JP2001147343A - 光コネクタ用フェルール - Google Patents

光コネクタ用フェルール

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JP2001147343A
JP2001147343A JP33029099A JP33029099A JP2001147343A JP 2001147343 A JP2001147343 A JP 2001147343A JP 33029099 A JP33029099 A JP 33029099A JP 33029099 A JP33029099 A JP 33029099A JP 2001147343 A JP2001147343 A JP 2001147343A
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ferrule
insertion hole
wire insertion
optical connector
optical fiber
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JP33029099A
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Koji Sato
弘次 佐藤
Shuichi Yanagi
秀一 柳
Yoshito Shudo
義人 首藤
Masayoshi Ono
正善 大野
Makoto Sumita
真 住田
Shunichi Tono
俊一 東野
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Original Assignee
Nippon Telegraph and Telephone Corp
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  • Mechanical Coupling Of Light Guides (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の樹脂製光コネクタ用フェルールは、外
径寸法異常が発生して信頼性が低く、経済的に製造する
ことがで困難であってシングルモード光ファイバの接続
に使用することができない。 【解決手段】 スリーブに対して抜き外し可能に嵌合さ
れる嵌合面11と、この嵌合面11の一端側に形成され
て当該嵌合面11よりも小径の段差面12と、光ファイ
バの先端が臨む端面13と、この端面13に向けて先細
りとなって段差面12に続くテーパ面14と、端面13
に開口して光ファイバ素線が挿通される素線挿通孔18
と、この素線挿通孔18に連通して光ファイバ心線が通
される心線ガイド孔19とを具え、段差面12の存在に
よりフェルール10を射出成形する際の樹脂の配向性の
激変に伴う嵌合面11の外径寸法異常が緩和される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光ファイバの接続
端部が埋設されると共にスリーブに対して抜き外し可能
に嵌合される光コネクタのフェルールに関し、特にシン
グルモード光ファイバの接続端部を埋設した樹脂フェル
ールを対象とするものである。
【0002】
【従来の技術】光通信技術の進展により、各家庭にまで
光ファイバを導入し、多彩な通信サービスを提供するこ
とが可能となりつつある。こうした光通信加入者系の通
信網の実現のためには、経済的な光コネクタが必要であ
る。
【0003】従来、光通信に使用する光ファイバを接続
するためには、図6に示すような構造の光コネクタ10
0が用いられており、長手方向に延在するスリット20
1が形成されて半径方向に弾性変形可能な円筒状をなす
スリーブ200の長手方向両側から一対のフェルール3
00を突き当て状態で差し込み、各フェルール300に
接続端部が埋設された光ケーブル1を一直線上に接続す
るようにしている。このような従来のフェルール300
の断面構造を図7に示す。すなわち、フェルール300
はスリーブ200に対して抜き外し可能に嵌合される嵌
合面301と、光ファイバの先端が臨む端面302と、
この端面302に向けて先細りとなって嵌合面301の
先端側に続くテーパ面303と、嵌合面301の基端側
に配されてこの嵌合面301よりも大径のフランジ部3
04とが外側に形成され、内側には端面302に開口し
て光ファイバ素線が挿通される素線挿通孔305と、こ
の素線挿通孔305に連通して光ファイバ心線が通され
る心線ガイド孔306とが形成され、前記端面302は
素線挿通孔305の軸線に対して端面302は垂直に設
定され、嵌合面301は素線挿通孔305に対して同心
状に形成されている。
【0004】このようなフェルール300においては、
素線挿通孔305の内径や嵌合面301に対するその偏
心量、あるいは嵌合面301の外径およびその真円度な
ど、極めて高い加工精度が要求されるため、従来はセラ
ミックスや金属などの材料を切削および研磨加工によっ
て製造していた。このため、製造効率が悪く、製造コス
トが高くなる問題があった。
【0005】このような問題を解決するため、樹脂の射
出成形によってフェルール300を製造することが試み
られている。例えば、吉澤らはフェノール樹脂のトラン
スファー成形により樹脂フェルールを作製した(研究実
用化報告第32巻第3号 pp.831-842 1983年)。この
他、バイコニックコネクタの検討(ATT:W.C.Young eta
l., Proc. IWCS, 1981, pp.411-418)があり、これはエ
ポキシ樹脂のトランスファー成形による作製である。ま
た、中空パイプをフェルール外径として使用し、内部を
トランスファー成形により樹脂化するインサート成形に
よる方法(住友電気工業:K. Kashihara et al., Proc.
IWCS, 1987, pp.379-381)が提案された。
【0006】1980年代に入って射出成型法の成形精
度が向上したため、より経済的な射出成型法(連続生産
が容易で、バリ取りなどの後処理を必要としない)によ
る検討も始められた。成形材料としては、液晶ポリマー
(以下、LCPと記述する)やポリフェニレンサルファ
イド(PPS)が比較的多く検討された。例えば、LC
Pを用いた射出成形(Du Pont:M. H. Johnson et al.,
SPIE Proc., vol. 1992, PP.47-53, 1993)が知られて
いる。
【0007】光コネクタの接続特性は、接続損失と端面
の反射減衰量とにより評価できるが、前者で0.5dB以
下、後者で25dB以上(PC:Physical Contact 研磨
条件)および40dB以上(AdPC:Advanced Physical
Contact 研磨条件)の値がそれぞれ必要とされている。
また、樹脂を用いたフェルール300の場合、セラミッ
クスや金属などを用いた従来のフェルール300に対す
る寸法精度を必ずしも満たす必要はなく、例えば、嵌合
面301の外径の寸法公差として±1μm、嵌合面30
1の円筒度として2μm以下を実現すれば、十分である
ことが実験的に確認されている。その理由としては、必
ずしも明らかではないけれども、樹脂材料はセラミック
スや金属などと比較すると、弾性変形量が相対的にかな
り大きいことによるものと推定される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】吉澤らによって提案さ
れたフェノール樹脂のトランスファー成形により製造さ
れる樹脂フェルールは、光ファイバのコア部の外径が5
0μm程度と大きないわゆるマルチモード光ファイバを
対象とするものであり、現状で使用されているコア部の
外径が8〜10μmのいわゆるシングルモード光ファイ
バには適用することができない。また、トランスファー
成形は成形後にバリ取りなどの後処理や熱処理が必要で
あり、経済性という観点においても充分なものとは言え
ない。
【0009】エポキシ樹脂のトランスファー成形による
バイコニックコネクタは、上の吉澤らによって提案され
たものと同様に成形サイクルが長く、バリ取りなどの後
処理を必要とするため、安価な製造方法ではなく、シン
グルモード光ファイバに適用させるためには、接続特性
が不満足なものであった。
【0010】中空パイプをフェルール外径として使用
し、内部をトランスファー成形により樹脂化するインサ
ート成形法も、上述したものと同様に経済的にフェルー
ルを製造することができなかった。
【0011】前述の文献で紹介したLCPを用いた射出
成形は、成形ショット毎に金型のコアピンをフェルール
から抜き出す必要があり、連続生産することができず、
各種環境下での信頼性に関して充分満足するには至って
いない。
【0012】他方、信頼性試験においては、高い温度や
湿度環境下において接続特性が劣化する問題も指摘され
ている。この原因としては、素線挿通孔305の長さが
ジルコニアフェルールでは8mm程度であるのに対し、樹
脂フェルールではその成形法に起因して1〜2mmにしか
することができず、高温高湿下では光ファイバとフェル
ールとの接着力が不足するためと推定されている。
【0013】このように、現状ではマルチモード光ファ
イバ用としては使用可能なLCPやPPS製の樹脂フェ
ルールが一部では市販される状況にはなっているもの
の、シングルモード光ファイバの接続に耐え得る寸法精
度や機械的強度ならびに各種信頼性などを満たした樹脂
フェルールは得られていなかった。その最大の原因は、
嵌合面301に対する素線挿通孔305の偏心量が目標
とする0.7μm以下にすることが困難なことであり、ま
た、嵌合面301の外径寸法誤差を1μm以下にするこ
とが極めて困難なためである。つまり、このような成形
加工精度を実現できないのは、金型の寸法精度などが不
十分なためであった。
【0014】最近、このような金型の寸法精度の改善な
どによって、嵌合面301に対する素線挿通孔305の
偏心量を0.7μm以下にしたり、嵌合面301の外径寸
法誤差を1μm以下にすることが可能となりつつある
が、このような金型を用いて射出成形されたフェルール
300の先端部の外径寸法形状を図8に示す。この図8
から明らかなように、フェルール300のテーパ面30
3と嵌合面301との境界部分において嵌合面301よ
りも2〜5μm程度外径寸法が急激に増大する外径寸法
異常が発生することが判明した。
【0015】このようなフェルール300を光コネクタ
100として使用した場合、その接続特性や信頼性など
に悪影響をもたらす。この外径寸法異常は、フェルール
300として使用する樹脂の異方性の度合いにも依存し
ており、樹脂の材料組成を改良することによってもある
程度の改善が可能であるが、金型構造や成形条件のマー
ジンが狭くなり、本質的な改善が望まれていた。
【0016】
【発明の目的】本発明の目的は、シングルモード光ファ
イバの接続に使用可能であって、外径寸法異常なく経済
的に製造することができる高信頼性の樹脂製光コネクタ
用フェルールを提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明による光コネクタ
用フェルールは、スリーブに対して抜き外し可能に嵌合
される嵌合面と、この嵌合面の一端側に形成されて当該
嵌合面よりも小径の段差面と、光ファイバの先端が臨む
端面と、この端面に向けて先細りとなって前記段差面に
続くテーパ面と、前記端面に開口して光ファイバ素線が
挿通される素線挿通孔と、この素線挿通孔に連通して光
ファイバ心線が通される心線ガイド孔とを具えたことを
特徴とするものである。
【0018】本発明によると、フェルールの嵌合面とテ
ーパ面との間には、嵌合面よりも小径の段差面が形成さ
れており、この段差面によりキャビティに注入される樹
脂の配向性の激変に伴う外径寸法異常が緩和される。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明の光コネクタ用フェルール
において、素線挿通孔を囲むように当該素線挿通孔と同
心状に形成されて心線ガイド孔に連通する筒状の空隙部
をさらに具えるようにしてもよい。
【0020】また、素線挿通孔の長手方向に沿った段差
面の長さは、素線挿通孔の長手方向に沿ったテーパ部の
長さの0.5倍以上2倍以下であることが好ましく、素
線挿通孔は、3mm以上の長さを有することが好ましく、
テーパ面と嵌合面とのなす角は、成形精度の観点から2
5度から60度の範囲にあることが好ましい。
【0021】さらに、このフェルールがサーモトロピッ
ク液晶性全芳香族ポリエステルとこのサーモトロピック
液晶性全芳香族ポリエステルの配向性を低減させる添加
物とを含む樹脂混合物にて形成されていることが好まし
く、この場合、サーモトロピック液晶性全芳香族ポリエ
ステルは、下記(I)または(II)の構造式を有することが
好ましい。
【0022】
【化2】
【0023】
【実施例】本発明による光コネクタ用フェルールの実施
例について、図1〜図5を参照しながら詳細に説明する
が、本発明はこのような実施例に限らず、これらをさら
に組み合わせたり、この明細書の特許請求の範囲に記載
された本発明の概念に包含されるべき他の技術にも応用
することができる。
【0024】本実施例の射出成形金型によって製造され
るフェルールの断面構造を図1に示す。すなわち、本実
施例におけるフェルール10は、図示しないスリーブに
対して抜き外し可能に嵌合される嵌合面11と、この嵌
合面11の一端側に形成されて当該嵌合面11よりも小
径の段差面12と、図示しない光ファイバ素線、すなわ
ち光ケーブルの素線部の先端(接続端面)が臨む端面1
3と、この端面13に向けて先細りとなって段差面12
に続くテーパ面14と、嵌合面11の他端側に形成され
て嵌合面11よりも大径のフランジ部15と、このフラ
ンジ部15を挟んで嵌合面11の反対側に形成されて光
ケーブルを保持するためのケーブル接続部16と、この
ケーブル接続部16とフランジ部15との間に形成さ
れ、外径がケーブル接続部16よりも大きくフランジ部
15よりも小さな段部17と、端面13に開口して光ケ
ーブルの素線部が挿通される素線挿通孔18と、この素
線挿通孔18に連通して図示しない光ファイバ心線、す
なわち光ケーブルの心線部が通される心線ガイド孔19
とを有する。
【0025】素線挿通孔18および心線ガイド孔19の
軸線は同軸状に設定され、テーパ面14,段差面12,嵌
合面11,フランジ部15,ケーブル接続部16は、素線
挿通孔18および心線ガイド孔19の軸線に対して同心
状に設定されている。また、素線挿通孔18は、端面1
3から嵌合面11の一端側に亙って形成され、心線ガイ
ド孔19は嵌合面11の一端側からケーブル接続部16
に亙って形成され、素線挿通孔18と心線ガイド孔19
との間には、心線ガイド孔19から素線挿通孔18に向
けて先細りとなるテーパ部20が形成されている。
【0026】図示例におけるテーパ面14の最小径およ
び最大径はそれぞれ1.86mm,2.44mmであり、その
テーパ角θは30度に設定されている。また、段差面1
2の外径は2.48mmであり、テーパ面14および段差
面12の長さa,bはそれぞれ0.5mmに設定した。嵌合
面11の外径は2.500mm、素線挿通孔18の長さc
は3.5mmに設定した。
【0027】また、段差面12の長さbがテーパ面14
の長さaの0.5倍未満の場合には、本発明の効果を得
ることができなくなり、逆に2倍を越えた場合には嵌合
面11の長さが不足してスリーブに嵌合した状態での接
続特性に悪影響を及ぼす。また、段差面12の外径は、
嵌合面11の外径を2.500mmとした場合、2.300
から2.490mmの範囲に設定することが好ましい。さ
らに、素線挿通孔18の長さcが3mmに満たないと、図
示しない光ファイバ素線とフェルール10との接着強度
が不足するため、素線挿通孔18の長さcは3mm以上に
することが必要である。
【0028】ところで、樹脂成形技術における成形材料
の選定は、最も重要な問題である。例えば、溶融時の粘
度が低いフェノール樹脂やエポキシ樹脂などの熱硬化性
樹脂をフェルール10の構成材料として採用した場合、
隣接する成形駒の隙間に樹脂が回り込んで「バリ」が発
生し易く、後加工が必要となって安価にフェルールを製
造することが困難となる。これに対し、熱可塑性樹脂は
溶融時の粘度が高いことから、隣接する成形駒の隙間ヘ
の樹脂の回り込みがなく、「バリ」の問題に対しては有
利と考えられる。金属やセラミックスに代わる樹脂材料
としての熱可塑性樹脂を検討した結果、LCPの一種で
あるサーモトロピック液晶性全芳香族ポリエステルを本
発明のフェルール10を構成する材料として採用した場
合、「バリ」発生の問題がなく、嵌合面11に対する素
線挿通孔18の偏心を1μm以下にできることを見いだ
した。
【0029】一般に、LCPは溶融状態で液晶性を示す
ため、熱硬化性樹脂ほどではないものの、成形時の流動
性が比較的良好である。このため、射出圧力をそれほど
上げなくても金型の成形面に対する転写性が良好であ
り、金型の成形面に対応した高い寸法精度の成形品を製
造することができる。また、素線挿通孔18を成形する
ための図示しない金型のコアピンに対する成形圧力を小
さくすることが可能であり、素線挿通孔18の長さcを
3mm以上に設定しても、コアピンの折損や曲がりを回避
して嵌合面11に対する素線挿通孔18の偏心を小さく
することができる。しかも、粘性のずり応力依存性が大
きいため、金型キャビティに射出されたLCPの流動が
停止すると、これが急速に固化して「バリ」発生の問題
が生じないなどの利点を有する。
【0030】このようなLCPとしては、様々な構造の
ものが合成されており、その化学構造により物性値は大
きく異なる。本発明では、特公平5-69203号公報
に記載された全芳香族液晶ポリエステルを使用してい
る。より具体的には、下記(I)または(II)に示す構造式
のものを使用することが好ましい。これらは耐熱性が1
90℃以上あるため、光コネクタとしての各種信頼性を
実現する上で好適である。
【0031】
【化3】
【0032】しかしながら、LCPはその配向性が高い
ため、これでフェルール10を成形した場合、その肉厚
が変化する部分で、真円度や円筒度などの形状誤差が増
大する問題を有する。このため、上述したサーモトロピ
ック全芳香族液晶ポリエステルの配向性を低減させる添
加剤として、ガラスビーズ,石英ビーズ,グラファイト,
酸化亜鉛,チタン酸カリウム,酸化亜鉛,酸化マグネシウ
ム,酸化チタン,酸化アルミニウム,チタン酸カリウム,ほ
う酸アルミニウム,炭化ケイ素,窒化ケイ素,黒鉛,炭酸カ
ルシウム,炭酸亜鉛,水酸化マグネシウム,マイカ(雲母)
などの各種無機物を添加することが好ましいが、これ以
外の添加物を採用することも可能である。ただし、ガラ
ス繊維や炭素繊維などの繊維状無機物は、射出時のLC
Pの流動性を損なうことから、添加剤として不適当であ
る。さらに、必要に応じて上述した添加物の表面処理
剤,着色剤,金型に対する離型剤などを加えることも可能
である。
【0033】本実施例におけるフェルール10を表1の
成形条件にて射出成形した場合におけるフェルール10
の軸線に沿ったテーパ面14から嵌合面11に至る輪郭
形状を図2に示す。この図2から明らかなように、嵌合
面11とテーパ面14との境界で発生していた従来のよ
うな外径寸法異常が解消されていることを認められよ
う。
【0034】なお、サーモトロピック全芳香族液晶ポリ
エステルは(II)の構造式を持つものを60重量部、そ
の添加物として平均粒径が30μmのガラスビーズを4
0重量部の割合とした樹脂混合物をフェルール10の構
成材料として採用した。
【0035】
【表1】
【0036】このようにして製造されたフェルール10
の寸法公差を表2に示す。
【0037】
【表2】
【0038】図2から明らかなように、フェルール10
のテーパ面14と嵌合面11との境界部分において、嵌
合面11よりも2〜5μm程度外径寸法が急激に増大す
る図8に示すような外径寸法異常がなくなり、嵌合面1
1の外径寸法(円筒度)が改善される理由は、以下のよ
うに考えられる。すなわち、LCPは一般的に配向性が
強いことから、その異方性の度合いと相俟って流動方向
が急激に変化するテーパ面14と嵌合面11との境界部
分で線膨張係数や成形収縮率の変化が不連続に起こり、
従来では図8に示す如き外径寸法異常が発生し、接続特
性や信頼性に悪い結果をもたらしていた。これに対し、
本発明ではフェルール10の嵌合面11とテーパ面14
との間に嵌合面11よりも小径の段差面12を形成する
ことにより、LCPの異方性を低減する添加剤を用いる
ことと相俟ってLCPの配向性の激変が緩和されたもの
と思料される。
【0039】表2から明らかなように、本実施例におけ
るフェルール10は、素線挿通孔18の偏心量が1μm
以下にする必要のあるシングルモード光ファイバのため
の光コネクタ用フェルールとしての適用条件を満たして
いる。
【0040】そこで、このフェルール10を用いてSC
型光コネクタを組み立て、その接続損失と反射減衰量と
を測定した結果をそれぞれ図3,図4に示すが、端面1
3の研磨条件はAdPC研磨とした。図3の接続損失の
測定では、フェルール10のサンプル数が86個であ
り、その接続損失の平均値は0.13dB,標準偏差が0.
084dBであった。また、図4の反射減衰量の測定で
は、フェルール10のサンプル数が312個であり、そ
の平均値は50.0dB,標準偏差が0.82dBであっ
た。これら図3および図4から明らかなように、このS
C型光コネクタは、シングルモード光ファイバ用のコネ
クタとして充分な特性を持っていることが認識されよ
う。
【0041】さらに、このSC型光コネクタの各種機械
的特性および信頼性試験結果を表3に示すが、いずれも
SC型光コネクタに要求される目標特性を満足する値を
有している。
【0042】
【表3】
【0043】次に、本発明による光コネクタ用フェルー
ルの他の実施例の断面構造を図5に示すが、先の実施例
と同一機能の部分にはこれと同一符号を記すに止め、重
複する説明は省略するものとする。すなわち、図5に示
したフェルール10は、素線挿通孔18を囲む環状の空
隙部21を有する点で先の実施例と相違し、この空隙部
21は、心線ガイド孔19の外周部をフェルール10の
端面13側に延在させたものである。この空隙部21以
外の構造は、先の実施例と基本的に同一であり、素線挿
通孔18の長さcは3.5mm、テーパ面14のテーパ角
度θは30度であり、その最小径および最大径をそれぞ
れ1.81mmおよび2.39mmに設定した。また、嵌合面
11の外径は2.500mmであり、段差面12の外径は
2.40mmである。また、フェルール10の軸線方向に
沿ったテーパ面14および段差面12の長さa,bはそ
れぞれ0.5mmとした。
【0044】このようなフェルール10を先の実施例と
同様な成形条件にて射出成形により製造し、得られたフ
ェルール10の寸法特性を表4に示すが、空隙部21が
形成されていることにより、フェルール10の素線挿通
孔18が形成された部分のフェルール10の肉厚と心線
ガイド孔19が形成された部分のフェルール10の肉厚
との相違に基づく成形後の内部応力や熱歪みなどが緩和
され、フェルール10の嵌合面11の外径寸法や嵌合面
11の円筒度をさらに改善され、良好な寸法特性のフェ
ルール10を製造可能である。
【0045】
【表4】
【0046】このフェルール10を用いて先の実施例と
同様のSC型光コネクタを組み上げ、その接続特性を評
価したところ、平均接続損失が0.10dBとなり、さら
に優れた接続特性を実現できることが判明した。また、
その他の特性に関しても先の実施例同様の良好な結果が
得られた。
【0047】上述した本発明の有効性を確認するため、
段差面12を持たない図7に示す如き従来構造のフェル
ールを同じ成形条件にて製造し、その寸法精度を評価し
たところ、嵌合面の円筒度が2.5μmとなり、上述した
2つの実施例におけるフェルール10と比較して大幅に
劣っており、また、これを用いたSC型光コネクタの平
均接続特性も0.30dBであり、本実施例と比較して大
幅に劣っていることを確認できた。
【0048】
【発明の効果】本発明の光コネクタ用フェルールによる
と、スリーブに対して抜き外し可能に嵌合される嵌合面
と、光ファイバの先端が臨む端面に向けて先細りとなっ
たテーパ面との間に嵌合面よりも小径の段差面を形成し
たので、フェルールを射出成形する際の樹脂の配向性の
激変に伴う外径寸法異常が緩和され、シングルモード光
ファイバに対して適用可能な寸法誤差の少ない良好な品
質の光コネクタ用フェルールを射出成形によって大量か
つ安価に製造することができる。
【0049】素線挿通孔を囲むように素線挿通孔と同心
状に形成されて心線ガイド孔に連通する筒状の空隙部を
さらに形成した場合には、この空隙部がフェルールの肉
厚の不均一に基づく成形歪みなどを緩和する緩衝領域と
して機能し、さらに高精度な光コネクタ用フェルールを
得ることができる。
【0050】素線挿通孔の長手方向に沿った段差面の長
さを素線挿通孔の長手方向に沿ったテーパ部の長さの
0.5倍以上2倍以下に設定した場合には、フェルール
を射出成形する際の樹脂の配向性をより安定させること
ができるため、外径寸法異常がさらに緩和された光コネ
クタ用フェルールを射出成形することができる。
【0051】素線挿通孔を3mm以上の長さに設定した場
合には、フェルールの素線挿通孔に対する光ファイバ素
線の接合状態を良好に維持することができる。
【0052】テーパ面と嵌合面とのなす角を25度から
60度の範囲に設定した場合には、射出成形によって得
られるフェルールをシングルモード光ファイバに対して
適用可能な良好な寸法精度に維持することができる。
【0053】本発明による光コネクタ用フェルールをサ
ーモトロピック液晶性全芳香族ポリエステルとこのサー
モトロピック液晶性全芳香族ポリエステルの配向性を低
減させる添加物とを含む樹脂混合物にて形成した場合に
は、シングルモード光ファイバに対して適用可能な良好
な寸法精度のフェルールを経済的に製造することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における光コネクタ用フェルールの一実
施例の内部構造を表す断面図である。
【図2】図1に示した光コネクタ用フェルールの先端部
の輪郭形状の測定結果を表すグラフである。
【図3】図1に示した光コネクタ用フェルールによる接
続損失の分布を表すグラフである。
【図4】図1に示した光コネクタ用フェルールによる反
射減衰量の分布を表すグラフである。
【図5】本発明における加工対象となった他の光コネク
タ用フェルールの内部構造を表す破断図である。
【図6】従来の光コネクタを用いた接続概念図である。
【図7】図6に示した従来の光コネクタ用フェルールの
内部構造を表す断面図である。
【図8】図7に示した光コネクタフェルールの先端部の
輪郭形状の測定結果を表すグラフである。
【符号の説明】
10 フェルール 11 嵌合面 12 段差面 13 端面 14 テーパ面 15 フランジ部 16 ケーブル接続部 17 段部 18 素線挿通孔 19 心線ガイド孔 20 テーパ部 21 空隙部 θ テーパ面のテーパ角 a テーパ面の長さ b 段差面の長さ c 素線挿通孔の長さ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 首藤 義人 東京都千代田区大手町二丁目3番1号 日 本電信電話株式会社内 (72)発明者 大野 正善 東京都千代田区大手町二丁目3番1号 日 本電信電話株式会社内 (72)発明者 住田 真 東京都千代田区大手町二丁目3番1号 日 本電信電話株式会社内 (72)発明者 東野 俊一 東京都千代田区大手町二丁目3番1号 日 本電信電話株式会社内 Fターム(参考) 2H036 QA12 QA18 QA20

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スリーブに対して抜き外し可能に嵌合さ
    れる嵌合面と、 この嵌合面の一端側に形成されて当該嵌合面よりも小径
    の段差面と、 光ファイバの先端が臨む端面と、 この端面に向けて先細りとなって前記段差面に続くテー
    パ面と、 前記端面に開口して光ファイバ素線が挿通される素線挿
    通孔と、 この素線挿通孔に連通して光ファイバ心線が通される心
    線ガイド孔とを具えたことを特徴とする光コネクタ用フ
    ェルール。
  2. 【請求項2】 前記素線挿通孔を囲むように当該素線挿
    通孔と同心状に形成されて前記心線ガイド孔に連通する
    筒状の空隙部をさらに具えたことを特徴とする請求項1
    に記載の光コネクタ用フェルール。
  3. 【請求項3】 前記素線挿通孔の長手方向に沿った前記
    段差面の長さは、前記素線挿通孔の長手方向に沿った前
    記テーパ部の長さの0.5倍以上2倍以下であることを
    特徴とする請求項1または請求項2に記載の光コネクタ
    用フェルール。
  4. 【請求項4】 前記素線挿通孔は、3mm以上の長さを有
    することを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに
    記載の光コネクタ用フェルール。
  5. 【請求項5】 前記テーパ面と前記嵌合面とのなす角
    は、25度から60度の範囲にあることを特徴とする請
    求項1から請求項4の何れかに記載の光コネクタ用フェ
    ルール。
  6. 【請求項6】 サーモトロピック液晶性全芳香族ポリエ
    ステルとこのサーモトロピック液晶性全芳香族ポリエス
    テルの配向性を低減させる添加物とを含む樹脂混合物に
    て形成されていることを特徴とする請求項1から請求項
    5の何れかに記載の光コネクタ用フェルール。
  7. 【請求項7】 前記サーモトロピック液晶性全芳香族ポ
    リエステルは、下記(I)または(II)の構造式を有するこ
    とを特徴とする請求項6に記載の光コネクタ用フェルー
    ル。 【化1】
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007108551A (ja) * 2005-10-17 2007-04-26 Yazaki Corp フェルール、及び光ファイバケーブルとフェルールの固定構造
US20220043230A1 (en) * 2020-08-07 2022-02-10 Neutrik Ag Plug connector part for an optical and/or electrical plug connection

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