JP2012073506A - 光コネクタ用樹脂製スリーブ - Google Patents
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Abstract
【課題】スリーブホルダを必要としない簡易な構造で、小型化、軽量化、低コスト化などを図りつつ、フェルールとスリーブとの共抜けを防止できる光コネクタ用樹脂製スリーブを提供する。
【解決手段】光ファイバケーブルの端部に設けられたフェルールを2つ同軸に突き合わせて保持するための円筒状の光コネクタ用樹脂製スリーブ1であり、2つのフェルールを保持した状態から一方のフェルール4(図中左側)を抜く際に、他方のフェルール4側(図中右側)に樹脂製スリーブ1が固定される共抜け防止構造を有し、この共抜け防止構造は、例えば、一方の円筒端部に形成されたフランジ2と、フランジ2と係合して他方のフェルール4側に樹脂製スリーブ1を固定する光コネクタのハウジング3における係合部位3aとからなる構造である。
【選択図】図2
【解決手段】光ファイバケーブルの端部に設けられたフェルールを2つ同軸に突き合わせて保持するための円筒状の光コネクタ用樹脂製スリーブ1であり、2つのフェルールを保持した状態から一方のフェルール4(図中左側)を抜く際に、他方のフェルール4側(図中右側)に樹脂製スリーブ1が固定される共抜け防止構造を有し、この共抜け防止構造は、例えば、一方の円筒端部に形成されたフランジ2と、フランジ2と係合して他方のフェルール4側に樹脂製スリーブ1を固定する光コネクタのハウジング3における係合部位3aとからなる構造である。
【選択図】図2
Description
本発明は光ファイバケーブルの端部に設けられたフェルールを2つ同軸に突き合わせて保持するための光コネクタ用樹脂製スリーブに関する。
光ファイバケーブルを接続する際、ケーブルの端部にフェルールと呼ばれる部品を取り付け、このフェルール同士を円筒状のスリーブなどの光コネクタ用部品によって接続している。円筒状のスリーブを用いる場合、該スリーブの内部で二つのフェルールを同軸に突き合わせて保持することで接続している。接続に際しては、光の減衰を防ぐために、光ファイバケーブルの端部に設けられたフェルール同士の同軸度を小さくする必要がある。このため、スリーブの内径寸法およびフェルールの外径寸法を高精度化することが必要となる。なお、同軸度とは、共通の軸線をもつように配置されたフェルール同士の軸線が一致していない程度をいう(JIS B 0182)。
従来、光コネクタ用スリーブとしては、上記のような高精度が要求されることから、構成材料として主にセラミックスが用いられている。例えば、筒状体の一方の開口から他方の開口へ通ずる軸方向のスリットを有し、両開口から挿通された光ファイバ同士を接続する光通信用割スリーブにおいて、該スリーブをジルコニア、アルミナ、窒化珪素、炭化珪素、窒化アルミニウム、コージュライト、ムライトなどを主成分とする結晶粒子を有するセラミックスで形成したものが提案されている(特許文献1参照)。
また、スリーブは円筒形状であるため、2つのフェルールを保持した状態から一方のフェルールを抜く際に、該フェルールとスリーブとが摩擦力などにより連動し、スリーブも他方のフェルールから抜けてしまうという「共抜け」が発生する場合がある。このスリーブの共抜けを防止するため、スリーブホルダなどを設けてスリーブの固定を行なっている。例えば、スリーブホルダの筒状部材に割スリーブの軸中心の回転を規制する位置決め用係合部などを設けた部材などが提案されている(特許文献2参照)。また、スリーブホルダを使用せず、部品点数の減少によるコスト削減を図るため、割スリーブの略半分を受け入れて支持する半割スリーブ収納部を2つ突き合わせて割スリーブを収納する部材も提案されている(特許文献3参照)。
近年、自動車分野においても、車載されるカーナビやAV機器で取り扱うデータ量の増大により、車内での高容量情報伝達の要求が強くなり、従来のワイヤーハーネスに代えて、情報伝達速度の速い光ファイバの採用が検討されている。また、自動車分野では省エネルギ化が進んでおり、軽量化などを行なう目的でも、上記光ファイバの採用が検討されている。情報伝達量の増加から、光ファイバは従来のプラスチックから光通信で使用されるガラス製となり、芯径もより小さいものが求められているため、上記スリーブの内径寸法やフェルールの外径寸法のさらなる高精度化が要求されている。また、光ファイバを使用する場合の光コネクタ用部品は、光ファイバケーブル20m毎に1個程度の割合で必要となることから、光ファイバケーブルを長くする場合、軽量化の妨げとなる。よって、従来の通信用の光コネクタ用部品に比べて、コンパクトで軽量な構造が求められ、フェルールやスリーブの小型化、薄肉化、樹脂化などの検討が進められている。
スリーブを樹脂で形成したものとして、例えば、側面に一定幅のスリットが設けられた中空円筒状のプラスチック割りスリーブであって、樹脂を射出成形した場合の樹脂の流動方向とその垂直方向の物性値の比で表した樹脂の異方性の値が1.5以下の樹脂組成物を含んでなるスリーブが提案されている(特許文献4参照)。
しかしながら、共抜け防止に、特許文献2のようなスリーブホルダを設けると、構成部品点数が増え、光コネクタ部材の小型化や低コスト化が困難となる。また、特許文献3のように、スリーブホルダを用いない代わりに、スリーブ収納部を有する2つの部材を組み合わせるような形状であると、構造が複雑であり、小型化や低コスト化がやはり十分には図れない。
一方、特許文献1のようなセラミックスを用いる場合、薄肉化、高精度化は可能であるが、材料、加工のコストが高くなる。また、セラミックス製では、外側からの振動や衝撃がフェルールを保持する内径にも伝わり、光の減衰などの影響を与えるおそれがある。また、セラミックス製では、重量が重くなる。よって、光ファイバケーブルを車積するような場合では、上記振動や重量の問題が顕著となるため、セラミックス製は好ましくない。
しかし、特許文献4のように、スリーブを樹脂製とする場合、セラミックス製とは異なり、射出成形時のゲート部やイジェクタピンとの当接部の確保が必要となり、薄肉化は容易ではない。
本発明はこのような問題に対処すべくなされたものであり、スリーブホルダを必要としない簡易な構造で、小型化、軽量化、低コスト化などを図りつつ、フェルールとスリーブとの共抜けを防止できる光コネクタ用樹脂製スリーブを提供することを目的とする。
本発明の光コネクタ用樹脂製スリーブは、光ファイバケーブルの端部に設けられたフェルールを2つ同軸に突き合わせて保持するための円筒状の光コネクタ用樹脂製スリーブであって、上記樹脂製スリーブは、上記2つのフェルールを保持した状態から一方のフェルールを抜く際に、他方のフェルール側に該樹脂製スリーブが固定される共抜け防止構造を有し、上記共抜け防止構造は、(1)該樹脂製スリーブにおいて、上記他方のフェルールが嵌合保持される部分の円筒肉厚が上記一方のフェルールが嵌合保持される部分の円筒肉厚よりも厚い構造A、および、(2)上記樹脂製スリーブの一方の円筒端部に形成されたフランジと、該フランジと係合して上記他方のフェルール側に該樹脂製スリーブを固定する光コネクタのハウジングにおける係合部位とからなる構造B、から選ばれる少なくとも一つの構造であることを特徴とする。
上記構造Aにおいて、上記樹脂製スリーブの円筒内径、または、上記樹脂製スリーブの円筒外径が、軸方向で一定であることを特徴とする。
上記構造Bにおいて、上記ハウジングの係合部位は、該樹脂製スリーブの円筒端面となる前記フランジの端面の軸方向反対側の端面と接触することを特徴とする。
上記樹脂製スリーブは、上記構造Bを有し、上記フランジにゲート部を設けて射出成形されたものであることを特徴とする。また、上記ゲート部が、上記フランジの外径面、該樹脂製スリーブの円筒端面となる上記フランジの端面、または、該端面の軸方向反対側の上記フランジの端面に設けられていることを特徴とする。
上記樹脂製スリーブは、上記フランジに射出成形時のイジェクタピンとの当接部を有することを特徴とする。また、上記樹脂製スリーブは、該樹脂製スリーブの円筒端面となる上記フランジの端面、または、該端面の軸方向反対側の上記フランジの端面に上記当接部を有することを特徴とする。
上記樹脂製スリーブを形成する樹脂が、液晶性樹脂またはポリエーテルイミド樹脂であることを特徴とする。また、上記フェルールが樹脂製であり、上記樹脂製スリーブを形成する上記樹脂が、上記フェルールを形成する樹脂と同じ樹脂であることを特徴とする。
上記樹脂製スリーブにおいて、上記一方のフェルールが嵌合保持される部分の円筒内径面と該フェルールの嵌合面との摩擦力が、上記他方のフェルールが嵌合保持される部分の円筒内径面と該フェルールの嵌合面との摩擦力よりも小さいことを特徴とする。
本発明の光コネクタ用樹脂製スリーブは、2つのフェルールを保持した状態から一方のフェルールを抜く際に、他方のフェルール側に該樹脂製スリーブが固定される共抜け防止構造を有し、該共抜け防止構造が、(1)該樹脂製スリーブにおいて、他方のフェルールが嵌合保持される部分の円筒肉厚が一方のフェルールが嵌合保持される部分の円筒肉厚よりも厚い構造A、および、(2)樹脂製スリーブの一方の円筒端部に形成されたフランジと、該フランジと係合して他方のフェルール側に該樹脂製スリーブを固定する光コネクタのハウジングにおける係合部位とからなる構造B、から選ばれる少なくとも一つの構造であるので、スリーブホルダを必要としない簡易な構造で、フェルールとスリーブとの共抜けを防止できる。また、樹脂製であり、かつ、スリーブホルダを使用しないので、該スリーブを用いた光コネクタ部材の小型化(省スペース化)、軽量化、低コスト化が図れる。
また、共抜け防止のために樹脂製スリーブにフランジを形成する場合、該フランジに射出成形のゲート部やイジェクタピンとの当接部を設けることで、薄肉円筒状の樹脂製スリーブであっても突き出しなどが可能となり、射出成形による製造が可能となる。
本発明の光コネクタ用樹脂製スリーブは、光ファイバケーブルの端部に設けられたフェルールを2つ同軸に突き合わせて保持するための円筒状であり、2つのフェルールを保持した状態から一方のフェルールを抜く際に、他方のフェルール側に該樹脂製スリーブが固定される共抜け防止構造を有する。ここで、共抜け防止構造は、以下の構造A、構造B、または、これらを組み合わせたものである。
構造A:該樹脂製スリーブにおいて、他方のフェルールが嵌合保持される部分の円筒肉厚が上記一方のフェルールが嵌合保持される部分の円筒肉厚よりも厚い構造
構造B:樹脂製スリーブの一方の円筒端部に形成されたフランジと、該フランジと係合して他方のフェルール側に該樹脂製スリーブを固定する光コネクタのハウジングにおける係合部位とからなる構造
構造A:該樹脂製スリーブにおいて、他方のフェルールが嵌合保持される部分の円筒肉厚が上記一方のフェルールが嵌合保持される部分の円筒肉厚よりも厚い構造
構造B:樹脂製スリーブの一方の円筒端部に形成されたフランジと、該フランジと係合して他方のフェルール側に該樹脂製スリーブを固定する光コネクタのハウジングにおける係合部位とからなる構造
本発明の光コネクタ用樹脂製スリーブの一例を図1に基づいて詳細に説明する。図1は、共抜け防止構造Aを有する樹脂製スリーブを用いた光コネクタ接合部を示す断面図である。図1に示すように、樹脂製スリーブ1は、その円筒内径面に、一対のフェルール4の嵌合部4aがそれぞれ嵌合され、この一対のフェルール4を同軸に突き合わせた状態で保持している。また、樹脂製スリーブ1の円筒端面が、それぞれのフェルール4の嵌合部4aの段差面と当接して、樹脂製スリーブ1内におけるフェルール先端部の軸方向の位置決めがなされている。フェルール4の先端部は、接触による欠けなどを防止するため、若干の隙間を空けて突き合わされた状態とされている。
それぞれのフェルール4は、光ファイバケーブルの端部に設けられ、本体部に光ファイバの心線6が挿入され、先端部の素線挿入孔4bに光ファイバの素線5が通されている。光ファイバ素線5は、石英ガラスからなる光ファイバ(例えば、0.125mm径)を紫外線硬化型樹脂で被覆したもの(例えば、0.25mm径)であり、光ファイバ心線6は、この素線をさらに樹脂などにより被覆したものである。樹脂製スリーブ1の円筒内径面において、一対のフェルール4を同軸に突き合わせた状態で保持することで、フェルール4の先端部の素線挿入孔4bが同軸上に一致した状態で接続される。
樹脂製スリーブ1は、共抜け防止構造として、図中右側のフェルール4が嵌合保持される部分1aの円筒肉厚が、引き抜き側である図中左側のフェルール4が嵌合保持される部分1bの円筒肉厚よりも厚い構造Aを有している。ここで、フェルール4が嵌合保持される部分とは、樹脂製スリーブ1の軸方向において、それぞれのフェルール4と直接に嵌合接触している部分全体である。また、1aおよび1bは、軸方向で厚さが一定でなくてもよく、1aが1bよりも厚いとは、1aの最も薄い部分の厚さが、1bの最も厚い部分の厚さよりも、厚ければよい。よって、例えば、樹脂製スリーブ1は、1a側の円筒端面から、1b側の円筒端面に向けて、連続的に薄肉となるテーパ状の円筒部材としてもよい。また、厚さの差については、少なくとも、後述するフェルールの固定力に差を生じさせ、共抜けが防止できる差とする。なお、これらの点より、一方のフェルールに嵌合接触している部分の一部のみが肉厚となり、その他の部分の肉厚が同じであるフランジ形状(構造B)などは、構造Aには含まれない。
図1に示す態様では、樹脂製スリーブ1の円筒内径は軸方向で一定(1aと1bとで内径が同じ)とし、円筒外径は軸方向略半分を境に差を持たせることで、1aの円筒肉厚を、1bの円筒肉厚よりも厚くしている。該構造により、1aの内径面における応力が、1bの内径面における応力よりも大きくなる。このため、同一径のフェルールを圧入嵌合した場合に、樹脂製スリーブ1の円筒内径が軸方向で一定であっても、1aの内径面がフェルールを固定する力が、1bの内径面がフェルールを固定する力よりも大きくなる。なお、図中の白抜き矢印で模式的に固定力を表す。この固定力の差により、2つのフェルールを保持した状態から、1b側のフェルール4を抜く際に、1a側のフェルール4側に樹脂製スリーブ1が固定され、樹脂製スリーブ1が、1b側のフェルール4と連動して、1a側のフェルール4から抜けてしまう共抜けを防止できる。この結果、1b側のフェルール4のみが樹脂製スリーブ1から引き抜かれる(図1下図)。このように、スリーブホルダを必要としない簡易な構造で共抜けを防止できる。
また、他の態様として、樹脂製スリーブ1の円筒外径は軸方向で一定(1aと1bとで外径が同じ)とし、円筒内径を軸方向略半分を境に差を持たせることで、1aの円筒肉厚を、1bの円筒肉厚よりも厚くしてもよい。この場合も同様に、1aの内径面がフェルールを固定する力が、1bの内径面がフェルールを固定する力よりも大きくなり、共抜けを防止できる。
樹脂製スリーブ1において、一方のフェルール4(図中左側)が嵌合保持される部分1bの円筒内径面と該フェルール4の嵌合面との摩擦力を、他方のフェルール4(図中右側)が嵌合保持される部分1aの円筒内径面とフェルール4の嵌合面との摩擦力よりも小さくすることが好ましい。例えば、それぞれの円筒内径面の表面粗さを変える、または、1bの円筒内径面のみに低摩擦性被膜を形成することができる。低摩擦性被膜としては、酸化被膜やダイアモンドライクカーボン被膜などが挙げられる。このような摩擦力に差を持たせる構成は、後述の共抜け防止構造Bの場合にも適用することができる。
本発明の光コネクタ用樹脂製スリーブの他の例を図2および図3に基づいて詳細に説明する。図2は、共抜け防止構造Bを有する樹脂製スリーブを用いた光コネクタ接合部を示す断面図であり、図3(a)は該樹脂製スリーブの端面側から見た正面図であり、図3(b)は図3(a)をA−A線に沿って切断した断面図である。図2に示すように、この樹脂製スリーブ1は、共抜け防止構造として、一方の円筒端部に形成されたフランジ2と、フランジ2と係合して他方(図中右側)のフェルール4側に樹脂製スリーブ1を固定する光コネクタのハウジング3における係合部位3aとからなる構造Bを有している。その他の、フェルール4、光ファイバの素線5、心線6などの構成は、図1に示す態様と同様である。図3(a)および(b)に示すように、フランジ2は、一方の円筒端部に形成された円筒外径側に突出した段部(鍔部)である。樹脂製スリーブ1において、フランジ2が形成された部分以外の円筒肉厚は軸方向で一定である。
フランジ2、および、ハウジング3の係合部位3aの形状は、図2に示す形状のほか、樹脂製スリーブ1が、引き抜き側(図中左側)のフェルール4と共抜けすることを防止できる形状であればよい。図2に示す態様では、2つのフェルールを保持した状態から、引き抜き側(図中左側)のフェルール4を抜く際に、フランジ2の端面2aが、ハウジング3の係合部位3aと接触して図中右側のフェルール4側に樹脂製スリーブ1が固定され、樹脂製スリーブ1が、引き抜き側(図中左側)のフェルール4と連動して、図中右側のフェルール4から抜けてしまう共抜けを防止できる。この結果、引き抜き側(図中左側)のフェルール4のみが樹脂製スリーブ1から引き抜かれる(図2下図)。なお、図3に示すように、フランジ2の端面2aは、樹脂製スリーブ1の円筒端面となるフランジ2の端面2bの軸方向反対側の端面である。
ハウジング3に既設の段差部分などを係合部位3aとして利用することで、樹脂製スリーブ1側に簡易な構造であるフランジ2を形成するのみで、共抜け防止構造とできる。この場合、スリーブを保持するスリーブホルダが不要であるだけでなく、光コネクタのハウジング側にも加工が不要であり、より一層の低コスト化が図れる。
図4に示すように、フランジを有する樹脂製スリーブ1は、例えば、フランジ2にゲート部7を設けて射出成形により成形する。ゲート部7は、フランジ2の外径面2c(図4(a))、該樹脂製スリーブの円筒端面となるフランジ2の端面2b(図4(b))、または、該端面2bの軸方向反対側のフランジ2の端面2aに設けることが好ましい。ゲート部7は、端面2bなどに設けるため、ゲート構造はピンポイントゲート・サイドゲートとする。また、樹脂製スリーブ1の真円度を確保するため、所定間隔をあけて配置した多点ゲートとすることが好ましい。
図4(a)に示すように、樹脂製スリーブ1において、フランジ2の外径面2cにゲート部7を設けて射出成形することで、フェルールが当たるフランジ2の端面2bにゲート痕ができず、追加工なしでも軸方向の寸法について高精度化が図れる。また、図4(b)に示すように、フランジ2の端面2bにゲート部7を設けた場合でも、該端面2bを追加工することで、ゲート痕が取り除かれ、軸方向の寸法について高精度化が図れる。追加工としては、例えば、旋削加工、切削加工、研削加工、研磨加工などの機械加工、水やレーザを利用した非接触加工を採用できる。また、フランジ2の端面2bにゲート部7を設ける場合において、該端面2bのゲート部7の周囲のみ、端面2bより窪んだ凹部としておくことで、上記追加工を不要とできる。
図5に示すように、フランジ2を有する樹脂製スリーブ1は、フランジ2に射出成形時のイジェクタピン8との当接部を有することが好ましい。図5では、樹脂製スリーブ1の円筒端面となるフランジ2の端面2bの軸方向反対側の端面2aを当接部としているが、樹脂製スリーブ1の円筒端面となるフランジ2の端面2bを当接部としてもよい。通常、樹脂製スリーブ1を射出成形する場合、イジェクタピンとの当接部の確保が困難という理由で、薄肉円筒化が困難である。これに対し、樹脂製スリーブ1においてフランジ2を形成し、イジェクタピン8をフランジ2の端面2aまたは2bで受ける構造とすることで、フランジ2以外の部分を薄肉状とした場合でも、突き出しが可能となる。
また、樹脂製スリーブ1において、共抜け防止構造として、構造Bとは別に構造Aも有している場合は、フランジ2にゲート部7およびイジェクタピン8との当接部を設けて射出成形(突き出し含む)を行ない、その後、フランジを追加工で落とすことで、共抜け防止可能でフランジなしの薄肉状の樹脂製スリーブを製造できる。この方法は、用途によりフランジ形状が不可の場合に有効となる。
樹脂製スリーブ1において、円筒外径(D)に対する円筒長さ(L)の割合(L/D)が2以上の形状とすることが好ましい。なお、円筒外径(D)は、肉厚差があり外径が軸方向で一定でない場合は、軸方向での平均円筒外径であり、フランジを有する場合は、フランジを除く部分の円筒外径である。L/Dを2以上とすることで、円筒内径面で保持するフェルール同士の同軸度を小さく維持しやすい。なお、円筒長さLが大きすぎると、対応するフェルールの長さも長くする必要があり、該フェルールの精度を維持した加工が困難となるおそれがあることから、L/Dは2〜4とすることがより好ましい。また、樹脂製スリーブ1の円筒厚みは、強度を維持する目的から、0.3〜0.6mmとすることが好ましい。
本発明の樹脂製スリーブ1は、樹脂の射出成形などにより成形されてなる。樹脂材料としては、樹脂製スリーブに使用される公知の樹脂を使用できる。バリなどの発生しにくい射出成形性に優れる樹脂が好ましい。また、広い温度範囲(−40℃〜90℃程度)での使用となる自動車車載用の光ファイバケーブルに利用可能とするため、弾性率が大きく温度変化に対する寸法安定性に優れた樹脂が好ましい。本発明で使用できる樹脂としては、例えば、液晶樹脂(LCP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリアセタール(POM)樹脂、ポリアミド(PA)樹脂などの結晶性樹脂、あるいは、ポリエーテルイミド(PEI)樹脂、ポリフェニルサルフォン(PPSU)樹脂、ポリエーテルサルフォン(PES)樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂、ポリアミドイミド(PAI)樹脂などの非晶性樹脂を使用できる。これらの樹脂の中でも、液晶樹脂またはポリエーテルイミド樹脂を用いることが好ましい。
液晶樹脂としては、異方性溶融相を形成し得る芳香族ポリエステル樹脂、芳香族ポリエステルイミド樹脂、芳香族ポリエステルアミド樹脂が挙げられる。また、芳香族ポリエステル樹脂としては、下記の化1〜化3に示される単位を有するものが挙げられる。耐熱性に優れることから、化1の全芳香族ポリエステル樹脂が特に好ましい。液晶樹脂は、溶融状態で液晶性を示すため、成形時の流動性がよく、樹脂製スリーブ1が薄肉状であっても容易に成形できる。
その他、異方性溶融相を形成する液晶樹脂、例えばサーモトロピック液晶性を示す樹脂系のものであれば使用できる。
ポリエーテルイミド樹脂は、分子内にイミド結合とエーテル結合とを有する熱可塑性樹脂であり、高い弾性率を有し、加工性(射出成形性)にも優れることから、上記液晶樹脂と同様に、樹脂製スリーブ1の樹脂材料として好適である。
以上の樹脂材料には、射出成形時のヒケ防止や機械的強度向上などの目的で、公知の充填材が配合される。本発明で使用できる充填材としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、ガラスビーズ、グラファイト、酸化亜鉛、チタン酸カリウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、黒鉛などの無機充填材が挙げられる。これらの充填材は、上記樹脂の流動性を低下させない範囲で配合する。図4に示すように、樹脂製スリーブ1において、フランジ2にゲート部7を設けて射出成形する場合、樹脂製スリーブ1内における充填材の配向が軸方向となる。これにより、射出成形時の樹脂のヒケによる円筒内外径の寸法精度の低下を防止できる。
また、フェルール4は、高精度が要求されることから、主に、金属やセラミックスなどで構成されているが、樹脂で構成することも可能である。フェルール4を樹脂製とする場合、樹脂製スリーブ1を形成する樹脂を、フェルール4を形成する樹脂と同じ樹脂とすることで、線膨張係数が同じとなり、共抜け防止構造Aにおいて、厚み差による固定力のブレを抑制でき、共抜けを安定して防止できる。また、使用時において、連結される光ファイバの芯ずれおよび角度ずれの発生も抑制できる。さらに、充填材の配向を樹脂製スリーブ1とフェルール4で一致させることがより好ましい。
スリーブが樹脂製であるので、セラミックス製の場合と比較して、軽量化、低コスト化が図れる。特に、フランジにゲート部やイジェクタピンとの当接部を設けて射出成形することで、樹脂製スリーブでの薄肉化も可能となり、さらなる小型化(省スペース化)や軽量化が図れる。また、嵌合相手であるフェルール4が金属やセラミックスで構成される場合でも、樹脂製スリーブ1により振動や衝撃がフェルール4に伝わりにくくフェルール4自体やその内部の光ファイバ素線5の破損などを防止できる。
本発明の樹脂製スリーブは、スリーブホルダを必要としない簡易な構造で、小型化、軽量化、低コスト化などを図りつつ、フェルールとスリーブとの共抜けを防止できるので、光ファイバケーブルの端部に設けられた光フェルール同士を接続するためのスリーブとして利用できる。特に、軽量化や小型化(省スペース化)が必要とされる自動車車載用の光ファイバケーブルのスリーブとして好適に利用できる。
1 樹脂製スリーブ
1a フェルールが嵌合保持される部分
1b 引き抜き側であるフェルールが嵌合保持される部分
2 フランジ
2a フランジの端面(2bの軸方向反対側)
2b フランジの端面
2c フランジの外径面
3 ハウジング
3a 係合部位
4 フェルール
4a 嵌合部
4b 素線挿入孔
5 光ファイバ素線
6 光ファイバ心線
7 ゲート部
8 イジェクタピン
1a フェルールが嵌合保持される部分
1b 引き抜き側であるフェルールが嵌合保持される部分
2 フランジ
2a フランジの端面(2bの軸方向反対側)
2b フランジの端面
2c フランジの外径面
3 ハウジング
3a 係合部位
4 フェルール
4a 嵌合部
4b 素線挿入孔
5 光ファイバ素線
6 光ファイバ心線
7 ゲート部
8 イジェクタピン
Claims (10)
- 光ファイバケーブルの端部に設けられたフェルールを2つ同軸に突き合わせて保持するための円筒状の光コネクタ用樹脂製スリーブであって、
前記樹脂製スリーブは、前記2つのフェルールを保持した状態から一方のフェルールを抜く際に、他方のフェルール側に該樹脂製スリーブが固定される共抜け防止構造を有し、
前記共抜け防止構造は、(1)該樹脂製スリーブにおいて、前記他方のフェルールが嵌合保持される部分の円筒肉厚が前記一方のフェルールが嵌合保持される部分の円筒肉厚よりも厚い構造A、および、(2)前記樹脂製スリーブの一方の円筒端部に形成されたフランジと、該フランジと係合して前記他方のフェルール側に該樹脂製スリーブを固定する光コネクタのハウジングにおける係合部位とからなる構造B、から選ばれる少なくとも一つの構造であることを特徴とする光コネクタ用樹脂製スリーブ。 - 前記構造Aにおいて、前記樹脂製スリーブの円筒内径、または、前記樹脂製スリーブの円筒外径が、軸方向で一定であることを特徴とする請求項1記載の光コネクタ用樹脂製スリーブ。
- 前記構造Bにおいて、前記ハウジングの係合部位は、該樹脂製スリーブの円筒端面となる前記フランジの端面の軸方向反対側の端面と接触することを特徴とする請求項1または請求項2記載の光コネクタ用樹脂製スリーブ。
- 前記樹脂製スリーブは、前記構造Bを有し、前記フランジにゲート部を設けて射出成形されたものであることを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3記載の光コネクタ用樹脂製スリーブ。
- 前記ゲート部が、前記フランジの外径面、該樹脂製スリーブの円筒端面となる前記フランジの端面、または、該端面の軸方向反対側の前記フランジの端面に設けられていることを特徴とする請求項4記載の光コネクタ用樹脂製スリーブ。
- 前記樹脂製スリーブは、前記フランジに射出成形時のイジェクタピンとの当接部を有することを特徴とする請求項4または請求項5記載の光コネクタ用樹脂製スリーブ。
- 前記樹脂製スリーブは、該樹脂製スリーブの円筒端面となる前記フランジの端面、または、該端面の軸方向反対側の前記フランジの端面に前記当接部を有することを特徴とする請求項6記載の光コネクタ用樹脂製スリーブ。
- 前記樹脂製スリーブを形成する樹脂が、液晶性樹脂またはポリエーテルイミド樹脂であることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか一項記載の光コネクタ用樹脂製スリーブ。
- 前記フェルールが樹脂製であり、前記樹脂製スリーブを形成する前記樹脂が、前記フェルールを形成する樹脂と同じ樹脂であることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか一項記載の光コネクタ用樹脂製スリーブ。
- 前記樹脂製スリーブにおいて、前記一方のフェルールが嵌合保持される部分の円筒内径面と該フェルールの嵌合面との摩擦力が、前記他方のフェルールが嵌合保持される部分の円筒内径面と該フェルールの嵌合面との摩擦力よりも小さいことを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか一項記載の光コネクタ用樹脂製スリーブ。
Priority Applications (2)
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JP2010219494A JP2012073506A (ja) | 2010-09-29 | 2010-09-29 | 光コネクタ用樹脂製スリーブ |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2010219494A JP2012073506A (ja) | 2010-09-29 | 2010-09-29 | 光コネクタ用樹脂製スリーブ |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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TWI791710B (zh) * | 2017-12-26 | 2023-02-11 | 日商住友電氣工業股份有限公司 | 光連接器及光連接構造 |
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-
2010
- 2010-09-29 JP JP2010219494A patent/JP2012073506A/ja active Pending
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JP2014115503A (ja) * | 2012-12-11 | 2014-06-26 | Yazaki Corp | 光通信モジュール |
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