JP2012198537A - 光コネクタ部材およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】樹脂製として軽量化などを図りながら、広い温度領域(−40℃〜125℃程度)で使用する場合でも光通信の伝達損失を低減できる光コネクタ部材、および、この光コネクタ部材の製造方法を提供する。
【解決手段】光コネクタ部材1は、異なる光ファイバケーブルの端部にそれぞれ設けられるフェルール2を2つと、これらのフェルール2を円筒内周面3cで同軸に突き合わせて嵌合保持する円筒状のスリーブ3とからなり、フェルール2およびスリーブ3は、それぞれ、充填材を配合した樹脂組成物の成形体であり、少なくともフェルール2とスリーブ3との嵌合保持部分において、フェルール2における充填材Aの配向およびスリーブ3における充填材Bの配向がいずれも軸方向であり、フェルール2とスリーブ3との線膨張係数(−40℃〜125℃における平均線膨張係数)の差が、±5×10-6 /℃以内である。
【選択図】図3
【解決手段】光コネクタ部材1は、異なる光ファイバケーブルの端部にそれぞれ設けられるフェルール2を2つと、これらのフェルール2を円筒内周面3cで同軸に突き合わせて嵌合保持する円筒状のスリーブ3とからなり、フェルール2およびスリーブ3は、それぞれ、充填材を配合した樹脂組成物の成形体であり、少なくともフェルール2とスリーブ3との嵌合保持部分において、フェルール2における充填材Aの配向およびスリーブ3における充填材Bの配向がいずれも軸方向であり、フェルール2とスリーブ3との線膨張係数(−40℃〜125℃における平均線膨張係数)の差が、±5×10-6 /℃以内である。
【選択図】図3
Description
本発明は、異なる光ファイバケーブルの端部にそれぞれ設けられるフェルールを2つと、これらのフェルールを円筒内周面で同軸に突き合わせて嵌合保持する円筒状のスリーブとからなる光コネクタ部材に関し、特に、上記フェルールとスリーブとが樹脂製である光コネクタ部材に関する。また、この光コネクタ部材を射出成形により製造する製造方法に関する。
2つの光ファイバケーブルを接続する部材として、光コネクタ部材がある。この光コネクタ部材は、各光ファイバケーブルの端部に取り付けられるフェルールと、このフェルール同士を同軸に突き合わせて保持するスリーブとから構成される。スリーブは、主に円筒形状とされ、円筒内周面でフェルール同士を同軸に突き合わせて嵌合保持している。光ファイバケーブル同士の接続に際しては、光の減衰を防ぐために、光ファイバケーブルの端部に設けられたフェルール同士(より詳細には、フェルール接合端部における光ファイバ素線)の同軸度を小さくする必要がある。このため、光コネクタ部材におけるスリーブの内径寸法やフェルールの外径寸法を高精度化することが必要となる。なお、同軸度とは、共通の軸線をもつように配置されたフェルール同士の軸線が一致していない程度をいう(JIS B 0182)。
光コネクタ用スリーブは、このような高精度が要求されることから、構成材料として主にセラミックスが用いられている。例えば、筒状体の一方の開口から他方の開口へ通ずる軸方向のスリットを有し、両開口から挿通された光ファイバ同士を接続する光通信用割スリーブにおいて、該スリーブをジルコニア、アルミナ、窒化珪素、炭化珪素、窒化アルミニウム、コージュライト、ムライトなどを主成分とする結晶粒子を有するセラミックスで形成したものが提案されている(特許文献1参照)。
また、接続損失を抑えるため、光コネクタ用フェルールにおいて、外径と、光ファイバ素線を通す素線挿入孔内径との同心度に対する要求が厳しく、例えば、マルチモード用フェルール(JIS C 5986:等級C)では4μm以下、シングルモード用フェルール(JIS C 5986:等級B)では1.4μm以下の同心度とする必要がある。
近年、自動車分野においても、車載されるカーナビやAV機器で取り扱うデータ量の増大により、車内での高容量情報伝達の要求が強くなり、従来のワイヤーハーネスに代えて、情報伝達速度の速い光ファイバの採用が検討されている。また、自動車分野では省エネルギ化が進んでおり、軽量化などを行なう目的でも、上記光ファイバの採用が検討されている。情報伝達量の増加から、光ファイバは従来のプラスチックから光通信で使用されるガラス製となり、芯径もより小さいものが求められているため、上記スリーブの内径寸法やフェルールの外径寸法のさらなる高精度化が要求されている。
また、上記車載用のように振動がある用途では、振動によるフェルール先端部の接触により、該先端部で摩耗や欠けが生じるおそれがあり、この対策が必要となる。この対策として、例えば、スリーブでフェルールを2つ同軸に突き合わせて保持する際に、スリーブの軸方向長さでフェルール先端部の軸方向の位置決めを行ない、フェルール先端部同士を一定の隙間を空けて保持する構造が提案されている。この構造において、隙間の幅が大きすぎる場合や、隙間の幅が変動すると接合部での光の減衰が起こるため、該隙間の幅を微小(微隙間)とし、かつ、その幅を変動せず維持することが要求される。
また、光コネクタ部材は、光ファイバケーブル20m毎に1個程度の割合で必要となることから、光ファイバケーブルを長くする場合、軽量化の妨げとなる。よって、従来の光コネクタ部材に比べて、コンパクトで軽量な構造が要求されている。このような要求に対し、高精度を維持しながら、軽量化や、量産化、低コストを図るべく、樹脂製のフェルールやスリーブから構成されるコネクタ部材の開発が進められている。
光コネクタ部材のフェルールを樹脂製としたものとして、外径寸法精度や同軸度を高めるため、スリーブへの挿着面を形成するとともに樹脂注入孔を有する硬質材製のインサートパイプを樹脂製のフェルール本体外周に被着したフェルールが提案されている(特許文献2参照)。
光コネクタ部材のスリーブを樹脂製としたものとして、側面に一定幅のスリットが設けられた中空円筒状のプラスチック割りスリーブであって、樹脂を射出成形した場合の樹脂の流動方向とその垂直方向の物性値の比で表した樹脂の異方性の値が1.5以下の樹脂組成物を含んでなるスリーブが提案されている(特許文献3参照)。また、スリーブを複数材料から形成したものとして、フェルールが挿入される第1スリーブ(内径側)をセラミックス製あるいは樹脂製とし、第1スリーブの外側を覆う第2スリーブ(外径側)を金属製とした光ファイバ用コネクタも提案されている(特許文献4参照)。
しかしながら、光コネクタ部材では、寸法変化などによる光通信の伝達損失を低減できるようにする必要があるが、車載用のように使用する温度領域が広い(−40℃〜125℃程度)場合では、部材の構成材質によっては、十分な寸法安定性を確保できないおそれがある。
特許文献2〜4に提案されているように、樹脂製スリーブや樹脂製フェルールを用いる場合では、広い温度領域における寸法安定性の確保が困難である。温度変化に伴い、光コネクタ部材におけるスリーブの内径寸法やフェルールの外径寸法が変化すると、突き合わされた光ファイバ素線の芯ずれ等により、光の減衰が起こり、伝達損失が大きくなるという問題がある。フェルールとスリーブの線膨張係数差が大きいと、上記芯ずれ等が起こりやすい。
特に、上述した車載用のように振動がある用途において、フェルール先端部同士を一定の微隙間を空けて保持して、フェルール先端部の接触による該先端部の摩耗や欠けを防止する構造では、フェルールとスリーブの線膨張係数差があると、この微隙間の変動が起こり、僅かな変動でも伝達損失が大きくなる。また、同時に、隙間の消失により、フェルール先端部の接触による該先端部の摩耗や欠けの懸念が生じる。
また、低コスト化、軽量化のために樹脂製フェルールを用いる場合、成形精度の向上は必須であり、かつ、廃材は極力抑える必要がある。廃材低減の一環でランナー部容積を少なくするため、1点サイドゲートとする場合、成形時に射出圧により、フェルールの内部構造形成用のコアピンが撓み、同心度精度が悪化する場合がある。特に、コアピンの素線挿入孔を形成する部分は、非常に細い構造であるため、射出圧により撓みやすい。
本発明はこのような問題に対処すべくなされたものであり、樹脂製として軽量化などを図りながら、広い温度領域(−40℃〜125℃程度)で使用する場合でも光通信の伝達損失を低減できる光コネクタ部材、および、この光コネクタ部材の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の光コネクタ部材は、異なる光ファイバケーブルの端部にそれぞれ設けられるフェルールを2つと、これらのフェルールを円筒内周面で同軸に突き合わせて嵌合保持する円筒状のスリーブとからなる光コネクタ部材であって、上記フェルールおよび上記スリーブは、それぞれ、充填材を配合した樹脂組成物の成形体であり、少なくとも上記フェルールと上記スリーブとの嵌合保持部分において、上記フェルールにおける上記充填材の配向および上記スリーブにおける上記充填材の配向がいずれも軸方向であり、上記フェルールの線膨張係数(−40℃〜125℃における平均線膨張係数)と、上記スリーブの線膨張係数(−40℃〜125℃における平均線膨張係数)との差が、±5×10-6 /℃以内であることを特徴とする。
ここで、嵌合保持部分とは、光コネクタ部材の軸方向において、(1)スリーブにおけるフェルールとの嵌合接触部分、および、(2)フェルールにおけるスリーブとの嵌合接触部分、のそれぞれの部分の略全体である。また、フェルールはスリーブの円筒内周面で同軸に突き合わせて嵌合保持されるので、フェルールの嵌合保持部分の軸方向と、スリーブの嵌合保持部分(円筒)の軸方向とは一致(平行)している。
上記光コネクタ部材において、上記スリーブの一方の円筒端面が一方の上記フェルールと当接し、上記スリーブの他方の円筒端面が他方の上記フェルールと当接して、該スリーブ内における上記2つのフェルールの先端部の軸方向の位置決めがなされ、上記2つのフェルールの先端部が隙間を空けて保持されていることを特徴とする。
上記フェルールおよび上記スリーブのそれぞれの線膨張係数(−40℃〜125℃における平均線膨張係数)が、30×10-6 /℃以下であることを特徴とする。
上記樹脂組成物のベース樹脂が、液晶樹脂またはポリエーテルイミド樹脂であることを特徴とする。
上記充填材が、繊維状充填材であることを特徴とする。また、上記繊維状充填材が、ガラス繊維または炭素繊維であることを特徴とする。特に、上記繊維状充填材がガラス繊維であり、その繊維長が180〜300μmであることを特徴とする。
上記フェルールを成形する樹脂組成物が、上記スリーブを成形する樹脂組成物と同じであることを特徴とする。
本発明の光コネクタ部材の製造方法は、上記フェルールについては、上記嵌合保持部分より後方にゲート部を設けて、上記フェルールを成形する樹脂組成物を用いて射出成形し、上記スリーブについては、上記円筒の軸方向片側にゲート部を設けて、上記スリーブを成形する樹脂組成物を用いて射出成形することを特徴とする。特に、上記フェルールの射出成形は、射出成形金型内に、該フェルールの素線挿入孔を形成する小径部分と、該部分よりも大径の大径部分とを有するコアピンを配置してなされ、上記ゲート部が1点サイドゲートであり、上記大径部分に対向する位置に設けられることを特徴とする。
本発明の光コネクタ部材は、異なる光ファイバケーブルの端部にそれぞれ設けられるフェルールを2つと、これらのフェルールを円筒内周面で同軸に突き合わせて嵌合保持する円筒状のスリーブとからなり、上記フェルールおよびスリーブは、それぞれ、充填材を配合した樹脂組成物の成形体であり、少なくとも上記フェルールと上記スリーブとの嵌合保持部分において、上記フェルールにおける充填材の配向および上記スリーブにおける充填材の配向がいずれも軸方向であり、上記フェルールの線膨張係数と、上記スリーブの線膨張係数との差が、±5×10-6 /℃以内であるので、射出成形時の樹脂のヒケによるスリーブの円筒内径や、フェルールの嵌合部外径の寸法精度の低下を防止できることに加えて、−40℃〜125℃の広い温度領域での使用に際して、フェルール先端部の微隙間の変動や光ファイバの芯ずれおよび角度ずれを小さくできる。また、スリーブおよびフェルールを共に樹脂製とすることで、光コネクタ部材の軽量化、小型化(省スペース化)、低コスト化が図れる。これらの結果、軽量化などを図りながら、−40℃〜125℃の広い温度領域で使用する場合でも光通信の伝達損失を低減できる。
本発明の光コネクタ部材の製造方法は、フェルールについては、嵌合保持部分より後方にゲート部を設けて射出成形し、スリーブについては、円筒の軸方向片側にゲート部を設けて射出成形するので、嵌合保持部分において、フェルールにおける充填材の配向およびスリーブにおける充填材の配向をいずれも軸方向で同じにできる。また、フェルールの射出成形が、射出成形金型内に、該フェルールの素線挿入孔を形成する小径部分と、該部分よりも大径の大径部分とを有するコアピンを配置してなされ、ゲート部が1点サイドゲートであり上記大径部分に対向する位置に設けられるので、射出された溶融樹脂材料が剛性の高いコアピンの大径部分に当たり、射出成形圧によるコアピンの撓みを抑制することができる。また、ジェッティングの発生も抑制することができる。これらの結果、フェルール外径と、光ファイバ素線を通す素線挿入孔内径との同心度を、マルチモード用、シングルモード用のいずれの要求も満たし得る程度に、高精度に成形することができる。
本発明の光コネクタ部材を図1に基づいて説明する。図1は、光コネクタ部材を用いた光ファイバケーブルの接合部を示す軸方向の断面図である。図1に示すように、光コネクタ部材1は、2つの光ファイバケーブル6を接続するものであり、異なる光ファイバケーブル6の端部にそれぞれ設けられるフェルール2を2つと、これらのフェルール2を円筒内周面3cで同軸に突き合わせて嵌合保持する円筒状のスリーブ3とから構成される。ここで、フェルール2およびスリーブ3は、それぞれ、後述する充填材を配合した樹脂組成物の成形体である。
それぞれのフェルール2は、光ファイバケーブル6の端部に設けられ、本体部に光ファイバ心線5が挿入され、先端部であるスリーブへの嵌合部2cの素線挿入孔2dに光ファイバ素線4が通されている。光ファイバ素線4は、石英ガラスからなる光ファイバ(例えば、0.125mm径)を紫外線硬化型樹脂で被覆したもの(例えば、0.25mm径)であり、光ファイバ心線5は、この素線をさらに樹脂などにより被覆したものである。素線挿入孔2dは、円管状であり、光ファイバ素線4の径よりも若干大きい孔径(+1〜20μm程度)を有する。フェルール内において、光ファイバ素線4および光ファイバ心線5は、接着剤を介してそれぞれの挿入孔に固定される。
光コネクタ部材1において、スリーブ3は、その円筒内周面3cに、一対のフェルール2の嵌合部2cがそれぞれ嵌合され、この一対のフェルール2を同軸に突き合わせた状態で保持している。これにより、フェルール2の先端部の素線挿入孔2dおよび光ファイバ素線4が同軸上に一致した状態で接続される。
光コネクタ部材1において、スリーブ3の一方の円筒端面3aが、一方のフェルール2の嵌合部2cの段差面2aと当接し、スリーブ3の他方の円筒端面3bが、他方のフェルール2の嵌合部2cの段差面2bと当接して、スリーブ3内における2つのフェルール2の先端部の軸方向の位置決めがなされている。振動によるフェルール先端部の接触により、該先端部の摩耗や欠けが生じることを防止するため、フェルール2の先端部同士を一定の隙間(微隙間)を空けて保持している。この微隙間の幅、すなわち、フェルール2の先端面同士の距離が広すぎると光の減衰が起こり伝達損失が大きくなる。光通信の伝達損失を低減するためには、この微隙間の幅は、50μm以下にする必要がある。なお、接触を避けるため、微隙間の幅は0μmより大きい。
スリーブ3は、円筒外径Dに対する円筒長さLの割合(L/D)が2以上の形状とすることが好ましい。なお、円筒外径Dは、図1のように端部にフランジを有する場合は該フランジを除く部分の円筒外径である。L/Dを2以上とすることで、円筒内周面3cで保持するフェルール同士の同軸度を小さく維持しやすい。なお、円筒長さLが大きすぎると、対応するフェルールの長さも長くする必要があり、該フェルールの精度を維持した樹脂成形および加工が困難となるおそれがあることから、L/Dは2〜5程度とすることがより好ましい。スリーブ3の円筒長さは、2〜10mm程度である。また、スリーブ3の円筒厚みは、機械的強度を維持する目的から、0.3〜0.6mmとすることが好ましい。
フェルール2の嵌合部2cは、円筒状のスリーブ3に対して抜き挿し可能に嵌合される部分であり、素線挿入孔2dを軸心とした円筒形状である。ここで、素線挿入孔2dを軸心とした円筒形状とは、図1に示すように、素線挿入孔2dと同心の円柱形状から該素線挿入孔2dの部分のみを取り除いた円筒形状である。また、スリーブ3へのフェルール2の組み込みが容易となるように、素線挿入孔2dの精度を悪化させない範囲で、フェルール先端部の角部にC面取やR面取を設けてもよい(図1ではC面取)。フェルール2の嵌合部2cの軸方向長さは、2つの該フェルールの嵌合部2cがスリーブ3の円筒内周面3cに嵌合保持できる長さであり、1〜5mm程度である。
フェルール2およびスリーブ3は、それぞれ、充填材を配合した樹脂組成物の成形体であり、フェルール2の線膨張係数αと、スリーブ3の線膨張係数βとの差が、±5×10-6 /℃以内である。すなわち、フェルール2とスリーブ3とは、−5×10-6 /℃≦(β−α)≦ 5×10-6 /℃の関係を満たすものである。ここで、上記の線膨張係数αおよびβは、熱機械分析装置(TMA)を用い、成形体であるフェルールまたはスリーブから所定形状に切り出した試験片を用いて、−40℃から125℃まで一定速度で昇温した際の、−40℃における熱膨張量と125℃における熱膨張量から算出した平均線膨張係数(「−40℃〜125℃における平均線膨張係数」、または、単に「線膨張係数」ともいう)である。フェルール2およびスリーブ3の線膨張係数の差を上記範囲とすることで、−40℃〜125℃の広い温度領域での使用に際して、フェルール先端部の微隙間の変動を小さくでき、該微隙間の幅を50μm以下(かつ、0μmより大きい)に維持することができる。また、光ファイバ素線4の芯ずれおよび角度ずれも小さくできる。この結果、光通信の伝達損失を低減できる。
充填材として繊維状充填材などを用いる場合、成形体中の該充填材の配向に対する測定方向で線膨張係数に差が生じる。繊維状充填材をスリーブ2およびフェルール3の軸方向に配向させた場合、該軸方向に対する線膨張係数を小さくできる。これは、樹脂成形体中に変形しにくい繊維充填材が軸方向に沿って存在することにより、樹脂の軸方向の伸縮が抑制されるためである。この場合は、フェルール先端部の微隙間の変動を小さくするためには、少なくとも、軸方向、すなわち配向方向で測定した線膨張係数の差が、上記範囲(±5×10-6 /℃以内)となるようにすることが好ましい。また、この微隙間の変動をより小さくし、かつ、光ファイバ素線4の芯ずれおよび角度ずれも小さくするため、配向方向と垂直な方向で測定した線膨張係数の差も、上記範囲(±5×10-6 /℃以内)となるようにすることが好ましい。
フェルール2の線膨張係数αとスリーブ3の線膨張係数βとの差は、より好ましくは、±3×10-6 /℃以内である。線膨張係数差を極力小さくすることで、フェルール先端部の微隙間の変動や、光ファイバ素線4の芯ずれおよび角度ずれを小さくできる。なお、フェルール2とスリーブ3とを同一組成(充填材種類とその配向を含む)の樹脂組成物の成形体とする場合は、線膨張係数を略同一とできる。
また、フェルール2およびスリーブ3のそれぞれの線膨張係数α、βは、30×10-6 /℃以下であることが好しく、25×10-6 /℃以下であることがより好ましい。線膨張係数α、βをこの範囲とすることで、フェルール2およびスリーブ3の変形自体を抑制でき、連結される光ファイバ素線4の芯ずれおよび角度ずれがより小さくなり、フェルール先端部の微隙間の変動もより小さくできる。この結果、光通信の伝達損失をより低減できる。
本発明のフェルール2およびスリーブ3を成形する樹脂組成物について以下に説明する。この樹脂組成物は、ベース樹脂に充填材を配合してなる。フェルール2を成形する樹脂組成物と、スリーブ3を成形する樹脂組成物とは、線膨張係数の差が上記範囲(±5×10-6 /℃以内)であれば、そのベース樹脂および充填材の種類は、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。
樹脂組成物のベース樹脂としては、成形体であるフェルールおよびスリーブの線膨張係数α、βを上記範囲(30×10-6 /℃以下)とでき、広い温度領域(−40℃〜125℃)で温度変化に対する寸法安定性に優れた樹脂を用いることが好ましい。また、バリなどの発生しにくい成形性に優れる樹脂が好ましい。
本発明で使用できるベース樹脂としては、例えば、液晶樹脂(LCP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリアセタール(POM)樹脂、ポリアミド(PA)樹脂などの結晶性樹脂、あるいは、ポリエーテルイミド(PEI)樹脂、ポリフェニルサルフォン(PPSU)樹脂、ポリエーテルサルフォン(PES)樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂、ポリアミドイミド(PAI)樹脂などの非晶性樹脂を使用できる。これらの樹脂の中でも、液晶樹脂またはポリエーテルイミド樹脂を用いることが好ましい。
液晶樹脂としては、異方性溶融相を形成し得る芳香族ポリエステル樹脂、芳香族ポリエステルイミド樹脂、芳香族ポリエステルアミドが挙げられる。また、芳香族ポリエステル樹脂としては、下記の化1〜化3に示される単位を有するものが挙げられる。耐熱性に優れることから、化1の全芳香族ポリエステル樹脂が特に好ましい。液晶樹脂は、溶融状態で液晶性を示すため、成形時の流動性がよく、スリーブ2が薄肉である場合や、フェルール3が複雑形状である場合でも、容易に成形できる。
その他、異方性溶融相を形成する液晶樹脂、例えばサーモトロピック液晶性を示す樹脂系のものであれば使用できる。
ポリエーテルイミド樹脂は、分子内にイミド結合とエーテル結合とを有する熱可塑性樹脂であり、高い弾性率を有し、加工性(射出成形性)にも優れることから、上記液晶樹脂と同様に、スリーブ2およびフェルール3の樹脂材料として好適である。
これらのベース樹脂に配合する充填材としては、線膨張係数の低減、射出成形時のヒケ防止、機械的強度向上などを図れる公知の充填材が挙げられる。本発明で使用できる充填材としては、例えば、繊維状充填材や、ガラスビーズ、グラファイト、酸化亜鉛、チタン酸カリウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、黒鉛などの無機充填材が挙げられる。これらの充填材は、上記樹脂の成形時の流動性を低下させない範囲で配合できる。
繊維状充填材としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、タングステン心線もしくは炭素繊維などにボロンもしくは炭化ケイ素などを蒸着したいわゆるボロン繊維もしくは炭化ケイ素繊維、芳香族ポリアミド繊維等、また各種のウィスカ類が挙げられる。これらの繊維状充填材は、単独で使用しても複数種類を併用してもよい。また、繊維状充填材と、ベース樹脂である液晶樹脂やポリエーテルイミド樹脂との密着性を高め、フェルールおよびスリーブの機械的特性を向上させるために、繊維状充填材の表面に、エポキシ系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアセタール系樹脂などを含有した処理剤や、シラン系カップリング剤などを用いて表面処理を施してもよい。
繊維状充填材は、繊維径0.01〜50μm、繊維長1〜10000μmであればよい。繊維径が細すぎたり、、繊維長が短すぎたりすると、線膨張係数が低減されにくく、機械的強度も向上されにくい。一方、繊維径が太すぎたり、繊維長が長すぎたりすると樹脂組成物が流動しがたくなり、射出成形性が低下するため好ましくない。また、適度な剛性等をフェルールやスリーブに持たせるためにも、繊維状充填材の引張強度は、少なくとも1000MPa以上、好ましくは2000MPa以上を有することが好ましい。
繊維状充填材の配合割合は、フェルールおよびスリーブのそれぞれを成形する樹脂組成物全体量の5〜60重量%、好ましくは20〜40重量%である。5重量%未満では、線膨張係数の低減や、機械的強度の向上が十分図れず、60重量%をこえると成形時の樹脂溶融粘度が高くなりすぎるので成形不良となるおそれがある。特に、フェルールを1点サイドゲートで製造する場合には、流動性を高め、コアピンの撓みを防止するため、繊維状充填材の配合割合は30重量%以下にすることが好ましい。すなわち、樹脂組成物全体量に対して5〜30重量%とすることが好ましい。
上記の繊維状充填材の中でも、特にガラス繊維または炭素繊維が好ましい。ガラス繊維および炭素繊維を使用することにより、成形体が引張強度、曲げ強度、曲げ弾性率などの機械的強度に優れ、線膨張係数の低減も図れる。
炭素繊維は、レーヨン系、ポリアクリロニトリル系(PAN系)、リグニン−ポバール系混合物、特殊ピッチ系など原料の種類の如何にかかわらず使用できる。また、炭素繊維の形状は、長短いずれの単繊維であってもよい。
ガラス繊維は、SiO2、B2O3、Al2O3、CaO、MgO、Na2O、K2O、Fe2O3などを主成分とする無機ガラスから得られるものであり、一般に無アルカリガラス、含アルカリガラスなどを使用できる。これらの中でも、液晶樹脂等への影響を考慮し、無アルカリガラスが好ましい。無アルカリガラスとしては、組成物中にアルカリ成分をほとんど含んでいないホウケイ酸ガラスが好ましい。
繊維状充填材としてガラス繊維を用いる場合には、その平均繊維長が約10〜700μmのものが好ましく、より好ましくは30〜300μmであり、さらに好ましくは180〜300μmである。また、その平均繊維径は約5〜15μmが好ましい。平均繊維径が約15μmをこえる大径のもの、または平均繊維長が約700μmをこえるものを用いると、ベース樹脂と混合する際に均一分散させることが難しくなり、不均一分散の樹脂組成物では成形も困難になるおそれがある。
図2に、配合する充填材(ガラス繊維)の平均繊維長と、成形体の線膨張係数との関係を示す。図2は、ベース樹脂としてポリエーテルイミド(PEI)樹脂(ULTEM1010(登録商標))を用い、これに充填材としてガラス繊維を配合した樹脂組成物を用い、該ガラス繊維を軸方向に配向させて成形したスリーブの軸方向の線膨張係数を測定したものである。線膨張係数は、上述の測定方法により測定している。図2に示す範囲では、ガラス繊維の平均繊維長が長いほど線膨張係数を低減させ得ることが分かる。参考として併記したフェルール(ベース樹脂に液晶樹脂(LCP)を用いたもの)の線膨張係数が19×10-6 /℃であるので、スリーブとフェルールの線膨張係数の差を±5×10-6 /℃以内とするためには、スリーブ側に配合するガラス繊維の平均繊維長を180μm以上とすればよいことが分かる。
また、充填材としてガラスビーズを用いることで、径方向の線膨張係数を低減させることができる。ガラスビーズの配合割合は、フェルールおよびスリーブのそれぞれを成形する樹脂組成物全体量の0〜30重量%とできる。ガラスビーズとしては、粒子径の範囲が2〜45μm、平均粒子径は15〜25μmのものが好ましい。
本発明の光コネクタ部材1におけるフェルール2およびスリーブ3は、上記液晶樹脂やポリエーテルイミド樹脂などのベース樹脂に、上記ガラス繊維などの繊維状充填材を配合した樹脂組成物を成形して得られる。
樹脂組成物を構成する各材料を、必要に応じて、ヘンシェルミキサー、ボールミキサー、リボンブレンダー、レディゲミキサー、ウルトラヘンシェルミキサーなどにて乾式混合した後、二軸混練押出し機などの溶融押出し機にて溶融混練し、成形用ペレットを得ることができる。成形方法は、公知の成形法を採用できるが、製造効率などに優れる点で射出成形を採用することが好ましい。特に、射出成形を採用し、ゲート位置を最適化することで(図4参照)、フェルール2およびスリーブ3のそれぞれにおいて充填材の配向方向を軸方向に調整できる。以下、本発明の光コネクタ部材のフェルールおよびスリーブにおける充填材配向について説明する。
図3に、図1におけるフェルール2とスリーブ3との嵌合部の拡大断面図を示す。図中において(繊維状)充填剤の配向状態を模試的に示す。図3に示すように、フェルール2とスリーブ3との嵌合保持部分において、フェルール2における充填材Aの配向およびスリーブ3における充填材Bの配向が、いずれも軸方向であり、一致している。なお、嵌合保持部分とは、上述のように、光コネクタ部材の軸方向において、(1)スリーブ2におけるフェルール3との嵌合接触部分、および、(2)フェルール3におけるスリーブ2との嵌合接触部分、の略全体であり、非接触部分であるフェルール2における先端テーパ部分などは含まない。
フェルール2とスリーブ3との充填材配向を揃えることで、フェルール2とスリーブ3の同方向での線膨張係数差を小さくすることができる。これにより、フェルール先端部の微隙間の変動や、光ファイバ素線4の芯ずれおよび角度ずれを小さくできる。また、充填材配向を軸方向とすることで、射出成形時の樹脂のヒケによるスリーブの円筒内径や、フェルールの嵌合部外径の寸法精度の低下を防止でき、光ファイバ素線4の芯ずれや角度ずれを小さくできる。
本発明の光コネクタ部材の製造方法は、フェルールについては、嵌合保持部分より後方にゲート部を設けて、フェルールを成形する樹脂組成物を用いて射出成形し、スリーブについては、円筒の軸方向片側にゲート部を設けて、スリーブを成形する樹脂組成物を用いて射出成形することを特徴としている。この製造方法により、スリーブとフェルールとの充填材配向を軸方向に揃えることができる。
図4に、本発明の光コネクタ部材を構成するフェルールおよびスリーブをそれぞれ射出成形する際のゲート部の位置を示す。図4において、白抜き矢印がゲート部の位置を示したものであり、黒矢印がゲート部からの樹脂の流れを示したものである。図4に示すように、フェルール2は、嵌合保持部分より後方である段差部分にゲート部2eを設けて上記樹脂組成物を用いて射出成形したものである。これにより、フェルール2の嵌合部2cにおける充填材の配向は、該嵌合部2cの軸方向となる(図3参照)。また、スリーブ3は、円筒の軸方向片側の鍔部3dにゲート部3eを設けて上記樹脂組成物を用いて射出成形したものである。これにより、スリーブ3内の充填材の配向は、スリーブ3の円筒軸方向となる(図3参照)。光コネクタ部材1において、フェルール2の嵌合部2cは、スリーブ3の円筒内周面3cで嵌合保持されるので、該嵌合部2cの軸方向とスリーブ3の円筒軸方向とは一致している。よって、フェルール2およびスリーブ3の成形時のゲート位置を該位置にすることで、少なくともフェルール2とスリーブ3との嵌合保持部分において、フェルール2における充填材Aの配向およびスリーブにおける充填材Bの配向が一致する(図3参照)。
スリーブ3において、円筒の軸方向片側であれば、例えば、円筒端面にゲート部3eを設けて射出成形してもよい。この場合、フェルール2と当接する上記円筒端面を機械加工などにより追加工してゲート痕を除去することで、スリーブの軸方向の寸法精度を維持でき、フェルールの先端部間の隙間幅の変動などを抑制できる。また、スリーブ3の射出成形時のゲート構造は、ピンゲートやサイドゲートとする。また、スリーブ3の真円度を確保するため、所定間隔をあけて配置した多点ゲートとすることが好ましい。
フェルール2の射出成形時のゲート構造についても、スリーブ3と同様に、ピンゲートやサイドゲートとでき、また、1点ゲートや多点ゲートとできる。ランナー部容積を少なくでき、廃材を抑えることができることから、1点サイドゲートとすることが好ましい。
1点サイドゲートを採用した射出成形によるフェルールの製造工程を図8に基づき説明する。図8は、フェルールの射出成形金型を示す断面図である。図8に示すように、フェルールの射出成形は、射出成形金型7の内部に、フェルールの素線挿入孔を形成するための小径部分9aと、該部分よりも大径の大径部分9bとを有するコアピン9を配置してなされる。この大径部分9bは、素線を被覆した光ファイバ心線を挿入する心線挿入孔を形成するための部分である。ここで、ゲート部8のゲート構造は、1点サイドゲートであり、その位置は、図4と同様に嵌合保持部分より後方であり、かつ、大径部分9bに対向する位置に設けている。なお、「大径部分に対向する位置」とは、コアピンの軸方向に対して垂直方向となる位置のみでなく、若干傾斜させた場合も含む。
コアピン9の素線挿入孔を形成する小径部分9aは、非常に細い構造であり、この部分に射出された溶融樹脂材料が第1次的に当たると、それにより加わる射出圧により撓みが発生し、同心度精度が悪化する場合がある。図8に示す構造とすることで、射出された溶融樹脂材料は、まずコアピン9の大径部分9bに当たる。大径部分9bは剛性が高いので、射出圧による撓みが発生しない。この結果、1点サイドゲートを採用して廃材を極力抑えながら、同心度精度にも優れるフェルールを製造できる。
図9(a)に、図8の射出成形金型を用いて製造されたフェルールの断面図を示す。また、図9(b)に他の態様のフェルールの断面図を示す。ゲート部より射出された溶融樹脂材料が直接(第1次的に)当たる部分のコアピン径が太いほど、成形時のコアピンの撓みを抑えることができる。例えば、図9(b)に示すように、フェルール2の内部構造として、光ファイバ心線5を挿入する心線挿入孔2fの一部に、ぬすみ部2gを設ける構造にすることで、該ぬすみ部2gを形成する部分のコアピン径が太くなる。ゲート部8を、ぬすみ部2gを形成するコアピン部分に対向する位置に配置することで、さらに効果的に撓みを防止できる。このような構造は、フェルール肉厚にスペース的な余裕がある場合に有効である。なお、図9において、ゲート部8は、説明上記載したものであり、成形品自体には残存しない。
本発明におけるフェルール2およびスリーブ3を成形する樹脂組成物の具体例を下記の表1に示す。
図5〜図7に、光コネクタ部材における実際の充填材配向状態を示す。図5は図3におけるC部に、図6は図3におけるD部に、図7は図3におけるE部に、それぞれ相当する部分の断面写真図である。フェルール2とスリーブ3の材料について、樹脂組成物として、図5は表1の4(ULTEM2312+EFH150−31)を、図6は表1の5(E6007+EFH150−31)を、図7は表1の6(ULTEM2300+20MH2−20)を、それぞれ用いた。なお、各図でフェルール2とスリーブ3とは同じ材料を用いている。フェルール2については、ゲート部2eを図4の位置として射出成形で成形した。スリーブ3については、ゲート部3eを図4の位置として射出成形で成形した。
図5〜図7に示すように、フェルール2における充填材A(ガラス繊維)の配向およびスリーブ3における充填材B(ガラス繊維)の配向が、いずれも軸方向であり、一致していることが分かる。なお、このフェルール2の軸方向の線膨張係数は、19×10-6 /℃であり、このスリーブ3の軸方向の線膨張係数は、19.5×10-6 /℃であり、その差は0.5×10-6 /℃である。
以上のように、本発明の光コネクタ部材では、フェルールとスリーブの充填材配向を軸方向として一致させ、さらに、線膨張係数差も小さいものとしているため、射出成形時の樹脂のヒケによるスリーブの円筒内径や、フェルールの嵌合部外径の寸法精度の低下を防止できることに加えて、−40℃〜125℃の広い温度領域での使用に際して、フェルール先端部の微隙間の変動や光ファイバの芯ずれおよび角度ずれを小さくできる。さらに、フェルールおよびスリーブのいずれもが樹脂製であるので、これらをセラミックスで形成する場合と比較して、軽量化、低コスト化が図れる。また、セラミックス製と比較して、振動や衝撃がフェルール内部までは伝わりにくく、石英ガラスからなる光ファイバ素線の破損などを防止できる。
本発明の光コネクタ部材は、樹脂製として軽量化などを図りながら、広い温度領域で使用する場合でも光通信の伝達損失を低減できるので、各種用途における光ファイバケーブルを接続する光コネクタ部材として利用できる。特に、軽量化かつ広い温度領域での使用が求められる自動車車載用の光ファイバケーブルの光コネクタ部材として好適に利用できる。
1 光コネクタ部材
2 フェルール
2a 段差面
2b 段差面
2c 嵌合部
2d 素線挿入孔
2e ゲート部
3 スリーブ
3a 一方の円筒端面
3b 他方の円筒端面
3c 円筒内周面
3d 鍔部
3e ゲート部
4 光ファイバ素線
5 光ファイバ心線
6 光ファイバケーブル
7 射出成形金型
8 ゲート部
9 コアピン
9a 小径部分
9b 大径部分
A フェルール中の充填材
B スリーブ中の充填材
2 フェルール
2a 段差面
2b 段差面
2c 嵌合部
2d 素線挿入孔
2e ゲート部
3 スリーブ
3a 一方の円筒端面
3b 他方の円筒端面
3c 円筒内周面
3d 鍔部
3e ゲート部
4 光ファイバ素線
5 光ファイバ心線
6 光ファイバケーブル
7 射出成形金型
8 ゲート部
9 コアピン
9a 小径部分
9b 大径部分
A フェルール中の充填材
B スリーブ中の充填材
Claims (10)
- 異なる光ファイバケーブルの端部にそれぞれ設けられるフェルールを2つと、これらのフェルールを円筒内周面で同軸に突き合わせて嵌合保持する円筒状のスリーブとからなる光コネクタ部材であって、
前記フェルールおよび前記スリーブは、それぞれ、充填材を配合した樹脂組成物の成形体であり、少なくとも前記フェルールと前記スリーブとの嵌合保持部分において、前記フェルールにおける前記充填材の配向および前記スリーブにおける前記充填材の配向がいずれも軸方向であり、
前記フェルールの線膨張係数(−40℃〜125℃における平均線膨張係数)と、前記スリーブの線膨張係数(−40℃〜125℃における平均線膨張係数)との差が、±5×10-6 /℃以内であることを特徴とする光コネクタ部材。 - 前記光コネクタ部材において、前記スリーブの一方の円筒端面が一方の前記フェルールと当接し、前記スリーブの他方の円筒端面が他方の前記フェルールと当接して、該スリーブ内における前記2つのフェルールの先端部の軸方向の位置決めがなされ、前記2つのフェルールの先端部が隙間を空けて保持されていることを特徴とする請求項1記載の光コネクタ部材。
- 前記フェルールおよび前記スリーブのそれぞれの線膨張係数(−40℃〜125℃における平均線膨張係数)が、30×10-6 /℃以下であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の光コネクタ部材。
- 前記樹脂組成物のベース樹脂が、液晶樹脂またはポリエーテルイミド樹脂であることを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3記載の光コネクタ部材。
- 前記充填材が、繊維状充填材であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項記載の光コネクタ部材。
- 前記繊維状充填材が、ガラス繊維または炭素繊維であることを特徴とする請求項5記載の光コネクタ部材。
- 前記繊維状充填材がガラス繊維であり、その平均繊維長が180〜300μmであることを特徴とする請求項6記載の光コネクタ部材。
- 前記フェルールを成形する樹脂組成物が、前記スリーブを成形する樹脂組成物と同じであることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか一項記載の光コネクタ部材。
- 請求項1ないし請求項8のいずれか一項記載の光コネクタ部材の製造方法であって、
前記フェルールは、前記嵌合保持部分より後方にゲート部を設けて、前記フェルールを成形する樹脂組成物を用いて射出成形し、
前記スリーブは、前記円筒の軸方向片側にゲート部を設けて、前記スリーブを成形する樹脂組成物を用いて射出成形することを特徴とする光コネクタ部材の製造方法。 - 前記フェルールの射出成形は、射出成形金型内に、該フェルールの素線挿入孔を形成する小径部分と、該部分よりも大径の大径部分とを有するコアピンを配置してなされ、前記ゲート部が1点サイドゲートであり、前記大径部分に対向する位置に設けられることを特徴とする請求項9の光コネクタ部材の製造方法。
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JP2012053579A JP2012198537A (ja) | 2011-03-10 | 2012-03-09 | 光コネクタ部材およびその製造方法 |
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