JP2011248244A - 光コネクタ用樹脂製フェルール - Google Patents
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Abstract
【課題】樹脂製のフェルールにおいて、光ファイバ素線のこじれを十分小さくできる程度の素線挿入孔の長さを有する場合でも、スリーブに嵌合される嵌合部外径および光ファイバ素線を挿入する素線挿入孔の寸法精度に優れ、光通信の損失を低減できる光コネクタ用樹脂製フェルールを提供する。
【解決手段】光コネクタ用樹脂製フェルール1は、光ファイバの心線5が通される心線挿入孔3aを有する本体部3と、光ファイバの素線4が通される素線挿入孔2aを有するスリーブへの嵌合部2とを備えてなり、素線挿入孔2aを有する嵌合部2と本体部3とが樹脂の射出成形により一体に成形されてなり、嵌合部2は、素線挿入孔2aを軸心とする円筒形状である。
【選択図】図1
【解決手段】光コネクタ用樹脂製フェルール1は、光ファイバの心線5が通される心線挿入孔3aを有する本体部3と、光ファイバの素線4が通される素線挿入孔2aを有するスリーブへの嵌合部2とを備えてなり、素線挿入孔2aを有する嵌合部2と本体部3とが樹脂の射出成形により一体に成形されてなり、嵌合部2は、素線挿入孔2aを軸心とする円筒形状である。
【選択図】図1
Description
本発明は光ファイバケーブルの端部に設けられた光コネクタ用フェルールに関し、特に射出成形された樹脂製の光コネクタ用フェルールに関する。
光ファイバケーブルを接続する際、ケーブルの端部にフェルールと呼ばれる部品を取り付け、このフェルール同士をスリーブなどのコネクタ部品によって接続している。ケーブル同士は、それぞれのケーブル端部のフェルールをスリーブに嵌合して突き合わせた状態で保持し、フェルール接合端部においてケーブル被覆から突出させた光ファイバ素線を同軸上に一致させた状態で接続される。この構成において、軸ズレなどによる光通信の損失を低減するため、接合部での光ファイバ素線(その素線挿入孔)同士の同軸度を小さくする必要がある。このため、フェルール側では、スリーブに嵌合される嵌合部の外径真円度、光ファイバ素線を挿入する素線挿入孔の外径に対する同軸度、素線挿入孔の内径真円度や円筒度などについて高い寸法精度が要求される。なお、同軸度とは、軸線が一致していない程度をいう(JIS B 0182)。
光コネクタ用フェルールは、このような高精度が要求されることから、主に、金属やセラミックスなどで構成されている。例えば、ジルコニア粉末などのセラミックス粉末と樹脂材の混合材料を用いて射出成形や圧縮成形した成形品を焼成した後に、研磨などにより仕上げたセラミックス製のものが用いられている。セラミックス製フェルールにおいて、光ファイバ素線の挿入孔などを高精度に加工するための加工方法も開発されている(特許文献1参照)。
近年、自動車分野においても、車載されるカーナビやAV機器で取り扱うデータ量の増大により、光ファイバ化が推進されている。また、自動車分野では省エネルギ化が進んでおり、軽量化などを行なう目的で、従来の通信用コネクタに比べてコンパクトかつ軽量な構造が求められている。このような要求に対し、軽量化、量産化、低コスト化などを図るため、樹脂製フェルールの開発も進められている。
例えば、外径寸法異常なく経済的に製造できる樹脂製フェルールとして、スリーブに対して抜き差し可能に嵌合される嵌合面と、この嵌合面の一端側に形成されて当該嵌合面よりも小径の段差面と、光ファイバの先端が臨む端面と、この端面に向けて先細りとなって段差面に続くテーパ面と、上記端面に開口して光ファイバ素線が挿通される素線挿通孔と、この素線挿通孔に連通して光ファイバ心線が通される心線ガイド孔とを備えたフェルールが提案されている(特許文献2参照)。
また、樹脂製フェルールにおいて外径寸法精度や同軸度を高めるため、スリーブへの挿着面を形成するとともに樹脂注入孔を有する硬質材製のインサートパイプを樹脂製のフェルール本体外周に被着したフェルールが提案されている(特許文献3参照)。
また、外筒を形成するインサートパイプ内に、軸心にファイバ装着孔を形成する樹脂成形部を一体に設けるとともに、インサートパイプの後端外周に係止部を設けたフェルール本体と、フェルール本体のファイバ挿入孔と連続するファイバ装着孔を軸心に形成するとともに、フェルール本体の後端側に樹脂成形した筒状のベース部とで構成され、このベース部がインサートパイプの係止部を被覆する態様でフェルール本体の樹脂成形部と一体に接合されたフェルールが提案されている(特許文献4参照)。
しかしながら、金属やセラミックスのみでフェルールを形成する場合、軽量化や低コスト化が容易でない。コネクタ部品は光ファイバケーブル20m毎に1個程度の割合で必要となることから、光ファイバケーブルを自動車に車積する場合では、フェルール単体毎の軽量化は重要な課題となる。金属よりも比重の小さいセラミックスを使用することで、金属を用いる場合よりも軽量化は図れるが、光ファイバ挿入孔を高精度に仕上げるには、例えば、特許文献1に示すような難加工が必要となり、低コスト化は困難である。
一方、樹脂製フェルールは、ジルコニアなどのセラミックス製フェルールと比較して、素線挿入孔の長さを長くできない。このため、素線挿入孔内の光ファイバ素線のこじれが大きくなり、フェルールを用いて連結される光ファイバの芯ずれおよび角度ずれが大きくなる傾向がある。
また、樹脂製フェルールでは、射出成形時の流路が長くなる場合や、キャビティ形状が複雑である場合では、樹脂の流動性や充填量が不均一となったり、樹脂のヒケにより寸法精度が低下するおそれがある。例えば、フェルールにおいてスリーブに嵌合される嵌合部の外径真円度が劣ったり、光ファイバ素線挿入孔の内周面がゆがんだりするおそれがある。
特許文献2の技術では、フェルール接合端部の外径寸法異常の改善を図ることが可能であるが、スリーブに嵌合される嵌合部において、樹脂肉厚が一定でない部分があるため、射出成形時の樹脂のヒケにより、素線挿入孔の寸法精度に劣る可能性がある。
また、特許文献3および特許文献4のように、硬質材からなるインサートパイプを用いる場合では、軽量化、低コスト化の面で不利となる。また、スリーブとの嵌合面が硬質材となるため、スリーブ側もセラミックス製とするような場合では、振動や衝撃が光ファイバ素線に伝わりやすく破損などのおそれがある。
本発明はこのような問題に対処すべくなされたものであり、樹脂製のフェルールにおいて、光ファイバ素線のこじれを十分小さくできる程度の素線挿入孔の長さを有する場合でも、スリーブに嵌合される嵌合部外径および光ファイバ素線を挿入する素線挿入孔の寸法精度に優れ、光通信の損失を低減できる光コネクタ用樹脂製フェルールを提供することを目的とする。
本発明の光コネクタ用樹脂製フェルールは、光ファイバの心線が通される心線挿入孔を有する本体部と、上記光ファイバの素線が通される素線挿入孔を有するスリーブへの嵌合部とを備えてなる光コネクタ用樹脂製フェルールであって、上記素線挿入孔を有する嵌合部と上記本体部とが樹脂の射出成形により一体に成形されてなり、上記嵌合部は、上記素線挿入孔を軸心とする円筒形状であることを特徴とする。
上記素線挿入孔の軸方向長さLinと孔径Dとの比(Lin/D)が15以上であることを特徴とする。また、上記嵌合部の軸方向長さLoutが、上記素線挿入孔の軸方向長さLin以上であることを特徴とする。
上記嵌合部において、上記素線挿入孔の外周に該素線挿入孔の内周面から離間して芯金を設けてなることを特徴とする。また、上記芯金が、上記素線挿入孔と同心の円筒形状であることを特徴する。また、上記芯金が、ステンレス製であることを特徴とする。
上記嵌合部において、上記素線挿入孔の内周面にスリーブ状の金属部が形成されてなることを特徴とする。また、上記金属部が、電鋳により形成された電鋳部であることを特徴とする。また、上記電鋳部は、ニッケル(以下、Niと記す)、銅(以下、Cuと記す)、パラジウム(以下、Pdと記す)、クロム(以下、Crと記す)、およびニッケル−コバルト(以下、Ni−Coと記す)合金から選ばれた少なくとも一つの金属をめっき基材とすることを特徴とする。
上記本体部において、上記心線挿入孔の内周面にスリーブ状の金属部が形成されてなり、該金属部で上記光ファイバの心線が接着固定されることを特徴とする。また、上記金属部が、ステンレス製であることを特徴とする。
上記フェルールを形成する樹脂が、液晶性樹脂またはポリエーテルイミド樹脂であることを特徴とする。
上記スリーブにおける上記嵌合部との嵌合部位が樹脂製であり、上記フェルールを形成する上記樹脂が、該スリーブの嵌合部位を形成する樹脂と同じ樹脂であることを特徴とする。
本発明の光コネクタ用樹脂製フェルールは、素線挿入孔を有する嵌合部と本体部とが樹脂の射出成形により一体に成形されてなり、嵌合部が上記素線挿入孔を軸心とする円筒形状であるので、素線挿入孔の外周(嵌合部)の肉厚が一定となり、射出成形時の樹脂のヒケによる素線挿入孔および嵌合部外径の寸法精度の低下を防止できる。また、上記素線挿入孔の軸方向長さLinと孔径Dとの比(Lin/D)を15以上とするので、素線挿入孔が長く確保され、該フェルールを用いて連結される光ファイバの芯ずれおよび角度ずれを小さくでき、連結される光ファイバの同軸度を十分に小さくできる。これらにより、本発明の光コネクタ用樹脂製フェルール同士を用いて光ファイバを連結した際における、光通信の損失を低減できる。
上記嵌合部において、素線挿入孔の外周に該素線挿入孔の内周面から離間して芯金を設けてなるので、射出成形時の樹脂のヒケによる素線挿入孔の寸法精度の低下を防止できる。
上記素線挿入孔の内周面にスリーブ状の金属部が形成されてなるので、射出成形時の樹脂のヒケによる素線挿入孔の寸法精度の低下を防止できる。また、この金属部を、電鋳により形成された電鋳部とすることで、実際の素線挿入孔となる該電鋳部内周面の寸法精度に優れる。
上記本体部において、心線挿入孔の内周面にスリーブ状の金属部が形成されてなり、該金属部で光ファイバの心線が接着固定されるので、射出成形時の樹脂のヒケによる心線挿入孔の寸法精度の低下を防止できる。また、光ファイバ心線との接着を該金属部で行なうことで、光ファイバ心線(における被覆)との接着強度に優れ、心線のずれや抜けなどを防止できる。
上記フェルールを形成する樹脂が、液晶性樹脂またはポリエーテルイミド樹脂であるので、射出成形性に優れ、素線挿入孔の軸方向長さLinと孔径Dとの比(Lin/D)が15以上の樹脂製フェルールを、バリなどの発生を抑えて成形できる。また、温度変化に対する寸法安定性などにも優れるため、広い温度範囲(−40℃〜90℃程度)での使用となる自動車車載用の光ファイバケーブルのフェルールとしても好適に利用できる。
上記スリーブにおける上記嵌合部との嵌合部位が樹脂製であり、上記フェルールを形成する上記樹脂が、該スリーブの嵌合部位を形成する樹脂と同じ樹脂であるので、線膨張係数が同じであり、使用時において、連結される光ファイバの芯ずれおよび角度ずれの発生を抑制できる。
本発明の光コネクタ用樹脂製フェルールの一実施例を図1に基づいて説明する。図1に示すように、樹脂製フェルール1は、光ファイバの心線5が通される心線挿入孔3aを有する本体部3と、光ファイバの素線4が通される素線挿入孔2aを有する嵌合部2とを備えてなる。本体部3は、外径面3bに中抜き部分3cを有し、該部分でバネなどによりコネクタ部材(図示省略)に固定されている。
光ファイバ素線4は、石英ガラスからなる光ファイバ(例えば、0.125mm径)を紫外線硬化型樹脂で被覆したもの(例えば、0.25mm径)である。また、光ファイバ心線5は、この素線をさらに樹脂などにより被覆したものである。素線挿入孔2aは、円管状であり、光ファイバ素線4の径よりも若干大きい孔径D(+1〜20μm程度)を有する。光ファイバ素線4および光ファイバ心線5は、接着剤を介して素線挿入孔2aおよび心線挿入孔3aにそれぞれ固定される。
嵌合部2は、円筒状のスリーブ(図3参照)に対して抜き挿し可能に嵌合される嵌合面2bと、光ファイバ素線4の先端が位置し、突合せ面となる端面2cとを有する。嵌合部2は、素線挿入孔2aを軸心とした円筒形状である。ここで、素線挿入孔2aを軸心とした円筒形状とは、図1に示すように、素線挿入孔2aと同心の円柱形状から該素線挿入孔2aの部分のみを取り除いた円筒形状である。嵌合部2をこの形状とすることで、素線挿入孔2aの外周の肉厚が一定となり、射出成形時の樹脂のヒケによる素線挿入孔2aおよび嵌合部2の嵌合面2bの寸法精度の低下を防止できる。また、フェルールとスリーブの組み立てが容易となるように、素線挿入孔2aの精度を悪化させない範囲で、嵌合面2bと端面2cとの角部にC面取やR面取を設けてもよい(図7参照)。このような面取を設ける場合、嵌合部2は、略円筒形状(該面取部以外を除いた部分が円筒形状)となる。本発明における嵌合部2の「円筒形状」には、素線挿入孔2aの精度を悪化させない範囲での上記略円筒形状も含むものとする。
嵌合部2の軸方向長さLoutは、素線挿入孔2aの軸方向長さLinと同じか、Linよりも長いことが好ましい。このようにすることで、素線挿入孔2aの軸方向全体でその外周の肉厚が一定となり、素線挿入孔2aの軸方向全体にわたり、射出成形時の樹脂のヒケによる寸法精度の低下を防止できる。特に好ましくは、嵌合部2の軸方向長さLoutを、素線挿入孔2aの軸方向長さLinと同じとする。このようにすることで、嵌合部2の肉厚が軸方向全体で一定となり、素線挿入孔2aおよび嵌合部2の嵌合面2bにおいて軸方向全体にわたり、射出成形時の樹脂のヒケによる寸法精度の低下を防止できる。
本発明の樹脂製フェルール1では、嵌合部2における素線挿入孔2aの軸方向長さLinと孔径Dとの比(Lin/D)が15以上とすることが好ましい。より好ましくは、Lin/Dが30以上である。Lin/Dを15以上とすることで、素線挿入孔2aが長く確保され、素線挿入孔2a内の光ファイバ素線4のこじれが小さくなる(図2(a)参照)。これにより、該フェルールを用いて連結される光ファイバ同士の芯ずれおよび角度ずれを小さくでき、光ファイバ同士の同軸度を十分に小さくできる。一方、従来の樹脂製フェルールのように、素線挿入孔の長さが短いと、素線挿入孔内の光ファイバ素線のこじれが大きくなる(図2(b)参照)。
本発明の光コネクタ用樹脂製フェルールを用いた光コネクタ接合部を図3に基づいて説明する。図3は、光コネクタ接合部を示す断面図である。図3における樹脂製フェルール1は、嵌合部2の軸方向長さと、素線挿入孔2aの軸方向長さが同じである。図3に示すように、一対の樹脂製フェルール1を円筒状のスリーブ6にその嵌合部2を嵌合して突き合わせた状態で保持し、樹脂製フェルール1の接合端面2cにおいて素線挿入孔2aを同軸上に一致させた状態で接続される。スリーブ6としては、ジルコニア、アルミナ、窒化珪素、炭化珪素、窒化アルミニウムなどを主成分とする結晶粒子を有するセラミックスで形成したもの、その一部を樹脂製としたものなどがある。
それぞれの樹脂製フェルール1において、素線挿入孔2aが長く確保されて素線挿入孔2a内の光ファイバ素線4のこじれが小さくなり、同時に、嵌合部2の嵌合面2bの長さも長く確保されるので、スリーブ6に嵌合されて保持される際にフェルール同士の同軸度を小さく維持しやすい。これに加えて、素線挿入孔2aおよび嵌合部2の嵌合面2bの寸法精度にも優れるので、連結される光ファイバの芯ずれおよび角度ずれが小さく、光ファイバ同士の同軸度が十分に小さくなり、該接合部における光通信の損失を低減できる。また、樹脂製フェルール1の嵌合部2の嵌合面2bが樹脂面となるので、嵌合相手であるスリーブ6を上記のようなセラミックス製とする場合でも、振動や衝撃が素線挿入孔2a内の光ファイバ素線4に伝わりにくく破損を防止できる。
本発明の光コネクタ用樹脂製フェルールの他の実施例を図4に基づいて説明する。図4は、芯金を有する光コネクタ用樹脂製フェルールを示す断面図である。図4に示すように、この態様の樹脂製フェルール1は、嵌合部2において、素線挿入孔2aの外周に、素線挿入孔2aの内周面から離間して芯金7を設けてなる。なお、嵌合面2bには突出させない位置とする。芯金7は、樹脂製フェルール1の射出成形時に射出成形金型内の所定位置に配置してインサート成形することで嵌合部2内に配置される。図4に示すように芯金7を設けることで、射出成形時の樹脂のヒケによる素線挿入孔2aの寸法精度の低下を防止できる。
芯金7は、素線挿入孔2aと軸方向長さが略同じで、該素線挿入孔2aと平行に配置すればよい。素線挿入孔2aの内周面側の肉厚を均一にするため、素線挿入孔2aと同心の円筒形状(パイプ状)とすることが特に好ましい。芯金7の厚みは、フェルール全体の軽量化などのため、射出成形時に変形しない範囲で薄くすることが好ましい。また、芯金7の一部に貫通孔を設けて射出成形(インサート成形)することで、芯金7の位置ずれなどを防止できる。
芯金7の材質は、黄銅、ステンレスなどの任意の材質とできるが、ステンレス製とすることが好ましい。ステンレス製とすることで、防錆性、機械的強度に優れるとともに、後述するフェルールを形成する液晶樹脂などと熱膨張係数が比較的近く、嵌合部2の嵌合面2bおよび素線挿入孔2aの寸法精度に影響を与えにくい。
本発明の光コネクタ用樹脂製フェルールの他の実施例を図5に基づいて説明する。図5は、素線挿入孔の内周面にスリーブ状の金属部を有する光コネクタ用樹脂製フェルールを示す断面図である。図5に示すように、この態様の樹脂製フェルール1は、素線挿入孔2aの内周面にスリーブ状の金属部8が形成されてなる。金属部8としては、上記芯金と同様に円筒形状の金属パイプからなるものや、電鋳で形成したものなどを用いることができる。金属部8を電鋳により形成された電鋳部とすることで、実際の素線挿入孔となる電鋳部内周面の寸法精度に優れるため好ましい。
電鋳による電鋳部の形成方法としては、公知の方法を採用できる。例えば、素線挿入孔と同一径を有するステンレス製などのマスター軸を準備し、該マスター軸の外周に電気めっきをして金属部8となる電鋳部を形成する。この電鋳部を有するマスター軸を射出成形金型内の所定位置に配置してインサート成形することでフェルール全体を形成する。その後、マスター軸のみを引き抜くことで、素線挿入孔の内周面にスリーブ上の金属部(電鋳部)が形成された樹脂製フェルールが得られる。なお、マスター軸の外周面によって、素線挿入孔の内周面が確定されるので、マスター軸の外周面は、真円度、円筒度、表面粗さなどの表面精度を、予め高精度に仕上げておく必要がある。
めっき基材としては、後述するフェルールを形成する液晶樹脂などと熱膨張係数が比較的近いことから、Ni、Cu、Pd、Cr、およびNi−Co合金を採用することが好ましい。また、上述の電気めっきのほか、電気を用いず、金属塩の水溶液に加えた還元剤の作用により金属の析出を行う無電解めっき法を採用してもよい。
本発明の光コネクタ用樹脂製フェルールの他の実施例を図6に基づいて説明する。図6は、心線挿入孔の内周面にスリーブ状の金属部を有する光コネクタ用樹脂製フェルールを示す断面図である。図6に示すように、この態様の樹脂製フェルール1は、本体部3において、心線挿入孔3aの内周面に、スリーブ状の金属部9が形成されてなる。金属部9としては、上記芯金と同様に円筒形状の金属パイプからなるものなどを用いることができる。金属部9は、予め用意した金属部9となる金属パイプなどを、樹脂製フェルール1の射出成形時に射出成形金型内の所定位置に配置してインサート成形することで本体部3内に配置される。
金属部9の材質および形状としては、上記芯金と同様とすることが好ましい。すなわち、材質としては、防錆性、機械的強度に優れるとともに、後述するフェルールを形成する液晶樹脂などと熱膨張係数が比較的近く、本体部3の心線挿入孔3aの寸法精度に影響を与えにくいことから、ステンレス製とすることが好ましい。
図6に示すように金属部9を設けることで、射出成形時の樹脂のヒケによる心線挿入孔3aの寸法精度の低下を防止できる。また、光ファイバ心線5との接着をこの金属部9で行なうので、該金属部9を設けないで本体部3の心線挿入孔の内周面(樹脂)に直接接着する場合よりも、光ファイバ心線5(における被覆)との接着強度に優れ、光ファイバ心線5のずれや抜けなどを防止できる。
以上の図4〜図6で説明した態様は、これらの一部または全部を組み合わせた態様としてもよい。
本発明の樹脂製フェルールにおける本体部3と嵌合部2とは、樹脂の射出成形により一体に成形されてなる。射出成形は、射出成形金型内に素線挿入孔2aを形成するコアピンを配置して、素線挿入孔2aを有する嵌合物2と本体部3とからなるフェルール全体を一体に射出成形する。よって、素線挿入孔2aは、後加工などにより形成される孔とは異なり、該素線挿入孔2aの内周面が成形面となる。本発明では、上記のように素線挿入孔2aの外周の肉厚を一定とすることや、芯金などを用いることで、該素線挿入孔2aの内周面が成形面でありながら、その寸法精度の低下を防止できる。
樹脂材料としては、樹脂製フェルールに使用される公知の樹脂を使用できる。バリなどの発生しにくい射出成形性に優れる樹脂が好ましい。また、広い温度範囲(−40℃〜90℃程度)での使用となる自動車車載用の光ファイバケーブルに利用可能とするため、弾性率が大きく温度変化に対する寸法安定性に優れた樹脂が好ましい。本発明で使用できる樹脂としては、例えば、液晶樹脂(LCP)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリアセタール(POM)樹脂、ポリアミド(PA)樹脂などの結晶性樹脂、あるいは、ポリエーテルイミド(PEI)樹脂、ポリフェニルサルフォン(PPSU)樹脂、ポリエーテルサルフォン(PES)樹脂、ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂、ポリアミドイミド(PAI)樹脂などの非晶性樹脂を使用できる。これらの樹脂の中でも、液晶樹脂またはポリエーテルイミド樹脂を用いることが好ましい。
液晶樹脂としては、異方性溶融相を形成し得る芳香族ポリエステル樹脂、芳香族ポリエステルイミド樹脂、芳香族ポリエステルアミドが挙げられる。また、芳香族ポリエステル樹脂としては、下記の化1〜化3に示される単位を有するものが挙げられる。耐熱性に優れることから、化1の全芳香族ポリエステル樹脂が特に好ましい。
その他、異方性溶融相を形成する液晶樹脂、例えばサーモトロピック液晶性を示す樹脂系のものであれば使用できる。
本発明では、上述のように素線挿入孔が細長い形状(例えば、Lin/Dが15以上)のため、これに対応して、射出成形金型内において素線挿入孔を形成するコアピンが細長くなる。液晶樹脂は、溶融状態で液晶性を示すため、成形時の流動性がよく、このコアピンの射出成形時のずれを防止することが容易となる。また、図4に示すような芯金を射出成形金型内に配置して射出成形する際も、端部まで樹脂が十分に充填される。
ポリエーテルイミド樹脂は、分子内にイミド結合とエーテル結合とを有する熱可塑性樹脂であり、高い弾性率を有し、加工性(射出成形性)にも優れることから、上記液晶樹脂と同様に、フェルールの樹脂材料として好適である。
以上の樹脂材料には、射出成形時のヒケ防止や機械的強度向上などの目的で、公知の充填材が配合される。本発明で使用できる充填材としては、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、ガラスビーズ、グラファイト、酸化亜鉛、チタン酸カリウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、黒鉛などの無機充填材が挙げられる。これらの充填材は、上記樹脂の流動性を低下させない範囲で配合する。また、射出成形時の樹脂のヒケによる素線挿入孔および嵌合部外径の寸法精度の低下を防止するため、射出成形のゲート位置を最適化することなどにより、嵌合部における充填材の配向をフェルールの軸方向とすることが好ましい。
スリーブにおけるフェルールとの嵌合部位を樹脂製とする場合において、フェルールを形成する樹脂を、スリーブの上記嵌合部位を形成する樹脂と同じ樹脂とすることで、線膨張係数が同じとなり、使用時において、連結される光ファイバの芯ずれおよび角度ずれの発生を抑制できる。さらに、充填材の配向を樹脂製フェルールとスリーブで一致させることがより好ましい。
本発明の光コネクタ用樹脂製フェルールは、樹脂製でありながら寸法精度に優れ光通信の損失を小さくできるので、各種用途における光ファイバケーブルを接続するフェルールとして利用できる。特に、樹脂製であり軽量化や低コスト化が図れるので、自動車車載用の光ファイバケーブルのフェルールとして好適に利用できる。
1 樹脂製フェルール
2 嵌合部
3 本体部
4 光ファイバ素線
5 光ファイバ心線
6 スリーブ
7 芯金
8 金属部(素線挿入孔の内周面に設けるもの)
9 金属部(心線挿入孔の内周面に設けるもの)
2 嵌合部
3 本体部
4 光ファイバ素線
5 光ファイバ心線
6 スリーブ
7 芯金
8 金属部(素線挿入孔の内周面に設けるもの)
9 金属部(心線挿入孔の内周面に設けるもの)
Claims (13)
- 光ファイバの心線が通される心線挿入孔を有する本体部と、前記光ファイバの素線が通される素線挿入孔を有するスリーブへの嵌合部とを備えてなる光コネクタ用樹脂製フェルールであって、
前記光コネクタ用フェルールは、前記素線挿入孔を有する嵌合部と前記本体部とが樹脂の射出成形により一体に成形されてなり、
前記嵌合部は、前記素線挿入孔を軸心とする円筒形状であることを特徴とする光コネクタ用樹脂製フェルール。 - 前記素線挿入孔の軸方向長さLinと孔径Dとの比(Lin/D)が15以上であることを特徴とする請求項1記載の光コネクタ用樹脂製フェルール。
- 前記嵌合部の軸方向長さLoutが、前記素線挿入孔の軸方向長さLin以上であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の光コネクタ用樹脂製フェルール。
- 前記嵌合部において、前記素線挿入孔の外周に該素線挿入孔の内周面から離間して芯金を設けてなることを特徴とする請求項1、請求項2または請求項3記載の光コネクタ用樹脂製フェルール。
- 前記芯金が、前記素線挿入孔と同心の円筒形状であることを特徴する請求項4記載の光コネクタ用樹脂製フェルール。
- 前記芯金が、ステンレス製であることを特徴とする請求項4または請求項5記載の光コネクタ用樹脂製フェルール。
- 前記嵌合部において、前記素線挿入孔の内周面にスリーブ状の金属部が形成されてなることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一項記載の光コネクタ用樹脂製フェルール。
- 前記金属部が、電鋳により形成された電鋳部であることを特徴とする請求項7記載の光コネクタ用樹脂製フェルール。
- 前記電鋳部は、ニッケル、銅、パラジウム、クロム、およびニッケル−コバルト合金から選ばれた少なくとも一つの金属をめっき基材とすることを特徴とする請求項8記載の光コネクタ用樹脂製フェルール。
- 前記本体部において、前記心線挿入孔の内周面にスリーブ状の金属部が形成されてなり、該金属部で前記光ファイバの心線が接着固定されることを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか一項記載の光コネクタ用樹脂製フェルール。
- 前記金属部が、ステンレス製であることを特徴とする請求項10記載の光コネクタ用樹脂製フェルール。
- 前記フェルールを形成する前記樹脂が、液晶性樹脂またはポリエーテルイミド樹脂であることを特徴とする請求項1ないし請求項11のいずれか一項記載の光コネクタ用樹脂製フェルール。
- 前記スリーブにおける前記嵌合部との嵌合部位が樹脂製であり、前記フェルールを形成する前記樹脂が、該スリーブの嵌合部位を形成する樹脂と同じ樹脂であることを特徴とする請求項1ないし請求項12のいずれか一項記載の光コネクタ用樹脂製フェルール。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010123439A JP2011248244A (ja) | 2010-05-28 | 2010-05-28 | 光コネクタ用樹脂製フェルール |
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Cited By (2)
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JP2014021298A (ja) * | 2012-07-19 | 2014-02-03 | Ntt Advanced Technology Corp | 光ファイバ用接続具および光ファイバ用接続具の製造方法 |
JPWO2016175126A1 (ja) * | 2015-04-27 | 2017-12-21 | 京セラ株式会社 | 光伝送モジュール |
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