JP3405969B2 - 変換コネクタ用プラスチック割りスリーブ - Google Patents

変換コネクタ用プラスチック割りスリーブ

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JP3405969B2
JP3405969B2 JP2000342693A JP2000342693A JP3405969B2 JP 3405969 B2 JP3405969 B2 JP 3405969B2 JP 2000342693 A JP2000342693 A JP 2000342693A JP 2000342693 A JP2000342693 A JP 2000342693A JP 3405969 B2 JP3405969 B2 JP 3405969B2
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真一 岩野
真 住田
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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、変換コネクタ用プ
ラスチック割りスリーブに関し、より詳細には、シング
ルモード光ファイバが内装された、外径の互いに異なる
フェルールを含む光ファイバコード同士を、直接的に把
持して接続する変換コネクタ用のプラスチックスリーブ
に関するものである。 【0002】 【従来の技術】光通信技術の進展により、各家庭にまで
光ファイバを導入して多彩な通信サービスを提供するこ
とが可能となりつつある。こうした光加入者系通信網の
実現には、経済的な光コネクタが必要とされている。 【0003】従来、光通信に使用する光ファイバを接続
するためには、図1で示したように、光ファイバが挿入
された二本のフェルール01A,01Bをスリーブ02
中で整列接合させることにより行われている。なお、図
中符号03A,03Bは光ファイバコードを示す。 【0004】フェルール01A,01Bを整列接合させ
るスリーブ02としては、図2に示すように、厚肉中空
円筒形状の円筒スリーブに円筒の中心軸に平行に切り欠
いたスリット04を設けた割りスリーブ05が多く使用
されている。このような割りスリーブ05は、リン青銅
のような金属材料やジルコニア等のセラミックスで構成
されており、貫通穴06の内径を、光ファイバを固定し
ているフェルール01A,01Bの外径よりも小さく形
成してあるため、割りスリーブ05にフェルール01
A,01Bを挿入した時に、フェルール01A,01B
と貫通穴06との間に隙間が生じにくい構造となってい
る。 【0005】一方、光コネクタに用いられるフェルール
では、内挿した光ファイバを高精度に接続するために、
セラミックスを素材として、高精度な研磨を施すことで
所定の寸法精度を実現している。従来から広く使われて
きていたSC形フェルールの外径寸法は2.499mm
であるが、より高密度、経済化のためには、外径寸法を
従来の半分の、1.249mmとしたMU形フェルール
に代表される細径フェルールも合わせて使用されてい
る。 【0006】このような情勢の中で、上記二種の、外径
寸法の異なるフェルール同士を接続するために変換コネ
クタが使用されている。この変換コネクタの中では、図
3で示したように、光ファイバが挿入された、互いに外
径の異なる二本のフェルール07A,07Bをスリーブ
08中で整列接合させることにより、光ファイバの接続
が行われている。なお、図中符号09A,09Bは光フ
ァイバコードを示す。 【0007】フェルール07A,07Bを整列接合させ
るスリーブ08としては、図4に示すように、左右で内
径の異なる、厚肉中空円筒形状の円筒スリーブ10A,
10Bに円筒の中心軸に平行に切り欠いたスリット11
を設けた割りスリーブ12が使用されている。この割り
スリーブ12では、中間に左右の寸法の異なる円筒スリ
ーブ10A,10Bを結合する結合部13を有し、左右
の円筒スリーブと結合部13にわたって、スリット11
を入れた構造をとっている。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図4に
示す割りスリーブ12は、左右で寸法の異なる、非常に
複雑な形状を有しているため、図2の割りスリーブ05
を作製する手法では作ることができず、リン青銅のよう
な金属材料を高精度に切削加工することで作られてい
る。このため、非常に価格が高くなり、変換コネクタの
経済化を妨げていた。また、この割りスリーブ12にフ
ェルールを挿入した場合には、スリット11近傍が大き
く変形して異径フェルールの軸ずれが起き易く、寸法設
計が難しいという難点があった。 【0009】この発明は上記のことに鑑み提案されたも
ので、その目的とするところは、シングルモード光ファ
イバが内装された、外径の互いに異なるフェルールを含
む光ファイバコード同士を、直接的に把持して接続する
変換コネクタ用のプラスチックスリーブを提供すること
にあり、より詳細には高い寸法精度、機械的強度、接続
信頼性、経済性等に優れた変換コネクタ用プラスチック
割りスリーブを提供することにある。 【0010】 【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために、光ファイバが内装された光ファイバコー
ド同士を接続するアダプタ内に設けられ、前記各光ファ
イバコードの先端に取り付けられた、互いに外径の異な
るフェルールを左右両端から挿入させることにより前記
光ファイバを光学的に接続する変換コネクタ用プラスチ
ック割りスリーブ52であって、該変換コネクタ用プラ
スチック割りスリーブ52が少なくとも石英微粉末を含
む熱硬化性樹脂組成物から形成されており、前記変換コ
ネクタ用プラスチック割りスリーブ52の基本形状が左
右で内径と厚さの異なる厚肉中空円筒形であり、中間に
左右の寸法の異なる厚肉中空円筒を結合する結合部53
、左右の厚肉中空円筒部と結合部53にわたスリッ
ト54とを有し、前記変換コネクタ用プラスチック割り
スリーブ52の、一方の厚肉中空円筒部の内径が概ね
1.243mmから1.248mmの範囲で、厚さが概
ね0.2mmから0.7mmの範囲にあり、他方の厚肉
中空円筒部の内径が概ね2.475mmから2.497
mmの範囲で、厚さが概ね0.4mmから0.8mmの
範囲にあり、前記結合部は、径の小さな厚肉中空円筒部
の終端から径の大きな厚肉中空円筒部の終端を結ぶ傾斜
部を有し、径の小さな厚肉中空円筒部に対する前記傾斜
部の仰角が30度から75度の範囲にあり、厚さが概ね
0.2mmから0.7mmの範囲にあり、かつ、前記径
の小さな厚肉中空円筒部と前記径の大きな厚肉中空円筒
部との中心軸が同一であることを特徴としている。 【0011】 【0012】 【0013】 【0014】 【0015】 【0016】 【0017】 【0018】 【発明の実施の形態】本発明者らは従来方法とその問題
点を詳細に検討した結果、以下の経緯により本発明を完
成するに至ったものである。 【0019】(1)成形材料の選定:成形技術において
成形材料の選定は最も重要な課題である。 【0020】金属やセラミックス材料に替わり得るプラ
スチック材料は、通常、エンジニアリングプラスチック
(略称:エンプラ)と呼ばれ、最近に至るまで各種のも
のが開発されてきた。各種のエンプラを検討した結果、
本発明が要求する機械的強度、耐クリープ性、温度・湿
度に対する寸法安定性、精密成形性を満足する樹脂もし
くは樹脂組成物を得るためには、非晶質な樹脂を基本組
成として使用することが重要であり、具体的にはポリエ
ーテルサルホン(PES)、ポリサルホン(PS)、ポ
リエーテルイミド(PEI)を使用することが適当であ
ることを見出した。これは、結晶性樹脂の場合では、成
形後の変形や、長期間にわたる応力緩和が無視できない
程度であるという問題点が認められたことによる。 【0021】上述の樹脂は所謂熱可塑性樹脂に分類され
るもので、室温で固体の樹脂をその溶融温度以上に加熱
すると液状になり、この状態で金型中に流し込んで固化
させることで成形品を作製するものである。 【0022】これに対して、熱硬化性樹脂と呼ばれる樹
脂があり、これは加熱した状態では重合することがな
く、完全な液状にある。これを金型中に流し込んで一定
時間加熱すると、樹脂が架橋反応を起こして成形品が形
成される。こうした熱硬化性樹脂の中で、本発明が要求
する機械的強度、耐クリープ性、温度・湿度に対する寸
法安定性、精密成形性を満足する樹脂もしくは樹脂組成
物を得るためには、エポキシ樹脂を使用することが適当
であることを見出した。 【0023】本発明では樹脂の添加物として、無機フィ
ラーとしてのガラス繊維、チタン酸カリウムウィスカ
ー、酸化亜鉛、ガラスビーズ等が一般的に知られてお
り、また、炭素繊維、グラファイト、テフロン(登録商
標)ビーズや、石英微粉末、チタン酸バリウム等の各種
無機添加物も知られている。本発明者らは、こうした各
種の添加物の中で、上述の熱可塑性樹脂には少なくとも
チタン酸カリウムウィスカーや酸化亜鉛等の無機フィラ
ーもしくは炭素繊維を、上述の熱硬化性樹脂には少なく
とも石英微粉末を添加することが、本発明を完成するた
めには必須であることを見出した。 【0024】添加量は樹脂の精密成形性を低下させない
範囲で決められ、20%から70%、より好ましくは3
0%から60%の範囲で適宜選択できる。 【0025】また、必要に応じて添加物の表面処理剤、
着色剤等を添加することができる。 【0026】(2)割りスリーブの内径値と厚さの選定 本発明の異径フェルールを整列接合させる変換コネクタ
用プラスチック割りスリーブでは、左右で内径と厚さの
異なる厚肉中空円筒形状の円筒スリーブを、中央の結合
部で結合させた構造をとっている。 【0027】図5は本発明の変換コネクタ用プラスチッ
ク割りスリーブの外観形状、図6は内部構造を示す。こ
の割りスリーブ52は、小径であって厚肉中空円筒部か
らなるMU形フェルール用円筒スリーブ51Aとそれよ
り径が大であって厚肉中空円筒部からなるSC形フェル
ール用円筒スリーブ51Bとが結合部53を介し一体化
されている。また、これら左右の厚肉中空円筒部と結合
部53にわたって割り、すなわちスリット(割り)54
を入れた構造となっている。 【0028】外径寸法2.499mmのSC形フェルー
ルの許容ゲージ保持力が0.2〜0.6kgfの範囲に
あるのに対し、外径寸法1.249mmのMU形細径フ
ェルールの許容ゲージ保持力は0.1〜0.25kgf
の範囲にあり、SC形フェルールよりも小さい。 【0029】割りスリーブのゲージ保持力は内径値と厚
さで決まる。このため、変換コネクタ内の割りスリーブ
で高信頼性を維持するためには、各フェルールを挿入す
る円筒スリーブの内径値と厚さを適正な値に制御して、
各フェルールに要求される適正なゲージ保持力を実現さ
せることが必要である。 【0030】プラスチック割りスリーブにフェルールを
挿入すると、割りスリーブが弾性変形してスリーブ内部
に応力を生じる。この応力に材料の摩擦係数を掛けると
ゲージ保持力を計算することができる。 【0031】まず、種々の内径値をもったプラスチック
割りスリーブに、外径寸法2.49mmのSC形フェル
ールを挿入する場合を考える。 【0032】発生するゲージ保持力と、プラスチック割
りスリーブの厚さの関係を図7に示す。SC形フェルー
ルの許容ゲージ保持力は0.2〜0.6kgfの範囲に
ある。図7より、この条件を満足するプラスチック割り
スリーブの内径値は概ね2.475mmから2.497
mmの範囲にあれば良く、厚さは概ね0.4mmから
0.8mmの範囲にあれば良いことがわかる。 【0033】次に、種々の内径値を持ったプラスチック
割りスリーブに、外径寸法1.249mmのMU形フェ
ルールを挿入する場合を考える。 【0034】発生するゲージ保持力と、プラスチック割
りスリーブの厚さの関係を図8に示す。MU形フェルー
ルの許容ゲージ保持力は0.1〜0.25kgfの範囲
にある。図8より、この条件を満足するプラスチック割
りスリーブの内径値は概ね1.243mmから1.24
8mmの範囲にあれば良く、厚さは概ね0.2mmから
0.7mmの範囲にあれば良いことがわかる。 【0035】本発明の異径フェルールを整列接合させる
変換コネクタ用プラスチック割りスリーブでは、上で記
述した内径値と厚さの適性範囲内の値を選択して、左右
で内径と厚さの異なる厚肉中空円筒形状の円筒スリーブ
51A,51Bの組み合わせを構成する。 【0036】この際に、左右のスリット54の入った円
筒スリーブ51A,51Bの中心軸は同一であることを
前提とするが、材料の変形量の違い等を鑑み、左右の円
筒スリーブ51A,51Bで故意に中心軸をずらせるこ
とも可能である。 【0037】(3)結合部の構造 本発明の変換コネクタ用プラスチック割りスリーブ52
の中間に位置し、左右の寸法の異なる厚肉中空円筒形ス
リーブ51A,51Bを結合する結合部53の構造は、
異径フェルールの良好な接続を得る上で非常に重要であ
る。 【0038】左右で内径と厚さの異なる円筒スリーブ5
1A,51Bを結合する結合部53では、図6の左側の
径の小さな円筒スリーブ51Aの終端から傾斜のついた
結合部が始まり、所定の距離進んだところで傾斜部が終
わり、図6の右側の径の大きな円筒スリーブ51Bと結
合する構造をとっている。結合部53の厚さは小径の円
筒スリーブ51Aと同じであり、概ね0.2mmから
0.7mmの範囲の値をとる。 【0039】結合部53の傾斜の大きさは、異径フェル
ールを挿入して接続した際に、プラスチック割りスリー
ブ52に発生する応力の大きさと関係がある。 【0040】変換コネクタ用プラスチック割りスリーブ
52の内部では、内径の大きな円筒スリーブ51Bの終
端部で異径フェルール同志が接続する。プラスチック割
りスリーブ52に発生する応力は、内径の大きな円筒ス
リーブ51Bの、スリット54と反対側の場所で大き
く、特に終端部の接続点近傍で最大値を示す。プラスチ
ック割りスリーブ52に発生する最大応力と、径の小さ
な円筒スリーブ51Aより見上げた仰角との関係を図9
に示す。 【0041】図9より、最大応力は仰角が小さくなるに
つれて、小さくなることがわかる。余り大きな応力を印
加し続けることは、クリープ等の観点から好ましくな
い。また、余りに小さな仰角を設定すると、結合部53
の長さが長くなり、変換コネクタの寸法を大きくするの
で好ましくない。このため、結合部53の、径の小さな
円筒スリーブ51Aより見上げた仰角としては、30度
から75度の範囲、好ましくは45度から60度の範囲
にあれば良いことがわかる。 【0042】以上述べた構造をとることで、結合部53
で十分な厚さを得ることができ、本発明で要求される機
械的強度、耐クリープ性を保証することができる。 【0043】以下、本発明の効果を示す好適な実施例を
説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。 【0044】(実施例1)まず、以下の組成の樹脂組成
物を調合した。 クレゾールノボラック型エポキシ樹脂 100重量部 フェルールノボラック型硬化剤 100重量部 石英微粉末(平均粒径10μm) 500重量部 この樹脂組成物の曲げ弾性率は、ASTM規格で210
0kg/mm2であった。樹脂の異方性を成形収縮率の
樹脂流動方向と直角方向の比で評価したところ1.0で
あり、非常に異方性が低いことが確認できた。こうして
得た樹脂組成物を使用して、図5、図6の形状で表1の
寸法の変換コネクタ用プラスチック割りスリーブ52を
射出成形により製造した。 【0045】 【表1】 【0046】なお、射出条件は表2の通りであった。得
られた成形品の内径誤差、肉厚誤差、真円度は、全て1
μm以内であり、内面の平面荒さは±0.1μm以内で
あった。 【0047】 【表2】【0048】SC形フェルールとMU形フェルールに対
する割りスリーブのゲージ保持力の測定値は、それぞれ
0.31kgf、0.12kgfであった。こうして作
製した変換コネクタ用プラスチック割りスリーブ52を
用いて変換コネクタを組み立て、ジルコニア製SC形フ
ェルールとMU形フェルールとを挿入して、接続損失と
反射減衰量を測定した。各々のフェルール断面の研磨条
件はAdPC研磨とした。結果を図10,11に示す
が、シングルモードファイバの接続として充分な特性が
得られた。 【0049】図12には変換コネクタのMU側とSC側
から、各々ジルコニアフェルールを繰返し着脱した試験
結果を図示している。図12の黒丸はSC側の着脱を、
白丸はMU側の着脱を示している。500回の試験中、
損失の変化は2回以内であり、現用のSC形アダプタ、
MU形アダプタと同等の性能が得られた。 【0050】図13には変換コネクタの振動試験の結果
を図示している。試験条件は以下の通りである。 ・掃引周波数範囲:10〜55Hz ・サイン波の振幅:0.75mm ・掃引時間:2分/サイクル 60サイクルの試験時間中にX,Y,Zの各方向での損
失変化は0.5dB程度であり、変換コネクタとしての
目標特性を満足する結果が得られた。また、反射減衰量
の変化は認められなかった。 【0051】図14には変換コネクタの衝撃試験の結果
を図示している。試験条件は以下の通りである。 ・衝撃ピーク値:100G ・サイン半波の印加時間:6ms ・試験回数:10回 10回の試験回数の中で、X,Y,Zの各方向での損失
変化は全く見られず、変換コネクタとしての目標特性を
満足する結果が得られた。また、反射減衰量の変化も認
められなかった。 【0052】図15には変換コネクタの温湿度サイクル
試験の結果を図示している。試験条件は以下の通りであ
る。 ・温度:−10℃〜25℃〜65℃ ・相対湿度:93% ・繰返し時間:24時間/サイクル ・サイクル数:20サイクル 図15には初期の5サイクルと最後の5サイクルの結果
を示している。20サイクルの試験時間中に損失変化は
0.1dB程度であり、反射減衰量の変化はほとんど無
く、変換コネクタとしての目標特性を満足する結果が得
られた。 【0053】図16には変換コネクタの温度サイクル試
験の結果を図示している。試験条件は以下の通りであ
る。 ・温度:−25℃〜25℃〜70℃ ・繰返し時間:3.5時間/サイクル ・サイクル数:100サイクル 図16には初期の5サイクルと最後の5サイクルの結果
を示している。100サイクルの試験時間中に損失変化
は0.05dB程度と小さく、反射減衰量の変化もわず
かであり、変換コネクタとしての目標特性を満足する結
果が得られた。 【0054】また、図17と図18には、変換コネクタ
の高温(85℃)放置、および低温(−25℃)放置試
験の結果を図示している。いずれの温度においても、1
000時間程度放置した場合の損失変化は0.05dB
であり、変換コネクタとしての目標特性を満足する結果
が得られた。 【0055】以上の、各種の機械的特性、信頼性試験結
果を、表3にまとめて示す。いずれの試験条件下でも変
換コネクタとしての目標特性を満足していることがわか
る。 【0056】 【表3】【0057】(実施例2)以下の組成の樹脂組成物を調
合した。 ポリエーテルサルホン 100重量部 無機フィラー 30重量部 この樹脂組成物の曲げ弾性率は、ASTM規格で800
kg/mm2であった。こうして得た樹脂組成物を使用
して、図5、図6の形状で表4の寸法の変換コネクタ用
プラスチック割りスリーブ52を射出成形により製造し
た。 【0058】 【表4】 【0059】なお、射出条件は表5の通りであった。得
られた成形品の内径誤差、肉厚誤差、真円度は、全て1
μm以内であり、内面の平面荒さは±0.5μm以内で
あった。 【0060】 【表5】【0061】SC形フェルールとMU形フェルールに対
する割りスリーブのゲージ保持力の測定値はそれぞれ
0.2kgf、0.10kgfであった。こうして作製
した変換コネクタ用プラスチック割りスリーブを用いて
変換コネクタを組み立て、ジルコニア製SC形フェルー
ルとMU形フェルールを挿入して、接続損失と反射減衰
量を測定した。表6に示すように、シングルモード光フ
ァイバの接続特性は平均値で0.2dB以内にあり、反
射減衰量も50dBを上回る値が得られた。これらの結
果は、シングルモードファイバの接続として充分な特性
であった。 【0062】さらに、表6に各種の機械的特性、信頼性
試験の結果を示すが、実施例1と同様に、変換コネクタ
としての目標特性を満足する結果であった。 【0063】 【表6】 【0064】(実施例3〜5)表7に示した樹脂もしく
は樹脂組成物を使用して、実施例1および2と同様にプ
ラスチック割りスリーブを製造した。内径と肉厚、長さ
は実施例2と同様とした。SC形フェルールとMU形フ
ェルールに対する変換コネクタ用プラスチック割りスリ
ーブのゲージ保持力は、いずれも許容範囲内にあった。
また、表6に示すように、シングルモード光ファイバの
接続特性はいずれも実施例1および2と同レベルにあ
り、各種の機械的特性、信頼性試験についても、いずれ
も変換コネクタとしての必要な特性を満たしていた。 【0065】 【表7】 【0066】(比較例1〜5)実施例1の樹脂を用い
て、SC形フェルール用円筒形スリーブとMU形細径フ
ェルール用円筒スリーブの内径と厚さを変化させ、表8
のように適正範囲をはずれた変換コネクタ用プラスチッ
ク割りスリーブを作製した。こうして作製した変換コネ
クタ用プラスチック割りスリーブを用いて交換コネクタ
を組み立て、接続損失と反射減衰量、および各種の機械
的特性、信頼性試験における接続損失変動と反射減衰量
を測定した。結果を表8に示すが、何れのサンプルも、
接続損失や反射減衰量、もしくは信頼性試験における損
失変動が目標値を上回り、実施例1〜5のような、優れ
た特性を実現することはできなかった。 【0067】 【表8】 【0068】 【0069】 【0070】 【0071】 【0072】 【0073】 【0074】 【0075】 【0076】 【0077】 【0078】 【0079】 【0080】 【0081】 【0082】 【0083】 【0084】 【0085】 【0086】 【0087】 【0088】 【0089】 【0090】 【0091】 【0092】 【0093】 【0094】 【0095】 【0096】 【0097】 【0098】 【0099】 【0100】 【0101】 【0102】 【0103】 【0104】 【0105】 【0106】 【0107】 【0108】 【0109】 【発明の効果】以上に説明したように本発明によれば、
シングルモード光ファイバが内装された、外径の互いに
異なるフェルールを含む光ファイバコード同士の接続に
使用できる、接続特性、信頼性、経済性等に優れた変換
コネクタ用プラスチック割りスリーブが得られる利点が
ある。
【図面の簡単な説明】 【図1】従来の割りスリーブ内のフェルールの嵌合状態
を示す。 【図2】従来の割りスリーブの斜視図を示す。 【図3】従来の変換コネクタ用割りスリーブ内の異径フ
ェルールの嵌合状態を示す。 【図4】従来の変換コネクタ用割りスリーブの斜視図を
示す。 【図5】本発明の変換コネクタ用プラスチック割りスリ
ーブの外観側面図を示す。 【図6】同上の内部構造を示す縦断面図を示す。 【図7】変換コネクタ用プラスチック割りスリーブにS
C形フェルールを挿入した場合のゲージ保持力とスリー
ブ内径および厚さの関係を示す図である。 【図8】変換コネクタ用プラスチック割りスリーブにM
U形フェルールを挿入した場合のゲージ保持力とスリー
ブ内径および厚さの関係を示す図である。 【図9】変換コネクタ用割りスリーブにSC形およびM
U形フェルールを挿入した場合のスリーブに発生する最
大応力と結合部の仰角の関係を示す図である。 【図10】実施例1で得られた変換コネクタ用プラスチ
ック割りスリーブの接続損失特性を示すグラフ。 【図11】実施例1で得られた変換コネクタ用プラスチ
ック割りスリーブの反射減衰特性を示すグラフ。 【図12】実施例1で得られた変換コネクタの繰返し着
脱試験結果を示すグラフ。 【図13】実施例1で得られた変換コネクタの振動試験
結果を示すグラフ。 【図14】実施例1で得られた変換コネクタの衝撃試験
結果を示すグラフ。 【図15】実施例1で得られた変換コネクタの温湿度サ
イクル試験結果を示すグラフ。 【図16】実施例1で得られた変換コネクタの温度サイ
クル試験結果を示すグラフ。 【図17】実施例1で得られた変換コネクタの高温放置
試験結果を示すグラフ。 【図18】実施例1で得られた変換コネクタの低温放置
試験結果を示すグラフ。 【符号の説明】 01A,01B,07A,07B フェルール 02,08, スリーブ 03A,03B,09A,09B 光ファィバコード 04,11,54 スリット 05,12,52 割りスリーブ 06 貫通穴 10A,10B 円筒スリーブ 13,53 結合部 51A MU形フェルール用円筒スリーブ 51B SC形フェルール用円筒スリーブ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 住田 真 東京都千代田区大手町二丁目3番1号 日本電信電話株式会社内 (72)発明者 東野 俊一 東京都千代田区大手町二丁目3番1号 日本電信電話株式会社内 (56)参考文献 特開 平10−31134(JP,A) 特開 平9−90169(JP,A) 特開 平7−318759(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) G02B 6/38

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 【請求項1】 光ファイバが内装された光ファイバコー
    ド同士を接続するアダプタ内に設けられ、前記各光ファ
    イバコードの先端に取り付けられた、互いに外径の異な
    るフェルールを左右両端から挿入させることにより前記
    光ファイバを光学的に接続する変換コネクタ用プラスチ
    ック割りスリーブであって、 該変換コネクタ用プラスチック割りスリーブが少なくと
    も石英微粉末を含む熱硬化性樹脂組成物から形成されて
    おり、前記 変換コネクタ用プラスチック割りスリーブの基本形
    状が左右で内径と厚さの異なる厚肉中空円筒形であり、
    中間に左右の寸法の異なる厚肉中空円筒を結合する結合
    、左右の厚肉中空円筒部と結合部にわたスリット
    とを有し、 前記変換コネクタ用プラスチック割りスリーブの、一方
    の厚肉中空円筒部の内径が概ね1.243mmから1.
    248mmの範囲で、厚さが概ね0.2mmから0.7
    mmの範囲にあり、他方の厚肉中空円筒部の内径が概ね
    2.475mmから2.497mmの範囲で、厚さが概
    ね0.4mmから0.8mmの範囲にあり、 前記結合部は、径の小さな厚肉中空円筒部の終端から径
    の大きな厚肉中空円筒部の終端を結ぶ傾斜部を有し、径
    の小さな厚肉中空円筒部に対する前記傾斜部の仰角が3
    0度から75度の範囲にあり、厚さが概ね0.2mmか
    ら0.7mmの範囲にあり、かつ、前記径の小さな厚肉
    中空円筒部と前記径の大きな厚肉中空円筒部との中心軸
    が同一である ことを特徴とする変換コネクタ用プラスチ
    ック割りスリーブ。
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