JP3407998B2 - ボタンホール縫いミシン - Google Patents

ボタンホール縫いミシン

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JP3407998B2
JP3407998B2 JP28669594A JP28669594A JP3407998B2 JP 3407998 B2 JP3407998 B2 JP 3407998B2 JP 28669594 A JP28669594 A JP 28669594A JP 28669594 A JP28669594 A JP 28669594A JP 3407998 B2 JP3407998 B2 JP 3407998B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ボタンホール縫いミシ
ンに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、ボタンホール縫いミシンとして
は、例えば実公平2−46846号公報に記載されてい
るミシンがある。このボタンホール縫いミシンにおいて
は、ボタンホール用押えの上下の動きを検出して布の厚
さを測定し、布の厚さに応じて(縫製開始位置に戻るた
めの)渡り縫いのピッチを変更する様にしている。
【0003】具体的には、送りがされ易い薄地の場合
は、渡り縫いのピッチを小にして、反転スイッチがオン
するタイミングのずれを防ぎ、一方、厚地の場合は、渡
り縫いのピッチを大にして、布が送られないことによ
り、ボタンホールが縫えなかったりボタンホールに形状
不良が生ずることを防ぐようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ボタン
ホール縫いの形状不良の要因としては、送り方向(ボタ
ンホールの長さ方向)のばらつきだけでなく、ジグザク
方向(ボタンホールの幅方向)のばらつきがある。この
幅方向のばらつきには、図13(a)に示す様に、ボタ
ンホールの全体の幅Aのばらつきと切り溝幅Bのばらつ
きとがあり、上述した技術だけでは十分ではない。
【0005】つまり、一般的なボタンホール縫いにおい
ては、普通地(薄地を含む)で最適な形状となる様に、
左右のサイドのふち縫い幅Cに相当する針の振り幅が設
定されており、この振り幅で厚地や伸縮地を縫った場合
には、縫製時に布目が詰まって、図13(b)に示す様
に、ふち縫い幅C’が線の様に狭くなると同時に、切り
溝幅B’が必要以上に広がってしまい、異常に不格好な
ボタンホールになってしまう。
【0006】本発明は、上述した問題点を解決するため
になされたものであり、その目的は、普通地、厚地、伸
縮地等の各種の布に対しても、型くずれのしない美しい
ボタンホールが形成できるボタンホール縫いミシンを提
供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
の請求項1の発明は、所定のボタンホールを形成するた
めに、所定の縫製データに基づいてボタンホール縫いを
行なうボタンホール縫いミシンにおいて、形成するボタ
ンホールの切り溝幅を目標とする目標切り溝幅にするた
めに、実際に縫製が行われる際の実行切り溝幅を設定す
る実行切り溝幅設定手段と、布厚、布の柔軟性、布目の
粗密、布目の方向の布質のうち、少なくとも1つを検出
する布質検出手段と、を備え、前記実行切り溝幅設定手
段は、前記布質検出手段によって検出された布質条件に
従い、前記ボタンホールの実行切り溝幅を設定すること
特徴とするボタンホール縫いミシンを要旨とする。
【0008】請求項2の発明は、前記ボタンホール縫い
を行うための所定の縫製データを記憶する縫製データ記
憶手段を備え、前記実行切り溝幅設定手段が、前記布質
検出手段によって検出された布質条件に従い、前記縫製
データ記憶手段に記憶された所定の縫製データを変更す
ることにより、前記実行切り溝幅を設定することを特徴
とする前記請求項1記載のボタンホール縫いミシンを要
旨とする。
【0009】請求項3の発明は、前記布質検出手段が、
布厚検出を行うように構成され、前記実行切り溝幅設定
手段は、検出された布厚が普通地の布質条件の場合より
も厚地の布条件の方が前記実行切り溝幅を狭く設定する
ことを特徴とする前記請求項1又は2記載のボタンホー
ル縫いミシンを要旨とする。
【0010】請求項4の発明は、前記所定の縫製データ
が、針振り量又は針落ち点を含む縫製データであること
を特徴とする前記請求項1〜3のいずれか記載のボタン
ホール縫いミシンを要旨とする
【0011】
【作用】請求項1の発明では、布質検出手段により、布
厚、布の柔軟性、布目の粗密、布目の方向の布質のう
ち、少なくとも1つを検出する。そして、布質検出手段
によって検出された布質条件に従い、実行切り溝幅設定
手段によって、ボタンホールの実行切り溝幅を設定す
る。
【0012】つまり、本発明は、実行切り溝幅を、布種
に応じて変更することによって、目標切り溝幅を実現す
るものであり、それによって、型くずれのしない美しい
ボタンホールを形成する。請求項2の発明では、縫製デ
ータ記憶手段により、ボタンホール縫いを行うための所
定の縫製データを記憶する。そして、実行切り溝幅設定
手段が、布質検出手段によって検出された布質条件に従
い、縫製データ記憶手段に記憶された所定の縫製データ
を変更することにより、実行切り溝幅を設定する。
【0013】請求項3の発明では、布質検出手段が、布
厚検出を行うように構成され、実行切り溝幅設定手段
は、検出された布厚が普通地の布質条件の場合よりも厚
地の布条件の方が実行切り溝幅を狭く設定する。請求項
4の発明では、所定の縫製データとして、針振り量又は
針落ち点を含む縫製データを採用できる
【0014】
【実施例】以下、本発明を具体化した一実施例を図面を
参照して説明する。 (実施例1)図1に、実施例1の概略構成図を示し、 図3に、実施例
1のボタンホール縫いミシン(以下ミシンと称す)の電
気的構成のブロック図を示す。
【0015】図3に示す様に、ミシン本体には、マイク
ロコンピュータとして構成される電子制御装置1が設け
られている。この電子制御装置1は、周知のCPU1
a、メモリ1b、入出力ポート1c等から構成されてお
り、後述する縫製データに基づいて、ボタンホール縫い
等の各種の縫製制御を行なう。
【0016】特に、本実施例においては、メモリ1bに
は、1つの布条件に属する普通地及び薄地(以下普通地
と総称する)と他の布条件に属する厚地及び伸縮地(以
下厚地と総称する)に対して、異なるボタンホール縫い
を行なうために、普通地用及び厚地用の針振りデータ及
び布送りデータ等の2種の縫製データが記憶されてい
る。
【0017】そして、この2種の縫製データに対応し
て、図4に示す様に、ミシン本体の表面の(各種の縫い
模様を表示する)縫い模様表示部3に、普通地用のボタ
ンホール縫いを示す普通地表示部3aと、厚地用のボタ
ンホール縫いを示す厚地表示部3bとが設けられてい
る。
【0018】前記電子制御装置1の入出力ポート1cに
は、ボタンホール縫いにおいて、送りを反転させるため
の検知スイッチ5と、普通地用又は厚地用のボタンホー
ルを選択する選択スイッチ7と、ミシンの起動・停止を
行なう起動・停止スイッチ9とが接続されている。尚、
選択スイッチ7は、前記縫い模様表示部3の各表示部3
a,3bを押すとオンとなる様に一体としてもよい。更
に、駆動回路11,13,15を介して、各々ミシンを
駆動するためのメインモータ17と、布を送るための布
送りパルスモータ19と、針を左右に振るための針振り
パルスモータ21とが接続されている。
【0019】図5に示す様に、ミシンの頭部22には、
ボタンホール縫いを行なう構成として、針23を保持す
る針棒25と、押え棒27の下部に取り付けられた布押
えホルダ29と、布押えホルダ29に前後に摺動可能に
取り付けられたボタンホール用押え(BH押え)31と
から構成されている。このBH押え31の後側には、
(ボタンを載置してその寸法を測定するために)前後に
摺動可能な皿台33が取り付けられている。
【0020】前記BH押え31の後端の上部及び皿台3
3の後端の上部には、ボタンの寸法に応じて皿台33を
移動させるために、各々突起31a,33aが設けられ
ている。また、BH押え31の側部及び皿台33の前端
の上部には、後述する検知レバー35を移動させるため
に、各々突起31b,33bが設けられている。尚、皿
台33の前端の突起33bは、上部から側方に突出して
いる。
【0021】また、上述した検知スイッチ5は、前記検
知レバー35、支点ネジ37、反転スイッチ39から構
成されており、ネジ41でミシンの頭部22に固定され
ている。反転スイッチ39は、図6に(カバー39aを
外した状態を)示す様に、第1スイッチ41a及び第2
スイッチ41bで構成されており、検知レバー35の矢
印A及び矢印B方向の動作によってオン・オフ動作を行
なう。
【0022】次に、前記検知スイッチ5の動作について
説明する。検知レバー35は、ボタンホール縫いを行わ
ない場合は、頭部22の中に格納されて、ボタンホール
縫いを行なう場合に、下に引き出される。また、ボタン
ホールの大きさをボタンに応じて設定するために、皿台
33にボタンを載せ、皿台33を矢印A方向又はB方向
に移動させることにより、ボタンの直径と厚みとの合計
分に応じて、皿台33の位置を決定する。これによっ
て、皿台33の先端の突起33bの位置が定まるので、
検知レバー35の操作位置、即ち縫い方向を反転する位
置が決定することになる。
【0023】尚、皿台33にボタンが載せられない場合
でも、BH押え31には目盛りがつけられているので、
ボタンの直径と厚みとの合計分の長さを測り、その長さ
分の目盛りの位置に突起33bを移動させればよい。従
って、ボタンホール縫いを実行する場合には、縫製動作
にともなってBH押え31が矢印A方向に移動し、検知
レバー35が皿台33の前端の突起33bによって押さ
れると(即ち、ボタンホールの片側のふち縫いが終了し
た場合)、検知レバー35の上端が矢印C方向に回動し
て第1スイッチ41aがオンになる。また逆に、BH押
え31が矢印B方向に移動して、検知レバー35がBH
押え31の突起31bに押されると、検知レバー35の
上端が矢印D方向に回動して第2スイッチ41bがオン
になる。
【0024】次の、本実施例のミシンの全体の動作につ
いて、図7のフローチャート及び図8の説明図に基づい
て詳細に説明する。まず、BH押え31の皿台33を、
ボタンの直径と厚みとに応じて所定の位置に設定すると
ともに、検知レバー35を下げる。そして、BH押え3
1を後方にずらすことによって、BH押え31の突起3
1bによって第2スイッチ41bをオンの状態に設定し
ておく。
【0025】また、布の厚さ等に応じて、予め選択スイ
ッチ7を操作しておく。つまり、普通地用のボタンホー
ル縫いか厚地用のボタンホール縫いかを選択する。尚、
この場合、その選択した結果が普通地表示部3a又は厚
地表示部3bに表示されるが、両表示部3a、3bが選
択スイッチを兼ねる場合は、どちらかの表示部3a,3
bを押すことになる。
【0026】そして、最初は、選択スイッチ7によっ
て、どちらの布地用のボタンホール縫いが選択されてい
るかを判定し(S100)、ここで、どちらも選択され
ていない場合は、一旦本処理を終了する。また、普通地
用のボタンホール縫いが選択されている場合は、フラグ
fを1とし(S110)、一方、厚地用のボタンホール
縫いが選択されている場合は、フラグfを2とする(S
120)。
【0027】次に、起動・停止スイッチ9が操作され
て、スタート信号が送られてくるまで待機し(S13
0;NO)、スタート信号が送られてきたら(S13
0;YES)、フラグfの値に応じて、メモリ1bよ
り、バータック(かん止め)用の針振り量を読み込み
(S140)、針振りパルスモータ23とメインモータ
17とを駆動させて、図8に示す様に、ボタンホールの
一方のバータックB1を形成する(S150)。
【0028】バータックB1が形成し終わると、フラグ
fの値に応じて、メモリ1bより、ふち縫い用(サイド
用)の針振り量及び布送り量を読み込み(S160)、
布送りパルスモータ19を駆動させて、矢印A方向に布
を送り(S170)、ボタンホールのLサイドを縫製し
始める。つまり、このサイド用の針振り量は、後述する
図9に示す様に、目標とする切り溝幅(目標値X)とな
る様に、実際に縫製を行なう際の布厚に対応した切り溝
幅(実行値Y)に応じて設定されている。
【0029】そして、検知レバー35が皿台33の突起
33bに押されて、第1スイッチ41aがオンになるま
で縫製を続け(S180;NO)、第1スイッチ41a
がオンになったら(S180;YES)、フラグfの値
に応じて、バータック用の針振り量を読み込み(S19
0)、ボタンホールの他方のバータックB2を形成する
(S200)。
【0030】バータックB2が形成し終わると、フラグ
fの値に応じて、メモリ1bより、前記S160と同様
に、サイド用の針振り量及び布送り量を読み込み(S2
10)、布送りパルスモータ19を駆動させて、布送り
方向を逆転させ、矢印B方向に布を送り(S220)、
図8に示す様に、ボタンホールのRサイドを縫製し始め
る。
【0031】そして、検知レバー35がBH押え31の
突起31bに押されて、第2スイッチ41bがオンにな
るまで縫製を続け(S230;NO)、第2スイッチ4
1bがオンになったら(S230;YES)、止め縫い
を行なって、メインモータ17を停止させて(S24
0)、一旦本処理を終了する。
【0032】次に、上記縫製処理を、具体例として、普
通地にブロード地を、厚地にジャージを挙げて、図9及
び図10の説明図に基づいて説明する。普通地であるブ
ロードでボタンホールを縫う場合、Lサイド、切り溝
幅、Rサイドの縫製データ、即ち、実際に針等を操作す
る場合の実行値Yは、図9に示す様に設定されている。
従って、この実行値Yの縫製データに基づいて、ブロー
ドにてボタンホールを形成すると、布地が厚くはないの
で、ほぼ実行値Yの縫製データ通りに、即ち、目標値X
通りの完成値Yを有するボタンホールが得られる。その
結果、図10(a)に示す様に、最適な形状でボタンホ
ールが縫い上がる。
【0033】つまり、普通地にてボタンホール縫いを行
なう場合には、目標とするLサイド、切り溝幅、Rサイ
ドと、この目標となる様に実行されるLサイド、切り溝
幅、Rサイドとは同一とされており、しかも普通地であ
るので、実際に完成したLサイド、切り溝幅、Rサイド
も、前記目標値X(及び実行値Y)と、ほぼ同一とな
る。即ち、普通地の場合は、目標の縫製データを、その
まま実際の縫製を行なう際の針振り量等のデータとして
採用することができる。
【0034】ところが、厚地(且つ伸縮地)であるジャ
ージでボタンホールを縫う場合、前記普通地と同じ実行
値Yのデータを用いて縫製を行なうと、図10(b)に
示す様に、Lサイド・Rサイドが細くなり、逆に切り溝
幅は広くなって、不格好なボタンホールになってしま
う。これは、通常、厚地・伸縮地は布目の空間が大きい
ので、ジグザク縫いを行なうと、糸が布目に詰まる様に
して食い込んでしまうからである。
【0035】また、ジャージに対し、図9に示す様に、
厚地用の実行値Yを用いてボタンホール縫いを行なう
と、図10(c)に示す様に、最適な形状でボタンホー
ルが形成できる。尚、厚地用の実行値Yの場合、切り溝
幅がマイナスの場合もある。ところが、ブロードに対
し、この厚地用の実行値Yを用いてボタンホール縫いを
行なうと、図10(d)に示す様に、Lサイド・Rサイ
ドの幅が必要以上に広くなり、切り溝幅が殆どないボタ
ンホールになってしまう。
【0036】つまり、布の厚さ等の状態に応じて、切り
溝幅の実行値Yに関する縫製データを変更する必要があ
ることがわかる。この様に、本実施例では、目標とする
ボタンホールの形状に対して、普通地や厚地等の布の種
類に応じて、その縫製データの実行値Yとして切り溝幅
を含む縫製データを変更しているので、即ち、厚地のも
のほど、切り溝幅を狭く設定しているので、目標とする
寸法のボタンホール縫いを容易に且つ確実に行なうこと
ができる。つまり、どの様な布に対しても、簡単なスイ
ッチ操作にて、最適な目的とする形状で、しかも美しい
ボタンホールが形成できるという顕著な効果を奏する。
【0037】尚、この実行値Yの縫製データは、布の厚
さに応じて変更するだけでなく、布の伸縮性(柔軟性)
や、布の粗密や、布目の方向等の布条件に応じて変更す
ると、一層好ましい。具体的には、布が厚い場合、布に
伸縮性(柔軟性)がある場合、布が粗の場合、布目が縦
の方向に振り幅方向が一致する場合には、そうでない場
合と比較して、切り溝幅をより狭くする様に設定する。
尚、その場合は、全体の振り幅とサイドの振り幅(ふち
縫い幅)を大きく設定することが望ましい。
【0038】また、針振り幅(針落ち点)の変更の仕方
は、伸縮性に基づいて予め記憶されているデータを自動
的に選択してもよいし、伸縮性に基づき予め決められた
計算式に基づいて自動的に演算してもよい。尚、上述し
た実施例1においては、図9に示す様に、普通地よりも
縮み易い布にボタンホールが形成されると入力された場
合、ボタンホールの両脇(外側)の針落ち点は変更せ
ず、切り溝部分に接している針落ち点を切り溝部分の中
央に寄せるように自動的に変更している。また、同様の
場合、切り溝部分に接している針落ち点を切り溝部分の
中央に寄せれば、ボタンホールの両脇の針落ち点を左右
(外側)広げるように変更してもよい。(実施例2)次
に、実施例2のミシンについて説明するが、前記実施例
1と異なる点を詳しく説明する。
【0039】図2に、実施例2の概略構成図を示し、
11に、実施例2のミシンの電気的構成のブロック図を
示すが、本実施例のミシンは、実施例1と同様に、CP
U51a、メモリ51b、入出力ポート51c等から構
成される電子制御装置51を備えている。この電子制御
装置51には、実施例1と同様に、検知スイッチ53、
起動・停止スイッチ57、駆動回路59,61,63、
メインモータ65、布送りパルスモータ67、針振りパ
ルスモータ69が接続されるとともに、模様選択スイッ
チ55及び布質検出センサ71が接続されている。
【0040】前記模様選択スイッチ55は、ボタンホー
ル縫いを選択するためのスイッチであり、本実施例では
布厚に応じて区別されていない。また、布質検出センサ
71は、布厚、柔軟性、布目の粗密、布目の方向等を検
出するものであり、そのための検出機構を備えている。
【0041】例えば、布厚はセンサから針板上面までの
距離と生地表面までの距離との差で求められるし、柔軟
性は生地に複数の布厚をかけて、各々の生地厚の変化量
を測ればよい。また、布目の粗密は、光の透過量で測る
ことができるし、布目方向は、生地の引っかかり具合い
を見れば判断できる。
【0042】尚、ボタンホール縫いを行なう構成は、前
記実施例1と同様であるので、図は省略し、BH押え3
1及び皿台33の突起31a,31b,33a,33
b、検知レバー35、第1スイッチ41a及び第2スイ
ッチ41b等の符号は同一とした。
【0043】次に、本実施例のミシンの動作を、図12
のフローチャートに基づいて説明する。最初は、模様選
択スイッチ55によって、ボタンホール縫いが選択され
ているかどうかを判定して(S300)、選択されてい
ない場合は(S300;NO)、一旦本処理を終了す
る。
【0044】また、ボタンホール縫いが選択されている
場合は(S300;YES)、布質検出センサ71から
データを読み込む(S310)。そして、各々のデータ
を基にして、形成するボタンホールの目標値Xに応じて
実行値Yとしての切り溝幅を設定することにより、最適
なボタンホール縫いを行なうことができる(バータック
用及びサイド用の)針振り量及び布送り量を決定して、
メモリ51bに記憶する。
【0045】次に、起動・停止スイッチ57が操作され
て、スタート信号が送られてくるまで待機し(S33
0;NO)、スタート信号が送られてきたら(S33
0;YES)、メモリ51bより、バータック用の針振
り量を読み込み(S340)、針振りパルスモータ69
とメインモータ65とを駆動させて、前記図8に示す様
に、ボタンホールの一方のバータックB1を形成する
(S350)。
【0046】バータックB1が形成し終わると、メモリ
51bより、サイド用の針振り量及び布送り量を読み込
み(S360)、布送りパルスモータ67を駆動させ
て、矢印A方向に布を送り(S370)、ボタンホール
のLサイドを縫製し始める。そして、検知レバー35が
皿台33の突起33bに押されて、第1スイッチ41a
がオンになるまで縫製を続け(S380;NO)、第1
スイッチ41aがオンになったら(S380;YE
S)、メモリ51bより、バータック用の針振り量を読
み込み(S390)、ボタンホールの他方のバータック
B2を形成する(S400)。
【0047】バータックB2が形成し終わると、メモリ
51bより、サイド用の針振り量及び布送り量を読み込
み(S410)、布送りパルスモータ67を駆動させ
て、布送り方向を逆転させ、矢印B方向に布を送り(S
420)、ボタンホールのRサイドを縫製し始める。
【0048】そして、検知レバー35がBH押え31の
突起31bに押されて、第2スイッチ41bがオンにな
るまで縫製を続け(S430;NO)、第2スイッチ4
1bがオンになったら(S430;YES)、止め縫い
を行なって、メインモータ17を停止させて(S44
0)、一旦本処理を終了する。
【0049】この様に、本実施例では、布質検出センサ
71によって、布厚や柔軟性等の布状態を検出し、検出
したデータに基づいて最適な縫製データを設定して、ボ
タンホール縫いを行なうので、どの様な布に対してで
も、容易にしかも好適に美しい形状のボタンホールを形
成することができるという利点がある。
【0050】尚、本発明は前記実施例になんら限定され
るものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲におい
て種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
【0051】
【発明の効果】以上詳述したことから明らかなように、
請求項1の発明では、布厚、布の柔軟性、布目の粗密、
布目の方向の布質のうち、少なくとも1つを検出し、こ
の検出された布質条件に従い、ボタンホールの実行切り
溝幅を設定するので、どの様な布に対してでも、容易に
しかも好適に美しい形状のボタンホールを形成すること
ができる。
【0052】請求項2の発明では、布条件としての布
厚、布の柔軟性、布目の粗密、布目の方向に応じて、縫
製データを変更するので、各種の布に好適に対応して、
必要とする実行切り溝幅を実現することができる。請求
項3の発明では、検出された布厚が普通地の布質条件の
場合よりも厚地の布条件の方が実行切り溝幅を狭く設定
するので、この縫製データに基づいて、型くずれのしな
い美しいボタンホールを容易に形成することができる。
【0053】請求項4の発明では、縫製データとして、
針振り量又は針落ち点を含む縫製データを採用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の発明を示す概略構成図である。
【図2】実施例2の発明を示す概略構成図である。
【図3】実施例1のミシンの電気的構成を示すブロック
図である。
【図4】選択スイッチの表示を示す説明図である。
【図5】押え等の縫製を行なう機構を示し、(a)はそ
の斜視図、(b)はその側面図である。
【図6】反転スイッチの内部を示す説明図である。
【図7】実施例1のミシンの動作を示すフローチャート
である。
【図8】ボタンホール縫いを示す説明図である。
【図9】ボタンホール縫いの縫製データを示す説明図で
ある。
【図10】実施例1のボタンホール縫いを比較例ととも
に示す説明図である。
【図11】実施例2のミシンの電気的構成を示すブロッ
ク図である。
【図12】実施例2のミシンの動作を示すフローチャー
トである。
【図13】従来のボタンホール縫いの技術を示す説明図
である。
【符号の説明】
1,51…電子制御装置 3,53…検知スイッチ 7…選択スイッチ 9,57…起動・停止スイッチ 55…模様選択スイッチ 71…布質検出センサ

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 所定のボタンホールを形成するために、
    所定の縫製データに基づいてボタンホール縫いを行なう
    ボタンホール縫いミシンにおいて、 形成するボタンホールの切り溝幅を目標とする目標切り
    溝幅にするために、実際に縫製が行われる際の実行切り
    溝幅を設定する実行切り溝幅設定手段と、 布厚、布の柔軟性、布目の粗密、布目の方向の布質のう
    ち、少なくとも1つを検出する布質検出手段と、 を備え、 前記実行切り溝幅設定手段は、前記布質検出手段によっ
    て検出された布質条件に従い、前記ボタンホールの実行
    切り溝幅を設定する こと特徴とするボタンホール縫いミ
    シン。
  2. 【請求項2】 前記ボタンホール縫いを行うための所定
    の縫製データを記憶する縫製データ記憶手段を備え、 前記実行切り溝幅設定手段が、前記布質検出手段によっ
    て検出された布質条件に従い、前記縫製データ記憶手段
    に記憶された所定の縫製データを変更することにより、
    前記実行切り溝幅を設定する ことを特徴とする前記請求
    項1記載のボタンホール縫いミシン。
  3. 【請求項3】 前記布質検出手段が、布厚検出を行うよ
    うに構成され、 前記実行切り溝幅設定手段は、検出された布厚が普通地
    の布質条件の場合よりも厚地の布条件の方が前記実行切
    り溝幅を狭く設定することを特徴とする前記請求項1又
    は2記載の ボタンホール縫いミシン。
  4. 【請求項4】 前記所定の縫製データが、針振り量又は
    針落ち点を含む縫製データであることを特徴とする前記
    請求項1〜3のいずれか記載のボタンホール縫いミシ
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