに、
通路218によってつながれている。一方の液室214
内には、ピストン220がシール部材222にシールさ
れて液密かつ摺動可能に嵌合されている。ピストン22
0の一方の端面には、ピストン220より小径の突部2
24が突設されるとともに、シール部材226によりシ
ールされて通路218に液密かつ摺動可能に嵌合されて
いる。また、ピストン220は、付勢手段の一種である
弾性部材としてのスプリング228により後退方向、す
なわち突部224が液室214内へ引っ込む方向に付勢
されている。液室214のスプリング228が収容され
た側とは反対側の部分は、ポート230により高圧ポン
プおよびW/Cに接続されている。
可能に嵌合されるとともに、押付部材234と弁座23
6との間に弁子たるボール238が収容されている。押
付部材234は、付勢手段の一種である弾性部材として
のスプリング240により後退方向、すなわち弁座23
6から離間する向きに付勢されている。液室216は、
ポート242により低圧ポンプに接続され、ポート24
4により高圧ポンプおよびW/Cに接続されている。弁
座236およびボール238がシート弁246を構成し
ており、シート弁246は、ボール238が低圧ポンプ
の吐出液圧を受ける向きに設けられている。
態では、開閉弁210(シート弁246)は図18に示
すように開かれていて、低圧ポンプがW/Cと連通させ
られている。増圧時には、ギヤポンプである低圧ポンプ
が正方向に回転させられ、マスタリザーバから作動液を
汲み上げてW/Cに向かって吐出し、W/C液圧が増大
させられる。低圧ポンプの吐出液圧はピストン220に
作用するが、吐出液圧が低いため、ピストン220は前
進せず、開閉弁210は開いたままに保たれる。減圧時
には、低圧ポンプが逆方向に回転させられ、W/Cから
の作動液の流出が許容されてW/C液圧が減少させられ
る。本実施形態においては、5MPaまでは低圧ポンプ
の作動によりW/C液圧が増減させられる。開閉弁21
0を構成するスプリング228の付勢力の大きさが、ピ
ストン220に作用する液圧が5MPa以下では開閉弁
210を開く大きさに設定されているのである。
させられれば、ピストン220に高い吐出液圧が作用
し、ピストン220がスプリング228の付勢力に抗し
て前進させられ、押付部材234をスプリング240の
付勢力に抗して前進させてボール238を弁座236に
押し付け、シート弁246が閉じられる。そのため、高
圧ポンプの吐出液圧が低圧ポンプに作用することがな
い。高圧ポンプの作動時には、減圧は、すべての増圧用
電磁制御弁を閉じ、減圧用電磁制御弁を制御することに
より行われる。
9にフローチャートで表す通常制動用液圧制御プログラ
ムに従って行われ、アンチロック制御は図20に示すフ
ローチャートで表すアンチロック制御用液圧制御プログ
ラムに従って行われる。これら液圧制御プログラムは、
図示しない制御装置を構成する液圧制御コンピュータの
ROMに格納されている。
図10に示す実施形態の通常制動制御の増圧と同様に行
われる。減圧は、ポンプの作動による減圧の実行条件が
成立しているときには、低圧ポンプの作動によって行わ
れ、成立していないときには減圧用電磁制御弁の制御に
より行われる。
実施形態においては、すべての車輪のW/Cにおいて
減圧が必要であること、4個の車輪のW/C液圧のう
ち最大のW/C液圧と動力液圧源の液圧とが同じ大きさ
であること、減圧が低圧ポンプの作動によって実現可
能であることの3つである。上記3つの条件は、例え
ば、ブレーキペダルが踏み込まれ、4つのW/Cの各液
圧が実質的に等しい状態で増大している状態で、ブレー
キペダルが緩められたとき、すなわちポンプ待機制御に
基づく保持制御が行われることなく、W/C液圧が減少
させられるときに成立し、低圧ポンプが逆転させられて
減圧が行われる。低圧ポンプは4個のW/Cに共通であ
り、低圧ポンプの逆方向の回転により、4個のW/Cか
らの作動液の流出が同時に許容され、液圧が同時に減少
させられる。すべての車輪のW/Cにおいて減圧が必要
であるか否かは、本実施形態においては、実W/C液圧
の目標W/C液圧に対する偏差からわかる。
100の判定結果がいずれもYESになってS101が
実行され、条件が成立しているか否か、すなわち減圧
が低圧ポンプによって可能であり、かつ、必要な減圧速
度が低圧ポンプによって得られるか否かの判定が行われ
る。減圧速度は、前回の目標W/C液圧と今回の目標W
/C液圧との差として求められる。この判定は、図21
に示すポンプ減圧性能テーブルに基づいて行われる。領
域1においては、低圧ポンプのみでW/C液圧PWCおよ
び減圧速度dPWC/dtの制御が行われ、領域2におい
ては、低圧ポンプを最大電流によりフル作動させるとと
もに、減圧用電磁制御弁の制御によりW/C液圧PWCが
制御され、領域3においては、減圧用電磁制御弁の制御
によりW/C液圧PWCが減少させられる。このテーブル
は、開閉弁210が開いている範囲(本実施形態におい
ては5MPa以下)において低圧ポンプがW/C液圧P
WCを減少させることができること、W/C液圧PWCが大
きいほど低圧ポンプの回転がW/C液圧PWCに助けられ
て大きな減圧速度が得られること、および、W/C液圧
PWCが特に小さい領域では作動液の流出流量がW/C液
圧PWCが大きい領域と同じであってもW/C液圧PWCの
減少勾配が小さくなるというブレーキ液圧回路の特性
(図10参照)に基づいて作成され、液圧制御コンピュ
ータのROMに格納されている。
の制御により達成可能な減圧速度より小さく、目標W/
C液圧PWCNMが低圧ポンプによる減圧制御限界以下であ
れば、S101の判定結果がYESになってS102が
実行され、ポンプ制御が行われる。低圧ポンプが逆方向
に回転させられるとともに、必要とする減圧速度を得る
のに必要な電流が供給されて作動させられるのである。
次いでS103が実行され、4輪の各W/Cについて、
目標W/C液圧が最小であるか否かの判定が行われ、最
小のW/CについてはS104が実行されて、そのW/
Cに対応して設けられた増圧用電磁制御弁が全開させら
れ、W/Cから作動液が流出し、減圧させられる。目標
W/C液圧が最小でなければS103の判定結果がNO
になってS105が実行され、そのW/Cについては、
対応して設けられた減圧用電磁制御弁が閉じられ、増圧
用電磁制御弁の制御により減圧させられる。低圧ポンプ
の作動によってW/C液圧が減少させられるとき、作動
液は、増圧用電磁制御弁,開閉弁210を通り、低圧ポ
ンプからマスタリザーバへ戻る。
が低圧ポンプの制御では達成できず、あるいは目標W/
C液圧PWCNMが低圧ポンプによる減圧制御限界を超えて
いれば、S101の判定結果がNOになってS106が
実行され、ポンプ待機制御が行われる。低圧ポンプの吐
出液圧が、4輪の各W/C液圧のうち、最大のW/C液
圧に余裕値を加えた値となるように制御されるのであ
り、S107の実行により増圧用電磁制御弁が閉じら
れ、減圧用電磁制御弁の制御によりW/C液圧が減少さ
せられる。
れているのでなければ、S99の判定結果がNOになっ
てS108が実行され、ポンプ待機制御が行われ、S1
09において電磁制御弁の制御が行われる。これらポン
プ待機制御および電磁制御弁の制御は、図1〜図10に
示す実施形態のS9,S10におけると同様に行われ、
W/C液圧が減少させられ、あるいは保持される。ま
た、4輪すべてについて減圧が要求されていても、ポン
プ液圧と最大W/C液圧とが同じでなければS100の
判定結果がNOになってS108,S109が実行され
る。
ラムに従って行われる。アンチロック制御時の増圧は、
図1〜図10に示す実施形態と同様に行われ、減圧およ
び保持は、図19に示す通常制動用液圧制御プログラム
の減圧および保持と同様に行われる。ポンプ減圧実行条
件も同じである。但し、アンチロック制御の場合、ポン
プ減圧実行条件の,が成立するのは、通常の制動時
であって、増圧制御が行われていて動力液圧源の液圧と
最大W/C液圧とが等しい状態で4輪について減圧が必
要になった場合、例えば、路面全体の摩擦係数が急激に
低下し、4輪の全部について同時に減圧が必要になった
場合である。アンチロック制御開始後、ポンプ待機制御
が行われて動力液圧源の液圧が最大W/C液圧より高く
されるまでは、ポンプの作動による減圧が可能であり、
ポンプ待機制御の実行後は、ポンプの作動による減圧は
行われない。
てのW/Cにおいて減圧が必要であっても、ポンプ液圧
(動力液圧源の液圧)と最大W/C液圧とが等しくなけ
れば、ポンプの作動に基づく減圧は行われず、減圧用電
磁制御弁の制御により減圧が行われるようにされていた
が、W/C液圧,減圧速度が低圧ポンプによる減圧可能
領域内の大きさであり、かつすべての車輪のW/Cにお
いて減圧の必要があれば、低圧ポンプを用いてW/C液
圧を減少させてもよい。
すべての車輪における目標W/C液圧PWCNMのうちの最
大値が低圧ポンプによる減圧可能領域内の大きさであ
り、かつ、すべての車輪のW/Cにおいて減圧の必要が
あれば、S159,S160の判定結果がYESになっ
てS161が実行され、ポンプ液圧(動力液圧源の液
圧)が最大目標W/C液圧より小さいか否かの判定が行
われる。ポンプ液圧が最大目標W/C液圧より小さけれ
ばS161の判定結果がYESになり、S162〜S1
68が前記実施形態のS101〜S107と同様に実行
される。但し、S162においては、必要な減圧速度を
低圧ポンプの制御によって得ることができるか否かのみ
の判定が行われる。
S161の判定結果がNOになってS170が実行さ
れ、低圧ポンプが逆方向に回転させられる。この際、低
圧ポンプにはポンプ液圧と最大W/C液圧との差に基づ
いて決まる電流が供給される。このように低圧ポンプが
逆方向に回転させられてポンプ液圧が低下し、最大W/
C液圧より小さくなれば、S161の判定結果がYES
になり、低圧ポンプの逆回転制御による減圧が行われる
状態となる。ポンプ待機制御の実行により低圧ポンプの
吐出液圧が最大W/C液圧より高くされることがあって
も、すべての車輪のW/Cにおいて減圧が必要であれ
ば、低圧ポンプの逆回転により減圧が行われるのであ
る。なお、アンチロック制御用液圧制御プログラムにお
いても同様に、すべての車輪のW/Cにおいて減圧が必
要であれば、ポンプ吐出液圧が最大W/C液圧以上であ
っても低圧ポンプを逆方向に回転させ、低圧ポンプの作
動に基づいて減圧を行ってもよい。
および高圧ポンプ66を駆動する電動モータ60,62
への供給電気エネルギである供給電流の大きさは、実W
/C液圧の目標W/C液圧からの偏差および必要な増圧
速度に基づいて決定され、あるいは作動液の温度に基づ
いて決定されていたが、動力液圧源よりW/C側の容積
であって、作動液を収容可能な容積に基づいて供給電流
が制御されるようにしてもよい。その例を、図23およ
び図24に基づいて説明する。なお、ブレーキ液圧回路
は、図示は省略するが図1ないし図10に示す実施形態
と同様に構成されている。また、通常制動制御およびア
ンチロック制御も同様に行われる。フィードフォワード
制御における電動モータ60,62への供給電流の決
定、およびフィードバック制御におけるフィードバック
ゲインの変更以外は、同様に行われるのである。
を収容可能なすべての部材の各作動液収容容積の和V
(以下、作動液収容総容積Vと称する)は、 (1)式によ
り表される。 V=V0 +Σ(αi ・Vi )────── (1) ただし、 V0 :動力液圧源と4個の増圧用電磁制御弁の各々との
間の作動液収容容積の和 αi :増圧用電磁制御弁の開度に基づく係数 Vi :各増圧用電磁制御弁よりW/Cの側における作動
液収容容積
り、それぞれ4個の車輪の各々に対応する。作動液収容
容積Vi は、4個の増圧用電磁制御弁の各々よりW/C
側において作動液を収容する複数の部材の各収容容積の
和である。作動液を収容する部材とは、増圧用電磁制御
弁とW/Cとを接続する配管,ホース,ブレーキを構成
するブレーキ構成部材等である。作動液収容容積V0 ,
Vi は、設計上決まる大きさであり、係数αi は、4個
の増圧用電磁制御弁の各々について、その開度に応じて
設定される。係数αi と増圧用電磁制御弁の開度との間
には、図23のグラフに示す傾向の関係があり、この関
係を示す式が予め実験によって取得されており、コンピ
ュータのROMに格納されている。係数αi は、ばらつ
きを考慮し、実験により平均的な値を求めることが望ま
しい。増圧用電磁制御弁の開度は、コイルへの供給電流
の大きさからわかり、増圧用電磁制御弁の開度および上
記ROMに格納された式に基づいて係数αi が増圧用電
磁制御弁毎に決定される。4個の増圧用電磁制御弁が開
かれれば、その開かれた増圧用電磁制御弁よりW/C側
における作動液収容容積が動力液圧源に連通させられ
る。しかし、増圧用電磁制御弁の開度が小さい場合に
は、作動液の流入許容流量が小さく制限されるため、増
圧用電磁制御弁の開度が小さい場合には、あたかも作動
液収容容積が小さいように取り扱われるようにされてい
る。すなわち、Σ(αi ・Vi )は、4個の増圧用電磁
制御弁の開度に応じて変わる各増圧用電磁制御弁よりホ
イールシリンダ側の実質的な作動液収容容積の和なので
あり、以下、実質的収容容積和と略称することとする。
なお、増圧用電磁制御弁の開度と係数αi との関係をテ
ーブル化してコンピュータのROMに格納しておき、そ
のテーブルにより、開度に対応する係数を取得するよう
にしてもよい。
(2)式で表される。 dP/dt=K・Q/V────── (2) ただし、 K:作動液および増圧用電磁制御弁よりW/Cの側にあ
って作動液を収容するすべての部材を含む系の体積弾性
率 Q:動力液圧源から供給される作動液の流量
の圧縮性と、増圧用電磁制御弁よりW/Cの側にあって
作動液を収容する部材の剛性とに対応して、液圧Pの変
化勾配dP/dtが変わる。圧縮性が大きく、剛性が小
さければ、供給される単位量の作動液に対して得られる
液圧Pの変化勾配dP/dtは小さく、圧縮性が小さ
く、剛性が大きければ、変化勾配dP/dtは大きくな
るのである。上記体積弾性率Kは、この事実に対応する
ものである。
る。 dP/dt=K・Q/{V0 +Σ(αi ・Vi )}───── (3) 実質的収容容積和Σ(αi ・Vi )は変数であり、変化
勾配dP/dtは、流量Qが小さいほど、また、実質的
収容容積和が大きいほど小さくなるのである。流量Qを
制御すれば、実質的収容容積和の変化による変化勾配の
変動を打ち消すことが可能であり、本実施形態において
は、流量Qを実質的収容容積和に応じて制御すべく、フ
ィードフォワード制御およびフィードバック制御が行わ
れる。
ポンプ66)の回転数(本実施形態においては、電動モ
ータとポンプとが直結されているため、電動モータの回
転数でもある)Nと、流量Q(ポンプの吐出流量)との
間には (4)式で表される関係がある。 Q=μ・Vth・N──── (4) ただし、 μ:ポンプ効率 Vth:ポンプが1回転する際の理論吐出量 また、電動モータへの供給電流Iとそれの回転数Nとの
間には (5)式で表される関係がある。 N=k1 ・I+k2 ──── (5) ただし、 k1 ,k2 :定数 (3), (4)および (5)式に基づいて (6)式が得られる。 dP/dt=K・μ・Vth・(k1 ・I+k2 )/{V0 +Σ(αi ・Vi )} ─── (6)
tは運転者のブレーキ操作量により決まり、フィードフ
ォワード制御では、 (6)式を用いて供給電流Iが決定さ
れる。 (6)式は実質的収容容積和を変数としており、動
力液圧源の液圧Pは、運転者のブレーキ操作量によって
決まる目標液圧に対して応答性高く制御される。 (3)式
について説明したように、一定の流量Qに対して実質的
収容容積和が大きいほど変化勾配が小さくなるため、実
質的収容容積和を変数としなければ、実質的収容容積和
の大きさによって変化勾配が変わり、目標とする液圧が
得られない。それに対し、実質的収容容積和を考慮して
供給電流Iを決定すれば、複数の増圧用電磁制御弁の状
態いかんを問わず、動力液圧源の液圧が運転者のブレー
キ操作量に精度よく対応した大きさに制御される。
る。フィードバック制御では、実質的収容容積和の大き
さに応じてフィードバックゲインが変更される。目標W
/C液圧の大きさに応じて増圧用電磁制御弁の開度が変
わり、実質的収容容積和が一定ではないのに対し、フィ
ードバックゲインが固定ゲインであれば、動力液圧源の
液圧の目標液圧からの外れが大きくなってしまうからで
ある。流量Q,実質的収容容積和Σ(αi ・Vi )およ
び動力液圧源の液圧Pの変化勾配dP/dtの間には、
(3)式で表される関係があり、 (3)式について説明した
ように、流量Qが一定であっても、実質的収容容積和Σ
(αi・Vi )が大きいほど変化勾配dP/dtが小さ
くなる。そのため、フィードバックゲインが固定ゲイン
の場合、実W/C液圧の目標W/C液圧に対する偏差
や、目標W/C液圧の変化勾配が同じであれば、実質的
収容容積和が異なっても流量Qが同じにされるため、実
質的収容容積和の大きさによって、液圧の変化勾配が異
なり、実W/C液圧の目標W/C液圧に対する応答性が
不足し、あるいは逆に過敏に応答して脈動,振動,騒音
の原因となるのである。
動力液圧源の液圧を制御した場合における目標W/C液
圧,実W/C液圧および動力液圧源の液圧の変化の一例
を図24のグラフに示す。このグラフは、1つの動力液
圧源に4個のW/Cを接続し、動力液圧源と4個のW/
Cとの間にそれぞれ、増圧用電磁制御弁および減圧用電
磁制御弁を1つずつ設け、実W/C液圧の目標W/C液
圧に対する偏差に基づいて電動モータに対する供給電流
を制御するとともに、増圧用電磁制御弁および減圧用電
磁制御弁を開閉する制御を行った場合の、1個のW/C
の液圧変化を記録したものである。
個の増圧用電磁制御弁がすべて全開とされている機会が
多い状態では、動力液圧源の液圧および実W/C液圧は
安定的に制御されている。この状態では実質的収容容積
和が大きいが、フィードバックゲインがこの状態に合わ
せて設定されているからである。それに対し、目標W/
C液圧がほぼ一定になった後は、動力液圧源の液圧と実
W/C液圧とが大きく変動する。この状態では、4個の
増圧用電磁制御弁が全閉とされている機会が多くなり、
実質的収容容積和が小さくなるため、大きな実質的収容
容積和に合わせて設定されているフィードバックゲイン
が過大となり、電動モータに対する供給電流の変動が大
き過ぎて、動力液圧源の液圧と実W/C液圧とが大きく
変動するのである。
増圧用電磁制御弁よりW/C側の実質的収容容積和と動
力液圧源と増圧用電磁制御弁との間の収容容積との和で
ある作動液収容総容積に応じた大きさに設定されること
が望ましいことが明らかであり、本実施形態において
は、所定の作動液収容総容積に対して最適化されたフィ
ードバックゲインを基準として、一般的な実質的収容容
積和に対するフィードバックゲインが演算される。作動
液収容総容積Va に対してフィードバックゲインが最適
化されたとすれば、その状態における動力液圧源の液圧
Pの変化勾配dP/dtと流量Qa との関係は (7)式で
表される。 dP/dt=K・Qa /Va ───── (7)
b ,流量をQb とすれば、動力液圧源の液圧Pの変化勾
配dP/dtは (8)式で表される。 dP/dt=K・Qb /Vb ───── (8) 実質的収容容積和が異なり、その結果、作動液収容総容
積が異なっても、同じ大きさの液圧の変化勾配が得られ
るようにするためには、 (7)式と (8)式とにおける液圧
の変化勾配dP/dtが等しくなるようにすればよいた
め、 (9)式が成立すればよいことになる。 Qb =(Vb /Va )・Qa ───── (9) (9)式から明らかなように、作動液収容総容積が異なっ
ても、すなわち実質的収容容積和が異なっても同じ大き
さの液圧の変化勾配を得るためには、作動液の流量をV
b /Va 倍すればよく、そのためにはフィードバックゲ
インを、最適化された状態での値のVb /Va 倍とすれ
ばよい。このように実質的収容容積和に応じてフィード
バックゲインを設定する場合、例えば、電動モータへの
供給電流Iの増分ΔIが(10)式により算出されるように
することができる。 ΔI=C1 ・(Vb /Va )・(PWCNM−PWCAC)──────(10) ただし、 C1 :ポンプの吐出特性に基づいて決まる定数 PWCNM:目標W/C液圧 PWCAC:実W/C液圧 なお、フィードバックゲインは、Vb /Va の関数と
し、Vb /Va に基づいて決めてもよく、あるいはVb
/Va および(PWCNM−PWCAC)の関数とし、V b /V
a および(PWCNM−PWCAC)に基づいて決めてもよい。
は、実質的収容容積和を考慮してフィードフォワード制
御が行われ、それでも残った制御誤差、すなわち実W/
C液圧PWCACの目標W/C液圧PWCNMに対する偏差が0
に近づくように、実質的収容容積和に応じて変更される
フィードバックゲインによってフィードバック制御され
る。これにより、増圧用電磁制御弁の状態によって実質
的収容容積和、ひいては作動液収容総容積が大きく変動
するにもかかわらず、実W/C液圧PWCACが精度よく目
標W/C液圧PWCNMに追従させられる。実W/C液圧の
目標W/C液圧に対する応答性が不足することも、逆に
過敏に応答して脈動,振動,騒音の原因となることも良
好に回避できるのである。また、過敏な応答の抑制によ
り、電動モータへの無駄な電流の供給が少なくなり、消
費エネルギのロスが少なくなる。さらにまた、フィード
バックゲインを実質的収容容積和の大きさに応じて変更
することが望ましいことが明らかになったため、制動制
御プログラムの設計,フィードバックゲインの適正化作
業等の工数を低減させることが可能になったことも本発
明の効果の一つである。
各実施形態において、ポンプ待機制御を行うことは不可
欠ではなく、ポンプ待機制御に代えてポンプを停止させ
てもよい。そのようにすれば、ギヤポンプである低圧ポ
ンプから液圧が漏れ、ポンプ吐出液圧が低下して最大W
/C液圧以下となる機会が増え、低圧ポンプの作動によ
る減圧実行の機会が増加する。
各実施形態においては、ポンプの作動による減圧実行条
件が成立したとき、目標W/C液圧が最小ではないW/
Cについては、減圧用電磁制御弁が閉じられ、増圧用電
磁制御弁の制御によって減圧が行われるようにされてい
たが、増圧用電磁制御弁を閉じ、減圧用電磁制御弁の制
御によって減圧するようにしてもよい。
実施形態においては低圧ポンプがギヤポンプとされ、高
圧ポンプがプランジャポンプとされていたが、低圧ポン
プ,高圧ポンプ共にギヤポンプとしてもよい。低圧ポン
プおよび高圧ポンプを共にギヤポンプとする場合、高圧
ポンプを逆回転させてW/C液圧を減少させてもよい。
高圧ポンプをギヤポンプとすれば、高圧ポンプおよび低
圧ポンプの両方を逆回転させることにより、低圧ポンプ
のみを逆回転させる場合よりも減圧速度を大きくするこ
とが可能であり(低圧ポンプのみの作動では減圧速度が
不足する場合には、高圧ポンプも作動させ、2つのポン
プの作動により所望の減圧速度を得るのである)、低圧
ポンプが作動せず、高圧ポンプによってW/C液圧が増
減させられる液圧領域(図18ないし図21に示す実施
形態のパイロット式シート開閉弁210と同様に構成さ
れたパイロット式シート開閉弁が閉じた後の領域)で
は、高圧ポンプの作動によりW/C液圧が減少させられ
る。
ギヤポンプとする場合、低圧ポンプから吐出された作動
液をW/Cに供給する液通路と、高圧ポンプから吐出さ
れた作動液をW/Cに供給する液通路とが合流する部分
よりも低圧ポンプ側の部分とW/C側の部分とにそれぞ
れ、ポンプ側からW/Cへの作動液の流れは許容する
が、逆向きの流れは阻止する逆止弁を設けてもよい。上
記液通路の合流部よりもW/C側に設けられた逆止弁
は、動力液圧源全体の吐出側に設けられることとなり、
一旦W/C側に供給された作動液の逆流を防止する。
回転させ、W/C液圧を減少させる液圧ブレーキ装置に
おいても、図11および図12に記載の液圧ブレーキ装
置と同様に、アンチロック制御時に特定制御を行い、減
圧要求輪のW/Cの作動液を増圧要求輪のW/C液圧の
増大に利用するようにしてもよい。この場合、ポンプ待
機制御を行ってもよく、行わなくてもよい。ポンプ待機
制御を行う代わりにポンプを停止させれば、ギヤポンプ
からの作動液の漏れによりポンプ液圧が低下し、ポンプ
液圧が最大W/C液圧以下になる機会が増え、特定制御
が実行される場合が増える。図11および図12に示す
実施形態の液圧ブレーキ装置のブレーキ液圧回路には逆
止弁68,70が設けられているため、すべての車輪の
W/Cにおいて増圧の必要がなく、低圧ポンプが作動を
停止させられても、ギヤポンプである低圧ポンプ64か
ら作動液が漏れることはなく、低圧ポンプ停止時にポン
プ液圧が最大W/C液圧より大きければ、低圧ポンプ停
止中にポンプ液圧が最大W/C液圧以下になることはな
い。それに対し、低圧ポンプの逆回転によりW/C液圧
を減少させる液圧ブレーキ装置においては、低圧ポンプ
停止中に作動液の漏れによってポンプ液圧が低下するこ
とがある分、ポンプ液圧が最大W/C液圧以下になる機
会が多いのである。
ホイールシリンダの各々について設けられ、液圧制御弁
装置を構成する増圧用電磁制御弁76,80,84,8
8および減圧用電磁制御弁78,82,86,90はそ
れぞれ、コイル142,156への供給電流の制御によ
って開度が制御されるものとされていたが、開度が制御
不能であって、100%開いた開状態と完全に閉じた閉
状態(開度が0%である状態)とに切換え可能な電磁開
閉弁により液圧制御弁装置を構成してもよい。例えば、
複数のホイールシリンダのそれぞれについて、増圧用の
電磁開閉弁,減圧用の電磁開閉弁を設けるのである。液
圧制御弁装置を電磁開閉弁により構成した場合、図2
3,図24に示す実施形態におけると同様にフィードフ
ォワード制御およびフィードバック制御を行うのであれ
ば、実質的収容容積和を求めるための係数αi は、電磁
開閉弁が開いているか閉じているかによって1あるいは
0のいずれかとなり、実質的収容容積和は、開いている
増圧用の電磁開閉弁の数によって段階的に変わる。電磁
方向切換弁は、増圧用の電磁開閉弁と減圧用の電磁開閉
弁とが一体になったものと考えられ、液圧制御弁装置は
電磁方向切換弁により構成してよい。
力液圧源よりW/C側の容積であって、作動液を収容可
能な容積に基づいてフィードバックゲインを変更する場
合、比例項のみならず、比例項,微分項および積分項の
少なくとも1つのフィードバックゲインを変更するよう
にしてもよい。
給電流を決めるに当たり、動力液圧源よりW/C側の容
積であって、作動液を収容可能な容積に基づいてフィー
ドフォワード制御を行うのに加えて、ポンプ装置とポン
プ装置を通過する作動液との少なくとも一方の温度に基
づいてフィードフォワード制御を行ってもよい。例え
ば、図13あるいは図14に示す実施形態におけると同
様に、作動液の温度に基づくフィードフォワード制御
を、作動液を収容可能な容積に基づくフィードフォワー
ド制御と共に行うのである。
に説明したが、これらは例示に過ぎず、本発明は、前記
〔発明が解決しようとする課題,課題解決手段,作用お
よび効果〕の項に記載された態様を始めとして、当業者
の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施
することができる。
示す回路図である。
よび電動モータを示す正面図(一部断面)である。
設けられた増圧用電磁液圧制御弁および減圧用電磁液圧
制御弁を示す正面図(一部断面)である。
設けられた増圧用電磁制御弁および減圧用電磁制御弁を
示す正面図(一部断面)である。
うち、本発明に関連の深い部分を概略的に示すブロック
図である。
のROMに格納された通常制動用液圧制御プログラムを
表すフローチャートである。
たアンチロック制御用液圧制御プログラムを表すフロー
チャートである。
た異常監視プログラムを表すフローチャートである。
れた増圧用のポンプ性能テーブルを示す図である。
置の制御装置を構成する液圧制御コンピュータのROM
に格納されたアンチロック制御用液圧制御プログラムを
表すフローチャートである。
ログラムの特定制御ステップを詳細に表すフローチャー
トである。
キ装置を構成する動力液圧源の低圧ポンプを示す側面断
面図である。
キ装置の制御装置を構成する液圧制御コンピュータのR
OMに格納されたポンプおよび電磁制御弁の制御モデル
を示す図である。
キ装置における動力液圧源の残圧抜き処理を説明するグ
ラフである。
キ装置における動力液圧源の残圧抜き処理を説明するグ
ラフである。
キ装置における動力液圧源の残圧抜き処理を説明するグ
ラフである。
キ装置を構成するパイロット式シート開閉弁を示す正面
断面図である。
む液圧ブレーキ装置の制御装置を構成する液圧制御コン
ピュータのROMに格納された通常制動用液圧制御プロ
グラムを表すフローチャートである。
む液圧ブレーキ装置の制御装置を構成する液圧制御コン
ピュータのROMに格納されたアンチロック制御用液圧
制御プログラムを表すフローチャートである。
む液圧ブレーキ装置の制御装置を構成する液圧制御コン
ピュータのROMに格納された減圧用のポンプ性能テー
ブルを示す図である。
み、低圧ポンプの逆回転により減圧が行われる別の液圧
ブレーキ装置における通常制動用液圧制御プログラムを
表すフローチャートである。
キ装置においてポンプを駆動する電動モータへの供給電
流をフィードフォワード制御,フィードバック制御する
ための増圧用電磁制御弁の開度と係数との関係を表すグ
ラフである。
ィードバック制御を行った場合における目標W/C液
圧,実W/C液圧および動力液圧源の液圧の変化を表す
グラフである。
6:右後輪 20,22:フロントホイールシリンダ
24,26:リヤホイールシリンダ 32:動力
液圧源 60,62:電動モータ 64:低圧ポン
プ 66:高圧ポンプ 76:増圧用電磁制御弁
78:減圧用電磁制御弁 80:増圧用電磁制御弁
82:減圧用電磁制御弁 84:増圧用電磁制御
弁 86:減圧用電磁制御弁 88:増圧用電磁制
御弁 90:減圧用電磁制御弁170:制御装置
200:低圧ポンプ 202:温度センサ
Claims (13)
- 【請求項1】 作動液の液圧によりそれぞれ作動し、各
車輪を制動するブレーキを駆動する複数のブレーキシリ
ンダと、 それら複数のブレーキシリンダに作動液を供給するポン
プ装置と、 そのポンプ装置と前記複数のブレーキシリンダの少なく
とも一部のものとの間に設けられ、その少なくとも一部
のブレーキシリンダの液圧を制御する液圧制御弁装置
と、 前記ポンプ装置の作動を制御することによりそのポンプ
装置の吐出液圧を制御するポンプ制御装置を備えた吐出
液圧制御装置とを含む液圧ブレーキ装置であって、 前記液圧制御弁装置を前記吐出液圧をそのまま前記複数
のブレーキシリンダに伝達する状態に保つとともに、前
記ポンプ装置の作動を制御することにより前記複数のブ
レーキシリンダの液圧を制御する第1制御手段と、 前記液圧制御弁装置を制御することによりその液圧制御
弁装置に対応するブレーキシリンダの液圧を制御すると
ともに、前記ポンプ装置を少なくともそのブレーキシリ
ンダの液圧の制御が可能な状態に制御する第2制御手段
と、 それら第1制御手段と第2制御手段とを当該液圧ブレー
キ装置の作動状態に基づいて択一的に選択する選択手段
とを含む液圧ブレーキ装置。 - 【請求項2】 前記ポンプ装置が、限界吐出液圧が大小
に異なる低圧ポンプと高圧ポンプとの2つが互いに並列
に接続されたものであり、かつ、前記吐出液圧制御装置
が、前記複数のブレーキシリンダの液圧の制御に必要な
吐出液圧および吐出流量に応じてそれら低圧ポンプと高
圧ポンプとの作動を制御する低圧・高圧ポンプ制御装置
を含む請求項1に記載の液圧ブレーキ装置。 - 【請求項3】 前記ポンプ装置が、正方向に回転するこ
とにより前記複数のブレーキシリンダに向かって作動液
を吐出し、逆方向に回転することにより複数のブレーキ
シリンダからの作動液の流出を許容する可逆ポンプを含
み、かつ、当該液圧ブレーキ装置が、前記複数のブレー
キシリンダの液圧を減少させる必要がある場合に前記可
逆ポンプを逆方向に回転させるポンプ逆回転制御手段を
含む請 求項1または請求項2に記載の液圧ブレーキ装
置。 - 【請求項4】 作動液の液圧によりそれぞれ作動し、各
車輪を制動するブレーキを駆動する複数のブレーキシリ
ンダと、 それら複数のブレーキシリンダに作動液を供給するポン
プ装置と、 そのポンプ装置と前記複数のブレーキシリンダの少なく
とも一部のものとの間に設けられ、その少なくとも一部
のブレーキシリンダの液圧を制御する液圧制御弁装置
と、 前記ポンプ装置の作動を制御することによりそのポンプ
装置の吐出液圧を制御するポンプ制御装置を備えた吐出
液圧制御装置とを含む液圧ブレーキ装置であって、 前記複数のブレーキシリンダの少なくとも1つの液圧を
増加させる必要があり、その少なくとも1つより液圧が
高い少なくとも1つのブレーキシリンダにおいて液圧を
減少させる必要がある場合に、前記液圧制御弁装置を、
液圧を減少させる必要があるブレーキシリンダから排出
される作動液の少なくとも一部が液圧を増加させる必要
があるブレーキシリンダに流入することを許容する状態
に制御する排出作動液利用増圧制御手段を含むことを特
徴とする液圧ブレーキ装置。 - 【請求項5】 作動液の液圧によりそれぞれ作動し、各
車輪を制動するブレーキを駆動する複数のブレーキシリ
ンダと、 それら複数のブレーキシリンダに作動液を供給するポン
プ装置と、 そのポンプ装置と前記複数のブレーキシリンダの少なく
とも一部のものとの間に設けられ、その少なくとも一部
のブレーキシリンダの液圧を制御する液圧制御弁装置
と、 前記ポンプ装置の作動を制御することによりそのポンプ
装置の吐出液圧を制御するポンプ制御装置を備えた吐出
液圧制御装置とを含む液圧ブレーキ装置であって、 前記ポンプ装置が少なくともギヤポンプを含み、前記ポ
ンプ制御装置が、そのギヤポンプの温度とそのギヤポン
プを通過する作動液の温度との少なくとも一方を検出す
る温度検出装置と、その温度検出装置により検出された
温度に基づいて前記ギヤポンプの作動を制御する温度対
応ポンプ制御手段を含むことを特徴とする液圧ブレーキ
装置。 - 【請求項6】 作動液の液圧によりそれぞれ作動し、各
車輪を制動するブレーキを駆動する複数のブレーキシリ
ンダと、 それら複数のブレーキシリンダに作動液を供給するポン
プ装置と、 そのポンプ装置と前記複数のブレーキシリンダの少なく
とも一部のものとの間に設けられ、その少なくとも一部
のブレーキシリンダの液圧を制御する液圧制御弁装置
と、 前記ポンプ装置の作動を制御することによりそのポンプ
装置の吐出液圧を制御するポンプ制御装置を備えた吐出
液圧制御装置とを含む液圧ブレーキ装置であって、 前記液圧制御弁装置の少なくとも一部が常開の減圧制御
弁と常閉の増圧制御弁とを備え、当該液圧ブレーキ装置
が、前記液圧制御弁装置による液圧制御の終了後の少な
くとも一時期に、前記増圧制御弁を開弁することによっ
てその増圧制御弁より前記ポンプ装置側の残圧を抜くポ
ンプ装置側残圧抜き手段を含むことを特徴とする液圧ブ
レーキ装置。 - 【請求項7】 作動液の液圧によりそれぞれ作動し、各
車輪を制動するブレーキを駆動する複数のブレーキシリ
ンダと、 それら複数のブレーキシリンダに作動液を供給するポン
プ装置と、 そのポンプ装置と前記複数のブレーキシリンダの少なく
とも一部のものとの間に設けられ、その少なくとも一部
のブレーキシリンダの液圧を制御する液圧制御弁装置
と、 前記ポンプ装置の作動を制御することによりそのポンプ
装置の吐出液圧を制御するポンプ制御装置を備えた吐出
液圧制御装置とを含む液圧ブレーキ装置であって、 前記液圧制御弁装置の少なくとも一部が常開の減圧制御
弁と常閉の増圧制御弁とを備え、当該液圧ブレーキ装置
が、前記減圧制御弁による減圧中に前記増圧制御弁を開
弁し、前記吐出液圧を前記ブレーキシリンダの液圧と実
質的に等しくする等圧化手段を含むことを特徴とする液
圧ブレーキ装置。 - 【請求項8】 前記等圧化手段が、前記増圧制御弁を、
その増圧制御弁に対応するブレーキシリンダの液圧に実
質的な影響を及ぼさない開度で開弁させることを特徴と
する請求項7に記載の液圧ブレーキ装置。 - 【請求項9】 前記等圧化手段が、前記吐出液圧を前記
ブレーキシリンダの液圧と実質的に等しくするととも
に、前記減圧制御弁に対応する対応ブレーキシリンダの
液圧が目標液圧となるように前記増圧制御弁の開度を制
御するものであることを特徴とする請求項7に記載の液
圧ブレーキ装置。 - 【請求項10】 作動液の液圧によりそれぞれ作動し、
各車輪を制動するブレーキを駆動する複数のブレーキシ
リンダと、 それら複数のブレーキシリンダに作動液を供給するポン
プ装置と、 そのポンプ装置と前記複数のブレーキシリンダの少なく
とも一部のものとの間に設けられ、その少なくとも一部
のブレーキシリンダの液圧を制御する液圧制御弁装置
と、 前記ポンプ装置の作動を制御することによりそのポンプ
装置の吐出液圧を制御するポンプ制御装置を備えた吐出
液圧制御装置とを含む液圧ブレーキ装置であって、 前記液圧制御弁装置の少なくとも一部が常開の減圧制御
弁と常閉の増圧制御弁とを備え、当該液圧ブレーキ装置
が、前記減圧制御弁による減圧中にその減圧制御弁に対
応するブレーキシリンダの液圧が設定液圧まで減少した
場合に、減圧制御弁を全開とする一方、ブレーキシリン
ダの液圧が目標液圧となるようにする増圧制御弁制御を
開始し、そのブレーキシリンダの液圧と前記吐出液圧と
が等しくなった場合に、増圧制御弁を全開とする一方、
ブレーキシリンダの液圧が目標液圧となるようにする減
圧制御弁の制御を開始する等圧化手段を含む液圧ブレー
キ装置。 - 【請求項11】 前記ポンプ装置が電動モータにより駆
動されるものであり、前記ポンプ制御装置が、前記吐出
液圧を制御すべく前記電動モータへの供給電気エネルギ
を制御するモータ制御装置を含む請求項1ないし請求項
10のいずれか1つに記載の液圧ブレーキ装置。 - 【請求項12】 作動液の液圧によりそれぞれ作動し、
各車輪を制動するブレーキを駆動する複数のブレーキシ
リンダと、 電動モータを駆動源とし、複数のブレーキシリンダに作
動液を供給するポンプ装置と、 そのポンプ装置と前記複数のブレーキシリンダの少なく
とも一部のものとの間に設けられ、その少なくとも一部
のブレーキシリンダの液圧を制御する液圧制御弁装置
と、 前記ポンプ装置の吐出液圧を制御するために、前記電動
モータへの供給電気エネルギを、前記複数のブレーキシ
リンダの液圧と、前記液圧制御弁装置の状態に基づいて
決まる前記ポンプ装置から前記複数のブレーキシリンダ
への作動液の流入許容量とに基づいて制御するモータ制
御装置とを含む液圧ブレーキ装置であって、 前記モータ制御装置が、前記流入許容流量が大きい場合
に小さい場合より前記供給電気エネルギを大きくする流
入許容流量対応制御部を備えたことを特徴とする液圧ブ
レーキ装置。 - 【請求項13】 前記モータ制御装置が、前記ポンプ装
置の実際の吐出液圧である実吐出液圧が目標吐出液圧に
近づくようにポンプ装置または前記電動モータを制御す
るフィードバック制御部を備え、そのフィードバック制
御部が、フィードバックゲインを、前記流入許容流量が
大きい場合に小さい場合より大きくする流入許容流量対
応ゲイン変更手段を含む請求項12に記載の液圧ブレー
キ装置。
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