JPH11211934A - 光コネクタ用プラスチックフェルールおよびその製造方法 - Google Patents

光コネクタ用プラスチックフェルールおよびその製造方法

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JPH11211934A
JPH11211934A JP1622998A JP1622998A JPH11211934A JP H11211934 A JPH11211934 A JP H11211934A JP 1622998 A JP1622998 A JP 1622998A JP 1622998 A JP1622998 A JP 1622998A JP H11211934 A JPH11211934 A JP H11211934A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 シングルモードファイバの接続に使用するプ
ラスチックフェルールが、フェルールの外径寸法精度に
優れ、接続信頼性、経済性にも優れていること。 【解決手段】 光コネクタ用プラスチックフェルール
は、第1の円筒状体と、該第1の円筒状体の内部に第1
の円筒状体と隙間をおいて、かつ第1の円筒状体と同一
軸心上に形成された第1の円筒状体より短い第2の円筒
状体とを有し、前記第1および第2の円筒状体は同一側
の端部において前記隙間が埋められるように連続してお
り、前記第1の円筒状体の内部は光ファイバの挿通孔と
なり、前記第2の円筒状態の内部は前記光ファイバの心
線ガイド穴となり、さらに前記第1の円筒状体の外周に
鍔状態が形成されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はシングルモードファ
イバの接続に使用される光コネクタ用のフェルールに関
するものであり、特に、フェルールの偏芯量および円筒
外径の寸法変化が極めて小さく、かつ組立コストや部品
コスト等の低減を図ることができる経済的な光コネクタ
用プラスチックフェルールとその製造方法に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】光通信技術の進展により、光ファイバを
各家庭にまで導入して多彩な通信サービスを提供するこ
とが可能となりつつある。こうした一般加入者の利用に
供する光通信網を実現するためには、コストの安い経済
的な光コネクタが必要である。
【0003】光通信に使用する光ファイバを接続する場
合、図1で示したように、光ファイバコード03A,0
3Bが挿入された二本のフェルール01A,01Bを割
りスリーブ02中で整列整合させる。図2はこうした目
的で使用されるフェルールの断面図でありフェルールの
概略構造を示している。光ファイバ心線ガイド穴04お
よび先端に一個のファイバ挿通孔05を有しており、ま
た接続に直接関係する円筒部06、光コネクタ内でフェ
ルールを安定に保持する保持部07、光ファイバをフェ
ルール内に挿入する挿入部08からなっている。
【0004】フェルールは光ファイバを接続する際、光
ファイバを保持し、光コネクタへ光ファイバを挿入する
際のガイドとなるものであり、光ファイバ挿通孔径、光
ファイバ挿通孔の偏芯量、フェルール外径、外径真円度
などに、表1に示す極めて高度な寸法精度が必要とされ
る。従来、フェルールはセラミックスや金属を1個1個
精密に切削、研磨することにより作成されていた。この
ため、製造効率が悪く、部品コストが高くなるという問
題があった。
【0005】
【表1】
【0006】こうした問題を解決するため、プラスチッ
ク成形によりフェルールを作製することが試みられた。
たとえば吉澤らはフェノール樹脂のトランスファー成形
によりプラスチックフェルールを作製した(研究実用化
報告、第32巻、第3号、第831〜842頁(198
3年))。当時はコアの外径が50μm程度と大きな、
いわゆるマルチモードファイバが主に使用されており、
マルチモードファイバの接続にはかかるプラスチックフ
ェルールを適用することができた。しかし、かかるプラ
スチックフェルールは、現在で通信用として使用されて
いるコア外径8〜10μmのいわゆるシングルモードフ
ァイバに適用できるものではない。また、トランスファ
ー成形によりフェルールを作製すると、成形後にバリ取
り等の後処理や熱処理が必要であるので、このプラスチ
ックフェルールは製造工程における経済性という観点に
おいても充分なものとは言えなかった。さらに経済性に
優れた射出成形技術を用いてプラスチックフェルールを
作製する試みもなされた。プラスチックとしては耐熱
性、流動性に比較的優れたPPS(ポリフェニレンサル
ファイド)等が検討された。
【0007】例えば以下に示すフェルールが検討され
た。
【0008】 バイコニックコネクタ(ATT:W.C.Youn
g et. al., Poc. IWCS, 1981, p.411-418 ) エポキシ樹脂のトランスファー成形により作製される。
吉澤らの検討と同様、成形サイクルが長く、バリ取り等
の後処理も必要とするので、製造効率が悪く、コストの
低減を図ることができない。また、シングルモード用と
しては接続特性が不満足であった。
【0009】 中空パイプをフェルール外径として使
用し、内部をトランスファー成形により樹脂化する方法
(住友電工:K. Kashihara et. al., Proc. IWCS, 198
7, p.379-381 ) いわゆるインサート成形による作製法であり、手間がか
かるので、製造コストの安い経済的なフェルールを作製
することはできなかった。
【0010】1980年代から、射出成型法の成形精度
が向上したため、より経済的な射出成型法(連続生産が
容易で、バリ取り等の後処理を必要としない)による検
討も始められた。成形材料としては液晶ポリマー(LC
P)やポリフェニレンサルファイド(PPS)が比較的
多く検討された。
【0011】 液晶ポリマーを用いた射出成形による
フェルール(DuPond: M. H. Johnsonet. al., SPIE Pro
c., vol.1992, p.47-53, 1993) 成形ショットごとにコアピンをフェルールから抜き出す
必要があり、連続生産できる手法とはなっていない。ま
た、様々な環境下での信頼性について十分満足するには
至っていなかった。
【0012】 フェルール端面に凹溝を有する構造の
プラスチックフェルール(日電:K. Harada et. al.,
特開平1−243005号) フェルール端面に凹溝を有するためフェルール端面の研
磨が困難であり、また、ファイバ挿通孔部の強度が弱く
なる。
【0013】しかしながらこれらのフェルールは、シン
グルモードファイバの接続に耐え得る寸法精度、機械的
強度、各種の信頼性等を満足するものではなかった。例
えばシングルモードファイバの接続に要求されるフェル
ールの寸法精度は、上述の表1の値であることが明らか
にされているが、こうした高精度なフェルールは実現さ
れていなかった。
【0014】また、光コネクタの接続特性は接続損失と
フェルール端面の反射減衰量により評価できるが、前者
で0.5dB以下、後者で25dB以上(Physical Con
tact;PC研磨条件)および40dB以上(Advanced Ph
ysical Contact;AdPC研磨条件)の値がそれぞれ必
要とされている。
【0015】他方、信頼性試験においては高い温度や湿
度環境下におかれた場合、接続特性が劣化する問題も指
摘されている。この原因としてはプラスチックフェルー
ルではその成形法から図2に示される光ファイバ挿通孔
の長さが1〜2mmであり(ジルコニアフェルールでは
8mm程度)、高温、高湿下では光ファイバとフェルー
ルの接着力が不足するためと推定されている。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記問題点を
解決すべくなされたものであり、本発明の目的はシング
ルモードファイバの接続に使用する光コネクタ用のプラ
スチックフェルールを提供することにあり、より詳細に
は、フェルール外径の寸法精度、機械的強度、接続信頼
性、経済性に優れたプラスチックフェルールおよびその
製造方法を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明はなされたものである。
【0018】本発明の光コネクタ用フェルールは、第1
の円筒状体と、該第1の円筒状体の内部に第1の円筒状
体と隙間をおいて、かつ第1の円筒状体と同一軸心上に
形成された第1の円筒状体より短い第2の円筒状体とを
有し、第1および第2の円筒状体は同一側の端部におい
て隙間が埋められるように連続しており、第1の円筒状
体の内部は光ファイバの挿通孔となり、第2の円筒状態
の内部は光ファイバの心線ガイド穴となり、さらに第1
の円筒状体の外周に鍔状態が形成されていることを特徴
とする。
【0019】ここで、円筒部が、その先端で角度30度
から60度のテーパを有し、かつ前記挿入孔の長さが3
mm以上であることができる。
【0020】また、光コネクタ用プラスチックフェルー
ルがサーモトロピック液晶性全芳香族ポリエステルから
なることができる。
【0021】また、保持部または挿入部に、フェルール
の射出成型用金型内における相対的な位置関係を示すマ
ークを有することができる。
【0022】本発明の光ファイバコネクタ用プラスチッ
クフェルールの製造方法は、それぞれ光ファイバを収容
する2個のフェルールを当接させて光ファイバを接続す
るための光ファイバコネクタ用のフェルールであり、か
つ位置合わせに使用される円筒を有し、円筒の一端に光
ファイバの挿通孔を、他端に光ファイバの心線ガイド穴
を有し、さらに円筒の外周にフェルールをコネクタ内に
保持するための保持部を有するフェルールの製造方法で
あって、固定側金型に光ファイバ挿通孔を形成する細径
ピンを有するコアピンを固定し、可動側金型にピンキャ
ッチャーを固定し、ピンキャッチャーの先端部にコアピ
ン保持穴を有する円筒状の窪みがあって、金型の型締め
時においては該コアピン保持穴に細径ピンの先端が非接
触状態で保持される金型内に、樹脂組成物を射出充填し
て成形することを特徴とする。
【0023】ここで、金型内に樹脂組成物を充填する樹
脂流路の一部に樹脂の流動を制御する機構を設けること
ができる。
【0024】また、金型のキャビティの円筒中心位置
は、光ファイバ挿通孔を形成する細径ピンの中心位置に
対して、相対的に移動可能であることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】本発明者らは従来手法とその問題
点を詳細に検討した結果、以下の経緯により本発明を完
成するに至ったものである。
【0026】(1)フェルール構造の選定 本発明のフェルールは十分な接着力を有しつつ、偏心量
の低減を図ることができ、表1のフェルール寸法条件も
満たすことができる。図3に本発明のフェルールを示
す。本発明のフェルール10は二重円筒状である。第1
の円筒11の一端は、光ファイバ挿通孔16となる。円
筒11の外周には鍔状の保持部12があり、これは光コ
ネクタ内で円筒部を安定に保持する。保持部12から先
端までの円筒部11が光ファイバの接続に直接関わる部
分である。光ファイバ挿通孔16と対向する先端部に
は、円筒11と隙間をおいて第2の円筒14が円筒11
の内部に突き出している。そして円筒11と14の端部
は円筒14の内径部分を除いて連続している。円筒14
は、光ファイバの挿通孔となる。すなわち第1のフェル
ールの挿通孔に挿通された第1の光ファイバの端部と第
2のフェルールの挿通孔に挿通された第2の光ファイバ
の端部がコネクタ内において当接する。円筒11の挿通
孔側の端部の外形はテーパ状とするとよい。
【0027】このフェルールの特徴は以下の通りであ
る。光ファイバ挿通孔が従来例に比べて長いので、光フ
ァイバの固定が強固に行われる。さらに、単一の円筒形
状で挿通孔側のみを厚肉にして挿通孔の長さを長くする
と、フェルールを射出成形した時の冷却時に厚肉部は冷
却速度が遅く、そのために薄肉部分に比べてひけが大き
く、従って円筒の外径寸法が他の部分と異なってしまう
という問題がある。本発明では、円筒11の肉厚は長さ
方向で一様なので、このような問題は生じない。またフ
ェルールの先端部は冷却速度が大きく、ラッパ状に広が
り易いが、第2の円筒を設けることによって、冷却速度
を他の部分に近づけることができ、さらに先端部をテー
パ状とすることによって、より完全にこの問題を解決で
きる。
【0028】このようなフェルールは以下に説明する金
型を使用して製造することができる。
【0029】(2)金型構造の選定 プラスチック(樹脂)製フェルールにおいて、偏芯量の
低減を図ることは最大の技術的課題である。偏芯量は採
用する金型構造に最も大きく依存する。図4に従来の代
表的な金型構造を、図5に本発明に用いられる金型構造
の一例を示す。
【0030】図4の金型21は光ファイバ心線ガイド穴
と光ファイバ挿通孔を形成するコアピン22が可動側金
型23に設けられ、型締めにより固定側金型24のキャ
ビティ25内のピン受け部26で保持される構造であ
る。なお、図4中、符号27は樹脂流入部および28は
パーティングラインを各々表す。
【0031】図4に示すように、コアピン22はキャビ
ティ中心に正確に設定されるが、型締め時に10〜20
cm程度移動する。また、コアピン22の先端細径22
aとピン受け部26との間には少なくとも数μmのクリ
アランスが必要である。このため成形時に樹脂が流動す
るとコアピンが振動し、得られたフェルールには数μm
の偏芯が生じてしまう。
【0032】図5の金型構造は、こうした問題を解決す
るためコアピン35aを固定側金型32に固定するもの
である。
【0033】この構造では成形時に固定コアピン35a
が移動することは無く、また固定コアピン35aに固定
された細径ピン35が振動することが無いため、金型の
偏芯を小さくすることにより、極めて偏芯の少ないフェ
ルール成形品を得ることができる。また、図5の金型
は、細径ピン35の先端がピンキャッチャー34との間
に適度な隙間を有するようにコアピン保持穴で保持さ
れ、かつ、細径ピンを軸中心とするような中空円筒状の
空隙を有する構造となっている。このため、樹脂流入部
(ゲート)37から流入して円筒部先端方向へ移動した
樹脂は、第一キャビティを通過した後、細径ピン周囲の
円筒状空間33は満たすが細径ピン先端のコアピン保持
穴33aは樹脂で満たされない。従って、ファイバ心線
ガイド穴からファイバ挿通孔まで連続した挿通孔を有す
るフェルールが成形されるのである。なお、細径ピン先
端の隙間の大きさは充填される樹脂の種類によって決定
される。隙間が大きすぎると、成形時に樹脂が細径ピン
先端の隙間にまで回り込み、バリを発生させ、連続した
ファイバ心線ガイド穴とファイバ挿通孔が形成できなく
なる。バリの問題はこの隙間の大きさをコントロールす
ることにより、または成形材料の種類を選択することに
より解決することができる。
【0034】ここで、ファイバ挿通孔の長さは3mm以
上が適当であり、また、フェルールの先端部にテーパを
設ける金型構造とすることが好ましい。テーパーの角度
としては30度から60度が適当である。
【0035】こうした金型を使用することにより、偏芯
量1μm以下のプラスチックフェルールを作製すること
ができるようになった。一方、図4に示す従来の金型を
用いて作製した図2に示す従来のフェルールでは、円筒
部先端06aと円筒部中央06bとでは筒体の樹脂肉厚
が異なるため、樹脂の充填密度差や冷却時間差が生じて
しまう。これにより、円筒部の外壁にヒケを発生させる
原因となり、長手方向の円筒外径が不均一となってしま
う。そのため、光ファイバの接続損失を悪化させ、着脱
特性にも影響してくる。従って、ファイバ挿通孔の長さ
を3mm以上にすることは困難であった。
【0036】図5の金型にはファイバ挿通孔を中心軸と
する中空円筒状の円筒外壁33bが設けられているの
で、図4の従来の金型により作製したフェルールの円筒
部先端06a(図3の11aに対応)と円筒部中央06
b(図3の11bに対応)に該当する筒体の樹脂肉厚を
同じにすることができるようになっている。ただし、図
3は図5の構造の金型により成形されたプラスチックフ
ェルールの断面構造であり、円筒部先端11aと円筒部
中央11bとの筒体の樹脂肉厚が同じであるので、長手
方向に均一な寸法の円筒外径を得ることができる。
【0037】このように、図5の構造の金型を使用する
ことにより、極めて偏芯が少なく円筒外径の寸法変動の
少ない成形品を得ることができる。
【0038】(3)成形材料の選定 成形技術において成形材料の選定は重要な課題の1つで
ある。例えばフェルール樹脂やエポキシ樹脂といった熱
硬化性樹脂を使用した場合、図5の金型構造における前
述のバリの発生が特に著しく、後加工が必要となり、経
済的なフェルールを得ることはできない。
【0039】一方、熱可塑性樹脂は溶融時の粘度が高い
ため、コア細径ピンとピンキャッチャーとの間の隙間へ
樹脂が回り込むことがなく、バリの問題に関しては有利
と考えられる。
【0040】金属やセラミックス材料に替わり得るプラ
スチック材料は、通常、エンジニアリングプラスチック
と呼ばれ、最近にいたるまで各種のものが開発されてき
た。
【0041】これらの中で、「汎用エンジニアリングプ
ラスチック」と呼ばれる範疇に入るものとしては、例え
ば、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカー
ボネート(PC)、ポリアミド(PA)、ポリフェニレ
ンオキサイド(PPO)およびポリアセタール(PO
M)が挙げられる。
【0042】また、「高性能エンプラ」と呼ばれる範疇
に入るのもとしては、例えば、ポリアリレート(PA
R)、ポリスルホン(PSF)、ポリフェニレンスルフ
ィド(PPS)、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテ
ルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド(PE
I)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルエー
テルケトン(PEEK)およびポリイミド(PI)が挙
げられる。
【0043】本発明においては、樹脂組成物がポリエー
テルイミド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスル
ホン樹脂より選ばれた樹脂と単結晶無機針状結晶より選
ばれた無機物質とを含む樹脂組成物から形成されている
ことが好ましく、かかる樹脂組成物を使用することによ
り優れた効果が得られる。上述の樹脂と無機物質はそれ
ぞれ単独で使用してもよく、あるいは組み合わせて使用
してもよい。
【0044】ここで、ポリエーテルイミド、ポリエーテ
ルスルホン、ポリスルホンは非晶性の高性能エンジニア
リングプラスチックであり、樹脂自体の配向性が小さ
く、また機械的強度や耐熱性が良いため、本発明で好適
に使用できる。
【0045】ポリエーテルイミドの例としては、下記の
式(Ia)〜(Id)で表される構造のものが挙げられ
る。式中、nは10〜1000の整数である。これらの
ポリエーテルイミドのうち、式(Ia)で表されるポリ
マーは市販品として入手できる(GEプラスチックス社
製、商品名「ウルテム」)。式(Ib)〜(Id)で表
される構造のポリマーは公知であるか、または公知の方
法で調整することができる。ただし、本発明で使用しう
るポリエーテルイミドはこれらに限定されない。
【0046】
【化1】
【0047】また、ポリエーテルスルホンの例として
は、下記の式(IIa)〜(IIe)で表される構造の
ものが挙げられる。式中、nは10〜1000の整数で
ある。これらのポリエーテルスルホンのうち、式(II
a)で表される樹脂は市販品として入手できる(住友化
学社製、商品名「スミカエクセル」)。式(IIb)〜
(IIe)で表される構造のポリマーは公知であるか、
または公知の方法で調整することができる。ただし、本
発明で使用しうるポリエーテルスルホンはこれらの樹脂
に限定されない。
【0048】
【化2】
【0049】また、ポリスルホンの例としては、下記式
の(IIIa)〜(IIIc)で表される構造のものが
挙げられる。式中nは10から1000の整数である。
これらのポリスルホンのうち、式(IIIa)で表され
る樹脂は市販品として入手できる(テイジンアモコエン
ジニアリングプラスチックス社製、商品名「ユーデ
ル」)。式(IIIb)、(IIIc)で表される構造
のポリマーは公知であるか、または公知の方法で調整す
ることができる。ただし、本発明で使用しうるポリスル
ホンはこれらに限定されない。
【0050】
【化3】
【0051】樹脂に加える添加物に関しては、各種の添
加物の中で単結晶無機針状結晶および/または石英微粉
末を添加することが、本発明を実現する上で効果的であ
る。単結晶無機微粉末はいわゆるウィスカと呼ばれるも
ので、主にセラミック系のものが知られている。具体的
には、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化チタン、酸化
アルミニウム、チタン酸カリウム、ほう酸アルミニウ
ム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、黒鉛、炭酸カルシウム、
炭酸亜鉛、水酸化マグネシウム、雲母などが挙げられ
る。ウィスカは単結晶針状結晶であるため、理論値に近
い機械的強度が得られ、耐熱性、耐磨耗性、耐薬品性が
優れている。また、ウィスカは繊維長が一般に数μmか
ら数百μmの短繊維であり、そのアスペクト比は30〜
300の値である。こうしたウィスカが本発明に適して
いる理由は、基本的に等方性の強化が可能であるためと
考えられる。ガラス繊維や炭素繊維のような繊維状物質
を添加すると、非晶質性樹脂をベースとしても樹脂の異
方性が大きくなり、従前に述べた寸法精度を実現するこ
とは困難である。
【0052】本発明で使用しうる特に優れたウィスカと
してはチタン酸カリウム、酸化亜鉛、炭化珪素、雲母が
挙げられる。酸化亜鉛ウィスカでは特にテトラポッド状
ウィスカが優れた結果を与えた。また石英微粉末も単結
晶無機針状結晶と同様、優れた効果を与えた。この添加
物も異方性がなく、熱膨張係数が小さく、かつ機械的強
度が優れているという特徴がある。
【0053】より樹脂組成物を具現化すれば、単結晶無
機針状結晶を含むポリエーテルイミド、ポリエーテルス
ルホン、またはポリスルホン樹脂組成物が優れた効果を
与えた。更に、樹脂組成物が単結晶無機針状結晶を20
から60重量%含むポリエーテルイミドおよびポリエー
テルスルホンまたはポリスルホン樹脂組成物であると
き、同様に優れた効果が得られる。
【0054】本発明においては、バリ発生の問題を考慮
すると熱可塑性樹脂を用いることが好ましいが、その中
でも特に、サーモトロピック液晶性全芳香族ポリエステ
ルを使用することが好ましい。かかるサーモトロピック
液晶性全芳香族ポリエステルを用いると、バリが発生せ
ず、また表1に示される1μm以下の真円度、円筒度を
実現できる。液晶ポリマー(LCP)は一般的に、溶融
状態で液晶性を示すため、成形時の流動性が極めて良好
である。このため、金型への樹脂の転写性がよく、高い
寸法精度を実現できる。また、成形時にコアピンに対す
る圧力印加を小さくすることができ、ファイバ挿通孔が
3mm以上となっても、ピンの折れや曲がりを避けるこ
とができる。
【0055】ところで、サーモトロピック液晶性全芳香
族ポリエステルは、粘性のずり応力依存性が大きいの
で、金型内に流入し、流動が停止すると急速に固化す
る。このため、コアピン先端とピンキャッチャーの間に
数μmの隙間があっても樹脂の回り込みが避けられ、バ
リの問題が生じない。
【0056】液晶性ポリマーとしては様々な構造のもの
が合成されており、その化学構造により物性値は大きく
異なる。液晶ポリマーは表2に示すように、その荷重た
わみ温度(TDUL)により便宜上三種に分類できる。
【0057】
【表2】
【0058】本発明では全芳香族構造をとる、タイプI
およびタイプII構造のものを使用することが、耐熱
性、各種の信頼性等の点で優れているため好ましい。こ
こで全芳香族構造とは、すべての繰り返し単位中に芳香
環を有し、同一の繰り返し単位中には2つ以上の原子が
連なって鎖状に結合した鎖状結合が含まれないことをい
う。なお、全芳香族ポリエステルの詳細については、特
公平5−69203号明細書に記載されている。
【0059】本発明では樹脂の添加物として、サーモト
ロピック液晶性全芳香族ポリエステルの配向性を低減さ
せる添加物を使用することが好ましい。液晶ポリマーの
配向性は一般的に高いため、フェルール先端部付近、す
なわち肉厚の不均一が生ずる部分で、真円度および円筒
度の低下が起きやすいという問題がある。このため、樹
脂の配向性を低減させる添加物を使用することが好まし
い。具体的には、ガラスビーズ、石英ビーズ、グラファ
イト、酸化亜鉛、チタン酸カリウム、酸化亜鉛、酸化マ
グネシウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、チタン酸
カリウム、ほう酸アルミニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ
素、黒鉛、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、水酸化マグネシ
ウムなどの各種無機添加物が挙げられる。ただし、ガラ
ス繊維や炭素繊維といった、繊維状の添加物は使用しな
い。添加量は樹脂の流動を低下させない範囲で決めら
れ、20%から70%、より好ましくは30%から60
%の範囲で適宜選択することができる。本発明において
「真円度」とは、直径2.5mmの円を基準円として、
この基準円の中心からのずれを絶対値で示したものであ
る。
【0060】さらに、本発明では樹脂組成物の「異方
性」に着目し、その配向性が適当な範囲にある場合に極
めて優れたプラスチックフェルールが得られることを見
いだした。樹脂組成物の「異方性」を判断するために
は、樹脂組成物を射出成形した場合の樹脂の流動方向と
その垂直方向の物性値の比を用いて表すことが適当であ
り、その比が5以下の樹脂組成物を用いることが好まし
い(ただし、かかる「比」は大きい方の数値を小さい方
の数値で除した場合の値とする)。ここで異方性を評価
するための製品形状としては、通常、樹脂の物性値の評
価の際に使用されるASTM試験サンプルや、平板形状
(例えば、60×60×3mm)を使用することがで
き、いずれも、端面にゲートを設ける金型構造が適当で
ある。成形後、樹脂の流動方向とその直角方向に適当な
形状の試験片を切り出し、その物性値を評価すれば、樹
脂組成物の異方性を求めることができる。この比が大き
いほど、樹脂が流動方向に配向していることを表す。物
性値としては線膨張係数、成形収縮率、曲げ弾性率等を
使用できるが、線膨張係数がもっとも好ましく使用でき
る。液晶ポリマーでは、通常、流動方向の線膨張係数が
その直角方向に比べて大きい。本発明では異方性が2か
ら5の場合に優れた結果が得られることを見いだした。
異方性が5を越えると、真円度が1μm以上となり、成
形精度が低下する。これは樹脂の異方性が大きいと、樹
脂流動や冷却時の収縮が均質でないため、成形精度が低
下するものと考えられる。また、一般的に、樹脂の異方
性が大きいと、流動方向の線膨張係数は低下する。光コ
ネクタ用フェルールとしては、樹脂の線膨張係数は低
く、石英光ファイバの線膨張係数に近い値をとることが
望ましい。一方、樹脂の配向性が2を下回ると、後に述
べるヒートサイクル信頼性で必要とされる値の限界1.
5×10-5を越えてしまうため、適当でない。なお、好
ましい樹脂組成は、異方性を低下させる添加物を、必要
量配合することにより得られる。
【0061】本発明の樹脂組成物には必要に応じて添加
物の表面処理剤、着色剤、金型との離型剤等を加えるこ
とができる。特に、本発明に用いられる金型構造では離
型剤の添加は有効である。
【0062】(4)偏芯量の制御 図5の構造の金型を採用することにより、成形時におけ
る偏芯の揺らぎを抑制することができる。しかしなが
ら、偏芯量の絶対値に関しては必ずしも0になるとは限
らない。すなわち、各金型部品の加工精度を限りなく上
げ、部品レベルとしては偏芯量を0となるように設定し
たとしても、金型部品を組み合わせるためには、最低1
〜2μmのクリアランスが必要となる。従って、金型の
組み付け状態によって、期待できる偏芯量は必ずしも0
レベルにはならず、一定の偏芯が生じてしまう。従っ
て、偏芯特性に関しては、偏芯量を制御する機構を設け
ることが、本発明をより有効にするためには必要であ
る。本発明では以下の二通りの偏芯量の調整機構を使用
して、偏芯量の低減を行っている。
【0063】(A)金型内へ充填される樹脂の流路であ
るランナーの一部に、樹脂の流動を制御する機構を設け
る。具体的には図6(a)〜(c)に示すように、ラン
ナー42に細い径のピン41を押し込む手法が適用でき
る。ここで、(a)はピンの未挿入状態であり、
(b)、(c)の順でピンがランナー内に深く挿入され
て樹脂の流動が影響される。この手法では±3μmの範
囲で偏芯量の制御が可能である。
【0064】(B)キャビティとコアピンの相対的位置
を変える機構を設ける。具体的には、コアピン位置を固
定し、キャビティの位置を変えるためにキャビティ部品
を図7の構成とする。挿入するゲージ51の厚みを変え
ることにより、キャビティ部品52のキャビティ中心5
3の位置を変えることができる。この手法では±10μ
mの範囲で偏芯調整が可能である。なお、図中54は調
整用スペース、55は金型ベースを示す。
【0065】本発明では上記(A)、(B)両方の手法
を併用することも可能である。
【0066】先に表1で示したように、ジルコニアフェ
ルールでは偏芯0.7μm以下が必要とされている。他
方、プラスチックフェルールの場合は偏芯1μm以下で
同様の特性が実現できる。この理由は、ジルコニアのよ
うな剛性が高い材質の場合はフェルール自体の変形は全
く生じ得ないが、プラスチックの場合は 一定の弾性変
形が期待でき、このことが偏芯量の許容値をやや広いも
のにしている。
【0067】本発明においては、フェルールの保持部ま
たは挿入部の一部にフェルールの成形された金型内での
位置を示すためのマークを設けておくことが好ましい。
この理由は以下の通りである。
【0068】すなわち、本発明のフェルールの偏芯位置
は一定の位置に集中する傾向がある。偏芯の制御をした
場合でもこのことは同様である。すなわち、本発明のフ
ェルールを使用して光接続を行う場合、二本のフェルー
ルが金型内での位置を基準として同一の位置関係で対向
されれば、光ファイバの相対的位置関係は最も近くな
り、接続損失が低くなる。金型内からフェルールが突き
出され、スプルー、ランナーの処理を行うと、フェルー
ルの金型内での位置を示すものはなくなってしまう。従
って、フェルール円筒部以外の一部にマークを設けてお
けば、この位置を参考にしてフェルール同士の対向を行
うことができる。こうした「調芯操作」は位置合わせマ
ークのある本発明のプラスチックフェルールによって初
めて可能となる。従来のフェルールでは、ファイバを実
装した各フェルールの偏芯を個別に測定し、その結果を
基にフェルールにマーキングし、この位置を参考にして
調芯を行っている。こうした操作が不要な分、マーキン
グ付きのフェルールを使用すると光コネクタの低コスト
化が可能となる。
【0069】また、金型作製においては金型表面の面精
度、パーティング面での位置合わせ精度にも注意を払う
必要がある。位置合わせ精度を挙げるためには、インロ
ー部をもたせる構造、テーパーピンやコッターブロック
を設ける方法などがあり、適宜選択することができる。
また樹脂を金型内に導入するゲートの形状としてはピン
ポイントゲート、リングゲート、フィルムゲート等があ
り、ゲートの位置に応じて適宜選択することができる。
射出条件としては、射出時の速度をより高速にした「高
速射出成形技術(射出圧力は低下する)」、あるいは逆
にできるだけ射出速度を落として成形後の歪みを低下さ
せる「低速射出成形技術」等を適宜利用することができ
る。
【0070】また、使用する成形機としては金型型締め
圧が比較的小さい(50t以下)、小型の射出成形機を
使用できる。通常、公知の油圧式射出成形機およびサー
ボモーターを駆動源とする電動射出成形機、あるいは射
出側/型締め側に油圧式/電送式を使用したハイブリッ
ド型の装置等を使用できる。成形機で特に注意すべき点
は、金型を取り付けて移動する移動プレートと固定プレ
ートとの平行度である。この平行度の値が悪いと、金型
の位置合わせ精度が低下し、精密成形に適さなくなる。
平行度の値としては両プレート間の距離の誤差で規定さ
れ、少なくとも50μm以内、より好ましくは30μm
以内であることが必要である。
【0071】本発明のプラスチックフェルールはSC型
光コネクタ用の関連製品に利用可能である。通常使用さ
れる、両端プラグコード用のアダプタおよび光モジュー
ル内での接続部に応用可能である。また、フェルール外
径が2.5mmである光コネクタ(FC、STコネク
タ)には基本的に全て対応可能である。
【0072】今後、各種の情報処理装置内にも光インタ
ーコネクションが採用され、大量の光コネクタ、フェル
ール部品が必要になると思われる。
【0073】
【実施例】図8、図9に示す射出成形用金型を使用して
プラスチックフェルールの成形を行った。
【0074】ここでは、ファイバ挿通孔の長さは3.5
mmとし、先端部のテーパ角度は40度としている。図
8、図9を用いて具体的に説明するが、これらは図5の
金型と同一のものであるので、図5に対応する金型構成
部材については、同一の符号を用いた。型締めした状態
で、可動側金型31、固定側金型32の間にキャビティ
36が形成されるとともに、ピンキャッチャー34の貫
通孔の一端部内に固定コアピン35aの細径ピン35が
嵌入し、両端支持を行う。この状態から射出工程に移行
すれば、溶融樹脂がゲート37からキャビティ36内に
射出される。樹脂は左右両方に分かれ、第二キャビティ
36b内に充填された溶融樹脂によりフェルールの保持
部が形成され、第三キャビティ36c内に充填された溶
融樹脂により挿入部が形成され、また第一キャビティ3
6a内に充填された溶融樹脂によりフェルールの円筒部
が形成され、中心にファイバ挿通孔およびファイバ心線
ガイド穴が形成される。ここで可動側金型31および固
定側金型32はそれぞれ可動側取り付け板70、固定側
取り付け板60を介して射出成形機(図示せず)の型締
め盤に固定されている。ただし、成形材料としては下記
のものを使用した。
【0075】 全芳香族サーモトロピック液晶ポリエステル(タイプII) 50重量部 ガラスビーズ(平均粒径30μm) 50重量部 射出条件を表3に示す。
【0076】
【表3】
【0077】(A)外径形状:上記条件により作製した
プラスチックフェルールの円筒部先端から保持部に至る
長手方向の外径寸法を図10に示す。従来の手法で成形
されたプラスチックフェルールの円筒部先端から保持部
に至る長手方向の外径寸法を図11に示す。図10およ
び図11から明らかなように、従来のフェルールでは外
径寸法の大きさが一定ではなく、筒体の樹脂肉厚が厚い
部分で特にばらついているのに対し、本発明のフェルー
ルは円筒部先端から保持部に至るまで外径形状のばらつ
きが極めて小さくなっている。
【0078】また、図12に上記条件により作製したプ
ラスチックフェルールの各寸法を示す。
【0079】(B)接続損失:従来のプラスチックフェ
ルールと本発明のプラスチックフェルールとをそれぞれ
用いて光コネクタ(SC型)を組み立て、接続損失を測
定した。従来のフェルール、本発明のフェルールとも
に、偏芯が0.5μmのものを使用した。研磨条件はA
dPC研磨とした。0.5μmの偏芯量から理論的に予
想される接続損失の値は、0.05dB程度であるが、
従来のフェルールを用いた光コネクタの接続損失は0.
2dBであり、偏芯量から理論的に予想される値よりも
大きかった。これは、偏芯以外の接続損失を悪化させる
要因が影響したためと予想される。そのような接続損失
を悪化させる要因の一つとして、フェルールの外径寸法
のばらつきが考えられる。
【0080】一方、本発明のフェルールを用いた光コネ
クタの接続損失は0.13dBであり(図13)、偏芯
量から理論的に予想される値よりも大きいものの、従来
のフェルールに比べ接続損失が小さくなった。このよう
に、本発明のようにフェルールの外径寸法のばらつきを
小さくすることにより、接続損失特性を向上させること
ができた。
【0081】図13に、市販フェルール(ジルコニア
等)とプラスチックフェルールを市販の割りスリーブで
接続したときの接続損失を示した。図14には、2つの
プラスチックフェルールを市販の割りスリーブで接続し
たときのランダム接続の接続損失を示した。図13、図
14から明らかなように、これらはすべて本願の優れた
効果を有し、かつ歩留まりもよく作製することができ
た。
【0082】また、本発明のフェルールはAdPC研磨
が可能であり、反射減衰量の平均も51.6dBと良好
な反射特性を示した(図15)。
【0083】(c)信頼性の向上 図16に本発明のプラスチックフェルールのヒートサイ
クル試験結果を示す。温度、湿度等の変化に伴う接続損
失、反射減衰量の特性変動は少なく、優れた耐候性を有
していることが分かった。
【0084】次に、ジルコニア割りスリーブ、プラスチ
ック割りスリーブに対しての500回繰り返し挿抜試験
の結果を図17に示す。ジルコニア割りスリーブでは、
接続損失が悪化するときがあった。ただし、クリーニン
グ操作を施すことにより、もとの値に戻ることから機械
的な劣化は生じていないと考えられる。プラスチック割
りスリーブでは、クリーニング操作を行わなくても、接
続損失が悪化することはなかった。ジルコニア割りスリ
ーブ、プラスチック割りスリーブともに500回繰り返
し挿抜後でも接続特性の劣化は生じず、良好な挿抜特性
を示した。
【0085】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、シ
ングルモードファイバの接続に使用できる、接続特性、
信頼性、経済性に優れた光コネクタ用プラスチックフェ
ルールを得られる利点がある。現在市販されているシン
グルモード用フェルールは、フェルールをアダプタに保
持するための保持金具を後から取り付けなければならな
いが、本発明のプラスチックフェルールは保持部も併せ
て一括成形するため、保持金具の取り付け工程を省くこ
とができる。さらに、プラスチックを使用することによ
り材料費も低減することができる。
【0086】また、本発明は極めて汎用性が高く、種々
の光コネクタに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の、割りスリーブ内のフェルールの接続状
態を示す図である。
【図2】従来のフェルールの断面図である。
【図3】本発明によるプラスチックフェルールの断面図
である。
【図4】従来のフェルール成形用金型の断面図である。
【図5】本発明のフェルールを成形するのに用いられる
金型の断面図である。
【図6】本発明で使用する樹脂の流動を制御する機構を
説明する図であり、(a)はピンの未挿入状態、(b)
および(c)はピンが挿入された状態を示す図である。
【図7】偏芯制御のために本発明で使用する、固定側金
型構造を示す図である。
【図8】本発明で使用するフェルール射出成形用金型の
要部を示す断面図である。
【図9】本発明で使用するフェルール射出成形用金型の
全体を示す断面図である。
【図10】本発明のフェルールの外径寸法を示す図であ
る。
【図11】従来のフェルールの外径寸法を示す図であ
る。
【図12】実施例により作製したプラスチックフェルー
ルの断面図である。
【図13】接続損失を示すグラフである。
【図14】ランダム接続による接続損失を示すグラフで
ある。
【図15】反射減衰量を示すグラフである。
【図16】ヒートサイクル試験結果を示すグラフであ
る。
【図17】挿抜試験結果を示すグラフである。
【符号の説明】
01,01A,01B フェルール 02 割りスリーブ 03A,03B 光ファイバコード 04 光ファイバ心線ガイド穴 05 光ファイバ挿通孔 06 円筒部 06a 円筒部先端 06b 円筒部中央 07 保持部 08 挿入部 10 フェルール 11 第1の円筒 11′ 円筒部 11a 円筒部先端 11b 円筒部中央 11c テーパ部 12 保持部 13 光ファイバの心線ガイド穴 14 第2の円筒状体 16 光ファイバ挿通孔 17 ファイバ 18 中空円筒状の隙間 21 金型 22 コアピン 22a コアピン先端細径 23 可動側金型 24 固定側金型 25 キャビティ 26 ピン受け部 27 樹脂流入部 28 パーティングライン 31 可動側金型 32 固定側金型 33 円筒状空間 33a コアピン保持穴 33b 円筒外壁 34 ピンキャッチャー 35 細径ピン 35a 固定コアピン 36 キャビティ 36a 第1キャビティ 37 樹脂流入部(ゲート) 39 パーティングライン 41 ピン 42 ランナー 51 ゲージ 52 キャビティ部品 53 キャビティ中心 54 調整用スペース 55 金型ベース 60 固定側取り付け板 70 可動側取り付け板
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成10年2月13日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0046
【補正方法】変更
【補正内容】
【0046】
【化1】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0048
【補正方法】変更
【補正内容】
【0048】
【化2】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0050
【補正方法】変更
【補正内容】
【0050】
【化3】
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0057
【補正方法】変更
【補正内容】
【0057】
【表2】
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】全図
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図12】
【図11】
【図13】
【図14】
【図15】
【図17】
【図16】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大野 正善 東京都新宿区西新宿三丁目19番2号 日本 電信電話株式会社内 (72)発明者 東野 俊一 東京都新宿区西新宿三丁目19番2号 日本 電信電話株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1の円筒状体と、該第1の円筒状体の
    内部に第1の円筒状体と隙間をおいて、かつ第1の円筒
    状体と同一軸心上に形成された第1の円筒状体より短い
    第2の円筒状体とを有し、前記第1および第2の円筒状
    体は同一側の端部において前記隙間が埋められるように
    連続しており、前記第1の円筒状体の内部は光ファイバ
    の挿通孔となり、前記第2の円筒状態の内部は前記光フ
    ァイバの心線ガイド穴となり、さらに前記第1の円筒状
    体の外周に鍔状態が形成されていることを特徴とする光
    コネクタ用プラスチックフェルール。
  2. 【請求項2】 前記円筒部が、その先端で角度30度か
    ら60度のテーパを有し、かつ前記挿入孔の長さが3m
    m以上であることを特徴とする請求項1に記載の光コネ
    クタ用プラスチックフェルール。
  3. 【請求項3】 光コネクタ用プラスチックフェルールが
    サーモトロピック液晶性全芳香族ポリエステルからなる
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の光コネクタ
    用プラスチックフェルール。
  4. 【請求項4】 前記保持部または挿入部に、該フェルー
    ルの射出成型用金型内における相対的な位置関係を示す
    マークを有することを特徴とする請求項1から3のいず
    れかに記載の光コネクタ用プラスチックフェルール。
  5. 【請求項5】 それぞれ光ファイバを収容する2個のフ
    ェルールを当接させて光ファイバを接続するための光フ
    ァイバコネクタ用のフェルールであり、かつ位置合わせ
    に使用される円筒を有し、前記円筒の一端に光ファイバ
    の挿通孔を、他端に光ファイバの心線ガイド穴を有し、
    さらに前記円筒の外周にフェルールをコネクタ内に保持
    するための保持部を有するフェルールの製造方法であっ
    て、固定側金型に光ファイバ挿通孔を形成する細径ピン
    を有するコアピンを固定し、可動側金型にピンキャッチ
    ャーを固定し、ピンキャッチャーの先端部にコアピン保
    持穴を有する円筒状の窪みがあって、金型の型締め時に
    おいては該コアピン保持穴に細径ピンの先端が非接触状
    態で保持される金型内に、樹脂組成物を射出して成形す
    ることを特徴とする光コネクタ用プラスチックフェルー
    ルの製造方法。
  6. 【請求項6】 前記金型に樹脂組成物を充填する樹脂流
    路の一部に樹脂の流動を制御する機構を設けたことを特
    徴とする請求項5に記載の光コネクタ用プラスチックフ
    ェルールの製造方法。
  7. 【請求項7】 前記金型のキャビティの円筒中心位置
    が、光ファイバ挿通孔を形成する細径ピンの中心位置に
    対して、相対的に移動可能であることを特徴とする請求
    項5または6に記載の光コネクタ用プラスチックフェル
    ールの製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2012121006A1 (ja) * 2011-03-07 2012-09-13 日本通信電材株式会社 光接続器
WO2020162230A1 (ja) * 2019-02-04 2020-08-13 住友電気工業株式会社 フェルール及び光コネクタ

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