JP2000180662A - 光ファイバ含有プラスチックフェルールおよびその製造方法 - Google Patents

光ファイバ含有プラスチックフェルールおよびその製造方法

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JP2000180662A
JP2000180662A JP10353056A JP35305698A JP2000180662A JP 2000180662 A JP2000180662 A JP 2000180662A JP 10353056 A JP10353056 A JP 10353056A JP 35305698 A JP35305698 A JP 35305698A JP 2000180662 A JP2000180662 A JP 2000180662A
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optical fiber
ferrule
mold
resin composition
plastic
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Yoshito Shudo
義人 首藤
Shuichi Yanagi
秀一 柳
Koji Sato
弘次 佐藤
Shunichi Tono
俊一 東野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】光コネクタ用プラスチックフェルールが、シン
グルモードファイバの接続に使用でき、かつ、寸法精
度、接続特性,信頼性および経済性に優れていること。 【解決手段】光コネクタ用プラスチックフェルールが、
樹脂組成物からなる円筒体の光コネクタ用プラスチック
フェルールであって、フェルールの中心には先端部の被
覆層が除去された光ファイバが隙間なく埋設されてお
り、円筒体は光ファイバと同軸の円筒体で、かつその光
ファイバ先端側の端面は光ファイバの端面と連続して一
平面をなし、円筒体の一部には当該フェルールを光ファ
イバコネクタ内で固定するための鍔状部が設けられてい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はシングルモードファ
イバの接続に使用される光コネクタ用のフェルールに関
するものであり、特にフェルールを経済的に製造する事
を可能とする光コネクタ用の光ファイバ含有プラスチッ
クフェルールとその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】光通信技術の進展により、各家庭にまで
光ファイバを導入し、多彩な通信サービスを提供するこ
とが可能となりつつある。こうした一般加入者の利用に
供する光通信網を実現するためには、コストの安い経済
的な光コネクタが必要である。
【0003】光通信に使用する光ファイバを接続する場
合、図1で示したように、光ファイバコード03A,0
3Bが挿入された二本のフェルール01A,01Bを割
スリーブ02中で整列接合させることにより行われてい
る。図2はこうした目的で使用されるフェルールの断面
図であり、一端に光ファイバ心線ガイド穴04および他
端に一個のファイバ挿通孔05を有している。また接続
に直接関わる円筒部06、光コネクタ内でフェルールを
安定に保持する保持部07、光ファイバをフェルール内
に挿入する挿入部08からなっている。
【0004】フェルールは光ファイバ挿通孔径,光ファ
イバ挿通孔の偏芯量,フェルール外径,外径真円度など
に、下記表1に示す極めて高度な寸法精度が要求され
る。従来、フェルールはセラミックスや金属を高精度で
切削,研磨する事により作製されていた。このため、製
造効率が悪く、製造コストが高くなるという問題があっ
た。
【0005】
【表1】
【0006】
【発明が解決しようとする課題】こうした問題を解決す
るため、プラスチック成形によりフェルールを作製する
試みがなされてきた。例えば吉澤らはフェルノール樹脂
のトランスファー成形によりプラスチックフェルールを
作製した(日本電信電話公社研究実用化報告,第32
巻,第3号,第831〜842頁(1983年))。当
時はコアの外径が50μm程度と大きな、いわゆるマル
チモードファイバが主に使用されており、マルチモード
ファイバの接続にはかかるプラスチックフェルールは適
用することができた。しかし、かかるプラスチックフェ
ルールは、現在、通信用として使用されているコア外径
8〜10μmのいわゆるシングルモードファイバには適
用できるものではない。またトランスファー成形により
フェルールを作製すると成形後にバリ取り等の後処理や
熱処理が必要であるので、製造工程における経済性とい
う観点においても、このプラスチックフェルールは充分
なものとは言えなかった。また経済性に優れた射出成形
技術を用いてプラスチックフェルールを作製する試みも
なされた。樹脂としては耐熱性,流動性に比較的優れた
PPS(ポリフェニレンサルファイド)等が検討され
た。
【0007】しかしながらこれらのフェルールは、シン
グルモードファイバの接続に耐え得る寸法精度、機械的
強度、各種の信頼性等を満たすものではなかった。例え
ばシングルモードファイバの接続に要求されるフェルー
ルの寸法精度は、上述の表1の値であることが明らかに
されているが、こうした高精度なフェルールは実現され
ていなかった。
【0008】一方、光コネクタの接続特性は接続損失と
フェルール端面の反射減衰量により評価できるが、前者
で0.5dB以下、後者で25dB以上(Physical Con
tact;PC研磨条件)および40dB以上(Advanced P
hysical Contact ;AdPC研磨条件)の値がそれぞれ
必要とされている。
【0009】また、図2で示されるフェルール構造をそ
のまま樹脂で作製する場合には、光ファイバ挿通孔径,
光ファイバ挿通孔の偏芯量,フェルール外径,外径真円
度,等に極めて高度な寸法精度が要求されるので、作製
するための金型構造が複雑で高価にならざるを得なかっ
た。
【0010】他方、信頼性試験においては高い温度や湿
度環境下におかれた場合、接続特性が劣化する問題も指
摘されている。この原因としてはプラスチックフェルー
ルではその成形法から図2に示される光ファイバ挿通孔
の長さが1〜2mmであり(ジルコニアフェルールでは
8mm程度)、高温、高湿下では光ファイバとフェルー
ルの接着力が不足するためと推定されている。
【0011】本発明は上記問題点を解決すべくなされた
ものであり、本発明の目的はシングルモードファイバの
接続に使用する光コネクタ用のプラスチックフェルール
を提供することにあり、より詳細にはフェルール外形の
寸法精度、機械的強度、接続特性、信頼性および経済性
に優れたプラスチックフェルールを提供することにあ
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の光ファイバ含有
プラスチックフェルールは、樹脂組成物からなる円筒体
の光コネクタ用プラスチックフェルールであって、該フ
ェルールの中心には先端部の被覆層が除去された光ファ
イバが隙間なく埋設されており、前記円筒体は前記光フ
ァイバと同軸の円筒体で、かつその前記光ファイバ先端
側の端面は光ファイバの端面と連続して一平面をなし、
前記円筒体の一部には当該フェルールを光ファイバコネ
クタ内で固定するための鍔状部が設けられていることを
特徴とする。
【0013】ここで前記樹脂組成物は、少なくともサー
モトロピック液晶性全芳香族ポリエステルと該サーモト
ロピック液晶性全芳香族ポリエステルの配向性を低減さ
せる添加物とを含む樹脂組成物であることができる。
【0014】本発明の光ファイバ含有プラスチックフェ
ルールの製造方法は、樹脂組成物からなる円筒体の光コ
ネクタ用プラスチックフェルールの製造方法であって、
固定側金型に先端部の被覆層が除去された光ファイバを
パッドで保持して固定し、可動側金型で型締めした後、
前記樹脂組成物を金型内に射出し、冷却固化することに
より前記光ファイバを該樹脂組成物中に隙間なく埋設さ
せることを特徴とする。
【0015】ここで、前記固定側金型に前記先端部の被
覆層が除去された光ファイバをパッドで保持して固定す
るときには、該光ファイバに引っ張り力が働くように5
0g〜200gの範囲のバックテンションをかけること
ができる。
【0016】また前記樹脂組成物は、少なくともサーモ
トロピック液晶性全芳香族ポリエステルと該サーモトロ
ピック液晶性全芳香族ポリエステルの配向性を低減させ
る添加物とを含む樹脂組成物であることができる。
【0017】
【発明の実施の形態】本発明者らは従来手法とその問題
点を詳細に検討した結果、本発明を完成させるに至っ
た。以下に、本発明のフェルールの構造および本発明の
フェルールを製造するために用いられる金型の一例を説
明する。
【0018】(1)フェルール構造:図2に示される従
来のフェルール構造では、その内部に光ファイバ心線ガ
イド穴04及びその先端に一個のファイバ挿通孔05を
有するが、本発明のフェルールは図3のようなフェルー
ル構造をとる。すなわち、フェルール09の中心部に被
覆層を除去された光ファイバ11と被覆層をそのまま有
する光ファイバ12が樹脂中に埋設されている。光ファ
イバ11,12と樹脂との間に隙間は全くない状態であ
る。かかる構成をとることによりフェルール内部を形成
するための金型部品の構造を単純化することができる。
本発明においては被覆層が除去された光ファイバ11の
長さは、3〜5mmであることが好ましい。なお、本発
明において光ファイバというときは被覆層を有する光フ
ァイバ心線も含むものとする。本発明のフェルール09
は、接続に直接関わる部分である円筒部10、光コネク
タ内でフェルールを安定に保持する鍔状の保持部13と
光ファイバ心線12を保持する光ファイバ保持部14と
からなる。円筒部10は光ファイバと同一軸上に形成さ
れており、光ファイバ11の端部において光ファイバ端
面を含む平面を形成している。このような本発明のフェ
ルールでは、樹脂に埋設された光ファイバの偏芯位置、
フェルール外径および外径真円度は高い寸法精度を要求
されるがこれらの寸法精度の調整は可能であるので、フ
ェルールを成形するための金型を容易に作製することが
できる。
【0019】(2)金型構造:プラスチックフェルール
において、偏芯量の低減を図ることは最大の技術的課題
である。図3に示すようなフェルールでは、すなわち被
覆層を除去した光ファイバ11および被覆層をそのまま
有する光ファイバ12が樹脂中に隙間をおかずに埋設さ
れたフェルールでは、偏芯量は溶融樹脂の充填工程およ
び冷却工程で光ファイバ11,12を樹脂中の所定の位
置に正確に保持し続けられるかどうかに大きく依存す
る。また、樹脂が冷却する際、埋設されている光ファイ
バ11,12に比較的大きな収縮歪みが生ずる。本発明
においてはこのことに鑑みて、光ファイバ11に50g
〜200gのバックテンションをかけた状態で金型内に
固定した後、溶融樹脂を充填/冷却する。バックテンシ
ョンをかけない状態で金型内に樹脂を注入すると光ファ
イバ11,12が移動してしまい、偏芯量の制御を高い
精度で行うことはできない。50g未満のバックテンシ
ョンでは樹脂が冷却する際の収縮歪みの問題に対処でき
ないこともあるので、50g以上のバックテンションを
かけることが好ましい。200gのバックテンションを
かけた場合には、光ファイバ余長に換算すると約−0.
2%であり、標準的な樹脂の成形収縮率0.5%と合わ
せると光ファイバに0.4%近い収縮歪みが印加される
ことになる。大きな歪み量が印加され続けると静疲労に
より光ファイバの破断が起きるので、これ以上大きなバ
ックテンション量を印加することは信頼性上好ましくな
い。
【0020】図4に本発明のフェルールの製造に使用す
る金型の要部構造の一例を示す。光ファイバ11は、光
ファイバ表面を傷つけないように軟性の弾性体を内側に
貼ってあるパッド15aによって固定側金型17に固定
される。次いで、光ファイバに引っ張り力が働くように
光ファイバ12に矢印の方向に所定のバックテンション
を印加しつつ、軟性の弾性体を内側に貼ってあるパッド
15bで光ファイバ12を固定する。この状態で可動側
金型18を移動させて金型17,18を閉じた後、樹脂
を充填する。所定時間冷却した後、金型を開けてフェル
ール成形品を取り出し、パッド15a側の光ファイバを
フェルール端と連続した平面を形成するように切断し、
最終成形品である片側に光ファイバの付いた光ファイバ
含有プラスチックフェルールを得る。なお、切断面が光
ファイバの軸に対して直角であればコネクター内でのフ
ェルールの接合が容易になるため、直角に切断すること
が好ましいが、特に限定されるわけではなく、軸に対し
て角度をもって切断することもできる。
【0021】(3)成形材料の選定:成形技術において
成形材料の選定は最も重要な課題の1つである。例えば
フェノール樹脂やエポキシ樹脂といった熱硬化性樹脂を
使用した場合、図4の金型構造においてバリの発生が著
しく、後加工が必要となり、経済性に優れたフェルール
を得るという目的は実現されない。
【0022】一方、熱可塑性樹脂は溶融時の粘度が高い
ため、バリの問題に対しては有利と考えられる。各種の
熱可塑性樹脂を検討した結果、サーモトロピック液晶性
全芳香族ポリエステルを使用すると、バリが発生せず、
また表1に示される1μm以下の真円度、円筒度を実現
できる。液晶ポリマー(LCP)は一般的に、溶融状態
で液晶性を示すため、成形時の流動性が極めて良好であ
る。このため、金型への樹脂の転写性がよく、高い寸法
精度が実現される。また、成形時に光ファイバ心線に対
する圧力印加を小さくすることができ、光ファイバの破
断を避けることができる。
【0023】サーモトロピック液晶性全芳香族ポリエス
テルは、粘性のずり応力依存性が大きいので、金型内に
流入し、流動が停止すると急速に固化する。このため、
光ファイバ心線を保持するパッドの間に数μmのギャッ
プがあっても樹脂の回り込みが避けられ、バリの問題が
生じない。
【0024】液晶ポリマーは表2に示すように、その荷
重たわみ温度(TDUL)により、便宜上三種類に分類
できる。本発明では全芳香族構造をとる、タイプIおよ
びタイプII構造のものを使用することが、耐熱性、各種
の信頼性の点で優れているため好ましい。ここで全芳香
族とは、すべての繰り返し単位中に芳香環を有し、同一
の繰り返し単位中には2つ以上の原子が連なって鎖状に
結合した鎖状結合が含まれないことをいう。
【0025】
【表2】
【0026】本発明では樹脂の添加物として、サーモト
ロピック液晶性全芳香族ポリエステルの配向性を低減さ
せる添加物を使用することが好ましい。液晶ポリマーの
配向性は一般的に高いため、真円度および円筒度の低下
が起きることがある。このため、樹脂の配向性を低減さ
せる添加物を使用することが好ましい。具体的には、ガ
ラスビーズ、石英ビーズ、グラファイト、酸化亜鉛、チ
タン酸カリウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化チ
タン、酸化アルミニウム、チタン酸カリウム、ほう酸ア
ルミニウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、黒鉛、炭酸カル
シウム、炭酸亜鉛、水酸化マグネシウムなどの各種無機
添加物を使用することが好ましく、ガラス繊維や炭素繊
維といった、繊維状の添加物は使用しない。添加量は樹
脂の流動性を低下させない範囲で決められ、20%〜7
0%、より好ましくは30%〜60%の範囲で適宜選択
できる。ここで、「真円度」とは、直径2.5mmの円
を基準円として、この基準円の中心からのずれを絶対値
で示したものである。
【0027】(4)偏芯量の制御:光ファイバにバック
テンションを印加しつつ、図4の構造の金型を採用する
ことにより、成形時における偏芯の揺らぎを抑制するこ
とができる。しかしながら、偏芯量の絶対値に関しては
必ずしも0になるとは限らない。すなわち、各金型部品
の加工精度を限りなく上げ、部品レベルとしては偏芯量
を0となるように設定したとしても、金型部品を組み合
わせるためには、最低1〜2μmのクリアランスが必要
となる。また、光ファイバを保持するパッドの内側には
光ファイバ表面を傷つけないように軟性の弾性体が貼ら
れているため、光ファイバの組み付け状態によって期待
できる偏芯量は必ずしも0レベルにはならず、一定の偏
芯が生じてしまう。従って、偏芯特性に関しては、偏芯
量を制御する機構を設けることが、本発明をより有効に
するために必要である。本発明においてはキャビティと
光ファイバの相対的位置を変える機構を設けることで、
偏芯量の低減を行っている。具体的には、光ファイバ位
置を固定し、キャビティの位置を変えるためにキャビテ
ィ部品を図5の構成とする。挿入するゲージ22の厚み
を変えることにより、キャビティ部品23のキャビティ
中心24の位置を変えることができる。この手法では±
10μmの範囲で偏芯調整が可能である。なお、図中2
1は調整用スペース、20は金型ベース、25はパーテ
ィングラインを示す。
【0028】
【実施例】図4に示す射出成形用金型を使用して光ファ
イバ含有プラスチックフェルールの成形を行った。可動
側金型18を移動させて金型を型開きした状態で、被覆
層を除去された光ファイバ11および被覆層をそのまま
有する光ファイバ12を、光ファイバ表面を傷つけない
ように軟性の弾性体を内側に貼ってあるパッド15aを
用いて固定側金型17に固定した。この状態でのパッド
で押さえられていない部分の光ファイバ11の長さを5
mmとした。次いで、光ファイバ11および光ファイバ
12に引っ張り力を与えるように、光ファイバ12に1
00gのバックテンションを印加しつつ、パッド15b
で光ファイバ12を固定側金型に固定した。この状態で
可動側金型18を移動して固定側金型17と型合わせ
し、金型を閉じた。この状態で射出工程に移行し、金型
内に溶融樹脂を充填してフェルールの円筒部とフェルー
ル保持部を形成した。30秒間冷却した後、金型を開け
てフェルール成型品を取り出し、パッド15a側の光フ
ァイバを軸に対して直角に切断して最終成形品である片
側に光ファイバの付いた光ファイバ含有プラスチックフ
ェルールを得た。
【0029】ただし、成形材料としては下記のものを使
用した。
【0030】 全芳香族サーモトロピック液晶ポリエステル(タイプII) 60重量部 ガラスビーズ(平均粒径30μm) 40重量部 射出条件を表3に示す。
【0031】
【表3】
【0032】(A)外径形状:上記条件で作製した本発
明のプラスチックフェルールの円筒部先端から保持部に
至る長手方向の外径寸法を図6に示す。従来の図2に示
すようなプラスチックフェルールの円筒部先端から保持
部に至る長手方向の外径寸法を図7に示す。図6および
図7から明らかなように、従来のフェルールでは外径寸
法の大きさが一定ではなく、筒体の樹脂肉厚が厚い部分
で特にばらついているのに対し、本発明のフェルールは
円筒部先端から保持部に至るまで外径寸法のばらつきが
極めて小さくなっている。
【0033】(B)接続損失:従来のプラスチックフェ
ルールと本発明のプラスチックフェルールとを用いて光
コネクタ(SC型)を組み立て、接続損失を測定した。
ただし、従来のフェルール、本発明のフェルールとも
に、偏芯が0.5μmのものを使用し、研磨条件はAd
PC研磨とした。0.5μmの偏芯量から理論的に予想
される接続損失の値は、0.05dB程度であるが、従
来のフェルールを用いた光コネクタの接続損失は0.2
dBであり、偏芯量から理論的に予想される値よりも大
きかった。これは、偏芯以外の接続損失を悪化させる要
因が影響したためと予想される。そのような接続損失を
悪化させる要因の一つとして、フェルールの外径寸法の
ばらつきが考えられる。
【0034】一方、本発明のフェルールを用いた光コネ
クタの接続損失は0.1dBであり、偏芯量から理論的
に予想される値よりも大きいものの、従来のフェルール
に比べ接続損失が小さくなった。このように、本発明の
フェルールを用いることにより、外径寸法のばらつきを
小さくすることができ、接続特性を向上させることがで
きた。
【0035】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、シ
ングルモードファイバの接続に使用でき、かつ、寸法精
度、機械的強度、接続特性,信頼性および経済性に優れ
た光コネクタ用プラスチックフェルールが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の割スリーブ内のフェルールの嵌合状態を
示す断面図である。
【図2】従来のフェルールの断面図である。
【図3】本発明のプラスチックフェルールの模式的断面
図である。
【図4】本発明で使用するフェルール成形用金型の要部
構造を示す断面図である。
【図5】偏芯制御のために本発明で使用する、金型構造
を示す図である。
【図6】本発明のフェルールの外径寸法を示すグラフで
ある。
【図7】従来のフェルールの外径寸法を示すグラフであ
る。
【符号の説明】
01,01A,01B フェルール 02 割スリーブ 03A,03B 光ファイバコード 04 光ファイバ心線ガイド穴 05 光ファイバ挿通孔 06 円筒部 07 フェルール保持部 08 挿入部 09 フェルール 10 円筒部 11 被覆層を除去した光ファイバ 12 光ファイバ 13 フェルール保持部 14 光ファイバ保持部 15a 光ファイバ固定用パッド 15b 光ファイバ固定用パッド 16 パーティングライン 17 固定側金型 18 可動側金型 19 キャビティ 20 金型ベース 21 調整用スペース 22 ゲージ 23 キャビティ部品 24 キャビティ中心 25 パーティングライン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 弘次 東京都新宿区西新宿三丁目19番2号 日本 電信電話株式会社内 (72)発明者 東野 俊一 東京都新宿区西新宿三丁目19番2号 日本 電信電話株式会社内 Fターム(参考) 2H036 QA18 QA20

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 樹脂組成物からなる円筒体の光コネクタ
    用プラスチックフェルールであって、該フェルールの中
    心には先端部の被覆層が除去された光ファイバが隙間な
    く埋設されており、前記円筒体は前記光ファイバと同軸
    の円筒体で、かつその前記光ファイバ先端側の端面は光
    ファイバの端面と連続して一平面をなし、前記円筒体の
    一部には当該フェルールを光ファイバコネクタ内で固定
    するための鍔状部が設けられていることを特徴とする光
    ファイバ含有プラスチックフェルール。
  2. 【請求項2】 前記樹脂組成物が、少なくともサーモト
    ロピック液晶性全芳香族ポリエステルと該サーモトロピ
    ック液晶性全芳香族ポリエステルの配向性を低減させる
    添加物とを含む樹脂組成物であることを特徴とする請求
    項1に記載の光ファイバ含有プラスチックフェルール。
  3. 【請求項3】 樹脂組成物からなる円筒体の光コネクタ
    用プラスチックフェルールの製造方法であって、固定側
    金型に先端部の被覆層が除去された光ファイバをパッド
    で保持して固定し、可動側金型で型締めした後、前記樹
    脂組成物を金型内に射出し、冷却固化することにより前
    記光ファイバを該樹脂組成物中に隙間なく埋設させるこ
    とを特徴とする光ファイバ含有プラスチックフェルール
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記固定側金型に前記先端部の被覆層が
    除去された光ファイバをパッドで保持して固定するとき
    に、該光ファイバに引っ張り力が働くように50g〜2
    00gの範囲のバックテンションをかけることを特徴と
    する請求項3に記載の光ファイバ含有プラスチックフェ
    ルールの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記樹脂組成物が、少なくともサーモト
    ロピック液晶性全芳香族ポリエステルと該サーモトロピ
    ック液晶性全芳香族ポリエステルの配向性を低減させる
    添加物とを含む樹脂組成物であることを特徴とする請求
    項3または4のいずれかに記載の光ファイバ含有プラス
    チックフェルールの製造方法。
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